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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

クラシック・ギター名曲選 9



 収録曲紹介


ホアキン・バルベルデ~リョベット編 : クラベリートス(カーネーション)



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カタルーニャ民謡ではないが

 この曲も、前の2曲と同じくリョベットの編曲で、雰囲気としては 「盗賊の歌」 などに近いですが、こちらはカタルーニャ民謡ではなく、スペインの作曲家、ホアキン・バルベルデ(1848~1910)の歌曲です。 

 バルベルデは主にサルスエラ(スペイン風オペレッタ)を作曲していて、おそらくこの曲もサルスエラの中の曲と思われます。 

 街で花を売る少女の歌だそうですが、曲もアレンジも比較的シンプルで、たいへんおおらかな感じがします。



リョベット編としては弾き易い

 リョベットの編曲としては弾き易い方だと思いますが、楽譜のほうはあまり入手しやすくないのかな? 弾いている人はわりと少ないようです。 私は現代ギター誌のオマケの譜面で弾いています。



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バルベルデのクラベリトスの譜面。 リョベット編としてはあまり凝っていなくて、弾き易い。



 速度標語は譜面のとおり ”Allegro” となっていて、イタリアのギタリスト、グロンドーナ(リョベット作品全集を録音している)はかなり速いテンポで弾いていますが、そんなにメチャクチャ速いテンポでなくてもよいのではと思います。






エンリケ・グラナドス~リョベット編 : スペイン舞曲第5番「アンダルーサ」




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アンダルーサ(アンダルシア)地方はフラメンコの盛んなところ




ほとんどギター曲

 ギター曲としてはたいへん有名で、アストゥリアス同様、ほぼギターのオリジナル的な扱いをされています。 多くのギタリスト(プロ、アマ問わず)が演奏していますが、基本的には皆このリョベットのアレンジで演奏していると言ってもよいでしょう。



これ以外の編曲はほぼ存在しない

  CDなどにはそのギタリスト自らの編曲としている場合もありますが、調やポジションの選択、ハーモニックス奏法の使用、繰り返しの際にオクターブ下げる箇所など、ほとんどリョベットのアレンジを踏襲しているものがほとんどです。

 そのギタリストの変更箇所は極めて末端的なことが多く、ほぼリョベット編と言えます。それだけ、このスペイン舞曲におけるリョベット編は完成されたものと言えるのかも知れません。 



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お馴染みのリョベット編のスペイン舞曲第5番の譜面。 ギターで弾くスペイン舞曲第5番といえば、もうこのリョベット編しかない。このアレンジ以外で弾いているギタリストはいないと言ってもよい。



 あまりにも完成し過ぎていて、この曲を編曲作品だとか、リョベットの編曲によるものとか知らずに弾いたり、聴いたりしている愛好者も少なからずいるのではと思います。
 


逆に完璧にリョベット編で弾く人も少ない

 その一方で、運指に至るまで、完璧にリョベット編で演奏するのはなかなか難しく、リョベット編と明記しつつも、ある程度はポジション、運指などを変えて弾くほうが普通といえます。

 本来であれば ”リョベット編”  とした場合、完璧にリョベットの譜面で演奏すべきかも知れませんが、私の演奏でも、ポジションなど、ほんのわずか変更しています。  ・・・・本当にちょっとです。   ・・・・・言い訳ぽい?



編曲よりも弾くほうが難しい?

 リョベットは、このグラナドスの 「12のスペイン舞曲集」 から、他に第7番と10番も編曲しています。 実は私もアルベニスの次はグラナドスかなということで、1、2、3、4、6、7、の6曲を編曲したのですが、編曲しただけでそのままになっています。

 編曲自体はそれほど難しくはないのですが、実際に弾くのは、あるいは自分でも弾けるように編曲するのは難しいですね。
 


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クラシック・ギター名曲選  8



収録曲紹介


カタルーニャ民謡~リョベット編 : 盗賊の歌




美しいメロディで、人気のある曲

 盗賊の歌はたいへん美しいメロディで、リョベットのカタルーニャ民謡集の中でも人気のあるものです。

 メロディ・ラインは原曲に忠実になっていて、アレンジもエル・メストレに比べると、ややシンプルです。 このシンプルさがメロディを美しく歌いやすくなっている要因とも言えるでしょう。



自然ハーモニックスのみでメロディを弾く

 グリサンド奏法は、やや控えめで、ハーモニックス奏法も自然ハーモニックス(左手で触れて、右手で弾く)のみで、オクターブハーモニックスは使用していません。

 このオクターブハーモニックスではなく、自然ハーモニックスでメロディを演奏するというのが、この曲のアレンジの特徴とも言えます。

 この自然ハーモニックスの部分は、楽譜ではこのようになっています。




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楽譜だけ見たのでは、どんなメロディかわからない


 これ、どんなメロディだかわかりますか? もちろんこの曲を弾いている人や、よく聴く人はわかると思いますが、楽譜を見ただけでは、どんなメロディかわかりませんね。 「ソーラシレシソラ」 ではメロディになりません。



タレガ、リョベットのハーモニックスに表記の仕方

 例えば、1個目の赤丸は、楽譜上では「ソ」となっていますが、実際に出る音は「レ」です。 タレガやリョベットの自然ハーモニックスの書き方は、実際に出る音を書くわけではなく、使用す弦を表すわけです。

 つまり、③弦の7フレットのハーモニックスは音で言えば「レ」になりますが、③弦を使うので「ソ」と書き、それに7フレットのハーモニックスであることを添え書きするわけです。



弾き方はわかりやすいが

 この書き方は、確かに弦とフレットがはっきり書かれるので、演奏する際にはわかりやすいかも知れませんが、実際に何の音が出るかはわかりにくいことになります。  



以前はこの書き方が標準だった

 最近では、自然ハーモニックスの場合でも実際に出る音を書く場合が主流なのですが、少なくとも19世紀から20世紀の前半くらいまではこの書き方が主流です。 私がギターを始めた頃(1960年代)でも、この書き方が普通でした。

 この部分を、実際に出る音で書くと、次のようになります。



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赤丸がメロディ  



前のところのメロディの繰り返しなのだが

 メロディとしては、前の部分のくり返しですね。同じメロディをハーモニックス奏法でリフレインしたわけです。 レッスンなんかやっていると、これが前のものと同じメロディだということが気が付かないで弾いている人もいます。 それだけ弾くのに一生懸命だとか・・・・・



こんなメロディだと思ってしまう人もいる

また、こんな風なメロディだと思ってしまう人も結構います (1小節目の レーファ# )。


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クラシック・ギター名曲選 7



収録曲紹介


11. カタルーニャ民謡 ~リョベット編 : エル・メストレ「先生」
 



ブログ 034



14曲のカタルーニャ民謡の編曲が有名

 タレガ編の次はリョベットの編曲作品です。 リョベットはいくつかのオリジナル作品を書いていますが、何といっても14曲の「カタルーニャ民謡」 の編曲が有名です。

 これらの旋律は、伝統的なものを忠実に再現しているようですが、近代的な和声法、効果的な演奏法など、リョベット独自のもので、ギター曲としては完成されたものと言えます。



先生を慕う女心を歌ったもの

 この曲の歌詞は、好きになった先生を軍隊に取られて悲しんでいる女の子の歌で、14曲の中最も長い曲となっています。  ・・・・・・それでも3分台ですが。

 リョベット自身でも1920年代に録音(SP録音)を残していて、現在でもCDとして市販されています。 恐らく、 リョベットとしても、自信作、あるいは特に力の入った曲ではないかと思います。



ハーモニックスとグリサンドの多用が特徴

 リョベットのアレンジの特徴としては、近代的な和声法もありますが、何といっても各種ハーモニックス奏法とグリサンド奏法の多用でしょう。

 これらはタレガの技法を踏襲するものとも言えますが、さらに発展させたものでもあります。 ハーモニックス奏法では、何と言っても和音を弾きながら行うオクターブハーモニックス奏法(右手のみで行うハーモニックス奏法)が特徴的です。 



タレガの場合は高い音域を確保するため

 このオクターブ・ハーモニックスは前に書いた「悲愴」など、タレガも用いていましたが、タレガの場合、オクターブ・ハーモニックスを用いる場合は、高い音域を確保するためということが多いようです。

 「悲愴」の場合も、原曲では、メロディが1オクターブ高くなって出てくるところがありますが、このオクターブ高い音は、通常の奏法では出せないので、オクターブ・ハーモニックス奏法を使用したと考えられます。

 他の曲の場合でも、このようなケースが多いと思われます。 つまりタレガの場合は”必要”があって、このオクターブ・ハーモニックスを用いている訳です。



リョベットの場合は、この奏法そのものが目的

 しかし、リョベットはさらに積極的にハーモニックス奏法を使用しており、使う頻度としてもタレガよりもいっそう多くなっています。

 カタルーニャ民謡集では、「アメリアの遺言」、「商人の娘」、「エル;メストレ」などに用いられ、 特に「商人の娘」では曲の半分ほどがこの奏法となっています。

 リョベットとしては、このオクターブ・ハーモニックスを ”必要があって” 使っていると言うより、この奏法そのもを聴かせることを目的に使用していると言えます。、




弦を擦る音の方が大きい?

 そのようなわけで、下の譜面のように、かなり低い音域、あるいは低音弦でこのオクターブ・ハーモニックス奏法を用いています。

 もちろんこれは通常の弾き方でも演奏出来、その方が音が出しやすく、またメロディなどもはっきり出るのですが、音響的な効果により、あえて使っている訳です。

 しかし、この音域、あるいはこの弦でのオクターブ・ハーモニックスは、かなり出しにくく、ちょっとした難所でもあります。 技術がないと、ハーモニックスの音より、弦を擦る音の方が大きくなってしまったりします。



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メロディ、伴奏関係なくグリサンド奏法を使う

 さらに、グリサンド奏法もタレガ以上に多く用いています。 通常グリサンドはメロディどうしの音で行うのが普通、あるいは常識だと思います。

 しかしリョベットはメロディとか、和音とか、低音とか、関係なくグリサンド奏法を使用しています。



わざわざグリサンド奏法を使うために

 運指などを見ると、ポジション移動をしなくても弾けるところを、あえてグリサンドを付けるために、わざわざ遠くのポジションを使用するなどということも少なくありません(2段目の3小節目)。
 



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声部をまたいでのグリサンドなど、常軌を逸している!

 特に ”声部を跨いでのグリサンド” などというのは、やや常軌を逸しているともいえるかも知れません(譜面の3段目の2小節目の「レ#」から「ソ」のかけてのグリサンドなど)。


 これなど、どれがメロディかなど、聴いている人も訳が分からなくなるのではと思いますが、それでもリョベットはグリサンドの音響効果のほうを重視したのでしょう。



目的と手段が入れ替わっている?

 こうなると、グリサンド奏法はメロディを美しく聴かせるためのものではなく、メロディは、グリサンド奏法を行うためのものと言うようにまさに目的と手段が完全に入れ替わっています。



古き良き時代を彷彿させる曲だが

 この「エル・メストレ」は、まさにリョベットらしい曲で、リョベットの編曲作品の中でも傑作といえます。 自身でも好んで演奏したことも納得がゆきます。

 またタレガ、リョベットが活躍した、”古き、良き時代” がよみがえるような作品でもあります (持ちろん、上手く弾ければだが)。

 しかし、間違いなく弾き易い曲ではありませんね!     ・・・・結構苦労しました。
クラシック・ギター名曲選


収録曲紹介



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10..アダージョ・カンタービレ ~ピアノソナタ「悲愴」第2楽章 (ベートーヴェン ~タレガ編)





ギターとベートヴェンの相性は最悪?

 先に言ってしまうと、ギターとベートヴェンとの相性はかなり悪いです。 

 ベートヴェンの音楽の特徴は、ダイナミックさ、構成美、論理性といったことになると思いますが、微妙なニュアンスが勝負のギターにとっては、どれも苦手なものです。

 おそらく音楽の方向性としては正反対と言ってもよいでしょう。




 「ギターは小さなオーケストラである」

 「ギターは小さなオーケストラである」 と言った言葉をベートーヴェンは残したとされています。

 いつ、どこで、どのようなシチエ―ションでこの言葉を言ったのか、あるいは書いたのかなどといったことはわかりませんが、ともかくそのように言われています。




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「ギターは小さなオーケストラだ」 と言ったとか、言わなかったとか。




ジュリアーニ? ディアベリ?

 ベートーヴェンが実際にこの言葉を、どこかで言ったとしたら、おそらく優れたギター演奏を聴いた時の感想と考えられます。

 ベートーヴェンが聴いた可能性のある優れたギタリストといえば、交響曲第7番の初演にも立ち会ったとされているマウロ・ジュリアーニが考えられますが、確かなことはわかりません。

 ベートヴェンの周辺では、他に出版業者として知られているアントン・ディアベリもギターを弾いていましたが、おそらくディアベリではないでしょう。



ギターに対する賛辞と受け止められているが

 この言葉は普通、ギターと言う楽器に対して、あるいはギタリストに対してのベートーヴェン流の賛辞と受け取られています。  ・・・・・少なくともギター界では。

 しかしちょっとひねくれた解釈をすれば、ベートヴェンにとっては、最良、または最大の音楽形態はオーケストラであることを言っている訳で、それに比べてギターは”小さい”ものであると言っているわけです。

 ギターが ”小さいオーケストラ” であるなら、 ピアノは ”大きなオーケストラ” となるのかも知れません。 



本当にお世辞を言うつもりだったら

ベートーヴェンが本当にギター、あるいはギタリストにお世辞を言うつもりだったら、 「ギターにはオーケストラには出せない音楽がある」 とか 「ギターは、オーケストラとは全く違う表現が出来る」 など、オーケストラとの質の違いを強調すべきだったのではと思います。 

 ギターとオーケストラを ”大” ”小” などの量的な言葉で表現すれば、当然のごとくその圧倒的な”量的な差”を表すことになります。



同じ土俵で相撲を取っても

 また量的な比較をするということは、その前提として、オーケストラとギターは質的に同じということを言っている訳です。 そりゃあ、オーケストラと同じ土俵で相撲とったら勝てる訳がない! 

 もっとも、こと言葉を言うきっかけとなったのが、仮にジュリアーニの演奏であったとすると、ベートーヴェンとしてもオーケストラとギターとの質的な差は感じなかったかも知れませんね。

 もし、これがタレガの演奏だったら、全く違った感想をいっていたかも知れません。    ・・・・・・時代的にはあり得ませんが。



お世辞は難しい

 お世辞って難しいですね、言い方を間違えると全くの逆効果になって、相手の機嫌を損なうこともある!  ・・・・・ベートーヴェンのこの言葉で、特に憤慨した人はいなそうですが。

 なにはともあれ、ベートーヴェンとギターとの接点は、全くないわけではないが、ベートヴェンとしては、特に関心があったわけではなさそうです。




タレガはベートヴェンの曲をたくさんアレンジしている

 話を編曲者のタレガの方に向けると、タレガはギターにはあまり相性が良くないと思われるベートーヴェンの曲をたくさん編曲しています。

 ピアノソナタからヴァイオリンソナタ(クロイツェル)、交響曲(第7番)など、それらの多くは技術的はかなり難しくなり、また演奏出来たとしても原曲の内容を越えることもなく、またギターの新たな魅力を引き出すというわけでもなく・・・・・



ベートーヴェンへの敬意の表れ

 しかしタレガとしては音楽にたずさわる以上、ベートーヴェンの音楽は避けて通れないと考えたのでしょう。

 タレガのこれらのベートーヴェンの作品の編曲は、楽聖ベートーヴェンへの敬意の表れではないかと思います。




「ピアノで弾いた方がいいんじゃない」って言われそうだが

 と言った訳で、このタレガ編曲の ベートーヴェン : 「ピアノソナタ第8番ハ短調作品13」 第2楽章 「アダージョ・カンタービレ」 は、一般にはたいへん有名な曲で、楽譜なども入手しやすいわりには、あまり演奏されません。 

 アマチュアにとってはたいへん弾きにくい曲で、プロにとっては苦労のわりには 「ピアノで弾いた方がいいんじゃない」 と言われかねない曲として敬遠しがちです。



なかなか? そこそこ? ぜんぜん?

 今回この曲を私が録音したのは、そうしたことをふまえつつも、 ”怖いもの見たさ” というか、”たまにはいいんじゃない” といったところですが、他のタレガ編のベートヴェンの作品にくらべて、この曲は相対的にギターにおさまりやすいという点もあります。 

 内容的にも、この曲はベートーヴェンの曲としては穏やかで、結果的に 「ギターで聴いてもなかなか(そこそこ?)いいんじゃない」 と言った感じにはなっているかなと思います。



かなり原曲に忠実

  このタレガのアレンジはハーモニックス奏法の使用とか、技術的な点での省略、簡略化などはありますが、基本的にはかなり原曲に忠実なものです。

 グリサンド奏法などもかなり少な目で、タレガとしては最大限、原曲の持ち味を出そうとしているように思います。 



「月光」も一応弾いてみたが

 なお、タレガ編のピアノソナタ「月光」の第1楽章なども一応録音してみたのですが、さすがにこちらは本当に 「ピアノでいいんじゃない」 と言った感じてしまったので、アルバムに含めるのはやめました。  ・・・・もちろん技術的にも難しい。


 
 

 
クラシック・ギター名曲選 6



収録曲紹介



ショパン~タレガ編 : 前奏曲第15番「雨だれ」



一般的には有名な曲だが

 有名なショパンのピアノ曲を有名なギタリストがアレンジしたものですから、たいへん良く演奏される曲ではと思われがちですが、意外とあまり演奏されません。

 確かに最近では編曲ものも含むタレガの作品全集も録音されるようになり、福田(進一)先生なども録音していますが、少し前までは全くと言っていいほど録音がありませんでした。

 その理由としては、何といってもそれまでセゴヴィアなどの大ギタリストが演奏しなかったことがあると思いますが、あまり弾き易くないということもあるでしょう。



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タレガ編の「雨だれ」前奏曲。 グリサンド奏法を多用しているのが特徴。




8分音符の刻みのあるところは音量バランスが難しい

 特に中間部では8分音符同じ音をで刻みながら、その上下に4分音符でメロディを入れます。 ピアノでは何でもない弾き方だと思いますが、ギターではこれが難しい、あるいは苦手な弾き方と言えます。




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3段目からの8分音符が続くところは、一見簡単そうだが、ギターで4分音符のメロディと8分音符で刻んでいる伴奏のバランスをとるのは極めて難しい。 この8分音符の刻みが ”雨だれ” ぽいので、この名前が付いたと思われる。



 何といっても、ギターでは複数の音を弾いた時に、その音量バランスをとるのがたいへん難しい訳です。 例えば、4つの音を弾く時に、最高音を弾く薬指だけ大きく弾く、あるいは低音も親指だけ強く弾く、などということはかなり難しいことです。

 まして内声部だけを強く弾くなど、かなり技術の高い人であっても、ほぼ不可能なことと言えると思います。




グリサンド奏法は品がない?

 また一時期、タレガ編のように、原曲にはないグリサンド奏法を多用するなど、原曲の内容を損なうもの、あるいは品がないなどとして敬遠する風潮もあったことも、このタレガ編があまり弾かれなかったことの理由に挙げられるでしょう。

 何はともあれ、最近ではこうした作品も演奏される機会が増えてきた訳ですが、その理由の一つとしては、タレガの場合、オリジナル作品のみでなく、編曲作品も重要視されるようになってきたことがあります。

 かつては「タレガ作品全集」といえば、オリジナル作品のみがその対象だったのですが、現在では編曲作品も含めるのが普通となっています。 タレガの編曲作品には、まだまだ未出版のものがたくさんあり、今後さらに演奏されるようになるのではと思われます。



ショパンはピアノでグリサンドしたがっていた?

 なお、先ほどのピアノの原曲にはない「グリサンド」の件ですが、私個人的には、ギターで演奏する以上、グリサンドやヴィヴラートなどは絶対に必要なものと思います。 

 もし仮にショパンがピアニストでなくギタリストであれば、間違いなく使用、あるいは多用していたでしょう。 実際にショパンはピアノで声楽のポルタメント、つまりグリサンドを模倣しようとしていたようです。 もしかしたらショパンはピアノでグリサンドが出せないことを嘆いていたかも知れません。




普通、ギターで ”雨だれ” と言うと

 因みに、ギターのほうで「雨だれ」と言えば、ギター教室の教材や、発表会用の曲として、ジョージ・リンゼーの曲が有名ですが、作曲者の George C.Lindsay についてはあまり知られてなく、ほとんど詳しいことはわかっていません。

 Wikipaedia によれば、1855~1945年、アメリカのギタタリスト兼作曲家で、「緑の木陰」(一般にはヘンツェ作の言われているが)の作曲者のオルコット・ビッグフォードの先生といったことが書かれています。 

 他にどのような作品があるかなどは書いてありませんでした。



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ギターで「雨だれ」といえば、このジョージ・リンゼーの曲が有名だが、作曲者のことはアメリカのギタリストと言うこと以外にはあまりようくわからない。