中村俊三 ブログ

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<バッハの変奏曲 2   パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582>



バッハの変奏曲

 バッハの変奏曲としては、この記事のテーマとなっている無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番の 「チャコーナ」 以外には、オルガンのために書かれた 「パッサカリアとフーガ ハ短調BWV582」 、 そしてバッハの変奏曲中最大の、あるいは音楽史上最大のといってよいかもしれない 「ゴールドベルク変奏曲」 があります。

 他にオルガンのために書かれた4曲の 「コラール・パルティータ」 と1曲の 「カノン風変奏曲」 などがあります。 「パルティータ」とは 「組曲」 と言った意味もありますが、 「変奏曲」 といった意味もあります。 「コラール・パルティータ」の方はバッハの作品の中でも初期のものとされています(15~17歳のリューネブルク時代)。

 これらの中で、内容からすれば、やはり 「パッサカリア ハ短調」 と 「ゴールドベルク変奏曲」 がたいへん重要な作品と考えてよいでしょう。 


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  オルガンのための 「パッサカリアとフーガ ハ短調BWV582」 



低音が主和音を鳴らしているにも関わらず

 「パッサカリア ハ短調」は譜面のようにペダル(足鍵盤)よる8小節の低音主題から始まります。 上声部はその8小節の低音主題の後から入りますが、3拍目裏で始まり、ペダルで主和音を鳴らしているにも関わらず、すぐに属和音へと変わってしまいます。 



ヘンデルなどとの手法の違い

 このパッサカリアも、冒頭の部分から、何やら ”ただならぬ” 音楽であることが感じられます。 確かに前述のヘンデルの「シャコンヌ」も冒頭から激しい感じがしますが、それは主に演奏技巧的な装飾パッセージによるもので、和声的、あるいは構造的なものではありません。

 それに比べてバッハの「パッサカリア」では装飾的な技法は用いず、主に和声的なインパクト、及びリズムによって緊張感を表しています。 バロック時代の両巨匠と言われるバッハとヘンデルですが、その手法にはかなりの違いがあるようです。 もちろんヘンデル的な手法の方が、当時一般的だったのでしょう。 シャコンヌにせよ、パッサカリアにせよ、当時これらの変奏曲は、基本的に”装飾の音楽”と考えられます。 



低音主題は、ほぼそのまま繰り返される
  
 バッハのパッサカリアでは、冒頭の低音主題は、少なくとも5回は全くそのまま繰り返され、その後も若干変化を加えたり、また上声部に移動したりはしますが、21回ほど、ほぼ繰り返しています。 3拍目から始まりますが、最初と最後の小節は共に主和音となっていて、この曲では 「同じ和音を2小節続けない」 と言うことにはこだわっていません。



フーガは長大なコーダ、ベートーヴェンやブラームスも踏襲した

 後半では8小節の低音主題を4小節に縮小してフーガの主題としています。 前半のパッサカリアも、後半のフーガもそれぞれ充実した曲ですが、パッサカリアの方がやや長く、どちらかと言えばパッサカリアの方が主となっているのではないかと思います。 つまりフーガはパッサカリアの長大なコーダとも考えられるでしょう。 

 変奏曲の最後をフーガにするということは、後にベートーヴェンやブラームスなども行うわけですが、こうした曲の影響なのではと思います。 この 「パッサカリアとフーガ ハ短調」 はバッハが作曲したオルガンのための作品でも特に優れた作品の一つであるのは間違いないでしょう。 



もともとはそんなに緊張感の高い曲でも、壮大な曲でもなかったはずだが

 シャコンヌ、あるいはパッサカリアというと、私たちにはバロック建築の壮大な大聖堂のようなものをイメージしてしまうのですが、そうしたイメージはバッハの二つの作品、つまり 「チャコーナ ニ短調」 と、「パッサカリアとフーガ ハ短調」からきているのかも知れません。

 これまで見てきた、他の作曲家の作品からすれば、チャコーナやパッサカリアはそんなにシリアスな曲ではなく、のんびり聴ける曲というか、いわゆる”癒し系”の曲的だったようです。 このバッハの2作品はそうしたイメージを変えてしまうほど、インパクトの強い作品だともいえるかも知れません。



バッハの作品がパッサカリアとシャコンヌのイメージを変えてしまった

 音楽辞典にも 「どちらかと言えば、パッサカリアのほうが低音主題を厳密に守る」 と言ったことがかかれていますが、このことはあくまでバッハの2作品について言えることであって、バロック時代全般には特に言えるものではないように思います。

 いずれにせよ、私たちのイメージも、また音楽辞典の記述内容も、この2曲のバッハの作品が変えてしまったのかも知れません。

 
  
 
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コメント
パッサカリアとフーガ
大学時代に定演でこの曲をギター合奏しました。楽譜を見てなつかしくくちずさみました。
2015/09/14(月) 06:52:26 | URL | カタバミ #-[ 編集]
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