中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 今日(10月5日 日曜日) つくば市で行われた 「第5回 レーベンハイム・コンサート」 で演奏をしました。このコンサートは同市にお住まいの大山さんご夫妻宅で行われたコンサートで、この企画は今回で5回目だそうです。演奏は私のギター独奏の他、フルーテストの三澤美佳さんと大山さんの奥様の光江さんとのデュオがありました。リコーダーなどを愛好している方、国際交流活動をしている方、外国からの留学生など約20名くらいの人たちが聴きに来ていました。


 私の演奏曲目は今度のリサイタルの前半のプログラムの、パガニーニ、ジュリアーニ、バッハなどで、ホーム・コンサートとしては重厚すぎましたが、とても熱心に聴いていただいた感じがしました。


 三澤さんと光江さんのデュオでは、夢うつつ(メッザカーポ)、G線上のアリア(バッハ)、埴生の宿(ビショップ)、対話風小二重奏曲よりロンド(カルリ)が演奏され、他に光江さんの独奏で、クリスマスの歌(バリオス)、三澤さんのソロで、シリンクス(ドビュッシー)、チャルダッシュ(モンティ)が演奏されました。私自身の演奏が終わってから聴いたのですが、自分の演奏の疲れが癒されるような、とても和むフルートの音でした。


 カルリのギター二重奏曲をフルートとギターという形で演奏されましたが、三澤さんがご自分で付けたと思われるアーテキレーションは、ギターでこの曲を演奏する時にとても参考になるように思いました。フルーテストがこの譜面を見ると、このように感じるのでしょうか。


 日常的のこうしたコンサートが行われるのは、つくば市ならではでしょうか。これからもずっと続けて行かれるとよいと思います。

昨日(9月28日 日曜日)ギター文化館で福田進一ギター・リサイタルを聴きました。なんといってもわが国のトップ・ギタリストの福田進一だけあって、会場は超満員でした。曲目は以下のとおりです。


武満徹 : 森のなかで

グラナドス : スペイン舞曲第5、12、1番

アルベニス : セビーリャ、アストゥリアス



武満徹 :フォリオス

J.S.バッハ : シャコンヌ

ブローウェル : ハープと影〜武満徹へのオマージュ



アンコール曲

ヴィラ・ロボス : ワルツ・ショーロ

ファリャ : ドビュシーの墓に、 粉屋の踊り

ブローウェル : 11月のある日

ディアヴェリ : メヌエット(ソナタ第2番より)



 最初に演奏された武満の「森のなかで」は作曲者の最後のギター曲だということで、音楽的には高度な内容の曲と言ってよいと思いますが、難しい曲ながらも、美しい曲だと思いました。また福田氏の演奏はその武満の音楽の真価を十分に引き出したもののように感じました。「フランス印象派の音楽と日本の伝統文化の融合」ということが言えるのかも知れませんが、やはり武満徹独自の響きの世界とも言えるでしょう。この曲の中心になっている「レ♭」はドイツ語読みで「des」となり、「死」を暗示したものと福田氏からの説明がありました。


 グラナドスのスペイン舞曲は、もともとはほの暗いスペインの「影」を感じさせる曲だと思うのですが、福田氏の演奏は速いテンポで軽快な舞曲の側面が強調されています。アルベニスの2曲も同様に速いテンポで軽快に演奏されました。


 武満徹のもう一つの作品「フォリオス」は作曲者の最初のギター曲で、バッハに因みドイツ語読みで「B、A、C、H」の4つの音が中心になっているそうです。最後のところでは謎解きのようにバッハのマタイ受難曲の一部が現れます。「森のなかで」は純粋に響きの世界といった感じですが、こちらは「音の動き」の方に重点があるように感じました。


 バッハのシャコンヌは福田氏自身の編曲で低音の追加以外に装飾なども自由に付け加えられていました。勢いのある演奏でした。


 最後はキューバの作曲家、レオ・ブローウェルの武満徹に因んだ曲ですが、聴いた感じではブローウェルの音楽そのものといった感じに聴こえました。


 アンコールには上記の5曲が弾かれ、コンサートの「第三部」といった感じで、超満員の聴衆もそれぞれとても満足したのではないかと思います。コンサート終了後はギター製作家のカズオ・サトー氏も加わり、愛好者たちとの歓談となりましたが、両氏から音楽論や楽器論などを伺い、同席した愛好者にはとても刺激になったと思います。


 余談ながら福田先生には息子(創)が長い間お世話になり、いろいろ問題児ながら本当によく面倒見て下さいました。それは決して言葉で言えるものではないのですが、先生には私も数年ぶりにお会いし、そのお礼やら、お詫びやら申し上げました。
昨日(8月3日)ギター文化館で佐藤純一ギター・リサイタルを聴きました。演奏曲目は以下のとおりです。

フェルナンド・ソル : 12のメヌエット作品11より
             第1番 ト長調
             第2番 ト短調
             第3番 ト長調
             第4番 ニ長調
             第5番 ニ長調
             第6番 イ長調

             練習曲 ハ長調 Op.6−8  (セゴビア番号 1)
             練習曲 ロ短調 Op.35−22  ( 5 )
             練習曲 イ長調 Op.6−6  ( 12 )
             練習曲 イ長調 Op.6−12  ( 14 )
             練習曲 ホ短調 Op.6−11  ( 17 )
             練習曲 変ロ長調 Op.29−1  ( 19 )
             練習曲 ハ長調 Op29−5  ( 20 )
       *Op.6−6、およびOp.29−1はプログラムには記されていませんでした。

             魔笛の主題による変奏曲 作品9

      ・・・・・・  休憩  ・・・・・

アウグスティン・バリオス : 大聖堂

フランシスコ・タルレガ : グラン・ホタ
               : アルハンブラの想い出

カルロ・ドメニコーニ : コユンババ


       * アンコール曲として

アウグスティン・バリオス : ワルツ第3番 

フランシスコ・タルレガ : アラビア風奇想曲

ローラン・ディアンス : タンゴ・アン・スカイ


 以上のようにかなりのボリュームのコンサートで、特に前半はソルの作品、計14曲で50分は超えるものでした。楽器は1829年製のルイス・パノルモを使用とのことで、楽器の構造上、大きな音は出せないと言っていましたが、低音や高音の主旋律はよく聴こえていました。主にアルペジオなどの中音域はかなり抑えられていましたが、それは楽器上の問題ではなく、演奏者の意図と考えるべきでしょう。佐藤君の演奏はそうした楽器の関係もあってか、どちらかと言えばソフトな音楽になっています。

 ソルの名曲「魔笛の主題による変奏曲」は佐藤君が1992年に学生ギター・コンクールの大学生の部で優勝した時の曲、私もその時会場にいて聴いていました。その時審査委員長をしていた今は亡き阿部保夫先生が「特に序奏が良かった」と言っておられたのを記憶しています。この日の演奏も全体にとても自然な音楽に聴こえていました。

 後半の演奏では特に「グラン・ホタ」が印象に残りました。左手のみのレガート奏法、親指の爪を効果的に用いたタンボラート奏法、猫の鳴き声を模したグリサンド奏法、スネア・ドラムを模した奏法などたいへんすばらしく、会場に来ていた人たちもたいへん楽しまれたのではないかと思います。

 最後のコユンババも久々に聴きましたが、技巧に走りすぎる事もなく、じっくりと音を聴かせていました。この曲は今井勇一氏の楽器を使いましたが、その重厚な音は曲によくあっていた感じでした。なおタルレガとバリオスは田邊雅啓氏の製作の楽器使用とのことでした。

 

                          
 昨日(7月20日)は、午前中つくば市で行われた<ギター・フェスティバルinつくば>の実行委員会に出席した後、水戸市民会館で行われた<あひる会合唱団第47回定期演奏会>を聴きに行きました。プログラムは、前半がガブリエル・フォーレの曲と野口雨情作詞の曲、後半はモーツァルト最晩年の大作、レクイエムです。

 私自身はあまりこうした合唱関係のコンサートにはあまり行く事がないのですが、あひる会の演奏は市民音楽会で時々聴いていました。でもこうしてまとまった形で聴くと、やはり実力の高い合唱団なjだなと思いました。美しく、しっかりとした響き、何と言っても演奏者全員の意思統一がなされているような気がしました。

 なんと言ってもこの日のメインは後半のレクイエムだと思いますが、私がめずらしくコーラスのコンサートに足を運んだのもこの曲に大いに関係があります。会場いっぱいに広がる響きに、モーツァルトが最後の力をふりしぼって書いた名曲の魅力が生で、直接伝わってきた感じがしました。「ラグリモサ」の最後のアーメンなど、演奏者も聴衆も、その会場にいた人は皆、同じような感動を覚えたのではないかと思います。

 「音楽はどんな時にも美しくなければならない」と語り、実際にそれを実行していたモーツァルトですが、死に直面した時、ベートーヴェンのように悟りきったような穏やかな音楽は書かなかったようです。死に直面したモーツァルトは、その死を恐れ、悲しみ、振り乱して絶叫しているような感じが、私にはします。でもそれは裏返せば生きる事を讃えることなのかも知れません、モーツァルトのオペラではどんな端役にでも生命感溢れる音楽を書いています。

 同じ死に関する音楽でも前に書いたシューベルトの「冬の旅」のように、ともすれば聴くことに苦痛を感じるようなことは、このモーツァルトの曲にはないように思います。死を恐れ、悲しむことは、言い換えれば生を喜ぶことに他ならないからなのでしょう。「冬の旅」では前に言ったとおり、最後には死を悲しむどころか、死を望むこともしなくなり、生とか死とかに全く無関心になってしまいます。これこそ本当に恐ろしいことだと思います。

 それにしてもこのレクイエムは前述の「ラグリモサ」の「アーメン」のところを聴くと、ここで曲が完結してしまったような感じがします。実際はここのところがちょうど曲の半分にあたります。モーツァルトはこの曲の最初の<イントロイトゥス>と<キリエ>をほぼ完成させた後、この<ラグリモサ>の8小節まで声楽部分とバスを書いて力尽きてしまいました(よくご存知のことかも知れませんが)。曲全体は弟子のジェスマイアーによって完成され、特に後半はジェスマイヤーの作曲といってもいいようです。そんなこともあってこの曲の前半と後半とでは、聴く人に訴えかけるものはやはり違うようです。

 このコーラスの伴奏に使用したのは2台のエレクトーンでした。以前ヤマハ音楽教室などで仕事をしていたので、当時よくエレクトーンの音は聴いていたのですが、今回聴いたエレクトーンの音は実際のオーケストラの音をかなり忠実に再現していて、本当にオーケストラのように聴こえます。またこれはクラリネット、これはトロンボーン、などと楽器の種類も判別できます(もっともこのクラリネットはオリジナルではバセット・ホルンなんだそうで、そのどちらの音を出していたのかはわかりません)。弦の響きもかなりリアリティがあり、テンパニーの音も本当にテンパニーに聴こえます。以前に比べるとエレクトーンもだいぶ変わったようです、これならギター協奏曲などにも十分使えそうです。

 水戸市民音楽会、1日目が終わりました。年々参加団体が増え、今年は52団体となり、今日の出演団体も26団体ということで、13:00〜17:00までたっぷり4時間のコンサートとなりました。特に器楽関係の団体が増え、中国の民族楽器の「二胡」のアンサンブルや、大正琴などが今回新たに加わりました。

 私たちの水戸ギター・アンサンブルはホルストの惑星よりジュピターを演奏しました。いつも講師の長谷川先生からは、とても丁寧な励ましの言葉をいただいていますが、先生の講評を原文どおりに載せておきます。



  水戸ギター・アンサンブル    
  組曲「惑星」よりジュピター   グスタフ・ホルスト作曲  中村俊三編曲

 音に一体感のある、まとまりのよい響きをつくり出していました。ゆっくりのテーマから始まり次第に盛り上げてゆく手法も見事であったと思います。中間部のテンポはもう少し速めの方が効果的であったかも知れません。ギター・アンサンブルの「ジュピター」は初めて聴かせていただきましたが、中音域がとても効果的で面白かったです。アンサンブルとしては、とても完成された美しい演奏でした。ありがとうございました。

    講評 水戸市教育委員会 指導主事  長谷川眞人




 なお、私自身はまた明日もステージのドア・マンをやります。