中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<手っ取り早いギター上達法 その9>  

 発表会、フリーコンサート、コンクールなど、出来るだけ数多く人前で演奏する



なまじ家でちまちまやるより

 仕事やスポーツでも数多く実践の場に立つことはとても大事。 ギター上達においても発表会、フリーコンサート、コンクール、さらにホーム・パーティ、結婚式など、人前で演奏を出来る限り多くしてみる。 なまじ家でちまちまと練習するよりも緊張する場で演奏する方が刺激があってずっと上達するに間違いない。 

 多くの人の場合、家で一人で弾いている時には結構上手く弾けても、ステージでは緊張してなかなか自分の実力が出せない。 どのような場でも常に自分の実力を出せるようにするには、ともかくそうした場に慣れるしかない。 またステージなどで緊張して弾くほうが、普段家で練習している時よりもずっと集中力が高まり、練習の効果も高いとも言える。 



一流のギタリストも当然

 現在の一流となったギタリストたちも、当然のことながら若い時から数多くのステージ経験を積んでいる。 「ステージに立つのは、もう少し上手くなってからにしよう」 では遅いし、「今のレヴェルでは人に聴かせられない」ではいつになっても上達しない。 上手く弾けても弾けなくても気にせずどんどん人前で演奏するのみ!





私の評価     ☆☆☆☆



私も同感だが

 これは説得力ありますね、確かによく言われることです。 上達のためにはなるべく数多くステージに立ったほうが良いと言うことには私も同感です。 それでも☆4つにしたのは、ステージで弾くことと同時に日々基礎的なトレーニングに励んだり、様々な音楽を聴いたり学んだりといった事柄が伴わなければあまり効果がないと言う点によってです。

 もっとも、積極的にステージに立つ人というのは、当然のことながら日々の勉強やトレーニングを怠らないのでしょうが、 一部そうでない人、つまりあまり家では練習しなかったり、先生などについて基礎からちゃんと勉強していない人も、少数ながら存在するのも確かでしょう。



試合には絶対に出ないのも、試合しかしないのも

 野球においても、チャッチボールやトス・バッティング、ノック、ランニングなどの練習は好きでよくやっているが、試合に出るのは嫌い、あるいは何らかの理由で試合に出られない、などと言った場合ではあまりよい選手にはなれないと思いますが、 かといって練習は全く行わず、毎週日曜日ごとに試合をするだけの草野球チームでやっても、あまり上手くはならないでしょう。



ステージ慣れ=上達ではない

 結局、日々の練習とステージでの練習とは良いバランスを取って行うのが最良ということになるでしょう。 確かに数多くステージに立てばいわゆる”ステージ慣れ”して、ステージでもあまり緊張せずに普段通りに弾けるようになるかも知れません。 しかし ステージ慣れ=上達 では決してありません。 



毎回同じ曲を弾くか、弾けない曲を弾くかどちらか

 例えば、毎週日曜日ごとに、どこかで演奏するとしましょう。 仮にこの人が仕事などを持っている人だとしたら、当然まとまった時間練習出来る時間はあまりなくなります。 となれば同じ曲を毎週演奏するか、または練習不十分な状態で演奏するかどちらかとなるでしょう。



ステージ慣れはよいことばかりではない

 またステージ慣れすと言うことは演奏の前の日などでも、「いつものことだから」とあまり緊張しなくなり、少なくとも必死に練習したりなどはしなくなります。 また多少失敗したとしてもあまり気にならなくなります。 こうした状態になると例えステージで数多く演奏しても、「ステージ慣れ」と言ったこと以外では、あまり期待出来なくなるでしょう。

 ステージでの演奏の緊張感とか、あるはステージでの失敗の記憶というのは上達のための重要な原動力とも言えるのでしょう。 多少の緊張に打ち勝つ技術の習得、失敗の原因を探りそれを修正してゆくことで本当の実力が付くのではと思います。



取り組み方さえ変えれば

 数多くステージで演奏しているという愛好者の中にも、少数派ではあるかも知れませんが、残念ながら基礎力の不足と思われる人も散見されるのは確かです。 あるいは基礎を学ぶことの重要性の認識がやや不足しているのかも知れません。 しかしこうした人たちは非常に熱心にギターに取り組んでいるというこは間違いないので、考え方や練習の方法を変えることで、一層上達が望めるでしょう。



実際はその逆の人が多い

 しかし私の周辺ではこうした「積極派」よりは、 「まだあまり上手くないから人前で弾くのはやめておこう」 という人の方がずっと多いようです。 やはり「もう少し上手くなってからステージで弾こう」 というのでは遅すぎますし、最初の機会を失うと、その後ずっと人前で弾く機会がなくなるということもよくあります。 



発表会には、あまり上手くなっていない時期に、なるべく簡単なものから弾くのがコツ

 ギターを始めて、とりあえず曲らしいものが弾けるようになったら(1~3年くらい)、まずは発表会などで弾いてみることをお薦めします。 最初は本当に簡単なものでよいでしょう。 クラシック・ギターの曲でなく、簡単なメロディに簡単な伴奏が付いたようなものでもよいですし、また単旋律に先生などに伴奏をしてもらうなどでもよいでしょう。

 私の経験や考えでは、人前で弾く、つまり発表会に出るのは、なるべく早い時期、あまりまだ上手くなっていない時のほうがよいようです。 初心者の時ほうがハードル低く、「上手く弾けなくて当然 」といった気持で演奏に臨めますのでかえって緊張しません。 



「また今度」と思う人は次も「また今度」となる

 また多少上手くなったからといって、ステージで緊張しなくなると言ったものでもありません。 「この次の機会から出よう」 と思う人は、多分次の機会にも 「この次から出よう」 と考えるものです。



年に2,3回~10数回
 
 と言った訳で、結論としては最初に言いました通り、日々の勉強、トレーニングと、自分の演奏を人に聴いてもらうことの両方が大事ということになります。 では具体的に人前で弾くのはどれくらいの頻度がよいかというと、だいたいで言えば、年間2,3回~10数回 といったとこでしょうか。

  教室でギターを習っている場合、教室の発表会は多くても年に1~2回程度と思いますので、年に10数回ということは他に自分で演奏する機会を見つけなければなりません。 何人かでサークルを作ってお互いに聴き合うのもよいでしょうし、また最近ではギター専門店その他で”フリーコンサート(若干の会費を払うと誰でも演奏出来る) などを行っていますので、そうしたものに出演するのもよいでしょう。 またアマチュア向けのコンクールなども最近では各地で行われています。

 また、たくさん演奏する機会がある場合は、毎月コンスタントに演奏するよりも、ある時期は家でも練習や教室でのレッスンに集中し、 ある期間はステージでの演奏に集中するような形のほうが効率的と思われます。



・・・・・・・・


最初の質問者は今頃

 さて、「手っ取り早いギター上達法」といったタイトルで一般に言われているような練習法を検証してきました (誰も言っていないような方法が多い?)。 中には確かにお薦めしたような効果的な方法もありましたが、少なくとも 「基礎とか努力とか、地道とかでなく」 というわけには行かないようです。 質問者の期待には全く添わない形にはなってしまいましたが、おそらくその質問者も今頃はすっかり当記事など相手にしなくなっていることと思います。 

 この質問者にはたいへん申し訳ないことになったとは思いますが、やはりギターを弾くというのは日々努力の積み重ね以外の何者でもないようですね。  ・・・・・そんなこと最初からわかっていた?  確信犯?
  

 といったところでこの質問に対する回答はここまでにして、また次の質問受け付けます。


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<音階練習の仕方 7>


 これまでいろいろな音階練習の仕方についてお話してきましたが、今回はそのまとめということで、音階を基にした練習曲をいくつか紹介します。



コストの音階練習

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 コストの音階練習はカルカッシのものとよく似ていますが、ハイポジションを用いて、よりレヴェルが高いものになっています。 調の方もカルカッシのものとほぼ同じですが、♭2個のト短調の音階もあります。




ジュリアーニの練習曲

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 譜面のとおりスラー奏法を用いた音階練習ですが、 スラーを外して練習すれば通常の音階練習にもなります。





バッハの2声のインヴェンション第1番

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 バッハの鍵盤のための練習曲である2声のインヴェンションをギターの二重奏で練習してみるのも、たいへんよい音階練習になるでしょう。 譜面の方を見れば、この曲は実質ハ長調の音階練習といってよいのがわかります。 また、こうした曲の練習は単に指のトレーニングだけではなく、相手のパートをよく聴いて合わせる練習としてもよいでしょう。 

 ある程度ギターが弾ける人でもこれが苦手な人も少なくありません。 相手のパートにちゃんと合わせるには、まず正確なテンポで弾けなくてはなりませんが、 さらに自分のパートを弾きながら、同時に相手のパートが聴けなければなりません。 

 また、ちょっとしたミスをきっかけにその先が合わせられなくことなどがよくありますが、ミスをしてもタイミングを失わない、あるいは多少間違えてもその先で合わせるような練習も必要でしょう。



発表会などで弾いてもよい

 バッハの曲にはこのような曲がたくさんあり、単にトレーニングだけでなく発表会やコンサートで弾いてもよいと思いますので、一通り基礎が出来たらぜひやってみるとよいでしょう。  ・・・・・・でも相手がいない?  

 もしギター教室で習っているのでしたら、先生にお願いすればよいのでは。   ・・・・・でもウチの先生、 「右手はちゃんと交互に弾きなさい」 とか、 「音色がよくない」、 「音小さい」、 「テンポ走らないで」、 「そこずれてるでしょ、私のパートもよく聴きなさい」、 「休符は正確に消音する」、 とか、いちいちうるさくて。     ・・・・・・・・・






そんなの無理に決まっている

 何はともあれ、もし1年間でこれだけで来たとしたら、相当実力が付いたと言えるでしょう。 さらに今後の上達のスピードも格段に上がるでしょう。 だいぶ長くはなりましたが、以上のように、「最初の1年間は音階練習だけをやる」 というのは確かに「手っ取り早いギター上達法」の☆5つと言ってよいのではないかと思います。   

 ・・・・・・・えっ、 「地道とか努力とかじゃなくて」とお願いしたはず?  そんなの無理に決まっているでしょ!





  
< 音階練習の仕方 6 >

 いろいろな音階練習



 前回までいろいろな調の音階や、低音の付いた音階練習などの話をしました。 今回はさらにいろいろな種類の音階や、音階練習についての話です。  下はハ長調の音階ですが、使用弦や、運指を変えたものです。


ハイポジションを用いたハ長調の音階

ハ長調の音階2


 ②③弦のハイポジションを用いたもので、左手のトレーニングとしてはより効果的でしょう。 2小節目の「シ」―「ド」の間にポジション移動があります。 移動の際には人差し指は弦から離さず(下行の時も同じ)、また親指も同時に移動するのがポイントです。 



半音階

 下のような半音階の練習もよく行われます。 練習内容としては一層シンプルなので、純粋な指のトレーニングとしては適しているでしょう。 方法などはいろいろ考えられますが、このようなものがよく用いられます。

半音階


 ポジション移動が頻繁にあるので、ポジション移動の練習によいでしょう。 また一つ一つの音が正確に押さえられるかどうかもポイントです。 もちろん右指の練習としてもシンプルでよい練習です。 アポヤンド、アルアイレ奏法、親指、ゆっくり、速くなど、いろいろ指や弾き方を変えて弾くとよいでしょう。



長短調以外の音階

 これまで音階と言うと、暗黙のうちに長調、短調の音階としてきましたが、実は音階はそれだけではありません。この長短音階以外のものも練習しておくと、さらに良いでしょう。



5音音階(ペンタトニック・スケール)  ~演歌にも、ロックにも

ペンタトニック

 5音音階というと、主に演歌とか日本の歌などで使われますが、 海外でも民族的な音楽などによく使われます。 またロックなどのアドリブでもよくこの5音音階が使われます。 有名なところではビートルズの「レット・イット・ビー」=最近のカタカナ表記だと「レリビー」かな? などがあります。


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レット・イット・ビーのエレキギターのアドリブ部分(たぶんジョージ・ハリスン?)





教会旋法  

 教会旋法には「ドリア調」、「フリギア調」、「リディア調」、「ミクソリディア調」などがありますが、その中でギター曲などで比較的よく使われる「ドリア調」と「フリギア調」の譜例を載せておきましょう。




ドリア調(ドリアン・スケール)  ~果物ではない!

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 ドリア調の音階とは、長音階の第2音、つまりハ長調の「レ」から始まる音階です。 ただし「ニ長調」のように#などは付けません。 代表的なものとしては「スカボロフェアー」などがあります。 「ドリアン・スケール」といっても果物ではありません、もちろん匂いもしません。


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ドリアン・スケールで出来たメロディとしては有名な「スカボロフェアー」。  この譜面では E-ドリアン・スケールになっている。 「ド」に#が付かなければ普通に「ホ短調」




フリギア調(フリギアン・スケール)  ~フラメンコでよく使われる

 フリギア調は長音階の第3音、つまりハ長調の「ミ」から始まる音階で、スペインの民族音楽(つまりフラメンコ)などでよく使われます。 短調よりもさらに暗い感じがするでしょうか。



蛇に足は不要

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 上は「入り江のざわめき」のギター編曲譜です。  調号(#など)が付かないところから、一見イ短調に見えるが、「ミ」を主音としたフリギア調で出来ています。 かつてのギタリストの中にはこの曲をイ短調とみて、最後にAmのコード、つまりイ短調の主和音(ラドミ)を弾いている人がいました。 これこそまさに蛇の足を描くようなもの。 私の好みのギタリストであるクリストファー・パークニングがこれをやっていたのはたいへん残念です。




ブルーノート・スケール  ~ブルースをやるなら

 ブルーノート・スケールはその言葉どおりブルースなどでよく用いられます。 ブルースなこをやる人はもちろん覚えておかなければならないでしょう。

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ドリアン・スケールに1個音が加わった

 ブルーノート・スケールはちょっとわかりにくいかも知れませんが、下のようにドリアン・スケールの第4音と第5音の間に1個音が入ったと考えるととわかりやすいでしょう。 この「ラ♭」を「ブルーノート」と言います。

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<音階練習の仕方 5>


アルアイレ奏法での練習


独奏の場合、圧倒的にアルアイレ奏法の方が多い

 これまで右手は基本的にアポヤンド奏法使用ということで話を進めてきました。 アポヤンド奏法はアルアイレ奏法に比較し、単音の場合、弾き易く、確実にしっかりした音が出しやすいので、まずはこのアポヤンド奏法から始めるほうが合理的なのは前述のとおりです。 また一般的にも 「音階=アポヤンド奏法」 というイメージもあるでしょう。

 しかし実際の独奏曲では圧倒的にアルアイレ奏法で弾くことが多く、アポヤンド奏法弾く音はかなり限定されます。 そこでアルアイレ奏法での音階練習はたいへん現実的なのですが、アルアイレ奏法は一般にアポヤンド奏法に比べて音が細く、不安定になるといった欠点もあります。
 


欠点は克服しなければならない

 もちろんこれをこ克服しなければギターは上手になれません。 特に最近の優れたプロのギタリストは豊な音から繊細な音までアルアイレ奏法のみで自在に出すことが出来ます。 またそうでなければ現代のプロ・ギタリストは務まらないでしょう。 そこで今回はアルアイレ奏法で美しく、大きな音を、しかも安定して出す方法についての話をします。



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人差し指で①弦をアルイレ奏法で弾くところ。 爪が弦にあたる部分や、角度などはアポヤンド奏法の場合とほぼ同じだが、大きくて柔らかい音を出した場合は、アポヤンド奏法よりもさらに弦に斜めになるようにする。 また手のひら全体をなるべく①弦に近づけるのも重要。



角度などはアポヤンドと同じだが

 上の写真は①弦をアルアイレで弾くところ(弦を弾く直前)です。 爪が弦にあたる部分、角度などは基本的にアポヤンド奏法の場合と同じですが、アルアイレ奏法で強く弾こうとすると、普通細くて硬い音になってしまいます。 それを避けて、大きくても柔らかく美しい音を出すには爪をさらに弦に対して斜めにする(指を弦に対して平行に近くする)とよいでしょう。

 また当ブログでも何度か書いたとおり、弦を”しっかりと掴んでから弾く” つまり弦を離れた位置から”叩く”ように弾くのではなく、一旦爪と指先が弦に触れてから弾くようにします。



手のひら全体を弾きたい弦に近づけるのが重要!

 また、アルアイレ奏法の場合、特に重要なのは”手のひら全体”をなるべく弾きたい弦(この場合①弦)に近くするということです。 手が弦から離れるということは指の関節がやや伸びた状態になるということで、これでは十分に弾く力を弦に伝えられません。 またこの状態で強く弾こうとすると隣の弦まで弾いてしまうことになります。 

 また手が弦から離れれば、当然それだけ指先のコントロールが悪くなり、”空振り”なども増えてしますし、また手のひらの上下動が大きくなってしまいます。 このような弾き方の場合、特に緊張した場では指が震えたり、不安定になり、思うように弾けなくなることもあります。



レッスンの際にもよく言っていることだが

 こうしたことは、私の教室でも常に言っているのですが、実際にはこれが出来ない人はかなり多く、その原因としては、手が弦に近いと窮屈になり、弾きにくく感じる人が多いからだろうと思います。



近めのボールはホームランにしやすい?

 プロ野球の大打者はインコースの体に当たりそうなボールを、腕をうまく折りたたんでしっかりとバットの芯にあて、ホームランに出来るのだそうです(もちろん聞きかじった話ですが)。 普通の人では、体に近いとこのボールを打とうとすると、窮屈になってバットが降りにくく、空振りか、バットの根本に当ててしまうでしょう。

 しかし体に近いボールというのはバットが振れさえすれば、当てやすく、また回転力も付くのでボールもよく飛び、当たった場合はホームランにはなりやすいのでしょう。 もっとも当てられたとしても普通はファウルになってしまう訳ですが、それをホームランにするのが大打者なのでしょう。

 それとこのアルアイレ奏法の件とはよく似ていると思います。 手を弦に近づけると確かにちょっと弾きにくく感じますが、近いところのほうが力が入りやすく、また弦を確実に捉えられます。 他の弦も一緒に弾いてしまうことまなく、また弦を掴みそこなうことも少なくなります。



実は私もアルアイレ奏法が上手く出来なかった

 実は私は比較的最近までアルアイレ奏法が下手で、コンサートなどではよく空振りしたり、音が細くなってしまい、したがって、重要な音はほとんどアポヤンド奏法を使っていました。 

 いろいろ試行錯誤した結果、最近(10数年くらい前から)このようなことを心がけるようになり、かなり改善され、今ではある程度アルアイレ奏法でも安定し、重厚な音も出せるようになりました。 また一時期ステージでは思うように弾けないこともありましたが(右指が不安定になって)、それもかなり改善されたと思います。




低音の付いた音階練習

 なお、アルアイレ奏法の音階練習としては、下のような低音を伴うものの練習も非常に重要でしょう。 これはかなり実践的な練習です。



F.カルリの「ワルツと変奏」

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F.カルリの「ニ長調のワルツと変奏」の第2変奏。 左右どちらの指にもたいへんよい練習で、特に時間をかけて練習したい曲。



M.ジュリアーニのエチュード

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M.ジュリアーニの付点音符の練習曲だが、右手の練習にも良い。 上下ともにクリヤーで美しい音、なおかつ付点音符のリズムを切れの良く刻めればかなりのもの。



M.カルカッシの「25のエチュド集」より

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カルカッシの「25の練習曲集」の第14番。 これを速めのテンポでクリヤー、かつレガート、さらに美しい音で弾ければ上級者(抑揚なども付けられればさらによい)。




<音階練習の仕方 4>



 前回の音階練習はハ長調の簡単な音階練習、および拍子を刻みながら正確な音価(音符の長さ)を取る練習などについてでした。  今回はハ長調だけでなく、いろいろな調の音階練習や、譜面を読みながら弾く練習などについて話をします。


折り返しなどの付いた音階練習


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譜面を読みながら弾く練習

 上の譜面はカルカッシギター教本からの音階練習ですが(最後の和音を省略)、ストレートに上下するだけでなく、若干”折り返し”が含まれています。 ということは記憶では弾きにくく、楽譜を見ないとなかなか弾けないと思います。 つまり譜面を目で追いながら弾く練習にはたいへんよいものだと思います。


かつてはこれが出来なかった

 実は私が大学のギター部に入った当初、こうしたものを譜面を目で追いながら弾くことが出来ませんでした。 それまでは曲はすべて暗譜して弾くのが当然だと思っていたので、どんな簡単なものでも初見、あるいはよく覚えていない状態で弾くということは想定外で、全く出来ませんでした。 

 特にニ長調(#二つ、下に譜例)などは瞬時に、どの音に#が付くかわからず、結局暗譜して弾いた覚えがあります。 



手当たり次第、何でも弾いていたので

 しかしその当時は、弾けるとか、弾けないとか、ポピュラーだとか、クラシックだとか、合奏、二重奏、練習曲と、何でも構わず楽譜さえあれば手当たり次第に弾いていたので(その結果左手の甲が腫れてしまったが)、だいたい3か月くらいで、簡単なものなら初見で弾けるくらいになりました。

 先輩などからは「そんなにいろいろ同時に練習してはいけない、もっと曲を絞って1曲ずつ丁寧に練習したほうがよい」といったことをアドヴァイスされた記憶もありますが、こういった練習(いわゆる乱読というか)も時には悪くないのでしょう。

 

必ず読める速さで弾く

 話がそれてしまいましたが、上の譜例のようなものは、初級から中級くらいにかけての譜面を読む練習としては最適でしょう。 譜面を読むスピードはかなり個人差がありますが、必ず自分が読める速さ、実際には本当に読める速さよりも少し遅めに弾いてください。

 そのスピードの目安としては一定のテンポで弾けるかどうかということで判断して下さい。 特に同じ音を弾き直したり、前に戻ったりしている場合は自分の読める速さ以上の速さで弾いていることにになりますので、その場合は必ずテンポを落として練習してください。

 くどいかも知れませんが、”読める速さ”で練習しないと譜面を読む練習にはなりません。



出来れば1小節先を読む

 あまり譜面を読むのが得意でない人は、本当に一個、一個の音符を読んで音を一つ弾いてゆく感じになると思いますが、ある程度読める人は、1小節くらい先を読みながら弾くようにして下さい。 こうしたことはギター以外の楽器、特にピアノなどでは普通に行っていることだと思います。

 

ギターでよく使われる調の音階練習を行う

 このカルカッシギター教本の第1部には、ハ長調の他に、ト長調、 ニ長調、 イ長調、 ホ長調、 ヘ長調、 イ短調、 ホ短調、 ニ短調、 の計9個の調の練習があり、それぞれに同様な音階練習があります。 これらの9個の調はギターではよく使われる調なので、必ず練習する必要があるでしょう。



カルカッシギター教本~ニ長調

 このカルカッシ教本についてはおそらくギター愛好者の皆さんには身近なものと思いますので、あえて譜面を載せなくてもよいかも知れませんが、ピンとこない人もいるかも知れませんので、若干譜例を載せておきましょう。


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各調の音階やカデンツァは記憶していなければならない

 上は先ほど話に出たニ長調の音階ですが、1段目のようなもの、つまりニ長調の音階そのものは覚えておかなければなりません。 これは音楽の基礎理論にもつながるので、仮にも上級者を目指すなら必ず覚えておかなければならないでしょう。

 次のカデンツァ(終止法)も和声法の基礎なので、同様に覚えておく必要があるでしょう。 なお、私の教材ではこのカデンツァは若干簡略化して、よく使われる形に直してあります。

 こうした話をすると「音楽理論は苦手なので」 という人も少なくありませんが、最小限、各調の主和音くらいはすぐに言えるようにしたいものです。 これは音楽理論と言った大げさなものではなく、ただの常識と考えて下さい。



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最初のいくつかの音階を練習すれば

 イ長調の場合はポジション移動があるので注意しましょう。 でも上の二長調をしっかり練習すれば、その延長なのでそれほど難しくないでしょう。 

 確かに9個の調の音階をすべて覚えて、その応用練習を譜面を見ながら弾けるようになるのはちょっとたいへんな感じもあるかも知れませんが、 最初のいくつかを練習すれば、後は意外と簡単に出来るようになると思います。 私の記憶でも若干苦労したのは前述のニ長調くらいまでで、その後はあまり苦労した記憶はありません。 



いろいろ違った音階練習をする必要がある

 一般に音階練習というと、たいてい特定のもの(例えばハ長調の音階とか、半音階とか)を何度もも繰り返して練習することが多いようです。 確かに指の基本的なメカニックの練習ということであれば、指の動きの方に集中するために、同じもので練習した方がよいのですが、 しかし音階練習の目的はそれだけではありません。



本当は脳でギターを弾いている

 ギターを弾くには指の動きも大事だが、それ以上に考える能力、つまり能の瞬発性も重要です。 ギターは一見指で弾いているように思われますが、実際はすべて脳でコントロールしていて、”脳で弾いている”といってもよいくらいです。

 ただ同じ音階何回も、あるいは何年も繰り返して練習していたのでは脳の方はほとんど働かなくなります。 そういった意味で、調や運指の違う音階をたくさん練習することは非常に重要なことです。 「音階練習=同じものを何回も弾く」といった練習だけではいけません。