バッハ:平均律クラヴィア曲集 49
<オススメCD チェンバロ編>
クリスティーヌ・ショルンスハイム 2010~2011年録音

強い表現
ショルンスハイムは古楽器奏者兼研究者のレオンハルトやコープマンなどの影響を受けていると思われますが、プレー・スタイルはより自由で、また力強さも感じる演奏です。
ヒューイットが、21世紀におけるバッハ演奏の代表だとすると、チェンバロにおいては、このショルンスハイムがその役割りを担うのではと思われます。
ただ、チェンバロはピアノとは違い、いわゆる”小技” が効かないだけあって、どちらかと言えば軽妙なヒューイットの演奏に対して、ショルンスハイムの演奏は、力強さを感じます。 濃厚な味わいで、聴きごたえ満点のCDだと思います。
ピーター・ヤン・ベルダー 2008年録音

親しみやすい
ベルダーはオランダ出身で、レオンハルト門下のアスぺレンに師事したといことなので、レオンハルトの孫弟子ということになるでしょうか。 ショルンスハイムと同じ傾向のチェンバリストと言っていいでしょう。
古楽器研究の成果を踏まえた演奏スタイルということになるでしょうが、”第2世代” にあたり、ショルンスハイム同様、比較的自由に演奏している部分もあります。
ショルンスハイムに比べると、ベルダーの演奏は繊細で柔らかい感じがします。決して強引なことをするタイプではなさそうです。言ってみれば”癒し系”のチェンバリストといった感じです。 ピアニストでいえば、アンドラ―シュ・シフに似た感じがあるかも知れません。
最後はやはり演奏者の性格か
バッハの演奏というと、時代様式感だとか、対位法だとか、何か頭で演奏し、頭で聴く音楽のように思われますが、こうしていろいろなピアニストやチェンバリストの演奏を聴くと、その違いの最も大きな要因は、結局その演奏家の感性、さらには性格の違いによることが多いような気がします。
<オルガン編>
ダニエル・ボッカチオ 2016年録音

これしか持っていないが
オルガンの演奏のCDはこれしか持っていないので、ベストかどうかはわかりませんが、なかなかいい演奏だと思います。 最近では、オルガンで演奏した平均律のCDも、これ以外に何種類か出ています。
基本は、やはりチェンバロ曲だが
この曲は、平均律クラヴィア曲集というわけですから、この曲集はオルガンでも、チェンバロでも、またピアノ(バッハの時代でも一応ピアノはあった)でも、鍵盤楽器なら何でもいいと言うことになります。
しかし、オルガン曲であれば、通常足鍵盤がある訳で、もちろんこの平均律曲集には足鍵盤のパートはありません。 またオルガンは教会などにしかなく、個人的に楽しむものではなく、あくまで多数の聴衆の前で演奏する楽器といえます。
その点、この平均律曲集は、個人的に演奏して楽しんだり、また少人数の聴き手(意識の高い)の前で演奏するための曲と考えられます。
オルガンで聴くのも楽しい
そうしたことから、この平均律曲集は、やはりオルガン曲でなく、チェンバロ曲と言えます。 しかしオルガンで演奏してもすばらしい曲はたくさんあり、特にフーガなどではオルガンで演奏した方がずっと内容がわかりやすい曲もかなりあります。 オルガン演奏で、この平均律曲集を聴くのも、たいへん楽しいことではと思います。







評論家によるランキング
平均律曲集の演奏の一般的な評価ということで、2000年頃音楽共社から出版された音楽評論家が選ぶ「21世紀の名曲名盤、究極の決定版100」のランキングも書いておきます。 なおこれは2000年出版ということで、2000年以降に発売されたCDは含みません。
第1位 グレン・グールド(1962~1971年) 得点20
第2位 グスタフ・レオンハルト(1967~1973年) 7
第3位 スビャトスラフ・リヒテル(1972~1973年) 6
第4位 フリードリヒ・グルダ(1972~1973年) 5
第4位 エドウィン・フィシャー(1933~1936年) 5
第6位 アンドラ―シュ・シフ(1984~1985年) 3
第6位 スビャトスラフ・リヒテル(1973年ライブ) 3
第8位 ボブ・ファン・アスぺレン(1987~1989年) 2
第8位 アフェナシェフ(1995年) 2
第8位 トン・コープマン(1992年) 2
第8位 ニコラーエワ(1984~1985年) 2
グールド、ダントツ! 3人束になっても!
要するに、グールドの一人勝ちですね、レオンハルトとリヒテルとグルダが3人束になってかかっても、グールド一人に勝てない!
でも、こうした声にはあまり左右されずに、皆さんもご自身のベスト・ランキングを作って下さい。
ご精読ありがとうございました。
49回にわたって書いてきましたバッハ平均律クラヴィア曲集ですが、今回を持って最終回となります。ご精読ありがとうございました。
<オススメCD チェンバロ編>
クリスティーヌ・ショルンスハイム 2010~2011年録音

強い表現
ショルンスハイムは古楽器奏者兼研究者のレオンハルトやコープマンなどの影響を受けていると思われますが、プレー・スタイルはより自由で、また力強さも感じる演奏です。
ヒューイットが、21世紀におけるバッハ演奏の代表だとすると、チェンバロにおいては、このショルンスハイムがその役割りを担うのではと思われます。
ただ、チェンバロはピアノとは違い、いわゆる”小技” が効かないだけあって、どちらかと言えば軽妙なヒューイットの演奏に対して、ショルンスハイムの演奏は、力強さを感じます。 濃厚な味わいで、聴きごたえ満点のCDだと思います。
ピーター・ヤン・ベルダー 2008年録音

親しみやすい
ベルダーはオランダ出身で、レオンハルト門下のアスぺレンに師事したといことなので、レオンハルトの孫弟子ということになるでしょうか。 ショルンスハイムと同じ傾向のチェンバリストと言っていいでしょう。
古楽器研究の成果を踏まえた演奏スタイルということになるでしょうが、”第2世代” にあたり、ショルンスハイム同様、比較的自由に演奏している部分もあります。
ショルンスハイムに比べると、ベルダーの演奏は繊細で柔らかい感じがします。決して強引なことをするタイプではなさそうです。言ってみれば”癒し系”のチェンバリストといった感じです。 ピアニストでいえば、アンドラ―シュ・シフに似た感じがあるかも知れません。
最後はやはり演奏者の性格か
バッハの演奏というと、時代様式感だとか、対位法だとか、何か頭で演奏し、頭で聴く音楽のように思われますが、こうしていろいろなピアニストやチェンバリストの演奏を聴くと、その違いの最も大きな要因は、結局その演奏家の感性、さらには性格の違いによることが多いような気がします。
<オルガン編>
ダニエル・ボッカチオ 2016年録音

これしか持っていないが
オルガンの演奏のCDはこれしか持っていないので、ベストかどうかはわかりませんが、なかなかいい演奏だと思います。 最近では、オルガンで演奏した平均律のCDも、これ以外に何種類か出ています。
基本は、やはりチェンバロ曲だが
この曲は、平均律クラヴィア曲集というわけですから、この曲集はオルガンでも、チェンバロでも、またピアノ(バッハの時代でも一応ピアノはあった)でも、鍵盤楽器なら何でもいいと言うことになります。
しかし、オルガン曲であれば、通常足鍵盤がある訳で、もちろんこの平均律曲集には足鍵盤のパートはありません。 またオルガンは教会などにしかなく、個人的に楽しむものではなく、あくまで多数の聴衆の前で演奏する楽器といえます。
その点、この平均律曲集は、個人的に演奏して楽しんだり、また少人数の聴き手(意識の高い)の前で演奏するための曲と考えられます。
オルガンで聴くのも楽しい
そうしたことから、この平均律曲集は、やはりオルガン曲でなく、チェンバロ曲と言えます。 しかしオルガンで演奏してもすばらしい曲はたくさんあり、特にフーガなどではオルガンで演奏した方がずっと内容がわかりやすい曲もかなりあります。 オルガン演奏で、この平均律曲集を聴くのも、たいへん楽しいことではと思います。







評論家によるランキング
平均律曲集の演奏の一般的な評価ということで、2000年頃音楽共社から出版された音楽評論家が選ぶ「21世紀の名曲名盤、究極の決定版100」のランキングも書いておきます。 なおこれは2000年出版ということで、2000年以降に発売されたCDは含みません。
第1位 グレン・グールド(1962~1971年) 得点20
第2位 グスタフ・レオンハルト(1967~1973年) 7
第3位 スビャトスラフ・リヒテル(1972~1973年) 6
第4位 フリードリヒ・グルダ(1972~1973年) 5
第4位 エドウィン・フィシャー(1933~1936年) 5
第6位 アンドラ―シュ・シフ(1984~1985年) 3
第6位 スビャトスラフ・リヒテル(1973年ライブ) 3
第8位 ボブ・ファン・アスぺレン(1987~1989年) 2
第8位 アフェナシェフ(1995年) 2
第8位 トン・コープマン(1992年) 2
第8位 ニコラーエワ(1984~1985年) 2
グールド、ダントツ! 3人束になっても!
要するに、グールドの一人勝ちですね、レオンハルトとリヒテルとグルダが3人束になってかかっても、グールド一人に勝てない!
でも、こうした声にはあまり左右されずに、皆さんもご自身のベスト・ランキングを作って下さい。
ご精読ありがとうございました。
49回にわたって書いてきましたバッハ平均律クラヴィア曲集ですが、今回を持って最終回となります。ご精読ありがとうございました。
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