中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

バッハ:平均律クラヴィア曲集 49


 <オススメCD  チェンバロ編>


クリスティーヌ・ショルンスハイム  2010~2011年録音



schornsheim_34_portrait.jpg



強い表現

 ショルンスハイムは古楽器奏者兼研究者のレオンハルトやコープマンなどの影響を受けていると思われますが、プレー・スタイルはより自由で、また力強さも感じる演奏です。

 ヒューイットが、21世紀におけるバッハ演奏の代表だとすると、チェンバロにおいては、このショルンスハイムがその役割りを担うのではと思われます。

 ただ、チェンバロはピアノとは違い、いわゆる”小技” が効かないだけあって、どちらかと言えば軽妙なヒューイットの演奏に対して、ショルンスハイムの演奏は、力強さを感じます。 濃厚な味わいで、聴きごたえ満点のCDだと思います。





ピーター・ヤン・ベルダー   2008年録音



473.jpg


親しみやすい

 ベルダーはオランダ出身で、レオンハルト門下のアスぺレンに師事したといことなので、レオンハルトの孫弟子ということになるでしょうか。 ショルンスハイムと同じ傾向のチェンバリストと言っていいでしょう。

 古楽器研究の成果を踏まえた演奏スタイルということになるでしょうが、”第2世代” にあたり、ショルンスハイム同様、比較的自由に演奏している部分もあります。

 ショルンスハイムに比べると、ベルダーの演奏は繊細で柔らかい感じがします。決して強引なことをするタイプではなさそうです。言ってみれば”癒し系”のチェンバリストといった感じです。 ピアニストでいえば、アンドラ―シュ・シフに似た感じがあるかも知れません。



最後はやはり演奏者の性格か

 バッハの演奏というと、時代様式感だとか、対位法だとか、何か頭で演奏し、頭で聴く音楽のように思われますが、こうしていろいろなピアニストやチェンバリストの演奏を聴くと、その違いの最も大きな要因は、結局その演奏家の感性、さらには性格の違いによることが多いような気がします。





<オルガン編>

ダニエル・ボッカチオ  2016年録音



IMG_0001_201805242043022fe.jpg


これしか持っていないが

オルガンの演奏のCDはこれしか持っていないので、ベストかどうかはわかりませんが、なかなかいい演奏だと思います。 最近では、オルガンで演奏した平均律のCDも、これ以外に何種類か出ています。



基本は、やはりチェンバロ曲だが


この曲は、平均律クラヴィア曲集というわけですから、この曲集はオルガンでも、チェンバロでも、またピアノ(バッハの時代でも一応ピアノはあった)でも、鍵盤楽器なら何でもいいと言うことになります。

しかし、オルガン曲であれば、通常足鍵盤がある訳で、もちろんこの平均律曲集には足鍵盤のパートはありません。 またオルガンは教会などにしかなく、個人的に楽しむものではなく、あくまで多数の聴衆の前で演奏する楽器といえます。

その点、この平均律曲集は、個人的に演奏して楽しんだり、また少人数の聴き手(意識の高い)の前で演奏するための曲と考えられます。



オルガンで聴くのも楽しい

そうしたことから、この平均律曲集は、やはりオルガン曲でなく、チェンバロ曲と言えます。 しかしオルガンで演奏してもすばらしい曲はたくさんあり、特にフーガなどではオルガンで演奏した方がずっと内容がわかりやすい曲もかなりあります。 オルガン演奏で、この平均律曲集を聴くのも、たいへん楽しいことではと思います。









評論家によるランキング

平均律曲集の演奏の一般的な評価ということで、2000年頃音楽共社から出版された音楽評論家が選ぶ「21世紀の名曲名盤、究極の決定版100」のランキングも書いておきます。 なおこれは2000年出版ということで、2000年以降に発売されたCDは含みません。



第1位 グレン・グールド(1962~1971年)      得点20

第2位 グスタフ・レオンハルト(1967~1973年)      7

第3位 スビャトスラフ・リヒテル(1972~1973年)     6

第4位 フリードリヒ・グルダ(1972~1973年)       5

第4位 エドウィン・フィシャー(1933~1936年)      5

第6位 アンドラ―シュ・シフ(1984~1985年)       3

第6位 スビャトスラフ・リヒテル(1973年ライブ)      3

第8位 ボブ・ファン・アスぺレン(1987~1989年)     2

第8位 アフェナシェフ(1995年)               2

第8位 トン・コープマン(1992年)              2

第8位 ニコラーエワ(1984~1985年)            2




グールド、ダントツ! 3人束になっても!

要するに、グールドの一人勝ちですね、レオンハルトとリヒテルとグルダが3人束になってかかっても、グールド一人に勝てない! 

でも、こうした声にはあまり左右されずに、皆さんもご自身のベスト・ランキングを作って下さい。



ご精読ありがとうございました。

 49回にわたって書いてきましたバッハ平均律クラヴィア曲集ですが、今回を持って最終回となります。ご精読ありがとうございました。 




 
スポンサーサイト
バッハ:平均律クラヴィア曲集 48


バッハ:平均律クラヴィア曲集CDベスト3




50回近くにわたって書いてきたバッハの平均律曲集ですが、まとめとして個人的に好きなCDを挙げておきましょう。 



<ピアノ編>



第1位  アンジェラ・ヒューイット (1997~1999年録音)



6129EnSifiL__SL1038_.jpg



21世紀型バッハ演奏

 バッハの演奏においては、バロック時代の演奏様式に従った演奏と言うことが、声高に叫ばれるようになって久しく、21世紀目前と言った時期の録音です。

 ヒューイットの演奏は、もちろんそうしたことも考慮しつつも、やはりあくまでピアノの演奏、あるいは自らの感性による演奏ということを主張したもののように思います。

 今現在のピアノ演奏法というのは、バッハの時代から19世紀、20世紀と各時代の演奏法が層のように蓄積されたもとも言えます。 ヒューイットの演奏は、単にバッハの時代の演奏様式だけでなく、そうしたピアノ演奏の歴史を踏まえたものともいえるかも知れません。

 また、ピアノの音の美しさ、音のキレ、音楽のクリヤーさなど、理屈抜きにバッハの音楽を楽しめるCDだと思います。 一般的な評価も高く、21世紀のバッハ演奏では絶対に外せないアルバムではないかと思います。

 なお、以前にも書いた通り、ヒューイットは2008年にもこの平均律曲集の全曲録音を行っており、この作品への強いこだわりが示されています。






第2位  アンドラ―シュ・シフ  1984~1985年録音



230001315.jpg




耳になじみやすい演奏

 ハンガリー出身のアンドラ―シュ・シフはグレン・グールドに傾倒し、バッハの主要な鍵盤音楽を録音しています。

 全曲を通してノン・レガート奏法を用い、クレシェンドなど音量の変化は行わないなど、確かにグールド流の演奏法です。 しかし性格がグールドとは全く違うようで、刺激的なところは全くなく、たいへんマイルドな演奏です。

 グールドの場合、ノン・レガートというより、はっきりとスタッカートで演奏し、ややゴツゴツした感じがありますが、シフの場合はきわめて滑らかなノン・レガートなので、限りなくレガートに近いノン・レガートです。

 また録音されたピアノに音も、グールドの場合は、不必要な響きは一切排除し、ほぼ中音域のみの響きとなっていて、もちろん残響などほとんど付けていません。 

 シフのピアノの音は一般的なピアノの録音のように高音域や、残響が豊かなものではないとしても、グールドのもほど音を絞った感じではなく、たいへん自然な響きです。

 聴く人によっては中途半端だとか、エッジが聴いていないとか、自己主張が足りないとか感じる人もいるのではと思いますが、私自身では、このシフの演奏によって、この平均律曲集の楽しさがわかったと言えるもので、とても耳になじみやすい演奏です。

 




第3位  ダニエル・バレンボイム  (2003~2004年録音)



268x0w.jpg




19世紀からタイムマシンで

 第3位はいろいろ迷ったところですが(別に真剣に考えることでもないのだが)、結果として、19世紀からタイムマシンで21世紀にやってきたような演奏のダニエル・バレンボイムの演奏にしました。

 バレンボイムの演奏は、極端なダイナミックスの変化、バス声部のオクターブ重複、極端に遅いテンポなど、現在のバッハ演奏ではタブーとされていることを、何の呵責もなく行っている演奏です。 

 おそらくこういった演奏を音大の入試でおこなったら、おそらく不合格となるのではと思います。 まさに開き直った演奏と言えます。




世間の声に耳を傾けず

 また録音のほうも残響などをたっぷりと付け、響きとしてはチャイコフスキーか、ラフマニノフと言った感じです。 20世紀末にバッハの演奏の標準形とされた演奏法の真逆を行くものですが、ここまでくれば、もう立派なもの、「恐れ入りました」というしかないのでは。 まさに、世間の声に全く耳を傾けないといった演奏です。

 確かにバレンボイムの演奏は19世紀風なのですが、しかしエドウィン・フィッシャーのようにそれまでの伝統や習慣に従った演奏というより、全く独自の感覚で演奏しているように思います。 いろいろな意味で「我が道を行く」といった演奏だと思います。

 ”良い子のみなさん” にはオススメ出来ませんが、これまで様々な演奏を聴いた方には、つまり大人の音楽ファンには楽しめるCDではないかと思います。
 



さては、アンチ・グールド派?

 チェンバロなど、ピアノ以外の演奏は次回書くことにします。 

 ・・・・・・・・グールドはどうした? 20世紀最大のバッハ演奏家グールドの名が出てこないのはおかしい。 さてはお前! アンチ・グールド派だな! ついに正体をあらわしたな、世紀の大天才の御威光も恐れぬ不敬の輩! 成敗してくれようぞ! そこに直れ!

 いえ、いえ、滅相もございません。 20世紀最大のピアニスト、グレン・グールド様へのリスペクトは、常々欠かしたことはございません。 まことでございます、どうかひらにご容赦を! グールド様の残した録音はバッハ以外のものも含め、ほぼ全部買い揃えており、グールド様のご遺族、およびCBSの関係者の方々には、それなりの額を貢いでおります。  

 確かに最初にグールドの演奏を聴いた時に、なんでこんな変な弾き方するんだろう、何といっても変なうなり声みたいなものが入っているのも気持ち悪い。 それにピアノの音がボソボソ。 なんでこんな演奏がみんないいって言うんだろう? なんて思っていました。




41AZ_Uiw9FL.jpg
グールド大明神?



触らぬ神に祟りなし?

 でも ”意識高い系の友達” が 「グールドの演奏は素晴らしい。 グールドは偉大な天才だ。 今や、バッハの演奏はグールド以外に考えられない」 て言うもんだから、たぶん自分の聴く耳が悪いのだろうと思い、それから結構頑張って聴きました。

 また 「グールド本」なるものも多数出ているので、そんなものも読んでみました。 おかげさまで、最近ではそれなりにグールドの演奏を楽しめるようにはなりましたし、なんでそんな変わった弾き方をするのかと言ったことも、ほんの少しわかったような気もします。

 しかし私のようなものが「グールドは素晴らしい」などと申し上げては、真のグールド・ファン、あるいはグールド信奉者の方々に申し訳ない。 グールドは神のようなピアニストですから、ここは 「触らぬ神に祟りなし」 ということで・・・・・  私ごときに順位など付けられるものでは! まあまあ、穏便に!


バッハ:平均律クラヴィア曲集 47



ダニエル・ボッカチオ(1967~イタリア)  オルガン  2015年録音



IMG_0001_201805242043022fe.jpg




オルガンによる平均律曲集

バッハの平均律クラヴィア曲集のCDの紹介、最後はオルガン演奏です。

バロック時代ではオルガンもチェンバロも同じ楽器のように扱われていて、

そのレパトリーなどは相互に融通しあっていたものと思われます。

オルガンにはポッジティブ・オルガンと言って、持ち運びできる小型のオルガンもありましたが、

基本的に教会にしかなく、音楽家といえど、自分の家にある訳ではありません。



IMG_0002_2018052420552595d.jpg




オルガンとチェンバロは同じ扱い

また、教会にあると言っても1台しかないことが普通ですから、

誰でも演奏出来る訳ではなく、練習に使える人は自然と限られる訳です。

従って、オルガニストであっても、家で練習したりするときには、

基本的にチェンバロで行う訳です。

といったように、オルガン曲でも普段はチェンバロで演奏することは、ごく当たり前でしたから、

逆にチェンバロ曲をオルガンで演奏することも普通に行われていたと思われます。、






バッハはオルガンでも弾いていたと思われる

バッハは何回か職場を変えていますが、常に楽長的な地位にあったので、

どこでもオルガンは比較的自由に弾ける立場にあったと思われます。

とすれば、この平均律クラヴィア曲集を、バッハ自身ではオルガンで演奏することは、

当然行っていたと考えられます。




オルガンには足鍵盤がある

ただ、オルガンとチェンバロの違いは足鍵盤があるかどうかということで、

この平均律曲集は基本的にチェンバロ曲ですから、足鍵盤のパートはありません。 

そこで、実際にオルガンで平均律を演奏すると、

オルガンにしてはちょっと低音不足ということにはなるでしょう。

恐らくバッハ自身でこの曲集をオルガンで演奏する際は、

適宜に足鍵盤のパートを付け加えて演奏していた可能性もあります。

もちろんこのCDで演奏しているボッカチオは譜面通りに演奏しているので、

足鍵盤の低音は入っていません。

確かに通常のバッハのオルガン曲に比べると、ちょっと低音が寂しい感じはありますが、

まあ、”言われてみないと” というところでしょうか。




フーガはやはりオルガンのほうが

ボッカチオの演奏は全体に速めのテンポを取っていて、積極的な演奏と言えます。

プレリュードの中には、確かにチェンバロのほうがすっきりしていると思えるものもありますが、 

フーガに関してはどの曲も、曲の性質からして、

チェンバロで弾くよりもオルガンで演奏した方がずっとフーガらしく聴こえます。

特に「第1巻、第4番嬰ハ短調」 の3重フーガ とか、「第8番変ホ短調」 の重厚なフーガなどは、

オルガンの方がずっと迫ってくるものが感じられます。




IMG_0003_20180524205147837.jpg
第4番嬰ハ短調の3重フーガ。 こうした曲はオルガンの独壇場か。




ピアソラのリベルタンゴ?

また、第1巻第10番ホ短調のプレリュードは、このオルガンで聴くと、

何となくピアソラのリベルタンゴのように聴こえてきます。

特に右手のパートはまるでバンドネオンのように聴こえ、

これにピアソラのタンゴ独特のリズムパートを加えたら、

本当にピアソラのタンゴになってしまうのではと思います。



IMG_0004_20180524205226150.jpg
第10番ホ短調のプレリュードをオルガンで聴くと、まるでリベルタンゴのように聴こえてくる。




また違った楽しみ方

オルガンでの演奏は、他にも何種類かCDが発売されていると思いますが、やはりオススメといえます。 

バッハの平均律曲集の、また違った味わいが楽しめます。


バッハ:平均律クラヴィア曲集 46


ジョン・ポール   ラウテンベルク(リュート・チェンバロ)  2012~1014年録音



IMG_201805241901043be.jpg




ラウテンベルク(リュート・チェンバロ)による演奏

バッハの遺品の中に2台のラウテンベルクと呼ばれる楽器がありました。

これはリュート・チェンバロといったようなもので、

チェンバロにリュート用のガット弦を張ったものです。

バッハはリュートを好み、リュートもまた遺品に含まれますが、

実際にはチェンバロなどのようには演奏出来なかったようです。




バッハが特注で作らせた

そこで、チェンバロで弾いてもリュートのような音の出る楽器を特注して作らせたようです。

このラウテンベルクと言う楽器がどれくらい当時普及していたのか、

バッハ以外にもこの楽器を演奏した人がいたのかどうかなどもよくわかってないようです。




現物は残されていない


今現在ではその楽器自体は失われてしまい、文献等によるものしか残されていません。 

したがって、このジョン・ポールの演奏している楽器も、

当時の文献などを基に現代の製作者が作ったものと言えます。 

文献が残されていると言っても、それほど詳しいものではなく、

かなりの部分は製作者の想像力によるものと思われます。




低音はリュートぽいが

さて、ここで聴くラウテンベルク(1998年 Anden Houben 製作)の音は、

低音は重厚でリュートぽい感じもありますが、高音域はリュートというより、

ハープに近い感じがします。 クラビコードに近い音と言ってもいいのかも知れません。




リュートでは出せない音もあるし

また高音はガット弦のせいか、音の伸びはあまりなく、

ポツンと音が切れてしまうような感じもします。 

また基本的にチェンバロ曲ですから、リュートにでは出せない高音域の音もあり、

そう言った点で、高音に関してはあまりリュートぽくは聴こえません。




エリザベス・ファーのものはオリジナル曲の録音なので

同じラウテンベルクのCDでも、ナクソス盤のエリザベス・ファーのものは、

基本的にいわゆる”リュート組曲”、バッハが残したラウテンベルク用の曲を演奏しているせいか、

かなりリュートに近い感じがあり、何となく聴くとリュートで弾いているものと勘違いするくらいです。




バッハに時代にはあまり作られなかったが

こうした楽器は、はっきりした作り方がある訳ではないので、

製作者によってかなり差が出るのでしょうね。

またそうしたところがいっそう興味をそそるところかも知れません。 

バッハの時代には、それほど製作されなかったラウテンベルクですが、

これからはいろいろな人が作りようになるのかも知れません。




ついつい楽器の話になってしまうが

こうしたCDでは演奏よりもついつい楽器の話になってしまいますが、

演奏はイギリスのチェンバロ奏者ジョン・ポールと言う人です。

ポールの演奏は、テンポは全体にやや遅め。

フレーズのおわりでは若干リタルダンドをかけていますが、基本はイン・テンポのようです。

また曲ごとのテンポの違いもあまり極端ではありません。

おそらく楽器の関係上、速いテンポで弾くのは難しいものと思われます。 




バッハもこのラウテンベルクで、自らの平均律曲集を弾いた・・・・かも知れない

また通常のチェンバロに比べ、このラウテンベルクは音域による音質の違いが大きく、

通常のチェンバロで聴いた方が、曲の内容はよくわかるのではと思います。

バッハ自身で自らの平均律曲集を、このラウテンベルクで弾いたかどうかはわかりませんが、

もしかしたら、そんなこともあったかもしれない・・・・

なんて思って聴くのがよいでしょう。




バッハ:平均律クラヴィア曲集 45


クリスティーヌ・ショルンスハイム(1959~ ドイツ)  2011年録音




51aJybZbcmL__SS500.jpg




ドイツ生まれのチェンバリスト

ショルンスハイムはベルリン生まれのチェンバリストで、

やはりレオンハルト、コープマンなどに師事しています。 

1959年生まれということで、前回のベルダーよりも少し年上ということになります。




テンポなどは自由に

ショルンスハイムの演奏は、ベルダーなどよりもさらに自由に演奏しているように感じます。

自由にといってもチェンバロの場合、音量、音質は変えられませんから、

主にテンポを自由に取っていると言うことです。

ショルンスハイムのテンポの変え方は、

ベルダーなどのようにアクセントや強弱感などを出すためというより、

さらに積極的に表情付けのためと言った感じがします。

リュート奏者の場合は、楽器の関係でほぼ必然的にテンポを自由に揺らしながら演奏しますが、

そう言ったものに近い感じもあります。




schornsheim_34_portrait.jpg
ショルンス・ハイムは音楽学者でもあるようだが、演奏はむしろ主観的な感じもする




重厚で強い表現

使用しているチェンバロは1624年制作のものだそうで、深い響きがします。

テンポは全体に速めですが、軽快な感じではなく、重厚で、強い表現の演奏と言えます。

アリアのような美しさを持つ「第2巻第14番嬰へ短調のプレリュード」など良い例でしょう。

気軽に楽しむというよりは、聴きごたえのあるアルバムと言え、やはりオススメでしょう。