目で見るギターの音 5
3弦と6弦
これまで①弦の各フレットのグラフを見てもらいましたが、今回は3弦と6弦のグラフを見てもらいます。
まず3弦ですが、今回は16個の音を一つのグラフにしたので、間隔が狭くなっていますが、1個の音は時間にしてだいたい2~3秒くらいです。

3弦の開放から15フレット(シ♭)までのグラフ。 上がハウザー、下がジェイコブソン やはり開放と1フレット、12フレットと13フレットの「ソ」、「ソ#」 は3弦でも突出している
やはり「ソ」と「ソ#」は突出している
開放1フレット、12フレットと13フレットの 「ソ」 と 「ソ#」 が突出している点は1弦の場合と同じです。 ハウザーでは 「ソ」 と 「ソ#」 の差があまりありませんが、ジェイコブソンの 「ソ#」 はかなり突出しています。
1弦ではあまり鳴らなかったハウザーの「ド」とジェイコブソンの「シ」はそれほどへこんではいません。 前述の「ソ」と「ソ#」が突出していること以外はわりと均等ですね。
「ソ」、「ソ#」に食われている?
でも突出した 「ソ」 と「ソ#」 の両隣の 「ファ」、「ファ#」、「ラ」、「ラ#」 が凹んでいます。 まるでこの「ソ」と「ソ#」に音が持ってゆかれているみたいですね。
2台とも傾向は同じ
それにしてもこの二つの楽器、この3弦を見る限りではかなりよく似ています。 どうしても同じような傾向の楽器を好む傾向があるのでしょう。 因みに3弦はどちらもサバレス・アリアンスのノーマル・テンションを使用しています。

6弦の開放から12フレット 1弦に比べると各音の差が小さい。 12フレットの音はどちらの楽器も変な形をしているが、他の弦の共鳴を拾っていると思われる。
低音弦は、やはり余韻が長い
次は6弦ですが、やはり6弦となると余韻が長く、減衰が少ないですね。 放っておくとまだまだ余韻が続くでしょう。 ちょっと見た感じでも1弦とはだいぶ違ったグラフになっています。
高音弦ほど各音で差がない
それにしても、6弦の場合は、1弦に比べると各音であまり差がないですね。 相変わらず4フレットの「ソ#」がやや突出している以外は、ほぼ同じような振幅です。 またハウザーとジェイコブソンの差もあまり顕著ではないようです。
ハウザーの低音の「ラ」、つまり6弦の5フレットの音はいつもよく鳴らなくて苦労するのですが、グラフを見た限りではあまり凹んでもいないようですね。
また1弦では7フレットの「シ」が鳴って、8フレットの「ド」が鳴らなかったのですが、6弦ではその逆のようにも見えます。「シ」のほうは減衰が速いようです。
どちらの楽器も12フレットのグラフは乱れた形をしていますが、おそらく他の弦が共鳴していたのでしょう。
よく鳴る音は減衰も速い
ところで、よく鳴る音の 「ソ」 と 「ソ#」 ですが、確かに発音時の振幅は高いのですが、減衰も速いです。 あまり鳴らない5フレットや6フレット(「ラ」と「ラ#」)ほうが減衰が遅く、音が伸びるようです。
特に低音は発音時に鳴るかどうかというより、持続する方が大事なので、そういった意味ではこの「ソ」とか「ソ#」はやや困った音ともいえるでしょう。
よく鳴る楽器はウルフトーンも顕著に出るのか
こうした音は前に言いましたとおり「ウルフトーン」と言って、楽器の製作上、どうしても現れてしまうことだそうですが、これらを押さえようとすると、どうしても楽器全体としてならなくなり、また楽器全体の音量を上げようとすると、このウルフトーンも顕著に現れてしまうということなのかも知れません。
楽器を選ぶ際には
確かに楽器を買う時に、よく鳴る楽器を選ぶか、バランスの良い楽器を選ぶかで悩むところですね。 よく鳴るといっても瞬間的に鳴るよりも、余韻が長続きする楽器が良いのは間違いありません。
中音域が太い楽器は近くでは大きく聴こえるが
また、中音域がよく鳴る楽器は聴いて大きな音に聴こえるのですが、どうしても離れたところには届きにくい面もあります。 遠達性を考慮すると中音域よりもやや高い音域の倍音をよく拾う楽器のほうがいいようです。
しかし高音域をよく拾う楽器というのは弾き方によってはノイズっぽく聴こえるので、こうした楽器で美しい音を出すのはかなり技術が必要です。
思った以上に差が大きかった
さて、このようにギターの音を編集ソフトによりグラフで見てもらいましたが、今回こういったことをやってみて改めて気が付いたこととしては。まずグラフで見ると各音によって相当差があるということです。
確かに、同じギターでも鳴る音と鳴らない音があるということは日頃からわかってはいる事ですが、グラフで見るとこんなに違うものかと思いました。
グラフには現れない部分も
それは特に高音で顕著で、低音弦ではそれほど差がないこともわかりました。 しかし実際に耳で聴いた感じではグラフで見るよりも差が小さく、鳴る音とならない音の差が2倍以上もあるようには聞こえないのも事実です。 おそらくは人間の耳にはグラフ通りには感じられない他の事情もあるのかも知れません。
固有振動
ギターの場合、特になる音、つまりウルフトーンが現れるのは、ボディ自体に固有の振動数があるからで、それは楽器製作上避けられないものだそうです。
そうしたことからすると、録音の際にも、デジタル録音とは言え、空気の振動をデジタルのデータに置き換える際、やはり物理的な媒体で空気の振動を感知するしかありません。となればその物理的媒体にも固有の振動があって、拾いやすい振動数とそうでないものもあるのかなとも考えられます。
さらには人間の耳も鼓膜という物理的な媒体によって空気の振動を感知するので、その鼓膜の固有振動なども関係する可能性もあるでしょう。 結論としては、人間の耳も完全ではないが、こうしたグラフもまた完全ではないということでしょう。
お店で
何はともあれ、私たちがギターを選ぶとき、こうしたグラフはたいへん参考になるでしょうね。
しかし楽器店にICレコーダーとノート・パソコンを持って行って、その場で録音しパソコンでグラフを見ながら、 「この音の凹み酷いな」 とか、「この音、なることは鳴るけど、減衰早すぎ!」 「うあー、ヤバイ! こんなところにウルフトーン! きついな」
なんてやっていたら店の人に追い出されるでしょうね。 くれぐれも当ブログを参考にしたなんて言わないで下さい。
3弦と6弦
これまで①弦の各フレットのグラフを見てもらいましたが、今回は3弦と6弦のグラフを見てもらいます。
まず3弦ですが、今回は16個の音を一つのグラフにしたので、間隔が狭くなっていますが、1個の音は時間にしてだいたい2~3秒くらいです。

3弦の開放から15フレット(シ♭)までのグラフ。 上がハウザー、下がジェイコブソン やはり開放と1フレット、12フレットと13フレットの「ソ」、「ソ#」 は3弦でも突出している
やはり「ソ」と「ソ#」は突出している
開放1フレット、12フレットと13フレットの 「ソ」 と 「ソ#」 が突出している点は1弦の場合と同じです。 ハウザーでは 「ソ」 と 「ソ#」 の差があまりありませんが、ジェイコブソンの 「ソ#」 はかなり突出しています。
1弦ではあまり鳴らなかったハウザーの「ド」とジェイコブソンの「シ」はそれほどへこんではいません。 前述の「ソ」と「ソ#」が突出していること以外はわりと均等ですね。
「ソ」、「ソ#」に食われている?
でも突出した 「ソ」 と「ソ#」 の両隣の 「ファ」、「ファ#」、「ラ」、「ラ#」 が凹んでいます。 まるでこの「ソ」と「ソ#」に音が持ってゆかれているみたいですね。
2台とも傾向は同じ
それにしてもこの二つの楽器、この3弦を見る限りではかなりよく似ています。 どうしても同じような傾向の楽器を好む傾向があるのでしょう。 因みに3弦はどちらもサバレス・アリアンスのノーマル・テンションを使用しています。

6弦の開放から12フレット 1弦に比べると各音の差が小さい。 12フレットの音はどちらの楽器も変な形をしているが、他の弦の共鳴を拾っていると思われる。
低音弦は、やはり余韻が長い
次は6弦ですが、やはり6弦となると余韻が長く、減衰が少ないですね。 放っておくとまだまだ余韻が続くでしょう。 ちょっと見た感じでも1弦とはだいぶ違ったグラフになっています。
高音弦ほど各音で差がない
それにしても、6弦の場合は、1弦に比べると各音であまり差がないですね。 相変わらず4フレットの「ソ#」がやや突出している以外は、ほぼ同じような振幅です。 またハウザーとジェイコブソンの差もあまり顕著ではないようです。
ハウザーの低音の「ラ」、つまり6弦の5フレットの音はいつもよく鳴らなくて苦労するのですが、グラフを見た限りではあまり凹んでもいないようですね。
また1弦では7フレットの「シ」が鳴って、8フレットの「ド」が鳴らなかったのですが、6弦ではその逆のようにも見えます。「シ」のほうは減衰が速いようです。
どちらの楽器も12フレットのグラフは乱れた形をしていますが、おそらく他の弦が共鳴していたのでしょう。
よく鳴る音は減衰も速い
ところで、よく鳴る音の 「ソ」 と 「ソ#」 ですが、確かに発音時の振幅は高いのですが、減衰も速いです。 あまり鳴らない5フレットや6フレット(「ラ」と「ラ#」)ほうが減衰が遅く、音が伸びるようです。
特に低音は発音時に鳴るかどうかというより、持続する方が大事なので、そういった意味ではこの「ソ」とか「ソ#」はやや困った音ともいえるでしょう。
よく鳴る楽器はウルフトーンも顕著に出るのか
こうした音は前に言いましたとおり「ウルフトーン」と言って、楽器の製作上、どうしても現れてしまうことだそうですが、これらを押さえようとすると、どうしても楽器全体としてならなくなり、また楽器全体の音量を上げようとすると、このウルフトーンも顕著に現れてしまうということなのかも知れません。
楽器を選ぶ際には
確かに楽器を買う時に、よく鳴る楽器を選ぶか、バランスの良い楽器を選ぶかで悩むところですね。 よく鳴るといっても瞬間的に鳴るよりも、余韻が長続きする楽器が良いのは間違いありません。
中音域が太い楽器は近くでは大きく聴こえるが
また、中音域がよく鳴る楽器は聴いて大きな音に聴こえるのですが、どうしても離れたところには届きにくい面もあります。 遠達性を考慮すると中音域よりもやや高い音域の倍音をよく拾う楽器のほうがいいようです。
しかし高音域をよく拾う楽器というのは弾き方によってはノイズっぽく聴こえるので、こうした楽器で美しい音を出すのはかなり技術が必要です。
思った以上に差が大きかった
さて、このようにギターの音を編集ソフトによりグラフで見てもらいましたが、今回こういったことをやってみて改めて気が付いたこととしては。まずグラフで見ると各音によって相当差があるということです。
確かに、同じギターでも鳴る音と鳴らない音があるということは日頃からわかってはいる事ですが、グラフで見るとこんなに違うものかと思いました。
グラフには現れない部分も
それは特に高音で顕著で、低音弦ではそれほど差がないこともわかりました。 しかし実際に耳で聴いた感じではグラフで見るよりも差が小さく、鳴る音とならない音の差が2倍以上もあるようには聞こえないのも事実です。 おそらくは人間の耳にはグラフ通りには感じられない他の事情もあるのかも知れません。
固有振動
ギターの場合、特になる音、つまりウルフトーンが現れるのは、ボディ自体に固有の振動数があるからで、それは楽器製作上避けられないものだそうです。
そうしたことからすると、録音の際にも、デジタル録音とは言え、空気の振動をデジタルのデータに置き換える際、やはり物理的な媒体で空気の振動を感知するしかありません。となればその物理的媒体にも固有の振動があって、拾いやすい振動数とそうでないものもあるのかなとも考えられます。
さらには人間の耳も鼓膜という物理的な媒体によって空気の振動を感知するので、その鼓膜の固有振動なども関係する可能性もあるでしょう。 結論としては、人間の耳も完全ではないが、こうしたグラフもまた完全ではないということでしょう。
お店で
何はともあれ、私たちがギターを選ぶとき、こうしたグラフはたいへん参考になるでしょうね。
しかし楽器店にICレコーダーとノート・パソコンを持って行って、その場で録音しパソコンでグラフを見ながら、 「この音の凹み酷いな」 とか、「この音、なることは鳴るけど、減衰早すぎ!」 「うあー、ヤバイ! こんなところにウルフトーン! きついな」
なんてやっていたら店の人に追い出されるでしょうね。 くれぐれも当ブログを参考にしたなんて言わないで下さい。
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