マルタ・アルゲリッチ
5月13、14日に、水戸芸術館でラヴェルの協奏曲を弾く
今年から二十数世帯ほどの町内会長などやっております。何分これまでずっと自由業なんてやっているので、事務手続きなどは経験なく、前会長などに指導してもらって、なんとかやっています。その会長の仕事の一つが水戸市報の配布、と言っても実際には班長さんがやるのですが。
先日、と言っても1月頃ですが、その市報をめくっていたら、なんと、水戸芸術館での水戸室内管弦楽団の演奏会に、いまやピアノ界のレジェンド、マルタ・アルゲリッチが出演するではありませんか。チケット予約が2月25日、9時からからと言うことだったので、何としてでもネット予約しなければと、その前日も明日忘れずに予約しなければと思っていました。しかし、なんとその当日気が付いた時にはすでに夕方! 間違いなくもうチケットなくなっているでしょう、おそらく発売と同時に売り切れでしょうね。
貴重なワルトシュタインの録音
仕方がないのでCDで我慢しようということで、最近あらたに発売されたアルゲリッチのCDないか、と検索してみたら、新たにいくつかライブ録音のCDが発売されていて、その中にベートーヴェンのピアノ・ソナタ「ワルトシュタイン」を含むCDがありました。2枚組で他にラヴェル、ベートヴェンなどの協奏曲、ショパンのソナタ第3番なども収録されています。
アルゲリッチはあまりベートーヴェンのソナタは弾いていませんが、それでも若い頃は多少演奏していたようです。ワルトシュタインの演奏はたいへん珍しく、これまでCDにはなっていなくて、始めて聴きます。
アルゲリッチは若い頃しかソロを弾いていない
御存じかも知れませんが、マルタ・アルゲリッチは20~21世紀を代表する超天才ピアニストということで、並外れた能力のわりにはレパートリーは少なく、リサイタルなどでもほぼ決まった曲しか弾きません。またピアノ独奏はは若い頃を除いて、録音もリサイタルも行っていません。
ただし室内楽とか協奏曲とか、誰かと共演する形では、ずっと演奏していて、年齢的に考えれば、むしろほかのピアニストよりも積極的に活動しています。本当に”変”なピアニストですね、要するに、一人でステージにたつのは嫌だが、だれか一人でも他にいれば、むしろ積極的に演奏する、と言うピアニストです。
確かに日常生活でもたいへん寂しがり屋で有名で、どんな人でも自宅に呼び寄せ、様々な人が自宅を出入りしているそうです。 それをステージにまで持ち込む人なんですね、ステージでも寂しがりやと、寂しがり屋もそこまで行く人はそんなにいないでしょう。
1970年、初来日時のライブ録音
そんなわけで、ピアノ独奏のCD(LP復刻を含め),特にスタジオ録音のものは非常に限られていて、おそらく8枚、最後に録音したのは1984年頃と思います。しかし最近では6~70年代のライブ録音などがCD化され聴けるようになっていて、聴くことの出来るアルゲリッチのピアノ・ソロはそれなりに増えています。 とはいえ、やはり演奏する曲は同じものになりがちです。
このベートーヴェンのワルトシュタイン、ショパンのソナタ第3番、ドビュッシーの版画の3曲は、1970年、東京の厚生年金ホールで、アルゲリッチの初来日時のものだそうです。 リサイタルであればもっとほかにも弾いているはずで、この3曲だけしかCDになっていなのはどうしてなのでしょうか。 リサイタルまるごとCDにしてもらったほうがファンとしては喜ぶとは思うのですが。
曲が重複していると言ったこともあるかも知れませんが、もしかしたらアルゲリッチ本人の許可がなかったということも考えられるかも知れませんね。

1970年前後、アルゲリッチ30歳前後のいくつかの会場でのライブ録音を収録した2枚組のCD。1970年、初来日時の厚生年金ホールでもワルトシュタインなども含まれている。
ぶっ飛びのワルツシュタイン!
さて、実際に聴いてみると、これが驚き! すごいテンポ! 音量の変化が半端ない! こんなワルトシュタイン聴いたことがない! ワルトシュタイン・ソナタはベートーヴェン中期の作品で、ベートヴェンらしくエネルギッシュな曲ですが、これまで私自身では激しい曲というより、軽快でさわやかな感じで、聴いて心地よい曲と言ったイメージだったのですが、そんな生易しいワルトシュタインではないです。 まさにぶっ飛びのワルツシュタイン!
高血圧の方はご遠慮ください!
特に第1楽章は強烈で、頭に全身の血液が上ったり、下がったりと、血圧が心配な方にはかなり危険な演奏と言えるでしょう。 確かにアルゲリッチは情熱的な演奏と言われていますが、特にCDではスタジオ録音のこともあって、少なくとも常軌を逸したものではありません。 このような演奏は、まさにライブならではとも言えるでしょう。
ツンデレ?
第2楽章になると一転して耳元でささやくような演奏、途中で一旦音量を上げますが、静かに第3楽章に繋げます。第3楽章は通常第1楽章と同じく、テンポの速い、エネルギッシュなものですが、アルゲリッチはまさに忍び寄るようにして第3楽章を開始します。
同じ曲なのにこの第3楽章は第1楽章とは全然違う弾き方で、荒れ狂う第1楽章にたいして、こちらは旋律が丸みを帯びるように弾いています。 第3楽章でも強音の部分もあり、そういった部分では確かに力強く弾いていますが、しかし第1楽章とは異なり、”やさしさ”が目立ちます。 テンポもそれなりに速いのでしょうが、第1楽章が早かったせいか、ほぼ普通に感じます。
この演奏、最近の言葉で言うと ”ツンデレ” と言うやつでしょう。高圧的に厳しい言葉を浴びせたかと思うと、次は耳元で甘い声で囁くみたいな。 きっと会場に詰め掛けたおじさんたちはメロメロになったんじゃなかと思います。
すでに80歳を超えて
5月13、14日に水戸芸術館で行われるコンサートはディエゴ・マテウス指揮の水戸室内管弦楽団で、アルゲリッチがソロを弾くラヴェルのピアノ協奏曲の他、プロコフィエフの交響曲第1番、ストラヴィンスキーのプラチネッラ他となっています。
アルゲリッチは1941年生まれですから、もう80才越えているんですね、若い頃よくリサイタルをキャンセルなんかして、演奏会嫌いで有名だったのですが、今ではかえって積極的に演奏していますね。もちろん独奏なしですが。
2017年にも水戸芸術館に来ている
水戸芸術館で演奏するのは何回目かわかりませんが、2017年に小澤征爾さんと演奏したものがCDになっています。

2017年の水戸室内管弦楽団演奏会のCD。 ベートヴェンの交響曲第1番、ピアノ協奏曲第1番が収録されている。
5月13、14日に、水戸芸術館でラヴェルの協奏曲を弾く
今年から二十数世帯ほどの町内会長などやっております。何分これまでずっと自由業なんてやっているので、事務手続きなどは経験なく、前会長などに指導してもらって、なんとかやっています。その会長の仕事の一つが水戸市報の配布、と言っても実際には班長さんがやるのですが。
先日、と言っても1月頃ですが、その市報をめくっていたら、なんと、水戸芸術館での水戸室内管弦楽団の演奏会に、いまやピアノ界のレジェンド、マルタ・アルゲリッチが出演するではありませんか。チケット予約が2月25日、9時からからと言うことだったので、何としてでもネット予約しなければと、その前日も明日忘れずに予約しなければと思っていました。しかし、なんとその当日気が付いた時にはすでに夕方! 間違いなくもうチケットなくなっているでしょう、おそらく発売と同時に売り切れでしょうね。
貴重なワルトシュタインの録音
仕方がないのでCDで我慢しようということで、最近あらたに発売されたアルゲリッチのCDないか、と検索してみたら、新たにいくつかライブ録音のCDが発売されていて、その中にベートーヴェンのピアノ・ソナタ「ワルトシュタイン」を含むCDがありました。2枚組で他にラヴェル、ベートヴェンなどの協奏曲、ショパンのソナタ第3番なども収録されています。
アルゲリッチはあまりベートーヴェンのソナタは弾いていませんが、それでも若い頃は多少演奏していたようです。ワルトシュタインの演奏はたいへん珍しく、これまでCDにはなっていなくて、始めて聴きます。
アルゲリッチは若い頃しかソロを弾いていない
御存じかも知れませんが、マルタ・アルゲリッチは20~21世紀を代表する超天才ピアニストということで、並外れた能力のわりにはレパートリーは少なく、リサイタルなどでもほぼ決まった曲しか弾きません。またピアノ独奏はは若い頃を除いて、録音もリサイタルも行っていません。
ただし室内楽とか協奏曲とか、誰かと共演する形では、ずっと演奏していて、年齢的に考えれば、むしろほかのピアニストよりも積極的に活動しています。本当に”変”なピアニストですね、要するに、一人でステージにたつのは嫌だが、だれか一人でも他にいれば、むしろ積極的に演奏する、と言うピアニストです。
確かに日常生活でもたいへん寂しがり屋で有名で、どんな人でも自宅に呼び寄せ、様々な人が自宅を出入りしているそうです。 それをステージにまで持ち込む人なんですね、ステージでも寂しがりやと、寂しがり屋もそこまで行く人はそんなにいないでしょう。
1970年、初来日時のライブ録音
そんなわけで、ピアノ独奏のCD(LP復刻を含め),特にスタジオ録音のものは非常に限られていて、おそらく8枚、最後に録音したのは1984年頃と思います。しかし最近では6~70年代のライブ録音などがCD化され聴けるようになっていて、聴くことの出来るアルゲリッチのピアノ・ソロはそれなりに増えています。 とはいえ、やはり演奏する曲は同じものになりがちです。
このベートーヴェンのワルトシュタイン、ショパンのソナタ第3番、ドビュッシーの版画の3曲は、1970年、東京の厚生年金ホールで、アルゲリッチの初来日時のものだそうです。 リサイタルであればもっとほかにも弾いているはずで、この3曲だけしかCDになっていなのはどうしてなのでしょうか。 リサイタルまるごとCDにしてもらったほうがファンとしては喜ぶとは思うのですが。
曲が重複していると言ったこともあるかも知れませんが、もしかしたらアルゲリッチ本人の許可がなかったということも考えられるかも知れませんね。

1970年前後、アルゲリッチ30歳前後のいくつかの会場でのライブ録音を収録した2枚組のCD。1970年、初来日時の厚生年金ホールでもワルトシュタインなども含まれている。
ぶっ飛びのワルツシュタイン!
さて、実際に聴いてみると、これが驚き! すごいテンポ! 音量の変化が半端ない! こんなワルトシュタイン聴いたことがない! ワルトシュタイン・ソナタはベートーヴェン中期の作品で、ベートヴェンらしくエネルギッシュな曲ですが、これまで私自身では激しい曲というより、軽快でさわやかな感じで、聴いて心地よい曲と言ったイメージだったのですが、そんな生易しいワルトシュタインではないです。 まさにぶっ飛びのワルツシュタイン!
高血圧の方はご遠慮ください!
特に第1楽章は強烈で、頭に全身の血液が上ったり、下がったりと、血圧が心配な方にはかなり危険な演奏と言えるでしょう。 確かにアルゲリッチは情熱的な演奏と言われていますが、特にCDではスタジオ録音のこともあって、少なくとも常軌を逸したものではありません。 このような演奏は、まさにライブならではとも言えるでしょう。
ツンデレ?
第2楽章になると一転して耳元でささやくような演奏、途中で一旦音量を上げますが、静かに第3楽章に繋げます。第3楽章は通常第1楽章と同じく、テンポの速い、エネルギッシュなものですが、アルゲリッチはまさに忍び寄るようにして第3楽章を開始します。
同じ曲なのにこの第3楽章は第1楽章とは全然違う弾き方で、荒れ狂う第1楽章にたいして、こちらは旋律が丸みを帯びるように弾いています。 第3楽章でも強音の部分もあり、そういった部分では確かに力強く弾いていますが、しかし第1楽章とは異なり、”やさしさ”が目立ちます。 テンポもそれなりに速いのでしょうが、第1楽章が早かったせいか、ほぼ普通に感じます。
この演奏、最近の言葉で言うと ”ツンデレ” と言うやつでしょう。高圧的に厳しい言葉を浴びせたかと思うと、次は耳元で甘い声で囁くみたいな。 きっと会場に詰め掛けたおじさんたちはメロメロになったんじゃなかと思います。
すでに80歳を超えて
5月13、14日に水戸芸術館で行われるコンサートはディエゴ・マテウス指揮の水戸室内管弦楽団で、アルゲリッチがソロを弾くラヴェルのピアノ協奏曲の他、プロコフィエフの交響曲第1番、ストラヴィンスキーのプラチネッラ他となっています。
アルゲリッチは1941年生まれですから、もう80才越えているんですね、若い頃よくリサイタルをキャンセルなんかして、演奏会嫌いで有名だったのですが、今ではかえって積極的に演奏していますね。もちろん独奏なしですが。
2017年にも水戸芸術館に来ている
水戸芸術館で演奏するのは何回目かわかりませんが、2017年に小澤征爾さんと演奏したものがCDになっています。

2017年の水戸室内管弦楽団演奏会のCD。 ベートヴェンの交響曲第1番、ピアノ協奏曲第1番が収録されている。
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