バッハ : シャコンヌ 5
コンサート終わりました
昨日(29日)アコラでのジヴェルニー・コンサートで演奏しました。 今回参加者が多かったのは前に言ったとおりですが、ここで初めて演奏する人も何人かいて、私の生徒さんも3人ほど演奏しました。 客席とステージが近いので、最初はちょっと緊張していたようですが、それぞれギターらしい音色を出していたのではないかと思います。
埼玉ギター・コンクール第2位の鈴木幸男さんの入賞記念演奏があるのかなと思ったのですが、指を休ませるためということで、今回は聴けませんでした。
私の演奏のほうは前述のとおりコストのエチュードとバッハのシャコンヌでしたが、ここでのコンサートに聴きに来る人はほとんどがギターを弾いている人なので、こうした練習曲などはこれからも時々弾いてみたと思います。
このシャコンヌについては弾くのも、書くのもなかなかたいへんですが、この前(17日)よりほんのわずか前進したかなと思います。
ではまた本題に戻ります。
48~75小節
ここで気が付いたのですが、これまで小節数を一般的な方法に従い、最初の不完全小節を数えないで、次の完全小節を「1」と数えていましたが、この音楽の友社の楽譜では最初の不完全小節を「1」と数えています。
従って、小節の数え方が1つずれてしまいましたが、 これまでこの方法で書いてきてしまいましたので、このままの数え方で話を進めてゆきます。 その方がバッハの意図どおり、最後が256小節となります。
64~75小節は48~63小節を装飾したもの = 変奏の変奏
さて、この48~75小節の4×7=28小節は一つのまとまりを成しています。 後半の64~75小節の4×3は32分音符による部分で、弾く方としてはなかなかたいへんなところですが、第1部の一つのクライマックスにもなっています。
またその64~75小節は48~63小節を装飾したもので、64~67は48~51と、68~71は52~55小節とそれぞれ対応していますが、72~75ははっきりしません。

緑の部分(64小節~75小節 譜面の小節番号と文章の小節番号は1小節ずれている) は赤の部分(48~63小節)を装飾したもの
この部分(48~75小節)では、上声部の動きが激しいので、低音は省略気味になっていますが、「レ、ド、シ、ラ」と言うような順次進行に簡略化されているところが多いようです。 また音型的な動きが活発なために、和声的には単純になっています。
76~87小節
76~87小節はその前の32分音符のパッセージを受け、それを32小節にわたるアルペジオを部分に入るための導入部といった感じになっています。
76~83小節は16分音符で出来ていて、動きとしては前後の部分より大人しいのですが、和声的には複雑になっていて、例えば76小節では、Ⅰ-Ⅵ-Ⅴ/Ⅴ (コード・ネームでは、Dm-B♭-E7)と1小節の中で3つの和音が出てきます。

76~83小節(赤線)は、次のクライマックスへのつなぎとも考えられるが、和声的にはむしろ複雑になっている。 またアルペジオ(★印以降)の部分はコラールのような書き方をしている。 オルガンなどで演奏すれば普通に聴こえるかも知れないが、ヴァイオリンで演奏すると、より緊張感が高まる。
和声的により複雑に
80小節からはさらに和音が複雑になり、最初の小節と言えどもⅠの和音(Dm)にはなっていなくて、はっきりはわかりませんが、Ⅱ9の和音(E9-♭5)の転回形のようです。
いずれにしてもたいへん緊張感のある部分です。 84小節からは再び32分音符の部分となり、高音域まで上がり、第1部のクライマックス、その2とも言えるアルペジオの部分に入ります。
88~119小節 ~アルペジオの部分
ここは4×8=32小節のアルペジオの部分ですが、楽譜には和音が書いてあるだけで、それに「アルペジオ」と但し書きがされています。
具体的な弾きか方ははっきりとは書いていないので、演奏者がある程度自分の判断で演奏します。 ギターのほうでもいろいろ凝った弾き方をする人もいます。
クライマックスがクライマックスとして
基本的には4声または3声のコーラスのように出来ていて、これをオルガンやコーラスなどで演奏したら割りと普通なのでしょうが、ヴァイオリンでこれを弾くとなると話は別で、相当な技術が必要となるでしょう。
それに比べればギターで弾くのは 簡単とは言えませんが、それほど無理ではないでしょう。 もっともヴァイオリンに過酷な要求をしたことにより、いっそうクライマックスがクライマックスとして聴こえるのかも知れません。
一見同じように見えるが、それぞれ特徴がある
この 「8×4小節」 はもちろんそれぞれに特徴があって、決して皆同じようではありません。 88~91はその前の高く上がった音域を受けてだんだん下がって行きますが、声部の逆転があるのが特徴です。
これはヴァイオリンの開放弦の関係だと思いますが、これはギターでも同じなのでたいへん都合がよいです。 92~95は低音に動きを持たせています。
96~99はその低音の動きを上声部に持ってきています。 100~103ではそれが中声部に現れます。 104~107は半音階的な動きが特徴でしょうか。
108~111は半音階的に上昇してゆき、112小節で頂点を作っています。 クライマックスのクライマックスというところでしょうか。 アルペジオの部分の最後の”しめ”となる116~119は前の112~115での半音階的な下行を受け、上声部は半音階的に下がりますが、低音部は全音階的です。
120~131小節
いよいよこれで第1部が終わりとなり、この部分は第1部のコーダのような役割をしています。32分音符が中心の120~123でそれまでのアルペジオの部分を受け、124から最初のテーマが少し変えられた形で再現され、この第1部が終わります。
このテーマの再現は冒頭のものより全体に音域も高く、より高らかに鳴り響くように書かれ、この第1部が壮大に終わります。
だいたい半分だが、正確に半分ではない
厳密にはこの第1部は132小節の1拍目までとなり、全体の256小節のほぼ半分にあたります。 正確に半分ということなら128小節となるはずですが、なぜか4小節多くなっています。
理由はよくわかりませんが、少なくとも8小節単位ではなく、4小節単位で作曲されてきたことがわかります。
コンサート終わりました
昨日(29日)アコラでのジヴェルニー・コンサートで演奏しました。 今回参加者が多かったのは前に言ったとおりですが、ここで初めて演奏する人も何人かいて、私の生徒さんも3人ほど演奏しました。 客席とステージが近いので、最初はちょっと緊張していたようですが、それぞれギターらしい音色を出していたのではないかと思います。
埼玉ギター・コンクール第2位の鈴木幸男さんの入賞記念演奏があるのかなと思ったのですが、指を休ませるためということで、今回は聴けませんでした。
私の演奏のほうは前述のとおりコストのエチュードとバッハのシャコンヌでしたが、ここでのコンサートに聴きに来る人はほとんどがギターを弾いている人なので、こうした練習曲などはこれからも時々弾いてみたと思います。
このシャコンヌについては弾くのも、書くのもなかなかたいへんですが、この前(17日)よりほんのわずか前進したかなと思います。
ではまた本題に戻ります。
48~75小節
ここで気が付いたのですが、これまで小節数を一般的な方法に従い、最初の不完全小節を数えないで、次の完全小節を「1」と数えていましたが、この音楽の友社の楽譜では最初の不完全小節を「1」と数えています。
従って、小節の数え方が1つずれてしまいましたが、 これまでこの方法で書いてきてしまいましたので、このままの数え方で話を進めてゆきます。 その方がバッハの意図どおり、最後が256小節となります。
64~75小節は48~63小節を装飾したもの = 変奏の変奏
さて、この48~75小節の4×7=28小節は一つのまとまりを成しています。 後半の64~75小節の4×3は32分音符による部分で、弾く方としてはなかなかたいへんなところですが、第1部の一つのクライマックスにもなっています。
またその64~75小節は48~63小節を装飾したもので、64~67は48~51と、68~71は52~55小節とそれぞれ対応していますが、72~75ははっきりしません。

緑の部分(64小節~75小節 譜面の小節番号と文章の小節番号は1小節ずれている) は赤の部分(48~63小節)を装飾したもの
この部分(48~75小節)では、上声部の動きが激しいので、低音は省略気味になっていますが、「レ、ド、シ、ラ」と言うような順次進行に簡略化されているところが多いようです。 また音型的な動きが活発なために、和声的には単純になっています。
76~87小節
76~87小節はその前の32分音符のパッセージを受け、それを32小節にわたるアルペジオを部分に入るための導入部といった感じになっています。
76~83小節は16分音符で出来ていて、動きとしては前後の部分より大人しいのですが、和声的には複雑になっていて、例えば76小節では、Ⅰ-Ⅵ-Ⅴ/Ⅴ (コード・ネームでは、Dm-B♭-E7)と1小節の中で3つの和音が出てきます。

76~83小節(赤線)は、次のクライマックスへのつなぎとも考えられるが、和声的にはむしろ複雑になっている。 またアルペジオ(★印以降)の部分はコラールのような書き方をしている。 オルガンなどで演奏すれば普通に聴こえるかも知れないが、ヴァイオリンで演奏すると、より緊張感が高まる。
和声的により複雑に
80小節からはさらに和音が複雑になり、最初の小節と言えどもⅠの和音(Dm)にはなっていなくて、はっきりはわかりませんが、Ⅱ9の和音(E9-♭5)の転回形のようです。
いずれにしてもたいへん緊張感のある部分です。 84小節からは再び32分音符の部分となり、高音域まで上がり、第1部のクライマックス、その2とも言えるアルペジオの部分に入ります。
88~119小節 ~アルペジオの部分
ここは4×8=32小節のアルペジオの部分ですが、楽譜には和音が書いてあるだけで、それに「アルペジオ」と但し書きがされています。
具体的な弾きか方ははっきりとは書いていないので、演奏者がある程度自分の判断で演奏します。 ギターのほうでもいろいろ凝った弾き方をする人もいます。
クライマックスがクライマックスとして
基本的には4声または3声のコーラスのように出来ていて、これをオルガンやコーラスなどで演奏したら割りと普通なのでしょうが、ヴァイオリンでこれを弾くとなると話は別で、相当な技術が必要となるでしょう。
それに比べればギターで弾くのは 簡単とは言えませんが、それほど無理ではないでしょう。 もっともヴァイオリンに過酷な要求をしたことにより、いっそうクライマックスがクライマックスとして聴こえるのかも知れません。
一見同じように見えるが、それぞれ特徴がある
この 「8×4小節」 はもちろんそれぞれに特徴があって、決して皆同じようではありません。 88~91はその前の高く上がった音域を受けてだんだん下がって行きますが、声部の逆転があるのが特徴です。
これはヴァイオリンの開放弦の関係だと思いますが、これはギターでも同じなのでたいへん都合がよいです。 92~95は低音に動きを持たせています。
96~99はその低音の動きを上声部に持ってきています。 100~103ではそれが中声部に現れます。 104~107は半音階的な動きが特徴でしょうか。
108~111は半音階的に上昇してゆき、112小節で頂点を作っています。 クライマックスのクライマックスというところでしょうか。 アルペジオの部分の最後の”しめ”となる116~119は前の112~115での半音階的な下行を受け、上声部は半音階的に下がりますが、低音部は全音階的です。
120~131小節
いよいよこれで第1部が終わりとなり、この部分は第1部のコーダのような役割をしています。32分音符が中心の120~123でそれまでのアルペジオの部分を受け、124から最初のテーマが少し変えられた形で再現され、この第1部が終わります。
このテーマの再現は冒頭のものより全体に音域も高く、より高らかに鳴り響くように書かれ、この第1部が壮大に終わります。
だいたい半分だが、正確に半分ではない
厳密にはこの第1部は132小節の1拍目までとなり、全体の256小節のほぼ半分にあたります。 正確に半分ということなら128小節となるはずですが、なぜか4小節多くなっています。
理由はよくわかりませんが、少なくとも8小節単位ではなく、4小節単位で作曲されてきたことがわかります。
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