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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

佐藤純一君と二重奏

 12月22日にギター文化館で行われる「フリーコンサート」のゲスト演奏として佐藤純一君と二重奏を行います。このコンサートは一般参加のコンサートで、ギター文化館のギター教室でギターを習っている人を中心に、20数名の人が演奏するそうです。そのゲスト演奏として、文化館でギターを教えている佐藤純一君とニ重奏を行います。


二重奏の演奏曲目は

エリック・サティ : ジュ・トゥ・ヴ(君が欲しい)
フェルナンド・ソル(コスト編) : 幻想曲作品54
セルジオ・アサド : ファーウェル(さよなら~映画『夏の庭』より)


など約30分くらいです。ソルの幻想曲は序奏、主題と変奏とスペイン舞曲風の「エスパニョール」からなる大曲ですが、二重奏の名曲の一つです。佐藤君とは彼が茨城キリスト教大の学生だった頃からの知り合いですが、彼と二重奏をやるのは初めてです。


フリーコンサート 13:00~
ゲスト演奏    16:00~


なおフリーコンサートは13:00からで、参加料は1,000円(参加申し込み受付中)。ゲスト演奏は16:00からで、聴くだけの場合は入館料800円だそうです(予約等は不要)。よければ聴いてみて下さい。

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実力イマイチ?

 最初に「コンサートや発表会では暗譜で演奏することが多い」と言いましたが、ではコンサートなどでは必ず暗譜しなければならない、あるいは譜面を見るより見ない方がよいかというと、私は決してそうは思いません。最初に書いたとおり、確かに一般的にはそう言われていて、プロの演奏家が譜面を見ながら弾いていたりすると「あの人真面目に取り組んでいないじゃないか」とか発表会で譜面を見ながら弾いている人をみると「実力イマイチかな」とか思われたりしますが、そのこととその人の演奏がよいかどうか、ということとは基本的には関係ないはずです。


どちらにしろ結果が大事

 結局どちらの方が良い演奏ができるか、ということが問題なのだと思います。例え暗譜で弾いたとしても、ただ忘れないようにだけ考えて演奏するとしたら良い演奏になるはずはありません。また中途半端な暗譜はステージでは通用しませんから、暗譜で弾く以上かなり時間を費やします。そのことに時間をさくよりも他のことに時間を使ったほうがよいこともあります。


先が読める

 楽譜を使うことで頭が暗譜のことから開放されて、曲そのものを考えながら演奏することができれば、当然その方がよい演奏が出来ます。楽譜を見ていると前後関係もよくわかり、例えば「5小節先にクライマックスがあるので、この辺はこれくらいの音量にしとこうか」とか「次の所いつもテンポが上がり気味になるから気をつけよう」などということも考えやすいと思います(もちろん暗譜の場合でもやらなければなりませんが)。しかし曲によっては譜面を見ながらでは弾けない曲もあります、ポジション移動の激しい曲とか、速い曲とか、長い曲などです。その場合は覚悟を決めて、前述のとおり99パーセントではなく、100パーセント(出来れば120パーセン)暗譜しなければならないでしょう。


タイトルだけでも

 私の場合は、その曲や状況などに応じて使い分けています。場合によっては楽譜は見ないがとりあえず譜面だけは前に置いておく、などいうこともあります。お守りのようなものです、弾く前にその曲のタイトルだけでも見ると安心するとか。


自分に合った方法

 また私の教室の発表会などでは、基本的に、その人の弾きやすい方法で演奏してもらっています。発表会で弾くという場合、たいてい練習では譜面など見なくても弾けるようにはなっているのですが、楽譜があった方が弾きやすいという人と、ないほうが上手く弾けるという人がいますので、実際リハーサルなどをやってもらい、その人のやりやすいほうにしています。



 以上で「暗譜」の話は終わりですが、次は相当具体的な話で、「運指」の話にしようかと思います。

暗譜のネガティヴな面

 これまで発表会やコンサートなどで、暗譜で演奏した時に、譜忘れしない正しい暗譜の仕方ということで話をしてきました。しかし練習の段階からあまり記憶にたよって練習すると、かえって上達の妨げになることもあります。今回はこの暗譜のネガティヴな面の話となります。


記憶力のよい人のほうが・・・・・

 これまでギターを教えてきて、「記憶」がその生徒さんの上達の障害になってしまうということをかなり経験しています。普通に考えれば、記憶力のよい人のほうがギター上達は速いはずで、学校でも記憶力の良い人のほうが成績が良いに決まっています。しかしギターの上達においては必ずしもそうはならないということは、「読譜力」ところでま話したとおりです。


あまりしっかりと覚えてしまうと

 レッスンの時、「よく弾けていますが、そこのところはこのように運指を変えるともっと弾きやすいでしょう」とほんの少し違った運指などを薦めても、家でしっかりと覚えてしまったために、それがなかなか変えられなかったりすることがあります。ギターが上手くなるということは、少しずついろいろなことを変えてゆかなければならないわけですが、練習の最初からあまりしっかりと覚えてしまうと、ちょっとしたことでもなかなか変えられなくなることもあります。また楽譜読み間違えなども気が付かなかったり、気が付いてもなかなか直らなかったりすることもあります。



暗譜は終盤で

 暗譜弾くと、どうしても「次の音何だったかな」とか曲を進行させることに神経を使ってしまいがちで、曲全体のこととか、その部分の前後関係とか、運指のこととか、主旋律と対旋律の関係など、いろいろなこと神経がいかなくなってしまいます。やはり練習の初期の段階ではなるべく楽譜をよく見て練習するほうがよいと思います。 暗譜で練習するとしても、終盤になってコンサートや発表会が近づいてからでよいと思います。


そんなことでは褒めません

 よく「この曲1日で覚えちゃったよ」と自慢する人とか、「今度のレッスン日までにこの曲絶対に暗譜するぞ」とがんばる人などがいます。とりあえず自慢するためとか、教室の先生に褒められるためだったら(因みに、私はそんなことでは褒めません)それもよいと思いますが、本当にギターが上手になるためだったらそれほど必要のないことです。強いていうなら暗譜の場合必要なのは速さではなく正確さです、99パーセントの暗譜など役には立ちません。


人間いろいろ

 とは言っても暗譜はかなり個人差がありますから、中には非常に速く、正確に覚えてしまう人もいます。暗譜で有名な人といえば、往年の名指揮者アルトゥール・トスカニーニがあげられます。トスカニーニの記憶力についてはいろいろな逸話がありますが、トスカニーニは若い頃、オーケストラのチェリストをしていて、前任の指揮者が不評で降板した時、その暗譜力を買われていきなり指揮者に抜擢(というより、やる人がいなかったので、無理やりやらされたに近かったようですが)されました。指揮の勉強も経験も全くなく、棒の振り方などめちゃくちゃだったそうですが、その時にはすでに10以上のオペラを暗譜してあって、譜面を見ずに振ったそうです。「オペラを暗譜する」と言う意味の分かる人にはこれが如何に人間技ではないことがわかると思います。


(音感+記憶力)×思考力

 またモーツアルトの記憶力も有名で、10代の頃、長いミサ曲を一晩聴いただけで、譜面に書き取ってしまったという話もあります。もっとも音楽を記憶するのと、人の話とか、本の内容などを記憶するのとはちょっと違いますから、これらの人は音感も抜群に良かったようです。つまりこれらの能力は人並みはずれた記憶力と音感、それにそれらをコントロール出来る思考力も加わって形成されるものなのでしょう。話がそれてしまいましたが、これらのことは私達普通(?)の人間にはあまり関係のないことです。普通の人が無理やり、特に速く暗譜しようとするといろいろ問題が生じてしまう可能性がありますので、私としてはあまり賛成できません。



   


譜忘れしないための練習法

 今回は「譜忘れしないため」の練習法について話をします。例えば、皆さんにたいへん得意な曲があったとします。完全に暗譜してあって、もちろん楽譜など見なくてもすらすらと弾ける曲だったとしましょう、その曲で次の3つのことをやってみて下さい。

 ①その曲のある部分だけを弾く

 ②スピードを2~3倍くらい遅くして弾く

 ③その曲を楽譜に書いてみる



 本当に暗譜してあれば、当然どれも何事もなく出来るはずです、暗譜してあるのですから・・・・ でも実際にはなかなか理屈通りにはならないのではないでしょうか、実際に③まで出来る人はかなり少ないと思います。もしどれも問題なく出来た人は、この先を読む必要はありません。


指と頭で連絡取り合う

 以上の3つがうまく出来なかった人はこの先も読んでみて下さい。①と②の方法は、指などで、あるいは「作業手順」として覚えている曲を、もう一度頭で考え直すためです。途中から始めたり、速度を変えて弾くことでもう一度考え直して弾くことになります。何度も繰り返して弾いている曲はだんだん条件反射的になってしまい、大脳を通さずに作業を行ってしまいます。これは一見よいことのようで、決してそうではありません、よい演奏をするためにも、また譜忘れをせずに弾くためにも、常に大脳を働かせて練習する必要があります。①②の練習は指などの末梢神経と大脳がもう一度連絡を取り合うための練習といえます。


合理的な運指のためにも

 またこれらの練習は、単に譜忘れしないためだけでなく、指の動きを確認したり、またなんといっても自分で弾いている音をしっかりと自覚する目的もあります。何となく弾いていては、自分がどんな音を弾いているとか、どのように弾いているとかがわからなくなったしまいます、特にテンポを落として弾く練習は非常に大切です。そうすることにより間違えて覚えてしまったり、合理的でない運指で弾いてしまったりすることも防げるでしょう。


時間はかかるけども

 ③の楽譜に書くというのは①、②をさらに徹底した練習で、時間も労力も必要ですが、暗譜を完璧にしたい人はぜひやってみて下さい。私の場合、重要なコンサートで暗譜で弾く場合はたいてい実行しています。特にバッハの曲を暗譜で弾く場合は必ず行います。これは譜忘れのためだけでなくその曲を理解するためにも行います。「何でこの音の次はこの音なのか」とか考えながらやります。もっともその音楽を完全に理解していれば譜忘れなどするはずもないでしょう、忘れるということはその曲が理解が出来ていないからということもできます。また「アルハンブラの想い出」とか「アストゥリアス」など今までたくさん弾いた曲はいつでも楽譜に出来ると思います(ホントかな?)。


ピアソラの場合酒を飲みながら・・・・・

 他にイメージ・トレーニング的に、ギターを実際には弾かずに、頭の中だけで弾く方法もあります。タンゴの巨匠、アストル・ピアソラはバーなどで酒を飲みながら頭の中だけで次の日のコンサートのリハーサルをするそうです。私の場合も比較的簡単な曲の場合は、譜面には書かずにこれだけで済ませますが、これは以外とたいへんでかなり頭が疲れます。どちらかと言えば書いた方が楽で、また時間も意外とかかります。というのもなかなか集中して頭の中で曲を追うことが難しいからです、途中でいつのまにか全然違うことを考えてしまったりします。どちらかといえばイメージ力のある人向きなのですが、とりあえず試みてみるのもよいでしょう。


日にちがあれば細かく、近くなったら大雑把に

 このイメージ・トレーニングも、大雑把にその曲を頭の中でさらうのと、本当に細かく、ここは「レ」でこういう運指で、などと細かくやるのとあると思いますが、コンサートまでまだ日にちがある場合は時間がかかっても細かく、コンサートに近くなったら大雑把に実際の曲のテンポくらいでやるとよいと思います。


複数のシステムで

 人間の記憶というのは、なるべく多数の神経細胞と関連付けておく方が、その記憶を保存し、また呼び戻しやすいのだそうです。指を動かす神経、音として覚える神経、あるいは視覚的に楽譜で覚える神経など、それぞれ異なるシステムだと思いますが、それぞれ別個に記憶し、また頻繁に連絡し合うことがスムーズに記憶を呼び出すにためにはもっともよいことだと思いますし、また何かトラブルがあった時の対処もしやすくなると思います。予期せぬトラブルあった場合でも、多数の乗客を安全に運ぶため、旅客機などは独立した複数の操縦システムを持っているそうですが、この話と少し似ているかも知れません。



 ブログなどやっているわりには、インターネットとか、パソコンなどにはまだまだ弱い私ですが、最近ネットでCDなど買いはじめました。CDのネット販売があるのはもちろん前から知っていたのですが、最近まで相変わらず市内の某電器店まで買いに行っていました。でも最近では欲しいCDはほとんど店頭にはなく、レコード芸術などで番号を調べて、カウンターで注文し、数日してからまた取りに行くというようなことを繰り返していました。


 そんなことをしているのだったらインターネットで取り寄せたほうが速いかなと思い、数日前から始めました。いろいろなところのサイトを見てみたのですが、HMVが一番分かりやすかったので、そこで取り寄せてみることにしました。


 それにしてもすごいですね、イエルク・デムスのシューマンのピアノ曲全集13枚組が1,962円というのは。デムスはウィーンの有名なピアニストで、1970年代の録音ですから内容は決して悪くはないと思います(まだ届いてはいませんが)。いったい1枚あたりいくらになるんでしょうか、カラの音楽用のCDとほとんど変わらない値段ですね、CDにコピーしてもほとんど元がとれませんね。ちょうどシューマンのピアノ全集が欲しいところだったので渡りに船と、さっそく注文しました。他にトスカニーニとメンゲルベルクのベートヴェン交響曲全集なども注文しましたが、どちらも前から欲しいと思っていたものです。


 他にもいろいろ名盤が信じられない価格で出ていました。今でも人気の高い女流チェリストのジャクリーヌ・デュプレの17枚組が6,923円、若き日のカラヤンの10枚組が1,733円、グールドの20枚組が11,963円、ラトルのマーラー全集が6,372など、すべて輸入盤ですが、国内盤の価格からすれば、それぞれとんでもない値段です。やはり輸入盤恐るべしというところでしょうか。


 最近CDは全集で買うことが多いので、これはたいへん重宝です。でもあまり一度に買うとなかなか聴ききれなくなってしまうので、ペースを守りながら買って行こうと思います。もっとも最近はCDを「聴く」のが趣味ではなく「買う」のが趣味になりつつありますが。


 自分でレコード(LP)を買うようになったのは大学生になってからですが、当時は1枚のレコードの値段は1ヶ月の生活費の1割くらいで、本当に悩みながら1枚を買ったものでした、今の価値で考えれば1~2万円くらいはあったと思います。その当時は同じレコードを本当に溝が擦り切れるくらいまで何度も何度も聴きました。


 今思えばそれはそれでよかったような気がします。音楽があまり良く分からないうちにあまりたくさんの曲を聴いたとしても消化不良を起こすでしょうし、一つの曲、あるいは一つの演奏をじっくり聴くべき時期だったように思います。とはいえ当時はいろいろなレコードが聴きたくてたまらなかったのも確かです。CDを「買う」のが趣味になってしまったのはその当時の反動かも知れません。

 
 
 昨日の発表会(11日)に来ていただきました方々、本当にありがとうございました。天気が悪い上に、相変わらずの駐車場の混雑と、いろいろたいへんだったと思います。日曜日だと、どうしても大ホールのほうに大きな行事が入ってしまい、毎回このような感じになってしまいます。土曜日の夕方などにすればそうしたことは少なくなるとは思いますが、子供たちなどもいることを考えるとそれもちょっと難しいかも知れません。その他の点ではこの会場は私達の発表会にはたいへん適しているので、何かいい方法はないかと思っています。


 今回はいつもよりかなり出場者が少なくなってしまい、その関係で客席のほうもちょっと寂しくなってしまいましたが、次回はぜひ多くの人に出場していただければと思います。今回演奏したほとんどの人は以前にも発表会に出ているのですが、それぞれ一人一人の演奏をよく聴くと以前問題だった点を克服したり、しっかりとした音が出せるようになったり、また歌を感じる演奏になったりとか、それぞれ確実に進歩しているように感じました。また、最後に演奏した「木星」はさすがに本格的なオーケストラ曲だけあってまだまだ練習途中といった感じですが、来年も練習して、もう少し聴いている人にも楽しめる演奏にしたいと思っています。


 来年の11月29日(土)には久々(16年ぶり)に私のリサイタルをこの会場で行うことにしました。もちろんコンサートとしては最近でもいろいろ行っているのですが、「中村俊三ギター・リサイタル」として行う場合は私の中では特別な意味を感じます。ちょっと大袈裟なのですが、数年ほど前から考えていて、やっと決断がつきました。いいコンサートになるかどうかは、やってみないとわかりませんが、あとから振り返ってみて「やれることはやったな」と思えるコンサートになればと思っています。

暗譜

 前回は読譜力ということでしたが、今回はその反対の「暗譜」の話です。現在のギター独奏のリサイタルなどは普通、暗譜で演奏しています。皆さんも有名なギタリストのコンサートに行った時などにはそのギタリストの前に譜面台が置かれているのを見たことは少ないと思います。ピアノやヴァイオリンなどでもソリストはたいてい暗譜で演奏します。独奏=暗譜というのが現在の常識ということでしょう。たまに譜面を使って弾くこともありますが、あまり評判はよくないようです。コンサートの聴衆にとっては、そのギタリストが練習不足、あるいはその曲をあまりよく把握できていないのではないかいう印象も受けます。特にギターの場合は視覚的にも、音響的にもじゃまになります。



暗譜はプロの必要条件

 暗譜で弾くということはそのギタリストが、その曲を非常によく理解し、そのコンサートのために丹念に準備したことのアピールにもなっています。また暗譜能力はプロの演奏家の必要条件であるので、多くのギター・コンクールでは暗譜で弾くことを課せられます。アマチュアの人でも発表会などで独奏をする場合は暗譜で弾くことが多いようです。



頭の中真っ白!

 ということで、練習の時はともかく、コンサートや、発表会などでは暗譜で弾くことが必要になってきます。暗譜そのものは、練習さえすればそれほど難しいものではありませんが、そうした場で弾いたことのある人はたいてい経験があると思いますが、発表会など、聴いている人がいるところで弾くと、普段の練習では絶対忘れたりしない曲でも、途中で分からなくなってしまうことがあります。



譜忘れの心配をしていたのでは

 一人で弾いている時には何事もなく弾けるのに、そうした場で弾くとその次どう弾くのだったかさっぱり出てこなくなってしまう、などということがよくあります。もちろんそれは緊張のせいで、そういう時には指の方も思うように行かないのだから、仕方がないと言えば仕方がないのですが、部分的に弾けないのと、その先が全く分からないのではそうとう差がありますから、やはり暗譜の混乱はたいへん困ります。また本当に忘れてしまわないまでも、譜忘れの心配をしながら弾いていたのではなかなかよい演奏はできません。



弾かずに覚える

 暗譜で弾くということは常に譜忘れの心配と隣り合わせということになります。さて、ではどうしたらこの「譜忘れ」の心配から開放されるのかということですが、暗譜といってもその覚え方は人それぞれで、「指の動きで覚える」人、「音で覚える」人、などがいます。前者は、なんとなく繰り返して練習しているうちにだんだん楽譜を見ないで弾けるようになるという人の場合で、大多数の人はこうした覚え方をします、私もこのタイプに属します。後者の「音で覚える」人の場合は、絶対音感がある人が多く、このような人の場合は実際にギターを弾かなくても楽譜を読むだけで曲が覚えられるようです。スペインの有名なギタリストのナルシソ・イエペスは飛行機の中などで曲を覚えたりするそうです。



運指を忘れる?

 「音で覚える」タイプの人は暗譜に時間はかからず、また一度覚えると忘れたりもしないようです。このような人は多少緊張しても譜忘れをすることはないようで、また特に暗譜するための特別な工夫や練習も必要ないようです。歌を歌う時もも歌詞を忘れることはありますが、メロディを忘れることはないのと同じく、自然に覚えられるようです。こうした人はもちろん少数派ですが、私の知っている人でも何人かいます。こうした人は二重奏とか、合奏でもすぐに覚えてしまうので、一緒にやったりする時はこちらが困ってしまいます。もっともこうした人は音は覚えていても、運指がわからなくなってしまうことはあるようで、例えば「ミ」であることはわかるのだが、それが①弦だったか、②弦だったかがわからなくなってしまうとか。



条件反射

 やはり暗譜が問題になるのは、何回も繰り返して弾いて覚える「指で覚える」タイプの人です。確かに何度も繰り返して同じ曲を弾いているといつのまにか譜面を見ないでも弾けるようになります。これは一種の条件反射で、何度も同じ作業を繰り返しているうちに頭で考えなくても指などが自動的に動くようになるというものです。もっともギターを弾く場合、条件反射といってもひざを叩いた時のように本当に大脳に関係なく指が動く訳ではなく、ある程度大脳との情報の行き来はあるでしょうが、大脳を介さない部分も出てきます。実際、何度も弾いている曲だと、他の事を考えながらでも弾けてしまうと思います。何も考えずに自動的に弾けてしまう、などというのはたいへんよいことのようですが、実はこれが問題になるのです。

11月11日(日曜日) pm.2:00~ ひたちなか市文化会館小ホールで「第26回中村ギター教室発表会」を行います。曲目と演奏者は次のとおりです。

1.アラゴネーズ、ハバネラ、闘牛士~カルメン組曲より(ビゼー)
                 演奏:中居 直也、中村 俊三

2.大きな古時計(ワーク)     演奏:菅原  潤
     

3.もののけ姫(久石 譲)       佐々木爽乃


4.緑の木陰にて(ヘンツェ)、タランテラ(サルコニー)    西田 尚輝
                   

5.ハバネラ(アルバ)         甲斐  洋 


6.最初から今まで~冬のソナタより(ユ・ヘジュン、オ・ソクジュン)     清水  亮
       


7.TUNAMI(桑田佳祐)        渡辺 美保



8.ラルゴ~「四季」より冬第2楽章(ヴィバルディ)、グリーン・スリーブス(イギリス民謡)
     生天目康統    伊藤 邦雄    大内 秀毅    甲斐  洋
     庄司  汪     笹森やえ子    中村 俊三

          
9.ラリアーネ祭(モッツアーニ)     伊藤 邦雄


10.ラ・パロマ(イラディエール~タルレガ編)      大内 秀毅


11.カプリース第7番(レニャーニ)           佐藤 智美


12.アレグレット~ソナチネ第1楽章(モレーノ・トロバ)     丹  朋子                            
          

13.練習曲第11番(ヴィラ・ロボス)          中居 直也


14.古城~展覧会の絵より(ムソルグスキー)       中川真理子


15.前奏曲第15番(ショパン~タルレガ編)、カディス(アルベニス)      中村 俊三                          
             

16.木星~組曲「惑星」より(ホルスト)     水戸ギター・アンサンブル
         中村 俊三    石川 恵子    丹  朋子    中川真理子
         中居 直也    萩野谷 稔    佐藤 智美    後関 信一
         市毛 和夫    石川 博久    佐藤 眞美   



 いつもはプログラムの番号が25前後くらいはあるのですが、今回はいつもより少なくなってしまいました。その分聴く方としては長からず、短からずで、かえって聴きやすいと思います。最初は私と中居直也との「カルメン」で、華やかにスタートしたいと思います。最後の水戸ギターアンサンブルの「木星」は本格的なオーケストラ曲だけにかなりの難曲です。

 もちろん入場無料ですので、ぜひ来ていただければと思います。