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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 今日(2月28日)ひたちなか市のアコラでジヴェルニー・コンサートが行われ、そのゲストの大島直(おおしま なおき)さんの演奏を聴きました。大島さんは私の古くからの友人の木村義輝さんに師事し、一昨年までスペインに留学していました。以前木村さんの教室の発表会などで大島さんの演奏は聴いていると思うのですが、あまりはっきりとした記憶はなく、実質今回初めて演奏を聴く感じです。


 大島さんの音は美しく、かつクリヤーなもので、低音、高温ともにしっかりと音作りがなされている感じでした。演奏全体からは、誠実で、温かみのある音楽が伝わってきました。演奏曲目はバリオス(4曲)とアルベニス(3曲)で、最初に演奏されたパラグアイ舞曲第2、3番は、バリオスの曲の中でも演奏されることの少ない曲ですが、美しい音に加えて、細部にまで配慮とコントロールがなされているように思いました。最後に演奏された「朱色の塔」は速いアルペジオなどが多く、アルベニスの曲の中でも結構手強い曲だと思いますが、そうしたことを感じさせない演奏でした。


 今日もいつものとおり、ゲスト演奏の前に一般愛好者の演奏があったのですが、時間に遅れてあまり聴けなかったので、コメントは控えます。


 3月14日(土)にもこのジヴェルニー・コンサートが行われ、私のミニ・コンサートもあります。また明日(3月1日)にはギター文化館で私のミニ・コンサートもあります。

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 今日鈴木幸男さんと久々に二重奏の練習をしました。鈴木さんについてはご存知の方も多いと思いますので、紹介などは省きますが、30年から15年くらい前まではよく二人で二重奏をやっていました。今日は15年ぶりくらいに二重奏をやったわけですが、やはりやりやすいですね。ほぼ初見状態でもそれなりに二重奏ぽくなりますし、曲のテンポなども特に相談しなくてもなんとなく決まってしまいます。ちょっと先ですが、10月24日にアコラで弾く予定になっています。



 3月1日(日)、石岡市ギター文化館でのミニ・コンサートに私が出演します。昨年11月にリサイタルがあった関係で、このギター文化館でのミニ・コンサートは久々となりますが、今回は昨年のものとは曲目なども一変し、次のような曲を演奏します。


pm.2:00~2:30 
 
F.カッティング : グリーン・スリーブス
J.ダウランド : 涙のパヴァーン
         : エリザベス女王のガリアード
         : エセックス伯爵のガリアード
S.マイヤース : カヴァティーナ
中村俊三 : グリーン・スリーブスによる幻想曲
横尾幸弘 : さくら変奏曲
    
    

pm.4:00~4:30   

D.レイス : もしも彼女がたずねたら~ワルツ
A.ラウロ : エル・ネグリート
       : ヴェネズェラ風ワルツ第3番
ガロート : 悲しみのショーロ第1番
A.バリオス  : 郷愁のショーロ
         : ワルツ第3番
         : パラグアイ舞曲第1番


 今回こそは2:00~と4:00~を同じ曲にしようかと思ったのですが、やはり別なプロになってしまいました。同じものを2回弾くのも以外とイヤなものなんですね。2:00~はイギリスに関係のある曲ということで、最初はイギリスのリューテスト、フランシス・カッティング編の「グリーン・スリーブス」で、最近ギターではよく演奏されるもので、私もよく演奏しています。


 ジョン・ダウランドはこの時代(16世紀末~17世紀前半)では特に有名なリューティストで、現在、ギターでもよく演奏されます。特に「涙のパヴァーン」はダウランド自身思い入れのある作品のようで、歌曲(こちらがオリジナル?)やコンソート(アンサンブル)曲にもなっています。またリュート・ソロの譜面もいろいろなものが残されているようです。ダウランドの曲はこの「涙のパヴァーン」のように感傷的な曲が多いようです。「ガリアード」は3拍子の舞曲です。


 「ディア・ハンター」のテーマの「カヴァティーナ」を作曲したスタンレー・マイヤースもイギリス人で、ジョン・ウィリアムスの友人だそうです。この曲の上品な美しさは、時代も音楽の作りもダウランドなどの曲とは全く違いますが、でもどこかに共通したエッセンスがあるようにも思えます。次には私の「グリーン・スリーブスによる幻想曲」で、20年ほど前に作ったものです。実質上は6つの変奏からなる変奏曲ですが、「いたずら弾き」の延長と考えていただければと思います。


 この季節、この「さくら変奏曲」ははずせない曲でしょうか。かつてはいろいろな人の「さくら変奏曲」があったのですが、今やギターで弾くさくら変奏曲と言えば、何もいわずともこの「横尾幸弘編」ということになるでしょう。この横尾編も2種類ありますが、私が演奏するのはジョン・ウイリアムスなどが弾いている「短い」バージョンのほうです。


 4:00~からは中南米の音楽で、「もしも彼女が~」は最近よく弾かれるようになった曲。確かにロマンティックな曲です。詳しいことはよくわかりませんが、もともとは歌なのでしょうか。ベネズエラのギタリスト、アントニオ・ラウロの2曲もギター・ファンにはおなじみの曲。ガロートの「悲しみのショーロ第1番」は、私のお気に入りの曲ということで、時々演奏しています。しみじみとして、なかなかよい曲です。バリオスの3曲についてはあまり説明はいらないかなと思いますが、最後の「パラグアイ舞曲第1番」は私の手の大きさだとかなり無理のある曲なのですが、本当に「無理やり」弾いています。



 
      本 007


クェサーの謎~宇宙でもっともミステリアスな天体

          谷口義明著  BLUE BACKS  講談社



懲りたはずだが

 私の場合、大学時代の苦い思い出から物理学などという文字は見るのも、聴くのも嫌いになったかといえば、意外とそうでもなく、時々このような本を読んだりしています。もっともこの本など物理学、あるいは天文学の本というより、物理学に「多少関係のある本」といったほうがよいかも知れません。数式などを見ると頭が痛くなるのは昔とあまり変わっていなくて、そういったものが出てくるとなるべく見ないようにしています。


 といったことで今回は本当に音楽にもギターにも関係ない本になってしまいましたが、ちょっと一息つきたい時、遠い遠い、本当に遠い宇宙の果てに想いを馳せるのも一つかなと思います。クェサーという言葉がどれくらい認知度があるのかわかりませんが、ブラック・ホールとかビック・バンなどよりは低いのではないかと思いますので、一応説明しますが、何ぶんド素人の説明なので、興味のある方は当書、または検索などで確かめて下さい。


星みたいなもの?

 クェサーは言葉の意味からすると「恒星状の電波源」といったような意味ですが、実態としては「非常に遠方(10億光年~128億光年)にある、異常に活動的で明るく輝く銀河の中心核」ということになるでしょうか。もともとは名前のとおり電波源として発見されましたが(1963年)、電波源といった意味合いは二次的な問題のようです。「恒星状」とはその光源が極めて小さく、光学望遠鏡では私たちの銀河(天の川銀河)内の恒星のように見えるからだそうです。実際は前述のとおり銀河系外のはるかに遠いところから極めて強い光を放つ天体ということになります。


巨大ブラック・ホールが鎮座

 この極めて強い光源は、明るい星などがたくさん集ったくらいででは実現できる強度ではなく、巨大なブラック・ホール(太陽の100万倍~10億倍の質量)が関係している以外には考えられないようです。もっともブラック・ホールは文字通り「真っ黒で見えない」天体ですからブラック・ホール自体は輝いたりはせず、実際に輝くのはブラック・ホールの周囲を高速、高密度で回転するガスということになります。まとめると、クェサーとは中心核に巨大なブラック・ホールを持ち、そこに円盤状にガスが高速、高密度で回転して(最後にはブラック・ホールに落ち込む)、その際極めて強い電磁波を出している銀河、またはその銀河の中心核ということになります。


銀河の衝突

 このような巨大なブラック・ホールが出来た理由として銀河の衝突があるようです。衝突といっても銀河の星どうしが直接衝突するわけではなく(いろいろな条件から考えて直接ぶつかるのは極めて難しい)、二つ、あるいは複数の銀河が一つになると考えたほうがよいかも知れません。ただしブラック・ホールだけはその引力の強さから二つ、あるいは複数のブラック・ホールが一つになる確率が高いのだそうです。その様に衝突を繰り返して巨大なブラック・ホールが出来るようです。


身を潜めて

 このクェサーはビッグ・バンから10億年後くらいから現れ、現在から10億年くらい前、つまり私たちの銀河から10億光年以内では発見されていません。セイファート銀河というそれほど強い光は放ってはいないが、クェサーと似た性質をもつ銀河はあるのですが、クェサーそのものは現在では見あたらないようです。クェサー、すなわち巨大ブラック・ホールが消えてしまうことはありえなく、存在するが、ただかつてのように光らないだけのようで、おそらくガスなどの少ない楕円銀河になってしまっているのではないかということのようです。


ホワイト・ホール?

 私がこのクェサーのことを本で最初に読んだのは確か1970年代の終わり頃だったのではないかと思います。その頃はまだブラック・ホールなどでさえ一般にはまだあまり知られてなく、このクェサーなど本当に宇宙の果ての未知なる天体として書かれていました。確かに「その中心には巨大なブラック・ホールが潜んでいるのかも知れない」とも書いてあったと思いますが、断定的ではなく、「それはもしかしたらホワイト・ホールで、さかんにこの宇宙にエネルギーと物質を供給しているのかも知れない」、あるいは「もしかしたらこれは宇宙にあいた窓で、クェサーはこの宇宙外から来る光かも知れない」とも書いてあったような気がします。

 「ホワイト・ホール」というのはブラック・ホールの反対でブラック・ホールは光や星やガスなどすべてのものを飲み込んでしまうわけですが、ホワイト・ホールのほうは逆にそういったものを「吐き出す」天体というわけで、「ブラック」があるなら「ホワイト」があってもいいんじゃないかということのようです。最近ではこの言葉は全く聴かなくなりました。妄想の域を出ないのではないかと思いますが、しかし何があってもおかしくない物理学の世界ですから断定は出来ないかも知れません。いずれにしても30年くらい前にその本を読んだ時、私自身とても衝撃と興奮を感じたのを覚えています。


この宇宙は何次元?

 今回挙げた本は2004年の出版ですから、その後の研究や観測によりクェサーに関しては、前述のとおりかなり詳しくわかってきたようで、前に読んだ時疑問だった点などについてはっきりとした解答が出された感じで、確かにすっきりとはした感じです。しかし逆にいえばあまり「ミステリアス」ではなく、あって当然なものといった感じで、興奮度は「ホワイト・ホールか!、はたまた別の宇宙への小窓か!!」のほうがあったっかも知れません。

 宇宙などというのは多少わからないところがあるほうがロマンが掻き立てられるのかも知れません。でもいくら研究が進んだとしても未知なる部分に事欠くことはないでしょう、何かがわかれば次にまた疑問が生じるでしょういから。最近の宇宙物理で「未知」といえば差し当たり「ダーク・マター」というやつかも知れませんね、これがなければ私たちの銀河は形成されず、また美しい渦巻き形も維持出来ないのだそうですが、まだその正体は掴めていません。異次元からの重力効果という話もありますが・・・・・
 

 
 昨日=1月31日(土) ひたちなか市アコラで行われたジヴェルニー・サロンに行きました。悪天候にもかかわらず、いつものように熱心な愛好者が参加し、ロミオとジュリエット(ニノ・ロータ)、ソルおよびブローウェルのエチュード、アンクラージュマン、舞踏礼賛、アリアと変奏(フレスコバルディ)などが演奏されました。アコラで行われるイヴェントとしては今年最初のものです。
 

 ゲスト演奏は茨城県出身で群馬の伊藤博志氏に師事した谷島崇徳さんで、独奏で、前奏曲第2番(ヴィラ・ロボス)、雪が降る(パティーニョ)、タンゴ・アン・スカイ(ディアンス)、フェリシダージ(ジョビン~ディアンス編)を演奏し、夫人の谷島あかねさんのピアノとのデュオで、はかなき幻影、ドリーム・チャイルド(佐藤弘和)、コルドバ(アルベニス)を演奏しました。


 谷島さんはこうしたラテン系の曲が得意なのでしょうか、たいへんセンスの良さが感じられました。「この曲はあまりラテン系の感じがしない」と言って演奏した「タンゴ・アン・スカイ」もラテン系のリズムが感じられました。


 ピアノとのデュオはご夫婦らしく息のあったものでしたが、佐藤弘和氏の曲はオリジナルの作品なのでしょうか、とても楽しめる作品でした。コルドバはちょっと「遊び」の入った編曲でした。


なお次回のジヴェルニー・サロンは2月28日で、ゲストは大島直さん、次は3月14日でゲストは私です。