中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 いつのまにかこの9月にも連休が出来てしまいました。5月のゴールデン・ウィークに対して、シルバー・ウィーク(敬老の日があるから?)と言うんだそうですが、まだちょっとピンときませんね。


 この連休を利用して息子夫婦(創、明子)が福岡から帰省しました。お盆に行けなかった分、親戚まわりや、お墓参りということになりました。特に私の実家のある栃木方面では、滅多に来られないということで、お墓を何ヶ所か”はしご”したりして、ちょっと疲れたようです。


 今度福岡で、二人でちょっとしたコンサートに出るということで、デュオ(フルートとギター)の練習をしていました。バルトークの「ルーマニア民族舞踏」などの他、たまたま私が持っていた楽譜に載っていたマルセル・モイーズの「山人の歌」が面白いと言って練習をはじめました。今度のコンサートの演奏曲目にするそうです。私自身こんな譜面持っていたなど、すっかり忘れていました。というよりどういう曲かわからなくて、全く興味の対象から外れていたと言ってよいでしょう。


 この曲は3つの楽章があって、演奏時間はおそらく10分以上という、結構な大曲です。マルセル・モイーズという人は有名なフルーテストですが、フルーテストの作曲にしては、ギター・パートもかなりしっかりしていて、充実した感じがあります。初めて聴く曲ですが(楽譜だけはは30年くらい前から持っている!)、なかなかよい曲です。多分あまり演奏されない曲なのではないかと思いますので、なかなかよい選曲だと思いました。



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 あと15分で家を出ないと・・・・ 福岡に帰る直前にちょっと練習。マルセル・モイーズの「山人の歌」を音合わせ。
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 今日=9月20日(日)ひたちなか市アコラで大島直(なおき)さんのリサイタルがありました。大島さんはアコラでは2回目のコンサートとなります。プログラムは以下のとおりです。


E.サインス・デ・ラ・マーサ : ギター賛歌、 散歩(「プラテーロと私」より)、 ハバネラ

F.タレガ : パヴァーナ、 メヌエット、 マズルカト長調、 ワルツ「二人の姉妹」

I.アルベニス : グラナダ、 朱色の塔


 スペインのギタリスト、エドアルト・サインス・デ・ラ・マーサ (兄のレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサも有名なギタリスト) の作品は、一般的にはあまり知られていませんが、大島さんが特に力を入れているもので、ギターの音色などがよく生かされた美しい曲だと思いました。大島さんの演奏も、たいへんよく弾き込まれていて、素晴らしいものでした。大島さんのギターの音、あるいは音楽には、何か”ぬくもり”のようなものが感じられ、とても好感が持てます。「プラテーロと私」は、一般にテデスコのものが有名で、このデ・ラ・マーサのもは私も初めて聴きました。「ハバネラ」はかつてイエペスのLPで聴いていて、ちょっと懐かしい感じがしました。


 タレガの4曲は通向きの”しぶい”選曲と言えるでしょう。アルベニスの2曲は前回も演奏したものですが、「グラナダ」はバルエコ編、「朱色の塔」はリョベット編を基にしているようです。楽器のほうは前回はホセ・ルビオを使用していましたが、今回はフランスの製作家、ドミニック・フィールドのもの使用していました。とても演奏者に合っているようです。


 なお次回のジヴェルニー・サロン・コンサート(10月24日)では、私と鈴木幸男さんとでニ重奏を行います。
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イサーク・アルベニス(1860~1909 スペイン)


 前にもお知らせしましたが、12月13日(日)、ギター文化館で行う、アルベニス没後100年記念のコンサートのチラシやチケットなどの準備が出来ました。クラシック・ギターに興味のある方でしたら、19世紀のスペインの作曲家、イサーク・アルベニスのことはよくご存知かも知れませんが、私個人的にもとても思い入れのある作曲家で、これまでもよく演奏してきました。またあまりご存知でない方にとっても、とてもギター的(本来はピアノのために作曲されていますが)で、また親しみやすい作品だと思います。


 コンサートのタイトルや日時、曲目はホーム・ページの方にも書いてありますが、以下のとおりです。



中村俊三アルベニスを弾く~イサーク・アルベニスを讃えて、没後100年記念

2009年 12月13日(日) 14:00

石岡市ギター文化館

主催 中村ギター教室  入場料 2000円



曲目

パヴァーナ・カプリチョ (1883年)

入江のざわめき (「旅の思い出」より1887年)

前奏曲、マラゲーニャ、カタルーニャ奇想曲、タンゴ (「組曲スペイン」より1890年)

朱色の塔 (「特性的小品集」より1889年)

前奏曲(アストゥリアス)、オリエンタル、コルドバ (「スペインの歌」より1896年)

グラナダ、カディス、セビーリャ (「スペイン組曲」より1886年)


 計13曲ですが、このうち 「朱色の塔」、「アストゥリアス」、「コルドバ」、「グラナダ」、「カディス」、「セビーリャ」の6曲は昨年のリサイタルで弾いた曲。 「入江のざわめき」、「マラゲーニャ」、「タンゴ」の3曲は以前にもリサイタルなどで弾いた曲。「パヴァーナ・カプリチョ」、「前奏曲」、「カタルーニャ奇想曲」、「オリエンタル」の4曲は今回の演奏会のためにピアノ譜から新に編曲したもので、これまではギターではあまり演奏されていなかった曲です。


 チケットは中村ギター教室、およびギター文化館で取り扱っていますので、よろしくお願いします。なおこのコンサートはギター文化館の「コンサート・シリーズ」には属しておらず、私の自主企画となっています。


 アルベニスや、その作品についてはこれまで何度か書いてきましたが、何と言っても今年は記念の年なので、”おさらい”の意味で次回よりあらためて詳しく紹介してゆきます。

パラグアイ出身の女流ギタリスト、ベルタ・ロハスのリサイタルを聴きました(9月13日、石岡市ギター文化館)。プログラムは以下のとおりです。


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ヴィンセント・リンゼイ・クラーク : ローラ

エディン・ソリス : パサヘ・アビエルト ~プレリュード、 ダンサ

キケ・シネーシ : 君への歌、 アルタ・パス、 澄み切った空

イ・ビョウ : マザー、 ランⅠ

エグベルト・ジスモンチ : フレーヴォ、 マランドロのバイヨン


アウグスティン・バリオス : 最後のトレモロ
                : ワルツ第3番、第4番
                : パラグアイ舞曲第2番、第1番
                : 演奏会用練習曲
                : アレグロ・シンフォニコ 
                : 大聖堂


 *アンコール曲  バリオス : マシーシ、 フリア・フロリダ、 蜜蜂、 人形の夢
             タレガ  : アルハンブラの思い出


 このギタリストのことは現代ギター誌でも紹介されていましたが、あまり読んでいなかったのでほとんど白紙の状態でコンサートを聴きました。先入観もなく始めてのギタリストを聴くにはかえってよかったかも知れません。ステージに登場するとチューニングもなしでいきなり弾き始めました。杉材の楽器を使用しているようですが、明るくとてもよく通る音です、指の瞬発力もかなりあるのでしょう。


 聴き進めてゆくと、かなり能力の高いギタリストであると感じましたが、その演奏を目で見ていると、とても自然なフォームで、ほとんど無駄な力や動きのない弾き方です。技術的に難しい個所でも、見た目ではほとんどそれが感じられません。


 表現上の特徴としては”歌わせる”ことにかなりのウエイトを置いているのではないかと思いました。主旋律と伴奏のバランスには細心の注意をはらっているようで、複雑な曲でも主旋律が浮かびあがるように弾いています。またメロディにはそれぞれほんの少しだけヴィヴラートが付けられていて、決して目立ちはしないが、それが主旋律が主旋律として聴こえてくる要因の一つになっているようです。


 本当に最近はレヴェルの高いギタリストが多くなりましたね。

 教材用CD vol.2 出来ました。 今年の7月に教室のスタジオで録音したもので、あまりちゃんとした装置で録ったものではないので、音質などは”それなりに”といった感じです。家のまわりには木が茂っていて、時間になるとセミが鳴き出し、また近所の犬も時々吼え出します。そうした間隙をぬって録音したのですが、素朴な方法で(MDプレーヤー)録っているので、大きな休符のところ意外では編集は出来ません。ほぼ”一発録り”なので間違えたりするとまた最初から弾き直しです。



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 中には偶然というか、1回で録れてしまったものもありますが、逆に相当な回数弾いているものもあります。テンポやリズムの狂いによる録りなおしも結構多いです。またせっかく取れたのにセミの声による録りなおしもあります。出来上がったCDでもヴォリュームをあげて聴くと、セミや鳥の声、犬の鳴き声が若干聴こえますが、普通程度のヴォリュームで聴く分にはわからないと思います。収録曲目は以下のとおりです。


1.イタリアーナ(作者不詳~16世紀のリュート曲)
2.ケンプ氏のジグ(作者不詳~16世紀末のリュート曲)
3.グリーン・スリーブス(イギリス民謡~カッティング編)
4.パヴァーナ(サンス)
5.二つのメヌエット(ラモー)
6.メヌエット(原曲ト長調~バッハ)
7.メヌエット(原曲ト短調~バッハ)
8.ソナタニ長調(カルリ)
9.ラ・メランコリア(ジュリアーニ)
10.アレグロ・ヴィバーチェ(ジュリアーニ)
11.アンダンティーノ(ソル)
12.ロンド(ソル)
13.一輪の花(ブロカ)
14.水神の踊り(フェレール)
15.スペインの微風(フェレール)
16.ラ・パロマ(イラディエル~タレガ編)
17.スエーニョ(タレガ)
18.エンデチャ、オレムス(タレガ)
19.ロシータ(タレガ)
20.聖母の御子(カタルーニャ民謡~リョベット編)
21.アメリアの遺言(カタルーニャ民謡~リョベット編)
22.エル・ネグリート(ラウロ)
23.ガティーカ(ラウロ)
24.鐘の響き(ペルナンブコ)
25.エストレリータ(ポンセ)


 今回の曲目は”中級程度”と言えると思いますが、こうした曲でも練習の参考になるように録音するのはやはりたいへんです。レッスンの時に「ここはこのように弾いてください」と言っても、「先生のCDではそうは弾いていませんけど」などと言われてしまっても困ります。もっともどう頑張っても本当に模範になるような演奏は出来ません。また基本的に編集出来ないと言うことで、かなりの緊張と集中力が必要になり、集中力を鍛えるのには、こうしたことはよいことかも知れません。


 なおパッケージのデザイン等は伊藤邦雄さんにお願いしました。おかげで”見た目”的には本格的なCDとなりました。当CDは基本的にはプライヴェートなもので非売品ですが、教室の生徒さんには必要に応じてテキストといっしょに若干の実費をいただいてお渡しする予定です。なおvol.1のほうは一昨年製作して、今度このvol.2とあわせてパッケージのデザインを変更しています。予定ではvol.9くらいまで考えているのですが、だんだん曲が難しくなるのでどうなるでしょうか。
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 今日(9月6日)ギター文化館で村治奏一君のリサイタルを聴きました。7月の大萩君と続けてこのギター文化館で現在日本で最も注目されるギタリストの演奏を聴くことになります。奏一君の演奏は一昨年ギター文化館、昨年つくばノヴァ・ホール以来ということになります。今日のプログラムは以下のとおりです。


 第1部

ソル : 第7幻想曲作品30

バッハ : シャコンヌ



 第2部

アルベニス : セビーリャ

バリオス : ア・ミ・マドレ(我が母へ)

ストレイホーン~ディアンス編 : A列車で行こう

バリオス : 過ぎ去りしトレモロ

レゴンディ : ノクターン「夢」作品19

ディアンス : フォーコ(リブラ・ソナチネより)

タレガ : アルハンブラの思い出

マイヤーズ : カヴァティーナ

アレン~武満編 : オーヴァー・ザ・レインボー

ジョビン~ディアンス編 : フェリシターヂ


 *アンコール曲   ポンセ : エストレリータ     作者不詳 : 愛のロマンス


 冒頭で奏一君自身で言っているとおり、第1部と第2部とではだいぶ曲数が違います。演奏時間は曲数ほどではないですが、やはり第2部のほうが長いものでした。急遽館所蔵の楽器を用いての演奏となり、最初のソルの幻想曲はアントニオ・トーレスで演奏されました。奏一君のこの曲は以前にも聴いていて、大きくは以前の演奏とそれほど違いないのでしょうが、今日の演奏では音も、またその音楽もいっそうクリヤーな感じがしました。


 シャコンヌとセビーリャはマヌエル・ラミレスで演奏されました。奏一君の弾くシャコンヌは以前にも書いたとおり、ヴァイオリンの譜面をほとんどそのまま演奏していて (ごく僅か和音の配置を変更している程度)、低音などの追加は全くしていません。昨年ノヴァ・ホールで聴いた時とはちょっと違った印象だったのですが、後で奏一君に聴いたところ、特に変更はしていないとのこと。会場の違いが大きいのでしょうか、今日の方が自然に感じました。セビーリャは明るい音を多用していて、文字通り華麗な演奏です。アレンジも私などが弾いているものよりずっと難しいものになっていますが、もちろんそんなことは感じさせない演奏です。


 「ア・ミ・マドレ」から「フォーコ」までは奏一君所有の楽器である中野潤製作の楽器が使われましたが、前後に演奏された名器に比べても全く遜色なく、若さと華やかさを感じる楽器で、やはり演奏者には最も合っている楽器かなと思いました。とても美しく演奏された「ア・ミ・マドレ」もさることながら、次に演奏された「A列車でいこう」は、こんな演奏他の誰も出来ないといった感じで、ただ、ただ拍手するのみ!


 「過ぎ去りしトレモロ」、「夢」、「アルハンブラの思い出」とトレモロの曲が3曲演奏され、そのトレモロの美しさは今さら言うまでもないのですが、一音一音が美しいだけでなく、その一つ一つを完全にコントロールしていて微妙にそのスピードを変えながら歌わせています。またどんなに難しい個所でも左手と完全にシンクロしていて、美しいメロディ・ラインとなっています。


 ディアンスの「フォーコ」は普通の感覚で言えばかなりの難曲ですが(少なくとも私には弾けない)、もしかしたら奏一君にとっては今日のプログラムの中で最も気軽に弾ける曲だったかも知れません。相当なスピードで弾いているのですが、音が不明瞭になることもなく、またバランスや音量も損なうことなく会場内を興奮に包んでしまいます。


 「アルハンブラの思い出」から「フェリシダーヂ」まではドミンゴ・エステソを使用しましたが、この楽器は5月の当館のフェスティヴァルの時、私も弾かせていただいた楽器で、「華やかで、スペインの曲がよく似合う」と言った覚えがありますが、奏一君は「カヴァティーナ」や「オーヴァーザ・レインボー」などをしっとりと柔軟に、やさしく演奏していました。


 今回の演奏曲目はほとんど前回も聴いているのですが、それでもまたいろいろ驚かされたコンサートでした。
 
 これまで私の教室ではピッチを440Hzにしていましたが、思い切って (思い切るようなことでもないかも知れませんが) この9月より442Hzにすることにしました。3日ほど前から生徒さんに、「今月からいろいろ事情で、ここを”442”に合わせて下さい」 などと言っているのですが、意味がわかったような、わからないような。


 一般的にA=442Hzになったのがいつ頃かわかりませんが、私が大学のギター部に入った頃は音叉を用いてチューニングしていましたが、音叉は当時ほとんど(すべて?)440だったので、当然誰もがそれでやっていたと思います。また確か中学の教科書にもA=440Hzと書いてあったように思います。ただしレコードなどはちょっと高かったような気がしますから、世界的なギタリストなどはかなり前から440より若干高くしていたかも知れません。


 しかし最近では気がついてみると周囲はほとんど442、チューナーの初期設定も442のほうが多くなっていて、さすに保守的な私もこれ以上440でがんばるのも難しいかなということで、前述のとおり、清水の舞台から飛び降りたつもりで442を決行することにしました(ちょっと大袈裟過ぎ!)。政権交代とは何の関係もありませんが。


 ところで440と442がどれくらい違うかということですが、1秒間で”うなり”が2回生じる程度(1弦の5フレットの「ラ」では1秒間に2回、5弦の開放なら2秒間に1回)、チュナーで言えば"緑”と”赤”のランプが両方つく程度ということになります。これが聞き分けられる人がどれくらいいるかわかりませんが、自慢ではないが私にはよくわかりません (本当に自慢にはならない!)。ただし440で合わせた人と442で合わせた人が2重奏をやると完全に狂って聴こえます。


 確かにどちらでも大きな差はないと思いますが、アンサンブルなどではちゃんと統一しないとたいへんなことになりますから、そうした場合ははっきりと決めなければなりません。もっとも「大きな差はない」と言うのはあくまで”私程度の音感”ではですから、これを「大きな差」と感じる人もいると思います、プロの音楽家ならその方が当然かも知れません。「440では気持ち悪くて弾けない」とか、「442ではヒステリックに聴こえていやだ」と言う方々もいるのではないかと思います。またギターに関して言えば、弦の張りに若干関係してくるかも知れませんから、そちらの方を強く感じる人もいるかも知れません。


 と言った訳で、当教室、および水戸ギター・アンサンブルの関係者の方々は、今月よりチューナーの設定を A=442Hz にしておいて下さい。