朱色の塔 ~「特性的小品集」より
この曲もギターでは馴染みの深い曲。ミゲル・リョベット以来多くのギタリストにより演奏されています。この曲のタイトルは夕日に赤く染まった城砦の意味で、アルハンブラ宮殿の別称と言われています。「特性的小品集」は1888年頃の出版で、計12曲からなります。かつてドイツのギタリスト、トーマス・ペリュング氏がこの中から8曲ギターにアレンジして録音していました。CDは現在入手可能かどうかわかりませんが、楽譜のほうは現代ギター社から出ていて入手できると思います。「朱色の塔」以外の曲もなかなか面白いのですが、ただどの曲も技術的にはかなり難しくなっていて、特にペリュング氏は手が大きいらしく、私には全然届かないところが何箇所も出てきます。
この「朱色の塔」は原曲はホ短調ですが、ギターの場合リョベット以来、ほとんどニ短調に移調されていて、大筋ではどのギター譜も差がなく、このリョベット編を基本にしている感じがあります。私のアレンジもそうしたものの一つですが、やはり私の技術レヴェルに合わせてあるので、他の編曲よりは若干弾きやすいのではと思います。因みに原曲のピアノ譜は全音出版からピースで出ているので手軽に入手できます(原典にどれくらい忠実なのかは不明)。
「スペインの歌」より
プレリュード、オリエンタル、コルドバ
「スペインの歌」は1896年頃作曲され、出版されたもので、プレリュード、オリエンタル、やしの木陰、コルドバ、セギディリャの5曲からなり、作品番号232が付けられています。アルベニスの円熟期の作品で、それぞれ充実した内容の作品と言えると思います。このうち「プレリュード」は第4曲「アストゥリアス=レーエンダ」として、セギディリャは第7曲「カスティリャ」として、アルベニスの没後に出版社によりスペイン組曲作品47に組み入れられました。
プレリュード
前述のとおり、一般には「アストゥリアス」として知られている曲で、ギターで演奏するアルベニスの曲としては最も有名な曲といえます。この曲については当ブログでも何度か取り上げていますが、今年の7月号の現代ギター誌の記事によれば、セゴビアはセベリーノ・ガルシア・フォルテアという人のアレンジを参考に編曲したということのようです。このフォルテアのアレンジは部分的に楽譜も載っていましたが、16分音符の裏打ちを3連符にしてある点など、現在一般的に弾かれているアレンジの基になっているようです。原曲はト短調ですが、ギターではホ短調で演奏されます。チューニングの関係からいっても他の調を選択するのは難しいでしょう。
「スペインの歌」の「プレリュード」と、「スペイン組曲」の「アストゥリアス」では音符的にはほとんど同じですが、強弱記号や表情の指示は異なります(少なくとも私の手元にある譜面では)。おそらく出版の際に書き換えられたものと考えられますが、「アストゥリアス」のほうが表情も細かく指示され、強弱の変化もいっそう大きなものに書き換えられています。そのどちらを取るかは演奏者しだいということになりますが、私の場合前にも書いたとおり、よりアルベニスの意思が反映されていると思われる「プレリュード」のほうの指示に従っています。いつもは「アストゥリアス」として演奏しているこの曲ですが、今回はオリジナルの曲名、すなわち =「スペインの歌」作品232より「プレリュード」= として演奏します。
オリエンタル
オリエンタルとは「東洋風」といった意味ですが、もちろん日本などの東アジアのことを言っているわけではなく、「アラビア風」といった方がわかりやすいと思います。作曲技法的には普通のニ短調で特に東洋風ではないのですが、3連符を多用している点などがアラビア風に聴こえる要因なのだろうと思います。ギターではあまり弾かれることの少ない曲ですが、かつてイタリアのギタリスト、エルネスト・ビテッティが「セゴビア編」として録音していました、セゴビア編の譜面もあるのでしょうか。ギターにはこのニ短調の原調のままでたいへんよく収まり、アレンジ的な問題点は特にありません。この曲の哀愁を帯びた雰囲気はギターにもたいへんよく合うと思います。

コルドバ
コルドバ大聖堂の鐘の音で始まり、軽快なリズムに乗って美しいメロディが歌われるこの曲も、ギターでは人気曲の一つで、最近ではたいへんよく演奏されます。かつてはエミリオ・プホールの二重奏版などがありましたが、独奏ではおそらく1970年頃ジョン・ウィリアムスが演奏したのが最初だろうと思います。ウィリアムスのLPでは「世界初録音」と謳ってありました。原曲はニ短調で、この曲もギターでは移調せずにニ短調のままで演奏されています。ギターにアレンジする場合、若干の簡略化はやむを得ないところですが、おおまかにはそれほど内容を変えずにギターで弾くことが出来ると思います。因みにコルドバはアンダルシア地方の、ガダルキビル川の中流にある都市で、ローマ時代の橋などで知られています。
この曲もギターでは馴染みの深い曲。ミゲル・リョベット以来多くのギタリストにより演奏されています。この曲のタイトルは夕日に赤く染まった城砦の意味で、アルハンブラ宮殿の別称と言われています。「特性的小品集」は1888年頃の出版で、計12曲からなります。かつてドイツのギタリスト、トーマス・ペリュング氏がこの中から8曲ギターにアレンジして録音していました。CDは現在入手可能かどうかわかりませんが、楽譜のほうは現代ギター社から出ていて入手できると思います。「朱色の塔」以外の曲もなかなか面白いのですが、ただどの曲も技術的にはかなり難しくなっていて、特にペリュング氏は手が大きいらしく、私には全然届かないところが何箇所も出てきます。
この「朱色の塔」は原曲はホ短調ですが、ギターの場合リョベット以来、ほとんどニ短調に移調されていて、大筋ではどのギター譜も差がなく、このリョベット編を基本にしている感じがあります。私のアレンジもそうしたものの一つですが、やはり私の技術レヴェルに合わせてあるので、他の編曲よりは若干弾きやすいのではと思います。因みに原曲のピアノ譜は全音出版からピースで出ているので手軽に入手できます(原典にどれくらい忠実なのかは不明)。
「スペインの歌」より
プレリュード、オリエンタル、コルドバ
「スペインの歌」は1896年頃作曲され、出版されたもので、プレリュード、オリエンタル、やしの木陰、コルドバ、セギディリャの5曲からなり、作品番号232が付けられています。アルベニスの円熟期の作品で、それぞれ充実した内容の作品と言えると思います。このうち「プレリュード」は第4曲「アストゥリアス=レーエンダ」として、セギディリャは第7曲「カスティリャ」として、アルベニスの没後に出版社によりスペイン組曲作品47に組み入れられました。
プレリュード
前述のとおり、一般には「アストゥリアス」として知られている曲で、ギターで演奏するアルベニスの曲としては最も有名な曲といえます。この曲については当ブログでも何度か取り上げていますが、今年の7月号の現代ギター誌の記事によれば、セゴビアはセベリーノ・ガルシア・フォルテアという人のアレンジを参考に編曲したということのようです。このフォルテアのアレンジは部分的に楽譜も載っていましたが、16分音符の裏打ちを3連符にしてある点など、現在一般的に弾かれているアレンジの基になっているようです。原曲はト短調ですが、ギターではホ短調で演奏されます。チューニングの関係からいっても他の調を選択するのは難しいでしょう。
「スペインの歌」の「プレリュード」と、「スペイン組曲」の「アストゥリアス」では音符的にはほとんど同じですが、強弱記号や表情の指示は異なります(少なくとも私の手元にある譜面では)。おそらく出版の際に書き換えられたものと考えられますが、「アストゥリアス」のほうが表情も細かく指示され、強弱の変化もいっそう大きなものに書き換えられています。そのどちらを取るかは演奏者しだいということになりますが、私の場合前にも書いたとおり、よりアルベニスの意思が反映されていると思われる「プレリュード」のほうの指示に従っています。いつもは「アストゥリアス」として演奏しているこの曲ですが、今回はオリジナルの曲名、すなわち =「スペインの歌」作品232より「プレリュード」= として演奏します。
オリエンタル
オリエンタルとは「東洋風」といった意味ですが、もちろん日本などの東アジアのことを言っているわけではなく、「アラビア風」といった方がわかりやすいと思います。作曲技法的には普通のニ短調で特に東洋風ではないのですが、3連符を多用している点などがアラビア風に聴こえる要因なのだろうと思います。ギターではあまり弾かれることの少ない曲ですが、かつてイタリアのギタリスト、エルネスト・ビテッティが「セゴビア編」として録音していました、セゴビア編の譜面もあるのでしょうか。ギターにはこのニ短調の原調のままでたいへんよく収まり、アレンジ的な問題点は特にありません。この曲の哀愁を帯びた雰囲気はギターにもたいへんよく合うと思います。

コルドバ
コルドバ大聖堂の鐘の音で始まり、軽快なリズムに乗って美しいメロディが歌われるこの曲も、ギターでは人気曲の一つで、最近ではたいへんよく演奏されます。かつてはエミリオ・プホールの二重奏版などがありましたが、独奏ではおそらく1970年頃ジョン・ウィリアムスが演奏したのが最初だろうと思います。ウィリアムスのLPでは「世界初録音」と謳ってありました。原曲はニ短調で、この曲もギターでは移調せずにニ短調のままで演奏されています。ギターにアレンジする場合、若干の簡略化はやむを得ないところですが、おおまかにはそれほど内容を変えずにギターで弾くことが出来ると思います。因みにコルドバはアンダルシア地方の、ガダルキビル川の中流にある都市で、ローマ時代の橋などで知られています。
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