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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。


ヴァイオリン協奏曲第1番は生前に出版

 前回の話でパガニーニのヴァイオリン協奏曲は生前には出版されていないように言ってしまいましたが、よく調べてみると「第1番二長調作品6」については1920年、つまりパガニーニの活動の盛期に出版されていて、おそらくこれは海賊版的なものではなく「正規版」と考えられます。確かに他の曲よりオーケストラ・パートも充実しているように思えます(ロッシーニ風と言うべきか)。

 リストの「カンパネラ」で有名な「第2番ロ短調作品7」は没後の1851年に出版され、他の曲は20世紀になってから発見されたり、出版されたりしています。これらの中には他の音楽家が採譜したものも含まれるようですが、どの曲がそうなのか、あるいはパガニーニの自筆譜があるものがあるのかなどは手元の資料ではわかりません。

 前回は余計な話が多くて曲目の紹介をし忘れてしまいましたが、このアルバムに収められている曲は次のとおりです。


CD1-CD3
・チェントーネ・ディ・ソナタ集(18曲) MS.112
・カンタービレ ニ長調 MS.109

CD4-CD5
・6つのソナタ MS.9
・6つのソナタ MS.10
・6つのソナタ MS.11
・6つのソナタ MS.12
・6つのソナタ MS.13

CD6 
・6つのルッカ・ソナタ Op.3 MS.133
・6つのルッカ・ソナタ Op.8 MS.134
・デュエット・アモローゾ MS.111

CD7
・アドニスの入場 MS.8
・6つのソナタ集 Op.2(Op.9) MS.26
・6つのソナタ集 Op.3(Op.10) MS.27
・アレグロ・ヴィヴァーチェ MS.72

CD8
・ソナタ・コンチェルタータ MS.2
・カンタービレとワルツMS.45
・ジェノヴァの歌「バルカバ」による60の変奏曲 Op.14,MS..71

CD9
・6つの二重奏曲集 MS.110
・変奏を伴ったカルマニョーラ MS.1
・グランド・ソナタ MS.3


 
 上記の曲目リストのとおり曲数はたくさんあります。「ソナタ」とされている曲はほとんど、「ゆっくり=速い」の2楽章の形になっていて、確かによく似ています。なお「MS」はパガニーニの作品の整理番号と思われますが、詳しくはわかりません。



「ヴァイオリンとギター」ではなく「ギターとヴァイオリン」

 これらの曲の中で、特徴的な曲としては前にも触れたCD9の「ギターとヴァイオリンのためのグランド・ソナタ MS.3 」で、一般常識を破り、ギターが主で、ヴァイオリンがごく控えめに伴奏をします。実質上ギター独奏曲とも言え、ヴァイオリン・パートはなくても演奏できますし、またギター・ソロにヴァイオリンの音を取り入れて演奏することも出来ます。オリジナルの形では、どうしてもヴァイオリンの音が大きくなってしまい、むしろ完全なギター・ソロのほうが自然な感じになるように思います。3楽章形式で、譜面どおりに演奏すると20分を越え、パガニーニの作曲したギターのための作品としては最も充実した作品と言えます。



対等な関係

 次にはCD8の「ソナタ・コンチェルタータ MS.2 」で、これはヴァイオリンとギターを対等に扱っていて、ヴァイオリンにもギターにも聴かせどころがあります。グランド・ソナタ同様3楽章形式の曲で、演奏時間は15分前後と、程よい長さになっており、CDやコンサートでもたいへんよく取り上げられます。余談ですが、伝説のギター・デュオと言われるプレスティ&ラゴヤが、かつてギター二重奏でも演奏していました。ラゴヤは夫人のプレスティの死後フルーティストのピエール・ランパルとも演奏していて、ラゴヤにとっては想い出の曲なのかも知れません。



初見でも弾けそうだが

 CD1の「カンタービレ二長調」は一般にも親しまれている美しい小品で、ピアノ伴奏でも演奏され、そうした譜面も出ていますが、ギター伴奏のほうがオリジナルのようです。この曲のギター譜は本当に和音を添えるだけのものになっていて、一見初見でも弾けそうなくらいなのですが、自由に歌うヴァイオリンに合わせるのは決してやさしくはなく、やはり相応の能力は必要です。因みに1昨年の私のリサイタルでは、私自身のソロ・アレンジで演奏しました。



作品番号が二つ?

 他によく演奏される曲としてはCD7の「作品2(作品9) MS.26 」と「作品3(作品10) MS.27 」の2組の「6つのソナタ」がありますが、作品番号がそれぞれ2つずつ書かれているのは、別々の出版社により、別々の時期、場所で出版されたのでしょう。詳しくはわかりませんが、作品番号からするとパガニーニの生前に出版された可能性もあるかも知れません。これらの曲も比較的よく演奏され、今日でもCDやコンサートでよく取り上げられます。マヌエル・バルエコもギター・ソロに編曲して演奏しており、私も前述のリサイタルでOp.3-6(MS27)をソロに編曲して演奏しました。



ほどよいバランス

 このアルバムの演奏については詳しいことはわかりませんが、ヴァイオリンはどちらかといえば、過剰なヴィヴラートなどはなく、すっきりした清楚な感じがします。音程については正確なところはわかりませんが、私にとってはとても自然で、違和感のないものになっています。ギターの方は最近流行のオリジナル系の楽器ではなく、現代の楽器だと思いますが、重厚な音質でしっかりとヴァイオリンを支えています。

 音量のバランスはリアルなバランスよりは若干ギターの音量を大きくしてあるように思いますが、前に紹介したパールマンとウィリアムスのものほどではありません。またナクソスからも同種のCD(4~5枚)が出ていますが、こちらはほとんどリアルなバランスなのでギターの音が聞き取りにくくなっています。このアルバムでは、確かにリアルではないと言えるかも知れませんが、CDとしてはとても聴きやすいバランスにしてあります。特に前述の「ソナタ・コンチェルタータ」などはとてもよいバランスになっています。


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パガニーニ : ヴァイオリンとギターのための作品全集
        
   Vn. ルイジ・アルベルト・ビアンキ
   G. マウリツィオ・ブレダ

      9枚組 (5000円弱 HMV)

    

     パガニーニ






今回のCDは伝説のヴァイオリニストと言われる、ニコロ・パガニーニのヴァイオリンとギターの作品集で、「全集」としているので、おそらく現存するこの種の曲をすべて収められたものとと思われます。


悪魔に魂を売ったヴァイオリニスト

 パガニーニは当時(19世紀初頭)も今も謎の多い音楽家で、当時は「悪魔に魂を売って、その超絶的な技巧を身に付けた」などとまことしやかに語られ、埋葬の時は受け入れを拒否した教会も多かったそうです。自らの音楽や技巧を盗まれるのを嫌い、協奏曲などを演奏した時もパート譜などは演奏が終わるとすぐに回収したそうで、パガニーニのコンサートの目玉だったはずのヴァイオリン協奏曲は、生前には出版されなかったそうです。結局パガニーニの生存中に出版されたのは、ヴァイオリン独奏の「24のカプリース」のみと言われています。これも誰も演奏出来ないことを前提に出版されたと言われています(現在では、一流のヴァイオリニストなら、当然のごとくこの曲を演奏しています)。因みに、ヴァイオリン協奏曲は12曲ほどあったらしいと言われていますが、現在譜面として残されているのが6曲(1曲はソロ・パートのみ)で、それらは他の音楽家などが「耳コピー」したもののようです。

 当時(1830年前後)このパガニーニの演奏に大きな刺激を受けた音楽家は多く、シューベルト、リストは直接演奏を聴き、リストは自らが「ピアノのパガニーニ」となることを決心したと言われています。また直接ではないかも知れませんが、シューマン、ショパン、ブラームス、さらにラフマニノフなどにも大きな影響を受けています。



出版は嫌ったはずだが?

 といったように自らの作品、あるいは超絶技巧を譜面として残すことを嫌ったパガニーニですが、不思議なことにこのCDでわかるように、ギターに関する作品についてはかなりの作品が残されています。この9枚組に収められた多数のヴァイオリンとギターのための作品以外に、「37のソナタ」をはじめとするギター独奏曲、さらに15曲の「ギター四重奏曲」をはじめとするギターを含む室内楽(後述)などがあり、CDの枚数にすれば20枚程度のギターに関する作品が残されています。これはおそらく現在残されているパガニーニの作品のうちの半数以上を占めるのではないかと思います。もっとも一般の音楽愛好家にはこうしたことはあまり知られてはいないようです。

 これは、パガニーニの作品のうちギターを含む作品だけが、何らかの理由で選別的に「残された」ためとも考えられますが、ギターに関する作品には作品番号も付けられており、また「6つのソナタ」などのように6曲セットになっている作品もたくさんあります。当時の習慣では作品番号は出版の際に付けられるもので、作品番号があるということは、当時出版されたということになります。もっともそれがパガニーニの意思によってなのか、あるいは生存中だったのか、などはあまり資料等が手元にないのでわかりません。また当時は楽譜の出版は6曲あるいは12曲、3曲のセットで行うことが多く、6曲セットで作曲したということは、それ自体で出版の意図があったということになります。



ギター曲はガードが甘い

 上述のとおり、パガニーニは伝説の「超絶技巧」のヴァイオリニストだったわけですが、私たちギターをやるものにとってはあまりピンとこないのではないかと思います。パガニーニのギターの作品、あるいはギターのパートは比較的平易なものが多く、超絶技巧とはあまり縁がなさそうです。ソロの曲は、いわゆる初級、中級程度の曲が多く、ヴァイオリンとの二重奏曲もギターのパートは決して難しくはありません。「ギターとヴァイオリンのための大ソナタ」などは異例として、ギターの方が主となり、ギター・パートは華麗で技巧的にはなっていますが、「超絶技巧」というほどではありません。



二重人格? 影武者?


 どうも私には「ヴァイオリニストのパガニーニ」と「ギタリストのパガニーニ」とはそれぞれちょっと違ったキャラクターのように感じられます。 「ヴァイオリニストのパガニーニ」は神秘的で悪魔のような超絶技巧を持ち、また自らの作品を公にはせず秘密主義の音楽家。それに対し、「ギタリストのパガニーニ」は、美しいメロディを平易な技術でだれにでも演奏出来るように書いた作曲家。また自らの作品が多くの人に弾かれるように積極的に出版した(あるいは出版しようとした)作曲家といった感じがします。「神秘主義で悪魔の化身のようなパガニーニ」、「親しみやすく誰にでも気軽に声を掛けそうなパガニーニ」、この二つのキャラクターをどう考えればよいのでしょうか。ヴァイオリンの譜面を出版しなかったのは自らの技巧が盗まれることを嫌ったからと言われていますが、ギターの方では盗まれるべき超絶技巧がなかったからなのでしょうか。それとも二重人格だったのでしょうか。あるいは本当にパガニーニが二人いた、なんてオチが待っているのかも知れません。



父もギターを弾いていた

 一説によればパガニーニがギターのための作品を書いたのは、ギタリストの愛人がいたためともいわれていますが、パガニーニが日常的にギターも弾いていたのは確かなようで、唯一人の弟子のカミッロ・シヴォリや、息子のAchilleのためにギターとヴァイオリンの作品を書き、そのギター伴奏を受け持ったと言われています。パガニーニの父もギターを弾いていたようです。また普通ヴァイオリンの伴奏にはオーケストラ以外ではピアノを用いますが、パガニーニにはヴァイオリンとピアノのための曲はたいへん少なく、ほとんどはギターの伴奏になっています。

 
 今日、午前中歯医者さんに行きました。今日は月曜日というせいか、めずらしく待ち時間があったのですが、待合室に静かに流れてくるのはヴァイオリンとピアノの音。おそらくシューベルトのヴァイオリンとピアノのためのソナタだと思います。次に流れてきたのは弦楽四重奏曲、よく聴く曲です。「ハイドンの・・・ なんだっけ・・・・・」 ハイドンの交響曲や四重奏曲はよく聴く曲でも、曲名などがすぐに出てこないものです。もっとも名前のないものも多いですから、第何番だとか、作品番号とか、すぐに出てこなくても仕方のないことかも知れません。聴こえてくる曲は変奏曲になっています、「そうだ『ラルゴ』だ」となんとか思い出しました。「ラルゴ」といの正式の名称ではないでしょうが、第2楽章の「ラルゴ」が印象的で、こう呼ばれることもあるようです。正しくは、「ハイドン作曲、弦楽四重奏曲二長調作品76-5」で(後で調べたところによると)、第2楽章も正式には「ラルゴ・カンタービレ・エ・メスト」となっています。


 第1楽章が終わって第2楽章が始まりました。私個人的にはとても好きな曲で、美しいと言ってもモーツァルトのそれとは全く違い、文字通り、とてもゆったりとしていて、すべてをおおらかに、またやさしく包み込むような感じがあります。まさにこれぞ「ラルゴ」といったもので、このような音楽はハイドン以外には書けない曲だと思います。この曲を最初に聴いたのは学生時代で、当時は精神的に不安定な時期でもあったのですが、FM放送から聴こえてくるこの曲を聴いて、不必要な力みや、不安などが一瞬抜けて、気持ちがとても軽くなったような気がしました。


 その次に聴こえてきたのも、よく知っている曲。 ちょっと前にウィリアムスのCDで紹介したばかりのジュリアーニの「ヴァイオリとギターのための協奏的ソナタホ短調作品25」です。確かに、ここの歯科の先生のところでは、たまにはギターの曲も流れてくるのですが、それにしてもこのようなマニアックな曲どうして流れてくるのだろうと思いました。多分有線放送なのだろうと思いますが、それにしても誰が選曲しているのでしょうか? 確かにこの曲は聴きやすい曲というか、こうした場にはとてもふさわしい曲だとは思うのですが、一般の音楽愛好家のもそれほど知られてない曲、少なくとも今現在国内盤のCDは発売されていないのでは? やはり選曲のプロの仕事というべきか。小さな音で聴こえてくるので、誰の演奏かは、はっきりわかりませんが、多分この前紹介したジョンとパールマンのCDではないかと思います。 


 などと思っているうちに待ち時間も、治療も終わってしまいまい、玄関を出るときには第2楽章の「主題と変奏」が聴こえていました。「ウム、なかなかやるな」と思いつつ、あまり長く感じなかった待ち時間でした。

3時間を越えるコンサート!

 昨日(1月16日)ひたちなか市文化会館内、カフェ・レストランSwingで行われたアコラの新年会に出席しました。新年会といっても、実質上はメンバーによるコンサートの形ですが、参加者は20~30名と、いつものジヴェリニー・コンサートに比べて参加者も多く、したがって演奏曲目も多く、3時間を越えるコンサートとなりました。外は相変わらずの寒さでしたが、とても愛好者の熱気が感じられるイヴェントでした。


 曲も多かったので全部は紹介できませんが、アコラ・フレンズのアンサンブルから始まり、園城寺さんのアマ・コン第2位入賞記念コンサート、熊坂さんと谷島さん、および私と鈴木さんの二重奏、そして各愛好者の二重奏と独奏と、本当に盛りだくさんでした。私の教室の生徒さんも何人か二重奏や独奏で参加しました。今年も県内のギター愛好熱も盛り上がってゆく予感がしました。



爪が立ち直ってきた?

 話は変わりますが、上記のとおり、この日の二重奏(鈴木さんと20数年ぶりのアンクラージュマン)をやるために、若干はギターには触れているのですが、このところはギターを弾くよりも楽譜を作るためにパソコンのキーボ-ドを叩くほうが圧倒的に多くなっています。あまりギターを弾かなくなったので、爪が立ち直ってきました。数日前までは教材関係の譜面でしたが、今は今年のアンサンブルの演奏会のための譜面に取り組んでいます。合奏の演奏会が上手く行くかどうかは、”選曲と編曲で決まる”というのが持論で、演奏会近くなってから根性でがんばるのも大事かも知れませんが、今はそれ以上に大事な作業ということになるでしょう。


 今年は、前からやってみようと思ってはいたのですが、「展覧会の絵」を考えています。もちろん難しい曲ですが、曲を選べばなんとかやれそうなものもあるのは確かです。ただ一般にオーケストラ曲のイメージがあるので、それに近づけるのは相当難しいと思います。もっともオーケストラとは全く違う方向で別な魅力や面白さがでれば、それが一番よいのでしょうが、それは私、あるいは私たちの力からするとさらに難しいでしょうね。


 具体的な問題としては「調」の問題があります。ギターで演奏するといっても、出来れば原調を重んじたいのですが、ギターの場合、音域や弾きやすさを優先させると調が限定されてしまいます。この展覧会の絵を何調と言っていいのか若干分かりにくいところもありますが、最終的には変ホ長調で終わっています。冒頭のプロムナードは変ロ長調なので、最初と最後だけを見れば変ロ→変ホ、と5度関係になっています。しかし最初の変ロ長調から下属調の変ホ短調に進み、さらに下属調の変イ長調に進み、さらに「変ロ」→「嬰ト」とみなして、今度はシャープ系の調に変わる・・・・・・


 というように調的に見ると全体が鎖のよううにしっかりと組み合わされています。我々ギターなどやっていると、安易に「イ短調」とか「ホ短調」とかともかく弾き易い調に直してしまうのですが、この曲などを見ると、弾きやすいというだけで調を選ぶわけには行かない気がします。もっとも全曲やるわけではなく、今現在の考えでは「冒頭のプロムナード」、「古城」、「ビドロ」、「バーバ・ヤーガ」、「キエフの大門」の5曲を抜粋して編曲する予定で、オリジナルの調でやったとしても、当然その「鎖」は切れてしまうわけですから、そう気にしてもしかたのないことかも知れません。


 今現在の結論としては「キエフの大門」、つまり曲全体を半音上げて「ホ長調」にしようと思っています。変ホ長調のままだと弾きにくいだけではなく、使える音域がかなりせまくなってしまい、半音上げることによって使える音域がかなり拡がり、音量も増大します。おそらくこれは誰もがそう考えるところでしょうが、問題は他の曲です。「プロムナード」、「古城」それぞれ半音上げて「ロ長調」と「イ短調」。これは調的には繋がりませんが、ご勘弁願うしかないでしょう(間にホ長調かホ短調が入ればよいのですが)。


 「バーバ・ヤーガ」は原調のト短調(厳密にはト短調ではないかも)でやりたかったのですが、これでは「キエフの大門」には繋がらず、弾きにくいのですが「嬰ト短調=シャープ5個」にするしかありません。「ビドロ」は嬰ト短調なので、半音上げるとイ短調となり、特に弾きにくくもないのですが、あまり「つじつま」にこだわってもどの道、次の「バーバ・ヤーガ」には繋がらないので、ここは「響きの重厚さ」のほうを考え、あえてホ短調にでいこうか・・・・・などと考えています。


 ・・・・・ちょっと細かい話になってしまい申し訳ありません、今現在の私の悩みといったところですが、こういう悩みというのは、決して苦痛を伴わない悩みですね。
 このぺースで1枚1枚紹介していったらなかなか終わらないので、残り3枚はなるべく手短に紹介します(可能ならばですが)。


           CDウィリアムス 003

 JULIAN & JOHN    ジュリアン・ブリームとジョン・ウィリアムスの二重奏

2台のギターのための組曲(ウィリアム・ローズ~ブリーム編)、 二重奏曲ト長調(カルリ)、 アンクラージュマン(ソル)、 コルドバ(アルベニス~プホール編)、 ゴエスカス間奏曲(グラナドス~プホール編)、 スペイン舞曲第1番(ファリャ~ブリーム編)、 亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル~ブリーム編)



 次のCD(元LP)は上の写真のように、オリジナルでは「ジュリアン&ジョン」というタイトルの二重奏です。たしか邦題では「ジュリアン&ジョン 世紀の二重奏」といったものだったと思います。そのタイトルどおり当時の大人気ギタリスト二人が二重奏を行うということでたいへん話題になりました。またこの中に収録されているソルの「アンクラージュマン」が、このLPをきっかけにたいへん人気が高まり、多くののギター・ファンに弾かれるようになりました。当時、大学のギター部では、ピンク・レディではないですが、ブリーム派とジョン派に分かれて、「なりきり」ブリームやジョンが出現しました。いずれにしてもこのLPによって二重奏のスタンダード・ナンバーみたいなものが出来たのではないかと思います。


 ギター二重奏のもいろいろな形があると思いますが、①二人のうち一人のギタリストが完全に主導権をとり、もう一人のギタリストがそれを補助するような形、②能力的にも音楽的にも同質的な二人が統一した音楽を作る場合、③同等な実力の二人がそれぞれの個性をぶつけ合うもの、などがあると思います。このジュリアン&ジョンの場合は強いて言えば③に当たると思います。特に同じメロディを交互に弾く形のアンクラージュマンではそれが言えると思いますが、しかし全体的に聴けば、決してお互いが一歩も引かずに自己主張しているわけではなく、協調し合って一つの音楽を作ろうという意思は十分に感じられます。しかし細かいところのニュアンスや感じ方、音色などは元々全く別なので、結果的に差が出てしまうのではないかと思います。


 確かにこのLPが発売された頃は、それぞれかなり違う個性と感じたのですが、今回久々に聞いてみると意外と二人とも近い感じで、おおまかに言えば似たような演奏スタイルに感じました。その後ブリームやウィリアムスなどとはかなり違うスタイルのギタリストを聴くようになったからかも知れません、確かに同時代のギタリストなのでしょう。日本人どうしでは全く違う顔に思えても、外国人からみれば似たように見えるのと同じかも知れません。


 このLPの正確なデータはありませんが、複製のジャケットの裏には「1972年」と書いてあります(虫眼鏡で見ないと読めません)。これは録音ではなく、発売の年かも知れません、記憶では1972年には発売されていたような気がします。ブリームとウィリアムスはその後1974年にスタジオ録音、1978年にライブでの二重奏の録音をしています。




           CDウィリアムス 001

    アランフェス協奏曲(ロドリーゴ)、ギター協奏曲(ヴィラ・ロボス)
     共演 ダニエル・バレンボイム指揮 イギリス室内管弦楽団


 
 次のCDは1974年の録音で、アランフェスとヴィラ・ロボスの協奏曲です。ウィリアムスは3回アランフェスを録音していて、最初は1965年前後(おそらく)、共演はユージン・オーマンディ指揮、フィラディルフィア管弦楽団(B面はテデスコのギター協奏曲第1番)。2度目がこのバレンボイム盤、3回目が1983年で、共演がルイ・フレモー指揮フィルハーモニア管弦楽団となっています。この2度目のバレンボイム盤はウィリアムス33歳の時で、いわば壮年期の演奏と言えるでしょう。演奏は3種のうちで最も力強く、ヴィルトーゾ的なものになっています。また録音も「スパニッシュ」のところで言ったとおり、高音域を若干増幅した感じでかなり華やかなものです。ちょっと金属的にも聴こえますが、「活きのよい」感じです。


 ヴィラ・ロボスの協奏曲は後に「フレモー盤」と組み合わされて国内盤CDとして発売されていましたから、所有している人も多いのではないかと思います。ギター協奏曲で最も人気があるのはもちろんアランフェス協奏曲ですが、このヴィラ・ロボスの協奏曲は、「ある貴紳」、「テデスコ」、「ポンセ」などと共にNo.2候補の一つだと思います。皆さんのNO.2は何ですか? 


 この「バレンボイム盤」のアランフェスの方は、少なくとも国内盤としてはCD化されてなく、貴重なものです。私もLPは持っているのですが、現在LPはなかなか聴けないので久々の再会となりました。音楽全体のまとまりとしては「フレモー盤」に軍配が上がるかも知れませんが、ちょっと「やんちゃ」なウィリアムスが聴けて、なかなか面白いと思います。





            CDウィリアムス

       Vn. イツァーク・パールマン  G. ジョン・ウィリアムス

ジュリアーニ : ヴァイオリンとギターのための大ソナタホ短調作品25
パガニーニ : ヴァイオリンとギターのためのカンタービレ、チェントーネ・ソナタ作品64-1、ソナタホ短調作品3-6、ソナタ・コンチェルタータイ長調



 5枚目は1975年に録音された、有名なヴァイオリストのイツァーク・パールマンとのデュオで、ジュリアーニとパガニーニの曲のCDです。ジュリアーニの二重奏曲はかなりの大曲で、個人的には、かつてフルーティストの方と(酒井美穂さん)演奏会でやったことがあり(若干手を加えればフルートでも演奏できます)、思い入れのある曲です。4楽章構成の堂々とした古典的なソナタで、聴き応えも、弾き応えも十分にあります。この種の曲では一般に娯楽的な軽めの曲が多いのですが、この曲はかなり力の入った曲で、なかなか優れた曲だと思うのですが、残念ながら録音は少ないようです。

 パガニーニの曲では一昨年のリサイタルで私が弾いた、「カンタービレ」や「ソナタ作品3-6」などもこのCDに収められています。パガニーニのこの種の曲では、ほとんどの場合華やかなヴァイオリン・ソロに、和音を添えるだけのギター伴奏といった形になっていますが、「ソナタ・コンチェルタータ」は両者対等な形で書かれていて、ギターの方も結構目立つようになっています。またここには収録されていませんが、「大ソナタイ長調」は全く逆にギターが中心で、ヴァイオリンが軽く音を添えるだけになっています。


 といった訳で一通り紹介が終わったのですが、それぞれが個人的に思い入れの深いものだったので、手短に紹介できなかったのがちょっと反省材料です。それにしてもこの5枚がまとめて(1枚がではない!)2000円弱と言う価格ですから、本当にお薦めのアルバムです。因みにこのCDはHMVで取り扱っていますがGGショップなどでは取り扱っていないようです。詳しくはインターネットなどで調べてみてください。
オリジナルどおりの曲目で

 ウィリアムスのような有名なギタリストとなれば、当然過去に録音したLPやCDなどが何度も再発売されるわけですが、その場合、曲目が入れ替えられたり、人気曲だけがピック・アップされたりなど、録音時期の異なるものなどが組み合わされたりすることがよくあります。この5枚組の特徴の一つは、それぞれがオリジナルのLPのジャケットを縮小した紙ケースに入っていることですが、それ以上に注目すべきは、それぞれがオリジナルの曲順になっていて、これはとても貴重です。ただし録音期日などが明記されていないのはちょっと不可解で、当ブログの中で書いている録音年などは私の記憶や推察、あるいはオリジナルのLPなどによっています。したがって若干異なる場合もあるかも知れません。



       CDウィリアムス 002

    JUN WILLIAMS ORIJINAL ALUBUM CLASSICS

アストゥリアス、タンゴ(アルベニス) カナリオス(サンス)  ファンダンゴ(ロドリーゴ)  ノクトゥルノ(トロバ)  詩的ワルツ集(グラナドス)  ソナタ(マティオ・アルベニス)  魔法の輪、市長のおどり、粉屋のおどり(ファリャ)  マドロニョス(トロバ)  クリスマスの夜、聖母の御子(カタルーニャ民謡)  ゴヤの美女(グラナドス)  コルドバ(アルベニス)



 さて2枚目のものは、「ジョン・ウィリアムス プレイズ スパニッシュ」と題されたもので、この5枚の中では唯一の独奏曲集です(他は協奏曲が2枚、ヴァイオリンとの二重奏、ブリームとのギター二重奏)。このLPは1969年頃の録音ですが、私個人的にはウィリアムスのLP,CDの中で、あるいは私が持っていた全ギターのLP,CDの中で最もよく聴いたものの一つです。私がオリジナルのLPを買ったのは1971年頃ですが、その年の秋に虎ノ門ホールでリサイタルも聴き、いろいろな意味で影響を受けました。



1971年 虎ノ門ホールでのリサイタル

 話が若干それますが、その1971年に聴いたリサイタルの話もしておきましょう。それまで写真で見るウィリアムスは黒縁メガネに横わけ、タキシードに蝶ネクタイといったスタイルで、よく言えば本当にプリンスらしい感じ、見ようによってはホテルマンか銀行員といったとても生真面目な印象でした。ところが当日は長髪で、サイケ調のシャツにブーツという、ほとんどロック・ミュージシャンのようないでたちでステージに現れました。自らの優等生キャラを脱ぎ捨てたということなのでしょうか、ともかく皆驚いたのは確かです。しかし実際に演奏されたギターの音は本当に美しいもので、同じ美しさでも気品のあるクリスタルな美しさでした。特に後半は友人に前の方の席をゆずってもらったのでウィリアムスの「生音」がよく聴けました。そこで聴いたトロバの「マドロニョス」は今でも鮮明な記憶があります。1990年代の末頃にもウィリアムスのリサイタルを聴きましたが、ご存知のとおりアンプを使用したもので、「CDと変わらない」といった印象以上のものは持てませんでした。ウィリアムスが変わってしまったのでしょうか、いや、私の方が変わってしまったのかも知れません、やはり時計は戻らないということでしょうか・・・・・・



華麗な音質で

 話を戻しますが、このLPは、それまでに録音されたウィリアムスのLPに比べ、いろいろな点で違いがあります。まずは録音の仕方が変わり、それまでの清楚な音から、とても華麗なものに変わっています。具体的に言えば高音部を伸ばし、さらに人口的と思える残響もかなり付いています。ウィリアムスのLPのこうした傾向はその後のLPにも若干続きますが、徐々にその派手さは影を潜め、その反動でしょうか、1970年代の後半になると逆にほとんどデッドとも言えるほど響きは抑えられ、また音量レヴェルもかなり低めに設定されるようになりました。ポンセの曲集のLPなどは最も典型的な例で、音量レヴェルがかなり低いために、私が持っていた当時のオーディオでは針のノイズばかりが目立ってしまいました。


トロバの2曲などが復活

 このLP(プレイズ・スパニッシュ)のアルベニスやグラナドスなどの主要な曲は、後に、それ以前に録音されていたアルハンブラの思い出などと共にCDとなり「スペイン名曲集」として発売されました。これは現在でも国内盤として出回っていますから、持っている人も多いかも知れません。しかしそのアルハンブラの想い出など人気曲と組み合わされたおかげで、オリジナルのLPの曲のうち、マドローニョス、ノクトゥルノ(トロバ)、カナリオス(サンス)の3曲が外されてしまいました。特に前述のトロバの曲が外されてしまったのがとても残念だったのですが、それがこのCDでは、もちろん1曲も欠くことなく再収録されています。またこのようにオリジナルの曲順で聴くと格別な感じがします。


勢い余って

 前述のとおり、アストゥリアスなどの主要な曲はその後ずっと「スペイン名曲集」として出回っているので、特にコメントはいらないかも知れませんが、音質などはこのCDの方が若干クリヤーになっている感じがします。アストゥリアスに関して言えば、後半の方でラスゲヤードの時、2度ほど指が弦にひっかかり、エコーのような音が出ています。このようなこと編集でどうにでもなることなのですが、おそらくこの方が面白いと考えあえて編集せずにおいたのでしょう、粋なことをしたものです。もちろん演奏はすばらしいもので、速い部分や難しい部分でもとてもクリヤーに、またクレシェンド、デクレシェンドもしっかりかかっています。確かに誰にでも出来ることではありません。


アルベニスが二人?

 次のアルベニスのタンゴも名演です。この曲の難しさは去年いやというほどわかりましたが、ウィリアムスはもちろんそのようなこと微塵も感じさせず、たいへん美しくメロディを歌わせています。次のカナリオスはバロック音楽らしからぬ華麗さと、ノリのよさです。次のファンダンゴも・・・・・  1曲1曲書いているときりがないのであとは実際に聴いていただくしかありませんが、名演ぞろいの中で、個人的にはやはり今までCDになっていなかったトロバの2曲は特別な感じがします。ちょっと前(多分1967年頃)に録音した「ラマンチャの歌」もよかったですが。因みにマティオ・アルベニスはイサーク・アルベニスとは全くの別人です。「マティオ」の方はバロック時代の人で、スカルラッティ風の鍵盤曲を書いていたようです。

 このところ、お正月はゆっくりサッカーを見るのが恒例となっていますが、昨年は鹿島がJリーグ3連覇、そして年が明けての天皇杯はガンバ大阪が2連覇しました。リーグ戦終盤の鹿島も本当に強いと思いますが、遠藤を中心にしたガンバも攻撃力も、さすがマンチェスター・ユナイテッドから3得点しただけのチームです。昨年は確か延長戦で播戸を投入し、その播戸の決勝点で勝ったと思いますが、延長になるまで切り札を温存しての、まさに作戦勝ちといった感じでした。今年の戦いは華麗なパス回しからの先制点、遠藤の個人技による勝ち越し点など、ガンバらしい横綱相撲で勝ち切った感じです。このところ、リーグ戦=長期戦のアントラーズ、 トーナメント=短期決戦のガンバといった感じで、この両チームが東西の両横綱といったところでしょうか (とすると川崎、名古屋が両大関かな? ちょっと古い例えですね)。


 サッカーの話から始まってしまいましたが、今回は格安CDの紹介ということで、安価で、なお且つギター愛好者なら是非とも聞いて頂きたいCDを紹介してゆきます。最近は景気低迷で、デフレ現象ということになっていますが、その影響かどうか、CDの方も中には1枚100円台というのも少なくありません。しかしそれらが決して内容的に劣るものではなく、むしろ売れるものだからこそ安くなるといった点もあるでしょう。CDの場合、決して内容、特に演奏の優劣と価格は関連するものではなく、しいて言えば録音の古さなどに若干関係するくらいです。しかし”ブリランテ”のように最新の録音で、さらにとても貴重なレパートリーなどを驚くような低価格で発売しているレーベルも存在します。廉価版とは言え、決して侮ることは出来ません。


 ただしその格安のCDのほとんどは輸入もので、また全集などの「組物」となっていることが多くなります。私の場合は全集ものの方が興味があるので、かえって都合がよいのですが、少しだけ聴けばよい方には若干不都合かも知れません。また当然日本語の解説はなく、曲名も原語、あるいは英語表記となっているので、曲についての若干の知識は必要かも知れません。もっとも曲や演奏者について、特に知らなくても楽しむことは出来ると思います。なお、だいたいの価格を書いておきますが、それらは入手経路や、時期によって若干異なります。



       CDウィリアムス 005


JOHN WILLIAMS ORIJINAL ALUBUM CLASSICS  1900~2000円 


 さて、最初に紹介するCDは 「ジョン・ウイリアムス オリジナル・アルバム クラシックス」と題された5枚組のCDで、1968年~1975年頃に録音したLPが、オリジナルの曲順でCDとなったものです。当時のLPのジャケットをそのまま縮小した形の紙ケースに収められていて、発売当時のLPに限りなく近い形でCDになっています。私にとってもそれぞれがとても思い出深いもので、仮に価格が高かったとしても是非とも紹介したいものです。また私と同年代のギター・ファンでしたら、おそらくかつてたいへんよく聴いたものではないかと思います。もちろん若い人たちにも是非聞いていただきたいCDです。


              CDウィリアムス 004


  ロドリーゴ : ある貴紳のための幻想曲   スティーヴン・ダッジソン : ギター協奏曲第1番
  チャールズ・グローヴ指揮 イギリス室内管弦楽団


この5枚のうち、最も録音時期の早いものとしては上記の協奏曲集です。元のLPは、私が大学、と言うより大学のギター部に入った年の1969年頃、何度も市内の楽器屋さんでジャケットだけを眺めていたもので、結局のところ買うことが出来なかったLPなので、かえって記憶が鮮明なものです。オビには「ギター界のプリンス、ジョン・ウィリアムスの最新録音」と書いてあったと思います。当時はこの曲のことも、ウィリアムスというギタリストのことも全く知らない頃で、第一「ギター協奏曲」というのも初耳の頃でした。情報や知識が全くないということが、かえってイメージが膨み、何かとてもすごい曲なのではと思い、とても欲しくなったのですが、当時はLPは今のCDに比べれば相対的に高価なもの、またそれよりも当時はギターをやる人なら当然聴いているはずの「普通」のギターの名曲のLPも持っていなかったので、どうしても買うのをあきらめなければなりませんでした。


 今考えれば、このLPはかなりマニアックなもの、確かに当時はギター人口そのもは今より多かったと思いますが、一方ではいわゆる「コア」なギター・ファンは少なかったと思います。こうした曲目のLPに興味があった人はそう多くはなかったでしょう。確かに長い期間店に棚にあったと思います、だから私もよく覚えているのでしょう。結局は誰が買ったのでしょうか? ちょっと気になるところです。


 思い出話になってしまいましたが、ウィリアムスは「ある貴紳」を2度録音しています(私の知る限りでは)。2度目は1983年に、ルイ・フレモー指揮のフィルハーモニア管弦楽団とアランフェス協奏曲との組み合わせで録音しています。2度目の方はデジタルになって録音がよいのは当然ですが、オーケストラの技量も2度目の方があるように思います。ウィリアムスの演奏は両者に大きな差はありませんが、この1度目のものでは「ギター界のプリンス」らしく確かに清楚で、ノイズの少ない安定した音で、あまり細かい表情の変化などはありませんが、確かに爽やかな印象です。音楽の柔軟性とか表情の変化などは2度目の方が若干あるようです。


 このLPのもう1曲(かつての表現だとB面ということになりますが)は、イギリスの作曲家のダッジソンの協奏曲で、この5枚組の中で私が唯一始めて聴くものです。「ある貴紳」の方は2,3年前にユージン・オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団と録音されたアランフェス協奏曲とカップリングしなおされて発売され、それを所有していたのでこちらの方は聴いていました。ついでですが、この「オーマンディ盤」の方も同様な企画でCDにならないかなと思っています。カップリングは確かテデスコの協奏曲だったと思います。


 ダッジソンの協奏曲はいわゆる前衛音楽の盛んな頃の曲ですが、そうした前衛的なものというより、音階を中心としたもので、やや古典的な感じもします。聴きやすいといえば聴きやすいのですが、印象はあまり強くありません。何はともあれ、念願叶って(?)今回初めこの曲を聴くことが出来たました。因みにウィリアムスは1977年にやはり同じグローヴ指揮のイギリス室内管弦楽団とダッジソンのギター協奏曲第2番を録音しています。組み合わせはテデスコの協奏曲第1番です。
 明けましておめでとうございます。今朝はとても寒く、お正月らしい朝です。寒いことは寒いのですが、空は快晴で、確かに晴れ晴れとした元旦です。


 このところ元旦にはその年の予定などを書くのが習慣になってしまいましたが、今年はいまのところあまり予定、特にコンサートなどの予定がありません。昨年、一昨年はリサイタルやアルベニスの記念コンサートなどといったコンサートを中心にほとんど練習に明け暮れたので、今年はその反動でしょうか。


 唯一決まっているコンサートとしては、11月14日(日曜日)、ひたちなか市文化会館で第14回水戸ギター・アンサンブル演奏会のみとなっています。水戸ギター・アンサンブルの演奏会は、昨年の6月にも行っており、その後は練習も休みにしていたので、曲目などはすべてこれから選曲、編曲、練習としていかなければなりません。いつもは2年間くらいかけてプログラムを作るのですが、今年は10ヶ月くらいしかありません。2月には練習に入らないといけないので、少なくとも1月中には演奏会全体の構成と選曲、編曲を済ませなければなりません。


 この中で、確かに編曲が一番時間がかかるのですが、少なくともクラシックの曲の編曲というのは、意外と技術的な問題なので、どちらかといえば、そのアンサンブルが上手く行くかどうかは”選曲”のほうが大きいかも知れません。今のところいくつか候補はあるのですが、まだ決まっていません。またいつも合奏の他に二重奏や独奏もプログラムに入れており、これまで私自身の独奏などを入れることが多いのですが、今回はなるべく私以外のメンバーに演奏してもらおうと思っています。


 コンサート以外のことでは、以前にも言いましたが、教材の手直しや追加と、教材用のCDの録音などをやって行く予定です。今のところ「ギターで弾くクラシック名曲」といったタイトルで有名なクラシック曲の編曲を行っています。基本は教材なのでなるべく易しくし編曲しなければならないのですが、これが最も難しいものです。結局のところ教材として生徒さんに実際に弾いてもらうものと、いわゆる鑑賞用といった感じで、私が演奏してCDに納めるものと分けて考えるしかないかも知れません。


 また時間があれば県内などで行われるギターのさまざまなコンサートなどに出来るだけ出かけて、そのレポートを当ブログで行いたいと思います。私の場合基本的に出不精なので、これも結構がんばらないといけません。



 それでは本年もよろしくお願いします。