中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

ショールス第4番

 「ショールス第4番」は3つのホルンとトロンボーンという楽器編成で、5分ほどの短い曲です。比較的ゆっくりした部分から始まりますが、響きは不協和音的です。最後はテンポが上がって快活な舞曲的な部分となっています。


ショールス第5番

 「ショールス第5番」はピアノ・ソロの曲で5分ほどの曲です。”ALMA BRASILEIRA”と題されていますが、「ブラジルの魂」といった意味なのでしょうか。アルペジオに乗せてメロディうぃ歌わせるタイプの曲ですが、アルペジオは一定の音形を刻みながらもシンコペーション的(ギター曲でよく出てくるように)。A-B-Aの形で出来ているようです。 



ショールス第6番

 「ショールス第6番」はオーケストラによる、演奏時間25分ほどの曲で、これまでの曲よりかなり長い曲になっています。冒頭は打楽器が静かに一定のリズムを刻む中、フルートが奏され、チェレスタも”合いの手”として加わります。アマゾンの原生林を思わせるような導入です。一段落すると活発なリズムに変わり、先住民の踊りなのでしょうか。メロディや響き、リズムなどは前衛的とか、近代的とかというよりも、たいへん素朴なものに感じます。その後弦楽器が歌い出しますが、こちらはややロマン派的。

 その後静かな部分などを経て、最初のメロディなどが回想されたりしながら、サンバ風の踊りが現れ、曲が閉じられます。おそらく一つのストーリーの基に曲ができているのではないかと思います。この曲は12曲のショールスの中でも、比較的耳に馴染みやすい曲かなと思います。


ショールス第7番

 「ショールス第7番」はヴァイオリン、チェロ、フルート、オーボエ、クラリネット、サクソフォーン、ファゴットによる曲で、約9分の曲です。”SETTIMINO”と題されていますが、意味はわかりません。ほぼ曲全体を通じて一定のリズムが奏されています。ブラジル的なリズムと言うべきでしょうが、かなりタンゴぽく聴こえます。


ショールス第8番

 「ショールス第8番」はオーケストラと2台のピアノのための、約20分の曲です。パーカッションで始まりますが、「第6番」よりも音楽は複雑で、ストラヴィンスキー的な感じもあります。ただしリズムはストラヴィンスキーのように不規則でも強烈でもなく、規則的で軽い、つまりラテン系のリズムになっています。

 ピアノは7分半ほどしてから入ってきますが、打楽器と絡みながら入ってきて、なかなか面白い感じです。若干バルトークぽいところもあります。最後はリズムも音響も強烈になって終わりますが、これまでの曲よりエネルギッシュな感じがします。
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 ヴィラ・ロボスのCDの話ですが、今回は7枚組の「ショールス集、ブラジル風バッハ集、ギター独奏曲集」の紹介をします。

ヴィラ・ロボス

John Neshling & Roberto Minczuk 指揮  Sao Pauro Synphony Orchestra 他


 このアルバムに収められた作品は、数多いヴィラ・ロボスの作品中でも代表作と言えるものでしょう。12曲の「ショールス」。9曲の「ブラジル風バッハ」。ギター独奏曲集(5つのショーロ、前奏曲集、練習曲集)。他に「ショールスのためのイントロダクション」、「ヴァイオリンとチェロのための二つのショーロ」、「ショールス形式の五重奏曲」が7枚のCDに収められています。「シーョルス」は全部で14曲作曲されたそうですが、第13、14番は楽譜が紛失ということで、このアルバムでは1番から12番までとなっています。



ショールス第1番~第12番とイントロダクション

 12のショールス、およびそのイントロダクションの作曲時期は1920年~1929年で、パリ留学前から留学中にかけての時期です。第1番はご存知のとおり、ギター独奏曲ですが、同じ「ショールス」と言っても楽器編成も、長さもまちまちです。一応以下に作曲年と楽器編成を記しておきます(作曲年は資料によって若干異なります)。


イントロダクション(1929年) : ギターとオーケストラ

第1番(1920年)  ギター独奏曲

第2番(1924年)  フルートとクラリネット

第3番(1925年)  男声合唱と管楽器

第4番(1926年)  ホルン3、トロンボーン

第5番(1925年)  ピアノ独奏曲

第6番(1926年)  オーケストラ

第7番(1924年)  管楽器およびヴァイオリン、チェロ

第8番(1925年)  2台のピアノ、オーケストラ

第9番(1929年)  オーケストラ

第10番(1926年)  混声合唱とオーケストラ

第11番(1928年)  ピアノとオーケストラ

第12番(1929年)  オーケストラ


 曲の長さは本当にまちまちで、このアルバムによると、最も短いのはフルートとクラリネットによる「第2番」で2分42秒。最も長いのがピアノとオーケストラによる「第11番」で、なんと65分52秒もあり、平均的なピアノ協奏曲の2倍の長さがあります。

 と言ったように同じ「ショールス」の名が付いていても、それぞれの曲はかなり違うものになっています。因みに、「ショールス」とは、単数では「ショーロ」で、ブラジルの民俗的なバンド、およびそのバンドが演奏する曲のことを意味します。ここでは「ブラジルの民俗的な音楽」といった意味に使われているようです。



ショールスのためのイントロダクション

 「イントロダクション」は1929年、おそらくすべてのショールスが出来てから作曲されたと思いますが、ここでもギターが用いられており、第1番同様ヴィラ・ロボスのギターという楽器へのこだわりが感じ取れます。

 この「イントロダクション」を聴くと、ギター愛好者なら誰しもがあの「ギター協奏曲」を思い浮かべると思います。確かにギター協奏曲で出てきたようなパッセージが時々出てきます。ギター協奏曲のほうが後から作曲されていますから(1951年)、ギター協奏曲を作曲する時にこの「イントロダクション」を基に、あるいは参考にしたようです。

 ただ協奏曲のようにギターとオーケストラら丁々発止にやり合うわけではなく、ギターが演奏している時には、オーケストラは沈黙しているか、弱音で演奏している形になり、オーケストラがフォルテ演奏している時には、ギターは沈黙しています。

 私自身はこの曲をこのアルバムで知り、始めて聴きましたが、ヴィラ・ロボスにこんなギターとオーケストラのための曲があったとはちょっと驚きです、いや知らなかったことをはじるべきかも知れません。”秘曲”といえるでしょうか。

 音楽全体に見ると、作曲された年代からすると、特に前衛的ではなく、技法的にはロマン派の音楽の延長といった感じもありますが、ニュアンス的にはもちろんドイツ・ロマン派の音楽からは遠いところにあります。よく聴くと、後続のショールスに出てくるメロディの断片などが織り込まれているようです。このCDでの演奏時間は13分32秒となっています。



ショールス第1番

 この曲については、皆さんもよくご存知と思いますが、1920年に作曲され、ヴィラ・ロボスのギター曲としては比較的早い時期のものと言えます。ショーロには特に決まったリズムなどはないのですが、2拍子で、付点音符やシンコペーションを伴う場合が多いようです。ボサ・ノヴァの前身に当たるともいえるかも知れません。この曲もそういったリズムで出来ていますが、楽譜にはフェルマータやラレンタンドなどが目に付き、テンポの変化が要求されています。


 このアルバムで演奏しているのは、Fabio Zanon というギタリストですが、1996年にタレガ国際ギターコンクールと、GFA国際ギターコンクール(USA)に優勝していると記されています。Zanonの演奏は適度なテンポ、およびテンポの変化、また落ち着いたギターの音質で、ヴィラ・ロボスの譜面をよく読み込んでの演奏といった感じです。低高音のバランスもたいへんよく、しっくりと違和感のない演奏です。



ショールス第2番

 「ショールス第2番」は前述のとおりフルートとクラリネットのための3分にも満たない小品ですが、ピアソラのタンゴなどでもよく出てくるシンコペーション的なリズムが使われています。タンゴとショーロは近い関係にあるのでしょう。



ショールス第3番

 「ショールス第3番」は”Pica Pau”(「きつつき」という意味らしい)と題されたこれも3分余りの短い曲ですが、編成は男性合唱とクラリネット、アルト・サキソフォーン、トロンボーン、バスーン、3つのホルン、となっています。どういった内容が歌われているのかはわかりませんが、雰囲気としてはストラヴィンスキーの「狐」に似た感じがあります(名前が似ているだけ?)。
 昨日(9月18日)ひたちなか市文化会館小ホールで「ギターフェスティヴァルinひたちなか」が行われました。ぷろ、アマチュア計25名の出場者で、4時間を要する長いコンサートとなりましたが、会場にも200名弱の方々に聴きに来ていただいて、たいへん盛り上がったコンサートとなりました。

 初めての試みなので、どれだけの方々に足を運んでいただけるのか、不安もありましたが、思ったより多くの人たち来ていただいて、なによりと思っています。特に宮下祥子さんにはこの企画のためだけにわざわざ北海道から来ていただいて、本当に感謝に耐えません。


      ギターフェス



 それぞれの出場者の演奏には、この日のためにしっかりと準備した後が聴き取れ、また気持ちの入った力演でした。また楽屋や終了後の夕食会などで話もはずみ、「ギター愛好者間の交流」といった役割も十分にはたしたのではないかと思います。

シニア・ギター・コンクールを中心としたギター文化館の「ギター・フェスティヴァル」、合奏を中心とした「ギターフェスティヴァルinつくば」、そしてギター独奏を中心としたこの「ギター・フェスティヴァルinひたちなか」も今後茨城のギターの一つの発進地になってゆければと思います。

 今日は昨日の録音を、出場者の方々にお渡し出来るように編集しているのですが、会場の方に依頼したMDの録音レヴェルがかなり低かったので、そのままではパソコンに上手く取り入れられず、とりあえず一度別のMDにダビングして、さらにそれをパソコンに取り込むことにしました。

 そんなことしていたら、夜の9時くらいに鈴木さんから電話があって、バック・アップにICレコーダーに入れたデータを持ってきてくれることになりました。それでだいぶ作業が楽になりました。どうもギターの音は音量が小さいので拍手ばかりが大きくなってしまいます。そうしたことは聴く時には結構わずらわしいので、皆さんにお渡しする時には演奏のほうのレヴェルを上げ、逆に拍手の音を適当に(半分~3分の1)しぼってお渡しします。

 このフェスティヴァルの今後のことはまだわかませんが。イヴェントの性格からして毎年というのは難しいとは思います。個人的には何年か年を空けながらも持続的にやってゆければと思っています。

 

異次元の世界から聴こえてくる音楽?

 エイトール・ヴィラ・ロボスと言えば、私たちギターをやっている者にとってはとても馴染みの深い作曲家。プロのギタリストからアマチュアの愛好家まで多くの人に親しまれています。私自身もかつて、ヴィラ・ロボスのギター曲は、アルベニスやタレガの作品と並んで、ギターの世界にはまり込むきっかけとなったものでした。初めてヴィラ・ロボスの前奏曲を聴いた時には、何か異次元の世界から聴こえてくる音楽のように感じて、少なからず衝撃を覚えた記憶があります(それまでほとんどギターの曲もクラシック音楽も聴いたことがなかったこともありますが)。



効率的な作曲?

 ヴィラ・ロボスのギターの作品は、独奏曲としては「5つの前奏曲集」、「12の練習曲集」、「ブラジル民謡組曲~5曲」、「ショールス第1番」。他に「ギター協奏曲」、および若干のギターを含む作品となっています。ギター独奏曲だけに限定すれば、ちょうどCD1枚に収まってしまいます。

 しかしその「CD1枚分」のギターの作品はどの曲もたいへんよく演奏され、ほとんど演奏されない曲というのはありません。同時代の作曲家のテデスコや、モレーノ・トロバ、ポンセなどもギターの作品をかなり作曲していいて、よく演奏される曲もたくさんありますが、その一方でほとんど演奏されない”可哀想な”曲も結構あります。そういった点ではヴィラ・ロボスの場合は”無駄”がほとんどなく、とても効率的な作曲と言えるかもしれません。
 


意外かも知れませんが

 ヴィラ・ロボスはギターの作品だけ作曲していたわけではなく、オーケストラ曲や室内楽、ピアノ曲なども作曲していたということは皆さんもご存知と思います。しかし美しいアリアで有名な「ブラジル風バッハ第5番」などを除けば、そうしたヴィラ・ロボスのギター曲以外の曲をよく聴くとか、聴いたことがあると言う人はそう多くはないでしょう。

 Wikipediaによれば、「ヴィラ・ロボスには1000曲近くに及ぶ作品があり、その全貌を捉えることは容易なことではない」と記されています。交響曲が12曲、弦楽四重奏曲が17曲と、それらだけでも数の上ではベートーヴェンを上回っています。私たちには意外とピンとこない話ですが、ヴィラ・ロボスはかなりの多作家だったようです。



最近取り寄せたCD

 ちょっと前まではそうしたヴィラ・ロボスの交響曲とか弦楽四重奏曲などはあまり市場には出されていなかったのではないかと思いますが(私が知らなかっただけ?)、最近ではインターネットなどでかなりのCDが入手可能になっています。そこで最近以下の写真のように目に付いたものを取り寄せて見ました。


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上段 交響曲全集 第1番~第12番(第5番を除く)  7枚

中段左 ヴァイオリン・ソナタ集 第1~3番   1枚

中段中 フルートのための作品   1枚

中段右 ピアノ協奏曲集 第1~5番   2枚

下段左 ショールス集(1~12番)、ブラジル風バッハ(1~9番)、ギター独奏曲集   7枚

下段右 弦楽四重奏曲集 1~17番    6枚


 もちろんこれでもまだまだヴィラ・ロボスの全作品の一部と思いますが、これだけでも聴くには結構な量です。ピアノのための作品もかなりあると思いますが、今のところ単売のものしかないようで、いずれ全集が出てから取り寄せようと思っています。またヴィラ・ロボスの自演のCD(ショールス集、ブラジル風バッハ集)もあるようですが。

 

ヴィラ・ロボスの生涯については

 ヴィラ・ロボスについての詳しいことはWikipediaなどで調べていただければと思いますが、一応簡単にまとめておきましょう。ヴィラ・ロボスは1887年、ブラジルのリオデジャネイロの生まれで、幼少時より父や叔母などからピアノ、クラリネット、チェロなどを学びました。1923年~1930年はパリに留学していました。1959年に亡くなっています。

 現在残されている主な作品は1912年頃から作曲されたようで、初期の作品はメロデッィクで、長調、短調のはっきりしたロマン派的、あるいは古典的な作風ですが、次第にブラジルの民族的要素を意識したものになってきます。

 上記のとおりヴィラ・ロボスは複数の楽器が演奏できたようで、かなり器用な性格だったのでしょう。因みにギターに関しては独学のようですが、「前奏曲第1番」など低音弦を歌わせる曲が多いのはチェロを演奏していたことと関係が深いのかも知れません。



「ロボス」と呼んではいけない

 因みに、ヴィラ・ロボスのファースト・ネームは「エイトール」でセカンド・ネームが「ヴィラ・ロボス」です。決してファースト・ネームが「ヴィラ」でセカンドが「ロボス」ではありません。ヴィラ・ロボスのことを「ロボス」と呼ぶ人もいますが、これはあまりよくないようです。私のことを「ムラ」と呼ぶようなものかも知れません。


 次回からそれぞれのCDを紹介してゆきますが、今回はここまでにしておきましょう。
 9月18日(土) 12:30~16:30 ひたちなか市文化会館小ホールで「ギターフェスティヴァル in ひたちなか」が行われます。詳細の方はアコラのホームページの方を見ていただければと思いますが、当ブログでも紹介しておきましょう。


 内容は10数名のアマチュア・ギタリストと4名のプロ・ギタリストによるコンサートで、今回初めての企画となります。予定では演奏時間4時間にも及ぶ、盛りだくさんのコンサートで、アマチュア・ギタリストのほうも各地のコンクールで入賞している”つわもの”たちも出演します。


 プロ・ギタリストとしては、私の他、宮下祥子さん、大野加奈代さん、谷島崇徳さんが出演します。私の演奏曲目はジョン・ダウランドの「プレリュード」、「ファンシー」、「エリザベス女王のガイヤード」。スミス・ブリンドルの「黄金のポリフェーモ」です。


 当コンサートは入場無料ですので、ぜひお出でいただければと思います。当日会場ではCDや楽譜などを販売しますが、私の方では次のように、編曲譜と教材用のCDを提供します。



中村俊三編曲楽譜 (各2曲セットで500円  すべてギター独奏のための編曲)
         *はおおよその難易度


1.ヴィヴァルディ : ラルゴ(冬より)   *A
  ボッケリーニ  : メヌエット


2.成田為三    : 浜辺の歌     *A
  滝廉太郎    : 花        *B


3.モーツァルト  : ロマンセ(「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」より) *B
  モーツァルト  : メヌエット(ディヴェルティメント 二長調より)   


4.ロドリゲス   : ラ・クンパルシータ   *B
  エルヴィン   : 奥様お手をどうぞ


5.パガニーニ   : カンタービレ(原曲:ヴァイオリンとギターのための作品) *C
  パガニーニ   : ソナタ ホ短調(原曲:ヴァイオリンとギターのための作品)


6.中村俊三    : 「グリーン・スリーブス」による幻想曲   *C
  ファリャ    : 粉屋の踊り


7.アルベニス   : 入り江のざわめき  *C
  アルベニス   : グラナダ


8.アルベニス   : パヴァーナ・カプリチョ  *C
  アルベニス   : マラゲーニャ



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          当日会場で販売する楽譜やCD




教材用CD : 演奏 中村俊三  各1000円


1. クラシック・ギター曲集 1 (初~中級)
 
   曲目 : 愛のロマンス、 マリア・ルイサ、 小さなロマンス、 雨だれ、 月光、 ラグリマ他



2. クラシック・ギター曲集 2  中級
   
   曲目 : 水神の踊り、 アメリアの遺言、 ラ・パロマ、 エストレリータ、 鐘の響き、 ネグリート他
  


 なお、以上の売り上げは当コンサートの経費に当てられます。ご協力いただければと思います。