フローリアン・ラルース GFA優勝 現在22歳
新進演奏家リサイタル・シリーズの2回目は、2009年の9月に録音された、フランス生まれのフローリアン・ラルースのCDです。このギタリストは1988年生まれとなっていますから、現在22歳、録音時には21歳ということになります(誕生日の関係で若干異なるかも知れませんが)。2009年に Guitar Foundation of America Competition で優勝しており、パリ・コンセルバトワールでローラン・ディアンスなどに師事しています。

ダウランド : ファンシー、涙のパヴァーン、ファンタジア
レゴンディ : 序奏とカプリッチョ
アントニオ・ホセ : ソナタ
ダンジェロ : リディア調の二つの歌
コスト : ル・デパル~劇的幻想曲Op.31
音が美しい
このCDを聴いてまず最初に感じるのは、その音の美しさ。確かにこのシリーズのギタリストは皆美しい音をもっているのですが、でもこのギタリストの音は一際美しく感じます。しかし何といってもCDなので、音色などについてはあまりはっきりしたことは言えませんが、でもやはり印象的な音です。音色が美しいというより、とても繊細で、センシシブな演奏、あるいは響きの美しさを持ったギタリストと言えるかも知れません。
2フレット・カポが主流?
最初のダウランドは2フレットにカポタストを使用しての演奏のようで、最近ではダウランドの曲はこのように演奏されるのが主流なのでしょう(パリ・コンセルバトワールの指導方針?)。他にもすばらしい点はいろいろあるとは思うのですが、やはりその響きの美しさに目が(耳が)行ってしまいます。
なまめかしい
レゴンディの「序奏とカプリッチョ」は最近比較的よく演奏される曲ですが、いわゆるヴィルトーゾ的な曲で、ギタリストによっては勢いにまかせたような演奏になることもありますが、このラルースではやはり美しく演奏しています。技巧的な「カプリッチョ」のほうでも華やかさというより”なまめかしさ”が感じられます。
スペイン内乱の犠牲者
アントニオ・ホセの「ソナタ」も最近よく演奏される曲で、このシリーズでも少なくとも3人のギタリストがこの曲を録音しています。アントニオ・ホセは1902年生まれのスペインの作曲家で、この「ソナタ」は1933年に作曲されています。ホセは1936年にスペイン内乱の戦禍で若くして亡くなったそうです。
この曲は終楽章など、確かにスペイン的なところはあるのですが、この演奏で聴くと、独特の響きの美しさを持った曲に感じられます。そう感じるのもこのギタリストの感受性によるものでしょうか。
しかしこのギタリストは感覚的にのみ演奏しているわけではなく、それぞれの音のタイミング、音量、音質などをしっかりとコントロールした上で、あるいは計算した上でで発音しているようにも感じます。私がこれまで聴いたこの曲の演奏の中では最良のものと感じました。
このギタリストにもっともよく合う美しい曲
Nuccio D'Angerlo の「リディア調の二つの歌」も響きの美しい曲で、これこそこのギタリストに最もよく合う曲だと思います。リディア調とは長音階の第4音、つまり「ファ」を主音とした教会旋法で、この曲はいわゆる現代的な和声の曲ですが、教会旋法を用いているせいか、どこか懐かしいような感じもします。2曲目のほうは動きも活発になり、よりシャープな響きの曲になっています。
コストらしく
最後はコストの「ル・デパル」で、「劇的幻想曲」となっていますが、特に激しいとか情熱的といった感じではなく、いつものコストの感じ、つまり日常的というか、親しみやすさのほうが感じとれます。この曲も美しく演奏しているのは言うまでもありません。
魅力的なギタリスト、ただそれだけ
このCDを聴いていると、まず何といっても、どの曲もすばらしい曲に聴こえてくると言うことが出来ます。そのことはこのギタリストの能力の高さを証明しているのでしょうが、でもこのギタリストについて語る言葉としては ”とても魅力的なギタリスト”・・・・ ただそれだけでよいかも知れません。
新進演奏家リサイタル・シリーズの2回目は、2009年の9月に録音された、フランス生まれのフローリアン・ラルースのCDです。このギタリストは1988年生まれとなっていますから、現在22歳、録音時には21歳ということになります(誕生日の関係で若干異なるかも知れませんが)。2009年に Guitar Foundation of America Competition で優勝しており、パリ・コンセルバトワールでローラン・ディアンスなどに師事しています。

ダウランド : ファンシー、涙のパヴァーン、ファンタジア
レゴンディ : 序奏とカプリッチョ
アントニオ・ホセ : ソナタ
ダンジェロ : リディア調の二つの歌
コスト : ル・デパル~劇的幻想曲Op.31
音が美しい
このCDを聴いてまず最初に感じるのは、その音の美しさ。確かにこのシリーズのギタリストは皆美しい音をもっているのですが、でもこのギタリストの音は一際美しく感じます。しかし何といってもCDなので、音色などについてはあまりはっきりしたことは言えませんが、でもやはり印象的な音です。音色が美しいというより、とても繊細で、センシシブな演奏、あるいは響きの美しさを持ったギタリストと言えるかも知れません。
2フレット・カポが主流?
最初のダウランドは2フレットにカポタストを使用しての演奏のようで、最近ではダウランドの曲はこのように演奏されるのが主流なのでしょう(パリ・コンセルバトワールの指導方針?)。他にもすばらしい点はいろいろあるとは思うのですが、やはりその響きの美しさに目が(耳が)行ってしまいます。
なまめかしい
レゴンディの「序奏とカプリッチョ」は最近比較的よく演奏される曲ですが、いわゆるヴィルトーゾ的な曲で、ギタリストによっては勢いにまかせたような演奏になることもありますが、このラルースではやはり美しく演奏しています。技巧的な「カプリッチョ」のほうでも華やかさというより”なまめかしさ”が感じられます。
スペイン内乱の犠牲者
アントニオ・ホセの「ソナタ」も最近よく演奏される曲で、このシリーズでも少なくとも3人のギタリストがこの曲を録音しています。アントニオ・ホセは1902年生まれのスペインの作曲家で、この「ソナタ」は1933年に作曲されています。ホセは1936年にスペイン内乱の戦禍で若くして亡くなったそうです。
この曲は終楽章など、確かにスペイン的なところはあるのですが、この演奏で聴くと、独特の響きの美しさを持った曲に感じられます。そう感じるのもこのギタリストの感受性によるものでしょうか。
しかしこのギタリストは感覚的にのみ演奏しているわけではなく、それぞれの音のタイミング、音量、音質などをしっかりとコントロールした上で、あるいは計算した上でで発音しているようにも感じます。私がこれまで聴いたこの曲の演奏の中では最良のものと感じました。
このギタリストにもっともよく合う美しい曲
Nuccio D'Angerlo の「リディア調の二つの歌」も響きの美しい曲で、これこそこのギタリストに最もよく合う曲だと思います。リディア調とは長音階の第4音、つまり「ファ」を主音とした教会旋法で、この曲はいわゆる現代的な和声の曲ですが、教会旋法を用いているせいか、どこか懐かしいような感じもします。2曲目のほうは動きも活発になり、よりシャープな響きの曲になっています。
コストらしく
最後はコストの「ル・デパル」で、「劇的幻想曲」となっていますが、特に激しいとか情熱的といった感じではなく、いつものコストの感じ、つまり日常的というか、親しみやすさのほうが感じとれます。この曲も美しく演奏しているのは言うまでもありません。
魅力的なギタリスト、ただそれだけ
このCDを聴いていると、まず何といっても、どの曲もすばらしい曲に聴こえてくると言うことが出来ます。そのことはこのギタリストの能力の高さを証明しているのでしょうが、でもこのギタリストについて語る言葉としては ”とても魅力的なギタリスト”・・・・ ただそれだけでよいかも知れません。
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