Jerome Ducharme 2005年GFA優勝 アメリカ生まれでモントリオールで学ぶ

韻を踏んだ?
今回のCDは2006年3月に録音されたジェローム・ドゥシャームの演奏です。韻を踏むような名前ですが、原語でもJerome Ducharme となっていて、確かに韻を踏んでいるのでしょう。1978年、シカゴの近くのジョリエットと言う町に生まれ、モントリオールでギターを学んでいます。今年33歳になるのでしょうか、USA出身のギタリストも今回初めてということになります。
ひげと笑顔
写真のひげからすると、豪快な演奏をしそうにも見えますが、そのひげの間から見える笑顔のとおり、とても優しい演奏です。このギタリストもまた、たいへん美しい音を持っています。
コープランドの「アパラチアの春」の続編?
1曲目のマシュー・タン作曲、「アパラチアの夏」はコープランドの「アパラチアの春」に因んだ曲なのでしょうか。アルペジオの伴奏にのって民謡風のメロディが奏でられますが、曲は5つの部分からなるようです。それぞれ同じ素材を用いているようで、変奏曲のようになっているのかもしれません。
最初の部分は前述tのとおり、ゆっくりとしたメロディックな部分ですが、第2の部分はテンポが速くなり、ややアサドの「アクアレル」風。第3の部分は再びゆっくりとした部分になります。第4の部分ではメロディと伴奏が通常の8分音符(たぶん?)と3連符という、異なる音価の音符で奏されます。最後の部分は活発な部分となって曲が終わります。全体としては比較的耳に馴染みやすい曲で、ドシャームの優しく、美しい音によく合っています。
カナダの作曲家の曲
次はカナダの作曲家、Lacques Hetu(ジャケス・エテュ?)の組曲作品41で、前奏曲、夜想曲、バラード、夢想、終曲の5曲からなる15分ほどの曲です。「アパラチアの夏」よりは無調的ですが、鋭い響きや特殊奏法などを使う曲ではなく、繊細な感じの美しい曲です。終曲のみ活発な感じの曲になっています。
ヴァイオリニストでもあったマネンの唯一のギター曲
ホアキン・マネン(1883~1971)は若い頃は優れたヴァイオリニストとして活動したが、後に作曲を主にするようになり、オペラや管弦楽曲などを作曲しました。ギター曲としては1930年頃に、セゴビアのために書かれたこの曲のみのようです。この「幻想的ソナタ」は、細かく見れば6つの部分からなりますが、切れ目なく演奏され、全体で20分弱の曲です。
「ミ」「シ」「レ」「ラ」という5度関係の音による和音で始まり、テンポの速い第2、第4の部分(楽章といってもよいのかも知れませんが)ではスペイン的なリズムも聴かれますが、全体的には外見上、特にスペイン風とかフラメンコ風にしてはいなようです。5音音階なども使用し、どちらかと言えば印象派的といえるでしょうか。
この曲は1950年代にセゴビアも録音していて、なかなか内容のある曲ですが、曲が大きすぎるのかあまり演奏される機会は少ないようです。ある意味貴重な録音と言えるでしょうか。
スペインの風のような3つの小品
次はロドリーゴの「スペイン風3つの小品」で、たいへんよく演奏される曲です。「小品」とはなっていますが実際には高度な技術が要求される曲で、出場者が自らの技術の完成度をアピールすべく、コンクールなどでもよく演奏されます。
しかしこのドゥシャームの演奏では、そういった「自らの技術をアピールする」ような感じは全くありません。ともすれば気負いがちな1曲目の「ファンダンゴ」も、むしろ歌わせることに気持ちが行っているようです。2曲目の「パッサカリア」も重たくなりすぎず、「サパテアード」も力むことなく、全体として爽やかな「スペインの風」といった感じです。ドゥシャームにとってこの曲は文字通り「スペイン風3つの小品」なのでしょう。
再び登場、ヒナステラの「ソナタ」
次はトーマ・ヴィロトーも弾いていたヒナステラの「ソナタ」です。作曲者はギタリストでないにもかかわらず、ギターの特殊奏法のオン・パレードの曲ということで、これまでの曲とはちょうっと毛色の違った曲といえます。ヴィロトーの演奏に比べると基本的なところではそれほど決定的な差はなく、テンポも曲によって若干違いがありますが、トータルするとどちらも13分台とほぼ同じです。
強いて言えばヴィロトーの方が強弱の差が若干大きく、ドシャームの方は弱音でも不明快にならず、強音でも音を歪ませることなく弾いているということでしょうか。もちろん使用している楽器の違いからくる音色や音質の違いはあります。
第2.第4楽章は共にテンポも速くリズム系の曲ですが、第2楽章の方は常に3拍子系、あるいは3連符系で、特殊奏法はいろいろあってもリズム的にはシンプルですが、第4楽章のほうは8分の5、8分の6、8分の7拍子などが入り混じる複雑なリズムの曲になっています。
”閉め”はドビュッシー賛
最後はファリャの「ドビュッシー賛」で、しっとりと閉めていますが、スタッカートなどのニュアンスに繊細な気配りをしている演奏です。

韻を踏んだ?
今回のCDは2006年3月に録音されたジェローム・ドゥシャームの演奏です。韻を踏むような名前ですが、原語でもJerome Ducharme となっていて、確かに韻を踏んでいるのでしょう。1978年、シカゴの近くのジョリエットと言う町に生まれ、モントリオールでギターを学んでいます。今年33歳になるのでしょうか、USA出身のギタリストも今回初めてということになります。
ひげと笑顔
写真のひげからすると、豪快な演奏をしそうにも見えますが、そのひげの間から見える笑顔のとおり、とても優しい演奏です。このギタリストもまた、たいへん美しい音を持っています。
コープランドの「アパラチアの春」の続編?
1曲目のマシュー・タン作曲、「アパラチアの夏」はコープランドの「アパラチアの春」に因んだ曲なのでしょうか。アルペジオの伴奏にのって民謡風のメロディが奏でられますが、曲は5つの部分からなるようです。それぞれ同じ素材を用いているようで、変奏曲のようになっているのかもしれません。
最初の部分は前述tのとおり、ゆっくりとしたメロディックな部分ですが、第2の部分はテンポが速くなり、ややアサドの「アクアレル」風。第3の部分は再びゆっくりとした部分になります。第4の部分ではメロディと伴奏が通常の8分音符(たぶん?)と3連符という、異なる音価の音符で奏されます。最後の部分は活発な部分となって曲が終わります。全体としては比較的耳に馴染みやすい曲で、ドシャームの優しく、美しい音によく合っています。
カナダの作曲家の曲
次はカナダの作曲家、Lacques Hetu(ジャケス・エテュ?)の組曲作品41で、前奏曲、夜想曲、バラード、夢想、終曲の5曲からなる15分ほどの曲です。「アパラチアの夏」よりは無調的ですが、鋭い響きや特殊奏法などを使う曲ではなく、繊細な感じの美しい曲です。終曲のみ活発な感じの曲になっています。
ヴァイオリニストでもあったマネンの唯一のギター曲
ホアキン・マネン(1883~1971)は若い頃は優れたヴァイオリニストとして活動したが、後に作曲を主にするようになり、オペラや管弦楽曲などを作曲しました。ギター曲としては1930年頃に、セゴビアのために書かれたこの曲のみのようです。この「幻想的ソナタ」は、細かく見れば6つの部分からなりますが、切れ目なく演奏され、全体で20分弱の曲です。
「ミ」「シ」「レ」「ラ」という5度関係の音による和音で始まり、テンポの速い第2、第4の部分(楽章といってもよいのかも知れませんが)ではスペイン的なリズムも聴かれますが、全体的には外見上、特にスペイン風とかフラメンコ風にしてはいなようです。5音音階なども使用し、どちらかと言えば印象派的といえるでしょうか。
この曲は1950年代にセゴビアも録音していて、なかなか内容のある曲ですが、曲が大きすぎるのかあまり演奏される機会は少ないようです。ある意味貴重な録音と言えるでしょうか。
スペインの風のような3つの小品
次はロドリーゴの「スペイン風3つの小品」で、たいへんよく演奏される曲です。「小品」とはなっていますが実際には高度な技術が要求される曲で、出場者が自らの技術の完成度をアピールすべく、コンクールなどでもよく演奏されます。
しかしこのドゥシャームの演奏では、そういった「自らの技術をアピールする」ような感じは全くありません。ともすれば気負いがちな1曲目の「ファンダンゴ」も、むしろ歌わせることに気持ちが行っているようです。2曲目の「パッサカリア」も重たくなりすぎず、「サパテアード」も力むことなく、全体として爽やかな「スペインの風」といった感じです。ドゥシャームにとってこの曲は文字通り「スペイン風3つの小品」なのでしょう。
再び登場、ヒナステラの「ソナタ」
次はトーマ・ヴィロトーも弾いていたヒナステラの「ソナタ」です。作曲者はギタリストでないにもかかわらず、ギターの特殊奏法のオン・パレードの曲ということで、これまでの曲とはちょうっと毛色の違った曲といえます。ヴィロトーの演奏に比べると基本的なところではそれほど決定的な差はなく、テンポも曲によって若干違いがありますが、トータルするとどちらも13分台とほぼ同じです。
強いて言えばヴィロトーの方が強弱の差が若干大きく、ドシャームの方は弱音でも不明快にならず、強音でも音を歪ませることなく弾いているということでしょうか。もちろん使用している楽器の違いからくる音色や音質の違いはあります。
第2.第4楽章は共にテンポも速くリズム系の曲ですが、第2楽章の方は常に3拍子系、あるいは3連符系で、特殊奏法はいろいろあってもリズム的にはシンプルですが、第4楽章のほうは8分の5、8分の6、8分の7拍子などが入り混じる複雑なリズムの曲になっています。
”閉め”はドビュッシー賛
最後はファリャの「ドビュッシー賛」で、しっとりと閉めていますが、スタッカートなどのニュアンスに繊細な気配りをしている演奏です。
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