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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

中村俊三ギター・コンサート ポピュラー&クラシック


◎ 11月13日(日) 14:00~  ひたちなか市アコラ

  前売り 2000円  



◎ 11月26日(土) 14:00~  石岡市ギター文化館

  前売り、当日 2000円



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     <曲 目>

  part1 Popular pieces

カヴァティーナ(マイヤーズ)

ひまわり(マンシーニ)

禁じられた遊びより(イエペス編)

第三の男(カラス)

スタン・バイ・ミー(キング)

レット・イット・ビー(マッカートニー)

チェンジ・ザ・ワールド(シムス)

トップ・オブ・ザ・ワールド(カーペンター)

日曜、朝、曇り(ヨーク)

サンバースト(ヨーク)



  part2 Classical works

J.K.メルツ : かわいい変奏曲~吟遊詩人の調べより

ハンガリー幻想曲

A.ラウロ : マリア・カロリナ

アディオス・オクマレ

ベネズエラ風ワルツ第3番

A.バリオス : 人形の夢、 蜜蜂、 大聖堂



   ・・・・・・・・・・・・・・


久々のフル・コンサートは、ポピュラーとクラシックのハーフ&ハーフ

 今年の11月に以上のように私のコンサートを行います。最近ミニ・コンサートやガラ・コンサートなどでは演奏していますが、”フル・コンサート”としては2年ぶり(2009年のアルベニスのコンサート以来)となります。といってもポピュラーとクラシックと半々の比較的気楽なプログラムとなっています。

 でも「聴く人にとって気楽」=「弾く人も気楽」、と言うことには残念ながら(誰が残念なの?)なりません。聴く人に楽しんでいただくためには、弾く方としては最大限の努力をしないといけないのは当然かも知れません(今さら言うべきことでもありませんね)。



1曲くらいは・・・・

 いろいろ楽しんでいただけるプログラムを考えているうちに、それなりの量になってしまいましたが、皆さんに楽しんでいただけそうな曲であると共に、私自身弾いてみたい曲でもあります。よく言えばバラエティに富む、一歩間違えれば収拾のつかない内容とも言えますが、どなたにでも1曲くらいは好みに合ったものがあるのではと思います ・・・・数打てば当たる?



4-4-2

 具体的な曲目紹介などは後日にしますが、前半の「ポピュラー」は映画音楽(1950年代2曲、1970年代2曲)4曲、スタンダード・ポップス4曲、アンドリュー・ヨークの曲2曲の計10曲です。ロサンゼルスを拠点に活躍するギタリスト、アンドリュー・ヨークは一般的にクラシック・ギタリストに分類されますが、その作品はポピュラー的、最近の言葉ではアコーテスティック・ギター的と言えます。

 

メルツ、ラウロ、バリオス

 クラシックのほうでは19世紀のギタリスト、ヨハン・メルツ。ベネズエラのギタリスト、アントニオ・ラウロ。パラグアイ出身のギタリスト、アウグスティン・バリオスの作品を演奏します。

 メルツの作品はこれまで私自身ではあまり(というより全然)演奏してこなかったものですが、今年の4月に数曲演奏するなど、今年になってから力を入れています。「ハンガリー幻想曲」はメルツの作品では最も有名なものですが、私自身では今回初めて演奏します。「かわいい変奏曲」は名前のわりには大曲です(6~7分)。

 親しみやすく、愛らしいとも言える、ベネズエラ風ワルツを数多く作曲したアントニオ・ラウロの作品も、これまで「ベネズエラ風ワルツ第3番」を除くとあまり演奏してきませんでした。今回はこの「ベネズエラ風ワルツ第3番」に加え、比較的演奏される機会の少ない「マリア・カローリナ」、「アディオス・オクマレ」の2曲を演奏します。

 バリオスの「大聖堂」はクラシック・ギターを代表する名曲ですが、私自身としては20年数年ぶりの演奏です。それに「人形の夢」と「蜜蜂」の2曲を加えて演奏します。



   ・・・・・・・・・・・

 
9月発売

 チケットは9月より発売いたしますが、13日のアコラのほうは席数も少ないので(20席前後)、前売りのみとなります。満席になるかどうかはわかりませんが、チケット購入は出来るだけお早めにお願い出来ればと思います。チケット予約、購入は当教室で扱います。

 26日のギター文化館のほうは、前売り、当日共に2000円。チケット取り扱いは当教室、およびギター文化館となります。



ぜひよろしくお願いいたします。
 

 




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昨日の新聞によりますと・・・・

 昨日(8月25日)の新聞に「ブラックホール 星を飲み込む瞬間」と言う記事がありました。といってもブラックホールが本当に星を飲み込む瞬間を望遠鏡などで観測したと言うわけではなく、実際は「きぼう」などの観測装置が39億光年の彼方から来るX線を観測したと言うわけです。そのX線の強度と、39億光年彼方の銀河の中心部から突然観測された事実などからその銀河の中心にある巨大なブラックホールに星が吸い込まれていること以外にありえないということのようです。

 ブラックホールにはおおまかに二通りあって、一つは太陽より10倍くらい大きい星が超新星爆発を起こして出来るもので、これはやや小型のブラックホールといえます。そしてもう一つのタイプは、宇宙のあらゆる銀河の中心にある巨大なブラックホールと言うことになり、これは少なくとも太陽の数百万倍の質量があるそうです。


星の一気飲み?

 普通ブラックホールが星を飲み込む場合は、その強い潮汐力で星をばらばらにして徐々に飲み込むような形なのではと思いますが、今回のニュースでは突然強いX線が観測されたことなどから、ある意味星を「丸ごと」飲み込むといったイメージに近いのかも知れません。



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最近の研究ではブラックホールはこんな形をしているらしい。といってもブラックホールそのものは見えないので、ブラックホールの周りを高速で回転しているガスなどが見える(かもしれない)。しかし実際に光学的に観察可能な場所で望遠鏡などで見たとしてもブラックホールによって空間が激しく歪められるので、実際はどのように望遠鏡に映るのかは不明。



星を食うのもそんなに楽じゃない

 巨大な質量、したがって強大な引力をもつブラックホールが星を飲み込むなどということは一見たやすいように思われますが、意外とこれがそれほど簡単ではない。いかにブラックホールの引力が強くても、星のほうはただ高速でブラックホールの周りをぐるぐると回転するだけでなかなか落ちて来ない。引力が強いほど星の回転、つまり角速度が上がるからです。



他の星などと衝突を繰り返して

 しかしその星が他の星と衝突(銀河の中心部は星が密集している)、あるいは重力的に影響し合うなどすると、その星の軌道が徐々にブラックホールに近づく(遠ざかるのは難しい)。そうしたことが繰り返されると最後にはブラックホールに引きずり込まれると言うわけです。この星も多分そんな、いろいろな不運が重なってしまったのでしょう ・・・・合掌。

 普通ブラックホールの「えさ」は星ではなく星間ガスだそうです。ガスのほうも銀河の中心部にはたくさんあり、ブラックホールに捉えられたガスは、ドーナツ状になり高速で回転しています。ガスのほうが星に比べれば周りのガスとの摩擦(言い換えれば衝突)で速度を失いやすいのでブラックホールには落ちやすいということです。



宇宙も弱肉強食?

 そういった意味では、このブラックホールにとっては久々の食べ応え、あるいは歯ごたえのある食事だったのかも知れませんね、ラッキーと言えばラッキーだったかも知れません。一方「えさ」になってしまった星にはただ不運では済まされませんね。この星にすれば生まれた場所がブラックホールの近くだったということが不運の人生の始まりだったのでしょう。群れからははぐれてしまったり、けがをした草食動物がライオンのえさになってしまうのと似ているのでしょうか。



近づくものは何でも食べる?

 近づくものは何でも食べてしまいそうなブラックホールも、実はちゃんと摂生しているようです。最近の研究ではブラックホールの質量と銀河全体の質量とは完全に比例していて、ブラックホールは無限大に太るわけではなく、常に適正な体重、つまり適正な質量を維持しているようです。

 因みにブラックホールはダイエットすることは出来ません。ブラックホールは飲み込んだものを吐き出すことは出来ませんが、ただし飲み込み損なったものは高速のジェット流として宇宙空間に放出します。今回観測されたX線も、その光速に近いジェット流によるものだそうです。



これは39億光年の彼方の、39億年昔の話。ご安心下さい

 もちろんこの話は39億光年彼方の話、言い換えれば39億年前の話です。39億年前といえば地球では生命が誕生したかどうかの頃かも知れません。仮に私たちの太陽系に極めて不運が重なったとしてもこの星のようにブラックホールに吸い込まれる可能性はありません、安心してください。私が言うのですから安心もできないかも知れませんが、こんな心配をする人を中国の古い言葉で「杞憂」と言うのでしょうか。



それでも心配?

 少なくとも私たちの銀河の中心にあるブラックホールに落ち込む可能性はないでしょう。ただし私たちの銀河が他の銀河などに衝突した時に、運が悪ければブラックホールに巻き込まれる可能性はゼロとは言えないかも知れません。ゼロではないとしても文字通り「天文学的」にゼロ近い確率です。
 
似ている曲でも「月光」ではアポヤンド奏法は使わない

 前回アルペジオに乗せて歌わせるタイプの「愛のロマンス」では、私の場合薬指と、親指はほとんどアポヤンド奏法で弾いているということを言いました。しかし似たタイプの曲「月光」ではアポヤンド奏法は使いません。その理由として、この曲ではメロディは薬指ではなく、主に中指で弾くということで、中指については私でもステージで不安定になることはあまりありません。また時折出てくる薬指もアル・アイレ奏法で弾いています。

 また音量的にも中指は大きな音の出せる指なので、バランス上も問題ありません。またソルの時代にはアポヤンド奏法は使われなかったということもあります。 ・・・・と言いつつも結構反則を犯していますが。


弦を押し付けるようにして

 また音楽の内容からして、「愛のロマンス」のようにメロディにウエイトが偏ってなく、ハーモニーが重要と言うことも出来ます。。因みにアル・アイレ奏法で大きく、膨らみのある音を出すには、指先を表面版方向に弦を押し付けるようにして爪に深くかけ、手のひらの中心部に弦を”握り込む”ようにして弾きます。



速いアルペジオの曲

 再びアポヤンド奏法の使用例になりますが、今度はかなり速いアルペジオの例です。曲はメルツの「吟遊詩人の調べ作品13」の中から「フィンガルの洞窟」のアルペジオ部分です。速いアルペジオにより、轟々という洞窟に響き渡る波の音を表しているのでしょう。


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 「Allegro」と指定された6連符のアルペジオですが、おそらく1拍をメトロノームで100~120/mくらいの速度を想定しているのではと思います。このスピードは16分音符に換算すれば150~180/mとなりますからかなりの速さです。前回同様に、私の場合は○印の付いた音、つまり親指と薬指はほぼアポヤンド奏法で弾いています。



”見た目”では判らない

 この速度ですとアポヤンド奏法の使用はかなり難しいのですが、私の場合は結果的にこのほうがようようです。アポヤンド奏法といってもフォーム的にはアル・アイレ奏法とほとんど変りません。特に親指は見た目ではどちらで弾いているか区別は付きません。自分でも指先の”感触”でわかるだけで、”目”では判別出来ません。要する弾いた後、に次の弦触れるか、触れないかだけです。



アル・アイレ奏法が上手くない理由?

 薬指のほうもあまり違いはありませんが、よく見るとアポヤンドのほうが動きが小さく、アル・アイレの方がやや(特にフォロー・スイングが)大き目のようです。もしかしたらそのことと、私がアル・アイレ奏法があまり上手くないのと関係があるかも知れません。 



アルペジオの響きの中から主旋律を浮き上がらせるために

 この曲は大雑把に言えば、ppで始まり、ffで終わると言った感じの曲で、その音量の違いがあるほど迫力ある曲になるといった感じの曲です。譜例の挙げたのはその出だしのppの部分で、確かにすべてアル・アイレ奏法でもよいのですが、すべてアル・アイレ奏法だとなかなか主旋律とアルペジオとの音量や音色の差が付けにくい感じがします。

 主旋律(1弦の)にアポヤンド奏法を用いることにより、逆にアルペジオ部分の音を抑えることも出来、そのアルペジオの響きの中から主旋律を浮き上がらせることが出来ると思います。また低音にもアポヤンド奏法を使うことにより響きに”おもし”を付けることが出来、響き上の安定感も出ます。



後半はさらに速くなるが、親指のみアポヤンド奏法

 譜面はありませんが、この曲は後半からは高音よりも低音の方が主となり、1弦の音も主旋律ではなく単なるアルペジオの音の一つとなる場合が多くなります。したがって、曲の後半からはアポヤンド奏法は親指のみとなります。

 さらに終わり近くではアルペジオが6連符ではなく、32分音符となり、アポヤンド奏法は難しくなりますが、それでも私の場合親指はアポヤンド奏法で弾いています。この曲のエンディングではぜひとも音量はほしいところです。親指をアポヤンド奏法にすることにより、前述のとおり響きが安定するだけでなく、右手自体も安定して(右手の上下動などが少なくなる)音抜けなども少なくなります。



 ****「親指はアポヤンド奏法で弾いたほうが安定する」 というのはかなり個人差があって、アポヤンド奏法を使うといっそう上下動が激しくなってしまう人も少なくありません。私の場合、親指の付け根の間接が内側に入り込んで、人差し指に対して90度くらいの角度にすることが出来ます。

 指の骨の形や付き方などにに関係があるのでしょうが、左手ではそれほど上手くできませんからある程度は訓練のたわものでしょう。また親指はこの付け根の間接だけで(他の部分を全く動かさずに)自由に動かすことが出来、その動きだけでアポヤンド、アルアイレの使い分けや、消音などを行なっています。また必要があれば先端の方の間接を動かすことも出来ます(和音を弾く時、低音の響きを重厚にしたい場合に使う=軽くしたい場合には使わない)



大聖堂の終楽章 

 次はおなじみ「大聖堂」の第3楽章です。この曲(この楽章)もほぼアルペジオで出来ています。難曲の一つと言われ、技巧的で華やかな曲というイメージがありますが、意外と”華やかに”弾くのは難しい曲で、一つ間違えればそれこそ”すべって”しまいます。この曲を華やかな曲、あるいは迫力ある曲に聴こえるように弾くには、かなりの技術が必要でしょう。


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 基本的にはほとんどアルアイレ奏法で弾く曲でしょうが、譜例のとおり、私の場合はアポヤンド奏法を適度に混ぜながら弾いています。それにより右手の安定、さらには曲全体の安定を図っています。私の技術では、アル・アイレ奏法で、すべての音を期待通りの音量や音質で弾くことはかなり難しいことです。



絶対に外せない音がある!

 譜例の後続の部分でも各所でアポヤンド奏法を使っていますが、時にエンディングは絶対に音を外したくないので(そう思ってもよく外れてしまいますが)、アルペジオの最初の音など、かなりアポヤンド奏法を使っています。もちろん私のこうした方法は誰にでも薦められるものではありません。当然それぞれの人に合った方法があるでしょう。



 
現在はアル・アイレ奏法が主流だが

 かつては重要な音、特に主旋律などはアポヤンド奏法を主に使って演奏していましたが、最近のギターギタリストはアル・アイレ奏法を中心に用い、アポヤンド奏法はかつてほど使われなくなりました。その主な理由としては、演奏法自体の合理性と言ったこともありますが、演奏に対する考え方も変ってきたこともあるでしょう。

 またアル・アイレ奏法はアポヤンド奏法に比べて美しく豊かな音を出すのが難しいのですが、最近のギタリストたちの技術が上がり、アル・アイレ奏法でもアポヤンド奏法同様の大きく、美しい音が出せるようになったこともあると思います。



使えるものは何でも使う

 しかしこのアル・アイレ奏法というのは文字通り指が“空中”にあるので、技術の高い一流ギタリストはともかく、一般の愛好者などにとっては、緊張したり、指が震え気味になった場合はなかなかコントロールしにくいのも確かです。時代の流れに逆行するようですが、アル・アイレ奏法だけでは上手く行かない時、アポヤンド奏法を活用するのも一つの方法ではないかと思います。



確実性は高い

 私自身もアル・アイレ奏法があまり得意でないので(ということは「ギターを弾くのが不得意」といっているようなものだが)、困った時にはアポヤンド奏法を使っています。本来ならアル・アイレ奏法で弾くべき箇所、あるいは練習時ではアル・アイレ奏法で問題ないところでも、本番で確実に弾くためにアポヤンド奏法を使っている例がかなりあります。

 以下に私の“アポヤンド使用例”を挙げます。もちろんこれはあくまで私にあった方法なので、当然人によってベストな方法はことなるでしょう。真似しない方が良いこともたくさんありますので、あくまで参考として読んで下さい。



愛のロマンス ~○印は私がアポヤンド奏法で弾いている音


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かつてはメロディ=アポヤンドで指導していた

 上はお馴染みの「愛のロマンス(禁じられた遊び)」ですが。かつては主旋律(1弦、右薬指)はアポヤンド、他はアル・アイレ奏法で弾いているギタリスト、あるいはそのように指導しているギター教師がほとんどだったと思います。初心者の場合はなかなか難しいのですが、「メロディがきれいに出ないから」ということであえてそのように指導していた教師も多かったと思います。実は私もギター教師を始めた頃はそのように教えていました。



現在はほとんどのギタリストがアル・アイレ奏法

 しかし低音を入れながら1弦をアポヤンド奏法で弾くのはなかなか難しく、無理にやるとバランスが崩れるなどいろいろな弊害も生じてしまいます。また前述のとおり、アルアイレ奏法でも十分に美しく弾くことも出来ることもわかり、しだいにあまりこだわらないようになりました。おそらく今現在では大多数のギタリストはアル・アイレ奏法でこの曲を弾き、また指導する場合にもアル・アイレ奏法を基本としているでしょう。



でもやたら○印が多いが

 と言いつつも、譜例のように、音符にアポヤンド奏法を意味する○印がやたらたくさん付いています。もろに現代のギター奏法に逆行するようなアポヤンド奏法の使用例です。実は私自身でもアル・アイレ奏法で弾いたほうがきれいに弾けます。音色、和音のバランス、三連符のタイミングなどはやりアルアイレ奏法のほうがきれいに弾けます。またアルアイレ奏法は他の弦の響きを消さないので、響きも美しくなります。



緊張すると薬指のアル・アイレ奏法が上手く出来なくなってしまう

 ではなぜ私の場合このようにアポヤンド奏法を使うかというと、私の場合ステージで緊張した場合、特に薬指のアル・アイレ奏法が上手く出来なくなるからなのです。音抜けしたりするだけでなく、音量や音色も上手くコントロールできなくなってしまうわけです。

 特にこの曲など1弦のメロディにウエイトがかかっていて、なおかつ誰でも知っている曲ですから、この1弦のメロディだけは絶対にトラブルは起こせません。また自分の持つ最高の音でなければなりません。



薬指のアポヤンド奏法は安定感がある(私の場合だけ?)

 アポヤンド奏法は、その点非常に安定性が高く、特に薬指はアポヤンド奏法で弾きやすい指で、アル・アイレ奏法の場合に比べ、安定性がかなり違ってきます。また音量、音質のコトロールもしやすく、ステージで多少指がふらついている場合でも、ほぼ練習時と同じように弾くことが出来ます。


低音もアポヤンド

 しかし1弦のみをアポヤンド奏法で弾くと、特に低音とのバランスが崩れてしまいます。6弦の開放の「ミ」は和音とメロディを支え、またこの曲の「主音」でもあるのでたいへん重要な音です。この音がきちんと鳴り響かないと音楽になりません。

 私の場合は1弦のメロディとのバランス上、譜例のように低音もアポヤンド奏法で弾いています(もちろん2,3弦はアル・アイレ奏法です)。このように弾くことにより結果的に主旋律と低音部が大きく、中声部が小さくと言う風にバランスは上手く取れます。


他人にはあまり薦められないが

 ただしこの方法(上下同時アポヤンド)は決して易しくないので、無理にやるといろいろな問題を起こします。またアポヤンド、アル・アイレ混合で使うので、三連符のタイミングに”ずれ”が生じてしまいます。これが一般的にベストな方法でないのは確かです。アル・アイレ奏法で上手く弾けるならその方がずっとよいでしょう。私もアル・アイレ奏法がもう少し上手ければアル・アイレ奏法で弾いているでしょう。


アポヤンド=必要悪?

 言葉が適切ではないかも知れませんが、私にとってはアポヤンド奏法、特に薬指のアポヤンド奏法は”必要悪”のようなもの知れません。特にアルペジオで主旋律を薬指が担当する場合はほとんどアポヤンド奏法を用います。アルペジオの場合の親指もほとんどアポヤンド奏法を用いますが、人差し指や、中指は単旋律などでない限り、あまりアポヤンド奏法は使いません。

まとめれば  親指、薬指=アポヤンド  人差し指、中指=アル・アイレ  ということになるでしょうか。
 


 *譜例の方で、さすがに最後のところはアルアイレ奏法で弾きますが、時には1弦の「ミ」が鳴らなくなってしまうこともあります。でもそのの場合でも聴いている人が”勝手に”音を想像してくれると思うので、あまり気にしないようにしています。  
アガリに対処しやすい右手 ~フォームについてなど

 ステージでの演奏は、どうしても右手が不安定になりやすいもの。左手の方は練習できちんと出来ていれば、だいたいは本番でもなんとかなるのですが、右手の方は緊張すると指が震えたり、空振りしたりと、練習時とは全く違う感じになってしまたりすることがあります。

 暗譜についても前述のとおり、努力で克服出来ることも多いのですが、この「右手」に関しては、なかなか対処が難しいものです。その分より深刻な問題かも知れません。これからお話することも完璧な対処法とは言えないのですが、多少なりとも症状を緩和する方法として読んでいただければと思います。


 私自身の話は前にしましたが、若い頃はステージでも右手が練習時に比べて、特に変るということもありませんでした。しかし40代の中頃からでしょうか、体が変ったのか、精神的に何かが変ったのか、ステージデギターを弾くと右手が不安定になるようになりました。右手が震えるようになったというより、正確には「震えに弱くなった」と言えるのかも知れません。若い頃は多少震え気味でもあまり気にならず、速いアルペジオなどでも1曲目から練習時とほぼ同じように弾くことができました。

 しかし最近では、コンサートが始まってから15~20分くらいは、練習時とはだいぶ違った感じになってしまいます。一時期かなりひどい時もあったのですが、現在はフォームの若干の変更、プログラムの構成の工夫などで“それなりに”対処しています。



基本を守る

 右手については、はやり“基本”を守るということがいろいろな場面に対処する最も重要なことだと思いますが、それについては以前にもお話しました。その時の記事と重複しますがあらためて書いておきましょう。



斜め45度は和音、アルペジオで有利

 まず人差し指、中指、薬指の3本は弦に対して“斜め45度”くらいにします。これは現在ほとんどのギタリストが行なっていることで、これはいろいろな意味で合理性が高く、また豊かで美しい音が出せます。同時に安定したフォームと言え、緊張に強い弾き方とも言えます。特に和音やアルペジオの時にその効果は高くなります。

 欠点としてはいわゆる“逆指”が弾きにくいことや、i、mの交互のアポヤンド奏法の時、指の長さの違いがはっきりしやすいことがあげられますが、それを考慮してもプラスの面のほうがずっと大きいでしょう。



手首の間接は曲げない(手首を前に突き出さない)、右手はなるべく弦に近く

 次に“手首の間接を曲げない”ということも重要です。右手首の間接をのばして腕が指先にかけてほぼ直線になるようにし、右手全体が弦からあまり離れないようにします。つまり右手全体をなるべく弦に近いフォームをとるわけです。手首の間接を曲げて手首が前方に突き出すようなフォームをとると右手が不安定になります。



野球の一流選手は内角打ちが得意

 当然のことながら右手が弦に近いほうがコントロールがよくなり、弦をしっかりと掴んで、正確に強く弾くことが可能です。野球の“内角打ち”と同じく打点が体に近いほうが飛距離の打率もあがるはず、プロ野球の一流選手はたいてい内閣打ちが得意・・・・ 違うかな? 本当は野球のことは詳しくない。



右ひじはやや右めに

 右ひじの位置でも演奏の安定感は若干異なってくると思いますが、右ひじは、どちらかと言えばボディのやや“右め”のところに乗せた方がよいと思います。また若干自分のほうにひき付け気味にします。右側を引きつければ、逆に左側、つまりギターのヘッドの方が前に出てきますから、左手も見やすくなり(楽譜も!)、フォーム全体としてもよくなるでしょう。


左手よりも右手を意識したフォーム

 ギターのヘッドを低くすると、左手が押さえにくくなりますが、逆に上げすぎると右手が下り過ぎることになり、右手が不安定になります。ギターを持つフォームは普通「左指の押さえやすさ」を中心に考えられますが、右手の安定はより重要と思います。因みに私自身は足台よりも、ギター・レストを使ったほうが右手が安定するように感じます(右ひじが足台を使った場合に比べ、やや上がり気味になるため)。

必ず“左手”を視野に入れる

 この話は、イラストなどを添えればわかりやすいのですが、私が描いたものでは余計わからなくなりそうなので文章だけで説明します。若干わかりにくいかも知れませんが我慢して下さい。

 まず譜面台を前にして演奏する時、真っ直ぐに譜面のほうを見ていても、ロー・ポジション付近にある左手が視野に入るようにして下さい。「譜面」と「左手」の角度が45度~60度くらいになるようにするとよいでしょう。
 



首を回す角度が大きいと譜面が追えなくなる

 左手が全く視野に入らないと、どうしても不安になり、頻繁に左手を見るようになってしまいます。特に左手を見なくても弾ける箇所でも、つい見てしまうことになります。

 また譜面と左手との角度が大きければ、当然首を回す角度が大きくなり、速く首を回さなければなりません。そうするとなかなか譜面に焦点を合わせにくくなり、現在演奏しているところを見失う可能性が高くなります。




ステージ上でキョロキョロしていたのでは・・・・

 また観客からすれば、演奏者がステージ上で大きく首を回してキョロキョロしていたら、相当危なっかしそうに、また自信もなさそうに見え、あまり上手そうには思えないでしょう。

 プロの演奏家でしたら、譜面を見ながら弾く場合、観客から見ると、なんとなく前の方を見ているだけで、譜面を見ているか、ギターを見ているかはあまりよくわからないのではないかと思います。実際に同時に両方見ていることもあります、プロのサッカー選手がボールを見ながら味方や相手の選手の動きを見ているように。



譜面台は正面ではなくやや「左側」、ギターや右手が隠れてはいけない

 一般に譜面を見て弾く場合、譜面台は正面ではなく、やや左のほうに置きます。右手の方は見ることがありませんから、左側に譜面を置けば、必然的に譜面と左手の角度が小さくなります。また譜面台はなるべく低めに、面をなるべく上に向けた方が(床に平行に近く)よいでしょう。少なくとも観客から見て、楽器や演奏している手などが見えなくならないようにします。楽器や左手を譜面台で覆ってしまうと、せっかく聴きに来てもらっている聴衆の興味を削いでしまうことに繋がり兼ねません。




左手を見る場所を決める

 ポジション移動のときには、当然左手を見なければなりません。そうした場合、まずどこで左手を見るかを決めておきます。どこで譜面を見て、どこで左手を見るかを、常に同じようにしておかないと、現在演奏している場所を見失ったり、音を外したりする可能性が高くなります。

 頻繁にポジション移動をしなければならない曲の場合でしたら、視奏には向かず、暗譜で弾くことになりますから、視奏の場合はポジション移動はある程度限られてくると思います。練習の際にどの区間で左手を見るのかということをしっかりと決めておく必要があるでしょう。また練習の時にそれをきちんと実行できるようにもしなければなりません。




移動先のフレットを見る ~実質はポジション・マークを見る

 ポジション移動の時に“左手を見る”といっても実際には“フレット”を見るわけです。またフレットでも現在押さえているフレットを見るのではなく、“移動先”のフレットを見なければなりません。例えば1弦の1フレットから7フレットに移動する場合、1フレットを見るのではなく“7フレト”を見るわけです。



フレットは”チラ見”程度

 もっともフレットそのものは、どのフレットも同じように見えますから、実際には5フレットや7フレットなどの「ポジション・マーク」を見ると言った方がよいでしょう。またそのフレットをしっかりと焦点を合わせて見ると譜面に目を戻した時、音符が読みにくくなりますから、フレットの方は”チラ見”する程度にして下さい。




ポジション・マークはあったほうがよい

 ハイ・ポジションが多い曲を弾く場合は5、7だけでなく、「12フレット」や「17フレット」にもポジション・マークを付けるとよいでしょう。12フレットは確かになくてもわかりますが、見る角度で変ってしまったり、また緊張している場合など勘違いする可能性もあります。

 「9フレット」にマークを付ける人もいますが、7フレットと混同する可能性もあるので、私は付けません。私の場合以上の「5」、「7」、「12」、「17」フレットにポジション・マークを付けています。




譜面が読めないのは問題外

 ステージで視奏するということは、当然「譜面が読める」ということが前提です。例え譜面を前に置いておいたとしても、譜面を正確に目で追いながら弾くことが出来なければ、ないと同じです。”お守り”としておいて置く場合だったら、前述の通りしっかりと暗譜する必要があります。

 譜面を読む問題は、これまで何度もお話してきたとおり、ギターを弾く上ではもっとも基本的なことなので、今回の問題と関係なく、ぜひともクリヤーして置きたいことです。基本が出来ていない人には、「ステージではアガって上手く弾けない」など言う資格はないでしょう。



途中からでは弾けない場合は、視奏、暗譜にかかわらずトラブルを起こす可能性が高い

 よく教室でのレッスンの時、曲全体を通して弾くとかなり上手に弾け、なお且つ譜面を前にしているにもかかわらず、「ここから弾いてください」といった時、なかなか弾けない人がいます。

 この場合は視奏でも暗譜でも混乱を起こしやすく、またそのトラブルも大きくなりやすいですので、この話も何度かした通り、少なくとも譜面を前にしている場合だったらどこからでも弾き出せるようにしてください。