ヨーゼフ・カスパル・メルツ(1806~1856年)
吟遊詩人の調べ作品13より「かわいい変奏曲」
ハンガリー幻想曲作品65-1
あまり弾かれなかった時期もあったが
コンサートの後半は19世紀のハンガリー出身のギタリスト、ヨーゼフ・カスパル・メルツの2曲から始めます。メルツはナポレオン・コストと並び、19世紀の半ばを代表するギタリストで優れた作品も多数残していますが、20世紀の半ば頃までは、ソルやタレガに比べれてそれほど演奏されていなかったのは事実と言えます。
メルツやコストの作品(練習曲以外の)が頻繁に演奏されるようになったのは20世紀の末頃、つまり1980年代以降と言えます。かつてはソルやタレガが高く評価される一方で、メルツやコストの作品は埋没されてしまったようなところもありますが、最近では正当に評価されるようになったのではないかと思います。
最近指が回るようなったわけではないが
と言いつつも、私自身メルツの曲に本格的に取り組むようになったのは、実は今年になってからです。今年の4月に「吟遊詩人の調べ」から数曲演奏したのが、私にとっては”初めてのメルツ”ということになります。もっとも私がこれまでメルツの曲を弾かなかったのは、技術的に難しかったことの方が主な理由です。
もちろん最近私の技術が上がったなどということはありませんが(下ることはあっても)、ともかく弾いてみる必要がある、弾いてみたいということで、なんとか「がんばってみた」というところでしょうか。確かに「ハンガリー幻想曲」の最後の方は私にとってはかなり難しいのですが、音楽全体としては典型的なロマン派の音楽で、感覚的には自分に合わなくもないような気がします。
かわいい変奏曲?
「吟遊詩人の調べ作品13」には30曲が含まれますが、メルツの作品の中では人気の高いもので、最近ではよく演奏されます。4月のコンサートでは、私もこの中から「ロマンス」、「愛の歌」、「不安」、「フィンガルの洞窟」の4曲を演奏しました。
今回はこの曲集の中から「かわいい変奏曲」を演奏しますが、この曲は序奏と16小節のテーマ、3つの変奏からなります。「かわいい」と題されていますが、曲はこの曲集の中では大曲の方で、6分はかかるものです。テーマの方も短調で、どちらかと言えば重たい感じで「かわいい」といった雰囲気はありません。
原題を見ると「Variatious mignonnes」と書いてあって「mignonnes」は辞書(ドイツ語)で調べると、「愛児」、「寵児」、「愛人:お気に入り(王侯の)」と書いてあります。はっきりとはわかりませんが、「愛らしい(子供のように)変奏曲」というよりは「お気に入り(王侯の)変奏曲」といったような意味があるのかも知れません。
変奏がだんだん長くなる
変奏の数は3つで、確かに第1変奏はテーマと同じく16小節なのですが、第2変奏は40小節、第3変奏は3ページにわたり、小節数は数えるのがたいへんですが、100小節以上はあると思います。このように”だんだん長くなる”変奏曲なのですが、特に第3変奏は拍子も変り、テンポも速くなり、別楽章といった感じです。最後はメルツらしく華やかに終わりますが、技術的にはそれほど難しい曲ではありません。
もともとは10弦ギターのために書かれている
「ハンガリー幻想曲」はメルツの曲の中でも、最も有名なもので、この曲だけは以前からよく演奏されていました。堂々とした感じで始まる「マエストーソ」は、は転調しながら(イ短調~イ長調~ヘ長調)軽快な最後の部分へと繋がってゆきます。最後の部分はハンガリーの舞曲「チャルダッシュ」で書かれ、華やかに終わります。この最後の部分は技術的には難しいものですが(テンポによるが)、音楽的には意外とシンプルに書かれています。
またこの曲は通常の「6弦ギター」ではなく、通常に調律されたの6本弦の他に「レ」、「ド」、「シ」、「ラ」と調律される4本の弦を持つ「10弦ギター」のために書かれています。つまり通常の6弦の「ミ」より低い音が4つあるわけですが、この曲を通常のギターで弾く場合はそれらの音を1オクターブ上げるか、他の音で代用するなどしないと演奏できません。
吟遊詩人の調べ作品13より「かわいい変奏曲」
ハンガリー幻想曲作品65-1
あまり弾かれなかった時期もあったが
コンサートの後半は19世紀のハンガリー出身のギタリスト、ヨーゼフ・カスパル・メルツの2曲から始めます。メルツはナポレオン・コストと並び、19世紀の半ばを代表するギタリストで優れた作品も多数残していますが、20世紀の半ば頃までは、ソルやタレガに比べれてそれほど演奏されていなかったのは事実と言えます。
メルツやコストの作品(練習曲以外の)が頻繁に演奏されるようになったのは20世紀の末頃、つまり1980年代以降と言えます。かつてはソルやタレガが高く評価される一方で、メルツやコストの作品は埋没されてしまったようなところもありますが、最近では正当に評価されるようになったのではないかと思います。
最近指が回るようなったわけではないが
と言いつつも、私自身メルツの曲に本格的に取り組むようになったのは、実は今年になってからです。今年の4月に「吟遊詩人の調べ」から数曲演奏したのが、私にとっては”初めてのメルツ”ということになります。もっとも私がこれまでメルツの曲を弾かなかったのは、技術的に難しかったことの方が主な理由です。
もちろん最近私の技術が上がったなどということはありませんが(下ることはあっても)、ともかく弾いてみる必要がある、弾いてみたいということで、なんとか「がんばってみた」というところでしょうか。確かに「ハンガリー幻想曲」の最後の方は私にとってはかなり難しいのですが、音楽全体としては典型的なロマン派の音楽で、感覚的には自分に合わなくもないような気がします。
かわいい変奏曲?
「吟遊詩人の調べ作品13」には30曲が含まれますが、メルツの作品の中では人気の高いもので、最近ではよく演奏されます。4月のコンサートでは、私もこの中から「ロマンス」、「愛の歌」、「不安」、「フィンガルの洞窟」の4曲を演奏しました。
今回はこの曲集の中から「かわいい変奏曲」を演奏しますが、この曲は序奏と16小節のテーマ、3つの変奏からなります。「かわいい」と題されていますが、曲はこの曲集の中では大曲の方で、6分はかかるものです。テーマの方も短調で、どちらかと言えば重たい感じで「かわいい」といった雰囲気はありません。
原題を見ると「Variatious mignonnes」と書いてあって「mignonnes」は辞書(ドイツ語)で調べると、「愛児」、「寵児」、「愛人:お気に入り(王侯の)」と書いてあります。はっきりとはわかりませんが、「愛らしい(子供のように)変奏曲」というよりは「お気に入り(王侯の)変奏曲」といったような意味があるのかも知れません。
変奏がだんだん長くなる
変奏の数は3つで、確かに第1変奏はテーマと同じく16小節なのですが、第2変奏は40小節、第3変奏は3ページにわたり、小節数は数えるのがたいへんですが、100小節以上はあると思います。このように”だんだん長くなる”変奏曲なのですが、特に第3変奏は拍子も変り、テンポも速くなり、別楽章といった感じです。最後はメルツらしく華やかに終わりますが、技術的にはそれほど難しい曲ではありません。
もともとは10弦ギターのために書かれている
「ハンガリー幻想曲」はメルツの曲の中でも、最も有名なもので、この曲だけは以前からよく演奏されていました。堂々とした感じで始まる「マエストーソ」は、は転調しながら(イ短調~イ長調~ヘ長調)軽快な最後の部分へと繋がってゆきます。最後の部分はハンガリーの舞曲「チャルダッシュ」で書かれ、華やかに終わります。この最後の部分は技術的には難しいものですが(テンポによるが)、音楽的には意外とシンプルに書かれています。
またこの曲は通常の「6弦ギター」ではなく、通常に調律されたの6本弦の他に「レ」、「ド」、「シ」、「ラ」と調律される4本の弦を持つ「10弦ギター」のために書かれています。つまり通常の6弦の「ミ」より低い音が4つあるわけですが、この曲を通常のギターで弾く場合はそれらの音を1オクターブ上げるか、他の音で代用するなどしないと演奏できません。
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