中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

ヨーゼフ・カスパル・メルツ(1806~1856年)

 吟遊詩人の調べ作品13より「かわいい変奏曲」
 ハンガリー幻想曲作品65-1
 


あまり弾かれなかった時期もあったが

 コンサートの後半は19世紀のハンガリー出身のギタリスト、ヨーゼフ・カスパル・メルツの2曲から始めます。メルツはナポレオン・コストと並び、19世紀の半ばを代表するギタリストで優れた作品も多数残していますが、20世紀の半ば頃までは、ソルやタレガに比べれてそれほど演奏されていなかったのは事実と言えます。

 メルツやコストの作品(練習曲以外の)が頻繁に演奏されるようになったのは20世紀の末頃、つまり1980年代以降と言えます。かつてはソルやタレガが高く評価される一方で、メルツやコストの作品は埋没されてしまったようなところもありますが、最近では正当に評価されるようになったのではないかと思います。



最近指が回るようなったわけではないが

 と言いつつも、私自身メルツの曲に本格的に取り組むようになったのは、実は今年になってからです。今年の4月に「吟遊詩人の調べ」から数曲演奏したのが、私にとっては”初めてのメルツ”ということになります。もっとも私がこれまでメルツの曲を弾かなかったのは、技術的に難しかったことの方が主な理由です。

 もちろん最近私の技術が上がったなどということはありませんが(下ることはあっても)、ともかく弾いてみる必要がある、弾いてみたいということで、なんとか「がんばってみた」というところでしょうか。確かに「ハンガリー幻想曲」の最後の方は私にとってはかなり難しいのですが、音楽全体としては典型的なロマン派の音楽で、感覚的には自分に合わなくもないような気がします。


かわいい変奏曲?

 「吟遊詩人の調べ作品13」には30曲が含まれますが、メルツの作品の中では人気の高いもので、最近ではよく演奏されます。4月のコンサートでは、私もこの中から「ロマンス」、「愛の歌」、「不安」、「フィンガルの洞窟」の4曲を演奏しました。

 今回はこの曲集の中から「かわいい変奏曲」を演奏しますが、この曲は序奏と16小節のテーマ、3つの変奏からなります。「かわいい」と題されていますが、曲はこの曲集の中では大曲の方で、6分はかかるものです。テーマの方も短調で、どちらかと言えば重たい感じで「かわいい」といった雰囲気はありません。

 原題を見ると「Variatious mignonnes」と書いてあって「mignonnes」は辞書(ドイツ語)で調べると、「愛児」、「寵児」、「愛人:お気に入り(王侯の)」と書いてあります。はっきりとはわかりませんが、「愛らしい(子供のように)変奏曲」というよりは「お気に入り(王侯の)変奏曲」といったような意味があるのかも知れません。


変奏がだんだん長くなる

 変奏の数は3つで、確かに第1変奏はテーマと同じく16小節なのですが、第2変奏は40小節、第3変奏は3ページにわたり、小節数は数えるのがたいへんですが、100小節以上はあると思います。このように”だんだん長くなる”変奏曲なのですが、特に第3変奏は拍子も変り、テンポも速くなり、別楽章といった感じです。最後はメルツらしく華やかに終わりますが、技術的にはそれほど難しい曲ではありません。



もともとは10弦ギターのために書かれている

 「ハンガリー幻想曲」はメルツの曲の中でも、最も有名なもので、この曲だけは以前からよく演奏されていました。堂々とした感じで始まる「マエストーソ」は、は転調しながら(イ短調~イ長調~ヘ長調)軽快な最後の部分へと繋がってゆきます。最後の部分はハンガリーの舞曲「チャルダッシュ」で書かれ、華やかに終わります。この最後の部分は技術的には難しいものですが(テンポによるが)、音楽的には意外とシンプルに書かれています。

 またこの曲は通常の「6弦ギター」ではなく、通常に調律されたの6本弦の他に「レ」、「ド」、「シ」、「ラ」と調律される4本の弦を持つ「10弦ギター」のために書かれています。つまり通常の6弦の「ミ」より低い音が4つあるわけですが、この曲を通常のギターで弾く場合はそれらの音を1オクターブ上げるか、他の音で代用するなどしないと演奏できません。
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日曜 朝 曇り、 サンバースト(アンドリュー・ヨーク)


アンドリュー・ヨークの人気曲

 アンドリュー・ヨークは1958年生まれのアメリカのギタリスト兼作曲家で、代表作「サンバースト」をはじめ、その作品は現在多くのギタリストに愛奏されています。ウィリアム・カネンガイザーやスコット・テナントなどと共にロサンゼルス・カルテットの一員でもありました。



ブログ 018

1986年に発売されたアンドリュー・ヨークの「パーフェクト・スカイ」
現在GSPからでているものとは若干違う。ブックレットもなく、本当にプライヴェート盤といった感じ



タイトル名は同じなのだが?

 この2曲は共にヨーク自身が演奏している「パーフェクト・スカイ」というCDアルバムに収録されています。現在発売されているこのCDは、1996年にGSPから出ているものなのですが、私が持っているものは1986年に発売されたものです。

 この両者はアルバムのタイトルが全く同じで、曲目のほうは若干入れ替わっています(1986年盤は12曲、1996年盤は13曲)。GSP盤の方は聴いていないので、はっきりとはわかりませんが、おそらく別の音源なのではと思います。



プライヴェート盤?

 私の持っている方(1986年盤)は曲目解説など全くなく(ケースにブックレットはなく、紙1枚)、聞いたことのない発売元なので、おそらくプラーヴェート盤に近いものかも知れません。1986年というと、ヨークが大学院を卒業した年のようです。

 詳しいことはよくわかりませんが、その後のヨークの評価や人気の高まりに従い、同じタイトルでGSPの方から録音、発売したのではないかと思います。私が買ったのは1990年代の初め頃だと思いますが、このCDはもしかしたら、今となってはとても貴重なCDかも知れません。

 12曲収録されたCDですが、中身はこの2曲のような純粋なオリジナル作品、ダウランド風に作られた作品(グリーン・ガリヤルド)、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」、ハーラインの「星に願いを」などの編曲。一般的なギターのレパートリーと言える、バッハの「アレグロ(BWV998)」などいろいろな曲が入っています。


日曜 朝 曇り  ~何気ない日常

 「日曜、朝、曇り」は日記帳のメモのようなタイトルですが、何気ない日常を描いた作品なのかも知れません。裏打ちを多用した”今風”の曲と言えるでしょう。楽譜では「モデラート」と指定されていますが、このCDの中では、ヨークはやや速めのテンポで軽快に弾いています。


サンバースト  ~特殊チューニングでスリリングな曲

 サンバーストはたいへん人気の高い曲ですが、1弦と6弦を共に「レ」に下げるという特殊なチューニングになっています。このことにより独特の響きのある曲になっていますが、中間部はかなりテクニカルな部分になっていて、ギタリストの腕の見せ所になっています。

 因みにサンバースト(sunburst)とは雲間から突然日の光がさすこと言うようです。ヨークはこのCDの中ではクラシック・ギター(ナイロン弦の)ではなく、いわゆるアコースティック・ギター(スチール弦の)で演奏しています。
 
レット・イット・ビー(マッカートニー)

 ビートルズの曲の中でも、今でも人気のある曲だと思います。ポール・マッカートニーが、夢の中で亡くなったお母さんに悩みを相談したところ、「let it be」と言われたという歌です。ビートルズその時解散の危機にあり、そうしたことが相談の内容だったようです。

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是非に及ばず?

 ”let it be”は直訳すれば「そのままにしなさい」ということですが、もう少し日本語ぽくすれば、「なるようにしかならないわ」とか「無理してもしょうがないわよね」といった感じでしょうか。織田信長なら「是非に及ばず」でしょうか(ちょっと違うかな?)。

 結局のところ、この曲はビートルズの最後の曲になってしまいました。ビートルズの「白鳥の歌」と言えるでしょう。 ・・・・ある意味「是非に及ばず」はあたっているかも・・・・



ギター・ソロもカッコいい

 ピアノの練習曲風に始まるこの曲は、途中聖歌隊のコラースのようなものもも聴かれます。天国の母をイメージしているのでしょう。「レット・イット・ビー」は曲の中で何度も叫ばれますが、実際には”レリービー”と聴こえます。またジョージ・ハリスンが弾くギター・ソロ(ペンタ・トニック=5音音階で出来ている)も、たいへん印象的です。

 この曲のアレンジは私自身のものですが、バンド・スコアに添ったアレンジと言えます。





チェンジ・ザ・ワールド(トミー・シムス他)

 この曲はロック・ギタリストとして知られているエリック・クラプトンにより1996年にリリースされ、クラプトンの代表的なレパートリーとなった曲です。作曲はトミー・シムス他3人のアメリカのアーティストのものだそうですが、クラプトンの前にワイノナ・ジャッドというカントリー系のミュジシャンによりリリースされており、クラプトンのものは。それのカヴァーということになるのでしょう。

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南澤編 ~ギターらしい技法が

 「世界を変えることが出来たら、僕は君を照らす太陽になる」と歌われる曲ですが、編曲は前述の南澤大介編で、簡潔なアレンジながら曲の雰囲気がよく出ています。グリサンド、スライド、パーカッション奏法、チョーキングなど、ギターらしい奏法がふんだんに使われています。

 因みに「グリサンド」と「スライド」は、両方共に押た左指を”すべらせる”ものですが、ポピュラー系の場合、「グリサンド」は後の音を右指で”弾きなおす”もの。一方「スライド」は”弾きなおさない”ものとして区別しています。クラシック・ギターの場合は小音符を付して(弾きなおす方に)区別しています。





トップ・オブ・ザ・ワールド(リチャード・カーペンター)


あなたがいるだけで、私は世界で一番

 この曲もタイトルに「ワールド」の語が入っていますが、こちらは「あなたの愛が私を世界で一番高いところに導いているの」と歌っています。確かに曲だけを聴いても、世界で一番幸せそうな感じが出ています。「チェンジ・ザ・ワールド」のほうは、妄想といった感じですが、こちらは本当にそんな気持ちになっているのでしょうね。1972年にリリースされた曲で、カーペンタースの代表的なヒット曲です。

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 編曲は私自身のもので、どちらかと言えばシンプルなアレンジですが、テンポも速く、あまりいろいろなことをしなくてもギター・ソロにたいへんよく合う感じです。

 
11月13日アコラは完売  26日ギター文化館は前売り、当日OK

 おかげさまで11月13日(日)のアコラでのコンサートは全23席完売となり、予約受付、前売り販売が終了となりました、ありがとうございました。

 一方、11月26日(土)のギター文化館の方は、前売りが若干枚出た程度で、まだまだ空席の方が多い状態です。興味のある方はぜひこちらの方に来ていただければと思います。ギター文化館のほうは収容人数からして満席になる可能性はないと思いますので、前売りでも、当日売りでも大丈夫です。




第3の男(アントン・カラス)

 この映画は1949年の映画で、「禁じられた遊び」同様モノ・カラーの映画です。子供の頃こうした時代の映画音楽をよく聴いたり、また弾いたりしていたので、私にとっては映画音楽というとこの時代のものが思い浮かべられます。私と同じ世代の方は、皆さんそうかも知れません。


いわゆる”事件もの”

 映画そのものには、当時も今もあまり縁があるほうではありませんが、この映画はかなり以前ですが一応見たことがあります(テレビで)。戦後すぐの映画ですが、この映画は戦争には直接関係なく、いわゆる「事件物」といった感じで、地下道の中を走り回るシーンが記憶にあります。




曲はアントン・カラスがツィター(チター)で演奏

 曲の方は今でもビールのCMになっていたりして、人が知っている人も多いと思いますが、映画の中ではアントン・カラス(有名なチター奏者)により、ウィーンの民族楽器である「ツィター(Zither)」で演奏されています。この楽器は音色など、ギターに多少似ているところもあり、この曲をギターで演奏してもあまり違和感はないのではないかと思います。


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 ツィター ~ハープに共鳴板が付いた感じとも言えるが、実際にはいろいろな形のものがあるらしい

 
いろいろ記憶が混じって

 今回演奏するバージョンは、私が前から弾いているものですが、子供の頃からギター独奏やオーケストラなどの演奏で聴いていて、それらの記憶が”入り混じったもの”といった感じのアレンジです。アレンジというよりは、いろいろ弾いているうちに”こうなってしまった”ものです。アントン・カラスの演奏に忠実と言うわけではありませんが、曲の雰囲気や面白さは出ているかなと思います。





スタンド・バイ・ミー(ベン・E.キング)

 この曲は1961年にベン・E.キングにより作曲されたものですが、1970年代にジョン・レノンにカヴァーされてよく知られるようになりました。また80年代には映画の主題曲にも使われました。


南澤大介編

 アレンジはアコースティック・ギタリストとして人気の高い南澤大介さんのもので、楽譜はリットー・ミュージック出版の「ソロ・ギターのしらべ」と言う曲集に収められています。

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 この曲集(ソロ・ギターのしらべ)は2000年の出版で、当時は南澤さんの名前は知りませんでしたが、弾いてみると今までにはあまりなかったようなアレンジで、なかなか優れたアレンジャーだと思いました。アコースティック・ギタリストならではのアプローチで、私などの感覚からはなかなか出てこないアレンジ法です。それに何といってもカッコイイ!

 私の教室でも教材に用いていて、決してすごく難しいアレンジではないのですが、ただやはりある程度弾けるようにならないとチャレンジ出来ないところもあります。


 
人気シリーズ

 この曲集はとても好評だったようで、その後この「ソロ・ギターのしらべ」はシリーズ化され、現在では10冊近く出版されているのではないかと思います。南澤大介さんの名前もこのシリーズによって多くのギター・ファンに知られるようになったのではないかと思います。

 また楽譜のほうだけでなく、この曲集に添えられている南澤さん演奏のCDを聴くだけでもなかなかよいものだと思います。今回のコンサートではこの曲集から、エリック・クラプトンのレパートリーとして知られている「チェンジ・ザ・ワールド」も演奏します。
映画「禁じられた遊び」より

ギターで弾く映画音楽の元祖 ~これも戦争の映画

 若干古くなったとは言え、今現在でもやはりギターで弾く映画音楽の代表的な曲といえるでしょう。この映画は1952年公開ということで、ほぼ私と同じ歳ということになります(どちらも歳をとりましたね・・・・・)。私と同年代の方でしたら、一度くらいはこの映画を見たことがあると思いますが、この映画も戦争を題材にした映画です。 

 ・・・戦争を題材にした映画は本当に多いですね、意識して並べたわけではないのですが、気が付いてみると今回のコンサートの最初の3曲は、すべて戦争を描いた映画の主題曲となってしまいました。私たちは半年ほど前に自然災害の恐ろしさを身をもって経験したわけですが、やはりそれ以上に人間自身による惨禍のほうが何十倍も、何百倍、あるいは何千倍も大きいのでしょう・・・・


禁じられた遊び=お墓ごっこ

 第二次大戦の初期(1940年)のフランス、ドイツ軍の侵攻によって両親をなくした小さい女の子(ポレット)が農家に引き取られ、その家の男の子(ミシェール)と仲良くなり、亡くなった両親や動物たちのためにお墓から十字架や墓標などを盗み出してしまう・・・・ といった内容の映画です。


予算の都合で?

 私自身では子供の頃、この映画を(テレビで)何度か見ましたが、なんといってもモノ・カラー。草木などが緑なのか、茶色なのかさっぱりわからず、季節などが全くわからなかった記憶があります。この映画に添えられている音楽がナルシソ・イエペスのギター1本ということは有名ですが、予算がなくてギター1本にしてしまったとか、当初アンドレ・セゴビアに依頼するつもりだったのだが、ギャラが折り合わず、結局当時無名のギタリストだったイエペスに決まった、などいった話も聞かれます。


結果的には大成功

 そのあたりの真偽については私にはわかりませんが、結果的にはこのギター1本の音楽の効果は極めて高いものだったのではないかと思います。このギターによってこの映画に色彩が付けられているような感じがします。他の方法の音楽だったら、この映画がこれほど成功したかどうかは疑問なのではと思います。

 その成功は監督(ルネ・クレマン)の意図したとおりだったのか、結果オーライだったのかはわかりませんが、この映画の成功は、戦後のクラシック・ギター界にも大きな影響を与えたのも確かでしょう。この映画の中でイエペスが弾いている曲は、以下の6曲です。


この映画の中でイエペスが弾いた曲

作者者不詳 : 愛のロマンス (メイン・テーマ)

ロベルト・ド・ヴィゼー(17世紀のギタリスト): サラバンド、ブーレ (ニ短調組曲より)

ジャン・フィリップ・ラモー(18世紀初期のフランス宮廷作曲家) : メヌエット

ナポレオン・コスト(19世紀、フランスのギタリスト) : 練習曲イ長調 作品38-6

カタルーニャ民謡~ミゲル・リョベート編 : アメリアの遺言


謎の多い「愛のロマンス」

 誰もが知っている(たぶん)メイン・テーマの「愛のロマンス」ですが、その”出どころ”については、まだまだ不明な点が多く、かつては「スペイン民謡」とされることが多かったのですが、それらしい民謡は見当たらなかったようです。その後スペインのギタリスト、アントニオ・ルビラという人の作品の中から、この「愛のロマンス」とほぼ同じものが見つかったそうで、このルビラの作ということが有力となりました。



私が作曲した・・・・

 演奏者のイエペスは晩年に「自分の作曲」と主張したそうですが、イエペスの幼少時にはこの曲が存在したのは確かで、また1930年代には別のギタリストにより、別の映画の主題曲として演奏されたのも確実で、少なくともイエペスの作曲はあり得ないようです。また最近になって、この曲のもととなったと思われるスペイン民謡が見つかったという話も聞きます。やはりスペイン民謡だったのでしょうか。


正式な楽譜は出版されていない

 そうした”出どころこ”のはっきりしない曲にもかかわらず、この映画の人気と共に、日本を含めた世界中で楽譜が出版されたわけですが、これは原典を基にしたものでも、またイエペス自身が」出版したわけでもなく、それらのほとんど、あるいは全部がイエペスの演奏から楽譜を起こしたもの、つまり”耳コピー”だったと思われます。

 私自身も子供の頃からこの曲のいろいろな楽譜を目にしてきましたが、それらの中には明らかにおかしいものが少なからずありました。さすがにメロディの違うものはありませんでしたが、和音などは、長調の部分が突然短調で終わってしまうものとか、小節の途中で和音が変ってしまうもの、どう聴いても低音がおかしいものなど様々な譜面が市場に出ていました。


現在出ている譜面はイエペスの演奏のコピー

 それらの譜面の基になったのはイエペスの演奏以外に考えられないので、それぞれ不完全な耳コピーによるものなのでしょうか。しかし現在ではそうした不完全な楽譜はかなり淘汰され、現在出されている譜面はイエペスの演奏にかなり忠実なものになっています。 ・・・・ただしイエペスは後半の5、6小節の2拍目に属和音の第7音、つまり④弦の「ラ」を入れているのですが、なぜかどの市販の譜面も入れていない? ・・・・それ以外は現在出版されている譜面のほとんどはイエペスの演奏の忠実なコピーになっています。


著作権を主張する権利は多少あるかも

 このようにこの曲はイエペスの作曲ではないにしても、現在「愛のロマンス」として広まっている曲(曲名などもあまりはっきりしていない)は、イエペスの演奏に基づくものと言ってもよく、細かな点でルビラの曲や、他のギタリストが演奏したと言う曲とどの程度同じで、また異なるかはわかりませんが、少なくとも「イエペス編」または「イエペス採譜」と言うことは出来るかも知れません。


子供の頃聴いたドーナツ盤

 またまた話が長くなってしまいましたが、今回私が演奏するのは、この「愛のロマンス」に、この映画で使われた「ヴィゼー:サラバンド」、「ラモー:メヌエット」、「コスト:エチュード」が挿入されたものです。

 子供の頃、「ドーナツ盤」と呼ばれていた17センチ、45回転の、このバージョンのレコードが家にあり、他にギターのレコードがほとんどなかったこともあり、とてもよく聴いていました。当時ギター演奏の基本が全く出来ていない(全くギターを習っていなかった)にもかかわらず、楽譜を買ってきて無理やり弾いていたのは前にお話したとおりです。


幻のバージョン

 このバージョン、イエペスの演奏に間違いないとは思うのですが、後にLPになったり、CDになったりすることもなく、”まぼろしのバージョン”となってしまいました。純粋に「愛のロマンス」のみのバージョンはその後何度か録音され、現在でもCDとして何種類か市場に出されています。どこかに音源は残っているのではと思いますが、CD化される日は来るのでしょうか。

 このバージョンの楽譜の方も出されているとはいっても、もちろんイエペス自身が出したものではなく、前述のとおり”耳コピー”的なもので、子供の頃聴いた限りでも、それぞれ細かい点ではイエペスの演奏と異なっている印象です。やはり和音などの間違いと思われるものもたくさんあります。またイントロを付け加えた譜面もありますが、こちらのほうの出どころはわかりません。少なくともイエペスは弾いていないと思うのですが。


和音を間違えていないと思うけど・・・・・

 今回私が演奏するのは、ヴィゼーなどの原曲、および子供の頃聴いたイエペスのレコードの記憶を基に私がアレンジしたものです。これもイエペスの演奏のコピーの一つと考えていただいてよいでしょう。 ・・・・一応和音などの間違いはないと思うのですが、とりあえず楽譜を載せておきましょう・・・・


ブログ 013


ブログ 014
カヴァティーナ(スタンリー・マイヤー) 

 最初の曲はギター・ファンなら、あるいはギターファン以外の人にもお馴染みの曲と言えますが、映画「ディア・ハンター」の主題曲の「カヴァティーナ」です。ギターで弾く映画主題曲と言えば、かつては「禁じられた遊び」、今はこの「カヴァティーナ」ということになるでしょう。

 この映画については、当ブログでも以前詳しく書きましたが、1978年のアメリカ映画で、ベトナム戦争末期(1960年代末)に、ペンシルバニアから戦地に赴いた3人の若者を描いたものです。川の流れの上に作られた仮設の捕虜収容所で、敵兵にロシアン・ルーレットを強要されるなど、戦争の過酷さがテーマになっています。


ディア・ハンター


原曲は”一人二重奏”

 映画の内容に反してこの曲はたいへん美しく、優しい曲ですが、故郷への想いや、人々の優しさを表しているのかも知れません。作曲はイギリスの作曲家スタンリー・マイヤーズ(1934~1993年)によるもので、著名なギタリスト、ジョン・ウィリアムスによって演奏されています。

 現在では、普通この曲はギター独奏で演奏されていますが、この映画の中ではウィリアムスによる”一人二重奏”に控えめなオーケスラが加わった形になっています。聴いた感じでは易しそうに聴こえますが、ギターを弾いている人にはわかるとおり、実際に弾いてみるとそれほど簡単な曲ではありません。特にこの曲を美しく、安らいだ感じを出すには、それ相応の技術が必要です。


和音が1小節ごとに変る

 というのも和音がほとんど1小節ごとに変わり、かなりの数の和音が使われています(簡単には数えられませんが)。その和音の交代を正確に行い、なお且つその際、メロディのほうに何らかの影響を与えてはいけません。時折出てくる16分音符も結構”曲者”です。同じ映画主題曲でも前半、後半それぞれ3つずつの和音で出来ていて(なお且つ開放弦が多い)、メロディは常に4分音符という「禁じられた遊び」とはそういった点でもかなり違います。



易しそうに弾かないと、優しそうに聴こえない!

 この曲を弾くときに最も大事なのは、”難しそうに”、あるいは”苦しそうに”弾いてはいけないということだと思います。聴いている人にとっては、この曲が何気ない、シンプルな曲に聴こえて来ないと、この曲の美しさや優しさは伝わらないでしょう。

 ともあれ、上品な美しさを湛えたこの曲はコンサートのトップ・バッターとしては最適だと思います。なお独奏への編曲はジョン・ウィリアムス自身によるものです。



ひまわり(マンシーニ)


戦争のもう一つの過酷さ

 こちらは1970年頃のイタリアの映画でソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが出演しています。第二次大戦末期、結婚してすぐに夫がロシア戦線に送られ、戦後お互いに愛する夫婦が、心ならずも別々の家庭を持つという内容の作品で、この映画もディア・ハンターとは別な意味での戦争の過酷さを描いた作品と言えます。


ひまわり


巨匠ヘンリー・マンシーニの作品

 この映画の中で時折、ひまわり畑とこのテーマ曲が流れてきますが、この曲は映画音楽の巨匠、ヘンリー・マンシーニによるものです。マンシーニの曲としては他にシャレード、ムーン・リバー、ピンク・パンサーのテーマなどがあります。

 この曲は愛し合う二人をイメージした”甘く、美しいメロディ”の曲と言え、ギター愛好者の間では江部賢一さんの名アレンジで親しまれています。福田進一氏もこの江部編でレコーディングしているのは皆さんもご存知かも知れません。



カヴァティーナよりも濃い目?

 今回の私の演奏も基本的には”江部編”なのですが、特に装飾的な部分では大幅に変更しています。ギターにはたいへんよく合う曲で、「カヴァティーナ」を引き継ぐ曲としては最適かなと思います(「カヴァティーナ」よりも味付けは若干濃い目になっています)。
あと1ヶ月なので

 アルゲリッチのCDぼ紹介をしていたところですが、私のコンサートもあと1ヶ月ということになってきましたので、そろそろコンサートの曲目の紹介を何回かにわったて行ないたいと思います。アルゲリッチのCDの紹介も、この件が一段落した後、また続けたいと思います。もちろんすばらしい名盤がたくさんあります。



コンサート当日の話は控えめにして

 私のコンサートの曲目については、私自身あまり話しが上手くなく、また声も通りにくいの、当日はなるべく話は少なめにして、演奏の方に集中したいと思います。当日のプログラムにも多少解説を添えますが、スペースの関係上簡単なものになると思いますので、詳しく知りたい人は当記事で読んでみてください。もっとも今度のコンサートの曲目は親しみやすいものなので、何の薀蓄もなしにただ聴いていただくだけでも十分に楽しめると思います。


曲目の紹介に入る前に、コンサートの概要をおさらいして置きます。



中村俊三ギター・コンサート ポピュラー&クラシック


11月13日(日曜日) 14:00~  ひたちなか市「アコラ」
   前売り、予約  2000円


11月26日(土曜日) 14:00~  石岡市ギター文化館
   前売り、当日  2000円


     演奏曲目

<第1部  ポピュラー曲>

  カヴァティーナ(マイヤーズ)
  ひまわり(マンシーニ)
  禁じられた遊びより(イエペス編)
  第三の男(カラス)
  スタンド・バイ・ミー(キング)
  レット・イット・ビー(マッカートニー)
  チェンジ・ザ・ワールド(シムス)
  トップ・オブ・ザ・ワールド(カーペンター)
  日曜、朝、曇り(ヨーク)
  サンバースト(ヨーク)


<第2部 クラシック作品>

  J.K.メルツ : かわいい変奏曲~吟遊詩人の調べより
         ハンガリー幻想曲 
  A.ラウロ : マリア・カロリナ
         アディオス・オクマレ
         ベネズエラ風ワルツ第3番 
  A.バリオス : 人形の夢、 蜜蜂、 大聖堂 



アコラは残席=6

 なお、13日の「アコラ」の方は、席数が20強ということで、今日現在(10月14日)の残り席が「6」となっています。こちらのほうを希望の方はなるべくお早めにご連絡下さい。ギター文化館のほうは十分に席数があるので(100強)、前売り、当日、どちらでも大丈夫ですが、はっきり行くと決めているいる方は、前売り券を購入していただければ幸いです。

 なおJR常磐線でギター文化館にいらっしゃる方は、13:05に、羽鳥駅から関鉄グリーンバス(板敷山前行き=ギター文化館入り口下車)が出ていますので、その時間に合わせて電車を選んでいただけるとよいと思います。因みに、羽鳥駅からタクシーに乗ると、約2000円くらいだそうです(所要時間約10分)。
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ショパン:ピアノ協奏曲第1番
リスト:ピアノ協奏曲第1番

ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
ロンドン交響楽団  指揮:クライディオ・アバド
1968年録音  ドイツ・グラモフォン




 私がアルゲリッチの名前と演奏を初めて聴いたのは、このクライディオ・アバドと共演したショパンの「ピアノ協奏曲第1番」のLPです。このLPは1968年の録音で、ドイツ・グラモフォンとしては4枚目のLPだと思います。1965年にショパン・コンクールに優勝したアルゲリッチの人気や知名度が頂点に達した頃のもので、私だけでなく、このLPによってアルゲリッチを知った人も多かったのではないかと思います。今でも名盤に数えられています。


同じ下宿の後輩

 大学時代、同じ下宿(もう死語になっていると思いますが)の合唱団に入っている後輩から、「僕、再生装置持っていないので、中村さん、これ預かってください。自由に聴いてもらって構いません」と何枚かのLPを預かりました。その頃の私は、ようやくギター以外の一般のクラシック音楽に興味を持ち始めた頃です。

 興味を持ち始めたのはよいのですが、当時のLP(当時は単に「レコード」と呼んでいましたが)は現在のCDとほぼ同じ価格(2000円前後)で、物価は今の7~8分の1と言ったところです。現在の金銭感覚からすれば1枚1~2万円といった感じになるでしょう。

 生活が苦しくなるのを覚悟である程度LPを買ってはいたのですが、どうしてもギター関係のLPを買わなければならなかったので、一般のクラシックのLPはなかなか思うようには買うことができませんでした。もちろん当時はレンタルなどというものはありませんでしたし、カセット・テープなどというのも普及していませんでした。


いろいろ聴きたくてたまらなかった時代

 ともかく、当時はいろいろな曲が聴きたくてたまらなかった時期だったので、このことはとてもあり難かったです。後輩の言葉はとても喜びました。なお且つ、その後輩の持っていたLPは、今思えば名だたる名盤だったり、当時話題のLPといったものでした。  

 ・・・・・ブルーノ・ワルターの「大地の歌」、「ブラームス:交響曲第4番」。オイゲン・ヨッフムの「ブルックナー:交響曲第4番」。フランチェスカッティの「メンデルスゾーン、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲」。そしてこのアバドとアルゲリッチの「ショパン&リスト:ピアノ協奏曲第1番」などなど・・・・・  


よだれがしたたり落ちる

 当時自分で買っていたLPは廉価盤だったり、詳しく内容をわからず買ったようなものが多く、そう言った意味でも私にとっては、”のどから手が出る”というか、まさに”よだれがしったたり落ちる”ようなLPでした。結局のところ、その後輩が卒業するまで(私より早く卒業した)それらのLPをあずかって、まるで自分のLPように聴いていました。

 そう言えば、私の大学時代にはこのように後輩(大学に”6年”いたので先輩よりも後輩の方が多い)などからよくLPをあずかっていました。この合唱団の後輩のように「自分では聴けないから」という場合や、特に理由なく「中村さん、これ聴いてみて下さい。なかなかいいレコードですから。返すのはいつでもいいです」などと言って貸してくれる後輩もいました。当時私のレコード棚の4~5分の1くらいは誰かから預かっていたものだったかも知れません。


言い訳になるけど

 言い訳になりますが、私のほうから「貸して欲しい」と言ったことはあまりありません。1年生の時、友人から無理やり借りたLPにキズを付けてしまい、その時は新たに買って返しました(キズ付いたほうを自分で所有)。それ以来LPは人から借りないようにしていました。

 でもこれらのケースの場合、「借りる」のではなく、「保管してあげる」ということなので、断る理由がない、保管のついでに「ちょっと聴くだけ」・・・・  もちろんこれはその後輩たちの極めて暖かい心遣い以外の何もでもありません。

 ほとんどベニヤ板1枚で仕切られていたような下宿で、私がギターを弾くと、どの部屋にも筒抜けでした。かなりうるさかったとは思いますが、「よく聞こえるけど、クラシックだし、上手な演奏だからあまり気にならないよ」と、下宿人からも、大家さんからも苦情らしきものを言われたことはありませんでした。なおかつ毎回のように下宿人全員と大家さんで演奏会に来てくれて・・・・・ 話が長くなるのでやめましょう(すでに長くなっているが)。



話を戻そう!!

 話をアルゲリッチのLPに戻しましょう。ジャケットの写真からもわかるとおり、このLPは新進の美女ピアニストとイケメン(当時はこんな言葉はなかったが)指揮者の共演ということで、注目のLPだったわけですが、マルタ・アルゲリッチというピアニストが、単なる美女ピアニストでないことが、折々多くの音楽ファンの知るところとなります。

 アルゲリッチのこの「ショパン:協奏曲第1番」のCDは、ライブ録音を含めれば、現在10種類以上のものが市場に出されています。セッション録音だけに絞れば、この「アバド盤」の他、1998年のシャルル・デュトワ(5年間ほどアルゲリッチと結婚していた)と共演したものがあります。



熟成した味わいのシャルル・デュトワ(元夫)盤

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ショパン:ピアノ協奏曲第1番、第2番

ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
モントリオール交響楽団  指揮:シャルル・デュトワ
1998年 EMI


 デュトワ盤のオーケストラ部は、デュトワらしくオーケスラを完璧にコントロールし、きめ細かい表情付けを行なっています。アルゲリッチのピアノもそれに呼応するかのようにたいへん表情の変化に富む演奏となっています。当然ながら1968年の録音に比べると、明らかに成熟した演奏といえるでしょう。評論家や一般の評価もたいへん高い演奏と言えます。



ストレートな表現のアバド盤

 一方、クラウディオ・アバド盤では、アバドの棒はデュトワに比べるとストレートな表現といえるでしょう。音楽を気持ちよく前に進めてゆくといった感じの指揮です。アルゲリッチのピアノは叩きつけるように力強く登場しますが、第2主題などでは天性ともいえる”歌”を聴かせます。アバド指揮のロンドン響も、心なしか、そのアルゲリッチのピアノに焚きつけられたかのように、曲が進むごとに熱を帯びてきます。

 どちらかといえば、勢いで一気に弾き切ってしまったような演奏ですが、それだけにアルゲリッチの音楽が直接伝わってくるような感じがします。冷静とも言えるアバドの指揮は、個性的なアルゲリッチとは相性がよいのでしょう、この二人の共演で他にもたくさん名演があります。



青春の息吹

 この1968年盤は何といっても青春の息吹を感じます。アルゲリッチの若い頃の演奏ですから当然なのでしょうが、このショパンが20歳で書いた曲には、こうした演奏がよく似合う気がします。もっとも「青春の息吹」を感じるのは、私自身が青春時代にこの演奏に出会ったということも言えますが、そのことは多くのアルゲリッチ・ファンにも言えるかも知れません。
 
 若い人にも、昔若かった人にもぜひ聴いてほしい1枚です。
震災復興支援のCDは完売、でも第2弾が!

 前回、震災復興支援のCDとして、昨年、すみだトリフォニーで録音されたショパンとシューマンの協奏曲のCDを紹介しましたが、今はすでに完売となって入手できなくなっているようです。前回の記事を書いていた時にはまだ入手可能だったようなのですが。その代わりに、震災復興支援第2弾として2000年に、同じ「すみだトリフォニー」でライヴ録音されたCDが近日中に発売されるようです。

 こちらは珍しくソロの演奏となっており、まさに”ファン待望”のCDといえるでしょう。曲目はバッハの「パルティータ第2番」、ショパンのマズルカ第40番、スケルツオ第3番などで、曲目としては以前にも録音していたものですが、2000年を過ぎてからのソロの録音は非常に少なく、たいへん貴重なものです。


ソロの録音は10枚強

 アルゲリッチのソロの録音は非常に少なく、ライヴ以外の録音、つまりセッション録音としては、ドイツ・グラモフフォンに録音した8枚の他、数枚程度で、全部で10枚をちょっと越える程度のようです。最近では過去のリサイタルなどのライブ録音がCDとして発売されたりしていて、それらを含めればもう少し多くなります。ただし曲目の重複が多く、曲目としてはあまり増えないでしょう。


協奏曲の録音はある程度ある

 協奏曲のほうはソロに比べると録音は多いと言えます。それらの録音はショパンやシューマン、チャイコフスキーなどの特定の協奏曲に偏っていて、ショパンの「第1番」などはライヴ録音も含めれば10数種類あるようです。

 他にリスト、ラヴェル、プロコフィエフ、ハイドン、ベートーヴェン、モーツアルトの協奏曲の録音していますが、ブラームスの2つの協奏曲やベートーヴェンの第4、第5番の協奏曲は録音していません。


 
室内楽やピアノ二重奏はかなり多い 

 1980年以降は室内楽やピアノ二重奏による演奏活動が多くなってきますが、こちらの方はライヴ録音を主として、かなりの数の録音あります。特にピアノ二重奏では普通ピアノ二重奏では演奏しない曲も含めて(交響曲の編曲など)、かなりの数の録音があります。

 モーツアルトなどは、ソロのソナタは1曲も録音していませんが、2台のピアノのためのソナタや連弾用のソナタはいくつか録音しています。

 ベートーヴェンのピアノ・ソナタはあまり録音していませんが(ライブ録音が若干あるようです)、クレーメルやマイスキーと共演してベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタやチェロ・ソナタは全曲録音しています。




DG(ドイツ・グラモフォン)録音のソロの8枚

 上記のとおり、ソロの録音が少ない中、このDGに録音した8枚のアルバムはたいへん貴重なものと言えます。そしてこの8枚がオリジナルどおりの曲順で、またオリジナルのLPジャケットを縮小した紙ケースに入り、低価格((3000円台)で販売されています。アルゲリッチ・ファンなら”聖書”とも言うべきコレクションでしょう。 



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ドイツ・グラモフォン のアルゲリッチ・ソロ全集

1.スケルツィオ第3番(ショパン)、二つのラプソディ(ブラームス)、トッカータ(プロコフィエフ)他
  1960年録音 デビュー・アルバム

2.ピアノ・ソナタ第3番、幻想ポロネーズ、ポロネーズ第6番「英雄」他(ショパン)
  1967年録音

3.ソナタ・ロ短調(リスト)、ソナタ・ト短調(シューマン)
  1971年録音

4.ピアノ・ソナタ第2番、スケルツィオ第2番、アンダンテ・スピアナートと華麗なるポロネーズ(ショパン)
  1974年録音

5.夜のガスパール、ソナチネ、高貴で感傷的なワルツ集(ラヴェル)
  1974年録音

6.24の前奏曲、前奏曲第25,26番(ショパン)
  1975~1977年録音

7.トッカータBWV911、パルティータ第2番、イギリス組曲第2番(バッハ)
  1979年録音

8.子供の情景、クライスレリアーナ(シューマン)
  1983年録音



 かつてのLPをCD化する場合やこうした全集ものなどを発売する場合、よく曲順や組み合わせを変えて行なう場合がよくあります。現在のCDははかつてのLPより収録時間が長いので、LP1枚半、あるいは2枚分を1枚のCDにしたり、あるいは作曲家ごとに編集し直したりすることもよくあります。

 こうしたことは一見得なようなのですが、オリジナルのLPには、それなりのまとまりや、演奏者の考えなどが込められ、はやりオリジナルの曲順で聴くほうがずっとよいのではないかと思います。また録音時期の全くことなるものを1枚のCDで聴くのは抵抗があります。

 そうした意味で、オリジナルのLPと同じように聴けるこのCD(盤をひっくり返さないこと以外)は、とても嬉しいものです。



DG協奏曲全集 7CD

ブログ 010

同協奏曲全集 
ショパン、リスト、プロコフィエフ、ラヴェル、シューマン、ハイドン、ベートーヴェン、チャイコフスキーなどの協奏曲 7枚組(オリジナル10枚のLP、およびCD)



 上記と同様、DGに録音されたアリゲリッチの協奏曲全集ですが、こちらは10枚のLPおよびCDを7枚のCDに圧縮したものです。ということは録音時期の異なるものや、共演者が違うものが1枚のCDに入っていたりするのですが、協奏曲ということで曲が長いせいか、それほどは気になりません。ソロのほうでは1960年~1983年までのものとなっていましたが、こちらは2004年の録音まであります。

 他にDGから室内楽全集、またEMIからも同様な企画のアルバムが出ていますが、こちらはライヴ録音が中心となっています。次回はさらに具体的にそれらの中から気いくつかのCDを紹介して行きます。
 本日(10月1日 土曜日)石岡市のギター文化館で、第28回中村ギター発表会を行ないました。聴きに着ていただいた方々、本当にありがとうございました。また出演された方々お疲れ様でした。

 前にも言いましたとおり、本来この発表会は10月2日にひたちなか市文化会館で行う予定だったのですが、震災の影響で同会場が使えないことになり、急遽このギター文化館で行なうことにしました。水戸方面からは若干距離はありますが、当会場は響きもよく、また思ったより多くの方に来ていただき(約60名)、かえって盛り上がったのではないかと思います。

 演奏の方も前にお知らせしたプログラムを、ほぼ予定通りに演奏することが出来ましたが、吉元君(中学生)のみ腕の不調でアランブラの思い出の演奏を取りやめ、タンゴ(タレガ)のみの演奏となりました。今朝は腕が痛くて、とても演奏出来る状態ではないとのことでしたが、会場に着いたら少し弾けるかも知れないということで、タンゴのみ演奏してもらいました。演奏そのものはそうしたトラブルを全く感じさせない、たいへんしっかりした音と表現力でした。

 一昨年のシニア・ギター・コンクール、ミドル・エイジの部優勝の鈴木幸男さんにも演奏してもらいましたが、優勝経験者らしい、すばらしい演奏でした(コストとサビオの曲を演奏)。

 また一方で、ここで初めてギターを弾くと言う人が多く、またリハーサルなども行なわなかったこともあり、若干演奏しにくかった点、あるいは進行などで不慣れな部分もあったのも確かで、今後こちらで発表会等を行なう時には、これらの経験を生かしたいと思います。