デビット・ラッセル バリオス作品集 1994年録音

このCDもウィリアムスの2度目のバリオス作品集と同く1994年にバリオスの没後50年ということで録音されたものです。いわばウィリアムス盤のライバル盤ということでしょうか。曲目は「大聖堂」、「森に夢見る」、「ワルツ第3番」、「同第4番」など、バリオスの代表曲が中心で、半数以上はウィリアムスのCDと同じものになっています。
繊細な表情付けと歌へのこだわり
ラッセルの演奏は繊細な表情付けと、メロディを歌わせることに重きを置いたものと言えます。ダイナミックでどちらかと言えば直線的なウィリアムスの演奏とは対極とも言えますが、一方では、重厚な音質、強い表現といった意味では共通するものもあります。
冒頭の「森に夢見る」を聴くと、そうした「繊細な表情付けと、歌への強いこだわり」が実感できると思います。もちろんトレモロ奏法でも、また通常の奏法でもたいへん美しい音を聴かせてくれます。ラッセルの音は美しいだけでなく質感を伴っているのが特徴でしょう。
隠れた難曲
6曲目の「フリア・フロリダ」は美しいメロディの、人気の高い曲ですが、メロディが中音域にあったり、また副旋律が絡みあったりなど、なかなか歌わせるのが難しい曲でもあります。ラッセルの演奏では入り組んだ音の中でもしっかりと主旋律を歌わせ、またそれぞれの音の役割を弾き分けており、聴き手に曲の美しさと内容を十分に伝えています。なかなかこのように演奏するのは難しい曲だと思います。
なかなかやって来ない春
8曲目の「春のワルツ(Vals de primavera)」では”なかなかやって来ない、もどかしい春”の感じがよく出ています。この曲をこんな風に感じるには私だけかも知れませんが、この曲は春の喜びを謳歌しているというよりは、春を待つ苦しさを表現しているようにも思えます。ラッセルの演奏では、そんなこの曲のイモーションがよく伝わってきます。
どんな音にも細心の注意
人気曲の「ワルツ第3番」や「大聖堂」では、バリオスの自演と出版譜(全音などの)を折衷したような演奏です。「ワルツ第3番」では主旋律、低音、中音の刻みなどが絶妙のバランスとなっています。どのような音にも細心の注意を施すラッセルらしい演奏です。「大聖堂」の第2楽章では付点音符のリズムを正確に刻み(バリオスの自演ではやや三連符気味)、また第3楽章の細かい音形も持ち前の重厚な音で演奏され、全体に重量感のある大聖堂となっています。
バルセロナ VS マンU
この1994年に録音されたウィリアムス盤とラッセル盤、その優劣をつけるのは難しいですが、あえてサッカーに例えれば(・・・・何もサッカーに例えなくてもよいと思うが)、ラッセルの演奏は華麗なボールさばきと、ショート・パスを多用したバルセロナ的な演奏。一方ウィリアムスの演奏は大胆なサイド・チェンジと、そこからのクロス。ロング・パス重視のプレミアム・リーグ的な演奏。対極的だが、どちらもヨーロッパ的なサッカー、いや演奏・・・・
で、 どっちが強いの?
もちろん本当に試合をやるわけではないので、どちらが強いかなんてわかりませんが、少なくともバリオスの演奏に関しては、この二人のギタリストは現在の双璧であるのは間違ないでしょう。聴く人によって好みは当然分かれるところ、また曲によってはウィリアムスのほうが成功しているものと、ラッセルのほうが勝っているものとがあるでしょう。どちらのCDも聴いた後の満足感は十分なものです。

このCDもウィリアムスの2度目のバリオス作品集と同く1994年にバリオスの没後50年ということで録音されたものです。いわばウィリアムス盤のライバル盤ということでしょうか。曲目は「大聖堂」、「森に夢見る」、「ワルツ第3番」、「同第4番」など、バリオスの代表曲が中心で、半数以上はウィリアムスのCDと同じものになっています。
繊細な表情付けと歌へのこだわり
ラッセルの演奏は繊細な表情付けと、メロディを歌わせることに重きを置いたものと言えます。ダイナミックでどちらかと言えば直線的なウィリアムスの演奏とは対極とも言えますが、一方では、重厚な音質、強い表現といった意味では共通するものもあります。
冒頭の「森に夢見る」を聴くと、そうした「繊細な表情付けと、歌への強いこだわり」が実感できると思います。もちろんトレモロ奏法でも、また通常の奏法でもたいへん美しい音を聴かせてくれます。ラッセルの音は美しいだけでなく質感を伴っているのが特徴でしょう。
隠れた難曲
6曲目の「フリア・フロリダ」は美しいメロディの、人気の高い曲ですが、メロディが中音域にあったり、また副旋律が絡みあったりなど、なかなか歌わせるのが難しい曲でもあります。ラッセルの演奏では入り組んだ音の中でもしっかりと主旋律を歌わせ、またそれぞれの音の役割を弾き分けており、聴き手に曲の美しさと内容を十分に伝えています。なかなかこのように演奏するのは難しい曲だと思います。
なかなかやって来ない春
8曲目の「春のワルツ(Vals de primavera)」では”なかなかやって来ない、もどかしい春”の感じがよく出ています。この曲をこんな風に感じるには私だけかも知れませんが、この曲は春の喜びを謳歌しているというよりは、春を待つ苦しさを表現しているようにも思えます。ラッセルの演奏では、そんなこの曲のイモーションがよく伝わってきます。
どんな音にも細心の注意
人気曲の「ワルツ第3番」や「大聖堂」では、バリオスの自演と出版譜(全音などの)を折衷したような演奏です。「ワルツ第3番」では主旋律、低音、中音の刻みなどが絶妙のバランスとなっています。どのような音にも細心の注意を施すラッセルらしい演奏です。「大聖堂」の第2楽章では付点音符のリズムを正確に刻み(バリオスの自演ではやや三連符気味)、また第3楽章の細かい音形も持ち前の重厚な音で演奏され、全体に重量感のある大聖堂となっています。
バルセロナ VS マンU
この1994年に録音されたウィリアムス盤とラッセル盤、その優劣をつけるのは難しいですが、あえてサッカーに例えれば(・・・・何もサッカーに例えなくてもよいと思うが)、ラッセルの演奏は華麗なボールさばきと、ショート・パスを多用したバルセロナ的な演奏。一方ウィリアムスの演奏は大胆なサイド・チェンジと、そこからのクロス。ロング・パス重視のプレミアム・リーグ的な演奏。対極的だが、どちらもヨーロッパ的なサッカー、いや演奏・・・・
で、 どっちが強いの?
もちろん本当に試合をやるわけではないので、どちらが強いかなんてわかりませんが、少なくともバリオスの演奏に関しては、この二人のギタリストは現在の双璧であるのは間違ないでしょう。聴く人によって好みは当然分かれるところ、また曲によってはウィリアムスのほうが成功しているものと、ラッセルのほうが勝っているものとがあるでしょう。どちらのCDも聴いた後の満足感は十分なものです。
スポンサーサイト