中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

グループ・リーグ敗退?

 昨日、よく確かめもせず「決勝で再度スペインと当たれば・・・・」などと書いてしまったら、なんとスペインはホンジョラスに負けてグループ・リーグ敗退だそうですね。たとえ日本に負けたとは言え、あと2試合は軽く勝つはずと思っていたのに・・・・・

 強さともろさの両面を持っているのが、歴史的に見てもスペインの特徴かも知れませんが、ぜひ王者の誇りを持って第3戦に臨んで欲しいですね、例え敗退が決まっているとしても。 ・・・・本当に上から目線になってしまった。

 日本の第3戦も消化試合などとは言ってはいられませんね、グループ2位になるとトーナメント第一戦がブラジルと当たる可能性が高い。なんとしてもグループ1位は確保しなければならないでしょう。 ・・・・さて、話をセゴヴィアのCDの紹介に戻しましょう。



アンドレス・セゴヴィア・プレイズ  1954年録音


L.クープラン : パッサカリア
S.L.ヴァイス : プレリュード、 アルマンド (実際はポンセの作曲)
J.ハイドン : メヌエット
E.グリーグ : メロディ
M.ポンセ : メキシコ民謡
F.モレーノ・トロバ : こっけいなセレナード
C.P.E.バッハ : シシリアーナ
C.フランク : プレリュード、 アレグレット
M.ポンセ : 主題と変奏、終曲
S.デ・アギーレ : カンション
C.ペドレル : ギターレオ
J.マラッツ : スペイン・セレナード


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前作と同時期の録音、小品集だがセゴヴィアの魅力が凝縮したLP

 このLP「アンドレス・セゴヴィア・プレイズ」は前回の「アンドレス・セゴヴィアの夕べ」と同じ時期に録音されたLPです。オリジナルのLPでは、A面、B面ともバロック時代の作品で始まり、近代の作品で終わるようになっています(C.P.E.バッハの「シシリアーナ」からがB面)。

 このLPに収録された曲は、マラッツの「スペイン・セレナード」などを除けば、有名な曲や、人気の高い曲は少なく、編曲、オリジナル作品とも一般にはあまり演奏されない曲が多くなっています。しかしこうした曲にこそセゴヴィアの魅力は発揮されるように思います。私個人的にもたいへん好きなLPで、過去にも最もよく聴いたLPと言えます。

 
これらの曲はこの順で聴かないと

 前にも言いましたが、このような演奏は、やはりオリジナルの曲順で聴きたいものです。80年代の国内盤CDでは作品ごとに別々のCDに組み入れられていましたが、このユニバーサル盤のCDように、オリジナルの曲順で聴けるのはとても嬉しいことです。



クープランのクラブサン曲? どの曲も演奏スタイルは変らない

  最初の曲は、バロック時代のフランスの作曲家、ルイ・クープランの曲です。この「パサカリア」の原曲は、おそらくクラブサン曲だとは思いますが、詳しくはわかりません。セゴヴィアの編曲譜はショット社から出されています。因みにルイ・クープランの父、フランソワ・クープランも有名な音楽家です。

 時代順に作品が並んでいるといっても、セゴヴィアの演奏スタイルはどの曲の特に変りません。どの曲も要するに、”セゴヴィア的”な演奏といえるでしょう。



何度か登場したポンセ作曲の”偽ヴァイス曲”

 次の「プレリュード」と「アルマンド」はポンセ作曲の「組曲イ短調」からですが、もちろんこのLPにはS.L.ヴァイス(このLPでの表記では『ウエイス』)作となっており、曲順からしても完全にバロック時代の作品として扱っています。国内盤LPの解説(小倉俊氏)にも、当然のごとくバロック時代のリュート奏者として、S.L.ヴァイスの紹介がなされています。


本物だろうと、偽者だろうと、セゴヴィアにとっては些細なこと?


 このLPの発売時には(1950年代)、この曲がヴァイスの作品であることを疑った人は少なかったと思われます。第一、リュートや、S.L.ヴァイスについて知る人も多くはなかったのでしょう。

 しかし1969年に出版された音楽之友社の「ギター基礎講座」には、「これらの作品がヴァイスの真作であることは疑わしく、マヌエル・ポンセの作である可能性が強い」といったことが書かれていていました。

 大雑把に言って、これらの”偽ヴァイス”の作品は、1960年代まではほとんどの人がヴァイスの作品として疑わなかった時代(一部の有識者を除いて)。1970年代は偽作の疑いがあると言われた時代。1980年代以降は明らかにポンセの作品として認識された時代ということになるでしょう。もちろん今現在これらの曲を”ヴァイス作曲”として演奏する人はいないでしょう。

 しかしそんな薀蓄は抜きにして、セゴヴィアのこれらの曲の演奏を聴いてみると、ともにたいへん魅力的な曲。あるいは演奏であるのは確か。セゴヴィアにとっては本物だろうと、偽者だろうとあまり関係はないのでしょう。というより、本物のヴァイスの作品より、ずっとこれらの曲のほうがセゴヴィアに合っているのでは。もともとポンセがセゴヴィアのために作曲した曲ですから、ある意味当然かも知れません。
 
 
これも何度か登場した「奇跡」のメヌエット

 次のハイドンの「メヌエット」については何度か話に出てきましたが、1944年にも録音していて、リサイタルでもよく演奏しています。セゴヴィアの愛奏曲といってもよいでしょう。この曲はハイドンの交響曲第96番「奇跡」の第3楽章で、一つの楽章とはいえ、れっきとした交響曲を1台のギターで弾いています。

 しかしセゴヴィアの演奏では特に力むこともなく、とても自然で、ギターのオリジナル曲のように聴こえます。セゴヴィアの手にかかるとこうした曲もギターの魅力満載の曲となってしまうようです。私個人的にも最もセゴヴィアの演奏の魅力を感じる曲です(前にも言ったかな?)。「スペイン・セレナード」に次ぐ”目玉”といってようでしょう。


最後(A面の)はポンセとトロバ

 次のグリーグの「メロディ」はピアノ曲集「叙情的小品集」からということで、8分の6拍子のリズムに乗ってメロディが歌われます。次はポンセの「3つのメキシコ民謡」の第3曲目ですが、華やかに、活き活きと演奏されています。

 A面最後の曲(オリジナルLPの)はモレーノ・トロバの「滑稽なセレナード」となっています。トロバの曲の中ではあまり演奏されない曲ですが、曲名どおりなかなか面白い曲で、若い頃練習してみたのですが、残念ながら力が及びませんでした。いずれはまた試みたいとは思うのですが・・・・


バッハの次男の曲だが

 B面の方もバロック時代作品から近代の作品まで時代順に並んでいて、1曲目は大バッハの次男、C.F.エマヌエル・バッハの「シシリアーナ」です。原曲についての知識はありませんが、少なくともあまり有名な曲ではないのでしょう。曲名からして付点音符を含む8分の6拍子の曲で、セゴヴィアは特に遅くもなく、速くもないといった中庸なテンポで弾いています。

 楽譜はショット社のほうから出ていますが、古くから国内版(セゴヴィア編と明記されていないが)としても出ていました。独特の雰囲気を持った曲で、最近ではあまり演奏されませんが、セゴヴィア・ファンの間では人気のあった曲だと思います。


よくこんな曲を

 次はフランスの作曲家、セザール・フランクのオルガンのための小品からですが、この曲もあまり知られている曲ではなさそうです(私が知らないだけ?)。2曲目のほうは同じ素材の曲を2曲組み合わせて演奏しているようです。それにしてもセゴヴィアは、よくこんな曲に目が行くものだなと恐れ入ってしまいます。常にいろいろな音楽にアンテナを張って、ギター、あるいは自分に合う曲を探していたのでしょう。



このLPの中では最も充実した曲

 次のポンセの「主題と変奏、終曲」は、小品集となっているこのLPの中では、最も充実した作品といえるでしょう。20数分はかかる「スペインのフォリアによる変奏曲」に規模の点では一歩譲るものの、なかなか優れた作品で、ポンセの中では比較的演奏される曲といってよいでしょう。セゴヴィアはこの曲をこのLPの中核の曲と考えたのかも知れません。


ポンセのギター曲はセゴヴィアへのオーダー・メイド

 こうしてみるとこのLPの中にはポンセ作と明記されているものと、そうでないものをあわせて4曲のポンセの作品が収録されています。また他のLPにもポンセの作品はかなり録音されており、おそらくセゴヴィアのために書かれたほとんどの作品を、セゴヴィアは録音しているのではないかと思います。

 ポンセの作品は実質上セゴヴィアへの”オーダー・メイド”ですから、ある意味当然かも知れませんが、他の作曲家の場合、結局演奏されないままになってしまったセゴヴィアへの献呈作品はかなりあります。

 特にヴィラ・ロボスの場合、ほとんどの曲がセゴヴィアに献呈されているにもかかわらず、結局セゴヴィアが録音したのは、前奏曲(第1,3番)と練習曲(第1、7,8番)あわせても5曲しかありません。またリサイタルなどでもこの5曲以外は演奏していません。セゴヴィアはヴィラ・ロボスには、あまり相性の良さを感じなかったのかも知れません。


軽快な曲2曲

 次にアギーレとペドレルの短い作品を2曲演奏しています。「カンション」のほうはアルゼンチンの作曲家フリアン・デ・アギーレの曲を、アルゼンチンのギタリスト、ホルヘ・ゴメス・クレスポがギターに編曲したもの。

 カルロス・ペドレルはスペインの民族楽派の祖と言われている人で、アルベニスやグラナドスに影響を与えた人と言われています。どちらも軽快で、小気味よい曲です。



最後はマラッツの「スペイン・セレナード」

 最後はギター曲としてたいへん人気の高いホアキン・マラッツの「スペイン・セレナード」を収めています。マラッツはアルベニスやグラナドスなどと同世代のスペインの作曲家兼ピアニストで、タレガとも親交があったと言われています。

 そのタレガが、元々ピアノ曲であったこの「スペイン・セレナード」をギターのために編曲しています。セゴヴィアの演奏も、そのタレガ編を基にしていますが、原曲を参考にかなり変更しています(タレガ編よりも原曲に近い)。「セレナード」とはなっていますが、舞曲的な要素も強い曲です。

 SP時代(1930年)にも録音していますが、もちろんこの録音(1954年)のほうが音質、内容とも優れていると思います。この録音は、その後「セゴヴィア・ベスト・アルバム」といったLPやCDに組み入れられ、何度も再発されており、そうしたもので聴いた人、あるいは聴いている人は多いのではないかと思います。
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男女サッカー、グループ予選通過おめでとうございます

 ロンドン・オリンピックでは、このところ日本人の有力選手の思わぬ苦戦が伝えられているところ、サッカーのほうでは早々と男女共にグループ予選を通過が決定しましたね、おめでとうございます!

 ”なでしこ”のほうは予定どおりということで、おめでとうというには早すぎるでしょうが、男子のほうは最強といわれたスペインに完勝しての予選通過ということで、まさに世界を驚かした結果となりました。

 まだホンジョラス戦を残していますが、この厳しい日程の中、主力を休ませる余裕も出てきました。とはいえ、このよい流れは維持したいし、またやはり1位通過にはこだわりたいとなれば、どういった先発メンバーにするか、監督の悩みどころでしょうね。まあ、苦しい悩みではないでしょうけど。



スペイン戦でゴールした大津選手は近くの小学校に通っていた?

 そういえばスペイン戦で決勝ゴールを決めた大津選手は水戸市の出身で、水戸市立堀原小学校に通っていたのだそうですね、その小学校は、私の住んでいるところから数百メートル~1キロ・メートルくらいのところにあり、隣にある市民センター(旧公民館)などにはギターの練習などで時々行っていました。

 テレビで突然見覚えのあるところが映ったのでちょっと驚きました。多分大津選手の実家もこの近くなのでしょうね、高校は都内の高校のようですが。


サッカーはそんなに甘くない!

 話は戻りますが、スペインのフル代表はユーロ連覇にワルド・カップ優勝、U23もヨーロッパの大会で優勝、そのスペイン代表に完勝したのだからメダル確実とか、金も狙えるなんて声も聞こえてきますが、サッカーはそんなに甘くはない! とは言え、トーナメント1回戦に勝てばあと2試合は楽しめるということになる、ぜひともそうあって欲しいと思います。



まだまだ日の沈まぬ帝国であって欲しい

 日本が決勝で再びスペインと対戦・・・・ なんていうのもとても面白いかも知れませんね。でもその時にはぜひともスペイン代表のほうが、万全の日本、および永井対策を行って、日本代表に勝って欲しいと思います。ここで日本代表が勝つのは、決して日本のサッカー界にとっても、スペイン代表にとっても良いことはない!

 日本のサッカー界にとっては、今は結果が必要な時期ではない、必要なのは数々の試練。またスペイン代表にとってはまだまだ王者としての誇りが必要だ。スペインにはもう少しの間”日の沈まぬ帝国”であって欲しい・・・・・  いずれ日本はサッカーの強豪国になるのは間違いないのだから。

 
 ・・・・・・・こういうのを”上から目線”て言うのかな
アンドレス・セゴヴィアの夕べ  1954年録音

G.フレスコヴァルディ : アリアと変奏、 コレンタ
M.カステルヌオーヴォ・テデスコ : 悪魔の奇想曲
M.ポンセ : 6つの前奏曲
J.F.ラモー : メヌエット
A.タンスマン : カヴァティーナ組曲
 1.プレリュード、2.サラバンド、3.スケルツィーノ、4.舟歌、5.ダンサ・ポンポーザ
F.モレーノ・トロバ : ノクトゥルーノ
 


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1954年に3枚のLP、音質はより向上

 3枚のLPを録音した1952年から2年して、セゴヴィアは1954年に同じデッカ・レーヴェルで「アンドレス・セゴヴィアの夕べ」、「アンドレス・セゴヴィア・プレイズ」、「アンドレス・セゴヴィア・シャコンヌ」の3枚のLPを録音します。

 この2年間に、まだモノラル録音ではあるものの、音質はかなり良くなってきます。前回までの録音にあったやや不快な音もなく、かなり美しい音で、より忠実にセゴヴィアの音を再現出来ているように思います。1950年代というと、録音技術的にはまだまだ発展途上で、場合によっては劣悪な音質の録音もあるのは確かですが、これらの録音は、その時代を考慮するとかなり良いものではないかと思います。


伝説のセゴヴィア・トーン ~ハウザー1世も絶好調

 セゴヴィアは1960年頃までハウザー1世を使っているわけですが、やはりセゴヴィアの音にはこのハウザー1世がもっとよく合っているのではと思います。そのハウザー1世から繰り出す多彩な音色、さらにポルタメント、ヴィヴラートといったものもたいへん美しく再現出来ています。愛好者の間では、いつしかこうしたものを総じて「セゴヴィア・トーン」と称することになったのでしょう。


活動の絶頂期といってもよいのでは

 1960年からは楽器がホセ・ラミレスに換わり、録音方式もステレオ録音となります。音質もよりいっそうよくなってくるわけですが、でもやはりセゴヴィアの演奏はこの1950年代半ばのものが最も魅力的といってよいのではと思います。この時代はセゴヴィアの録音の絶頂期でもあり、やはり演奏家としての活動の絶頂期でもあるように思います。この時期セゴヴィアは60代。


それぞれのLPにコンセプトが感じられるようになった

 LP全体の印象としてもこの年の3枚は前々年の3枚比べて、やはり充実度は高いものと思います。LP「アンドレス・セゴヴィアの夕べ」と後述の「プレイズ」はほぼ同時期に録音されたものですが、この「夕べ」のほうは、比較的まとまった作品が収められており、「プレイズ」のほうは従来のような小品集となっています。

 もう一枚の「アンドレス・セゴヴィア・シャコンヌ」はA面がバッハで、B面が他の作曲家の作品となっていて、それなりのまとまりを示しています。セゴヴィアのLPはここにきて、それぞれにコンセプトが感じられるようになってきます。おそらくLP全体の構成を考えた上で、録音に入っているのではと思われます。


フレスコバルディの「アリアと変奏」 ~かつて弾ける人も、弾けない人もみんな弾いていた

 このLPの最初の曲はバロック時代のイタリアの作曲家、ジローラモ・フレスコバルディの鍵盤曲からの編曲で「アリアと変奏『ラ・フレスコバルダ』」です。セゴヴィアの演奏した曲の中でもたいへん人気の高い曲で、かつて大学のギター部の仲間たちがよく弾いていました。それほど易しい曲ではありませんが、弾ける人も、弾けない人もみんな弾いていました。・・・・そういうのを「弾いた」と言うの?


渡辺範彦さんの名演も忘れられない

 もっとも、1970年代のこの曲の人気には、故渡辺範彦さんの影響も大きかったのでしょう。当時美しい渡辺さん演奏でこの曲が好きになった人も多いでしょう。因みに渡辺範彦さんの演奏は今現在でもCDで聴くことが出来ます。


かつて話題になったことですが

 もう一つこの曲にまつわる話と言えば、この曲は一見、短調の曲のように見えますが、もともとは教会旋法の「ドリア調」で書かれています。それによってこの曲の本来のメロディには、長調や短調に慣れた耳からすると、ちょっと違和感を感じるところもあります。
 
 そうしたものをセゴヴィアは一般的な短調に直して演奏しているのですが、結果的にはこの音楽の本質的な部分を変えてしまったことになり、現在のクラシック音楽界の常識からすれば、ありえないことといえるでしょう。


本物のほうがかえって変?

 しかしそんなことを気にせず聴けば、このセゴヴィアの編曲はごく自然で、たいへん美しいメロディに聴こえるのも確かです。カール・シャイトの原曲により忠実な編曲もありますが、聴いた感じではこの”本物”のほうがかえって変に感じるかも知れません。


第4変奏の「コレンタ」は別の曲扱いだが、もちろん同一曲

 この「アリアと変奏」はアリアと4つの変奏からなりますが、そのテーマからして、セゴヴィアはたいへん美しい音で演奏していて、この曲が人気曲となったのがたいへんよく理解できます。

 セゴヴィアは第2変奏と第3変奏の順を入れ替えて演奏し、また第4変奏の「コレンタ」を別の曲扱いで録音していますが、もちろん一つの変奏で、まとめて1曲です。「コレンタ」はテンポを速めて弾く部分なのでしょう。


パガニーニへのオマージュ

 次の曲はテデスコの「悪魔の奇想曲」です。この曲はパガニーニへのオマージュで、10分近く要し、ギター曲としては比較的長い曲となっています。曲の最後のほうに有名な「カンパネラ」が登場しますが、題名のとおり高度な技術を要する曲です。


3人の作曲家の作品でA面を構成

 次はポンセの「24の前奏曲集」から6曲収録して、フェレスコバルディ、パガニーニ(ポンセ)、ポンセの3人の作曲家の作品でA面が構成されています。この前奏曲集は、1曲1曲がかなり短いもので、練習曲的といえるでしょう。


ラモーのメヌエットは二長調(映画で有名な)

 次のラモーの「メヌエット」は1944年に録音したイ長調のものではなく、イエペスが映画「禁じられた遊び」の中で演奏している二長調のほうです。このメヌエットはオペラ「ラ・プラテー」の中のバレー曲が原曲で、因みにイ長調のほうは鍵盤曲からの編曲です。


アレンジはセゴヴィア以外?

 イ長調のほうはセゴヴィアが譜面を出版していますから、セゴヴィア自身の編曲に間違いないと思いますが、この二長調の方は他のギタリストの編曲かも知れません。イエペスの映画への録音は1951年頃と思いますので、録音はそちらの方が先ということになります。


小謡組曲

 次にタンスマンの「カヴァテイーナ」組曲を、「ダンサ・ポンポーザ」も含めた全5曲の形で録音しています。この組曲はもともとは4曲で、最後がじっくりと歌う「舟歌」となっていましたが、セゴヴィアの希望により終曲として「ダンサ・ポンポーザ」が付け加えられたと言われています。

 セゴヴィアとしてはコンサートで演奏するためには、静かな舟歌で終わるのは、ちょっと寂しい、出来れば華やかなフィナーレが欲しいといったところなのでしょう。タンスマンの追加作曲された曲も、曲名上は「華麗な舞曲」ですが、聴いた感じではそれほど派手というわけでもないようで、むしろがっちりと対位法的に書かれた曲と言った感じです。

 この「カヴァテーナ組曲」を和訳すれば「小謡組曲」といったところでしょから、本当は派手に終わらなくてもよいのでしょう。


やはり名演

 最後はトロバの「ノクトゥルーノ」となっていますが、この曲も「マドローニョス」と並ぶトロバの人気曲で、セゴヴィアとしては1928年以来の2度目の録音。また1973年にも録音しています。重たい音、軽い音、しっとりとした音、明るい音などを駆使し、切れのよいパッセージ、ヴィヴラート、消え入りそうなポルタメントも絶妙! やはり名演といえるでしょう。
アンドレス・セゴヴィア・プログラム

ルイス・ミラン : パヴァーナⅢ
G.F.ヘンデル : サラバンド、 メヌエット
C.W.グルック : 精霊の踊り
J.S.バッハ : シシリアーナ、 ブーレ
F.ソル : メヌエット
F.ショパン : 前奏曲第7番
R.シューマン : ロマンサ
M.ポンセ : アンダンティーノ・ヴァリエイト(パガニーニの大ソナタより)
J.ブラームス : ワルツ
F.モレーノ・トロバ : マドロニョス
H.ヴィラ・ロボス : 前奏曲第1番


ブログ 068
1952年録音 「アンドレス・セゴヴィア・プログラム」 復刻ジャケット


同時期に録音したものを3枚のLPに振り分け

 前に紹介した2枚のLP「アンドレス・セゴヴィア・リサイタル」、「アンドレス・セゴヴィア・コンサート」と同じ時期(1952年)の録音で、その時録音した曲をこれらの3枚のLPにして発売したものと思います。曲の振り分けや、曲順にセゴヴィアの意思がどのくらい反映されたものなのか、などはわかりませんが、「リサイタル」、「コンサート」、「プログラム」とタイトルが示すとおり、それぞれが一つのリサイタルのようになっていて、まさにセゴヴィア的なLPと言えます。


3枚ともビウエラの作品が1曲目

 3枚のLPとも1曲目はビウエラの作品となっていますが、このLPではミランの「6つのパヴァーナ」の第3番となっています。6つのパヴァーナのうち、この6番が比較的よく演奏されるようになったのは、このLPの影響でしょうか。


ヘンデルの作品は最も有名なサラバンド、 ド・ヴィゼーのサラバンドとも同じ旋律

 このLPにもヘンデルの曲が収められていますが、「サラバンド」は「ハープシコード組曲第11番」に含まれる曲で、ギターでもよく演奏される曲です。主題は有名な「スペインのフォリア」からとられていて、前回紹介したド・ヴィゼーの「組曲二短調」のサラバンドとも同じ旋律です。

 ヘンデルの作品にはその主題に2つの変奏が付け加えられていますが、音域的にもちょうどギターに収まる範囲なので、原曲をほとんどそのまま弾くことが出来ます。セゴヴィアもほぼ原曲どおりに弾いていますが、第2変奏の終結部で、ほんの少し変更しています(重箱の隅?)。

 「メヌエット」は前回のLP同様「エイルズフォードの8つの小品」からのもので、二長調に編曲されたものですが、バッハの作品よりも親しみやすい感じがします。


フルートの名曲

 グルックのオペラ「「オルフェウスとエウリディーチェ」からの「精霊の踊り」はフルートの名曲として親しまれている曲ですが、おそらくセゴヴィア自身の編曲なのでしょう。中間部は省略され、前半部分のみとなっています。


最近はあまり単独では演奏されないが

 この年に録音された3枚のLPにはそれぞれ2曲ずつバッハの曲が収められていますが、このLPでは無伴奏ソナタ第1番の「シシリアーナ」とリュート組曲第1番の「ブーレ」が割り当てられています。

 最近ではこのバッハの無伴奏Vnソナタなどをギターで演奏する場合は、全曲演奏が当たり前になっていて、こうした曲を聴くには相応気構えが必要になるところですが、この「シシリアーナ」の演奏はとてもリラックスして聴けます。こういう味わい方もあるのではと思いますが、ただしバッハにしてはかなりロマンテックな演奏です。

 以前(1949年)にはサラバンドと組み合わされて収録されたリュート組曲第1番の「ブーレ」は、今回は単独ということです。ゆっくりと歌う感じの「シシリアーナ」を”シメ”る位置づけと思いますが、ちょっと軽すぎるかな。


大ソナタハ長調の終楽章

 ソルの作品はこれまでの2枚のLPでは「ソナタハ長調第1楽章」、「魔笛の主題による変奏曲」と比較的大曲となっていましたが、今回のLPでは「ソナタハ長調作品25」の第4楽章「メヌエット」と、ちょっと軽いものになっています。


ショパン、シューマン、ブラームス

 またこのLPでは、前のLPには入っていなかったシューマンやショパンなどのロマン派の作品の編曲が収録されているのが特徴でしょう。ショパンの「前奏曲第7番」はタレガ編を基本にしていると思いますが、グリサンドなどはほとんど省いています。また例のごとく付点音符はほとんど通常の8分音符と同じように演奏しています(セゴヴィアは付点音符が嫌い?)。

 シューマンの「ロマンサ」はOp.79-4となっているのですが、原曲についてはよくわかりません。シューマンのピアノ曲は、ほぼ全曲CDを持っているはずなのですが、この作品番号にあたる曲は見当たりません(ピアノ曲でないのかも)。セゴヴィアの演奏を聴いた感じではギター・オリジナル作品のように聴こえます。

 ブラームスの「ワルツ」は連弾用の曲(作品39)で、セゴビア自身のアレンジです。かつてショット社から楽譜も出ていました。


パガニーニの曲というよりはポンセの曲

 パガニーニの「アンダンテ・ヴァリエイト」は、「ギターとヴァイオリンのための大ソナタイ長調」の第3楽章をポンセが編曲したもので、第2楽章の「ロマンス」のほうは1944年と1954年に録音しています。内容的にはパガニーニのテーマを基にポンセが変奏曲を作ったと言った感じで、パガニーニの曲というよりポンセの作品となっています。しかしこのLPの曲順からすると、この曲をロマン派の作品と位置づけているようです。


トロバの人気曲を活き活きと演奏

 モレーノ・トロバの「マドローニョス」はトロバの作品のうちでも人気の高い曲ですが、こうした曲になるとセゴヴィアの演奏はより活き活きとしてきます。


ヴィラ・ロボスの前奏曲は、低音をたっぷりと歌わせている

 このLPの最後はヴィラ・ロボスの「前奏曲第1番」となっています。言うまでもなくヴィラ・ロボスのギター曲の中でもひときわ人気の高い曲で、そうしたことにもこの録音は一役買っているでしょう。

 セゴヴィアの演奏は、低音を情緒豊かに歌わせている一方で、例のごとく音価はあまり正確にとってはいません。もっともヴィラ・ロボス自身でも同じような演奏をしていましたから(ヴィラ・ロボス自身の録音が残されている。ただし最後のほうは”時間切れ”となっている)、そうしたことはこの時代、つまり20世紀前半から中頃の演奏習慣と言えるかもしれません。

 因みにセゴヴィアはヴィラ・ロボスの「5つの前奏曲」の中からは、この「第1番」と「第3番」を録音しています(1954年)。

 

 


 今日(7月15日)水戸芸術館に於いて水戸市芸術祭市民音楽会が行われました。前にも紹介しましたとおり、今回は、これまでの合唱関係とは別になり、器楽関係の団体と独唱、重唱のみとなり、1日間(これまでは2日間)での開催となりました。

 参加団体は30団体で、13:00開演、18:30閉演という、5時間半に及ぶコンサートとなりました。これまでとは違った点も多く、まさにリニューアル市民音楽会となり、とてもバラエティに富む演奏内容となりました。その一方で、いろいろ混乱することも多発するのではという懸念もあったのですが、時間的には若干押したものの、まずまずの進行となりました。

 ただし、かなり気温が上がったこともあって、7名の吹奏楽団の女子高校生が熱中症により、救急車で運ばれるといったことも起きました。これまでそういったことがなかったということのほうが幸運だったのかも知れません。今回、特に多人数の吹奏楽団などが参加したこともあって、ステージ裏の通路などはたいへん混雑してしまったのも確かです。

 今回コンサートを聴きに来ていただいた方は500名を越え、また出演者も300人を越えるということで、総数900人のも及ぶイベントとなりました。このように様々なジャンルを越えたコンサートというのも、聴きに来る方にとっても、また演奏する人にとってもとても貴重な機会だったのではと思います。

 出演した各団体の方々にとっては、リハーサルも含めれば10:00~18:30と、8時間を越える時間となり本当にお疲れ様でした。また実行委員は9:30~20:30、水戸市や水戸芸術館の職員の方々はさらに早い時間からの勤務となり、本当に多くの人の労を惜しまぬ貢献によって今回の音楽会も成り立ったのだと思います。

セゴヴィアの1950年代の録音の続き

しばらく間が空いてしまいましたが、セゴヴィアの1950年代の録音、メジャーレーヴェル、米デッカに専属契約になってから2枚目のLPの紹介です。


アンドレス・セゴヴィア・コンサート 1952年4月録音

ルイス・ミラン : ファンタジア第16番
ロベルト・ド・ヴィゼー : 組曲ニ短調
  プレリュード、アルマンド、ブーレ、サラバンド、ガヴォット、ジーグ
フェルナンド・ソル : モーツァルトの主題による変奏曲
G.F.ヘンデル : アレグロ・グラチオーソ、 ガヴォット
J.S.バッハ : ブーレ(無伴奏Vnパルティータ第1番)、クーランテ(無伴奏VC組曲第3番)
マウロ・ジュリアーニ : アレグロ・スピリッツ(ソナタハ長調作品15第1楽章)
マヌエル・ファリャ : ドビュッシー賛
エイトール・ヴィラ・ロボス : 練習曲第7番


    ブログ 067

このLPもオリジナル・ジャケット入りのCDとして復刻され、かつてのLPと同様の形で聴くことが出来る。


バロック音楽が主で、「魔笛」も入っている

 前回のLPと同じ時期に録音されたLPですが、バロック時代の作品が大半を占め、それにソル、ジュリアーニの古典派、ファリャ、ヴィラ・ロボスの近代作品が収録されています。またセゴヴィアはこの頃から16世紀のスペインのビゥエラ奏者のミラン、ナルバエス、ムダラなどの作品を積極的に録音しており、このLPではミランのファンタジアを冒頭に収めています。


ド・ヴィゼーの「組曲二短調」は”ほぼ”全曲演奏

 ヴィゼーの「二短調組曲」については以前にも録音していましたが(自作と組み合わせて)、今回は”ほぼ”全曲録音といった形で、オリジナルの全9曲中、クーラントとメヌエットⅠ、Ⅱを除いた6曲を演奏しています。なお「メヌエットⅠ」は「エントラーダ」として、「メヌエットⅡ」は「メヌエット」として過去(1939年、1944年)に録音しています。「クーラント」のみ録音されていません。


「ブーレ」と「ガボット」が同じように聴こえる

 セゴヴィアが実際にどのような譜面を用いていたのかはわかりませんが、「ブーレ」は前にも触れたとおり、コスト編をもとにしているようで、本来8分音符2個の音を4分音符2個に変更しています。当時(17~18世紀)の習慣からすれば、これでは「ブーレ」ではなく、「ガヴォット」になってしまいます。この組曲には本来の「ガヴォット」も存在し、確かに、この演奏で聴くと「ブーレ」と「ガヴォット」とが似たような曲に聴こえます(ブーレのほうがやや速いが)。


セゴヴィア編と言える「魔笛」

 ソルの「モーツァルトの『魔笛』の主題による変奏曲」については、今回はリピートは原曲どおりに行っていますが、序奏は省略されています。確かにこの時代(1950年代)ではこの「序奏なし」の形が一般的で、他のギタリストもそのように演奏していました。序奏付けて演奏するのが普通になったのは(本来は当然のことだが)、意外と最近、つまり1970年代以降ということになります。

 音価の変更(特に付点音符)をはじめ、オリジナルの譜面からするとかなり変更が加えられ、まさに「セゴヴィア編」と言えるものですが、それらの変更には共感し難いところもあります。


ヘンデルとバッハ

 ヘンデルの2曲はハープシコード曲集「エイルズホードの8つの小品」をセゴヴィア自身がギターに編曲したもので、ショット社から楽譜も出版されています。「アレグレット・グラチオーソ」はイ短調(セゴヴィアの編曲では)のメヌエット、「ガヴォット」はハ長調に編曲されたもので、それぞれ親しみやすい曲です。

 バッハの「クーラント」は3度目の録音ですが、後に「チェロ組曲第3番」を全曲録音しているので、この曲は生涯に少なくとも4回録音していることになります(ライブ録音を除いて)。やはりセゴヴィアの愛奏曲といえるでしょう。演奏のほうは年齢を重ねるごとにマイルドになってくる感じで、この演奏では最初の録音(1927年)のような強烈なアクセントは影を潜めています。


意外と端正なジュリアーニ

 ジュリアーニの「ソナタハ長調作品15」の第1楽章「アレグロ・スピリット」は「魔笛」の演奏に比べると、あまり極端な音価のデフォルメはなく、比較的イン・テンポに近い演奏です(気持ち前のめり気味だが)。題名どおりの「活きの良さ」もよく出ています。


「ドビュッシー賛歌」を初演したのはセゴヴィア

 マヌエル・ファリャの唯一のギター独奏曲「ドビュッシー賛歌」は、リョベットに献呈されましたが、初演はセゴヴィアが行ったそうです(1922年、マドリッド)。この録音が初録音かどうかはわかりませんが、それに近いものでしょう。


スケール好きのギタリストの格好のレパートリー

 ヴィラ・ロボスの「12の練習曲」は1929年に作曲されましたが、出版は1953年で、このLPの録音時にはまだ出版されていません。セゴヴィアは1949年に「第1番」と「第8番」を録音し、このLPで「第7番」を録音しています。第1、8番は後に再録もしていますが、セゴヴィアが録音したのは全12曲中、この第1、7、8番の3曲のみで、リサイタルなどでもこれ以外の曲は演奏していないようです。因みにこの「12の練習曲」全曲の初録音は1971年頃のトリビオ・サントスによるものだと思います。

 速いスケール(音階)で始まるこの「第7番」は12曲の中でも人気曲で、スケールの得意なギタリストの格好のレパートリーとなっています。もちろんセゴヴィアも気持ちのよいスケールを聴かせてくれます。
器楽団体のみの出演

 7月15日(日)に水戸芸術館コンサートホルATMで水戸市芸術祭「市民音楽会」が行われます。昨年は震災で中止となりましたが、今年はこれまでと内容を大幅に変えて行われることになりました。

 これまでの参加団体のうち、合唱関係の団体は、別に合唱祭のほうに出演することになり、今回からは器楽関係の団体が中心となりました。なお声楽でも独唱や小人数の重唱などはこれまでどおりの参加となります。


開演時間は13:00で、終演予定時間は18:15。入場無料。出演団体は以下のとおりです。



1.安寿琴の会(大正琴)
2.茨城演奏家連盟(ピアノ独奏)
3.茨城県立水戸第三高等学校(ヴァイオリン・フルート・ピアノ)
4.茨城大学(独唱)
5.美音麗音(フルート・オーボエ・ピアノ)
6.芸術歌唱アルコバレーノ(独唱)
7.茨城交響楽団(フルート・オーボエ・クラリネット・ピアノ)
8.茨城県立水戸第二高等学校(重唱)
9.二胡アンサンブル美音会
10.Les Belles(オーボエ重奏)
11.大成女子高等学校筝曲部
12.とらいあんぐる(オカリーナ重奏)
13.Sweet Quintet(リコーダー重奏)
14.華音かのん(オカリーナ合奏)
15.水戸内原吹奏楽団
16.オカリーナアンサンブル カンターレ・ムジーク
17.水戸ジュピターマンドリンクラブ
18.オカリーナアンサンブル夢詩音
19.にこひびき会(二胡合奏)
20.水戸シンフォニックアンサンブル(木管・金管)
21.水戸ハンドベルリンガーズ
22.ときわの杜&ハッピーバード(オカリーナ合奏)
23.水戸ギターアンサンブル
24.アマービレマンドリンクラブ
25.ル・シエル音楽団(木管・金管・打楽器)
26.ネクサス・ブラスバンド(英国式金管バンド)
27.らっぱ座(金管)
28.水城高等学校吹奏楽部
29.水戸女子高等学校吹奏楽部
30.大成女子高等学校吹奏楽部




5時間越える予定

 以上のように今回30団体が出演します。一昨年までは出演団体が50前後くらいでしたが、2日間での開催で、演奏時間は両日とも約4時間といったところでした。今回は30団体が一日で演奏するということと、器楽団体だけなので、舞台転換にも時間を要し、5時間を越えるコンサート予定となりました。



バラエティ溢れる内容

 参加団体も多いのですが、弦楽器、木管、金管、声楽、ピアノ、ギター、マンドリン、オカリナ、二胡、大正琴、リコーダー、ハンドベル といった本当にバラエティに富んだ内容となっていますので、興味のある方は是非会場に足を運んでみてください。



出番は16:40くらいかな

 私たちの水戸ギター・アンサンブルは23番めの出演で、だいたい16:40頃の出演となる予定です。ただし今回はこれまでといろいろなことが変り、予定通りの時間となるかどうかは、やってみないとわからないところもあります。水戸ギター・アンサンブルの演奏曲目は、モーツァルト作曲「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク(セレナードト長調K525)」より「アレグロ」と「メヌエット」です。

なお市民音楽会実行委員長は、一昨年までの中林俊先生に代わり、井坂良昭さん(水戸ジピターマンドリンクラブ)に代わりました。




ヴィドヴィッチを聴くのは1999年のデビューCD以来

 当ブログのローリエイト・シリーズでも紹介したクロアチアの女性ギタリスト、アナ・ヴィドヴィッチのリサイタルを、つくば市ふれあいプラザホールで聴きました。ヴィドヴィッチの演奏は、1999年のナクソスのデビュー盤(ローリエイト・シリーズ)を聴いただけで、特に最近の演奏は聴いていません。もちろん演奏を生で聴くのも初めてです。

新進演奏家 008
1999年録音のナクソス盤


 そのCDでは少女らしからぬ強靭な音

 そのナクソス盤の印象では、どの曲もかなり速めのテンポで演奏し、またいかにも少女らしい写真からは想像つかない強靭な音の持ち主といったものでした。しかし一方でどのような音楽を目指しているかなどは今一わかりにくかったように思いました。ただその時点ではヴィドヴィッチはまだ10代。それから13年経た今現在ではどんなギタリストになっているのでしょうか。



本当にここでいいのかな?

 リサイタルの会場となっている「つくば市ふれあいプラザホール」をネットで検索してみると、思っていた場所とはずいぶんと違うところが表示されました。本当にいいんだろうかと思いながらも、カーナビだよりに出発しました。そのホールは、つくば市といっても中心街からはかなり離れた、旧茎崎町の運動公園の中にありました。

 ロビーにはまだ開場時間前にもかかわらず結構長い列、顔見知りも多数。300席くらいのキャパシティと思われる
この会場も、結果的にほぼ満席となりました。やはり今話題の人気ギタリストです。


プログラム

M.C.テデスコ : ソナタ「ボッケリーニ賛歌」(全4楽章)
武満徹編曲 : 「12の歌」よりシークレット・ラブ、 オーヴァー・ザ・レインボー、 イェスタディ
F.タレガ : アランブラの想い出
I.アルベニス : グラナダ、 アストゥリアス
 
A.ピアソラ : 「タンゴ組曲」より第1、第2楽章 ~角圭司との二重奏
J.S.バッハ : リュートのためのプレリュード、フーガ、アレグロBWV998
A.バリオス : 大聖堂
W.ウォルトン : 5つのバガテル


 アンコール曲 
ファリャ : スペイン舞曲第1番 ~角圭司との二重奏
マイヤーズ :カヴァティーナ



あどけない少女から典型的なヨーロッパ美女へ

 ヴィドヴィッチというと、どうしてもデビューCDのあどけない少女姿をイメージしてしまいますが、今は現在は30代、当然大人の女性になっています。ステージの登場したヴィドヴィッチは長身で典型的なヨーロッパ美女といった感じです。モデルか女優と言われてもおかしくないでしょう。


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なんと、ソナタ「ボッケリーニ賛歌」からスタート

 かすかな音で調律を確かめた後で弾き出したのは、テデスコの「ソナタ・ボッケリーニ賛歌」。この曲はギターではかなり難しい曲で、普通ならもっと後のほうで弾きたくなる曲だと思いますが、ヴィドヴィッチは何と、この難曲からリサイタルをスタートさせました。

 冒頭の2個の16分音符を少し長めにとって第1楽章が始まりました。楽器は杉材のものを使用していますが、購入したCDには、オーストラリアの製作家、J.K.Redgate の楽器使用と書いてありました。 明るく、高反発の音で、離れた客席にもよく通る音です。


中身(演奏)も以前のものとは全く様変わり

 テンポは速めではあるのですが、その速さはほとんど感じさせず、以前のCDのようなひたすら疾走する感じは全くありません。聴いている限りでは音量や音色の変化など、表現の豊かさのほうが際立って感じられます。テンポの変化は漠然と聴いた感じではイン・テンポに聴こえますが、微妙にコントロールされています。

 音色もCDでは硬質に感じたのですが、ここで聴く限りでは、弾力性と柔軟性のあるものに変っています。譜面にして1ページも曲が進まないうちに、以前のCD印象とはまるで違う演奏であると感じました。

 第三楽章の「メヌエット」では主旋律を歌わせる一方で、低音部は正確にスタッカートしており、気持ちよく聴けます。アティキュレーションもかなりしっかりしています。

 第4楽章の「ヴィーヴォ・エネルジコ」もなどギタリストによっては、ひたすら自分の指の運動能力の高さを誇示することに専念したりするのですが、全くそのようなことからは遠い演奏でした。速いテンポにも関らず旋律を表情豊かに歌わせているので(若干粘りを感じるくらい)、テンポ自体もとても自然なものに感じられます。



トレモロはpmim? それにしても全くノイズ・レス

 「アランブラの想い出」は角君が書いた解説に「独自の運指でトレモロを弾いている」と書いてあります。ヴィドヴィッチがアランブラを弾き始めると、それは”もの凄く”揃った(変な表現ですが)、美しい音でした。もちろんそれなりのスピードで弾いているのですが、その一音一音を100パーセント、いや120パーセントコントロールしているように聴こえます。

 トレモロの数(3個)は変らないようなので、指順が違うのだろうけど、imaとかではなさそうだ。はっきりとはわからないがimのみの2本指のようです。最前列で聴いていた(見ていた)Kさんによれば、pmimの順ではないか、と言っていました。

 確かに指が速く動く人なら十分に考えられる方法です。下手に薬指を使うより、imのみのほうがコントロールしやすい。とは言っても私などがやったら相当遅くなってしまいます。

 それにしてもノイズが全くない。振動している弦に爪が触れれば当然ノイズが発生します。それを避けるには一度皮膚の部分で弦に触れ、その後爪で弾けばよいのですが、トレモロを弾くスピードではなかなかそれが出来ない。もっとも、最近の若いギタリストは、たいていノイズなしでトレモロを美しく弾く。



以前のCDからは想像出来ない妖艶な魅力

 角君との二重奏のピアソラの「タンゴ組曲」の第2楽章では、旋律を妖艶とも言えるほど表情豊かに歌い上げていました。このようなこと以前のCDからは全く想像できないことです。


バッハでは以前の強靭な音

 バッハの作品はとても力強い音で演奏し、以前のCDの音を思い出させます。ヴィドヴィッチの中ではバッハは堅固で強い音楽なのでしょうか。しかし次のバリオスの「プレリュード」ではまた一転してとても繊細で美しい音で旋律を奏でます。

 ウォルトンの「5つのバガテル」はデビューCDにも入っていましたが、その印象とはまるで異なり、立体感と柔軟性のある演奏になっていました。


最後は謎解きをするように

 アンコールの最後の曲として演奏したマイヤーズの「カヴァティーナ」では、謎解きをするかのように、ヴィドヴィッチは、自らのパレットの中身を、私たち聴衆に広げて見せてくれました。そのパレットの中には私たちが思っている以上のたくさんの絵の具が入っていました。