グループ・リーグ敗退?
昨日、よく確かめもせず「決勝で再度スペインと当たれば・・・・」などと書いてしまったら、なんとスペインはホンジョラスに負けてグループ・リーグ敗退だそうですね。たとえ日本に負けたとは言え、あと2試合は軽く勝つはずと思っていたのに・・・・・
強さともろさの両面を持っているのが、歴史的に見てもスペインの特徴かも知れませんが、ぜひ王者の誇りを持って第3戦に臨んで欲しいですね、例え敗退が決まっているとしても。 ・・・・本当に上から目線になってしまった。
日本の第3戦も消化試合などとは言ってはいられませんね、グループ2位になるとトーナメント第一戦がブラジルと当たる可能性が高い。なんとしてもグループ1位は確保しなければならないでしょう。 ・・・・さて、話をセゴヴィアのCDの紹介に戻しましょう。
アンドレス・セゴヴィア・プレイズ 1954年録音
L.クープラン : パッサカリア
S.L.ヴァイス : プレリュード、 アルマンド (実際はポンセの作曲)
J.ハイドン : メヌエット
E.グリーグ : メロディ
M.ポンセ : メキシコ民謡
F.モレーノ・トロバ : こっけいなセレナード
C.P.E.バッハ : シシリアーナ
C.フランク : プレリュード、 アレグレット
M.ポンセ : 主題と変奏、終曲
S.デ・アギーレ : カンション
C.ペドレル : ギターレオ
J.マラッツ : スペイン・セレナード

前作と同時期の録音、小品集だがセゴヴィアの魅力が凝縮したLP
このLP「アンドレス・セゴヴィア・プレイズ」は前回の「アンドレス・セゴヴィアの夕べ」と同じ時期に録音されたLPです。オリジナルのLPでは、A面、B面ともバロック時代の作品で始まり、近代の作品で終わるようになっています(C.P.E.バッハの「シシリアーナ」からがB面)。
このLPに収録された曲は、マラッツの「スペイン・セレナード」などを除けば、有名な曲や、人気の高い曲は少なく、編曲、オリジナル作品とも一般にはあまり演奏されない曲が多くなっています。しかしこうした曲にこそセゴヴィアの魅力は発揮されるように思います。私個人的にもたいへん好きなLPで、過去にも最もよく聴いたLPと言えます。
これらの曲はこの順で聴かないと
前にも言いましたが、このような演奏は、やはりオリジナルの曲順で聴きたいものです。80年代の国内盤CDでは作品ごとに別々のCDに組み入れられていましたが、このユニバーサル盤のCDように、オリジナルの曲順で聴けるのはとても嬉しいことです。
クープランのクラブサン曲? どの曲も演奏スタイルは変らない
最初の曲は、バロック時代のフランスの作曲家、ルイ・クープランの曲です。この「パサカリア」の原曲は、おそらくクラブサン曲だとは思いますが、詳しくはわかりません。セゴヴィアの編曲譜はショット社から出されています。因みにルイ・クープランの父、フランソワ・クープランも有名な音楽家です。
時代順に作品が並んでいるといっても、セゴヴィアの演奏スタイルはどの曲の特に変りません。どの曲も要するに、”セゴヴィア的”な演奏といえるでしょう。
何度か登場したポンセ作曲の”偽ヴァイス曲”
次の「プレリュード」と「アルマンド」はポンセ作曲の「組曲イ短調」からですが、もちろんこのLPにはS.L.ヴァイス(このLPでの表記では『ウエイス』)作となっており、曲順からしても完全にバロック時代の作品として扱っています。国内盤LPの解説(小倉俊氏)にも、当然のごとくバロック時代のリュート奏者として、S.L.ヴァイスの紹介がなされています。
本物だろうと、偽者だろうと、セゴヴィアにとっては些細なこと?
このLPの発売時には(1950年代)、この曲がヴァイスの作品であることを疑った人は少なかったと思われます。第一、リュートや、S.L.ヴァイスについて知る人も多くはなかったのでしょう。
しかし1969年に出版された音楽之友社の「ギター基礎講座」には、「これらの作品がヴァイスの真作であることは疑わしく、マヌエル・ポンセの作である可能性が強い」といったことが書かれていていました。
大雑把に言って、これらの”偽ヴァイス”の作品は、1960年代まではほとんどの人がヴァイスの作品として疑わなかった時代(一部の有識者を除いて)。1970年代は偽作の疑いがあると言われた時代。1980年代以降は明らかにポンセの作品として認識された時代ということになるでしょう。もちろん今現在これらの曲を”ヴァイス作曲”として演奏する人はいないでしょう。
しかしそんな薀蓄は抜きにして、セゴヴィアのこれらの曲の演奏を聴いてみると、ともにたいへん魅力的な曲。あるいは演奏であるのは確か。セゴヴィアにとっては本物だろうと、偽者だろうとあまり関係はないのでしょう。というより、本物のヴァイスの作品より、ずっとこれらの曲のほうがセゴヴィアに合っているのでは。もともとポンセがセゴヴィアのために作曲した曲ですから、ある意味当然かも知れません。
これも何度か登場した「奇跡」のメヌエット
次のハイドンの「メヌエット」については何度か話に出てきましたが、1944年にも録音していて、リサイタルでもよく演奏しています。セゴヴィアの愛奏曲といってもよいでしょう。この曲はハイドンの交響曲第96番「奇跡」の第3楽章で、一つの楽章とはいえ、れっきとした交響曲を1台のギターで弾いています。
しかしセゴヴィアの演奏では特に力むこともなく、とても自然で、ギターのオリジナル曲のように聴こえます。セゴヴィアの手にかかるとこうした曲もギターの魅力満載の曲となってしまうようです。私個人的にも最もセゴヴィアの演奏の魅力を感じる曲です(前にも言ったかな?)。「スペイン・セレナード」に次ぐ”目玉”といってようでしょう。
最後(A面の)はポンセとトロバ
次のグリーグの「メロディ」はピアノ曲集「叙情的小品集」からということで、8分の6拍子のリズムに乗ってメロディが歌われます。次はポンセの「3つのメキシコ民謡」の第3曲目ですが、華やかに、活き活きと演奏されています。
A面最後の曲(オリジナルLPの)はモレーノ・トロバの「滑稽なセレナード」となっています。トロバの曲の中ではあまり演奏されない曲ですが、曲名どおりなかなか面白い曲で、若い頃練習してみたのですが、残念ながら力が及びませんでした。いずれはまた試みたいとは思うのですが・・・・
バッハの次男の曲だが
B面の方もバロック時代作品から近代の作品まで時代順に並んでいて、1曲目は大バッハの次男、C.F.エマヌエル・バッハの「シシリアーナ」です。原曲についての知識はありませんが、少なくともあまり有名な曲ではないのでしょう。曲名からして付点音符を含む8分の6拍子の曲で、セゴヴィアは特に遅くもなく、速くもないといった中庸なテンポで弾いています。
楽譜はショット社のほうから出ていますが、古くから国内版(セゴヴィア編と明記されていないが)としても出ていました。独特の雰囲気を持った曲で、最近ではあまり演奏されませんが、セゴヴィア・ファンの間では人気のあった曲だと思います。
よくこんな曲を
次はフランスの作曲家、セザール・フランクのオルガンのための小品からですが、この曲もあまり知られている曲ではなさそうです(私が知らないだけ?)。2曲目のほうは同じ素材の曲を2曲組み合わせて演奏しているようです。それにしてもセゴヴィアは、よくこんな曲に目が行くものだなと恐れ入ってしまいます。常にいろいろな音楽にアンテナを張って、ギター、あるいは自分に合う曲を探していたのでしょう。
このLPの中では最も充実した曲
次のポンセの「主題と変奏、終曲」は、小品集となっているこのLPの中では、最も充実した作品といえるでしょう。20数分はかかる「スペインのフォリアによる変奏曲」に規模の点では一歩譲るものの、なかなか優れた作品で、ポンセの中では比較的演奏される曲といってよいでしょう。セゴヴィアはこの曲をこのLPの中核の曲と考えたのかも知れません。
ポンセのギター曲はセゴヴィアへのオーダー・メイド
こうしてみるとこのLPの中にはポンセ作と明記されているものと、そうでないものをあわせて4曲のポンセの作品が収録されています。また他のLPにもポンセの作品はかなり録音されており、おそらくセゴヴィアのために書かれたほとんどの作品を、セゴヴィアは録音しているのではないかと思います。
ポンセの作品は実質上セゴヴィアへの”オーダー・メイド”ですから、ある意味当然かも知れませんが、他の作曲家の場合、結局演奏されないままになってしまったセゴヴィアへの献呈作品はかなりあります。
特にヴィラ・ロボスの場合、ほとんどの曲がセゴヴィアに献呈されているにもかかわらず、結局セゴヴィアが録音したのは、前奏曲(第1,3番)と練習曲(第1、7,8番)あわせても5曲しかありません。またリサイタルなどでもこの5曲以外は演奏していません。セゴヴィアはヴィラ・ロボスには、あまり相性の良さを感じなかったのかも知れません。
軽快な曲2曲
次にアギーレとペドレルの短い作品を2曲演奏しています。「カンション」のほうはアルゼンチンの作曲家フリアン・デ・アギーレの曲を、アルゼンチンのギタリスト、ホルヘ・ゴメス・クレスポがギターに編曲したもの。
カルロス・ペドレルはスペインの民族楽派の祖と言われている人で、アルベニスやグラナドスに影響を与えた人と言われています。どちらも軽快で、小気味よい曲です。
最後はマラッツの「スペイン・セレナード」
最後はギター曲としてたいへん人気の高いホアキン・マラッツの「スペイン・セレナード」を収めています。マラッツはアルベニスやグラナドスなどと同世代のスペインの作曲家兼ピアニストで、タレガとも親交があったと言われています。
そのタレガが、元々ピアノ曲であったこの「スペイン・セレナード」をギターのために編曲しています。セゴヴィアの演奏も、そのタレガ編を基にしていますが、原曲を参考にかなり変更しています(タレガ編よりも原曲に近い)。「セレナード」とはなっていますが、舞曲的な要素も強い曲です。
SP時代(1930年)にも録音していますが、もちろんこの録音(1954年)のほうが音質、内容とも優れていると思います。この録音は、その後「セゴヴィア・ベスト・アルバム」といったLPやCDに組み入れられ、何度も再発されており、そうしたもので聴いた人、あるいは聴いている人は多いのではないかと思います。
昨日、よく確かめもせず「決勝で再度スペインと当たれば・・・・」などと書いてしまったら、なんとスペインはホンジョラスに負けてグループ・リーグ敗退だそうですね。たとえ日本に負けたとは言え、あと2試合は軽く勝つはずと思っていたのに・・・・・
強さともろさの両面を持っているのが、歴史的に見てもスペインの特徴かも知れませんが、ぜひ王者の誇りを持って第3戦に臨んで欲しいですね、例え敗退が決まっているとしても。 ・・・・本当に上から目線になってしまった。
日本の第3戦も消化試合などとは言ってはいられませんね、グループ2位になるとトーナメント第一戦がブラジルと当たる可能性が高い。なんとしてもグループ1位は確保しなければならないでしょう。 ・・・・さて、話をセゴヴィアのCDの紹介に戻しましょう。
アンドレス・セゴヴィア・プレイズ 1954年録音
L.クープラン : パッサカリア
S.L.ヴァイス : プレリュード、 アルマンド (実際はポンセの作曲)
J.ハイドン : メヌエット
E.グリーグ : メロディ
M.ポンセ : メキシコ民謡
F.モレーノ・トロバ : こっけいなセレナード
C.P.E.バッハ : シシリアーナ
C.フランク : プレリュード、 アレグレット
M.ポンセ : 主題と変奏、終曲
S.デ・アギーレ : カンション
C.ペドレル : ギターレオ
J.マラッツ : スペイン・セレナード

前作と同時期の録音、小品集だがセゴヴィアの魅力が凝縮したLP
このLP「アンドレス・セゴヴィア・プレイズ」は前回の「アンドレス・セゴヴィアの夕べ」と同じ時期に録音されたLPです。オリジナルのLPでは、A面、B面ともバロック時代の作品で始まり、近代の作品で終わるようになっています(C.P.E.バッハの「シシリアーナ」からがB面)。
このLPに収録された曲は、マラッツの「スペイン・セレナード」などを除けば、有名な曲や、人気の高い曲は少なく、編曲、オリジナル作品とも一般にはあまり演奏されない曲が多くなっています。しかしこうした曲にこそセゴヴィアの魅力は発揮されるように思います。私個人的にもたいへん好きなLPで、過去にも最もよく聴いたLPと言えます。
これらの曲はこの順で聴かないと
前にも言いましたが、このような演奏は、やはりオリジナルの曲順で聴きたいものです。80年代の国内盤CDでは作品ごとに別々のCDに組み入れられていましたが、このユニバーサル盤のCDように、オリジナルの曲順で聴けるのはとても嬉しいことです。
クープランのクラブサン曲? どの曲も演奏スタイルは変らない
最初の曲は、バロック時代のフランスの作曲家、ルイ・クープランの曲です。この「パサカリア」の原曲は、おそらくクラブサン曲だとは思いますが、詳しくはわかりません。セゴヴィアの編曲譜はショット社から出されています。因みにルイ・クープランの父、フランソワ・クープランも有名な音楽家です。
時代順に作品が並んでいるといっても、セゴヴィアの演奏スタイルはどの曲の特に変りません。どの曲も要するに、”セゴヴィア的”な演奏といえるでしょう。
何度か登場したポンセ作曲の”偽ヴァイス曲”
次の「プレリュード」と「アルマンド」はポンセ作曲の「組曲イ短調」からですが、もちろんこのLPにはS.L.ヴァイス(このLPでの表記では『ウエイス』)作となっており、曲順からしても完全にバロック時代の作品として扱っています。国内盤LPの解説(小倉俊氏)にも、当然のごとくバロック時代のリュート奏者として、S.L.ヴァイスの紹介がなされています。
本物だろうと、偽者だろうと、セゴヴィアにとっては些細なこと?
このLPの発売時には(1950年代)、この曲がヴァイスの作品であることを疑った人は少なかったと思われます。第一、リュートや、S.L.ヴァイスについて知る人も多くはなかったのでしょう。
しかし1969年に出版された音楽之友社の「ギター基礎講座」には、「これらの作品がヴァイスの真作であることは疑わしく、マヌエル・ポンセの作である可能性が強い」といったことが書かれていていました。
大雑把に言って、これらの”偽ヴァイス”の作品は、1960年代まではほとんどの人がヴァイスの作品として疑わなかった時代(一部の有識者を除いて)。1970年代は偽作の疑いがあると言われた時代。1980年代以降は明らかにポンセの作品として認識された時代ということになるでしょう。もちろん今現在これらの曲を”ヴァイス作曲”として演奏する人はいないでしょう。
しかしそんな薀蓄は抜きにして、セゴヴィアのこれらの曲の演奏を聴いてみると、ともにたいへん魅力的な曲。あるいは演奏であるのは確か。セゴヴィアにとっては本物だろうと、偽者だろうとあまり関係はないのでしょう。というより、本物のヴァイスの作品より、ずっとこれらの曲のほうがセゴヴィアに合っているのでは。もともとポンセがセゴヴィアのために作曲した曲ですから、ある意味当然かも知れません。
これも何度か登場した「奇跡」のメヌエット
次のハイドンの「メヌエット」については何度か話に出てきましたが、1944年にも録音していて、リサイタルでもよく演奏しています。セゴヴィアの愛奏曲といってもよいでしょう。この曲はハイドンの交響曲第96番「奇跡」の第3楽章で、一つの楽章とはいえ、れっきとした交響曲を1台のギターで弾いています。
しかしセゴヴィアの演奏では特に力むこともなく、とても自然で、ギターのオリジナル曲のように聴こえます。セゴヴィアの手にかかるとこうした曲もギターの魅力満載の曲となってしまうようです。私個人的にも最もセゴヴィアの演奏の魅力を感じる曲です(前にも言ったかな?)。「スペイン・セレナード」に次ぐ”目玉”といってようでしょう。
最後(A面の)はポンセとトロバ
次のグリーグの「メロディ」はピアノ曲集「叙情的小品集」からということで、8分の6拍子のリズムに乗ってメロディが歌われます。次はポンセの「3つのメキシコ民謡」の第3曲目ですが、華やかに、活き活きと演奏されています。
A面最後の曲(オリジナルLPの)はモレーノ・トロバの「滑稽なセレナード」となっています。トロバの曲の中ではあまり演奏されない曲ですが、曲名どおりなかなか面白い曲で、若い頃練習してみたのですが、残念ながら力が及びませんでした。いずれはまた試みたいとは思うのですが・・・・
バッハの次男の曲だが
B面の方もバロック時代作品から近代の作品まで時代順に並んでいて、1曲目は大バッハの次男、C.F.エマヌエル・バッハの「シシリアーナ」です。原曲についての知識はありませんが、少なくともあまり有名な曲ではないのでしょう。曲名からして付点音符を含む8分の6拍子の曲で、セゴヴィアは特に遅くもなく、速くもないといった中庸なテンポで弾いています。
楽譜はショット社のほうから出ていますが、古くから国内版(セゴヴィア編と明記されていないが)としても出ていました。独特の雰囲気を持った曲で、最近ではあまり演奏されませんが、セゴヴィア・ファンの間では人気のあった曲だと思います。
よくこんな曲を
次はフランスの作曲家、セザール・フランクのオルガンのための小品からですが、この曲もあまり知られている曲ではなさそうです(私が知らないだけ?)。2曲目のほうは同じ素材の曲を2曲組み合わせて演奏しているようです。それにしてもセゴヴィアは、よくこんな曲に目が行くものだなと恐れ入ってしまいます。常にいろいろな音楽にアンテナを張って、ギター、あるいは自分に合う曲を探していたのでしょう。
このLPの中では最も充実した曲
次のポンセの「主題と変奏、終曲」は、小品集となっているこのLPの中では、最も充実した作品といえるでしょう。20数分はかかる「スペインのフォリアによる変奏曲」に規模の点では一歩譲るものの、なかなか優れた作品で、ポンセの中では比較的演奏される曲といってよいでしょう。セゴヴィアはこの曲をこのLPの中核の曲と考えたのかも知れません。
ポンセのギター曲はセゴヴィアへのオーダー・メイド
こうしてみるとこのLPの中にはポンセ作と明記されているものと、そうでないものをあわせて4曲のポンセの作品が収録されています。また他のLPにもポンセの作品はかなり録音されており、おそらくセゴヴィアのために書かれたほとんどの作品を、セゴヴィアは録音しているのではないかと思います。
ポンセの作品は実質上セゴヴィアへの”オーダー・メイド”ですから、ある意味当然かも知れませんが、他の作曲家の場合、結局演奏されないままになってしまったセゴヴィアへの献呈作品はかなりあります。
特にヴィラ・ロボスの場合、ほとんどの曲がセゴヴィアに献呈されているにもかかわらず、結局セゴヴィアが録音したのは、前奏曲(第1,3番)と練習曲(第1、7,8番)あわせても5曲しかありません。またリサイタルなどでもこの5曲以外は演奏していません。セゴヴィアはヴィラ・ロボスには、あまり相性の良さを感じなかったのかも知れません。
軽快な曲2曲
次にアギーレとペドレルの短い作品を2曲演奏しています。「カンション」のほうはアルゼンチンの作曲家フリアン・デ・アギーレの曲を、アルゼンチンのギタリスト、ホルヘ・ゴメス・クレスポがギターに編曲したもの。
カルロス・ペドレルはスペインの民族楽派の祖と言われている人で、アルベニスやグラナドスに影響を与えた人と言われています。どちらも軽快で、小気味よい曲です。
最後はマラッツの「スペイン・セレナード」
最後はギター曲としてたいへん人気の高いホアキン・マラッツの「スペイン・セレナード」を収めています。マラッツはアルベニスやグラナドスなどと同世代のスペインの作曲家兼ピアニストで、タレガとも親交があったと言われています。
そのタレガが、元々ピアノ曲であったこの「スペイン・セレナード」をギターのために編曲しています。セゴヴィアの演奏も、そのタレガ編を基にしていますが、原曲を参考にかなり変更しています(タレガ編よりも原曲に近い)。「セレナード」とはなっていますが、舞曲的な要素も強い曲です。
SP時代(1930年)にも録音していますが、もちろんこの録音(1954年)のほうが音質、内容とも優れていると思います。この録音は、その後「セゴヴィア・ベスト・アルバム」といったLPやCDに組み入れられ、何度も再発されており、そうしたもので聴いた人、あるいは聴いている人は多いのではないかと思います。
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