アンドレス・セゴヴィア グラナダ 1963年録音
アグアード : 8つの練習曲
ソル : 4つの練習曲(セゴヴィア番号10、15、19、6、)
ポンセ : わが心、君ゆえに(3つのメキシコ民謡第2曲)、カンポ(南のソナチネ第1楽章)
アルベニス : グラナダ
タンスマン : マズルカ
グラナドス :スペイン舞曲第5番

セゴヴィアのLPの紹介の続き ~1963年の録音、セゴヴィア70歳
このセゴヴィアのLPの紹介もコンサートなどでだいぶ中断しましたが、残りも10枚程度になってきました。ここまできたので何とか最後の一枚まで続けてゆきましょう。
セゴヴィアのLPは1957年よりステレオ録音となり、また1960年からは使用楽器もホセ・ラミレスに変りました。この1963年にはセゴヴィアは70歳となります。
セゴヴィアの演奏は60年代に入ると、だいぶ落ち着いた感じになってきました。依然として小品集的なLPも発表していますが、一人の作曲家などに絞ったLPや大曲を収めたものも次第に多くなってきます。この60年代には、セゴヴィアは現在ギター界でも重要なものとされる作品を次々と発表してゆきます。
練習曲とメロディックな曲の組み合わせ
この「グラナダ」と題されたLPはA面はアグアードとソルの練習曲、B面は近代以降のメロディックな作品と言う形となっています。ソルの練習曲はこれまでにもかなり録音してきましたが、アグアードの練習曲は初めてです。
セゴヴィアは1954年ころから自らが編集した「ソル20の練習曲」の曲を少しずつ録音してきましたが、このLPがその最後のようです。最終的にセゴヴィアは20曲全部録音したのでしょうか、かつてセゴヴィア自身の演奏による「ソル:20の練習曲」全曲を収めたLPを聴いたことがあるのですが(先輩などから借りて)、復刻CDのほうでは全曲揃っていません。ジョン・ウィリアムスが20歳前後で全曲録音していて、そのLPは持っています(CD化はされていない?)
練習曲といえば、セゴヴィアは1970年頃に自らの語りを納めた2枚のLPにもアグアード、ジュリアーニ、コストなどの練習曲を録音しています。
リョベットの影もそろそろ
このLPの後半、つまりB面には上記のリストのポンセ以降の曲が収められていますが、前半の練習曲集に対して、こちらはメロデッィクで聴きやすい曲が収録されています。
ポンセの「3つのメキシコ民謡」の第2曲「わが心、君ゆえに」はリョベットも録音していますが、リョベットよりずっとテンポもゆっくりで落ち着いた感じで、じっくりと歌わせています。さすがにセゴヴィアの演奏の中からリョベットの影は次第に薄くなりつつあるようです。因みに第3曲は1954年に録音されていますが、第1曲は録音されていません(多分)。
「南のソナチネ」から第1楽章のみを録音しています。セゴヴィアはポンセのソナタを全曲通して録音する場合と、このように一部の曲を録音する場合があります。
グラナダは3度目の録音
アルベニスの「グラナダ」はタイトルにもなっている曲ですが、セゴヴィア3度目の録音となり、また最後の録音ともなっています。テンポは1944年の録音に比べると1分以上も遅くなって、だいぶ落ち着いた感じになっています。もちろん録音状態もかなり良くなっていて、たいへん聴きやすいのは確かです。
タンスマンのマズルカ
タンスマンの「マズルカ」は、常に8分音符、または4分音符の持続低音が流れていて、軽快でユーモラスな感じの曲です。タンスマンの作風は決して前衛的な作品ではなく、古典やロマン派の音楽の延長とも言えますが、臨時記号などは多く、派手ではありませんがシンプルな曲ではありません。弾きこなすにはかなり技術が必要でしょう。
ちゃんと付点音符を弾いている?
この時期のセゴヴィアは、こうした新しい曲を演奏する時には、不要なテンポや強弱のデフォルメはあまり行なわず、楽譜、あるいは作曲者の意図になるべく忠実に演奏する姿勢が感じとれます。確かにこの演奏も、曲の内容がよく伝わるものになっています。
この曲では付点音符も正確な長さで演奏されています。これまでセゴヴィアは曲によって、付点音符を全く付点音符として弾いて否こともよくあります。この曲では、むしろ所によっては付点音符でないとこも付点音符で弾いています(正確な付点音符で)。
1965年にも録音している
セゴヴィアは1965年には9曲からなる「ポーランド組曲」を録音していますが、その際にこの「マズルカ」を中に挟みこんでいます。もちろん別テイクで、65年の録音ではリピートを省略しています。両者を比べると、65年の時のほうがよりセゴヴィアらしく、メリハリの利いた演奏と言えます。決して崩し気味に弾いているわけではありませんが65年のほうが”彫”は深くなっています。
スペイン舞曲第5番は4回目の録音
グラナドスの「スペイン舞曲第5番」は4度目の録音で、まさにセゴヴィアの愛奏曲といえるでしょう。グラナダ同様テンポは以前の録音と比べるとずっと遅くなり、1944年には3分台だったのが5:08で演奏しています。その代わりに音色の変化など、細かいニュアンスに意識がいっているようです。またそうしたものがよく聴き取れる録音となっています。
アグアード : 8つの練習曲
ソル : 4つの練習曲(セゴヴィア番号10、15、19、6、)
ポンセ : わが心、君ゆえに(3つのメキシコ民謡第2曲)、カンポ(南のソナチネ第1楽章)
アルベニス : グラナダ
タンスマン : マズルカ
グラナドス :スペイン舞曲第5番

セゴヴィアのLPの紹介の続き ~1963年の録音、セゴヴィア70歳
このセゴヴィアのLPの紹介もコンサートなどでだいぶ中断しましたが、残りも10枚程度になってきました。ここまできたので何とか最後の一枚まで続けてゆきましょう。
セゴヴィアのLPは1957年よりステレオ録音となり、また1960年からは使用楽器もホセ・ラミレスに変りました。この1963年にはセゴヴィアは70歳となります。
セゴヴィアの演奏は60年代に入ると、だいぶ落ち着いた感じになってきました。依然として小品集的なLPも発表していますが、一人の作曲家などに絞ったLPや大曲を収めたものも次第に多くなってきます。この60年代には、セゴヴィアは現在ギター界でも重要なものとされる作品を次々と発表してゆきます。
練習曲とメロディックな曲の組み合わせ
この「グラナダ」と題されたLPはA面はアグアードとソルの練習曲、B面は近代以降のメロディックな作品と言う形となっています。ソルの練習曲はこれまでにもかなり録音してきましたが、アグアードの練習曲は初めてです。
セゴヴィアは1954年ころから自らが編集した「ソル20の練習曲」の曲を少しずつ録音してきましたが、このLPがその最後のようです。最終的にセゴヴィアは20曲全部録音したのでしょうか、かつてセゴヴィア自身の演奏による「ソル:20の練習曲」全曲を収めたLPを聴いたことがあるのですが(先輩などから借りて)、復刻CDのほうでは全曲揃っていません。ジョン・ウィリアムスが20歳前後で全曲録音していて、そのLPは持っています(CD化はされていない?)
練習曲といえば、セゴヴィアは1970年頃に自らの語りを納めた2枚のLPにもアグアード、ジュリアーニ、コストなどの練習曲を録音しています。
リョベットの影もそろそろ
このLPの後半、つまりB面には上記のリストのポンセ以降の曲が収められていますが、前半の練習曲集に対して、こちらはメロデッィクで聴きやすい曲が収録されています。
ポンセの「3つのメキシコ民謡」の第2曲「わが心、君ゆえに」はリョベットも録音していますが、リョベットよりずっとテンポもゆっくりで落ち着いた感じで、じっくりと歌わせています。さすがにセゴヴィアの演奏の中からリョベットの影は次第に薄くなりつつあるようです。因みに第3曲は1954年に録音されていますが、第1曲は録音されていません(多分)。
「南のソナチネ」から第1楽章のみを録音しています。セゴヴィアはポンセのソナタを全曲通して録音する場合と、このように一部の曲を録音する場合があります。
グラナダは3度目の録音
アルベニスの「グラナダ」はタイトルにもなっている曲ですが、セゴヴィア3度目の録音となり、また最後の録音ともなっています。テンポは1944年の録音に比べると1分以上も遅くなって、だいぶ落ち着いた感じになっています。もちろん録音状態もかなり良くなっていて、たいへん聴きやすいのは確かです。
タンスマンのマズルカ
タンスマンの「マズルカ」は、常に8分音符、または4分音符の持続低音が流れていて、軽快でユーモラスな感じの曲です。タンスマンの作風は決して前衛的な作品ではなく、古典やロマン派の音楽の延長とも言えますが、臨時記号などは多く、派手ではありませんがシンプルな曲ではありません。弾きこなすにはかなり技術が必要でしょう。
ちゃんと付点音符を弾いている?
この時期のセゴヴィアは、こうした新しい曲を演奏する時には、不要なテンポや強弱のデフォルメはあまり行なわず、楽譜、あるいは作曲者の意図になるべく忠実に演奏する姿勢が感じとれます。確かにこの演奏も、曲の内容がよく伝わるものになっています。
この曲では付点音符も正確な長さで演奏されています。これまでセゴヴィアは曲によって、付点音符を全く付点音符として弾いて否こともよくあります。この曲では、むしろ所によっては付点音符でないとこも付点音符で弾いています(正確な付点音符で)。
1965年にも録音している
セゴヴィアは1965年には9曲からなる「ポーランド組曲」を録音していますが、その際にこの「マズルカ」を中に挟みこんでいます。もちろん別テイクで、65年の録音ではリピートを省略しています。両者を比べると、65年の時のほうがよりセゴヴィアらしく、メリハリの利いた演奏と言えます。決して崩し気味に弾いているわけではありませんが65年のほうが”彫”は深くなっています。
スペイン舞曲第5番は4回目の録音
グラナドスの「スペイン舞曲第5番」は4度目の録音で、まさにセゴヴィアの愛奏曲といえるでしょう。グラナダ同様テンポは以前の録音と比べるとずっと遅くなり、1944年には3分台だったのが5:08で演奏しています。その代わりに音色の変化など、細かいニュアンスに意識がいっているようです。またそうしたものがよく聴き取れる録音となっています。
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