アンドレス・セゴヴィア メヒカーナ 1967年録音
ポンセ : ソナタ・メヒカーナ
ロマンサ : パガニーニ ~ポンセ編
トゥリーナ : セヴィリャーナ
ソル : メヌエット ホ長調作品32、 メヌエット ト長調、 メヌエット ホ長調作品11-10
ポンセ : ソナタ・クラシカ

ポンセのソナタ2曲を録音
セゴヴィアは1967年に録音したもう一つのLPは、マヌエル・ポンセの二つのソナタ、ソナタ・メヒカーナとソナタ・クラシカを中心としたものです。これでセゴヴィアはポンセの主要なソナタ全曲、およびその主要な作品はほとんど録音したことになります。
セゴヴィアに初演が託された多くの作曲家の作品では、結局セゴヴィアの手によっては録音されなかった曲の多数ある中で(例えばヴィラ・ロボスの作品など)、ポンセの作品がこれだけ録音されたということは、ポンセの作品というのは、セゴヴィアの中では別格扱いだったのでしょう。
ポンセの4つのソナタをすべて録音
ポンセの5つのソナタ(「南のソナチネ」を含む)は1920年代に作曲されたということなので、作曲から40年ほどしてこれらのソナタが全曲録音となったわけです。なお「ソナタ・メヒカーナ」の第4楽章が1958年に、「ソナタ・クラシカ」の第4楽章が1949年に録音されています。
いろいろな作風で作曲しているが
バロック風とかシューベルト風(ソナタ・ロマンティカ)ソル風(ソナタ・クラシカ)とか様々な様式で作曲しているポンセですが、この「メキシコ風ソナタ(ソナタ・メヒカーナ)」というのは、いわば自分流のソナタということになるのでしょう。確かに、たまには自分流の作品を書かないと自分の作風を忘れてしまうかも知れませんね(そんなことあるはずないか)。
このソナタは4つの楽章からなっていますが、それぞれに次のような副題がついています。
第1楽章 アレグロ・モデラート 「ショールのかわいい舞曲」
第2楽章 アンダンティーノ・アフェットゥオーゾ 「アウエウエテの夢」
第3楽章 イテルメッツォ・アレグレット・イン・テンポ・ディ・セレナータ 「タップダンスの間奏曲」
第4楽章 アレグレット・ウン・ポコ・ヴィヴァーチェ 「アステカのリズムと歌」
意外と録音は少ない
セゴヴィアの演奏は軽快なリズムの部分と歌わせる部分とを巧みに弾き分けています。このソナタは「ソナタ第3番」や「南のソナチネ」などに比べると他のギタリストによって演奏されることは少なく、CDもあまり出ていなくて、私もこの演奏以外の録音を持っていません。
「ソナタ・ロマンティカ」などは最近演奏されることが多くなってきましたが、最も「ポンセらしいソナタ」と言えるこの曲も、今後は演奏される機会も多くなってゆくのではと思います。
ポンセ編曲、パガニーニの「ロマンサ」
パガニーニの「ロマンサ」は1952年に録音された「アンダンテ・ヴァリアート」と同じくパガニーニの大ソナタからポンセが編曲したもので、パガニーニの作品として聴くより、ポンセの作品として聴いた方がよいといった曲です。
もともとシンプルな曲に副旋律などを追加した形ですが、「アンダンテ・ヴァリアート」よりは原曲との距離は近い感じがします。なかなか面白いといえば面白いのですが、私個人的にはパガニーニの音楽はパガニーニとして、ポンセはポンセとして聴いた方が好きかなと思います。
血が騒ぐ
トゥリーナの「セヴィリャーナ」はトゥリーナの曲の中でもフラメンコ色が強く、ラスゲヤードが多用される曲です。こうした曲になると、セゴヴィアは幼少期に親しんでいたフラメンコの血が騒ぐといったところでしょうか、文字通り”水を得た魚”といった感じです。一方で歌わせるところはいつものようにたっぷりと歌わせています。
「メヌエット ホ長調作品32」は「アンダンティーノ」
ソルの3つのメヌエットを収録していますが、「ホ長調作品32」は「6つの小品集」からのもので、普通「アンダンティーノ ホ長調」として親しまれています。ソルの譜面には「メヌエット」とは全く書かれていませんが、他の2曲がメヌエットなので、この曲もメヌエットとセゴヴィアはしたのでしょうね。確かに3拍子の曲ではありますが。なおこの小品集には有名な「ワルツホ長調」や「ギャロップ」などが含まれています。
通常の弾き方で
「メヌエット ト長調」は「主題と変奏とメヌエット作品3」からで、「メヌエット ホ長調作品11-10」は「12のメヌエット作品11」からです。「作品11-10」は左手だけによる奏法や例の「エトーフェ」も出てきますが、セゴヴィアはどちらも通常の弾き方で弾いています。
ソル風の作品だが
「ソナタ・クラシカ」は「フェルナンド・ソルを讃えて」と副題されており、第4楽章にはソルの「ソナタ ハ長調作品25」の一部分が使用されています。また第1楽章には低音弦の連打が多用されていますが、これも「グラン・ソロ」などのソルの作品からの借用と考えられます。
確かにソル風に作られた曲と言えますが、ソルはあまり書かなかったイ短調という調性ということもあって、聴いた感じではそれほどソル風には聴こえません。ある意味ヴァイス作曲とした「組曲イ短調」的な雰囲気があります。
親しみやすいはずだが
このソナタはポンセのソナタの中では比較的親しみやすい感じがすると思うのですが、「ソナタ・メヒカーナ」以上にあまり演奏されないようです。ポンセの「純正品」的ではない感じがするからでしょうか。

初出のLPジャケット しっかりと最新録音とオビに書いてある。確かに他のLPに比べて音質がよかった。
ちなみに、私が持っているセゴヴィアのLPは、ほとんどが再発物なのですが、このLPだけは”初出”のものです。しっかりとオビに「セゴヴィア最新録音」とかいてあります。私がこのLPを買ったのは1971年頃で、中古レコード店でたまたま見かけてということですが、今では貴重な”初出物”と言うことになりました。
ポンセ : ソナタ・メヒカーナ
ロマンサ : パガニーニ ~ポンセ編
トゥリーナ : セヴィリャーナ
ソル : メヌエット ホ長調作品32、 メヌエット ト長調、 メヌエット ホ長調作品11-10
ポンセ : ソナタ・クラシカ

ポンセのソナタ2曲を録音
セゴヴィアは1967年に録音したもう一つのLPは、マヌエル・ポンセの二つのソナタ、ソナタ・メヒカーナとソナタ・クラシカを中心としたものです。これでセゴヴィアはポンセの主要なソナタ全曲、およびその主要な作品はほとんど録音したことになります。
セゴヴィアに初演が託された多くの作曲家の作品では、結局セゴヴィアの手によっては録音されなかった曲の多数ある中で(例えばヴィラ・ロボスの作品など)、ポンセの作品がこれだけ録音されたということは、ポンセの作品というのは、セゴヴィアの中では別格扱いだったのでしょう。
ポンセの4つのソナタをすべて録音
ポンセの5つのソナタ(「南のソナチネ」を含む)は1920年代に作曲されたということなので、作曲から40年ほどしてこれらのソナタが全曲録音となったわけです。なお「ソナタ・メヒカーナ」の第4楽章が1958年に、「ソナタ・クラシカ」の第4楽章が1949年に録音されています。
いろいろな作風で作曲しているが
バロック風とかシューベルト風(ソナタ・ロマンティカ)ソル風(ソナタ・クラシカ)とか様々な様式で作曲しているポンセですが、この「メキシコ風ソナタ(ソナタ・メヒカーナ)」というのは、いわば自分流のソナタということになるのでしょう。確かに、たまには自分流の作品を書かないと自分の作風を忘れてしまうかも知れませんね(そんなことあるはずないか)。
このソナタは4つの楽章からなっていますが、それぞれに次のような副題がついています。
第1楽章 アレグロ・モデラート 「ショールのかわいい舞曲」
第2楽章 アンダンティーノ・アフェットゥオーゾ 「アウエウエテの夢」
第3楽章 イテルメッツォ・アレグレット・イン・テンポ・ディ・セレナータ 「タップダンスの間奏曲」
第4楽章 アレグレット・ウン・ポコ・ヴィヴァーチェ 「アステカのリズムと歌」
意外と録音は少ない
セゴヴィアの演奏は軽快なリズムの部分と歌わせる部分とを巧みに弾き分けています。このソナタは「ソナタ第3番」や「南のソナチネ」などに比べると他のギタリストによって演奏されることは少なく、CDもあまり出ていなくて、私もこの演奏以外の録音を持っていません。
「ソナタ・ロマンティカ」などは最近演奏されることが多くなってきましたが、最も「ポンセらしいソナタ」と言えるこの曲も、今後は演奏される機会も多くなってゆくのではと思います。
ポンセ編曲、パガニーニの「ロマンサ」
パガニーニの「ロマンサ」は1952年に録音された「アンダンテ・ヴァリアート」と同じくパガニーニの大ソナタからポンセが編曲したもので、パガニーニの作品として聴くより、ポンセの作品として聴いた方がよいといった曲です。
もともとシンプルな曲に副旋律などを追加した形ですが、「アンダンテ・ヴァリアート」よりは原曲との距離は近い感じがします。なかなか面白いといえば面白いのですが、私個人的にはパガニーニの音楽はパガニーニとして、ポンセはポンセとして聴いた方が好きかなと思います。
血が騒ぐ
トゥリーナの「セヴィリャーナ」はトゥリーナの曲の中でもフラメンコ色が強く、ラスゲヤードが多用される曲です。こうした曲になると、セゴヴィアは幼少期に親しんでいたフラメンコの血が騒ぐといったところでしょうか、文字通り”水を得た魚”といった感じです。一方で歌わせるところはいつものようにたっぷりと歌わせています。
「メヌエット ホ長調作品32」は「アンダンティーノ」
ソルの3つのメヌエットを収録していますが、「ホ長調作品32」は「6つの小品集」からのもので、普通「アンダンティーノ ホ長調」として親しまれています。ソルの譜面には「メヌエット」とは全く書かれていませんが、他の2曲がメヌエットなので、この曲もメヌエットとセゴヴィアはしたのでしょうね。確かに3拍子の曲ではありますが。なおこの小品集には有名な「ワルツホ長調」や「ギャロップ」などが含まれています。
通常の弾き方で
「メヌエット ト長調」は「主題と変奏とメヌエット作品3」からで、「メヌエット ホ長調作品11-10」は「12のメヌエット作品11」からです。「作品11-10」は左手だけによる奏法や例の「エトーフェ」も出てきますが、セゴヴィアはどちらも通常の弾き方で弾いています。
ソル風の作品だが
「ソナタ・クラシカ」は「フェルナンド・ソルを讃えて」と副題されており、第4楽章にはソルの「ソナタ ハ長調作品25」の一部分が使用されています。また第1楽章には低音弦の連打が多用されていますが、これも「グラン・ソロ」などのソルの作品からの借用と考えられます。
確かにソル風に作られた曲と言えますが、ソルはあまり書かなかったイ短調という調性ということもあって、聴いた感じではそれほどソル風には聴こえません。ある意味ヴァイス作曲とした「組曲イ短調」的な雰囲気があります。
親しみやすいはずだが
このソナタはポンセのソナタの中では比較的親しみやすい感じがすると思うのですが、「ソナタ・メヒカーナ」以上にあまり演奏されないようです。ポンセの「純正品」的ではない感じがするからでしょうか。

初出のLPジャケット しっかりと最新録音とオビに書いてある。確かに他のLPに比べて音質がよかった。
ちなみに、私が持っているセゴヴィアのLPは、ほとんどが再発物なのですが、このLPだけは”初出”のものです。しっかりとオビに「セゴヴィア最新録音」とかいてあります。私がこのLPを買ったのは1971年頃で、中古レコード店でたまたま見かけてということですが、今では貴重な”初出物”と言うことになりました。
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