Q : ヴィラ=ロボスの練習曲第1番を練習しようと思っているのですが、最後のところのハーモニックスの弾き方がイマイチわかりません。楽譜どおりの音で弾くと、何だか変に聴こえます。CDではもっとすっきり聴こえているように思います。音符の下に書いてある「C]、「B」などのアルファベットも意味不明です。どう弾くのでしょうか。
30代 男性
A : その2
マズルカ・ショーロ
下はマズルカ・ショーロの終わりの部分です。「ミ」、「シ」に付いている丸印はハーモニックスの記号と考えられ、後の方の二つの丸印は①と②弦の12フレットのハーモニックスと考えて問題ないようです。しかし前の二つの丸印の音には「8 harm」と書かれていて、後の二つとは違うことがわかります。これはおそらく「オクターバ」、つまり表記の1オクターブ上の音を出す意味で、5フレットのハーモニックスの可能性があります。

「8 harm.」と書かれた部分は24フレットの人口ハーモニックス
24フレットのハーモニックス
しかしヴィラ・ロボスは5フレットのハーモニックスの場合、①弦は「ラ」、②弦は「ミ」と表記しますから、単純にそうとは言い切れません。Amsco社の全集の注釈では人口ハーモニックス使用としています。つまり24フレットの、右手のみによる人口ハーモニックスということになります。
自分のギターには19フレットまでしか付いていない?
・・・・・え、自分のギターは19フレットまでしかないって、 ・・・・いや、そういう意味ではなく、仮に24フレットまであったと仮定した時の位置を右手人差し指で触れながら弾くという意味です。もちろん私のギターにも24フレットは付いていません。
確かに人口ハーモニックスを使用すると低音が譜面どおりに伸ばすことが出来、正解ということでしょうか。
ショティッシュ・ショーロ
次の譜面はショティッシュ・ショーロの中程にあるハーモニックスです。「ヴィラ=ロボスは、ハーモニックスの場合、左手で触れるポジションを、実際に押さえた場合に出る音で表記する」といった意味が理解できていれば弾き方がわかると思います。

同じハーモニックスの和音が、ガヴォット・ショーロにもある
もうわかると思いますが
Amsco社の全集の注釈にはタレガ式の表記もありますが、最初の菱形の白い音符で書かれた和音(ソ#、ミ、ソ=ナチュラル)の触れる場所を書くと、「⑥弦の4レット」、「⑤弦の7フレット」、「④弦の5フレット」で、実際に出る音は(これも注釈にあるが)「ソ#=①弦の4フレット」、「ミ=①弦の開放」、「レ=①弦の10フレット」で、和音としてはE7となります。
同様に後の方の和音(ラ、ミ、ラ)は、「⑥弦の5フレット」、「⑤弦の4フレット」、「④弦の7フレット」で、「ミ=①弦の開放と同じ」、「ド#=①弦の9フレット」、「ラ=①弦の5フレット」の音が出て、Aメジャーの和音となります。
左指の完璧なコントロールが必要
以上で触れる場所などはわかったと思いますが、これらのハーモニックスの和音は、弾き方がわかってもかなり出しにくいものです。左指がその微妙な位置とか、弦に触れる強さなど、完璧にコントロール出来ないとなかなか出ないハーモニックスです。このハーモニックスをクリヤーに出すだけでも、かなりの技術が必要でしょう。また、全く同じハーモニックスがガヴォット・ショーロにもあります。
練習曲第2番はさらにわかりにくい
練習曲集のほうでは、第1番もわかりにくいかも知れませんが、第2番のほうはもっとわかりにくい。

m.d. というのは「右手」、m.g.というのは「左手」を表しているようです。「二重ハーモニックス」と書いてありますが、ピッチカートの指示もあります。全集の注釈では下のように、上の音は人口ハーモニックス、下の音は自然ハーモニックスとなっています。

正解なのかも知れないが
これで問題ないのかも知れませんが、この弾きかただと、この次にいきなり14フレットセーハとなってしまい、演奏はかなり難しくなってしまいます。ブリームは最後のところでかなりテンポを落してこの方法(おそらく)で弾いていますが、この方法だとこのようにするしかないでしょう。
なぜここだけ?
これが正解だとすると、なぜヴィラ=ロボスはこの部分だけ自然ハーモニックスを実音表記にしたのでしょう。最初からそう表記してくれていたら、何の問題もなかったのでは?
CDなどでは大半のギタリストはここではハーモニックスを用いず、通常の弾き方や、ピッチカート奏法で弾いていますが、聴いた感じではその方が自然な感じがします。
”あきれる”しかない第3番
第3番になると、もうあきれるしかありません。下の譜面の最後のところ意味がわかるでしょうか。

迷宮入り?
「D4」とか「A3」はおそらく弦とフレットを表していると思われますが、④弦の4フレットのハーモニックスであれば「ファ#」と音符では記されるはずですが、ご覧のとおり「ソ」となっています。何度見直しても第2線に書かれた「ソ」です。
また⑤弦の3フレットであれば「ドーナチュラル」と記されるはずですが、これもどう見ても「ラ」と書いてあります。それに高い「レ」にも丸印が付いていますが、これもよくわかりません。さらにこのようにアルファベットと数字でハーモニックスを指示しているのは、ヴィラ=ロボスの曲の中ではこの曲だけです・・・・
・・・・これはもう謎としか言いようがありません。ついに迷宮入りか・・・・・
全集に注釈(下の譜面)が付いていますが、これにも若干間違いがあり、一番下の「ファ」は「ラ」の間違いと思われます。

一番下の「ファ」は「ラ」の間違い
レ、ファ#、ラの和音となるのは間違いないので
と言ったように譜面だけ見たのではさっぱりわからない部分ですが、曲の流れから言って、ここはDメジャーの和音、つまり「レ、ファ#、ラ」の和音となるのは間違いなく、おそらく以下のようになるのが正しいのではないかと思います。タレガ式の表記と実音表記の両方を載せておきます。

タレガ式の表記と実音表記
謎解きもヴィラ=ロボスの魅力の一つ
それにしてもなぜこんなわかりにくい表記をしたのでしょうね、特に高い「レ」だけは他の二つの音とは全然違う表記をしています。 ・・・・ヴィラ=ロボスってよくわからない人ですね。
でもこんな謎解もヴィラ=ロボスの曲を練習する時の楽しみの一つでしょう。通常のわかりやすい譜面だとヴィラ=ロボスらしくありませんね。ぜひ皆さんも果敢に注釈なしの初版で、ヴィラ=ロボスに挑戦してみては。 ・・・・・ヴィラ=ロボスの魅力を満喫出来ること疑いなしです。
30代 男性
A : その2
マズルカ・ショーロ
下はマズルカ・ショーロの終わりの部分です。「ミ」、「シ」に付いている丸印はハーモニックスの記号と考えられ、後の方の二つの丸印は①と②弦の12フレットのハーモニックスと考えて問題ないようです。しかし前の二つの丸印の音には「8 harm」と書かれていて、後の二つとは違うことがわかります。これはおそらく「オクターバ」、つまり表記の1オクターブ上の音を出す意味で、5フレットのハーモニックスの可能性があります。

「8 harm.」と書かれた部分は24フレットの人口ハーモニックス
24フレットのハーモニックス
しかしヴィラ・ロボスは5フレットのハーモニックスの場合、①弦は「ラ」、②弦は「ミ」と表記しますから、単純にそうとは言い切れません。Amsco社の全集の注釈では人口ハーモニックス使用としています。つまり24フレットの、右手のみによる人口ハーモニックスということになります。
自分のギターには19フレットまでしか付いていない?
・・・・・え、自分のギターは19フレットまでしかないって、 ・・・・いや、そういう意味ではなく、仮に24フレットまであったと仮定した時の位置を右手人差し指で触れながら弾くという意味です。もちろん私のギターにも24フレットは付いていません。
確かに人口ハーモニックスを使用すると低音が譜面どおりに伸ばすことが出来、正解ということでしょうか。
ショティッシュ・ショーロ
次の譜面はショティッシュ・ショーロの中程にあるハーモニックスです。「ヴィラ=ロボスは、ハーモニックスの場合、左手で触れるポジションを、実際に押さえた場合に出る音で表記する」といった意味が理解できていれば弾き方がわかると思います。

同じハーモニックスの和音が、ガヴォット・ショーロにもある
もうわかると思いますが
Amsco社の全集の注釈にはタレガ式の表記もありますが、最初の菱形の白い音符で書かれた和音(ソ#、ミ、ソ=ナチュラル)の触れる場所を書くと、「⑥弦の4レット」、「⑤弦の7フレット」、「④弦の5フレット」で、実際に出る音は(これも注釈にあるが)「ソ#=①弦の4フレット」、「ミ=①弦の開放」、「レ=①弦の10フレット」で、和音としてはE7となります。
同様に後の方の和音(ラ、ミ、ラ)は、「⑥弦の5フレット」、「⑤弦の4フレット」、「④弦の7フレット」で、「ミ=①弦の開放と同じ」、「ド#=①弦の9フレット」、「ラ=①弦の5フレット」の音が出て、Aメジャーの和音となります。
左指の完璧なコントロールが必要
以上で触れる場所などはわかったと思いますが、これらのハーモニックスの和音は、弾き方がわかってもかなり出しにくいものです。左指がその微妙な位置とか、弦に触れる強さなど、完璧にコントロール出来ないとなかなか出ないハーモニックスです。このハーモニックスをクリヤーに出すだけでも、かなりの技術が必要でしょう。また、全く同じハーモニックスがガヴォット・ショーロにもあります。
練習曲第2番はさらにわかりにくい
練習曲集のほうでは、第1番もわかりにくいかも知れませんが、第2番のほうはもっとわかりにくい。

m.d. というのは「右手」、m.g.というのは「左手」を表しているようです。「二重ハーモニックス」と書いてありますが、ピッチカートの指示もあります。全集の注釈では下のように、上の音は人口ハーモニックス、下の音は自然ハーモニックスとなっています。

正解なのかも知れないが
これで問題ないのかも知れませんが、この弾きかただと、この次にいきなり14フレットセーハとなってしまい、演奏はかなり難しくなってしまいます。ブリームは最後のところでかなりテンポを落してこの方法(おそらく)で弾いていますが、この方法だとこのようにするしかないでしょう。
なぜここだけ?
これが正解だとすると、なぜヴィラ=ロボスはこの部分だけ自然ハーモニックスを実音表記にしたのでしょう。最初からそう表記してくれていたら、何の問題もなかったのでは?
CDなどでは大半のギタリストはここではハーモニックスを用いず、通常の弾き方や、ピッチカート奏法で弾いていますが、聴いた感じではその方が自然な感じがします。
”あきれる”しかない第3番
第3番になると、もうあきれるしかありません。下の譜面の最後のところ意味がわかるでしょうか。

迷宮入り?
「D4」とか「A3」はおそらく弦とフレットを表していると思われますが、④弦の4フレットのハーモニックスであれば「ファ#」と音符では記されるはずですが、ご覧のとおり「ソ」となっています。何度見直しても第2線に書かれた「ソ」です。
また⑤弦の3フレットであれば「ドーナチュラル」と記されるはずですが、これもどう見ても「ラ」と書いてあります。それに高い「レ」にも丸印が付いていますが、これもよくわかりません。さらにこのようにアルファベットと数字でハーモニックスを指示しているのは、ヴィラ=ロボスの曲の中ではこの曲だけです・・・・
・・・・これはもう謎としか言いようがありません。ついに迷宮入りか・・・・・
全集に注釈(下の譜面)が付いていますが、これにも若干間違いがあり、一番下の「ファ」は「ラ」の間違いと思われます。

一番下の「ファ」は「ラ」の間違い
レ、ファ#、ラの和音となるのは間違いないので
と言ったように譜面だけ見たのではさっぱりわからない部分ですが、曲の流れから言って、ここはDメジャーの和音、つまり「レ、ファ#、ラ」の和音となるのは間違いなく、おそらく以下のようになるのが正しいのではないかと思います。タレガ式の表記と実音表記の両方を載せておきます。

タレガ式の表記と実音表記
謎解きもヴィラ=ロボスの魅力の一つ
それにしてもなぜこんなわかりにくい表記をしたのでしょうね、特に高い「レ」だけは他の二つの音とは全然違う表記をしています。 ・・・・ヴィラ=ロボスってよくわからない人ですね。
でもこんな謎解もヴィラ=ロボスの曲を練習する時の楽しみの一つでしょう。通常のわかりやすい譜面だとヴィラ=ロボスらしくありませんね。ぜひ皆さんも果敢に注釈なしの初版で、ヴィラ=ロボスに挑戦してみては。 ・・・・・ヴィラ=ロボスの魅力を満喫出来ること疑いなしです。
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