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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

2歳と4歳の子

Q : 4歳の女の子と2歳の男の子がいます。 二人ともギターに興味がありそうなので、ギターを習わせようかと思うのですが、何歳くらいから習わせるのがベストなのでしょうか。 

 主人は私より1年先輩で、大学のギター部で知り合いました。 私自身は子育てなどで、今現在ほとんどギターを弾く時間はなくなりましたが、聴くのは好きで、家事や育児をしながらギターのCDを聴いています。 


見慣れないギター・ケース?

 主人は今でも弾いていて、大学のOB関係のコンサートや、楽器店などのイヴェントなどでも弾いています。 先日、見慣れないギター・ケースがあるので、 「これどうしたの?」 と主人に聞いたら、「とてもよい楽器があって、友達もみんな進めるから、思い切って買っちゃった」という言葉が返ってきました。

 値段を聞いてビックリ。 「そんな高価なものを、私に何の相談もなしで」と、ひととおり噛み付いておいたのですが、とても嬉しそうだったので、「今後は必ず相談して、私の許可を得ること」を条件に、今回だけは許すしかありませんでした。


上の子と一緒に

 主人は時間があると、4歳の上の子と一緒にギターで歌ったりしています。それを見ると下の2歳の子が主人のギターを邪魔しに来ます。 すると上の子が、「だめよ、邪魔しちゃ。 お父さん、ギター弾いているんだから」 と、ちょっとした小競り合いになります。 

 下の子には、父親と姉が楽しそうにギターで歌っているのが、とてもうらやましくみえるようです。 でも最後には3人で、時には私も入って4人で一緒に歌ったり、主人のギターに合わせて体を動かしたりしています。 

 上の子はまだ本格的には弾けませんが、主人からド、レ、ミなどを教わって「ちょうちょう」くらいは弾けるようです。

 二人とも音楽や、ギターにはとても興味がありそうなので、ぜひギターを習わせたいと思うのですが、これくらいの歳からでも習うことができるのでしょうか?


                                             30代 主婦





A : その1



出会い方が重要

 ギターという楽器が、一つの家庭の結び付きにたいへん大きな役割を果たしている、とてもほほえましいご家庭ですね。 まあ、私のところも、かつてはそんな感じでした(今は違うの?)。

 ギターという楽器はたいへんすばらしい楽器ですが、その出会い方もとても重要だと思います。 この二人のお子さんの場合は、すでにギターととてもすばらしい出会いをしていて、今後ギターをやってゆくとすれば、大きなアドバンテージを持つことになるでしょう。

 

村治姉弟3歳、木村大君4歳

 最近の若いギタリストのギターを始めた年齢としては、村治佳織さん、奏一君姉弟は3歳前後、木村大君は4歳、アナ・ヴィドヴィッチは5歳、大萩康司君は9歳だそうです。

 その前の世代のギタリストでは、山下和仁さんが8歳、荘村清志さん9歳、渡辺範彦さん8歳、ジョン・ウィリアムス4歳。 

 さらに、ナルシソ・イエペス4歳、セゴヴィア4歳と言われていますが、イエペスやセゴヴィアは習ったわけではなく、独学だということです(4歳で独学でギターをやるのだから、それだけでも凄い!)



10歳を過ぎるとやや不利?

 といったようにプロのギタリストの場合は、最近の若いギタリストで3~5歳くらい、その上の世代だと8~10歳くらいがギターを始めた年齢のようです。10歳を越えてからギターを始めた場合は、第一線のプロ・ギタリストになるのは、やや不利なようです(決していないわけではないが)。



ピアノやヴァイオリンの場合は、ギターよりも少し早い

 ギター以外の分野では、ヴァイオリストの諏訪内晶子さん、五島みどりさん、ピアニストのマルタ・アルゲリッチ、中村紘子さんなど、ほとんどの一流の演奏家は2~3歳くらいでレッスンを始めているようです。

 伝記によれば、アルゲリッチは2歳の時に、全く習わないで、また練習もしないで、保育園の先生が弾いていた曲を、正確にピアノで弾けたようです(おそらく見て、聴いただけで)。 

 ピアノやヴァイオリンでは、始める時期がギターよりも少し早いようで、5歳を過ぎてからと言う人プロの演奏家は少ないようです。



言語能力が発達する時期に始めるのがベスト

 いずれにしても、音楽と言葉とは深い関係があるので、言語能力が発達する時期、つまり2歳~5歳くらいで音楽を始めるのが最もよいようです。 

 またこの時期は絶対音感の育つ時期でもあって、もし、プロの演奏家をめざすなら、むしろこの時期に始めるべきでしょう。



弦を押さえられないということはない

 ギターの場合、あまり幼いと、弦を押さえたり出来ないということで、ピアノやヴァイオリンよりは少しだけ習うのが遅い傾向にありますが、基本的にはそれほど違いはないと思います。

 最近では幼児用の楽器も多種類あり、必ずその子に合った楽器があると思います。 幼児用の楽器は、弦の張りも弱く、小さい手でも弦を押さえられないということはありません。 それに、幼児は思ったより指の力が強いものです。

 

興味さえ持てれば早すぎることはない

 最大の問題は、ギターに興味が持てるかどうかということで、この年代(2~5歳)でギターに興味が持てること自体、潜在能力の高さを示すものとも言えます。 興味さえ持つことが出来れば、習うのに早すぎるということはないでしょう。  


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中村俊三ギター・コンサート
 カプリース ~パガニーニ・コンサート

12月8日(日)16:00  ひたちなか市アコラ
入場料2000円(要予約)





伝説のヴァイオリスト、ニコロ・パガニーニの作品によるギター独奏のコンサート

 前回、11月10日(日)にひたちなか市文化会館で教室の発表会を行なうことを書きましたが、12月8日(日)には、ひたちなか市アコラで私の独奏のコンサートを行ないます。

 ニコロ・パガニーニは19世紀初頭に活躍した伝説的なヴァイオリストとして知られていますが、ギター曲、およびギターとヴァイオリンのための曲、ギターを含む室内楽などを多数作曲しています。



一人の作曲家の作品でコンサートを行うにふさわしい作曲家

 パガニーニについては当ブログでも以前に詳しく書いていますが、私自身かなり興味のある作曲家の一人です。一人の作曲家の作品のみで一つのコンサートを行うということは、その作曲の作品が特に優れていなければならないと思いますが、パガニーニはそれに見合う作曲家だと思います。プログラムは」以下のとおりです。



   ニコロ・パガニーニ(1782~1840)

①ギターのための37のソナタより
  第6番ヘ長調
  第8番ト長調
  第12番イ長調 


②カプリース第24番「主題と変奏」(中村俊三編曲)


③ヴァイオリンとギターのためのソナタホ短調作品3-6(中村編)

   
④ギターのための大ソナタイ長調(中村編)
   Ⅰ Allegro risoluto
   Ⅱ Romanze   
   Ⅲ Andantino variato





①以外は私のアレンジ

 ①はギター独奏のオリジナル曲、②は無伴奏のヴァイオリン曲、③はヴァイオリンとギターのための曲、④はヴァイオリンの助奏付きのギター独奏曲となったおり、①以外は私のギター独奏へのアレンジです。


ヴァイオリンがちょっとだけ伴奏する変った曲

 ヴァイオリンとギターのための作品は、通常ならヴァイオリンが主旋律を受け持ち、ギターが伴奏するといった形ですが(③はそうしたもの)、④の「大ソナタ」はギター独奏にヴァイオリンがほんの少し音を加えるといったちょっと変った曲です。


第1、2楽章には自作のカデンツァ

 「大」が付くとおりこのソナタは3つの楽章で20分を越える、タイトル通りの大曲となっています。私のアレンジはギター・パートに若干ヴァイオリンの音も加えたものです。第2楽章の「ロマンス」には途中で「カデンツァ」の指示があり、演奏者が作曲して演奏することになっています。

 第1楽章には、特にそういった指示はありませんが、再現部の前などカデンツァがあってもおかしくないかなと思い、第1、第2楽章とも、私の自作のカデンツァを入れてみます(やや長めの)。


予約受け付けています

 曲目等に関して詳しいことは、近くなったらまた書きますが、比較的珍しい企画だと思いますので、ぜひ聴いていただければと思います。なお予約は、私の教室か、アコラにお願いします。アコラにはメールの方がよいと思いますが、私のほうには電話でもメールでもどちらでも大丈夫です。

 なお、14:00からは愛好者のコンサートも予定されています。
 11月の10日(日)、ひたちなか市文化会館で教室の発表会を行ないます。3つのグループによる合奏と、私を含めて23人の独奏を予定しています。ぜひご来場下さい。



 <第29回 中村ギター教室発表会> 
2013年 11月10日(日)14:00開演  13:30開場(終演は16:30頃) 
ひたちなか市文化会館小ホール  入場無料
   
  

        <演奏曲目と演奏者>

1.モデラート、ホーンパイプ(ヘンデル~「水上の音楽」より)
  風のささやき(ルグラン)               
   <合奏> 伊藤 邦雄  甲斐洋 有我等  鈴木俊彦  関義孝  根本滋
 
2.小さい秋見つけた(中田喜直)  
  見上げてごらん夜の星を(いずみ たく)
  白い恋人たち(フランシス・レイ)     
   <合奏> 深作純子   山縣滋子  庄司汪  小池清澄  赤沼増美  真分昭  奥山 論

3.思い出(ベイリー)、もみじ(岡野貞一)    <独奏>木村 駿人

4.夜空のムコウ(川村結花)   藤原優

5.キセキ(Greeeen)    石塚令奈

6.コレンタ(作者不詳~16世紀の作品)   奥山論

7.枯葉(コスマ)   真分昭

8.夜想曲(ヘンツェ)   深作純子

9.小さなロマンス(ワルカー)  小池清澄

10.涙そうそう(BEGIN)   澤畑敦史

11.イエスタディ(マッカートニー)   清水亮

12.やさしく歌って(フォックス)   伴正宏

13.練習曲(タレガ)、 月光(ソル)    赤沼増美

14.白鳥の歩み(マルサグリア)    鈴木俊彦

15.ジェルソミーナ(ニノ・ロータ)、マリア・ルイサ(サグレラス)   関  義孝

16.タンゴ第3番(フェレール)   根本  滋

17.マイウェィ(リーヴァー)    甲斐  洋

18.スペインの微風(フェレール)   及川 英幸

19.前奏曲第1番(ヴィラ=ロボス)   佐藤 智美

20.11月のある日(ブローウェル)    伊藤 邦雄

21.イタリアーナ(作者不詳~16世紀の作品)、イタリア風舞曲(ノイジトラー)  佐藤 眞美

22.スペイン・セレナード(マラッツ ~タレガ編)           岩田 英典

23.フリア・フロリダ(バリオス)                   中川 真理子

24.リゴレット(オペラ・レヴュー作品8-21より ~メルツ)       熊坂 勝行

25.ロマンス、主題と変奏(大ソナタより ~パガニーニ)        中村 俊三

26.序曲(管弦楽組曲第2番より ~J.S.バッハ)
   <合奏 水戸ギター・アンサンブル>     中村 俊三  佐藤 智美  及川 英幸
     萩野谷 稔  佐藤 眞美  市毛 和男  後関 信一  石川 博久  中川 真理子

Q : 独学で「アルハンブラの想い出」を練習しています。どのような練習をしたら村治佳織さんのようなトレモロが弾けるのでしょうか。やはり「アルハンブラの想い出」は教室で習わないと弾けるようにはならないんでしょうか? また習った場合、どれくらいで弾けるようになるんでしょうか? 


                                    40代男性
 


A : その7



 前回までの話では、①なるべく右手の力を抜いて軽く弾いてみる、 ②amiの3本の指をちゃんと分離させないで”ダンゴ状態”に弾く。③imaの順でも試してみる。和音を同時でなく低音のほうからpimaでアルペジオ風にひければ、この逆順のトレモロが弾けるかもしれない、といった方法を紹介しました。

 しかし、どうやってもトレモロが速く弾けない(4音=8分音符で100/m以上で)方もまだあきらめるのは早い、今回はそんな人のためです。



2音のトレモロ

 どうしてもスピードが上がらない場合、つまりメトロノム80以下でアランブラなどを弾くと、メロディらしくなくなり、また曲全体のテンポも落ち、曲がわかりにくくなってしまいます。そういうことであれば、トレモロの音を一つ抜く、つまり3音だったものを2音にすることによってあまり曲のテンポを落とさず弾くことが出来ます。

 

ブログ 146
         2音のトレモロ、指順はpmi、 またはpim



無理して通常の弾き方で弾くよりも

 また、通常の3音のトレモロでは音がきれいに揃わなかったり、音がかすれたような感じになってしまう人の場合でも、この2音のトレモロにしたほうが、音をクリヤーに出て、かえって美しく聴こえることもあるでしょう。”量より質”といったところでしょうか。指順としてはpmiでも、pimでもどちらでもよいですが、pmiのほうが音がはっきり出やすいと思います。

 
 
1音トレモロ?

 その”2音トレモロ”をさらに進化させた方法として、”1音トレモロ”というのもあります。1音”のもをトレモロと呼ぶのかどうかわかりませんが、意外とこれでもオリジナルの雰囲気が結構出ます。



ブログ 147
1音トレモロによるアランブラの想い出。メロディのほうはiでもmでもよい。



ノイズなどは少ない

 通常のトレモロ奏法は、爪の音などのノイズが入りやすい欠点がありますが、この”1音トレモロ”ならそういった爪によるノイズはほとんどなくなります(元々音がきれいでない人は別だが)。また、音量、テンポなども自由が利くと思います。

 ”やっと弾けるトレモロ奏法”で弾くよりは、ずっとこちらのほうが美しいアランブラの想い出になること、請け合いです。



これぞ究極のアランブラ

 「なんだ、トレモロではないじゃないか」と言われそうですが、ぜひ試してみてください。思った以上に曲の感じが出て、美しく弾けます。曲想なども自分の思ったように出せ、自分好みのアランブラの想い出に仕上げることも出来ます。ある意味、これぞ究極の「アランブラの想い出」と言えるでしょう。ユーチューブで、この弾き方のアランブラの想い出をアップしている人もいます。 



どれくらい習えばアランブラが弾けるようになる?

 そういえば、「ギター教室でギターを習った場合、どれくらいでアランブラの想い出が弾けるか」という質問に答えていませんでしたね。これまでの話でだいたいのことはわかったと思いますが、ギター教室で習った人でも、アランブラの想い出が弾けるようになる人と、そうでない人とがいます(どちらかと言えば、そうでない人のほうが多い)。
 
 この曲の場合、トレモロ奏法だけでなく、左手のほうも結構難しいですから、弾ける人でも5~10年くらいはかかるでしょう。また、10代前半くらいからギターを始めた人の場合だと、大部分の人はこれくらいで弾けるようになります。



他にも優れたギターの名曲はたくさんある

 以上のように、残念ながら誰でもこの曲が弾けるようになるわけではありませんが、一方で、ギターを習っている人でも、特にこの曲が弾きたいとは思わない人も少なくありません。ギターの優れた名曲は他にもたくさんありますので、自分に合った曲を楽しむのがベストでしょう。




タンゴ・アン・スカイが簡単に?

 いかがでしたか、回答にご満足いただけたでしょうか?   え、 何ですって、 アルハンブラはもう飽きたからやめた?   「タンゴ・アンス・カイ」が弾きたい?   タンゴ・アン・スカイが簡単に弾ける方法教えろ?     ・・・・・・・・ 
Q : 独学で「アルハンブラの想い出」を練習しています。どのような練習をしたら村治佳織さんのようなトレモロが弾けるのでしょうか。やはり「アルハンブラの想い出」は教室で習わないと弾けるようにはならないんでしょうか? また習った場合、どれくらいで弾けるようになるんでしょうか? 


                                    40代男性
 


A : その6




逆弾きのススメ

 今回の話はどうやってもトレモロ奏法が上手く出来ない人のための話です。まずは”逆弾き”トレモロ、つまりpimaの順で弾くトレモロを試してみてください。一般的には、この方法は弾きにくく、安定感もなく、粒も揃いにくいのですが、スピードだけは出る可能性があります。

 人によってはこのやり方なら出来る、あるいはスピードが上がるかも知れません。前に話したとおり、私もこの方法の方が速く弾け、疲れにくいです。



和音をアルペジオ風に弾ければ

ブログ 145

 上のように和音をpimaでジャランとアルペジオ風に弾くことが出来る人なら、この逆順のトレモロ奏法が出来る可能性があります。要するにこのアルペジオを同一弦上で行なえばトレモロになるはずです。ぜひ試してみて下さい。

 この弾き方(pimaで和音をアルペジオ風に弾く)が出来ない人も、この弾き方を練習してみるとよいでしょう。いろいろなところで使えます。




和音をpimaでアルペジオ風に弾くトレーニング


まず下の画像のようにpimaの4本の指を⑥③②①弦に掛けます。

IMGP0015.jpg



次に親指で⑥弦をアポヤンド奏法で弾きますが、この時、他のimaの指は弦に掛けた状態にし、弦から離さないようにします。 

IMGP0016.jpg




次に人差指で③弦を弾きますが(アルアイレ奏法)、この時も中指、薬指は弦から離さないようにします。

IMGP0017.jpg




同じように中指、薬指と弾いてゆきます。
 
IMGP0018.jpg



弦に添えた指は、他の指が弾いているときでも離さない

 弦に添えた指を、いったん弦から指を離してしまうと、スピードが上がらないだけでなく、しっかりした音が出せなくなります。この弾き方は人によっては難しいかもしれませんが、トレモロやアルペジオに関らず、一般的な右指のトレーニングとしてもたいへん有効なので、ぜひやってみてください。




これを子供の時からやっていたので、逆引きが得意

 私の場合はよくも悪くも子供の頃、和音を無意識にこの弾き方をしていて、大学に入ってからそれではいけないということで、和音をずらさずに、同時に弾くように心がけました。そういった関係で私の場合、逆弾きのトレモロが得意なのでしょう。でも疲れにくさなどを考えると、指の機能的に、逆弾きのほうが自然なのではと思います。



時と場所を考えて

 確かにこのトレーニングはアルペジオやトレモロに有効で、美しく歌わせる曲などでは不可欠とも言えますが、どの曲でも無分別に、この和音をアルペジオ風にずらして弾く方法を用いると、何となくルーズに聴こえてしまう場合もあります。特にリズムを中心とした曲では厳禁ともいえます。やはり何事も時と場所を考えなければなりません。

 
Q : 独学で「アルハンブラの想い出」を練習しています。どのような練習をしたら村治佳織さんのようなトレモロが弾けるのでしょうか。やはり「アルハンブラの想い出」は教室で習わないと弾けるようにはならないんでしょうか? また習った場合、どれくらいで弾けるようになるんでしょうか? 


                                    40代男性
 


A : その5




いよいよ本題

 本当にお待たせしました。いよいよ本題ということで、今回はアランブラの想い出が弾きたいのだが、トレモロ奏法が上手く出来ない人のための話をしましょう。「その2」でお話したとおり、アルペジオがクリヤーに、ある程度の速さ(メトロノーム150以上)で弾ければトレモロ奏法は特に問題ないということですが、実際にはそれが出来ない人は少なくありません。

 アルペジオがちゃんと弾けなければトレモロ奏法は難しいわけで、確かに美しく、クリヤーなトレモロは無理ということになります。しかしそんなに美しく、あるいはクリヤーでなくとも、なんとか”トレモロ奏法ぽく”聴こえればよい、といった程度には工夫や考え方次第で、出来るのではないかと思います。



音はちゃんと出ないが一応速く弾ける人、ともかくスピードが上がらない人

 トレモロ奏法が弾けない人の場合、大きくは2つに分けられると思います。一つは一応速くは弾けるのだけれど、音がいわゆる「ダンゴ」状態になってクリヤーに聴こえない、あるいは音が非常に小さいといった人。もう一つは、ともかくスピードが上がらない、メトロノームで80前後(4音1拍で)くらいにしかならない人の場合です。



一応速く弾ける人の場合

 前者の場合は、一応トレモロ奏法ぽい弾き方は出来ているわけで、当面の目標はクリヤーといっていいでしょう。となれば、さらに美しく、クリヤーな”本物”のトレモロ奏法にしてゆくという問題になります。



中間的なスピードが苦手な場合が多い

 このようなタイプの人、つまり音の粒が揃わなかったり、音が非常に小さいと言う人は、トレモロでもアルペジオでも中間的なスピード、つまりメトロノームで80~120(4音1拍)くらいのテンポで弾くのが苦手なケースが多いようです。

 従ってこれらのテンポ、あるいはそれにもう少し遅いテンポも加えて60~120くらいのテンポでじっくりとアルペジオ、またはトレモロ練習を行なうことをお薦めします。



ぜひ地道な練習を

 さらに、このようなタイプの人は器用なタイプの人が多いですから、美しい、本物のトレモロが弾けるようになる可能性は十分あります。しかし器用な人ほど地道な練習を嫌う傾向もあるので、ぜひがんばってください。トレモロ奏法、あるいはアルペジオ奏法が上手く出来れば、トレモロ奏法の曲だけでなく、他のいろいろな曲に於いても可能性が膨らんでゆきます。




ともかくスピードが上がらない場合

 しかし、やはり問題となるのは、どうやってもスピードが上がらない人ということになるでしょう。確かにいろいろなトレーニングの中でも、スピードそのもの、特に右指のスピードを上げるというのは難しいものです。



いい加減なことが嫌い?

 この場合、アルペジオやトレモロが80前後までしか上がらないという人についてですが、このタイプの人は、よくも悪くも1音1音をクリヤーにしっかりと弾くタイプの人で、性格的にも真面目で、いい加減なことが嫌いな人が多いようです。

 おそらくこうしたタイプの人は練習も真面目に行い、1曲1曲丁寧に仕上げてゆく人が多く、テンポの速い曲でなければ、美しい演奏をしている可能性もあります。こうした人は、基本的に速い曲よりも、そうした得意な曲に取り組んでゆけばよいのですが、でもやはり「アランブラは弾きたい」という人は多いでしょう。



前者の弾き方を身に付ける

 こうした人の場合は、もうおわかりと思いますが、まずは前者のような弾き方、つまり「音がちゃんと出なくても、適当に速く弾く」弾き方を身に付ければよいわけです。美しく、クリヤーに弾くのはその後ということになります。



正統派の弾き方とは逆をやる

 まずトレモロでもアルペジオでも親指以外の3本の指(ami)をなるべく力を抜いて、軽くほんのちょっとだけ弦にあてます。これまで弦を弾く時には”しっかりと弦を捉える”と説明してきましたが、これと全く逆に、弦をちゃんと掴まえずに、軽く”ぶつける”あるいは”触る”ような感じで弾いてみて下さい。



ダンゴ状態でもかまわない

 さらにamiの3本の指を別々に弾かずに”ひとまとめ”にして弾くような感じにします。上手く出来なければ、まず親指と薬指だけで弾くような感じにし、中指と人差指は弾いても弾かなくてもよい、といった感じで弾いてみて下さい。


まず感覚を速くする

 いずれにしても上記のような弾き方では音はちゃんと出ないと思いますが、それでもよいと思います。スーピードが上がらない人というのは、指が速く動かないだけでなく、感覚的に速く出来ない場合が多く、まずはどんな形でも”速く弾く”という感覚を身に付けるべきと思います。



エア・ギターのように

 また、右腕から指先にかけての力を完全に抜き、弾くというより、弾く”まね”をするような感じでやってみるのもよいでしょう。いわゆる”エア・ギター”といった感じです。



やっぱり出来ない?

 どうでしたか、多少の問題はともかく、なんとかトレモロぽく、それなりの速さで弾けるようになりましたか?  ・・・・・え、 どうやっても出来ない? 全部やってみたけど、 どれも出来ない?   

 ・・・・・そうですか、なるほど。 そうですね、 まあ、 あれですよね、 その場合はやはりトレモロ奏法には向いていないので、トレモロ奏法はあきらめるとか、 でなければ他ブログを読むとか・・・・

 言っている事が最初と違う?  「おまかせ下さい」と言ったじゃないか?  ・・・・・・・ごもっとも、ごもっとも、おっしゃるとおり。  まあまあ、 世の中には何事にもホンネとタテマエ、表と裏、出来ることと出来ないことがありますから・・・・・・

 いや、いや、もちろん冗談ですよ、冗談。これからが本当に、本当の本番! 次回こそ本当に、絶対に、必ず誰でも出来る方法をお教えします。ご期待下さい!