中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。


昨年も載せたような気がしますが


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 昨年も載せた気がしますが、当家のツツジが満開となりました。昨年あまり枝を切らなかったので。今年はいつもよりたくさん咲いています。でもこれ以上大きくなる駐車の妨げになるので、また切らないといけません。



クラシック・ギター名曲ランキングのまとめ


 前回までクラシック・ギターの名曲を20曲ランキングしましたが、最後にまとめておきましょう。繰り返しになりますが、このランキングは曲の人気度や演奏される頻度を私個人的にランキングしたもので、曲の内容ではありません。またなんらかのデータを基にしたものではなく、個人的な感覚で決めたものです。

 もちろん選ぶ人や、選び方でだいぶ異なるでしょうが、まあ、大ざっぱに言ってだいたいこんなものでしょうか。当たらずとも遠からずといったところでしょう。少なくとも、これからクラシック・ギターのCDなどを聴こうかなと思っている人には若干参考になるでしょう。



第1位 禁じられた遊び (練習曲 ~アントニオ・ルビラ)
第2位 アランブラの想い出 (フランシスコ・タレガ)
第3位 カヴァティーナ (映画「ディア・ハンター」の主題曲 ~スタンリー・マイヤーズ)
第4位 アランフェス協奏曲 (ホアキン・ロドリーゴ)
第5位 モーツァルトの「魔笛」の主題による変奏曲 (フェルナンド・ソル)
第6位 アストゥリアス (イサーク・アルベニス)
第7位 大聖堂 (アウグスティン・バリオス)
第8位 アラビア風奇想曲 (フランシスコ・タレガ)
第9位 タンゴ・アン・スカイ (ローラン・ディアンス)
第10位 サンバースト (アンドリュー・ヨーク)
第11位 11月のある日 (レオ・ブローウェル)
第12位 前奏曲第1番 (エイトール・ヴィラ=ロボス)
第13位 スペイン舞曲第5番 (エンリケ・グラナドス)
第14位 カタルーニャ民謡集 (ミゲル・リョベット)
第15位 ハンガリー幻想曲 (ヨハン・メルツ)
第16位 大序曲 (マウロ・ジュリアーニ)
第17位 さくら変奏曲 (横尾幸弘)
第18位 スペイン風セレナータ (ホアキン・マラッツ)
第19位 ギターのための12の歌 (武満徹)
第20位 バッハの作品


 クラシック・ギターはピアノやオーケストラなどの他のクラシック音楽の分野に比べ、現在進行形的なところがあり、今後10年、20年すると人気曲というのもだいぶ変わってくるでしょう。まだ今現在は生まれていない曲も人気曲となる可能性もあります。また逆に「アランブラの想い出」など、人気の変わらない曲も多数あるでしょう。

 次回は初めて聞くクラシック・ギターのCDとしてお薦めのもを紹介します。
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前回の記事で

 前回の記事で、今年の3月に発売された荘村清志さんのCDに武満徹の「12の歌」全曲が含まれるように書きましたが、実際に購入してみると、収録されているのは12曲ではなくビートルズの4曲のみでした。ちょっと早合点してしまいました。

 この2枚組のCDには、荘村さんのデビュー・アルバムである「テデスコ、ポンセ」と2枚目の「アランブラの想い出」他の2枚のLPの曲全曲と「12の歌」からビートルズの「ヒヤ・ゼア・アンド・エブリウェア」、「ミッシェル」、「ヘイ・ジュード」、「イエスタディ」の4曲が含まれています。


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荘村さんのデビュー45周年記念のCD。どちらかと言えば親しみやすい曲の録音の多い荘村さんだが、デビー・アルバムはテデスコとポンセという硬派なもの。この当時は日本人でこうした大曲を録音する人は少なかった。

 荘村さんの「12の歌」は世界初録音ということになりますから、ぜひとも全曲復刻してほしいものです。



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武満と言えば、この4月にはナクソスから福田進一氏の「ギター独奏作品集」が発売された。価格も1000円とちょっとなので、ぜひお薦め。




クラシック・ギター名曲ランキング

<第20位>  バッハ作品集 (J.S.バッハ)




「Q&A」はどこに?

 このランキングを始めた時にはもっと手短にやるつもりだったのですが、意外と手間どってしまいましたね(いつものこと?)。ところで行ってしまったのだろう?

 と言った訳で、いよいよ最後の20位の発表で、ようやくこのタイトルも無事着地となります。おっと、まだお薦めCDの紹介も約束していましたね、私の教室の生徒さんのためにも、これは忘れずやっておきましょう。



曲名にはなっていないが

 それにしてもこの20位の「バッハの作品」というのはランキングとしては極めて不適切ですね、あまりにも括りが大きすぎて全く「曲名」にはなっていません。「カタルーニャ民謡集」や武満徹の「12の歌」など若干問題のあるランキングもありましたが、一応一つの作品と言えなくもないところもありました。

 しかしバッハのどの曲をランキングに入れるかとなると、本当に困ってしまう。せめて「バッハのリュートのための作品」くらいにしようかとも思いましたが、それも中途半端。こうなったら下手に考えるより、堂々と開き直るしかない!



作曲者別では第1位かも

 バッハ自身ではギターのための曲など1曲も書いていませんが、現在行われているクラシック・ギターのリサイタルのプログラムをみると、その大半のプログラムにバッハの作品が登場しています。バッハの作品のないプログラムのほうが、かえって少数派かも知れません。

 またバッハの作品を弾かないギタリストというのも非常に少ないのではと思います。おそらく現在クラシック・ギターのコンサート、あるいはCDなどの取り上げられる作曲家としてはソル、やタレガなどのギタリストを抑えてナンバー1かも知れません。



演奏にお薦めの曲

 コンサートやCDで鑑賞する上では、バッハの作品はすべてお薦めというところですが、実際にギター演奏するとなると弾きやすい曲とそうでない曲があると思いますので、演奏する上でのお薦めの曲を挙げておきましょう。もちろんバッハの曲を演奏するには、それに足りるだけの基礎力が必要で、演奏だけでなく、基本的な和声法も学ぶ必要があるでしょう。 



 ★サラバンドとドーブル(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番ロ短調)

 添え書きのとおり、この曲は独奏ヴァイオリンのための曲ですが、重音が多く、ヴァイオリンで演奏するのはかなり難しい曲だと思います。 しかしギターで演奏する場合には特に難しいところもなく、むしろ弾きやすい曲と言えます。ギター独奏で始めてバッハを弾く場合、最適の曲でしょう。

 編曲譜も多数出ていると思いますが、原曲のまま手を加えないでも演奏出来ます。しかし和音の配置などはヴァイオリンとギターではやはり異なるので、適切にギターに編曲された譜面を用いるほうが良いでしょう。また若干の音の追加や、トリルなどの装飾音などもあった方がよいでしょう。

 「ドゥーブル」はサラバンドの変奏部分で、原則的にはサラバンドと同じテンポで演奏すべきなのでしょうが、幾分速めのテンポを取った方が流動感が出ると思います。しかしあくまで「サラバンド」の範囲です。

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私のアレンジ。ほんの少し音を加えている。演奏の際には2回目(繰り返し)は装飾を加えている。

 


 ★プレリュード(チェロ組曲第1番)

 アルペジオ風のプレリュードで、一般的にもよく演奏される曲と言えます。原曲はト長調ですが、ギターでは普通ニ長調に移調され、比較的弾きやすい曲と言えます。

 


★アルマンドとブーレ(リュート組曲第1番 BWV996)

 「ブーレ」のほうは完全な2声で書かれた曲で、やはり比較的弾きやい曲と言えます。しかしふたつの旋律、特に低音部を聴き取るのはそれほど簡単ではなく(弾くよりも、聴くほうが難しい)、十分に注意する必要があります。低音部のみを弾いてみたり、二重奏で弾いてみるとよいでしょう。

 また1拍目と3拍目にアクセントが来るのですが、あまり強すぎてもよくないでしょう、強くというより、この1、3拍目の4分音符をやや長くするといったような感じで弾くとよいと思います。

 「アルマンド」もなかなかよい曲ですが、ブーレよりは少し難しくなります。16分音符をレガート、かつ流動的に弾く必要があり、二つの声部の弾き分けも必要です。左手の合理的で滑らかな動きが要求されます。




 ★ガヴォット(チェロ組曲第6番)

 このチェロ組曲は「5弦チェロ」つまり通常の最高音弦「ラ」の上に「ミ」の弦を追加した楽器のために作曲されています。第1弦が「ミ」ということはつまりギターと同じ1弦ということになります。そういった関係からこの曲はたいへんギターに合っています。

 セゴヴィアは原曲ニ長調を1音上げてホ長調に編曲していますが、原曲どおりニ長調で問題ないでしょう。ニ長調の方がかなり弾きやすく、いずれはこの組曲(チェロ組曲第6番)の他の曲も弾くことも考えると、ニ長調でアレンジされた譜面を使うほうがよいでしょう。

 この曲もチェロの譜面をほとんどそのままギターで弾くことが出来ます。もちろん若干音を加えてもよいですが、原曲のままでもほとんど不足は感じられません。私自身では全く音を付け加えないで弾いています  ・・・・・いや、2、3個くらいは足しているかな?




 ★アンダンテ(無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番)

 この曲は原曲ハ長調で、協奏曲の第2楽章のように8分音符の低音の上に美しいメロディが流れる曲です。上記の曲などよりもギターで演奏される機会は少ないですが、弾きやすく、美しい曲で、特にお薦めです。

 この曲もヴァイオリンの譜面そのままでも演奏出来ますが、装飾音などを適宜に加えられればさらによいでしょう。バッハ自身がチェンバロのために編曲しているので、私の場合、そちらも参考にして編曲しました。

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あまり音は付け加えていないが、所々低音はオクターブ下げている。なお2回目はチェンバロ版を参考にしている




他に

 ★フーガ(無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番)
 ★ガヴォット(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番)
 ★テンポ・デ・ボレア(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番)
 ★ブーレ(無伴奏チェロ組曲第3番)


などがお薦めでしょう、それぞれ上記の曲よりは若干難しくなります。




第9回シニア・ギター・コンクール


出場者48名!

 今年もゴールデン・ウイーク中の5月4日(日)に石岡市ギター文化館でシニア・ギター・コンクールが行われます。エントリー者数はだんだん増え、今回はシニア・エイジ(55才以上)36名、ミドル・エイジ(35歳以上55才未満)12名の計48名となっています。

 昨年(2013年)は40名(s26、m14)、 一昨年(2012年)は31名(s20、m11)、 2011年は震災があって17名(s12、m5)ということですから、毎年10人近くずつ増えているわけです。

 シニア・エイジのギター愛好者がいっそう増加しているのは確かなことですが、当コンクールの認知度が全国的に高まっているとも言えるでしょう。


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競争率6倍

 シニア・エイジの予選では36名の出場者が「ラグリマ」を弾き、予定ではその中から6名が選らばれ、本選出場となります。出場者にとってもたいへん狭き門となるのですが、審査のほうもたいへんですね。覚悟して臨まなければなりません。



楽譜に注意

 なお今回から予選の楽譜が出場者に配られていると思いますが、予選はこの譜面に基づいて演奏しなければなりません。「ラグリマ」のほうは一般に市販されてるものと変わりませんが、ソルの「エチュード」のほうは一般の譜面と、特に第2小節目が異なりますので、注意が必要でしょう。

 第2小節、2拍目の「ラ」が#ではなく、「ナチュラル」になっている訳ですが、これは初版に基づいたものです(第26小節も同じ)。



会場内の熱気を

 ますます白熱するシニア・コンクールを、皆さんもぜひ観戦して、会場内の熱気をぜひ体で感じて下さい。
クラシック・ギター名曲ランキング

<第19位>  ギターのための12の歌 ~12の歌・地球は歌っている (武満徹)

 ロンドンデリーの歌、 オーバー・ザ・レインボー、 サマー・タイム、 早春譜、 失われた恋、 星の世界、 シークレット・ラブ、 ヒア・ゼア・アンド・エブリウェア、 ミッシェル、 ヘイ・ジュード、 イエスタディ、 インターナショナル、




これもちょっと反則ぽいが

 この順位のセレクションも12曲まとめてだとか、本来クラシック・ギターの曲でないとか、やや反則気味ですが、少なくとも今現在ではしっかりとクラシック・ギタリストのレパートリーとして定着していて、リサイタルなどでもしばしば耳にしますので、このランキングの上位を得る権利はあるのではと思います。

 また今回のランキングは音楽的内容よりも知名度や演奏頻度を重視したものではありますが、この曲集はオリジナル作品ではないがギター曲として完成されているといった点は十分に認められているでしょう。


日本が世界に誇る20世紀の作曲家

 日本が世界に誇る20世紀の作曲家、武満徹(1930~1996)氏のギターのための作品としては、「フォリオス」、「すべては薄明の中に」など優れた作品がありますが、演奏される機会としては現在この「12の歌」が最も多くなっています。


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1977年の出版 1曲ずつピースの形で出ていた



荘村清志さんが出版と同時に録音

 この曲集は荘村清志さんのために書かれたもので、1977年に全音出版から楽譜と、東芝から荘村さん演奏のLPが発売されています。1977年の出版では12曲個別にピースとして出版されていましたが、1996年(武満氏の亡くなった年)に12曲まとめた曲集として再発されました。


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1977年の荘村清志さんのLP。 この「12の歌」の初録音。 今年の3月に、荘村さんの初期の他の2枚のLPと3枚組の形でCDとして発売された(現在入手可能)


 その他、全12曲の録音としては、やはり日本人のものが多く、福田進一(1996年)、鈴木大介(1996年)、大萩康司(2008年)さんなどが録音しています。個別の曲としてはジョン・ウィリアムス、村治佳織さんなど、内外の多くのギタリストが録音してます。
 

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1996年の出版 12曲まとめられている


親しみやすさと深い響き

 武満氏の編曲では、メロディはほぼ原曲通りになっていますが、和声、つまり響きは武満氏独特のものとなっていて、親しみやすさと同時に、音楽の深さも感じられる作品となっています。

 私自信では1980年頃「イエスタディ」、「ミッシェル」などを弾いてみたのですが、なかなか手に負えなかった記憶があります。武満氏も言っている通り、演奏は決して容易ではなく、メロディを気持ちを込めて歌わせながら、武満音楽独特の響きを出すためには、かなりの技術と感性が必要でしょう。しかし最近のギタリストはその両方を当然のごとくやっています。



柔軟な精神へのエチュード

「・・・・・ギタリストたちの固定した風景に、もう一つの窓から別の風景を開きたいと考えたのです。『12の歌』はそれぞれに高度な演奏技巧を必要としますが、それはまずなによりも柔軟な精神へのエチュードなのです。」と武満氏は1977年の出版の際に添え書きしています。

 ギターに精通した大作曲家の、この言葉は大きいと思います。今現在のギター界は武満氏の期待した方向に進んでいるのでしょうか。なお1996年版ではこれらの言葉は省かれています。
松村雅亘さんを偲ぶ会


 今日(4月13日) 石岡市ギター文化館でギター製作者の松村雅亘さんを偲ぶ会が行われ、私も臨席しました。松村さんはロベルト・ブーシェのもとでギター制作を学んだ、我が国のギター制作の第1人者の一人でしたが、今年の1月31日に急逝されました。今年のお正月には年賀はがき(実筆の)もいただいていて、たいへん驚きました。


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列席者の所有する松村ギターに囲まれて


 松村さんはいろいろな方と交流し、お話するのが好きな方だったということで、この偲ぶ会には県内外の多くの人が列席していました。私の場合、初対面は7~8年くらい前だったと思いますが、松村さんから見れば遠方の無名のギタリストである私に、まるで古くからの友人であるかように話しかけて下さいました。


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 この偲ぶ会では、生前松村さんろ親しかった方々の話の前後、松村さんの楽器を用いて、小原聖子さん、北口功さんなどの演奏がありました。今日の演奏はステージではなく、フロアーからステージに飾られた松村さんの写真に向かって行われました。


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今日の演奏はステージの松村さんに向かって行われた


 私たちは演奏者の背中越しに松村さんのギターの音を聴いたわけですが、背中越しに聴いても、松村さんの楽器はたいへん重厚で、深い響きをしていました。  
クラシック・ギター名曲ランキング

<第18位>  スペイン風セレナータ《スペイン・セレナード》 (ホアキン・マラッツ)






アストゥリアスやスペイン舞曲第5番と同じく

 作曲家のホアキン・マラッツはアルベニスやグラナドスと同じく19世紀末から20世紀初頭にかけてのスペインの作曲家で、主にピアノ曲を中心に作曲しています。この「スペイン風セレナータ」も原曲はピアノ曲で、タレガの編曲でギター曲として知られています。

 要するに前に登場した「アストゥリアス」や「スペイン舞曲第5番」などと同じ経過をたどった曲といえるでしょう。ギター曲としての認知度、人気度もそれらの曲に迫るものがあります。

 ただ、アルベニスやグラナドスの曲の場合と違うのは、マラッツの作品のうちこの作品だけがギターで演奏され、他の作品は全く演奏されないということでしょう。またピアノのほうでもこの曲を含め、マラッツの作品はほとんど演奏されません。



かつてラローチャの録音があったと思うが

 このスペイン風セレナータのピアノ演奏とか、マラッツの他の作品のCDなども探してみたのですが、残念ながら簡単には入手出来ないようです。以前に確かラローチャのLPが出ていたように思うのですが、CDになっているかどうかわかりません。



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ピアノの演奏のCDは入手出来なかったが、近くの図書館でこの曲の原曲(ピアノ)の譜面をみつけた。こうした曲を弾くピアニストというのはあまりいないのだろう



あまり情報がないが、短い生涯だったよう

 また作曲家のマラッツについての情報も少なく、CDの解説で「生没年1872~1912、スペインの名ピアニスト、アルベニスやグラナドスとも親交があった」といったことがわかる程度です。年齢の順からするとアルベニス→グラナドス→マラッツとなり、3人の中では最も年下となります。40歳で亡くなったようで、短い生涯だったようですね。



一発屋?

 要するに、一般的にマラッツのことで知られているのは、この「スペイン風セレナータ」関してのみということになります。いわば「一発屋」といったところですが、もちろんこれは我々後世の人がそうしてしまっただけで、本人には一切責任のないことでしょう。



作曲自身の録音が残されている

 といったわけで、ここでも作曲家マラッツについてや、マラッツの他の作品については触れることができなにのですが、かろうじて近くの図書館で原曲(ピアノ)の譜面が入手出来ました。またマラッツ自身のピアノの演奏も残されているようです。時代的にはタレガの録音同様瘻管(ワックス・シリンダー)によるものでしょう。

 マラッツがこの曲を録音しているということは、マラッツ自身もこの曲を自らの代表作と考えていたのでしょう。またタレガの編曲があるということは、マラッツの生存中よりギターで演奏され、ギター曲としても知られていたことも想像できます。



タレガのギターへの編曲が知られている

 タレガの編曲は、他の曲同様、比較的自由にギター曲へと移し替えられていて、グリサンドなどの多用の他、原曲にはない繰り返しが付け加えられ、原曲よりも演奏時間が長くなっています。




セゴヴィアは原曲にそって若干修正して演奏している

 録音の方では、何といってもセゴヴィアのものが知られていますが、セゴヴィアは少なくとも2回録音しています(1930、1954)。現在一般に聴かれているのは1954年のLPモノラル録音のほうですが、この年代にしては音質もよく、多くのファンに愛聴された録音です。この曲の人気に大きくかかわる録音といってよいでしょう。

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スペイン風セレナータが収録されているセゴヴィアのLP「プレイズ」(1954年録音)。セゴヴィア・ファンにはたまらない1枚


 セゴヴィアは基本的にはタレガの編曲を用いていますが、グリサンドや原曲にない繰り返しなどを省略するなど、原曲に近い形に修正して演奏していて、後続のギタリストもほぼこのタレガ-セゴヴィア編にそった形で弾いています。

 因みにこのセゴヴィアの編曲の譜面は出版されていません(たぶん)。セゴヴィアはこのような二次的な編曲ものは基本的に出版しない考えのようです。




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イエペスの1989年の録音のCD。他にイエペスとしては珍しい「大聖堂」なども収録されている。しかし現在は入手が難しいかも。セゴヴィア、ブリーム、イエペスとも不思議と晩年の録音は入手が難しくなっている。3人とも晩年にレコード会社を変えているからか。ちなみにジュリアン・ブリームは健在だが演奏活動は行っていない。


イエペスは独自の編曲で演奏している

 ナルシソ・イエペスはタレガ編とは全く別に原曲から直接編曲し、原曲により近い形で演奏しています。録音は1960年前後の6弦ギター時代のものと、10弦ギターを用いた1989年のものがあり、セゴヴィアの演奏などとは全く違った印象があります。なお1960年頃の6弦ギターによるものは今現在でも入手しやすくなっています。