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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

Q&A 手が小さい 


手が小さいためにギターが弾けない人はいない

 前回は、手が小さい、あるいは指が短くてもクラシック・ギターの一部の難曲(バリオスなどの)を弾かない限り、特に問題はないということを書きました。 実際に私のところでギターを習っている人で手が小さいのでギターを弾くのがたいへんだと言う人はいません。 まして手の大きさのためにギターを習うのを断念したなどと言う人はいません。



一部のクラシック・ギターの曲では手が小さいと届かない箇所もある

 しかしだんだんギターが上手になってバリオスやソルなどの曲を弾くとなれば、確かに手の小さい人だとなかなか届かない部分も出てくるは確かです。 今回は質問にもあったとおり、バリオスの「郷愁のショーロ」などを例に、届かない場合の対策についてお話します。



関節が柔軟であれば、かなりカヴァー出来る

 前回の記事のでは、私は手が小さく、1~6フレットまでなかなか届かないと言うことを書きましたが、パク・キュヒさんの例などを考えると、指の関節の柔軟であれば小さ目の手でもかなりのところまで届くようになるようです。 



私も小さいうちからもっとしっかり練習していれば

 キュヒさんが指が拡がるのは小さいうちからギターをやっていたからということですが、おそらく年少の頃から左手の難しい曲なども練習していたのでしょう。 私も10歳頃からギターをやってはいましたが、その頃はほとんど単旋律程度だったので、あまり左手を拡げるようなことはしませんでした。

  

それでも左小指は長くなっている

 それでも一応、成長期前にギターを始めたせいか、左の小指が右の小指に比べてかなり長くなっています。  私の場合、成長期(急に身長が伸びる時期)は12、3才頃だったので、ギレギレのタイミングだったのでしょう。



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左右の小指の付け根を合わせたところ。 指先の位置が違うのがわかると思う。 それぞれの関節のしわの位置も違っている。


 長さが違うといっても1cm弱くらいですが、それでもかなり助かっています。 おそらくギターを始めるのがあと1年遅かったら、届かない部分も今よりずっと多かったでしょう。 しかしこれはあくまで”小指限定”の話で、他の指の長さは左右全く同じです。 こうしたことは、小さいうちからギターをやっていた人に共通したことらしく、人間の指はそのように出来ているようですね。

 




バリオスの「郷愁のショーロ」

 さて、それでは質問にもあったバリオスの「郷愁のショーロ」から具体的な話を始めましょう。 下の譜面はヘスス・ベニーテス編(全音出版1977)で、1ページ目の最後の段です。 問題なのはこの段の4小節目です。



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バリオスの「郷愁のショーロ」 ベニーテス編(全音)の1ページ目の最後の段。 この段の4小節目が問題のところ。 




有名な箇所?

 バリオスは手が大きかったようで、手が小さい人には押さえられないところがたくさん出てきます。 上の譜面は「郷愁のショーロ」のベニーテス編(全音)の1ページ目の最後の段で、この段の4小節目はある意味”有名”なところです。 その1拍目は下の写真のように小指、薬指が①弦、③弦の6フレット、中指が④弦の5フレットで、人差し指が⑥弦の2フレットです(⑤=G、⑥=D)。

 

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4小節目の1拍目を押さえたところ。 一見押さえられているように見えるが、実際にはちゃんと音が出ない。 え? さらにもう1フレット分拡げろだって? そんなご無体な! 



全くのお手上げ状態

 上の写真は、私がこの4小節目の1拍目を押さえた床ところです。写真では一応押さえられているように見えますが、実際にはちゃんと音にはなりません。 さらに次の拍では人差し指が1フレットに行かなければならなず、これはもう絶対にお手上げ! 
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昨日(9月28日) 石岡市ギター文化館で中村ギター教室発表会を行いました。


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出演者16名を含め、約50人による発表会となりました。 演奏の方は前回のプログラムどおりで、14:00に開演し、16:15頃終わりました。 


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 私はステージそでのほうで聴いていたのですが、ここで聴くと普段レッスン室で聴いている時よりなかなかよい音に聴こえます。 特に高音がきれいによく伸び、日頃 「高音が小さいですね、高音のメロディはもっとしっかりとした音で弾いて下さい」 などと言っていた生徒さんも、ここで演奏するとちょうどよいバランスに聴こえます。


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 あらためてギターの音は演奏する場所でかなり変わるものだなと思いましたが、演奏者もバランスに気を付けてしっかりと練習したのでしょう。 全体的にレッスンや、リハーサルの時より良く聴こえた感じでした。


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 私の今回の演奏曲はドリ・カムにロック系の曲と、やや意外なところでしたが、楽しんでいただけていたら幸いです。 「森に夢見る」はまだ若干練習中といった感じが否めませんね。


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 当教室の今後の行事としては、11月30日(日)にひたちなか市文化会館で 「水戸ギター・アンサンブル演奏会」を行います。後日詳細などをお知らせしますので、またよろしくお願いいたします。
<中村ギター教室発表会> 

9月28日(日)14:00 ギター文化館  入場無料




 今度の日曜日、 石岡市のギター文化館で教室の発表会を行います。 どなたでも入場出来ますので、ぜひ聴いてみて下さい。 曲目などは前回の記事より、若干の変更があります。




     <曲目と演奏者>

1.ロンド ニ長調(F.カルリ)              中村俊三  佐藤智美  
2.ロマンス(J.メルツ)                     奥山 論
3.二つのギター(ロシア民謡)                小池清澄
4.ラグリマ、アデリータ(F.タレガ)              赤沼増美
5.島唄(宮沢和史)                       澤畑敦史
6.禁じられた遊び(A.ルビラ他)                鈴木俊彦
7.悲しみの礼拝堂(V.ゴメス)                清水和夫
8.小さなロマンス(L.ワルカー)                 甲斐 洋
9.ラグリマ(F.タレガ) エチュード(N.コスト)         根本 滋
10.アランブラの想い出(F.タレガ)               関 義孝
11.プレリュード(チェロ組曲第1番より~J.S.バッハ)    有我 等
12.ベニスの舟歌、春の歌(無言歌集より ~F.メンデルスゾーン)   中村俊三  佐藤眞美
13.エストレリータ(M.ポンセ)  ロシータ(F.タレガ)           及川英幸
14.イタリア風舞曲(H.ノイジトラー)              石川博久
15.練習曲イ長調(F.ソル)                   佐藤智美
16.リュートのための4つの小品(作者不詳)         佐藤眞美
17.クリスマスの歌(A.バリオス)  ワルツ第4番(A.バリオス)       中川真理子
18.未来予想図Ⅱ(吉田美和)  悲しみの恋人たち(S.ワンダー)   ヘイ・ヘイ・ヘイ(W.ブルーンジー)
   森に夢見る(A.バリオス)                  中村俊三
大萩康司(ギター) 三浦一馬(バンド・ネオン) ちょっとお昼にクラシック 

 9月20日(土) 13:30  水戸芸術館ATMホール



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      大萩康司


  ≪プログラム≫

ピアソラ : <タンゴの歴史>より、「酒場、1900」、「ナイトクラブ 1960」

フォーレ(シーファー編) :  シシリアンヌ、 夢のあとに

ピアソラ(マルコーニ編) : アディオス・ノニーニョ  ~三浦ソロ

ジョビン(ディアンス編) : フェリシダージ  ~大萩ソロ

ピアソラ(三浦一馬編) : <タンゴ組曲>より アンダンテ、アレグロ


  ≪アンコール曲≫

ピアソラ : リヴェルタンゴ
              
ディアンス(三浦一馬編) : タンゴ・アン・スカイ
          


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     三浦一馬




時間も短いが入場料もリーズナブル

 昨日水戸芸術館で大萩康司、三浦一馬さんのギターとバンド・ネオンのコンサートを聴きました。 ”ちょっとお昼に”ということで演奏時間は休憩なしの1時間と少々と、やや短いものになっています。 その分入場料も1500円と、この芸術館の他の企画のコンサートにくらべてリーズナブルになっています。



ほぼ満席状態、ステージ後方の座席にも

 席の方はほぼ満席状態で、この二人の若い音楽家の人気ぶりが窺われます。 ギタリストの大萩君については、当ブログでも何度か書きましたが、三浦一馬さんのバンド・ネオンは何年か前にイ・ソリスティ・イバラキの演奏会で聴きました。

 今日のコンサートは、ステージ後方の席まで聴衆で埋まっています。 確かにオーケストラやピアノのコンサートではこの後ろ側の席は演奏者に近く、ピアニストの指の動きがよく見えたり、指揮者の表情が見えたり(しかも料金が安い!)と、意外と良い席で、私も場合によっては、コンサートによってはあえてこの後ろ側の席を買ったりします。

 しかしギターのコンサートとなると、完全にギタリストの背中側から聴く、あるいは見ることになるので、さすがに敬遠したいところもありますが、やはり今話題のミュージシャンですね。 そうしたことなどいとわぬファンがたくさんいるのでしょう。



後ろ側の席で聴いていた人の話によると

 その後ろ側の席で聴いていた人の話によると、大萩君のギターはマイクを使用し、やや後ろに楕円体形のスピーカーが置いてあったそうです。 例の話題のギター用スピーカー”イクリプス”だと思いますが、私が座った席からは全くわかりませんでした。 芸術館の場合、基本的にアンプなどは使うことがないので、当然”生”の音と思っていました。 

 聴いた感じでは、全く生音と変わりなく、ギターの音があまり小さくならずに、バンド・ネオンとのバランスが上手く取れているな(バンド・ネオンのほうが音は大きいが)、と感じました。 時折、「ちょっと変わった響きだな」と思う時はあったものの、まさかアンプを使用しているとは思いませんでした。



やはりスグレモノのスピーカー

 確かにこのスピーカー・システム、優れものですね、聴いた感じではほとんど生の音にしか聞こえません。 特にこうした”合わせもの”では絶大な威力を発揮するようです。 またこういった”裏事情”がわかるのも”後ろ側の席”の利点かもしれませんね。



全て編曲ものだが

 さて、コサンートのほうですが、バンド・ネオンということで、ピアソラのタンゴを中心としたプログラムになっています。 しかしギターとバンドネオンのためのオリジナル曲というのはなく、 それぞれ編曲ものですが、最初の「タンゴの歴史」はオリジナルではフルートとギター、最後の「タンゴ組曲」はギター二重奏曲です。



こちらのほうがホンモノに聴こえる

 大ざっぱに言えばギター・パートはオリジナルどおりで、もう一つのパートの方はフルート、およびギターからバンド・ネオンにアレンジしたと言うことでしょう。 しかしピアソラ本人はバンド・ネオン奏者なので、聴いているうちに「こちらの方が本物かな」と思うほど自然な感じです。

 またどういった形で演奏されてもピアソラはピアソラだなと言った感じもします。 ピアソラ自身も基本となる素材は同じでも、おそらく同じ曲を同じように演奏することはなかったのではないかと思います。 ピアソラの音楽というのは非常に可塑性の高いものなのでしょう。



アンコールはバンド・ネオン付のタンゴ・アン・スカイ

 アンコールで弾いたディアンスの「タンゴ・アン・スカイ」はオリジナルのギター独奏に三浦さんがバンド・ネオンで音を添えているのですが、弦楽四重奏版よりずっとタンゴぽい感じがしました。



普通に”お昼にクラシック”でも

 前述のように、このコンサートは休憩なしで1時間とちょっとなのですが、やはりもうちょっと物足りない気もしました、それだけ内容も良かったということでしょう。 大萩君は、「お昼なので、あまりもたれないように」と話していましたが、個人的には音楽上の事だったら、昼からステーキでも全く問題ないと思います。 ・・・・ただし本当の食事では昼からステーキは遠慮したい!

 ”ちょっとお昼に” ではなく、”普通にお昼にクラシック” でも良かったかな?



パク・キュヒ ギター・リサイタル


 昨日(9月15日) 日立市シビックセンター音楽ホールでパク・キュヒさんのリサイタルを聴きました。 最近話題のギタリストなので、皆さんもご存じかも知れません。 キュヒさんは韓国生まれだそうですが、日本での生活も長く、ギターも日本で学んだそうです。



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 そういえば15年くらい前だったか、都内でたまたま彼女がレッスンを受けているところに居合わせた記憶があります。見た感じでは小学生低学年といった感じでしたが、実際はもっと年上だったのかも知れません。 その時、いずれは優れたギタリストになるのではと思いました。


今日は風邪気味の人が

 スカルラッティの3つのソナタからこの日のリサイタルが始まりましたが、このシビック・ホールはギターのリサイタルを聴くには、やや大きすぎ、ちょっと音が遠いかなといった感じがし、またどうも今日は風邪気味の人が多いようで、あちこちからそうした音が聞こえてきます。
 
 しかしそれも最初のうちだけで曲が進むにつれてかなりクリヤーな音に聴こえてきます。 また咳の音もいつの間に家か聞こえなくなり、集中して聴くことが出来るようになりました。 キュヒさんの音はたいへんクリヤーで美しく、また音色の変化も豊かです。



完璧にコントロールされたスカルラッティは美しい

 音楽的にも技術的にも完璧にコントロールされていて、プログラムとしては指ならし的に置かれた曲かも知れませんが、この日の演奏の中で最も優れたものの一つではないかと思いました。 リピートは省略していたようで、やや手短に終わってしまった感じですが、フル・リピートでもよかったかな。



どの変奏も後半に向かってクレシェンド

 美しく演奏し終えたスカルラッティに比べて、ソルの「魔笛の主題による変奏曲」では、各変奏とも次第に盛り上がるように演奏し、情熱を感じる演奏になっていました。 普通押さえ気味に弾かれる短調の第2変奏は力強く、明るい第3変奏は音量をやや落とし、軽めに弾いていたのが印象的でした。



あまり引きずらない?

 バリオスの「フリア・フロリダ」は、譜面上ではメロディが主に低音弦のハイポジション使用になっていて、また急に弦やポジションが変わったりでちょっと弾きにくく、特に主旋律をつなぐのが難しくなっています。 その関係で上手く弾かないと主旋律が行方不明になったりしてしまうこともあります。

 キュヒさんはそうしたものをロー・ポジションを主とした運指に変え、たいへんわかりやすく、すっきりとした演奏になっています。  ・・・・・・・余計なことだが基本的には恋の歌なので、もっと不条理な面があっても  ・・・・・いや最近の若い女性はあまり引きずらないのでしょう。

 同じバリオスの「ワルツ第3番」は、部分的には一般的に出回っている譜面とあまり違いはないのですが、繰り返しの順番など、ちょっと変わっています。 「大聖堂」も一般的な版を使用しているようですが、第3楽章はかなり速く、力強い演奏でした。



やはりトレモロは美しい

 前半の最後は「最後のトレモロ」で締めくくられれました。 最近の若いギタリストの多くは、トレモロ奏法をたいへん美しく弾きますが、キュヒさんもその一人でしょう。 よく聴けば速めのテンポで演奏しているのでしょうが、聴いている感じではその速さはあまり感じられません。 それだけ美しいのでしょう。 40年くらい前だったら、こんなに美しくトレモロを弾く人はあまりいませんでしたね。



小指が外側に曲がる!

 前にキュヒさんの演奏をテレビで見たことがありますが、 体も小さいが、手も小さい。 よくそんな手ででギターが弾けるなと思うくらいです。 しかしキュヒさんの左小指はなんと外側に曲がる! なるほど、これなら手が小さくてもあまり困らないなと思いました。

 私のブログでは今現在「手が小さい」というタイトルで記事を書いていますが、手が小さくても指の関節が柔らかければ全く問題はないといった良い例かも知れません。 キュヒさんはその小さな手で、運指などの変更もなく、しっかりと音を出しています。



ヒナステラのソナタはたいへん楽しめた

 後半のプログラムは「アランブラの想い出」、ジスモンチの2曲、ヴィラ=ロボスの3曲、 そしてヒナステラの「ソナタ」となっていました。 この中でジスモンチとヴィラ=ロボスの曲は最近リリースされたCDからのようです。

 後半のプログラムの中では、何といっても最後のヒナステラが最も印象深ったと思います。 アルゼンチンを代表する作曲家、アルベルト・ヒナステラのギターの作品はこの曲1曲しかありませんが、優れたギターの作品の一つと言えるでしょう。

 この曲はギターの様々な演奏技法が用いられ、どう聴いてもギタリストの作品にしか聴こえませんが、ヒナステラはギタリストところか、全くギターが弾けないそうです。 ギターのことを大変よく研究したのでしょうが、基本的には想像力で作品を書いたのでしょう、恐れ入ります。 4楽章形式のそれなりに長い曲なのですが、キュヒさんの演奏では全く長さを感じることもなく、とても楽しめました。



騙されてはいけない!

 キュヒさんはヴィジュアル的には最近の韓流ポップ・アイドルと言った感じですが、たいへん硬派なところもあるのでしょう。見た目も声もかわいいが、それに騙されてはいけない!
 
<ギター上達バーチャルQ&A>



手が小さい

Q1 : ギターを始めたいと思っているのですが、私はかなり手が小さいので弾けるようになるかどうか心配です。 ギターは手が小さいと難しいのでしょうか。 因みに私の身長は164cmくらいしです。
                                            
                                              50代  男性




郷愁のショーロが弾けない

Q2 : バリオスの郷愁のショーロが弾きたいのですが、何か所かどうやっても左手が届かないところがあります。 特に小指、薬指が6フレットで、人差し指が1フレットになるところなどどうやっても押さえられません。 

 一応譜面には代わりの弾き方も書いてあるのですが、それでも押さえにくく、また聴いた感じも不自然になってしまいます。 同様な箇所が他のバリオスの曲や、シャコンヌのアルペジオの部分にもあります。 よい解決法があったら教えて下さい。
                                             
                                             年齢不詳  女性





A : 


手が小さくてギターが弾けない人はいない

 このような質問はよくありますね、似たような質問なので一緒にお答えしてゆきましょう。 Q1のような質問は入学の問い合わせの時によくあります。 「手が小さい、あるいは指が短いのでギターを弾くのは無理なんじゃないか」 と心配する人は多いようですが、これまで多くの人を教えてきた中で手が小さくてギターが弾けなかったという人はいませんでした。



手が小さくて押さえられない曲は特別な曲

 確かにQ2のようなクラシック・ギターのごく一部の曲には手の小さい人だと、どうやっても届かない箇所が出てきますが、それはかなり特殊というか、相当上達しないとそういった曲に出会うことはないでしょう。 どのみち、そういった曲はたとえ手が大きい人でもそんなに簡単には弾けません。



自慢ではないが、私も手が小さい

 つまり普通に趣味でギターをやる場合には、手の大きさなど特に気にする必要はないでしょう。 私の手もかなり小さいですが、まあ、そこそこ(?)弾けています。 私も身長が161cmほどしかなく、男性としてはかなり小さい方で、したがって手もかなり小さい方です。 この質問者も少なくとも私よりは手が大きいのは間違いないでしょう。

 私の身長は女性では平均くらいと思いますので、女性では私より手の小さい人がたくさんいることになりますが、しかし私と同じくらいの身長の女性は必ず私より指が長いようです(足も長い!)。 とすれば、結局男女を合わせても私の指は短いようです。




私の方が優っているのは年齢くらい?

 一般に男性の場合は指が短くても手のひらの横幅があり、女性の場合は手のひらが小さくても指が長くなっているようです。 私の家内は私より3cmほど身長がありますが、指の方は私よりずっと長くなっています。足の長さはもっと違い、もしかしたら私より10cm近く長いでしょう。 私の方が家内より数字が大きいのは年齢くらいかも知れません。

 実際にギターを弾く場合は、指の長さよりも手のひらの幅がある方が有利のようですが、やはりもっとも大事なのは指の関節の柔軟性ということになるでしょう。 いくら練習しても指が長くなることはありませんが、ちゃんと練習すれば指の柔軟性は付くはずなので、練習してゆけば、最初は届かないところでもだんだん届くようになってくると思います。




 
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1フレットから4フレットまで指を拡げたところ。 ほとんどの人は出来るのでは。

 上の写真は1フレットと4フレットを押さえたところですが、だいたいこの範囲指が広がれば、だいたいギターは弾けるでしょう。 おそらく小学生や手の小さい女性でも、この1~4フレットは届くのではないかと思います。すくなくとも中級程度のレパートリーにはこれ以上指を拡げなければならない曲はないと思います。

 



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1~5フレットまで拡げた場合。 人によってはやや苦しいかも。

 上は1フレットから5フレットまで指を拡げたところで、手の小さい人にとってはやや苦しいかも知れませんが、トレーニングを積めば十分広がるようになるでしょう。




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1~6フレットまで拡げたところ(拡げたつもり?)。 ちょっと無理があるかな。

 これは6弦の1フレットと1弦の6フレットを押さえたところ(押さえたつもり?)です。 見て分かる通り、これでは音にはならないでしょう。 つまり私にはこれは不可能で、こういった曲を弾く場合には何らかの対策を立てなければなりません。 しかしご安心下さい、こんな曲はそれほどたくさんはありません。 

 因みに創(私の息子の)は1~7フレットまで楽に届いてしまいます。 つまり私より2フレット分余計に広がるわけですが、その長所を活かせる曲はそうたくさんはありません。

  





<手っ取り早いギター上達法 その9>  

 発表会、フリーコンサート、コンクールなど、出来るだけ数多く人前で演奏する



なまじ家でちまちまやるより

 仕事やスポーツでも数多く実践の場に立つことはとても大事。 ギター上達においても発表会、フリーコンサート、コンクール、さらにホーム・パーティ、結婚式など、人前で演奏を出来る限り多くしてみる。 なまじ家でちまちまと練習するよりも緊張する場で演奏する方が刺激があってずっと上達するに間違いない。 

 多くの人の場合、家で一人で弾いている時には結構上手く弾けても、ステージでは緊張してなかなか自分の実力が出せない。 どのような場でも常に自分の実力を出せるようにするには、ともかくそうした場に慣れるしかない。 またステージなどで緊張して弾くほうが、普段家で練習している時よりもずっと集中力が高まり、練習の効果も高いとも言える。 



一流のギタリストも当然

 現在の一流となったギタリストたちも、当然のことながら若い時から数多くのステージ経験を積んでいる。 「ステージに立つのは、もう少し上手くなってからにしよう」 では遅いし、「今のレヴェルでは人に聴かせられない」ではいつになっても上達しない。 上手く弾けても弾けなくても気にせずどんどん人前で演奏するのみ!





私の評価     ☆☆☆☆



私も同感だが

 これは説得力ありますね、確かによく言われることです。 上達のためにはなるべく数多くステージに立ったほうが良いと言うことには私も同感です。 それでも☆4つにしたのは、ステージで弾くことと同時に日々基礎的なトレーニングに励んだり、様々な音楽を聴いたり学んだりといった事柄が伴わなければあまり効果がないと言う点によってです。

 もっとも、積極的にステージに立つ人というのは、当然のことながら日々の勉強やトレーニングを怠らないのでしょうが、 一部そうでない人、つまりあまり家では練習しなかったり、先生などについて基礎からちゃんと勉強していない人も、少数ながら存在するのも確かでしょう。



試合には絶対に出ないのも、試合しかしないのも

 野球においても、チャッチボールやトス・バッティング、ノック、ランニングなどの練習は好きでよくやっているが、試合に出るのは嫌い、あるいは何らかの理由で試合に出られない、などと言った場合ではあまりよい選手にはなれないと思いますが、 かといって練習は全く行わず、毎週日曜日ごとに試合をするだけの草野球チームでやっても、あまり上手くはならないでしょう。



ステージ慣れ=上達ではない

 結局、日々の練習とステージでの練習とは良いバランスを取って行うのが最良ということになるでしょう。 確かに数多くステージに立てばいわゆる”ステージ慣れ”して、ステージでもあまり緊張せずに普段通りに弾けるようになるかも知れません。 しかし ステージ慣れ=上達 では決してありません。 



毎回同じ曲を弾くか、弾けない曲を弾くかどちらか

 例えば、毎週日曜日ごとに、どこかで演奏するとしましょう。 仮にこの人が仕事などを持っている人だとしたら、当然まとまった時間練習出来る時間はあまりなくなります。 となれば同じ曲を毎週演奏するか、または練習不十分な状態で演奏するかどちらかとなるでしょう。



ステージ慣れはよいことばかりではない

 またステージ慣れすと言うことは演奏の前の日などでも、「いつものことだから」とあまり緊張しなくなり、少なくとも必死に練習したりなどはしなくなります。 また多少失敗したとしてもあまり気にならなくなります。 こうした状態になると例えステージで数多く演奏しても、「ステージ慣れ」と言ったこと以外では、あまり期待出来なくなるでしょう。

 ステージでの演奏の緊張感とか、あるはステージでの失敗の記憶というのは上達のための重要な原動力とも言えるのでしょう。 多少の緊張に打ち勝つ技術の習得、失敗の原因を探りそれを修正してゆくことで本当の実力が付くのではと思います。



取り組み方さえ変えれば

 数多くステージで演奏しているという愛好者の中にも、少数派ではあるかも知れませんが、残念ながら基礎力の不足と思われる人も散見されるのは確かです。 あるいは基礎を学ぶことの重要性の認識がやや不足しているのかも知れません。 しかしこうした人たちは非常に熱心にギターに取り組んでいるというこは間違いないので、考え方や練習の方法を変えることで、一層上達が望めるでしょう。



実際はその逆の人が多い

 しかし私の周辺ではこうした「積極派」よりは、 「まだあまり上手くないから人前で弾くのはやめておこう」 という人の方がずっと多いようです。 やはり「もう少し上手くなってからステージで弾こう」 というのでは遅すぎますし、最初の機会を失うと、その後ずっと人前で弾く機会がなくなるということもよくあります。 



発表会には、あまり上手くなっていない時期に、なるべく簡単なものから弾くのがコツ

 ギターを始めて、とりあえず曲らしいものが弾けるようになったら(1~3年くらい)、まずは発表会などで弾いてみることをお薦めします。 最初は本当に簡単なものでよいでしょう。 クラシック・ギターの曲でなく、簡単なメロディに簡単な伴奏が付いたようなものでもよいですし、また単旋律に先生などに伴奏をしてもらうなどでもよいでしょう。

 私の経験や考えでは、人前で弾く、つまり発表会に出るのは、なるべく早い時期、あまりまだ上手くなっていない時のほうがよいようです。 初心者の時ほうがハードル低く、「上手く弾けなくて当然 」といった気持で演奏に臨めますのでかえって緊張しません。 



「また今度」と思う人は次も「また今度」となる

 また多少上手くなったからといって、ステージで緊張しなくなると言ったものでもありません。 「この次の機会から出よう」 と思う人は、多分次の機会にも 「この次から出よう」 と考えるものです。



年に2,3回~10数回
 
 と言った訳で、結論としては最初に言いました通り、日々の勉強、トレーニングと、自分の演奏を人に聴いてもらうことの両方が大事ということになります。 では具体的に人前で弾くのはどれくらいの頻度がよいかというと、だいたいで言えば、年間2,3回~10数回 といったとこでしょうか。

  教室でギターを習っている場合、教室の発表会は多くても年に1~2回程度と思いますので、年に10数回ということは他に自分で演奏する機会を見つけなければなりません。 何人かでサークルを作ってお互いに聴き合うのもよいでしょうし、また最近ではギター専門店その他で”フリーコンサート(若干の会費を払うと誰でも演奏出来る) などを行っていますので、そうしたものに出演するのもよいでしょう。 またアマチュア向けのコンクールなども最近では各地で行われています。

 また、たくさん演奏する機会がある場合は、毎月コンスタントに演奏するよりも、ある時期は家でも練習や教室でのレッスンに集中し、 ある期間はステージでの演奏に集中するような形のほうが効率的と思われます。



・・・・・・・・


最初の質問者は今頃

 さて、「手っ取り早いギター上達法」といったタイトルで一般に言われているような練習法を検証してきました (誰も言っていないような方法が多い?)。 中には確かにお薦めしたような効果的な方法もありましたが、少なくとも 「基礎とか努力とか、地道とかでなく」 というわけには行かないようです。 質問者の期待には全く添わない形にはなってしまいましたが、おそらくその質問者も今頃はすっかり当記事など相手にしなくなっていることと思います。 

 この質問者にはたいへん申し訳ないことになったとは思いますが、やはりギターを弾くというのは日々努力の積み重ね以外の何者でもないようですね。  ・・・・・そんなこと最初からわかっていた?  確信犯?
  

 といったところでこの質問に対する回答はここまでにして、また次の質問受け付けます。