<第17回水戸ギター・アンサンブル演奏会 6>
曲目解説
<7重奏>
アストル・ピアソラ : ブエノスアイレスの夏
「夏」で始まり、「春で」終わる
タンゴの巨匠、アストル・ピアソラには 「ブエノスアイレスの四季」 という曲があります。 前回お話したヴィヴァルディの「四季」同様に、「春、夏、秋、冬」の4曲からなりますが、4曲続けて演奏する場合の演奏順としては、 「夏、秋、冬、春」 の順に演奏することを前提としているようです。 というのも、暗く、内面的な「冬」で終わるより、活発で明るい「春」で終わった方がまとまりがよいからなのでしょう。

バージョンによってかなり違う
この4曲中、「夏」 は最も早く作曲され、おそらくこの「夏」をきっかけとして全4曲作曲することになったものと思われます。 そうしたこともあって、ピアソラ自身、この「夏」は何度か演奏していて、その録音もいくつか残されています。 ピアソラの曲はクラシック音楽ではないので、細かい部分まではっきりと作曲されているわけではなく、即興が入る余地も多く、ピアソラ自身演奏する度に違ったバージョンで演奏しているようです。
特にこの曲に関してはバージョンによっての違いは大きく、バージョンによっては全く違う曲にも聴こえます(かろうじて素材が同じになっているだけ)。 今回の演奏はおそらく最初のバージョンと思われる、1970年の演奏を基にしています。
ギター・ソロでは、バルタサール・ベニーテス版とアサド版などがよく演奏されます。 どちらもこの1970年版を基にしているようですが、アサド版は比較的オリジナル(ピアソラ演奏の)に近く、 ベニーテス版のほうはギターで演奏しやすいように大胆にアレンジしています。
結構 ”様” になってきたかな
今回演奏する私のバージョンは、リヴェル・タンゴ同様、数年前に演奏した時のものです。 この1970年版のエンディングは、各奏者が即興的に演奏している部分となっています。 なかなか面白い部分なのですが、コピーするのが難しく、数年前は何度も何度も書き直しました。 その時苦労した甲斐があってか、今回は結構スムーズに出来て、結構 ”それっぽく” なっています。 ちょっとした聴きどころだと思います。
アストル・ピアソラ : ブエノスアイレスの春
フーガ風に始まる
前述のとおり、この 「春」 は4曲中、もっとも華やかに出来ているのですが、その分当然のことながら、技術的には難しくなっています。 特に、冒頭は3声のフーガ風で、さらにそのテーマが細かい音符でシンコペーション多用型になっています。 これをきっちり合わせるのはたいへん難しいところです。 でも、このフーガ風の部分には私は全くからまないので、ちゃんと出来ています。 ・・・・・それ、どういう意味? もちろん信頼できるメンバーが揃っているということで・・・・・・・

変拍子や、速いパッセージも
さらに、その箇所以外でも、あちこちに変拍子が出てきたり、細かく、速いパッセージも多く、ちょっと困った曲ではあります。 ちょっと苦労はしましたが、なかなか面白い曲であるのは間違いありません。 スリリング(?)な魅力を感じていただければ。 曲は前後の速い、活発な部分の間に、ゆっくりと歌う部分が挿入されています。
<全体合奏>
フェルナンド・ソル : ロンド (ソナタハ長調作品22第4楽章)
独奏曲を合奏曲にした
最後の2曲は、再び全体合奏(19名による)ですが、この曲は上記のとおり、古典期のスペインのギタリスト、フェルナンド・ソルのギター独奏曲を私がギター合奏曲にしたものです。 ソルはギター曲以外にもオーケストラ曲やオペラ、バレー音楽なども作曲していました。

「ロンド」の原曲
華やかで、キレのある曲に
この「ロンド」の原曲は軽快で楽しい感じの曲ですが、 合奏曲へのアレンジとしては、ソルのオーケストラ曲をイメージして、華やかで、引き締まったキレのある曲にしたいと考えました。 調をハ長調からト長調に移調し、アルト・ギター、バス・ギターを使用することなどで音域をかなり拡大し、伴奏形も華やかにし、対旋律なども付け加えました。

私のギター合奏版
今年の7月の水戸市民音楽会(水戸芸術館)でも演奏しましたが、なかなか面白くなっていると思います。 ちょっとモーツァルトぽくも聴こえるかも知れません。
アルバート・ケテルビー : ペルシャの市場にて
実際に見てきた訳ではなく
この曲は、イギリスの作曲家、アルバート・ケテルビーが、1920年にラジオ放送のために作曲した曲で、ぺルシャのとある市場の様子を音楽にしたものです。 「ペルシャの市場の様子」といっても実際に行って見てきたというよりは、想像で書いたものと思われます。

古き、よき時代
ラクダの隊商から始まって、乞食たち、王女様の行列、奇術師、蛇つかい、太守の行列んどが次々に表れ、去ってゆくといった様子が音楽にされています。 たいへんわかりやすく、オーケストラの名曲として親しまれています。 ギター合奏やマンドリン合奏の定番曲にもなっていて、水戸ギター・アンサンブルでもこれまで何度か演奏しています。
中東というと、今現在ではあまりのどかなイメージはありませんが、”古き、良き時代” ということでしょう。
明後日となりました
それでは演奏会は明後日となりました。 ぜひお立ち寄りいただければと思います。 開場は13:30からで、入場無料となっています。 ・・・・・・・え? ブログ読んだら、もう聴きに行った気になれた? 別に行かなくてもいい? ・・・・・・ま、ま、そう言わず。
曲目解説
<7重奏>
アストル・ピアソラ : ブエノスアイレスの夏
「夏」で始まり、「春で」終わる
タンゴの巨匠、アストル・ピアソラには 「ブエノスアイレスの四季」 という曲があります。 前回お話したヴィヴァルディの「四季」同様に、「春、夏、秋、冬」の4曲からなりますが、4曲続けて演奏する場合の演奏順としては、 「夏、秋、冬、春」 の順に演奏することを前提としているようです。 というのも、暗く、内面的な「冬」で終わるより、活発で明るい「春」で終わった方がまとまりがよいからなのでしょう。

バージョンによってかなり違う
この4曲中、「夏」 は最も早く作曲され、おそらくこの「夏」をきっかけとして全4曲作曲することになったものと思われます。 そうしたこともあって、ピアソラ自身、この「夏」は何度か演奏していて、その録音もいくつか残されています。 ピアソラの曲はクラシック音楽ではないので、細かい部分まではっきりと作曲されているわけではなく、即興が入る余地も多く、ピアソラ自身演奏する度に違ったバージョンで演奏しているようです。
特にこの曲に関してはバージョンによっての違いは大きく、バージョンによっては全く違う曲にも聴こえます(かろうじて素材が同じになっているだけ)。 今回の演奏はおそらく最初のバージョンと思われる、1970年の演奏を基にしています。
ギター・ソロでは、バルタサール・ベニーテス版とアサド版などがよく演奏されます。 どちらもこの1970年版を基にしているようですが、アサド版は比較的オリジナル(ピアソラ演奏の)に近く、 ベニーテス版のほうはギターで演奏しやすいように大胆にアレンジしています。
結構 ”様” になってきたかな
今回演奏する私のバージョンは、リヴェル・タンゴ同様、数年前に演奏した時のものです。 この1970年版のエンディングは、各奏者が即興的に演奏している部分となっています。 なかなか面白い部分なのですが、コピーするのが難しく、数年前は何度も何度も書き直しました。 その時苦労した甲斐があってか、今回は結構スムーズに出来て、結構 ”それっぽく” なっています。 ちょっとした聴きどころだと思います。
アストル・ピアソラ : ブエノスアイレスの春
フーガ風に始まる
前述のとおり、この 「春」 は4曲中、もっとも華やかに出来ているのですが、その分当然のことながら、技術的には難しくなっています。 特に、冒頭は3声のフーガ風で、さらにそのテーマが細かい音符でシンコペーション多用型になっています。 これをきっちり合わせるのはたいへん難しいところです。 でも、このフーガ風の部分には私は全くからまないので、ちゃんと出来ています。 ・・・・・それ、どういう意味? もちろん信頼できるメンバーが揃っているということで・・・・・・・

変拍子や、速いパッセージも
さらに、その箇所以外でも、あちこちに変拍子が出てきたり、細かく、速いパッセージも多く、ちょっと困った曲ではあります。 ちょっと苦労はしましたが、なかなか面白い曲であるのは間違いありません。 スリリング(?)な魅力を感じていただければ。 曲は前後の速い、活発な部分の間に、ゆっくりと歌う部分が挿入されています。
<全体合奏>
フェルナンド・ソル : ロンド (ソナタハ長調作品22第4楽章)
独奏曲を合奏曲にした
最後の2曲は、再び全体合奏(19名による)ですが、この曲は上記のとおり、古典期のスペインのギタリスト、フェルナンド・ソルのギター独奏曲を私がギター合奏曲にしたものです。 ソルはギター曲以外にもオーケストラ曲やオペラ、バレー音楽なども作曲していました。

「ロンド」の原曲
華やかで、キレのある曲に
この「ロンド」の原曲は軽快で楽しい感じの曲ですが、 合奏曲へのアレンジとしては、ソルのオーケストラ曲をイメージして、華やかで、引き締まったキレのある曲にしたいと考えました。 調をハ長調からト長調に移調し、アルト・ギター、バス・ギターを使用することなどで音域をかなり拡大し、伴奏形も華やかにし、対旋律なども付け加えました。

私のギター合奏版
今年の7月の水戸市民音楽会(水戸芸術館)でも演奏しましたが、なかなか面白くなっていると思います。 ちょっとモーツァルトぽくも聴こえるかも知れません。
アルバート・ケテルビー : ペルシャの市場にて
実際に見てきた訳ではなく
この曲は、イギリスの作曲家、アルバート・ケテルビーが、1920年にラジオ放送のために作曲した曲で、ぺルシャのとある市場の様子を音楽にしたものです。 「ペルシャの市場の様子」といっても実際に行って見てきたというよりは、想像で書いたものと思われます。

古き、よき時代
ラクダの隊商から始まって、乞食たち、王女様の行列、奇術師、蛇つかい、太守の行列んどが次々に表れ、去ってゆくといった様子が音楽にされています。 たいへんわかりやすく、オーケストラの名曲として親しまれています。 ギター合奏やマンドリン合奏の定番曲にもなっていて、水戸ギター・アンサンブルでもこれまで何度か演奏しています。
中東というと、今現在ではあまりのどかなイメージはありませんが、”古き、良き時代” ということでしょう。
明後日となりました
それでは演奏会は明後日となりました。 ぜひお立ち寄りいただければと思います。 開場は13:30からで、入場無料となっています。 ・・・・・・・え? ブログ読んだら、もう聴きに行った気になれた? 別に行かなくてもいい? ・・・・・・ま、ま、そう言わず。
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