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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

ギター文化館フリー・コンサート

 2月26日(日曜日) 石岡市ギター文化館



 今日ギター文化館のフリーコンサートがあり、19人の独奏(三味線独奏を含む)と3組の重奏がありました。 このフリー・コンサートは演奏終了後、出場者、及び会場の人により投票で最も優れた人が選ばれます(前々回の優勝者の鈴木幸男さんを除く)。


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 今回は「冬景色」と「春が来た」 を演奏した、つくば市の圷英子さんが最も優れた演奏に選ばれました。 残念ながら私はやや遅れて会場入りしたので圷さんの演奏は聴けませんでしたが、聴いた人の話によれば、たいへんすばらしい演奏だったとのことです。 因みに圷さんは、私の茨城大学のクラシック・ギター部時代の同級です。



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 また第2位には同点で 「魔笛の主題による変奏曲」を弾いた杉澤百樹さん、「グランソロ」を弾いた長塚彰さんが選ばれました。 フリコンサート終了後に私のゲスト演奏があり、私作曲の「カンタービレ」と「ショリーニョ」、ガロートの「悲しみのショーロ第1番」、バリオスの「クエカ」他を演奏しました。
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ポンセ : 組曲イ短調



いちいちつっこむのも何だが

 ポンセの組曲イ短調の話に戻ります。 この組曲の構成は、「プレリュード」 「アルマンド」 「サラバンド」 「ジグ」 の5曲からなります。 この構成も ”本物” のバロック時代の組曲からすると、ちょっと変です。

 もちろん元々この曲は本物のバロック作品ではないのだから多少変なのは当たり前のことで、そんなこと、いちいちつっこむものではないのでしょうけれど。




通常、アルマンドとクーラントは対になっている

 通常、やや遅めのアルマンドと速いテンポのクーラントはセットになっていて、バッハやヴァイスの作品の場合、アルマンドがあれば、ほとんどの場合、次はクーラントとなります。

 古典組曲の基本としてはアルマンドとクーラント、 サラバンドとジグ、 という二つの、遅い曲、速い曲 のセットとなります。 それにプレリュードやガヴォット、ブレー、メヌエットなどが組み込まれた形が一般的な組曲となります。




アルマンド~クーラント、 サラバンド~ジグ の4曲が組曲の基本

 バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータの場合、第1番ロ短調は、このアルマンド、クーラント、サラバンド、ジグの基本曲にそれぞれドゥーブル、つまり変奏を付け加えた形で、第2番ニ短調はこの基本の4曲の後に長大な変奏曲であるチャコーナを付け加えた形になっています。

 第3番ホ長調にはアルマンドがありませんが、クーラントもなく、組曲の基本形から離れていますが、バロック時代の典型的な組曲というより、やや未来型になっているように思えます。 つまり1番、2番は伝統的なスタイルで作曲したが、3番は新しい形を試みたと言ったところでしょうか。




イ短調組曲では、遅めの曲が3曲続くことになる


 この組曲イ短調の場合はプレリュードがあまり速く曲とは考えられないので (プレリュードは基本的にテンポが決まってなく、速い場合も遅い場合もある)、プレリュード、アルマンド、サラバンド と最初の3曲がすべて遅い曲ということになってしまいます。




だからセゴヴィアはアルマンドを速く弾く

 セゴヴィアは通常は遅めの曲であるアルマンドをかなり速いテンポで演奏していますが、確かにそうしないと組曲としてのまとまりを欠いてしまうでしょう。 他のギタリストもそれに倣い、このアルマンドは速いテンポで演奏するということが定着しています。 それと言うのも、結局、本来あるはずのクーラントが抜けているからなのでしょう。






もう一つの組曲



やはりセゴヴィアは ”ポンセ作” とはしていない


 ポンセはイ短調組曲の他に、もう1曲、ニ長調の組曲を書いています。 この組曲は、「プレアンブロ」 「クーラント」 「サラバンド」 「ガボット」 「ジグ」 の5曲からなります。 セゴヴィアは「プレアンブロ」をヴァイス作曲、「ガヴォット」をアレクサンドロ・スラルラッティ作曲として録音しています。




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組曲ニ長調の第1曲プレアンブロ。 セゴヴィアは「プレアンブロ」をヴァイス作、 第2曲の「クーラント」をヴィゼー作、第4曲の「ガヴォット」をアレクサンドロ・スカルラッティ (ソナタで有名なドメニコ・スカルラッティの父)作としていて、一貫してポンセ作とはしていない。





作曲者名も、曲名も、調性も、全部違っている!

 「クーラント」はスタジオ録音はしていませんが、1955年のスコットランド、エジンバラでのリサイタルで演奏していて、そのライブ録音のCDが発売されています。 ただし曲名は 「メヌエット」 で、ロベルト・ド・ヴィゼーの作品と一緒に演奏しています。 なんとそのCDの曲目リストでは ”組曲ホ短調より” と書いてあります。




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1955年エジンバラでのセゴヴィアのリサイタルのライブCD  全体としてはたいへんすばらしい演奏だが、ポンセのクーラントは「ヴィゼー作曲、組曲ホ短調より、メヌエット」 と作曲者も調も曲名も全部違っている!



 どう聴いてもこの曲、ヴィゼーの作品のは聴こえませんし、またメヌエットには全く聴こえません。もちろんホ短調でもありません。 そのリサイタルの聴衆にはどのようなパンフレットが配られたのかわかりませんが、少なくともこのCDを聴いた人は疑問を感じたのではないかと思います。



「ヴィゼーのメヌエット」で楽譜を探すのは無理!

 もっともネットでのこのCDのコメントで 「ヴィゼーのメヌエットが特に面白かった。 楽譜が欲しい」 といったものもあったので、この曲を本当にヴィゼーの曲と思った人もいるのでしょう。 因みにセゴヴィアの演奏は速めのテンポでかなり ”乗った” 演奏で、確かに面白いかも知れません。

 しかし、「ド・ヴィゼーの作品」 として楽譜を探したら、見つかるはずはありませんね。




やはり何か足りない


 もちろん最近ではこの組曲は、 「ポンセ作曲」 として演奏されていて、イ短調組曲ほど頻繁ではありませんがなかなか面白い曲です。 曲目リストのとおり、こちらはクーラントがある代わりにアルマンドがありません。 緩急のバランスは特に変でもありませんが、バッハなどの組曲に馴染んでいる人にとっては何か、ちょっと足りない感じもするのではと思います。



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ナクソス盤のポンセ作品集Ⅱ 演奏アダム・ホルツマン  ポンセの組曲イ短調、ニ長調などが収録されている。 特に組曲ニ長調の全曲録音は他にはあまりない。 ナクソスではポンセの作品集は第4集まで発売されていて、ポンセのギターのための作品はほぼ全曲収録されている。






こちらのガヴォットは通例どおりに3拍目から始まっている


 こちらの 「ガヴォット」 については第1ガヴォットも、第2ガヴォットもどちらも3拍目から始まるようになっていて、バロック時代のガヴォットを踏襲したものになっています。  ・・・・・確かにガヴォットぽい




なぜプレリュードではなく、プレアンブロ?

 最初の曲がプレリュードではなく ”プレアンブロ” となっています。 プレリュードと同じ意味と考えてよいのではと思いますが、この単語はフランス語で 「序文」、 「前文」、 「前置き」 と言ったような意味で、特に音楽用語としては、あまり使われないようです。 曲としては、確かにプレリュードというよりは、遅い部分と速い部分からなる 「序曲」 的ではあります。
ブレーと言えば


 ブレーと言えば、逆の例(前回の記事の)もあります。 これは19世紀のギタリスト、ナポレオン・コストが編曲した17世紀のフランスのギタリスト、ロベルト・ド・ヴィゼーの組曲ニ短調からブレーとガヴォットです。




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ナポレオン・コスト編 ド・ヴィゼーの組曲ニ短調よりブレー  見た感じ、あるいは聴いた感じではガヴォット?





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同ガヴォット 上のブレーとほとんど同じでは?





たまには例外も?

 たいへんよく似ていますね、どちらも比較的テンポの速めの舞曲なので(ブレーの方がちょっと速いかな)、なおさら同じ感じに聴こえてしまいます。 下のガヴォットの方は1,3拍目にアクセントがきやすい形になっているので、確かに下のガヴォット風とは言えます。

 前回の記事で、「ブレーは予備拍が1拍」 と言いましたが、御覧のとおり、このブレーは2拍あります。 たまには例外もあるのかなと言いたいところですが、原曲に近い現代譜(カール・シャイト編)では次のようになっています。





本当はこうなっている


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オリジナルに比較的近いと言われるカール・シャイト編のブレー  やはりオリジナルではアウフタクトが1拍になっている





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同ガヴォット  基本的にはコスト編と変わらず、聴いた感じでは両者はそれほど違いはない、それならあえて変更しなくても? 特にに弾きやすくなっているわけでもないし。







19世紀には、もうブレーがどういう曲なのかわからなくなっていた?

 これでわかりましたね、コストがブレーの最初の2つの8分音符を4分音符に変えてしまったと言う訳です。 8分音符で始まるのは、どうも窮屈、4分音符で始まった方がずっと流れがいいじゃないかと。 そんなことかなと思います。

 この頃(19世紀半ば)には、もうすでにブレーがどういう舞曲だったかということはわからなくなっていたのですね。 もっともブレーが4分音符1個分の予備拍を持つなどということはバロック時代でも、ごく少数の宮廷人の間にだけ常識だったのでしょう。 





禁じられた遊びにも出てくる曲だが

 このブレーは例の映画 「禁じられた遊び」 でイエペスが弾いている曲です。 私たちの年代でしたら、この曲をイエペスの演奏で知ったと言う人も多く、この4分音符で始まるコスト編のほうが聴きなじみがあり、かえってオリジナルの8分音符で始まる方が違和感があるかも知れませんね。





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映画「禁じられた遊び」の中では、ヴィゼーのサラバンドとブレーはメイン・テーマ(ルビラ作曲)と同じくらい頻繁に出てくる。 この映画を一度でも見たことのある人なら、このヴィゼーのブレーは、曲名などはわからずとも、自然と覚えてしまっているのでは。 もちろんコスト編で。





セゴヴィアの影響?

 イエペスがコスト編を弾いていたのは、おそらくセゴヴィアの影響でしょう。 セゴヴィアはこのニ短調組曲をほぼ全曲演奏していますが、このブレーはコスト編を用いています。

 セゴヴィアは、この組曲の他の曲についてはオリジナルの譜面を使っていると思われますが、このブレーに関しては、おそらく若い頃からコスト編に馴染んでいて、コスト編で演奏したのでしょう。





バロック音楽、あるいはバッハの曲では例外なくブレーのアウフタクトは1拍


 ブレーもガヴォット同様、バロック時代においてはアウフタクトが1拍と決められ、ほとんど例外はありません。 少なくとも私が知る限りではそうなっています。





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ディユアート編のバッハ:チェロ組曲第3番のブレー





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無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番のテンポ・デ・ボレア(ブレーのテンポで)





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リュート組曲第1番のブレー。 以上のようにバッハの作品の場合は、例外なくブレーは4分音符1個、または8分音符2個になっている。





21世紀的には、教材として用いるのは問題

 このド・ヴィゼーのブレーを含むコスト編のドヴィゼーの 「6つの小品」 は現在でもギター教室の教材としても用いられています。確かに魅力的な曲が多いのですが、21世紀の今日としては、これを教材として用いるは、やはり問題あるでしょう。 他に本来は1曲であるはずのメヌエットⅠ、Ⅱを別々の曲扱いとしています(セゴヴィアもそれに従って演奏している)。
何か、ちょっと引っかかる



ポンセの 「組曲イ短調(伝ヴァイス)」


 最近ポンセの 「組曲イ短調」 から 「ガヴォット」 のレッスンをしています。  私たちの年代のギター・ファンにとっては 「ヴァイスの組曲」 と言った方がピンとくるかも知れません。

 20世紀前半のメキシコの作曲家、マヌエル・ポンセがアンドレス・セゴヴィアの為にバロック風に作曲した曲で、発表の際にはポンセ作ではなく、バロック時代のドイツのリューティスト、シルビウス・レオポルド・ヴァイスの名で発表しました。



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アンドレス・セゴヴィアとは親交が深ったマヌエル・ポンセ、 なかなかのダンディ。



バッハだとバレそうなので

 もっとも、この件については、演奏者のセゴヴィアの意向が強く働いたようで、ポンセとセゴヴィアの信頼関係はたいへん強く、ポンセのギターの作品については、その管理から演奏、出版に至るまで、すべてセゴヴィアにまかせていたようです。

 当初はこの組曲を「バッハ作曲」として発表する考えもあったようですが、さすがにバッハについては1930年代でもかなり詳しく研究されていて、すぐにバレるだろうということで、当時知る人しか知らなかった(当然だが)バッハと同時代のリューティストのヴァイスにしたと言われています。



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元々はリョベットとポンセが親しかったようだが、そのリョベットの跡を継ぐ形でセゴヴィアがポンセと親交を深めるようになったのかも。



ポンセはヴァイスなんて知らなかった?

 当時は、シルビウス・レオポルド・ヴァイスの音楽を知る人も、またその名を聴いたことのある人も、ごく限られていたのでしょう。 このヴァイスの名にしたことについては、おそらくセゴヴィアの考えに従ったものでしょう、もしかしたらポンセはヴァイスなんて知らなかったかも知れません。



こうした作品は出版しなかった

 前述のとおり、セゴヴィアはポンセのギターの作品の出版にも深く関わったわけで、当時ポンセのギター作品はすべてセゴヴィア経由で出版されていました。 ポンセは他にも何曲かヴァイスやアレクサンドロ・スカルラッティ(有名なスカルラッティの父親)などの名で作品を書いていますが、それらの作品はすべてセゴヴィアの手からは出版されませんでした。




巨匠はぶれない
 
 また、セゴヴィアは 「組曲イ短調」 などが明らかにポンセの作品だと言われるようになってからも、最後の最後までこれらの作品をあくまで ”ヴァイス作曲” として演奏していました。 本当に巨匠はぶれない! だから巨匠! まるでデーモン小暮?




訳アリの出生だが

 と言ったように、その出生についてはいろいろ訳アリではありますが、この 「ガヴォット」 はなかなか魅力的な曲で、隠れた(?)名曲といえます。 私もこの組曲を、いずれちゃんと演奏してみたいと思っているのですが、今のところまだ実現していません、なんとか近いうちには・・・・




若い頃聴きに行ったコンクールの課題曲になっていた

 この曲で思い出すことと言えば、私が20歳をちょっと過ぎた頃(まだ学生だったような)、コンクールに挑戦してみようと思い、とりあえず聴きに行ったコンクールの課題曲となっていました。

 その時までこの曲を聴いたことがなかったのですが、二次予選だったので、2~30人くらいの演奏を続けて聴きました。 ただし、その当時の私にはどういいう演奏が良くて、どういう演奏が良くないか、ほとんどわからず、誰が予選を通るのかなど、全く予想がつきませんでした。





結局私がコンクールに出ることはなかった


 そのコンクールを聴いた結果、はっきりわかったことは、自分の実力はまだまだコンクールに出場するレヴェルには達していないということでした。 その後2回ほどコンクールの出場申し込みをした覚えがありますが、直前になると全く自信を失い、結局のところ、私がコンクールに出場することは、その後一度もありませんでした。

 


心苦しい

 しかし経験と言った意味では、コンクールの結果が必ずしも実力を反映するわけではないことを踏まえつつも、やはりやって置けばよかったのは確かなことで、今では大いに反省しています。 そんな私が仮にもシニア・ギター・コンクールの審査員などやっているのはたいへん心苦しい!




話がそれたが

 さて、話があれこれ行ってしまいましたが、このガボット、以前から何か引っかかっていて、何となくこの曲、ガボットらしくないな と思っていました。 もともと”本物”のバロック音楽ではないのだからガボットらしくないのは当たり前かもしれないのですが、一番の問題は、その冒頭にあるようです。


 
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ポンセの 「組曲イ短調」 の 「ガヴォット」   予備拍が1拍 (8分音符2個) となっている。 曲的にはガヴォットではなくブレー。
 



基本的にガヴォットは予備拍が2拍

 若干杓子定規で恐縮ですが、バロック時代では、ガヴォットは基本的に4分音符で2泊分のアウフタクト(予備拍)を持つことになっています。 そして4分の4拍子ですが、1拍目と3拍目にアクセントが付き、2拍子のようにも聴こえます。 バッハを始め、バロック時代の作曲家はほとんどこのようにガヴォットを作曲しています。




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バッハのリュート組曲第4番の「ロンド風ガヴォット」  四分音符二つの予備拍がある




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バッハのチェロ組曲第6番のガヴォット



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バロック時代フランスのギタリスト、ロベルト・ド・ヴィゼーの組曲ト短調(この曲はト長調)のガヴォット  同様に予備拍2拍




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バロック時代、イタリアのギタリスト、ルドビーコ・ロンカルリの 「組曲ホ短調」 のガボット。 このように私の知る限りでは、バロック時代のガヴォットはすべて予備拍が2拍になっている。




ポンセのガヴォットはブレーに聴こえる

 バロック時代の舞曲はそれぞれ予備拍には決まりがあり、ガヴォットは2拍、同じく速い4分の4拍子の舞曲であるブレーは1拍(4分音符1個分)の予備拍を持ちます。 したがって、ポンセのガヴォットをバロック時代の音楽に詳しい人、あるいは当時の人などが聴いたら、おそらくガヴォットではなく、ブレーに聴こえるでしょう。
楽譜制作ソフト 7 Scoremakere




楽譜認識



たいへん便利な機能だが

 これらのソフトは印刷されている楽譜をスキャンすることにより、データを取り込むことが出来ます。 確かにこれが出来れば、既存の楽譜を、いちいち手打ちする必要がなくなるので、たいへん便利です。




なかなか完全にはスキャン出来ない

 しかし、実際にやってみるとやはり完全に読み取るjことは出来ず、たいていの場合不完全なものになります。 しかし仮に不完全なものであっても、ある程度読み取ってくれれば、あとは手で修正するだけなので、一から打ちこむよりはだいぶ手間は省けます。
 
 Finale でやってみたところ、小節線がなくなっているなどかなり不完全なものになってしまっただけでなく、それを修正することがなかなか出来ず、結局使い物にはなりませんでした。




 Scoremaker は比較的修正しやすい

 Scoremaker では同様に不完全なものでしたが、修正は出来たので、一応使えると思います。 しかし指番号が♭として認識されてしまったり、丸以外の音符は音符として認識されなかったり、誤認識はかなりあるので、使う時にはかなり注意が必要です。

 おそらく、単旋律などの比較的簡単な楽譜だと十分にその機能を発揮するのかも知れません。 この機能がどれだけ実用的なのかはいろいろ使ってみないとわからないところもあります。




再生


 再生に関しては、最近のソフトはかなりよく出来ていると思います。 もしかしたらそのことにこだわるので、譜面の書き方やレイアウトが自由に出来ないようになっているのかも知れません。 しかし、どのソフトも肝心のギターの音に関しては、私のイメージとはずいぶん違うようです。




強弱記号やリタルダンドなども再生に反映される

 このScoremaker では、再生の際、ピアノやフォルテなどの強弱記号、およびクレシェンド、ディミヌエンド、リタルダンドなどがそのまま効果として音に表れます。 これもたいへん便利ではありますが、若干こだわれば、こうした曲想に関することは非常に感覚的なものなので、想像力を働かせるほうが重要かなとも思います。





久々にMusic Time を使ってみて


 この1か月ほどいろいろなソフトを使っていたのでが、そろそろ今年合奏でやる楽譜を作らないといけないので、久々にMusic Time を使いました。 XPの入ったパソコンが使える間はなんとか使えます(テキストボックスが開けないが)。 



使い慣れているだけに作業は速い

 今回は以前に編曲した「くるみ割り人形組曲」の数曲を、今回のメンバーに合わせて改編したわけですが、使い慣れているだけに作業は速いですね。 ほぼ2日で3曲編曲し直しました。 もっともさらによく見直してパート譜を作ったり、運指を入れたりしないといけないので、かえってこれからの方が時間がかかるかも知れません。



不出来なソフトだが

 このソフト、何といっても不完全なものなので、いつエラーをおこしてもおかしくないので、頻繁に保存する必要があります。 また装飾音などは最近のソフトに比べると少し面倒です。 またコピーや修正の際には、かなり混乱も生じます。



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合奏の譜面(スコア)は、なるべくページ数を多くしないために小節をたくさん詰め込まないといけない。なおかつ音符をあまり小さくしないためには、いろいろ工夫が必要。 今のところ、こんな譜面はMusic Time でないと難しい。  曲は「花のワルツ」



1枚の用紙にごちゃごちゃ詰め込むには

 しかし、何といってもこのソフトが使いやすいのはレイアウトが比較的自由に行えるということでしょう。 合奏の楽譜の場合、パート数も多く、なるべくページ数が多くならないように、A4の紙面を余すことなくすべて有効に使わないといけません。 

 1ページの中になるべく多くの小節を治め、なお且つ音符自体が小さくなり過ぎないようにするのは結構難しいところです。 こんな譜面を作るのは、Music Time でないと難しいところかも知れません




今年の水戸ギター・アンサンブル

 ・・・・話はちょっと変わりますが、前述のとおり、今年の水戸ギター・アンサンブルはチャイコフスキーの 「くるみ割り人形組曲」 から何曲かやります。 今現在、「花のワルツ」、「行進曲」、「トレパック」 の3曲の編曲が終わりました。 ほかに1~2曲やるかも知れません。 

 以前の編曲ではほぼ原曲どおりに編曲したのですが、今回は人数も多いので、なるべく簡単に、それでもなるべく原曲の感じが出るようにと工夫しました。 3月頃からぼちぼち練習始めようかと思っています。