落ちる話 7
地球はどうなる? 50億年後太陽に飲み込まれると言われているが
「では、非常に幸運が重なり、また人類が予想以上に賢かったと考えて、
何億年でも生存し続けた場合、 私たちの住む地球に寿命があるのかどうか考えてみよう。
地球自体の寿命はないが、太陽はこの先50億年くらいすると、
現在核融合の燃料としている水素を使い果たし、
その代わりにヘリウムを燃料とするようになる。
そうすると太陽の温度が上がり、
その結果太陽が現在の地球の軌道くらいまで膨張すると言われている。
つまりその頃には地球は太陽に飲み込まれて、跡形もなく蒸発してしまうということになる」
「間違いなく、それで 『一巻の終わり』 ちゅうことすね」

赤色巨星
太陽は約50億年後、赤色巨星となり、地球を飲み込むと言われている(最近では異説も)。
地球に最も近い赤色巨星はオリオン座のベテルギウスで、いつ超新星爆発をしてもおかしくない常態だそうだ。
超新星爆発をすると月くらいの明るさになり、昼間でも見えるようになるそうだ。
私たちが生きている間にそれが見られる可能性は十分にあるそうだが、
地球環境への悪影響も考えられる。
「と、まあ。 ちょっと前まではこんな風に言われていたのだが、最近では若干ニュアンスが変わってきて、
太陽が膨張する際に何度も爆発をくりかえして、その質量のかなりの割合を放出することになる。
その結果、太陽の引力が弱くなって、地球の軌道が大きくなる、つまり太陽から離れてゆくことになる。
そこで、太陽が膨張したとしても、最後まで地球は飲み込まれないという説が有力らしい」
「ギレギレ、セーフもあるっちゅうことすか?」
毎日、毎日、焼かれて
「とはいっても、太陽が小刻みに爆発するということは、地球にとってはあまりありがたくないことだ。
大爆発ではなかったとしても、その影響は大きく、それだけでも地球上に生物は住めないかも知れない。
また飲み込まれないとしても、鼻の先にやたら大きい太陽があって、見上げた空のほとんどが太陽ということだから、
相当熱いのはまちがいない。
どう転んでも地球上に生物は住めそうもないね。
飲み込まれる場合でも、膨張した太陽の表面温度はだいぶ下がり、瞬時に地球が蒸発するような温度ではなく、
また基本的に太陽は気体だから、飲み込まれても、衝突して粉々になるわけではない。
太陽に吸収された地球は、しばらくは球体を維持し、太陽の表面付近を浮きつ、沈みつつ、
ぐるぐると公転するという話もある。
なんか、地獄に落ちた亡者が血の池地獄で浮いたり、沈んだりみたいだね」
「ていうか、「およげたいやきくん」 みたいすね。
『まあいにち~まあいにち~てっぱんのお~ 上で焼かれえてえ~』 なんて感じの」。
海が消える?
「しかし、その地球が太陽に飲み込まれる前、今後10億年か、20億年後くらいすると、
地表の水、つまり海が消え去ると言われている。
要因としては、今後太陽の温度は上昇してゆき、その熱で地表の水分が蒸発してしまうということが考えられるが、
それ以外に、地球内部、つまりコアの温度が下がり、
マントル対流で地球の内部に運ばれた海水が地表に戻されなくなるともいわれている。
マントル対流、つまりプレート・テクトニスが地球にあるのは、地球内部に熱が蓄えられているからなのだが、
この熱は当初は地球が出来た頃の微惑星の衝突の熱で、
それを地球内部に取り込まれた放射性物質の核分裂によるエネルギーで維持している。
火山の噴火は地球内部に入り込んだ海水を地表に戻す役割をしている
しかしこれらの放射性物質は新たに補充されることはなく、次第に半減期を過ぎ、
10億年以上するとあまり熱を発しなくなる。
地球内部がある程度冷えてくると、
マントル対流で地下深くに引きずり込まれた海水などが、マグマなどとして地表に戻されることがなくなる訳だ。
火山の噴火は、実は地球内部に取り込まれた水を地表に戻す、とても大事な役割をしているんだ」
他の星に移住は可能?
「そうなったら、他の星に移住すればいいんじゃねえですかねえ」
「この太陽系で、地球と最も環境が近いのが火星で、火星に移住することを真面目に研究している人もいるようだ。
確かに火星では、シェルターの中で生活するくらいのことは出来そうだけど、
地球上のように生身の体でそとを歩き回るのは今現在では不可能だ。
そうなると火星に住んで、地球と同程度に生産活動をするのは非常に難しいだろうね。
火星に大気を作ればいいんだけど、引力が地球の10分の1くらなので、
大気を作ったとしても、その大気を捕まえておくのが難しい。
火星が地球のようになれなかったのは、そもそも、質量が足りなかったからだ。
太陽系の他の惑星に住むのは、まず無理だろうね」
太陽系以外の惑星は
「最近では、太陽系以外の惑星も次々と発見されているらしいすけど」
「本当によく知っているね。
そういったものを系外惑星っていうんだけど、そうした中には地球とたいへんよく似た惑星もあるらしい。
いざとなったら、そうした地球によく似た系外惑星に移住すればいいんだけど、
最も近くの系外惑星でも光速で飛んで数年以上かかる。
また、人間を載せた宇宙船のように、ある程度質量のあるものを光速近くまで加速するためには、
非常に大きなエネルギーを必要とする。
系外惑星に旅行することは、今現在では全く不可能なことだけれど、
この先1億年以上科学技術が発達すれば、そうしたことも可能になるのかもしれないね。
SFのように旅行中、人間の生命活動を停止させておいて、
目的地についたら、電子レンジで解凍するように生命活働を再開させる・・・・
なんてこともあるかもしれないね。
それだったら、何百年、あるいは何千年でも旅行出来るってわけだ」
「人間の冷凍保存ってとこすね、なんだかマグロって感じすね。
でも、もしそれで、また地球に戻ったりすると、ホントに浦島太郎状態すね。
帰ってみれば、こはいかに、もといた家も、村もなくう・・・・・・・・ なんて。
最近までこの歌、 『竜宮城から帰ったら、恐ろしいカニがいた』 っていう歌だと思ったんすが、
ホントは違うみたいすね」
下りもの
「私も子供の頃そう思っていたね。
・・・・・・ところで、八つぁん、もう腹減ったろ、だいぶ長く話、聴いてもらったからね。
上方から取り寄せた羊羹があるんだ。
滅多には口に入らないものだから、食べてゆきな、宇治のお茶も付けとくよ」
「そうこなくっちゃ、だから大家さん、大好きなんすよ!」
京の老舗、虎屋の羊羹
「そりゃまた嬉しいね。 私の話ちゃんと聞いてくれるの、八つぁんくらいだからね。
これは京でも老舗中の老舗、 「とらや」 さんの羊羹なんだ。 とらやさんは関ケ原以前からのお店らしい。
普通だったらお大名か、大店の旦那衆しか食べられないものだよ。
上方の親戚に頼んでやっと手に入ったもので、私もたべるの初めてなんだよ」

室町時代創業の老舗、虎屋の練羊羹。
パッケージは江戸時代からのデザインらしい。
江戸時代には特にこの練羊羹は超高級菓子として上流階級の贈答用に使われと言われている。
現在でも1本で2~3千円くらいするようだ。
「なんか、黒光りして凄そう・・・・・・
ウン? 甘い! こんな甘いの、始めてっす。
やっぱし下りものは違うね、
その辺の芋羊羹とは、まるで比べもんになんねえ。
・・・・ウウン、お茶もうめえ」
「これ少しだけど、カミさんにも持って行ってやんな、カミさんも、きっと好きだろ、こういうの」
「大家さん、気ィ使わせちまって、 ホントありがてえ。 ウチのやつ、涙ながして喜びそう」

とらやの練羊羹は、江戸の庶民の口にはなかなか入らなかったようで、
当時の江戸庶民は、同じ羊羹でも、芋羊羹、蒸し羊羹、水羊羹などを食べていたようだ。
因みに、室町時代では、砂糖は中国からの輸入のみで、非常に高価なものだった。
江戸末期には輸入ものに加えて、国内生産も多くなり、比較的手に入りやすくなった。
料理やお菓子などに普通に使われるようになったのもこの頃かららしい。
オチるの? オチないの?
・・・・・・まさに大家と店子は親と子も同然といったところでございます。
二人仲良く、室町時代からの老舗、虎屋の羊羹をほうばっております。
それでは今日の話は、これでおしまいとしましょう。
・・・・・・・え、なんですって? オチはないんかいって?
オチ・ですか? オチ? なるほど。
えー、 そのう、 本日、 そういったものは、 特にご用意してはございませんが。
・・・・・・『落ちる話』 ってタイトルに書いてあるじゃないかって?
それに、 オチのない落語なんて、 フーガを書かないバッハと同じ?
なんか、 また、 すごい例えだねえ。
まあ、いろいろご不満もあるとは存じますが、
いえ、いえ、決してお客さんのことクレーマーだなんて、そんなつもりは!
でも、 この地球、 やはり、 何も 『 オ・チ・な・い 』 のが何よりでございます。
お後がよろしいようで。
テケテンテン テンテテッ ドドン
地球はどうなる? 50億年後太陽に飲み込まれると言われているが
「では、非常に幸運が重なり、また人類が予想以上に賢かったと考えて、
何億年でも生存し続けた場合、 私たちの住む地球に寿命があるのかどうか考えてみよう。
地球自体の寿命はないが、太陽はこの先50億年くらいすると、
現在核融合の燃料としている水素を使い果たし、
その代わりにヘリウムを燃料とするようになる。
そうすると太陽の温度が上がり、
その結果太陽が現在の地球の軌道くらいまで膨張すると言われている。
つまりその頃には地球は太陽に飲み込まれて、跡形もなく蒸発してしまうということになる」
「間違いなく、それで 『一巻の終わり』 ちゅうことすね」

赤色巨星
太陽は約50億年後、赤色巨星となり、地球を飲み込むと言われている(最近では異説も)。
地球に最も近い赤色巨星はオリオン座のベテルギウスで、いつ超新星爆発をしてもおかしくない常態だそうだ。
超新星爆発をすると月くらいの明るさになり、昼間でも見えるようになるそうだ。
私たちが生きている間にそれが見られる可能性は十分にあるそうだが、
地球環境への悪影響も考えられる。
「と、まあ。 ちょっと前まではこんな風に言われていたのだが、最近では若干ニュアンスが変わってきて、
太陽が膨張する際に何度も爆発をくりかえして、その質量のかなりの割合を放出することになる。
その結果、太陽の引力が弱くなって、地球の軌道が大きくなる、つまり太陽から離れてゆくことになる。
そこで、太陽が膨張したとしても、最後まで地球は飲み込まれないという説が有力らしい」
「ギレギレ、セーフもあるっちゅうことすか?」
毎日、毎日、焼かれて
「とはいっても、太陽が小刻みに爆発するということは、地球にとってはあまりありがたくないことだ。
大爆発ではなかったとしても、その影響は大きく、それだけでも地球上に生物は住めないかも知れない。
また飲み込まれないとしても、鼻の先にやたら大きい太陽があって、見上げた空のほとんどが太陽ということだから、
相当熱いのはまちがいない。
どう転んでも地球上に生物は住めそうもないね。
飲み込まれる場合でも、膨張した太陽の表面温度はだいぶ下がり、瞬時に地球が蒸発するような温度ではなく、
また基本的に太陽は気体だから、飲み込まれても、衝突して粉々になるわけではない。
太陽に吸収された地球は、しばらくは球体を維持し、太陽の表面付近を浮きつ、沈みつつ、
ぐるぐると公転するという話もある。
なんか、地獄に落ちた亡者が血の池地獄で浮いたり、沈んだりみたいだね」
「ていうか、「およげたいやきくん」 みたいすね。
『まあいにち~まあいにち~てっぱんのお~ 上で焼かれえてえ~』 なんて感じの」。
海が消える?
「しかし、その地球が太陽に飲み込まれる前、今後10億年か、20億年後くらいすると、
地表の水、つまり海が消え去ると言われている。
要因としては、今後太陽の温度は上昇してゆき、その熱で地表の水分が蒸発してしまうということが考えられるが、
それ以外に、地球内部、つまりコアの温度が下がり、
マントル対流で地球の内部に運ばれた海水が地表に戻されなくなるともいわれている。
マントル対流、つまりプレート・テクトニスが地球にあるのは、地球内部に熱が蓄えられているからなのだが、
この熱は当初は地球が出来た頃の微惑星の衝突の熱で、
それを地球内部に取り込まれた放射性物質の核分裂によるエネルギーで維持している。
火山の噴火は地球内部に入り込んだ海水を地表に戻す役割をしている
しかしこれらの放射性物質は新たに補充されることはなく、次第に半減期を過ぎ、
10億年以上するとあまり熱を発しなくなる。
地球内部がある程度冷えてくると、
マントル対流で地下深くに引きずり込まれた海水などが、マグマなどとして地表に戻されることがなくなる訳だ。
火山の噴火は、実は地球内部に取り込まれた水を地表に戻す、とても大事な役割をしているんだ」
他の星に移住は可能?
「そうなったら、他の星に移住すればいいんじゃねえですかねえ」
「この太陽系で、地球と最も環境が近いのが火星で、火星に移住することを真面目に研究している人もいるようだ。
確かに火星では、シェルターの中で生活するくらいのことは出来そうだけど、
地球上のように生身の体でそとを歩き回るのは今現在では不可能だ。
そうなると火星に住んで、地球と同程度に生産活動をするのは非常に難しいだろうね。
火星に大気を作ればいいんだけど、引力が地球の10分の1くらなので、
大気を作ったとしても、その大気を捕まえておくのが難しい。
火星が地球のようになれなかったのは、そもそも、質量が足りなかったからだ。
太陽系の他の惑星に住むのは、まず無理だろうね」
太陽系以外の惑星は
「最近では、太陽系以外の惑星も次々と発見されているらしいすけど」
「本当によく知っているね。
そういったものを系外惑星っていうんだけど、そうした中には地球とたいへんよく似た惑星もあるらしい。
いざとなったら、そうした地球によく似た系外惑星に移住すればいいんだけど、
最も近くの系外惑星でも光速で飛んで数年以上かかる。
また、人間を載せた宇宙船のように、ある程度質量のあるものを光速近くまで加速するためには、
非常に大きなエネルギーを必要とする。
系外惑星に旅行することは、今現在では全く不可能なことだけれど、
この先1億年以上科学技術が発達すれば、そうしたことも可能になるのかもしれないね。
SFのように旅行中、人間の生命活動を停止させておいて、
目的地についたら、電子レンジで解凍するように生命活働を再開させる・・・・
なんてこともあるかもしれないね。
それだったら、何百年、あるいは何千年でも旅行出来るってわけだ」
「人間の冷凍保存ってとこすね、なんだかマグロって感じすね。
でも、もしそれで、また地球に戻ったりすると、ホントに浦島太郎状態すね。
帰ってみれば、こはいかに、もといた家も、村もなくう・・・・・・・・ なんて。
最近までこの歌、 『竜宮城から帰ったら、恐ろしいカニがいた』 っていう歌だと思ったんすが、
ホントは違うみたいすね」
下りもの
「私も子供の頃そう思っていたね。
・・・・・・ところで、八つぁん、もう腹減ったろ、だいぶ長く話、聴いてもらったからね。
上方から取り寄せた羊羹があるんだ。
滅多には口に入らないものだから、食べてゆきな、宇治のお茶も付けとくよ」
「そうこなくっちゃ、だから大家さん、大好きなんすよ!」
京の老舗、虎屋の羊羹
「そりゃまた嬉しいね。 私の話ちゃんと聞いてくれるの、八つぁんくらいだからね。
これは京でも老舗中の老舗、 「とらや」 さんの羊羹なんだ。 とらやさんは関ケ原以前からのお店らしい。
普通だったらお大名か、大店の旦那衆しか食べられないものだよ。
上方の親戚に頼んでやっと手に入ったもので、私もたべるの初めてなんだよ」

室町時代創業の老舗、虎屋の練羊羹。
パッケージは江戸時代からのデザインらしい。
江戸時代には特にこの練羊羹は超高級菓子として上流階級の贈答用に使われと言われている。
現在でも1本で2~3千円くらいするようだ。
「なんか、黒光りして凄そう・・・・・・
ウン? 甘い! こんな甘いの、始めてっす。
やっぱし下りものは違うね、
その辺の芋羊羹とは、まるで比べもんになんねえ。
・・・・ウウン、お茶もうめえ」
「これ少しだけど、カミさんにも持って行ってやんな、カミさんも、きっと好きだろ、こういうの」
「大家さん、気ィ使わせちまって、 ホントありがてえ。 ウチのやつ、涙ながして喜びそう」

とらやの練羊羹は、江戸の庶民の口にはなかなか入らなかったようで、
当時の江戸庶民は、同じ羊羹でも、芋羊羹、蒸し羊羹、水羊羹などを食べていたようだ。
因みに、室町時代では、砂糖は中国からの輸入のみで、非常に高価なものだった。
江戸末期には輸入ものに加えて、国内生産も多くなり、比較的手に入りやすくなった。
料理やお菓子などに普通に使われるようになったのもこの頃かららしい。
オチるの? オチないの?
・・・・・・まさに大家と店子は親と子も同然といったところでございます。
二人仲良く、室町時代からの老舗、虎屋の羊羹をほうばっております。
それでは今日の話は、これでおしまいとしましょう。
・・・・・・・え、なんですって? オチはないんかいって?
オチ・ですか? オチ? なるほど。
えー、 そのう、 本日、 そういったものは、 特にご用意してはございませんが。
・・・・・・『落ちる話』 ってタイトルに書いてあるじゃないかって?
それに、 オチのない落語なんて、 フーガを書かないバッハと同じ?
なんか、 また、 すごい例えだねえ。
まあ、いろいろご不満もあるとは存じますが、
いえ、いえ、決してお客さんのことクレーマーだなんて、そんなつもりは!
でも、 この地球、 やはり、 何も 『 オ・チ・な・い 』 のが何よりでございます。
お後がよろしいようで。
テケテンテン テンテテッ ドドン
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