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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

2017年のまとめ 2


7月9日(日) 

水戸市民音楽会

 水戸芸術館 ATMホール




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 今年も水戸芸術館で水戸市民音楽会が開かれ、水戸ギター・アンサンブルも出演しました。 今年は29団体の演奏で、非常に多彩な楽器が登場しました。

 来年(2018年)は第50回記念ということで、県内出身の著名音楽家などのゲスト出演なども考えられています。 日にちは例年通り7月中の日曜日ですが、まだはっきりしていません。






9月1日

中村俊三 アルベニス作品集 CD発売



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 当ブログでもなんどか紹介しましたが、私の初のアルバムとなるCD 「アルベニス作品集」 を発売しました。 生徒さんを始め、いろいろな方に購入していただきました。 ありがとうございます。

 アルベニスの作品はほぼ50年間にわたって取り組んでおり、いろいろな作曲家の作品の中で、最も私が演奏したものと言えます。 今回のCDではそれらの中から12曲収録しましたが、収録時間などの関係で、「入り江のざわめき」、 「朱色の塔」、 「マジョルカ」 などは外れてしまったので、今後製作する別のCDに入れようと思います。







10月28日(土)


第2回ひたちなかギター合奏フェスティヴァル

   ひたちなか市文化会館小ホール




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 一昨年に引き続き、県内でギター、およびマンドリン合奏の団体による 「ひたちなかギター合奏フェスティヴァル」 を行いました。 今回は一昨年より2団体が入れ替わりましたが、同じく9団体が出演しました。 出演者総数が100名に近い大きなイヴェントで、250名ほどの方々に来場していただきました。 

 ステージ進行のほうも一昨年よりはスムーズに出来たのではと思います。 再来年には第3回目を行う予定ですが、さらにより多くの人に来ていただけるようになればと思います。







10月29日(日)~30日(月)


 茨城大学クラシック・ギター部同期会合宿

  鉾田市涸沼いこいの村




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 茨城大学クラシック・ギター部で、私と同期(1969年入学)の仲間8名で、涸沼いこいの村で合宿を行いました。 この同期会は3回目となりますが、当初は単なる飲み会だったのですが、今回はギタ―合奏の練習を主にした、文字通り ”合宿” となりました。

 卒業して長い期間ギターを弾いて入なかった仲間も、最近また復活するようになって、皆でまたギター合奏を行うことになりました。 来年は合宿に加えて、コンサートも行う予定です。







12月9日(土)

 AMF in ひたちなか 2017


 ひたちなか市  しあわせプラザ(旧那珂湊)



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 旧那珂湊にあるしあわせプラザで、ギターを含む二重奏などによるコンサートが開かれました。 私の生徒さんの中から二重奏二組も出演しました。 アマチュアとプロの演奏家による約4時間近い演奏の他、休憩時間にロビーでも演奏があるという、たいへんボリュームのあるもので、内容もすばらしいものでした。 







12月17日(日)

 中村俊三ミ・ニコンサート(CD発売記念)

石岡市 ギター文化館




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 ささやかながらCD発売記念ということで、ミニ・コンサートを行いました。 30数名の方に聴きに来ていただきました。 CDとコンサートは、やはり別物ですね。 CDは編集出来る分だけ、とことん細部にこだわってゆきたいと思いますが、コンサートはなるようにしかならないので、ともかく勢いで!  





 それでは今年も残すところ、あとわずかとなりました。 今年はいろいろお世話になりました。 来年もよろしくお願いいたします。  よいお年を。




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2017年のまとめ 1




毎年恒例の

 2017年もあと1日となりました。 毎年恒例となっていますが、中村ギター教室、および水戸ギターアンサンブルの今年の活動、私個人的なイヴェントなどをまとめを行っておきましょう。




1月

楽譜制作ソフトをいろいろ試す


 古いパソコンが調子が悪くなってしまい、今まで使っていた楽譜制作ソフトのMusic Time が使えなくなってしまったので (全く使えなくなったわけではないが、テキストなどgふぁ書きこめなくなってしまった)、 新しいソフトをいろいろ試し、結果的に河合楽器のスコア・メーカーを買いました。



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 楽譜制作ソフトとしては一般的に有名なフィナーレやシベリウスなども試してみたのですが、レイアウトやスペーシングなどが上手くゆかず、比較的操作しやすいスコア・メーカーにしたのですが、これまで使っていたミュージック・タイムに比べると、やはりいろいろな点で、不満は残り、やや消去法的な選択となりました。

 クラシック。ギターの譜面は意外と複雑で、バンド系のものや、オーケストラなどの譜面に比べても複雑かも知れません、それにギター独特の記号や書き込みもあるし。 いろいろな意味で、ミュージック・タイムのほうが自由度は高いでしょう。 長年使ってゆけばそれなりに使い勝手もよくなるのかも知れませんが、1年経った今でもレイアウトなどを思ったようにやるには、かなり時間がかかります。





1月22日(日) 

アコラ新年会


 ひたちなか市文化会館内の「スウィング」でアコラ新年会があり、下記のような曲を演奏しました。 今年の参加者はやや少な目でした。


レイス : もしも彼女がたずねたなら
ガロート : 悲しみのショーロ第1番
中村俊三 : ショリーニョ
バリオス : チリ舞曲(クエカ)

 *アンコール曲 : ルパン3世(南澤編)






2月26日(日)

 ギター文化館フリー・コンサートのゲスト演奏

 愛好者の演奏の後に、ゲスト演奏として、約40分ほど演奏しました。 愛好者の演奏では、参加者の投票により、大学ギター部の同期だった圷英子さんがもっともすぐれた演奏に選ばれました。 私の演奏曲は下の通りです。

中村俊三 : カンタービレ
レイス : もしも彼女がたずねたなら
ガロート : 悲しみのショーロ第1番
中村俊三 : ショリーニョ
バリオス : クエカ(チリ舞曲)
アルベニス : タンゴ、コルドバ

 *アンコール曲 : ルパン3世





4月1日(土)

 
新井伴典 宮下祥子 デュオ・リサイタル

  ティアラこうとう(東京都江東区)




 東京都江東区で行われた新井君と宮下さんのデュオ・リサイタルに招待され、家内と聴きに行きました。 独奏は行わずに、すべて(アンコール曲も含め)2重奏と、たいへん意欲的なコンサートでした。 お二人は世代的にはほとんど同じですすが、二重奏を行うのは初めてだそうです。 

 曲目は昨年亡くなった佐藤弘和さんの作品や、ソルの幻想曲bis54の他、ジョリベ、モリコーネ、ジュリア^ニ、ピアソラの作品などで、とても気持ちの入った演奏でした。



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 コンサートは夕方からでしたので、その前にスカイツリーや浅草などにゆきました。 スカイツリーは初めてですが、やはり高いですね。 例年だと桜の満開の時期なのですが、残念ながらこの日はまだ咲いていませんでした。





5月4~5日(祝日)

シニア・ギター・コンクール

 ギター文化館


 これも毎年恒例となっていますが、シニア・ギター・コンクールの審査員を務めました。 今年よりコンクールは2日間となり、年齢区分も フューチャー部門(~24歳)、 ミドルエイジ部門(25~59歳)、 シニア部門(60~69歳)、 リスペクト部門(70歳以上) の4部門となりました。 今年の入賞者は以下の通りです。


シニア・エイジ

1位 種谷信一(埼玉)
2位 山本英雄(茨城)
3位 川田隆夫(北海道)


ミドル・エイジ

1位 近藤功(千葉)
2位 松本聡(東京)
3位 上原淳(千葉)







6月4日(日)

中村ギター教室発表会

 ひたちなか市文化会館




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 ひたちなか市文化会館で教室発表会を行いました。 今回は出演者が30j組と、いつもより多く、また今年北海道から水戸市に転居してきた宮下祥子さんのゲスト演奏もあり、だいぶ長い発表会となりました。 このひたちなか市文化会館での発表会は久々で、独奏や二重奏の他、水戸ギター・アンサンブルの合奏も行いました。

 会場も広く、ギター文化館に比べると、音はやや小さめに聴こえますが(聴こえないほどではないが)、それぞれ、落ち着いて演奏出来たのではと思います。 おかげさまで盛大な発表会となりました。







6月18日(日)

ドゥエンデ・デル・フラメンコ

 水戸芸術館 ACM劇場

 宮下さんのご主人が水戸芸術館に勤めている関係で、ACM劇場で行われたフラメンコの公演に招待していただきました。 内容は、スペインの著名な詩人、フェデリコ・ガルシア・ロルカの詩にを基にして踊られるものでした。


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 フラメンコ公演に先立って、荘村清志さんの独奏もありました。 生でフラメンコを見たり、聴いたりするのは久々で、とても面白かったです。 







バッハ:平均律クラヴィア曲集 28




エドウィン・フィッシャー  1933~1936年録音



世界初の全曲録音

 今回から私が聴いている平均律曲集のCDを紹介してゆきます。 最初は前回触れた ”世界初の全曲録音” 1933年~1936年にかけて録音されたエドウィン・フィッシャーのCDです。




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Edwin Fischer (1886~1960)はスイス出身でドイツで活動したピアニスト。 1933~1936年に録音されたSP盤が3枚のCDとなっている。



SP盤からの復刻だが、リマスターで聴き易くなっている

 1930年代の録音ということですから、SP時代の後期で、いわゆる電気録音の時代となります。 1920年代くらいまでは、アコースティック録音といって、歌手などが大きなラッパに向かって声を張り上げ、文字通り ”吹き込んでいる” といったものです。

 この1930年代は一応 ”マイクロフォン” があって(当然と思うかも知れませんが)、そんなに頑張らなくても録音出来たということですね。 従って、同じSP盤でも比較的音質がよいわけですが、でもSP盤にはザーザーというノイズが入り、決して聴き易いものではありません。

 でもこのCDはそうしたノイズは除去されていて、かなり聴き易いものとなっています。 しかしノイズと一緒に本体のほうも剥ぎ取られてしまうので、音はポコポコした感じですが、鑑賞には特に問題ありません。 




何枚組?

 SP盤は、この当時でも片面4分弱くらいしか録音出来なかったと思いますので、この平均律クラヴィア曲集、第1巻、第2巻 全部で、いったい何枚のSPになったのでしょうか。

 単純に各プレリュードとフーガを片面ずつ録音したら、48枚となる訳ですが、テンポは全体に速めで、曲によっては片面にプレリュードとフーガが入ってしまうものもあるようです。 48枚よりは若干少ない枚数となるのではと思いますが、それにしても凄いですね。

 おそらく価格の方もかなりのものだったのでしょう、こうした全集を買う人、あるいは買える人はかなり限定的だったでしょう。 それが今現在では3枚のCDで、価格も1000円台と、なんか、本当に昔の人に申し訳ないですね。




居眠りする暇はない

 昔の人はソファーに座って(ソファーのない人は多分聴かなかっただろう)、パイプをくわえ、じっと姿勢を崩さず、ノイズの向こうのピアノの音に、したすら意識を集中して聴き入ったのでしょうね!  何といっても3分おきにディスクを交換しなければならないから、居眠りすることは出来ない!  

 子供の頃、父親に正座させられて聴かされた、などという話も、どこかで聞いたことがあります。  ・・・・・いろいろな意味で、今時はあり得ないでしょう。 でも逆に考えれば、こうした音楽を聴くということは強い意志がなければ聴けず、何となく、手軽に聴けてしまう現在よりも、ずっと集中して聴けたでしょう。



フィッシャーの演奏は、全体に速めのテンポ

 前述のとおり、フィッシャーの演奏はかなり速めのテンポを取っています。 これは収録時間に限りのあるSP盤録音ということを考慮したとが考えられます。 またフィッシャー自身、比較的速弾きだったということもあるようです。  ・・・・・・・昔の人は速弾きの人が多かった。



かつて楽器店の棚に並んでいた ”全音出版編集部編” にかなり近い

 しかし、メトロノームでテンポを測ってみると、以前話の出た ”全音出版編集部編” の楽譜に書かれているメトロノームの数字とかなり近いことがわかります。 さらによく聴くとスラーやスタッカートなどのアーティキュレーション記号、フォルテ、ピアノ、クレシェンドなどの強弱記号、ラレンタンドなどの速度変化記号と、フィシャーの演奏は、この全音の譜面に沿って演奏されているようです。

 さらに、この全音版では、低音をオクターブ・ユニゾンで弾くことも提案されていますが、ここもそのように弾いています。 (このオクターブ下の音はチェンバロにはない)。 こうした点など、フィッシャーの演奏は、この譜面に限りなく近いものです。




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フィッシャーの演奏は、以前紹介した全音版(出版編集部編)に非常に近い。 メトロノームの数字は、もちろんバッハが付けたわけではないが(バッハの時代にはメトロノームそのものがなかった)、かなり速めの数字となっている。 これはこの曲集を音楽的作品というより、練習曲と考えたからのようだ




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第2番のフーガの最後の方には小音符でオクターブ下の低音が付いいているが、ここもフィシャーはこの通りに弾いている。




どっちが先?

 さて、ニワトリとタマゴの話になりそうですが、全音の譜面がフィッシャーの演奏を参考にしたのか、フィッシャーが全音の譜面に従って弾いているのか。 しかし、フィッシャーが全音版をつかうことは考えられないので、全音の譜面の元となった譜面に従って弾いているのか、ということですね。



全音編集部編にはこの譜面の出展など、一切の書き込みがない

 そこで、この ”全音編集部編” の譜面がどうしても気になるので、改めてこの譜面について検索してみたのですが、全く情報が得られませんでした。 恐らくピアノの教育現場に携わる人たちは詳しくご存じなのでしょうが、私のようなドシロウトには、なかなか手がかりがつかめません。 ・・・・・・ギョウカイの深いヤミ?

 ともかく、この譜面には、出版された年も、どういった版に基づいているか、編集者は誰なのか、演奏記号や、運指は誰が書いたかなど、一切書かれていません。 ・・・・・と言った訳で、推測するしかないのですが。




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当時(1990年頃まで)は当たり前に楽器店におかれていた全音の譜面で、多くの子供たちなどがこの譜面でピアノを習ったはずだが、今ではいつのまにか店頭から消えた。 ネットで検索しても出てこない。 世の中から抹殺されてしまったのだろうか?




戦後少しして出版されたのでは

 特に全音出版の楽譜には出版年が書かれていないのですが、近い年代に出版されたと思われる音楽の友社のバッハの譜面が1950年代なので、おそらくその前後ではないかと思います。 ただしこれに近い譜面は戦前から出版されていたともかんがえられます。



1990年頃までは市販されていたと思うが、今は全く見かけない

 私がこの譜面を買ったのは1972~3年頃だったと思いますが、同種の譜面が楽器店の棚にたくさん並んでいましたから、ピアノを習う人は、ほとんどこの譜面を使っていたのではと思います。 当時原典版も入手可能だったと思いますが、そうした譜面を使う人は限られていたのではと思います。

 いつしかこの譜面は店頭から消えて言った訳ですが、少なくとも2000年には完全に消えていたと思います。 これは街のピアノ教室でもバッハに関する限り、原典主義というものが浸透していったのでしょう。




前時代的な悪しき演奏法?

 現在でも原典版以外に運指の付いたものや、解説付きのもはありますが、メトロノーム数や強弱記号が付けられたものはないようです。 仮にあったとしても、それはバッハが付けたものではないことは明らかにしているのではと思います。

 以上のことから、だいたいで言えば1990年前後くらいに時期にこの”全音編集部編” が楽器店の棚から消えたのではと考えられます。 この譜面は過去の ”悪しき習慣によるもの” として日本の音楽界から消されたのでしょうね。 ・・・・めでたし、めでたし。




されど、演奏史的には無視できないものでは

 ・・・・とは行きませんね、この譜面、決して突然降って湧いたものではない、ある時期、おそらく19世紀半ばくらいから20世紀半ばくらいまで、バッハの演奏の主流となっていたものなのでは、と考えられます。 確かに私に与えられた情報は限りなく少ないものですが、当時高く評価された(でなければ全曲録音など出来ない!)フィシャーの演奏との一致度からすれば、そうしたことが類推されます。




ツェルニー版との関係があるのか?


 1830年代に出されたツェルニー版が入手できなかったので、はっきりしたことはわかりませんが、比較的速めのテンポ指示などからすれば、このツェルニー版との関わりも考えられるところです。

 20世紀末に出されたと思われるブゾーニ版は入手できました。 ブゾーニ版は音としてはオリジナルのまま載せてあり、それに変更を提案している形です。 その提案はまさに ”ロマン的” で、主にダイナミックスの増大を図るものです。 強弱記号やアーティキュレーション記号も書きこまれていますが、これらは全音版とは全く異なるものなので、全音版はブゾーニ版の影響を全く受けていないようです。



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ブゾーニ版第1巻第17番のプレリュード。 ブゾーニ版は原曲の音符は変えずに印刷されているが、それに注釈的にブゾーニによる変更が提案されている。 バスをオクターブ・ユニゾンにするなど、音量の拡大を図ったものが多く、まさにロマン的。 強弱記号やアーティキュレーション記号も添えられているが、これは全音版とは全く違う。 





フィッシャーの演奏に戻るが

 話が譜面の方に行ってしまいましたが、フィッシャーの演奏の方に戻りましょう。 フィッシャーの演奏はかなり速めのテンポで、強弱もかなりはっきりした演奏、つまり19世紀的、あるいはロマン派的な演奏と言ってよいでしょう。 




かつての標準形

 最近ではほとんど聴くことの出来ない演奏スタイルで、最近のバッハの演奏に親しんでいる人が聴いたら、多少奇怪な感じもするかも知れません。 しかし、このフィッシャーの演奏は当時最も評価された演奏で、いわばバッハ演奏の ”標準形” だったのではと思います。 前述の少し前まで、ピアノを習う人の、まさに ”お手本” だった演奏です。



愛好者必携の

 このあと書いてゆきますが、戦後のピアニスト、あるいはチェンバリストでこうした傾向の録音を残した人は皆無で、そうしたことを考えても、またバッハ演奏史上において一つの時代を代表する演奏として、極めて貴重な録音ではないかと思います。 価格も安く、また入手もしやすいので、バッハ愛好家必携のアルバムと思います。



 
 

 

 
バッハ:平均律クラヴィア曲集 27



主には、弟子たちの教育のために用いられた

 平均律曲集は、インヴェンションなどとともに、主に弟子たちの教育にために用いられていたようです。 弟子のひとりのゲルバーには、3度にわたって平均律曲集第1巻を全曲連続演奏して聴かせたことが伝えられています。 バッハは多忙な仕事にもかかわらず、家族や弟子たちの指導を、こと細やかに行ったことが伝えられています。




時代は移り変わっていった

 バッハは生前より偉大な音楽家として尊敬されていましたが、それはバッハにゆかりのある音楽家や、また中部ドイツ地方といった限定された範囲内においてだったと思われます。

  バッハは1750年に亡くなっていますが、時代はすでに重厚なバロック時代から、もっと耳ざわりのよいロココ風の音楽がもてはやされる、前期古典派時代となってゆきます。




それでも一部の音楽家たちによって伝えられ、ベートーヴェンやモーツァルトも影響を受けた

 18世紀後半のヨーロッパでは、バッハのような厳格な対位法的な音楽はほとんど愛好されなくなりましたが、それでもバッハの音楽は、山脈から下る伏水流のように、一部の音楽家たちによって伝えられてゆき、やがてはモーツァルトやベートーヴェンの耳にも届くようになります。

 ベートーヴェンは若い頃この平均律曲集を学び、モーツァルトもウィーン時代(1780年代)にバッハの音楽を知るようになってから、その音楽にいっそう深みが、増してゆきます。 バッハの音楽なしには、モーツァルトの最後の3つの交響曲(第39番、40番、41番)や、レクイエムといった傑作は生まれなかったでしょう。




モーツァルトは幼少時に、末っ子のクリスティアン・バッハから手ほどきを受けた

 モーツァルトについて言えば、その幼少時にはイギリスに渡り、セバスティアン・バッハの末っ子のクリスティアン・バッハに音楽の手ほどきを受けました。 クリスティアン・バッハのCDなどを聴くと、モーツァルトの初期の曲にたいへんよく似ています。

 もちろん本当はクリスティアン・バッハの曲がモーツァルトに似ているのではなく、初期のモーツァルトがクリスティアン・バッハの音楽の影響を強く受けたということです。

 クリスティアン・バッハの音楽からスタートしたモーツァルトですが、最後は父親のセバスティアン・バッハによって完成されたともいえるかも知れません。 




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「ロンドンのバッハ」と呼ばれた、J.S.バッハ(大バッハ)の末っ子のヨハン・クリスティアン・バッハ。 18世紀後半では父のセバスティアンよりも有名だったようだ。 クリスティアンの作品はモーツァルトの初期の作品によく似ていて、父親の音楽とは全く印象が違う。




19世紀に入ると平均律曲集などのバッハの鍵盤音楽の出版が行われるようになる

 さて、18世紀中はごく一部の先見的な音楽家を除いてあまり関心を持たれなかったヨハン・セバスティアン・バッハの音楽ですが、19世紀に入ると、特にその鍵盤音楽が注目されるようになりました。 バッハ生存中、および18世紀中においては、バッハの作品はごくわずかしか出版されませんでしたが、1800年前後には平均律曲集を含む鍵盤作品が出版されるようになりました。




バッハの音楽の普及と同時に、混乱をもたらしたツェルニー版

 出版されたと言っても、今日のように大系的に整理されて出版されたわけではなく、出版者によって改訂された形で出版されたようです。 これらの中にはツェルニー編も含まれ、その後多くの音楽家たちがこのツェルニー編でバッハを学び、演奏することになります。



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ピアノの練習曲で知られているカール・ツェルニー。 1830年代に平均律曲集を改訂出版した。 このツェルニー版を入手しようと思ったが、簡単には出来ないようだ。 以前国内で出版されていた楽譜に付いている強弱記号や、メトローム記号は、このツェルニー版の影響を受けているのではと思われる。





 バッハの音楽の普及にツェルニーの果たした役割は大きいのでしょうが、同時にその恣意的とも言える改編によって、混乱を来したのも事実と言えます。 その影響はごく最近にまで及んでおり、以前紹介した全音版(メトロノーム記号などが付いいているもの)もチェルニー編の影響が考えられます。




1850年に旧バッハ協会設立

 1829年のメンデルゾーンによるマタイ受難曲復活により、バッハの愛好熱はいっそう高まることになり、1850年にはバッハ協会(旧バッハ協会)が設立され、旧バッハ全集が50年の歳月をかけ、1899年に完成されます。 これは、その時代を考えれば画期的なことと言え、極めて熱心な楽譜収集家や研究者たちの血と汗の結晶とも言えるでしょう。 




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旧バッハ全集の平均律曲集第1巻、第1番のプレリュード。 旧バッハ全集には多くの偽作が含まれていたりなど、あまり整理されていない。 特にその時点ではリュートのための作品は全く認知されておらず、そのほとんどは楽器不明の作品とされている。 しかしこの平均律曲集に関しては、現在原典版として出版されているものと、それほど大きくは違わないようだ。




新バッハ全集は10年前に完成したばかり

 しかしこの旧バッハ全集も完全なものとは言えず、1900年には新バッハ協会が設立され、1950年代から新バッハ全集の編纂が行われます。 この新バッハ全集が完成されるのは2007年ということで、これも50年を超える大事業となりました。 なお、私たちがよく目にするBWV番号は、この新バッハ協会によるもので、旧バッハ全集には作品番号的なものはありません。





初の全曲録音はエドウィン・フィッシャーのSP盤

 平均律曲集は1933~1936年に、エドウィン・フィッシャーによって初めて全曲録音されます。 私の知る限りでは、戦前の全曲録音としては唯一のものと思われます。 1950年代から現在まではチェンバロ、およびピアノ、さらにはオルガン、ラウテンヴェルクなど、様々な全曲録音が市場に出されますが、それらの中で私が聴いたものについて、次回より一つ一つ紹介してゆきましょう。

中村俊三ミニ・コンサート  ~アルベニス作品集発売記念


12月17日(日)14:00   石岡市ギター文化館




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たいへんありがとうございました。

 今日ギター文化館でミニ・コンサートを行いました。 30数名と、ミニ・コンサートとしてはたくさんの人に聴いていただきました。 ご来場下さった方々、またCDを購入していただいた方、本当にありがとうございました。




以前は寒かったが


 何分この会場(ギター文化館)は、音響とデザイン優先で建てられているので、天井が高く、冬の時期にコンサートを行うと、なかなか暖房が効かず、聴いている方も、また演奏者も結構寒かったのですが、最近では暖房設備も整い、また館長の池田さんにも細かく温度設定をしていただき、たいへん快適に演奏することが出来ました。 

 


CDと生演奏の聴き比べ?

 聴きに来ていいただいた方々のほとんどは、すでにCDを購入して聴いていただいていると思いますので、そうした方々は、CDと生演奏を聴き比べる形になります。

 CDのほうは細かく編集してあって、ちょっとしたノイズやミス等は完全に取り除いていますが、もちろん生の演奏ではなかなかそうは行きません (ウィリアムスや、ヴィドヴィッチなどは全く変わらないが!)。 確かに生演奏の場合はいろいろ不都合なことも起きてしまう訳ですが、でも生演奏には、録音では出せない勢いとか迫力とかはあるかな、と勝手に思っています。




どんなにオーディオ機器が良くなっても、生でないと聴けない音

 また、最近の録音機器はたいへん良くなっていますが、それでもスピーカーから出る音と、会場全体から響く音では全く違い、 この会場でギターを弾くと、たいへんきれいに音が響くのが感じられました。 そうした点なども楽しんでいただけていたら、と思います。
  ・・・・・・・・ちょっと言い訳ぽいですね。
 



アンコール曲は 「タンゴ」 と 「入り江のざわめき」

 演奏曲目は事前にお知らせした9曲の他、アンコール曲としてアルベニスの作品から 「タンゴ」 と 「入り江のざわめき」 を演奏しました。
中村俊三ミニ・コンサート ~アルベニス作品集発売記念


12月17日(日) 14:00   

石岡市ギター文化館

入場料 800円





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    <演奏曲目>

シューマン(タレガ編) : トロイメライ

カタルーニャ民謡(リョベット編) : 盗賊の歌

バルベルデ(リョベット編) : クラベリトス《カーネーション》

カタルーニャ民謡(リョベット編) : エル・メストレ《先生》

アルベニス : アストゥリアス、 グラナダ、 カディス、 キューバ、 セビージャ  ~スペイン組曲作品47より





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アルベニスとリョベットの作品

 前にも告知しましたが、今度の日曜日(17日)にギター文化館でCD発売記念のミニ・コンサートを行います。 内容は上記のとおり、アルベニスのCDに収録した曲の中から、最初の5曲(スペイン組曲作品47に属する)と、リョベットの作品などです。 リョベットの作品は今度録音しようかと思っています。



 ミニコンサートなので、通常のコンサートより多少短く、1時間弱くらいですが、入場料は800円と、これも通常のコンサートよりリーズナブルなものとなっています。 当日売りのみですが、気楽にご来場いただければと思います。


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バッハ:平均律クラヴィア曲集 26


第2巻



 ちょっと変わったフーガ




第21番変ロ長調



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やたら高い音域ではじまるフーガ

 高い音域からテーマが始まり、さらに5度上にテーマが出てくるフーガです。 しばらくは右手も左手もト音記号で書かれていて、かなり先の方まで進まないと、ヘ音記号内の音が出てきません。 ただし、オリジナルではト音記号は使われていないので、あくまで現代譜に直した場合です。

 バッハのフーガというと、何か、どっしりとしたイメージがあり、 ちょっと聴いた感じでは、 「これホントにバッハのフーガ? 」 なんて気になります。




バッハの声って、どんな声?

 そう言えば、 バッハの地声は、今現在だれも聴いたことがない訳ですが、でもバッハの晩年の肖像画からすると自然と、威厳に満ちた低い声を想像してしまいます。 でも、本当は意外と高い声だったりするかも知れませんね。




信長が、頭のてっぺんから声をだしていたら


 テレビ・ドラマなどでも、信長とか家康とか、歴史的な偉人は低めの声で演じられますね。 でもおそらく体格などからすると現在の人よりも声は高かったでしょうね。  ・・・・・でも信長の声が頭のてっぺんから出るような声だったら、視聴率落ちるかな?




非和声音から始まる

 話がちょっとそれ気味ですが、音域が高いと、やはり何となくバッハのフーガらしく聴こえないのは確かです。 さらに変わっている点としては、テーマの最初の音が 「ド」 となっています。 

 この曲は変ロ長調ですから、主音の「シ♭」からテーマが始まることが最も多く、少なくとも主和音の和声音である 「レ」、 「ファ」 のどちらかとなるでしょう。

 この最初の 「ド」 は次の 「シ♭」 の装飾音的で、もちろん最初の小節は主和音となっていますので、そんなに異例なことをやっている訳ではないのでしょうが、でもやはりあまりないケースです。




アーテキュレーション、つまりリズムにこだわった

 3、4小節目にバッハが書いたスラー記号があり、バッハはアーティキュレーションにもこだわったことがわかります。 このフーガを1,2小節目の音型とそのスラー記号の付いた3,4小節目の音型の二つで出来ているようです。 他の素材などは使われず、比較的シンプルなフーガと言えるでしょう。







第24番ロ短調



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普通過ぎるのが変わっている?


 24番といえば、プレリュードについても書きました。たんちょうであるにも関わらず、軽快とも言えるリズムで、”ノリのよい” 曲と言った感じでした。 フーガの方ははそんなに変わっている訳ではないのですが、”変わっていないのが変わっている”とも言えるでしょう。



偉大なる曲集の最後を締める、ロ短調のフーガとなれば、誰しも身構える

 何といってもロ短調はバッハが最もこだわった調と言われ、またこの曲集、つまり平均律クラヴィア曲集第2巻の終曲ということですから、誰が考えても重厚で内容の濃いフーガを連想するのではないかと思います。

 しかし実際は、そうした先入観をあざ笑うかのように、とても ”軽く” また結構 ”普通な” フーガ” となっています。 まさに肩透かし状態です。






もったいない?

 なぜバッハは ”24のすべての調でプレリュードとフーガを書く” という試みを2度も行ったのかという話に戻りますが、「とりあえず第1巻を作ってみたが、プレリュードとフーガが結構余ってしまったので、”もったいない” から若干曲を作り足して第2巻にした」 
 あるいは 「第1巻が評判よかったので、周囲の期待に応えて第2巻を完成させた」 など、やや消極的な理由も考えられるでしょう。

 また逆に 「平均律曲集は、自らの鍵盤作品群の中核となるべきもので、そのためには両輪のごとく、2巻に及ぶ作品群が絶対に必要」 といった非常に強い意識で書かれたことも考えられます。

 そのことについては、私などでは全くわかりませんが、でもこうして全曲見てみると、なんとなく第1巻と第2巻の違いがわかってきます。  個々の曲の作曲年代は必ずしも第1巻の方が時期が早いとも言えず、特に第2巻では初期のものから晩年の作にいたるまで、かなり幅広くなっているようです。

 第1巻は確かに強い意識で書かれたものということは言えると思いますが、第2巻においてはより自由に、型にはまらず作品を書いているように思います。 バッハの遊び心のようなものも感じられます。 



最近よく聴くが、なかなか飽きない

 それと、このことが私たち ”ドシロウト” には最も大事なことなのですが、この 「平均律クラヴィア曲集第1巻、第2巻」 はその名前のようにカタイものではなく、 とても親しみやすいものです。  

 いろいろ屁理屈をコイておきながら何ですが、これらの作品は結構 ”癒し系” とも言え、聴きなれると、ベートーヴェンやモーツァルトのピアノ曲よりも親しみやすささえ感じます。 またバッハの他の鍵盤曲、例えばイギリス組曲やタッカータ集、フーガの技法といったものより変化に富んでいて、なかなか飽きないものです。

 まさに ”噛めば噛むほど” といったものでしょう。 「バッハの平均律はめんどくさい」 と思っていた皆さん! これを機に聴いてみて下さい!




次回からやっと本題に


 次回から、様々なアーティストにより平均律曲集のCDの紹介を行ないます。  ・・・・やって本題に入れた。

 


アコースティック・ミュージック・フェスティヴァル  (AMF in ひたちなか 2017)

   12月9日(土)13:00    ひたちなか市 しあわせプラザ





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 昨日 ひたちなか市南神敷台(旧那珂湊市)の<しあわせプラザ>において、上記のコンサートがありました。 プロから、アマチュアにいたるまで、さらにギターを中心として、ピアノ、クラリネット、ヴァイオリン、声楽など、いろいろな組み合わせの二重奏など、たいへんバラエティに富み、全体の演奏時間も3時間半に及ぶコンサートでした。

 たいへん曲目も多いので、演奏一つ一つについてはコメントしきれませんが、私の教室関係者としては二重奏2組 (中川、丹 および 及川、久保田) が出演しました。 

 アマチュアの愛好家の皆さんの力演もなかなかのものでしたが、やはりプログラム後半のプロの演奏は素晴らしく、特にクラリネットの坂本さんの演奏は強く印象に残りました。 音の美しさや歌わせ方もさることながら、音量の小さいギターとのバランスをしっかりと取って演奏していたのは驚きでした。 ギター伴奏を担当した熊坂さんも好演でした。






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10数組におよぶ演奏の他、休憩時間にはホワイエでも演奏があるという、たいへんボリュームのあるコンサート


バッハ:平均律クラヴィア曲集 25


第2巻





長いフーガ

 今回は、平均律クラヴィア曲集第2巻の中の、長めのフーガに注目してみます。 第1巻の方では第4番、第8番、第12番など、”4の倍数番” で、短調の声楽的なテーマを持つフーガが長いものになっていましたが、この第2巻ではどうでしょうか。







第10番ホ短調



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 3連符、16分音符、付点音符などが使われ、リズムの変化のあるフーガになっている。




器楽的で、リズムに特徴

 前述のとおり、第1巻では、短調で長いフーガには声楽的なテーマが用いられていましたが、この第2巻の第10番ホ短調のフーガのテーマは、短調でで長いフーガでありながら、テーマは声楽的でなく、器楽的のものと言えます。

 このフーガのテーマの特徴は、何といってもそのリズムにあるでしょう。 3連符、16分音符、付点音符が用いられ、さらにバッハの手により楔型のスタッカート記号が書かれています。

 バッハがこのような記号を書きこむのは珍しく、それだけ、この曲においては、リズムに力点が置かれているのでしょう。 この曲だけでなく、第2巻においては、リズムへのこだわりが強い曲が多くなっています。








第11番ヘ長調




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16分の6拍子というあまり見かけない拍子となっているが、別に変わった拍子、あるいはリズムで書かれている訳ではない。



長調だが

 第1巻では長調のフーガに長いものはありませんでしたが、この曲は長調でありながら、99小節と比較的長いフーガとなっています。 ただ、16分の6拍子で速めに演奏されることが多いので、小節数の割には演奏時間は短く、聴いた感じでは長いフーガといった印象はありません。




なぜ16分音符で?

 ”16分の6拍子” とあまり見かけない拍子記号ですが、要するに8分の6拍子になるところを、8分音符の代わりに16分音符で書いたと言うことで、特に変わった拍子ではありません。

 でも、なぜバッハは8分音符で書かないで16分音符で書いたのでしょう。 速めのテンポを取ることを意味しているは確かと思いますが、他に16分音符は8分音符よりも”軽い”イメージがある)(たぶん)。 そうしたことなどで、バッハは16分音符でこの曲を書いtのでしょう。

 この曲も第10番同様に楔型のスタッカート・マークを書いていますが、音符的にはほぼ全曲16分音符で書かれているので、リズムの変化はあまりなく、またフーガとしてもシンプルなほうで、練習曲的な感じがあります。






第14番嬰へ短調



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第14番嬰へ短調はアリア風の美しいプレリュードを持つ。 フーガの方も充実した3重フーガとなっていて、第1巻の第4番嬰ハ短調と似ている。




声楽的なテーマを持つ3重フーガ

 この第14番嬰ヘ短調は、プレリュードについても書きましたが、たいへん美しいアリア風のプレリュードでした。 フーガの方もそのプレリュードに合わせるかのように声楽的な、堂々としたフーガです。 





第1巻の第4番嬰ハ短調を思い起こさせる

 プレリュードがアリア風で、フーガが3重フーガになっている点は第1巻の第4番嬰ハ短調を思い起こさせます。 新しい感じのする曲が多いこの第2巻にあっては、久々の古風で正統的なプレリュードとフーガといったところでしょう、いかにもバッハらしい曲です。




最後は短和音でも、長和音でもなく

 第1巻においては、短調の曲でも最後は長和音で終わるようになっていました。 この第2巻においては短和音で終わる曲もいくつかあるといってことを前に言いましたが、このフーガでは、最後は和音でなく、オクターブの主音のみとなっています。 短和音のままでは終わらないが、かといって長和音にもならないというところでしょうか。







第16番ト短調


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このフーガのテーマは、ポツリ、ポツリと、隙間の多い音符で始まるが、4小節目の同音が6回続くところから、音楽が一気に進み出す。




6個同じ音が連続

 このフーガのテーマの特徴は、何といっても4小節目で同じ音(ド)が6個続くということでしょう。 前回同じ音が3個続くテーマの話をしましたが、これはその2倍の6個と言う訳です。

 同じ音を6回繰り返すというのは、曲を作る時、意外と勇気のいることかなと思います。 同じ音を6回も繰りかえすと、なんか、工夫と創意がないように思われたりして。  ・・・・・・もちろんバッハ場合には関係のないことと思いますが、でもあまり聴かないですね、こういったフーガのテーマは。




推進力

 この曲においては、この6個の音が、曲を前に進める強い推進力となっているようです。 もちろんこのフーガ自体は声楽的ではなく、器楽的で、リズムが大きな存在感を持つ曲となっています。 また最後のほうでは3度のユニゾンが多用されていて、個性的なフーガの一つと言えます。



 



第18番嬰ト短調


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  こちらは本当に”8分の6拍子” 



こちらは8分音符で書かれ、穏やかな曲

 こちらは本当に8分の6拍子で書かれていて、穏やかな感じです。 確かに第11番よりはゆっくり目のテンポが似合うでしょう。
リズム的にも穏やかですが、半音階が多用されているのが特徴でしょう。 3声のフーガですが、その、半音階の使用と、3声ともフルに動き回るので、あまりシンプルな曲ではありまあせん。




次のプレリュードと似ている?

 余談ですが、このフーガは次の第19番のプレリュードとちょっと似ています。 つまり同じような感じの曲が2曲続くわけです。 たぶん ”たまたま” だと思います。



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第19番のプレリュードは、前の18番のフーガと似たような音型で始まる。 あまり意図的なものではないと思うが、第2巻においては、曲集全体のことはあまり考えなかったので、このようになったのだろう。








第22番変ロ短調




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第1巻においては、最後の24番ロ短調のフーガが堂々として規模の大きいものだったが、第2巻ではこの第22番のフーガが第2巻中、最大の規模のフーガとなっている。 4声の3重フーガ。




これぞバッハのフーガ!

 この22番のプレリュードは、前にも書きましたが、郷愁を誘うような美しいメロディの曲でした。 フーガの方も、この第2巻の中で最も規模の大きいものと思います。 あとでも触れますが、最後の24番のフーガが結構軽い曲なので、その分この22番に重心が移っているのかも知れません。

 テーマは譜面を見てもお分かりの通り、声楽的で、堂々としていて、いかにもフーガのテーマと言った感じです。 さらに4声の3重フーガということで、まさにバッハのフーガらしい、正統的極まるフーガと言った感じです。


 
バッハ:平均律クラヴィア曲集 24



第2巻



第1番ハ長調フーガ



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テーマは第1巻の第1番同様にシンプルだが、リズムに特徴

 第1番ハ長調のフーガのテーマは、第1巻のフーガ同様、比較的シンプルなものですが、 リズムは活き活きとしています。 プレリュードの場合もそうですが、この第2巻のフーガのテーマは、あまり型にこだわらず、比較的自由で、多彩に選択している感じがします。 またリズムもかなり多様になっています。






第5番ニ長調フーガ



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トン、トン、トン

 バッハのフーガには、この曲のように同じ音を3回鳴らすものがいくつかあります。この平均律曲集第2巻では、他に第8番変ト長調、第12番へ短調などがあります。
 



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  第8番変ト長調のフーガ





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  第12番ヘ短調のフーガ





一個多いが

 私たちになじみの深い、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番のフーガ (リュートのためのフーガBWV1000) も、この音型ですね。   ・・・・・・おっと、これは4個だった! まあ、だいたい近いと言うことで・・・・・・


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 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番フーガ(ギター版)。  3個でなく、4個だが、音型的には似ている




オモテから始まるか、ウラから始まるか

 この音型はバッハの好みのものなのでしょう。 同じ音が3個続くと言っても、第5番、第8番、BVW1000 の3曲は3個の音の前に休符があって、ウラ拍から始まりますが、第12番はオモテ拍から始まります。

 ウラから始まるか、オモテから始まるかで、もちろんアクセントの位置がかわりますね、それを書くとこんな感じでしょうか。




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   ウラから始まる場合





IMG_0004 アクセント

   オモテから始まる場合




減5度の跳躍が神秘的な感じを

 大雑把に言えば、ウラから始まると、軽くなり、オモテから始まると重たい感じになるでしょうか。 そのやや重たいリズムの方の第12番のテーマは、ちょっと変わった感じで、印象的ですね、リズミカルだが、神秘的な感じもします。

 このテーマには 《シ♭ ↓ ミ(ナチュラル) 》 で減5度の跳躍が出てきますが、この不協和音程の跳躍が不思議な感じを出しています。



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何か不思議な感じのするテーマだが、その原因はこの減5度で下がってくることにあるようだ。 バッハはこうした不協和音程を非常に巧みに用いる。



 前にも言いました通り、和声法、あるいは対位法的には、こういった不協和音程では跳躍出来ないことになっています。 しかしバッハの場合には、こういった跳躍を頻繁に、また効果的に用いています。 もちろん音程とリズムは密接な関係を持っています。

 





そう言えば、「運命」も


 そう、そう、 この同じ音が3個鳴らされる曲と言えば、ベートーヴェンの「運命」がありますね。 運命の第1楽章はほとんどこの音型で出来ていると言ってもいいようです。





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     ベートーヴェンの運命も同じ音型だが、印象はだいぶ違う




 この「 トン、トン、トン 」 、ベートヴェン的には 「ガ・ガ・ガ」 かも知れませんが、この同じ音を3回鳴らすと言う音型はベートーヴェン以外の作曲家も使っていて、決して特別な音型ではないのですが、ベートーヴェンはこの音型に特別なものを感じたのでしょう。 いわゆる ”目の付け所” というやつですね、天才というのは、そういったものを感じる嗅覚みたいなものを持っているのでしょう。


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