バッハ:平均律クラヴィア曲集 32
グレン・グールド 2
ウウーン、寒い!
寒いですね! 我が家では1週間前に降った雪がまだ相当残っています。 先日の雪はテレビなどでは水戸市は19㎝と言っていますが、それほどは積もらず、10㎝ちょっとといったところです。 同じ水戸でも場所によってかなり異なるようです。
雪もさることながら、その日以来ずいぶんと寒い日が続いています。 我が家ではボイラーから台所の蛇口まで、水道管は外に出ているので、夜間気温が下がると凍って出なくなってしまいます。
そうならないように、気温が下がりそうな夜は時々水を流して凍結を防がなければなりません。 幸い(?)私が寝るのは2時か3時ころなので、まずその時間にしっかりと水を流しておき、 家内が朝6時頃また水を流すようにしています。
連日 -5度を下回っている
本当に寒い時など、2時頃水を流そうとしても、その時点ですでに凍結してしまうこともあります。 そうした時、ほんのちょっとでも水が流れる状態であれば5~10分くらいそのままにしておけばなんとか水が流れ出しますが、1度完全に出なくなると、復活するまでに半日、あるいは、まる1日くらいかかってしまうこともあります。
その水道管が凍結するのが、だいたい-5度くらいで、このところ、その-5度を連日下回っていて、凍結要注意の日が続きます。 地球温暖化とはいえ、やはり寒い時は寒いようですね。 もっとも日本の方に寒波がやってくる時には、逆に北極の方は気温が上がるそうです。 ・・・・別に寒さを分けてもらいたくはない!
ゴールドベルク変奏曲
ゴールドベルク変奏曲を抜きには語れない
1955年の録音され、1956年に発売されたグールドのゴールドベルク変奏曲、 このゴールドベルク変奏曲を抜きにグールドは語れなし、また現在のバッハの演奏も語れない。 ということで本題からちょっと離れますが、今回はグールドのゴールドベルク変奏曲の話となります。
若干地味で、当時は人気のある曲ではなかったが、グールドには合っていた
グールドは10代後半からコンサート活動をするようになり、カナダやアメリカでは評価されていました。 当時のレパートリーは比較的一般的なもので、特に個性的なものではなかったようです。 このゴールドベルク変奏曲をリサイタルなどで弾くようになったのは1950年前後からのようですが、いろいろな意味でグールドには合っていたようです。
グールドはすでに優れたピアニストでしたが、その能力はショパンやベートーヴェン、あるいはリストといった、派手にピアノを鳴らすヴィルトーゾ的な作品よりも、バッハの音楽のような対位法的に入り組んだ複雑な音楽を演奏するほうに向いていたようです。
また、当時はゴールドベルク変奏曲はあくまで勉強のための曲で、一般の人向けの曲ではないといったイメージがあり、バッハの傑作にも拘わらず、リサイタルなどで演奏されることはほとんどなかったようです。

1955年盤のLPジャケット(復刻CDによる)。 グールドはそのふるまいや演奏姿勢が独特で、そうした写真がジャケットのデザインとなっている。
一躍時代の寵児へと
1956年に発売されたグールドのゴールドベルク変奏曲のLPは、世界中の音楽ファンに大きな衝撃を与え、それまでカナダ、アメリカでは話題になっていたとは言え、世界的には全くの無名だったグールドを、一躍時代の寵児に変貌させることになります。
速めのテンポとノン・レガートで溌剌とした音楽、各声部ともクリヤーに聴き取れる
この1955年盤は、かなり速めのテンポ(1:53)でテーマが演奏され、 続く第1変奏のテンポも速く、またノン・レガート奏法によって溌剌と演奏されます。
次の変奏はそれよりやや遅めになりますが、各声部の分離がたいへんよく、曲の内容がわかりやすくなっています。 これは、どちらかと言えば上声部よりも中声部やバスのほうをしっかりと弾くグールドの弾き方にもよりますが、不必要な残響などが全くない録音の仕方にもよると思います。
スリリングで、最後まで興味を持って聴きとおすことが出来る
いずれにしても、たいへんスリリングで、興味を失わずに全曲最後まで(約38分)聴きとおすことが出来ます。 長くて退屈な曲といった、それまでのイメージは完全に払拭されています。
難解で専門家向けの曲が、収益に貢献する人気曲に
また、それまでこの曲はあくまで専門家向けの曲で、一般の音楽ファンには受け入れ難いものという概念がありましたが、グールドの演奏により、多くの人が好んで聴く曲の一つと考えられるようになりました。
何といってもレコード会社の収益に大いに貢献する曲とも考えられるようにもなりました。 もちろん今ではバッハの人気曲の一つということで、多くのピアニストやチェンバリストにより演奏され、録音されています。
録音は4種類残されている
グールドは晩年の1981年に再度このゴールドベルク変奏曲を録音しますが、他に1954年のラジオ放送用の録音、1959年のライブ録音などが残されています。 しかし今現在でもグールドのグールドベルク変奏曲といえば、この155年録音のもとなるでしょう。 それだけ話題となり、またグールドらしい演奏とも言えます。
グールドの遺品の中から
1954年のラジオ放送用の録音は、グールドの死後、彼の遺品の中からその録音テープが見つかったと言うことで、発表されたのはグールドの死後となります。
1000円ちょっとで他の貴重な録音とともに
この録音は今現在では1950年代の録音を10枚組にしたCDセットに収められ、他に前述のカラヤンとのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番や、55年録音のゴールドベルク変奏曲など貴重な録音が多数収録されていて、1000円ちょっとの価格で入手出来ます。

グールドの1950年代の録音を集めたCDセット。 2種類のゴールドベルクの他、カラヤンとの協奏曲なども入っていて、1000円ちょっと。
54年盤は55年盤よりも全体に遅め
この54年盤は、テンポは全体に55年盤よりもやや遅く、各変奏のテンポの差もあまり大きくありません。 55年盤では 1:53 で弾いているテーマも 2:43 ということで、55年盤よりはだいぶ遅いですが、というより他のピアニストやチェンバリストが弾く、一般的なテンポともいえます。
個性的ではないが、率直で清楚な演奏
また55年盤では 6:30 もかけていた第26変奏も 4:24と、これも他の奏者が演奏する一般的なテンポと言えます。 また、55年盤と同様にノン・レガート的に弾いていますが、それほど短く音を切っているわけではなく、あまり違和感はありません。
つまり、このゴールドベルク(54年盤)は、たいへん自然で、個性的な演奏というより、繊細で清楚な演奏、 率直な演奏ともいえます。
言葉を変えると ”わりと普通” ともいえますが、しかし、これはこれでなかなか良い演奏だと思います。 55年盤よりもずっと良い、と言う人がいても全く不思議ではないでしょう。
グールド嫌いは減ったかも
おそらく55年盤のかわりにこの54年盤が世に出ていたら、グールドにたいする一般の印象もだいぶ違っていたでしょう。 グールドが嫌いと言う人は間違いなく少なかったと思いますが、一方ではグールドの演奏が、現在のように多くの人に影響をあたえることもなかったかも知れません。
両者の違いの要因は?
ところで、この54年盤と55年盤の、両者の違いは、何なのか? ということですが、 グールドの1年間での心境の変化というのもあるとは思いますが、それ以上に大きいのがライブ(ラジオ局のスタジオでの録音だが、編集なしという点ではライブと同じ)演奏と、編集の違いによるものと思われます。
ライブ録音とスタジオ録音の違いとも言えるが
つまり演奏をしている時のグールドと後から自分の演奏を聴いているときのグールドとは違うグールドがいるのかも知れません。 55年盤はスタジオ録音ですが、全曲を一気に弾きとおしたわけではなく、各変奏ごとに何種類ものテイクをとり、後から熟慮しながら、時間をかけて組み合わせたものとされていいます。
確かに、ライブの演奏では流れに沿って弾くわけですから、各変奏ごとにテンポや弾き方などを極端に変えて弾くのは難しいことかも知れません。 その点、各変奏ごとに弾けばテンポや音量など、前後の変奏とは全く関係なく弾けるわけです。
演奏者グールドとプロデューサー・グールドの違い
また人間である以上、演奏している時の心理状態と演奏中ではないリラックスした状態ではだいぶ異なるはずです。 つまりこの両者の違いは、演奏者としてのグールドと、音楽プロデューサーとしてのグールドの違いということになるのかも知れません。
グレン・グールド 2
ウウーン、寒い!
寒いですね! 我が家では1週間前に降った雪がまだ相当残っています。 先日の雪はテレビなどでは水戸市は19㎝と言っていますが、それほどは積もらず、10㎝ちょっとといったところです。 同じ水戸でも場所によってかなり異なるようです。
雪もさることながら、その日以来ずいぶんと寒い日が続いています。 我が家ではボイラーから台所の蛇口まで、水道管は外に出ているので、夜間気温が下がると凍って出なくなってしまいます。
そうならないように、気温が下がりそうな夜は時々水を流して凍結を防がなければなりません。 幸い(?)私が寝るのは2時か3時ころなので、まずその時間にしっかりと水を流しておき、 家内が朝6時頃また水を流すようにしています。
連日 -5度を下回っている
本当に寒い時など、2時頃水を流そうとしても、その時点ですでに凍結してしまうこともあります。 そうした時、ほんのちょっとでも水が流れる状態であれば5~10分くらいそのままにしておけばなんとか水が流れ出しますが、1度完全に出なくなると、復活するまでに半日、あるいは、まる1日くらいかかってしまうこともあります。
その水道管が凍結するのが、だいたい-5度くらいで、このところ、その-5度を連日下回っていて、凍結要注意の日が続きます。 地球温暖化とはいえ、やはり寒い時は寒いようですね。 もっとも日本の方に寒波がやってくる時には、逆に北極の方は気温が上がるそうです。 ・・・・別に寒さを分けてもらいたくはない!
ゴールドベルク変奏曲
ゴールドベルク変奏曲を抜きには語れない
1955年の録音され、1956年に発売されたグールドのゴールドベルク変奏曲、 このゴールドベルク変奏曲を抜きにグールドは語れなし、また現在のバッハの演奏も語れない。 ということで本題からちょっと離れますが、今回はグールドのゴールドベルク変奏曲の話となります。
若干地味で、当時は人気のある曲ではなかったが、グールドには合っていた
グールドは10代後半からコンサート活動をするようになり、カナダやアメリカでは評価されていました。 当時のレパートリーは比較的一般的なもので、特に個性的なものではなかったようです。 このゴールドベルク変奏曲をリサイタルなどで弾くようになったのは1950年前後からのようですが、いろいろな意味でグールドには合っていたようです。
グールドはすでに優れたピアニストでしたが、その能力はショパンやベートーヴェン、あるいはリストといった、派手にピアノを鳴らすヴィルトーゾ的な作品よりも、バッハの音楽のような対位法的に入り組んだ複雑な音楽を演奏するほうに向いていたようです。
また、当時はゴールドベルク変奏曲はあくまで勉強のための曲で、一般の人向けの曲ではないといったイメージがあり、バッハの傑作にも拘わらず、リサイタルなどで演奏されることはほとんどなかったようです。

1955年盤のLPジャケット(復刻CDによる)。 グールドはそのふるまいや演奏姿勢が独特で、そうした写真がジャケットのデザインとなっている。
一躍時代の寵児へと
1956年に発売されたグールドのゴールドベルク変奏曲のLPは、世界中の音楽ファンに大きな衝撃を与え、それまでカナダ、アメリカでは話題になっていたとは言え、世界的には全くの無名だったグールドを、一躍時代の寵児に変貌させることになります。
速めのテンポとノン・レガートで溌剌とした音楽、各声部ともクリヤーに聴き取れる
この1955年盤は、かなり速めのテンポ(1:53)でテーマが演奏され、 続く第1変奏のテンポも速く、またノン・レガート奏法によって溌剌と演奏されます。
次の変奏はそれよりやや遅めになりますが、各声部の分離がたいへんよく、曲の内容がわかりやすくなっています。 これは、どちらかと言えば上声部よりも中声部やバスのほうをしっかりと弾くグールドの弾き方にもよりますが、不必要な残響などが全くない録音の仕方にもよると思います。
スリリングで、最後まで興味を持って聴きとおすことが出来る
いずれにしても、たいへんスリリングで、興味を失わずに全曲最後まで(約38分)聴きとおすことが出来ます。 長くて退屈な曲といった、それまでのイメージは完全に払拭されています。
難解で専門家向けの曲が、収益に貢献する人気曲に
また、それまでこの曲はあくまで専門家向けの曲で、一般の音楽ファンには受け入れ難いものという概念がありましたが、グールドの演奏により、多くの人が好んで聴く曲の一つと考えられるようになりました。
何といってもレコード会社の収益に大いに貢献する曲とも考えられるようにもなりました。 もちろん今ではバッハの人気曲の一つということで、多くのピアニストやチェンバリストにより演奏され、録音されています。
録音は4種類残されている
グールドは晩年の1981年に再度このゴールドベルク変奏曲を録音しますが、他に1954年のラジオ放送用の録音、1959年のライブ録音などが残されています。 しかし今現在でもグールドのグールドベルク変奏曲といえば、この155年録音のもとなるでしょう。 それだけ話題となり、またグールドらしい演奏とも言えます。
グールドの遺品の中から
1954年のラジオ放送用の録音は、グールドの死後、彼の遺品の中からその録音テープが見つかったと言うことで、発表されたのはグールドの死後となります。
1000円ちょっとで他の貴重な録音とともに
この録音は今現在では1950年代の録音を10枚組にしたCDセットに収められ、他に前述のカラヤンとのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番や、55年録音のゴールドベルク変奏曲など貴重な録音が多数収録されていて、1000円ちょっとの価格で入手出来ます。

グールドの1950年代の録音を集めたCDセット。 2種類のゴールドベルクの他、カラヤンとの協奏曲なども入っていて、1000円ちょっと。
54年盤は55年盤よりも全体に遅め
この54年盤は、テンポは全体に55年盤よりもやや遅く、各変奏のテンポの差もあまり大きくありません。 55年盤では 1:53 で弾いているテーマも 2:43 ということで、55年盤よりはだいぶ遅いですが、というより他のピアニストやチェンバリストが弾く、一般的なテンポともいえます。
個性的ではないが、率直で清楚な演奏
また55年盤では 6:30 もかけていた第26変奏も 4:24と、これも他の奏者が演奏する一般的なテンポと言えます。 また、55年盤と同様にノン・レガート的に弾いていますが、それほど短く音を切っているわけではなく、あまり違和感はありません。
つまり、このゴールドベルク(54年盤)は、たいへん自然で、個性的な演奏というより、繊細で清楚な演奏、 率直な演奏ともいえます。
言葉を変えると ”わりと普通” ともいえますが、しかし、これはこれでなかなか良い演奏だと思います。 55年盤よりもずっと良い、と言う人がいても全く不思議ではないでしょう。
グールド嫌いは減ったかも
おそらく55年盤のかわりにこの54年盤が世に出ていたら、グールドにたいする一般の印象もだいぶ違っていたでしょう。 グールドが嫌いと言う人は間違いなく少なかったと思いますが、一方ではグールドの演奏が、現在のように多くの人に影響をあたえることもなかったかも知れません。
両者の違いの要因は?
ところで、この54年盤と55年盤の、両者の違いは、何なのか? ということですが、 グールドの1年間での心境の変化というのもあるとは思いますが、それ以上に大きいのがライブ(ラジオ局のスタジオでの録音だが、編集なしという点ではライブと同じ)演奏と、編集の違いによるものと思われます。
ライブ録音とスタジオ録音の違いとも言えるが
つまり演奏をしている時のグールドと後から自分の演奏を聴いているときのグールドとは違うグールドがいるのかも知れません。 55年盤はスタジオ録音ですが、全曲を一気に弾きとおしたわけではなく、各変奏ごとに何種類ものテイクをとり、後から熟慮しながら、時間をかけて組み合わせたものとされていいます。
確かに、ライブの演奏では流れに沿って弾くわけですから、各変奏ごとにテンポや弾き方などを極端に変えて弾くのは難しいことかも知れません。 その点、各変奏ごとに弾けばテンポや音量など、前後の変奏とは全く関係なく弾けるわけです。
演奏者グールドとプロデューサー・グールドの違い
また人間である以上、演奏している時の心理状態と演奏中ではないリラックスした状態ではだいぶ異なるはずです。 つまりこの両者の違いは、演奏者としてのグールドと、音楽プロデューサーとしてのグールドの違いということになるのかも知れません。
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