バッハ:平均律クラヴィア曲集 42
ダニエル・バレンボイム(1942年~イスラエル) 2003~04年録音

シメはバッハで
ダニエル・バレンボイムは、指揮者としても評価の高いピアニストです。
指揮者としても、ピアニストとしても幅広いレパートリーを持っていますが、
バッハについてはこれまではあまり演奏してきませんでした。
バレンボイムとしては、ピアニストとしての活動の終盤にあたる2003~04年に、
このバッハの平均律曲集をを録音しました。
シメは、やはりバッハということでしょうか。

今や、指揮者界の重鎮、ダニエル・バレンボイム
古き良き時代を彷彿させる
指揮者としても、かつての巨匠時代を思わせるような、ロマンティックな演奏が特徴ですが、
このバッハの平均律曲集に於いても、”古き良き時代” を彷彿させる演奏となっています。
一般的には残響の少ない環境で
バッハの作品をピアノで録音する場合、ほとんどのピアニストはペダルを使用せず、
また残響の少ない環境で録音し、音が干渉しあって響きが濁ったり、
また各声部の動きがわかりにくくなることは避ける傾向にあります。
グレン・グールドなどはその典型的な例で、
全くと言ってよいほど残響のないスタジオ(自分専用の)で録音し、
クラシック音楽というよりはジャズ・ピアノのような音になっています。
ペダルやバスのオクターブ重複なども使用した豊饒な響き
それに対し、このバレンボイムの録音は非常に残響の多い環境で録音し、
なお且つペダルなども使用し、たいへん豊かな響きのものとなっています。
そして、演奏についてもダイナミックスの変化を最大限用い、
多くの曲で、ピアニッシモからフォルテシモまでクレシェンド、デクレシェンドを行っています。
またエドウィン・フィッシャー同様、バス声部をオクターブ・ユニゾンを用いていますが、
フィッシャーに比べても、かなり頻繁に用いています。
19世紀ロマン主義の亡霊?
1950年代以降、多くのピアニストは、原曲がチェンバロであることから、こうしたことは控えています。
バレンボイムは、今現在はバッハの演奏においては、タブーとなっている演奏法を行っている訳です。
21世紀に現れた ”19世紀ロマン主義の亡霊” といったところでしょうか。

若い頃のバレンボイム。 ベートーヴェンやモーツァルトの演奏もロマンティックなものだった。
特に第2巻では遅めのテンポをとっている
テンポに関しては、第1巻ではほぼ平均的なテンポで、第1番のプレリュードなどはやや速い方と言っていいでしょう。
しかし第2巻では、どの曲もかなり遅めのテンポをとっており、
その結果、第2巻は3枚のCDとなっています。
第1番のハ長調のプレリュードなどを聴くと、それがよくわかり、
かなり遅めのテンポで、なおかつバスのオクターブ重複も目立ち、
たいへん重厚なプレリュードとなっています。
因みに、ほとんどのピアニストは第1巻、第2巻とも、それぞれ2枚ずつのCDに収めています。
時代に流されず
おそらくバレンボイムも、こうした演奏が、今現在の主流でないことはよく理解していることでしょう。
一部のバッハ愛好家などからは厳しい批判も受けかねないことも承知の上かも知れません。
そうしたことを踏まえた上での、こうした演奏なのでしょう。
時代に流されず、自分の感性や、信念に従った演奏と言うべきなのかも知れません。
もう、ここまでくれば、一種の潔さを感じます。
今現在では他のピアニストからは、なかなか聴けない演奏でしょう。
もし音大生だったら
しかし、もし、このような演奏を、音大生が行ったら、おそらく指導の先生からこっぴどく叱られそうですね。
「あなたの演奏はバッハではない!
もっとバロック時代の演奏様式を学びなさい!
バッハの演奏にペダルなど使用してはいけません!
勝手なオクターブ重複などもってのほか!
クレシェンドなんて、楽譜のどこに書いてあるのですか! どこに!
それでは、まるでラフマニノフです。
こんな演奏しているようでは、私はもう、あなたの面倒は見ていられません!」
・・・・・・なんて。
オススメの品
しかし、
「最近のピアニストは、なんでバッハとなると、無味乾燥な演奏をするのか!
ピアノらしい音でバッハを弾くピアニストはいないのか!
バッハにポエムや、ファンタジーを感じさせるピアニストはいないのか! 」
とお嘆きの貴兄には、ぜひともオススメの品です。
ダニエル・バレンボイム(1942年~イスラエル) 2003~04年録音

シメはバッハで
ダニエル・バレンボイムは、指揮者としても評価の高いピアニストです。
指揮者としても、ピアニストとしても幅広いレパートリーを持っていますが、
バッハについてはこれまではあまり演奏してきませんでした。
バレンボイムとしては、ピアニストとしての活動の終盤にあたる2003~04年に、
このバッハの平均律曲集をを録音しました。
シメは、やはりバッハということでしょうか。

今や、指揮者界の重鎮、ダニエル・バレンボイム
古き良き時代を彷彿させる
指揮者としても、かつての巨匠時代を思わせるような、ロマンティックな演奏が特徴ですが、
このバッハの平均律曲集に於いても、”古き良き時代” を彷彿させる演奏となっています。
一般的には残響の少ない環境で
バッハの作品をピアノで録音する場合、ほとんどのピアニストはペダルを使用せず、
また残響の少ない環境で録音し、音が干渉しあって響きが濁ったり、
また各声部の動きがわかりにくくなることは避ける傾向にあります。
グレン・グールドなどはその典型的な例で、
全くと言ってよいほど残響のないスタジオ(自分専用の)で録音し、
クラシック音楽というよりはジャズ・ピアノのような音になっています。
ペダルやバスのオクターブ重複なども使用した豊饒な響き
それに対し、このバレンボイムの録音は非常に残響の多い環境で録音し、
なお且つペダルなども使用し、たいへん豊かな響きのものとなっています。
そして、演奏についてもダイナミックスの変化を最大限用い、
多くの曲で、ピアニッシモからフォルテシモまでクレシェンド、デクレシェンドを行っています。
またエドウィン・フィッシャー同様、バス声部をオクターブ・ユニゾンを用いていますが、
フィッシャーに比べても、かなり頻繁に用いています。
19世紀ロマン主義の亡霊?
1950年代以降、多くのピアニストは、原曲がチェンバロであることから、こうしたことは控えています。
バレンボイムは、今現在はバッハの演奏においては、タブーとなっている演奏法を行っている訳です。
21世紀に現れた ”19世紀ロマン主義の亡霊” といったところでしょうか。

若い頃のバレンボイム。 ベートーヴェンやモーツァルトの演奏もロマンティックなものだった。
特に第2巻では遅めのテンポをとっている
テンポに関しては、第1巻ではほぼ平均的なテンポで、第1番のプレリュードなどはやや速い方と言っていいでしょう。
しかし第2巻では、どの曲もかなり遅めのテンポをとっており、
その結果、第2巻は3枚のCDとなっています。
第1番のハ長調のプレリュードなどを聴くと、それがよくわかり、
かなり遅めのテンポで、なおかつバスのオクターブ重複も目立ち、
たいへん重厚なプレリュードとなっています。
因みに、ほとんどのピアニストは第1巻、第2巻とも、それぞれ2枚ずつのCDに収めています。
時代に流されず
おそらくバレンボイムも、こうした演奏が、今現在の主流でないことはよく理解していることでしょう。
一部のバッハ愛好家などからは厳しい批判も受けかねないことも承知の上かも知れません。
そうしたことを踏まえた上での、こうした演奏なのでしょう。
時代に流されず、自分の感性や、信念に従った演奏と言うべきなのかも知れません。
もう、ここまでくれば、一種の潔さを感じます。
今現在では他のピアニストからは、なかなか聴けない演奏でしょう。
もし音大生だったら
しかし、もし、このような演奏を、音大生が行ったら、おそらく指導の先生からこっぴどく叱られそうですね。
「あなたの演奏はバッハではない!
もっとバロック時代の演奏様式を学びなさい!
バッハの演奏にペダルなど使用してはいけません!
勝手なオクターブ重複などもってのほか!
クレシェンドなんて、楽譜のどこに書いてあるのですか! どこに!
それでは、まるでラフマニノフです。
こんな演奏しているようでは、私はもう、あなたの面倒は見ていられません!」
・・・・・・なんて。
オススメの品
しかし、
「最近のピアニストは、なんでバッハとなると、無味乾燥な演奏をするのか!
ピアノらしい音でバッハを弾くピアニストはいないのか!
バッハにポエムや、ファンタジーを感じさせるピアニストはいないのか! 」
とお嘆きの貴兄には、ぜひともオススメの品です。
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