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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

2018年のまとめ 3



【9月】


第18回水戸ギターアンサンブル演奏会

9月24日(月 祝) ひたちなか市文化会館


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隔年に行われている「水戸ギターアンサンブル演奏会」をひたちなか市文化会館で行いました。

このところアンサンブルでは本番でのトラブルなどが相次いでいたのですが、

そうした経験、あるいは反省を踏まえて、この日のコンサートではほぼ予定通りに演奏出来ました。

といってもまだまだ問題点はたくさんあり、今後改善してゆかなければなりません。

さらに今回でこれまで中心となってアンサンブルをリードしてくれていた女性のメンバー二人がやめることになり、

来年から若干新たに加わったり、また復帰したりする人はいますが、苦しい台所事情とはなるでしょう。

結果的に、来年の水戸ギターアンサンブルは、男性のみ16~17人ということになりそうです。



 
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プロのギタリストを目指す高校生の森田晴さんにゲスト出演してもらった




【11月】

レッスンのためのクラシック・ギター曲集1~4(CD) 製作




これまでもこうしたCDは録音してあったのですが、音質や演奏内容、

収録曲などに問題が出てきたので、新たに4枚製作しました。

以前のものに比べると、音質、演奏内容など、いろいろな点でよくなったと思います。



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レッスンのためのクラシック・ギター曲集1~4 収録曲などは11月の記事を読んで下さい



初級から中級程度の曲が主ですが、聴くだけでもなかなかいいのではと思います。

また比較的簡単な曲とは言え、こうした形でちゃんと録音するのはそれほど簡単ではありません。

でもちゃんと丁寧に演奏すれば、こうした曲もなかなか聴きごたえのある曲になるでしょう。






第1回ICGアンサンブル演奏会

11月29日(木) 石岡市ギター文化館



茨城大学クラシック・ギター部の同期の仲間7人でICGアンサンブルを結成し、その第1回の演奏会を行いました。

最近までほとんどギターに触れていなかったメンバーもいて、かつてのレヴェルに戻るまでにも、

まだちょっと時間がかかりそうですが、とりあえず第1回目の演奏会を終えました。


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会場にはギター部OBはじめ、約70名の人に来てもらい、第1回としてはなかなか盛況だったと思います。

今後も続けられるだけ続けてゆきたいと思います。






【ブログ】

バッハ:平均律クラヴィア曲集




当ブログでは、今年は昨年に弾き続き、大作「バッハ:平均律クラヴィア曲集」を書きました。

全49回にわたる記事でした。

もちろんこの記事を書くにあたってこの曲集を何度も聴いたのですが、最近でも時々聴いています。 

やはり何度聴いても面白い曲で、新鮮さは失われません。

また何度も聴いたはずなのですが、「あれ、こんな曲あったかな」 など思うこともあり、

ちょとやそっと聴いたくらいではなかなか理解出来なところもあるのでしょう。

バッハの鍵盤曲にはゴールドベルク変奏曲はじめ、数々の名曲がありますが、

その中でもこの平均律曲集は変化も内容もあって、最も聴きごたえのある作品ではないかと思います。





美術の沖山先生


秋頃には「美術の沖山先生」の記事を11回にわたって書きました。

書いた動機としては、何といってもたいへん個性的な沖山先生(仮名)のキャクターを

ブログ上で再現してみたかったということですが、

裏のテーマとしては、得意とか不得意とか、また才能があるとかないとかといったことは、

それほど簡単に決まるものではないということでした。

確かに不得意なものを得意なもに変えるためには本人の特別な努力であったり、

また優れた指導者であったり、するわけですが、

不得意であったためにかえって最終的には結果を出すなどということも、少なくはないのかも知れません。

また逆にもともと得意であると思っていたがために、大きな挫折を味わうなどということもよくある話です。

私などその典型的な例で、小さい頃から得意だと思っていた理数系で挫折し、

最も苦手だと思っていた音楽で仕事をしている。

ギターに関しても、もともと苦手だと思っていたので、

今日まで努力を積み重ねてこられたのかなと思います (結果の方はあまりでないけど)。





それでは本当に今年もごくわずかとなりました。


来年も 中村ギター教室、 水戸ギター・アンサンブル、 中村俊三、 

そして当中村俊三ブログ をよろしくお願いします。 そうそう、ICGアンサンブルも!


よい年をお迎えください。
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2018年のまとめ 2


【5月】


シニア・ギター・コンクール

 5月3、4日  石岡市ギター文化館


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  昨年からシニア・ギターコンクールは4部門となり、ヒューチャー部門(25歳未満)では森田晴さん、ミドル・エイジ(25~59歳)では箭田昌美さん、シニア・エイジ(60~69歳)では鈴木幸男さん、リスペクト部門(70歳以上)では清水和夫さんが1位となりました。

 来年からはまた二つの部門(ミドル、シニア・エイジ)となり、時期も5月ではなく、9月となるようです。






MYアンサンブル春日井グループ第8回定期演奏会

 5月27日(日)  愛知県春日井市東部市民センター


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 大学のギター部時代の友人も所属している、MYアンサンブル春日井グループの演奏会に行きました。 出演者もまた来場した観客もたいへん多く、熱気あるコンサートでした。

 MYアンサンブルはフルート、マンドリン、レキント・ギター、プライム・ギター、ギタロンといった組み合わせで、アルト・ギターではなく、レキント・ギター使用というのも珍しいなと思いましたが、名古屋周辺では普通だそうです。 やはり ”所変われば” ということでしょうか。



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 愛知県に行ったついでに、次の日(28日)は伊勢神宮に行ってきました。 さすが神道の総本山ということで、人出も多かったのですが、これでも平日なのでだいぶ空いているということでした。

 それにしてもここに来る人は意識が高いようです。 誰もが参道の端を歩き、 ”2礼、2拍手、1礼” をきちんとやっています。 私の家など代々神道だったのですが、そんなこと比較的最近知りました。






【6月】


中村俊三 クラシック・ギター名曲選 発売 

 私の2枚目のアルバムとなる 「クラシック・ギター名曲選」 を発売しました。 「カヴァティーナ」、「アランブラの想い出」、「禁じられた遊び」などギターの定番名曲の他、「トロイメライ」、「雨だれ前奏曲」などピアノ名曲のタレガ編ギター版も収録しています。



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 昨年の「アルベニス作品集」からさらに編集技術も上がり、たいへん耳になじみやすい音になっているのではと思います。 もちろん 「アルベニス作品」、「クラシック・ギター名曲選」、 どちらも発売中です!





【7月】


水戸市民音楽会

 7月15日(日) 水戸芸術館


今年の市民音楽会は50回記念ということで、茨城県出身のギタリストの木村大さんがゲストで出演しました。 大君(小さい頃から知っているので)の演奏は、アンプ使用でしたが、その場で録音したものを再生しながら演奏するという技法を駆使したもので、なかなか斬新的なものでした。



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 大君の演奏終了後、しばらくぶりに大君とゆっくり話をしました。 いや、しばらくぶりというより、お父さん(義輝さん)とではなく、大君とじっくり話をしたのは初めてかな?

 水戸ギター・アンサンブルとしては 「スカボロー・フェア」 と 「剣の舞」 を演奏しましたが、どちらも反省の多い演奏となってしまいました。 なぜか今年は練習ではそこそこ出来ていても、本番では崩れてしまう傾向にあるようです。    ・・・・・困ったものだ。

2018年のまとめ


今年も残るところわずかとなりました。 来年は平成最後の年、そして次の年は東京オリンピックとなりますね。

それでは、年末恒例となりましたが、今年1年のおさらいを致しましょう。




【1月、2月】

 今年の1月頃はかなり寒い日が続いていました。 当教室としては、1、2月には特に行事らしい行事もありませんでした。 私は何をしていたのでしょうね。

 昨年アルベニス作品集のCDを作りましたが、次のクラシック・ギター名曲選の録音の準備などしていたでしょうか。 ブログの方では昨年から引き続いてバッハの平均律クラヴィア曲集の記事を書いています。





【3月】

 宮下祥子ロマンティックギターコンサート
   ~19世紀ギターによる古典音楽と情熱のピアソラ

 3月3日(土)  東京都 銀座ヤマハホール


 <演奏曲目>

メルツ : マルヴィーナへ(吟遊詩人の調べより)
ソル : 魔笛の主題による変奏曲、 悲歌風幻想曲
シューベルト ~メルツ編 : 涙の賛美、 わが宿、 漁夫の娘
     以上 19世紀ギター使用
ロドリーゴ : ヘネラリーフェのほとり
藤井敬吾 : 羽衣伝説
ピアソラ : タンゴの歴史   Vn  アテフ・ハリム(ゲスト出演)
     以上モダンギター使用  

アンコール曲  ピアソラ : チキリン・デ・バチン   ~ハリム、宮下
           ディアンス : タンゴ・アン・スカイ  ~宮下


 銀座のヤマハホールに久々に行きました。歩行者天国はいまでも行われていましたが、昔に比べると人はやや少なくなったようですね、それとやはり外国人観光客が多くなりました。

 19世紀の楽器のレプリカ使用でしたが、ソルの悲歌風幻想曲など、悲しい中にも潔さのようなものも感じられました。 会場はほぼ満席で、東京にも宮下さんのファンがたくさんいるようです。

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宮下祥子マスター・クラス

 3月11日(日)  中村ギター教室スタジオ



そのリサイタルが終わったばかりの宮下さんに私の教室でマスター・クラスを行ってもらいました。 受講者は6名(5組)でしたが、コンクールや発表会などを控え、それぞれたいへん有効なアドヴァイスを頂きました。

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3月25日(日)
  
サロン・コンサート   ひたちなか市アコラ 



<曲   目>

バルベルデ~リョベット編 : クラベリトス(カーネーション)
カタルーニャ民謡~リョベット編 : 盗賊の歌  エル・メストレ  糸を紡ぐ娘
ベートーヴェン~タレガ編 : アダージョ (ピアノ・ソナタ 「悲愴」 より)
ショパン~タレガ編 : 雨だれ前奏曲
アルベニス~中村俊三編 : アストゥリアス  入り江のざわめき  カタルーニャ綺想曲  サンブラ・グラナディーナ  朱色の塔 

プログラムの前半は今年録音の曲、後半のアルベニスは昨年録音した曲という感じで、今年は録音が中心でした。 私のコンサートの前に行われた愛好者の演奏が盛りだくさんだったので、手短に演奏しようと、ちょっと急いでしまったかな?



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【4月】

中村ギター教室発表会

   2018年 4月7日 13:30~
   茨城県総合福祉会館コミュニティ・ホール 


 およそ20年ぶりにこの総合福祉会館コミュニティ・ホールで発表会を行いました。 数名の”初舞台”の生徒さんを含め、独奏約20名の他、合奏、二重奏などを行いました。 


 合奏などは市民音楽会や9月の水戸ギター・アンサンブル演奏会のリハーサルの意味もあったのですが、かなり反省の多い演奏となってしまい、その後いろいろ修正することになりました。 

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中川さんと丹さんには、私が作曲した「ギター二重奏のためのAir」も演奏してもらった。 作曲者(私のことだけど)の意図をよく感じて、すばらしい演奏をしてくれた。





京都旅行

  4月9~11日

 今年の冬は結構寒かったので、さくらに時期はやや遅いかなと思ってこの日に旅行計画をしたのですが、さくらの時期か近ずくにつれて気温がどんどん上がり、結局は以下いかに時期は全国的に早くなり、完全に時期を外してしまいました。

 平野神社などさくらで有名なところはほとんど散ってしまい、唯一咲いていたのが北山の原谷苑でした。


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原谷苑の枝垂れ桜


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御所はただただ広かった




 
美術の沖山先生 11




50数年の歳月が流れ

 あれから50数年の歳月が流れ、21世紀になってからしばらく経ちます。 中学生だったナカムラ君は、その後紆余曲折を経てギター教師となりました。

 中学生当時のナカムラ君からすると、美術関係はともかくとして、少なくとも理数系の仕事にはついているのではと想像されるところですが、なぜかクラシックのギタリストという仕事を選びました。

 その辺の事情を説明すると長くなるので、それは置いておくことにして、そのギター教師になったナカムラ君は最近、なぜか一時期ほとんど脳裏から消え去っていた沖山先生のことを、しばしば思い出すようになりました。



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メガネで坊主頭のナカムラ君は、なぜか今現在はギター教師。 当時のナカムラ君からは想像すらできない。 やはり別人?



長年ギターを教えている中で

 67才になったナカムラ君、いや、もう面倒くさいので私でいいでしょうか、その私は長年ギターを教える仕事をしている訳ですが、そのわりには教え方がイマイチ上達しません。 

 教材はすべて自分で作ったり、またレッスンのシステムなども何度も考え直したり、 いろいろと工夫したり頑張ったりはしているのですが、思ったように生徒さんを上達させるのはなかなか難しいようです。



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最近作った教材用のCD。  ギターの教え方にはいろいろ工夫はしているが。



 特に話の仕方があまり上手くないのでしょうか、無駄な話が多いわりには、なかなか真意が伝わらないようです。

 そんな、こんなで、指導することの難しさを、よりいっそう身に染みるようになった昨今、美術的才能など皆無だった中学生の私を、仮にも県の美術展で金賞を受賞させた沖山先生とは、いったい、どんな先生だったのだろう? と思うようなりました。




年月が経つとわかる沖山先生の指導力

 当時、沖山先生といえば何といってもあの強烈なキャラ、女王様みたいなキャラの方に目が行ってしまいますが、よくよく考えてみれば、たいへん優れた先生だったのでは。

 何といってもそれまでろくに絵も描けなかった生徒を美術展で金賞を取らせるまでにした指導力は、決して普通ではないでしょう。




真面目に先生の話を聴かなかった私が、真剣に耳を傾けるようになった

 また授業中先生の話を真面目にに聴くことはなかった私が、沖山先生についてだけは真剣に話を聴き、自ら積極的に指導を受けるようになったわけです。 

 そのことだけをとっても並の先生ではなかったのでしょう。




あの女王様キャラは天然? それとも人工?

 そしたまた、何といっても、あの非常に個性的で強烈なキャラ! あれってなんだったのだろう?

 あのキャラクは生まれ持ったもの、つまり天然だったのだろうか?  それとも種々の理由により意図的に作り上げたもの?

 男性的で、一見凶暴にも見える沖山先生のキャラですが、しかし、ほんのちょっとした瞬間、とても優しく感じる時もあり、また、たいへん細やかに周囲に気配りをする先生でもあったということはこれまで書いたとおりです。



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状況証拠からは

 そうした状況証拠からすると、沖山先生は意図的に自分のキャラを作り上げたのでは、という可能性も十分に出てきます。

 生徒たちを指導する上で作り上げられたキャラとも考えられますが、 仮にそうだったとすれば、沖山先生は自分で作り上げたキャラを完璧に演じきったことになるでしょう。

 また、沖山先生は自分が女性として見られること、特に美人だとか言われるのが嫌だったのかも知れません。

 そうしたこともあのような言葉使いに反映したとも考えられます。 一種の”テレ”とも言えるでしょう。
 




私たちが入賞したことを喜ばなかったのか?

 常にクールだった沖山先生で、私たちが美術展で入賞したことを全く喜んだ様子はなく、私たちに 「おめでとう」 とか 「よくやったね」 といったような言葉一切かけませんでした。

 しかし沖山先生は美術展の会場で、私たちの版画が飾ってあるところまで、ほとんど迷わず案内してくれました。

 つまり沖山先生はすでに会場を下見していると考えられます。

 また、彼氏らしき美術の先生と一緒に行ったのも、自らの生徒を誇らしく思う気持ちもあったのではと思えます。

 私たちにはそういった素振りは全く見せませんでしたが、やはり嬉しい気持はあったのでしょう。 

 教師としての義務だけではあのような行動はとらなかったのではと思います。

 何といっても、私たちに良い作品を作り出すことの喜びをよりいっそう感じさせようといった意図があったことは間違いないでしょう。
 

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よい思い出であってくれれば

 沖山先生とその男性が、その後どうなったかは全くわかりませんが、もし結婚とか、そういったことになっていれば、あの時4人で美術展に行ったことが、沖山先生の中にもとてもよい思い出として残っているのでは。

 ・・・・・・妄想にもほどがある? 




熱い心と極度のシャイさが

 クールな女王様キャラをかぶった熱血教師!   なんちゃって。

 もしかしたら、あの賞金の件にも、何らかの形で沖山先生がからんでいるのかも?   

 誰かが積極的に動かなければ役場や校長先生だって、あるいは高度経済成長期真っ盛りだったとはいえ。

 心の熱さと、極度のシャイさが、女王様キャラを生んだ? 








中村俊三新春コンサート


  1月20日(日) 14:00   ひたちなか市アコラ




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   <曲   目>

ジョン・ダウランド : 涙のパヴァーン、 エリザベス女王のガリヤード

J.S.バッハ : 組曲ニ長調(原曲チェロ組曲第1番ト長調BWV1007 中村編)
   1.プレリュード   2.アルマンド      3.クーラント
   4.サラバンド    5.メヌエットⅠ、Ⅱ   6.ジグ

フェルナンド・ソル : 序奏と「私が羊歯だったら」の主題による変奏曲作品26

エイトール・ヴィラ=ロボス : ブラジル民謡組曲
   1.マズルカ・ショーロ   2.ショティッシュ・ショーロ
   3.ヴァルサ・ショーロ   4.ガヴォット・ショーロ   5.ショリーノ

アウグスティン・バリオス : 大聖堂
   Ⅰ プレリュード(郷愁)   Ⅱ 敬虔なアンダンテ   Ⅲ 荘厳なアレグロ





参加費2000円(要予約)

お問い合わせ  中村ギター教室 TEL029-252-8296
           アコラ E-mail ma-gyumug-765019@ijs.dream.jp

*16:00頃より参加者によるコンサートがあります。演奏希望の方はお問い合わせを。



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ルネサンス期から20世紀の作品

 来年の話ですが、1月20日(日)にひたちなか市アコラでコンサートを行います。 プログラムはルネサンス期の作品から20世紀の作品までといったもので、ギターのリサイタルとしてはかなりオーソドックスなものです。 お正月ということで、特に清楚な響きの曲を選びました。

 来場していただくには事前に予約が必要ですが、アコラは席数20~30といったところなので、ご希望の方はお早めにご予約下さい。 予約受付はアコラでも、また私の教室で行っています。

 また、演奏ご希望の方も事前に申し込んでください。


 曲目の解説等は後日行います。
美術の沖山先生 10



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ナカムラ君が通った高校の講堂。 明治時代の建物で、文化財となっている。




理数系が得意だと思っていた

 ナカムラ君は大学進学を考え、進学校を受験しました。 彼は小さい頃から理数系が得意だったので、大学の理数系の学部、できれば物理関係の学科に進学したいと思っていました。

 もっとも彼が“理数系が得意”というのも大きな誤解で、そのことを彼が理解するようになるまで、さらに数年間ほど必要となります。



絵を描くのが大の苦手の少年が美大進学?

 彼は中学生の時に版画展で金賞を受賞したことにより、自分には美術の才能がると思い込み、高校進学の時点では、その理数系に加え、美大進学も選択肢の一つとして真面目に考えていました。

 絵を描くなんて最も苦手なことと思っていた小学生の頃の彼からすれば、全く想像も出来ないことでしょう。 人間、変われば変わるものです。

 そして高校の授業が始まると、彼は当然のごとく芸術科目として美術の授業を選択しました。

 しかし、彼のその後の人生を考えれば、本当は音楽を選択すべきだったのは確かです。 

 もっとも、彼にとって音楽もまた苦手な科目の一つで、確かにその時点では音楽の選択はなかったかも知れません。

 でもその彼がいつの間にかギター教室の先生?  ・・・・・・・その辺の話は、今回は置いておきましょう。
 



高校の美術の授業が始まると

 高校の美術の授業が始まり、彼が自信満々に提出したデッサンは、なんと、先生から 「このように描いてはいけない」 とNGを出され、悪い例として皆に紹介されてしまいました。

 さらに、色彩のあるものはもっとひどく、よく考えてみると確かに彼は沖山先生にはデッサンと版画しか指導を受けていませんでした。




気付くのに2か月とはかからなかった

 彼のクラス・メイトの中には、本当に美大を目指している人もいて、そういう人は彼とは全く実力が違い、比べ物になりませんでした。

 彼らは才能だけではなく、早い時期から本格的に美術に取り組んでいて、基礎も出来上がっていました。

 彼が自分には美大進学など全くあり得ないという、ごく当然のことに気付くのに、2カ月とはかかりませんでした。




多少は勉強するようになったが

 小、中学時代には家でほとんど勉強しなかった彼ですが、さすがに高校に入るとそれなりに勉強するようになりました。

 最初の英語の試験の結果が悪く、先生から 「お前、基本が全然出来ていない! もう一度中学からやり直せ!」 と言われたのが結構効いているのでしょう。




自他ともに認める運動オンチが、何とサッカー部に!

 そしてスポーツ関係は音楽や美術以上に小さい頃から大の苦手で、自他ともに認める「運動オンチ」だったのですが、高校に入学してから一念発起して、なんと、サッカー部に入りました。

 もちろん、それまでほとんど体を動かしたことがなかったので、家に帰ると体中が痛くなり、最初は本当にたいへんでした。

 でもここでやめたら一生スポーツは出来ないといった悲愴な気持ちでがんばり、3か月くらい頑張ったら、ある程度辛くなくなってきました。

 そして次第にハードな練習もチョットした快感というか、結構楽しいものだと思うようになりました。

 因みに、大学で彼がもっとも得意だった科目といえば、ダントツで体育!




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毎日グラウンド (ピッチではなく小石混じりの土のグラウンド!) を走り回っていた頃のナカムラ君。 後年の姿からは想像できない感じだが。




美術のことなど考えている暇はなくなった


 彼の高校生活は授業が終わるとすぐサッカーの練習になり、家に帰るのは7時過ぎ。 簡単に食事を済ませるとテレビなどは見ずにちょっとギターを弾く(この頃でもほぼ毎日ギターは弾いていた)。

 それから3~4時間くらい勉強して12時頃就寝という、たいへん健康的な日々を送っていました。

 そして、彼はもう美術のことなど考えている暇はなくなりました。




君、なんで版画だけ上手いの?

 ただ、冬休みの宿題として、彼が版画を提出した時、美術の先生は 「君、なんで版画だけ上手いの?」 と、とても不思議そうにまじまじと彼の版画を見つめていて 「ウーン」 となかなかそれから手を離そうとしませんでした。

 ナカムラ君はその質問には特に答えませんでしたが、ただ、版画についてだけは沖山先生の教えを身に付けることが出来たのかなと、ちょっとホットしました。

 そして特に才能のない自分が中学生の時に金賞をとれたのは、やはり沖山先生の力だったのかなと、沖山先生の指導力の凄さというものをおぼろげながらに感じるようになりました。




沖山先生の教えを柿の木や庭の石に置き換えた

 その版画の題材は彼の家の庭の柿の木と大きな石、そして背景となる畑や遠くの家でした。

 方法的には中学生の時受賞作品 「教室の風景」 と同じで、沖山先生に指導された人物の描き方を、柿の木などに置き換えたものです。

 柿の木は、独特の”こぶ”の感じや、その質感なども表現し、柿木としての肌触りが感じられるようになっていました。

 つるつるした石と土や草との違い、また背景との距離感なども表現していました。 まさに沖山流といったところでしょう。



父が亡くなるまで床の間に飾っていた

 この柿木や庭石は、彼の父が日頃から大事にしていたもので、その後彼の父はその版画を立派な額縁に入れ、亡くなるまでずっと床の間に飾っていました。