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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

中村ギター教室発表会 

 6月2日(日)13:30     ひたちなか市文化会館小ホール

 入場無料




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今年の教室発表会の出演者、演奏曲目などが決まりました。 次の通りです。



1.花(滝廉太郎)                     徳永寛乃 
  北の国から(さだまさし)

2.イエスタディ(マッカートニー)            石川都美江   関 義孝

3.楽しき農夫(シューマン)                加藤 護
  子守唄(シューベルト)

4.朝日の家(作者不詳)                  眞分 昭

5.ラルゴ(ヴィヴァルディ)                 谷 政則

6.悲しみの礼拝堂(ゴメス)                小池清澄

7.シシリアーナ(作者不詳)                市毛 哲

8.二つのメヌエット(バッハ)                大村顕史

9.パヴァーナとガリヤルド(アテニャン)         澤畑敦史

10.セレナーデ(シューベルト)               田澤泰史

11.ラ・メランコリア(ジュリアーニ)             根本 滋

12.盗賊の歌(カタルーニャ民謡~リョベット編)    赤沼増美

13.ラ・マズルカ(レニャーニ)               甲斐 洋

14.2声のインヴェンション第1番、第7番(バッハ)   福間敏明   中村俊三
 
15.マリア・カロリーナ(ラウロ)               関 義孝

16.アデリータ、マリエッタ(タレガ)             鈴木俊彦
    
17.鐘の響き(ペルナンブコ)                清水和夫

18.人生メリーゴーランド(久石譲~江部賢一編)    及川英幸

19.聖母の御子(カタルーニャ民謡~リョベット編)    米沢洋樹
  明日の掛ける橋(サイモン)

20.愛のワルツ(ノイマン)                  佐藤眞美
  ひまわり(マンシーニ~江部賢一編)

21.フェリシダージ(ジョビン~ディアンス編)       久保田浩
  フォーコ(リブラ・ソナチネより~ディアンス)                               

22.詩的ワルツ集(グラナドス)               中村俊三

23.世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」より(オルフ)     水戸ギター・アンサンブル

<水戸ギター・アンサンブル>
久保田浩   萩野谷稔   鈴木俊彦   及川英幸   後関信一   田澤泰史
米沢洋樹   澤畑敦史   大村顕史   清水和夫   甲斐 洋   福間敏明
佐藤眞美   根本 滋   赤沼増美   市毛和夫




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今年も会場は昨年同様 「ひたちなか市文化会館小ホール」 です。 いつものとおり入場無料ですので、ぜひお出で下さい。

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バッハ:無伴奏チェロ組曲 10


サラバンド


クーラントの後に置かれる荘重な舞曲

 サラバンドは3拍子の舞曲ですが、普通組曲の中では最も遅い舞曲とされています。 無伴奏チェロ組曲をはじめ、バッハの組曲ではクーラントの後、つまり第4曲目とされることが多い曲です。

 クーラントとメヌエット、ブレー、ガヴォットなどの速い舞曲の間で、ほっと一息の”箸休め” 的な要素もありますが、荘重な曲で、組曲のほぼ中央に置かれ、組曲全体の ”おもし” ともなっています。



サラバンドはもともと速い舞曲だった?

 サラバンドが遅い舞曲であることは(ギターではヘンデルのサラバンドなど)皆さんもよくご存じと思いますが、 しかしサラバンドは当初、速い舞曲だったようです。

 サラバンドはもともと中南米で生まれた舞曲で、16世紀にはスペインで広まりました (スペイン語ではZarabanda)。 



下品だと禁止されたことも


 その当時のサラバンドはテンポも速く、かなりワイルドな踊りだったらしく、”猥雑性がある” つまり下品であるということでスペインでは禁止されたこともあったようです。 

 17世紀の音楽辞典などでも、テンポの速い華やかな踊りと、はっきり記述されています(トン・コープマンのバロック音楽講義による)。



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トン・コープマンの 「バロック音楽講義」




シャコンヌと同様な道をたどる


 こうした事はシャコンヌの場合とよく似ていますね。 シャコンヌも当初は庶民的な歌、および踊りでしたが、やはり当時の王権から禁止されたこともありました。

 後にフランスやイタリアなどで変奏曲の形式の音楽になってゆくことは以前お話したとおりで、最後にバッハに行き着くわけですね。

 サランバンドも変奏曲の形をとることもありますが、舞曲としての意味合いのほうが強いようです。 そして他の古典舞曲同様、18世紀半ば頃に廃れてゆきます。

 

17世紀後半に遅い舞曲に変貌する

 前述の17~18世紀における音楽辞典のサラバンドの記述に関して、前述の”バロック音楽講義”によれば、17世紀の半ば頃まではほとんど「速い舞曲」とされています。

 17世紀末頃からは「遅い舞曲」の記述も存在するようになり、18世紀になるとすべて 「遅い舞曲」 と記述されています。

 おそらく音楽辞典などの記述は、実際の現象よりも遅れたものと考えられるので、実際には17世紀後半には遅い舞曲へと変化していったのではないかと思います。



フランス王朝の権威の拡大が関係するのかも

 フランスでは1660年頃からルイ14世の親政が始まり、ベルサイユ宮殿の建築が始まります。 

 つまりルイ14世の治世になってからサラバンドは威厳をもった遅さで演奏、および踊られることになったとも言えるでしょう。

 この時代にはフランス宮廷の影響力は全ヨーロッパに及び、サラバンド(あるいはシャコンヌも)のテンポの変化には、この偉大なフランス王が関係しているのでしょう。

 

同じ遅い舞曲でもアルマンドとは性格を異にする

 同じ遅い舞曲といっても、アルマンドとサラバンドはだいぶ性格が違います。 アルマンドは繊細でしなやか、テンポは遅いが、流動感があり、音楽が留まることはありません。

 特にバッハの場合、アルマンドは16分音符など比較的同一の短い音符で書かれ、付点音符などはあまり使用されず(例外はあるが)、リズムの変化は少なめです。



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ギターではよく演奏されるヘンデルのサラバンド。 2拍目が休符を含め、1拍半となっているのが特徴。 



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バッハの無伴奏チェロ組曲第1番のサラバンド。 ヘンデルの曲のようにはっきりはしていないが、2拍目が長い音符となる傾向はある。やはり2拍目にアクセントがある。



2拍目には2分音符や付点4分音符など長い音符が置かれることが多く、アクセントを伴う

 サラバンドはテンポも遅いが、4分音符など長い音符で書かれることが多く、いっそう遅さが目立ち、 またその4分音符は和音になることが多いです。

  2拍目は付点音符、あるいは2分音符(4分の3拍子の場合)になることが多く、したがって2拍目にアクセントがくることが多くなります。 そうしたことも重さを感じさせる要因となっています。


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チェロ組曲第3番のサラバンド。 音符の長さの方ははっきりしないが、2拍目が和音となる傾向がある(編曲者、つまり私が入れていることもあるが)。




グラナドスのスペイン舞曲第3番は

 因みに、エンリケ・グラナドスの 「12のスペイン舞曲」 の第3曲は 「Zarabanda」 となっていますが、Energico と書かれ、速いテンポで勢いよく演奏されます。

 以前からサラバンドなのになぜ速く、しかもフォルテシモで演奏されるのか不思議だったのですが、それにはこれらの理由があったのですね。



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グラナドスのスペイン舞曲第3番のサラバンド。 速いテンポで勢いよく演奏され、バッハのサラバンドなどとは全く違う趣。



サラバンドという言葉には ”騒々しい” という意味もある


 スペイン語のZarabanda には舞曲としてのサラバンドの意味の他に 「騒々しい」 と言った意味もあるようです(フランス語でも同じ)。

 一つの言葉の中に、全く異なる意味合いが含まれるということなのですね。

 




バッハ:無伴奏チェロ組曲 9



クーラント



アルマンドとペアになることが多い

 クーラントは遅い、速い、とうことで、アルマンドとペアになることが多い曲です。 アルマンド=クーラント、 サラバンド=ジグ の二つの遅い曲と速い曲のペアを組み合わせたものが組曲の起源といるでしょう。




フランス風のクーラント

 基本的に3拍子系ですが、バッハが作曲しているクーラントには2種類あり、一つはフランス風のもので、付点音符を多用し、多くの場合2分の3拍子と、4分の6拍子(4分の3と8分の6)が交錯するようになっています。

 その例としてはリュート組曲ホ短調(第1番とも呼ばれる)のクーラントですが、無伴奏チェロ組曲の中では第5番(リュート組曲BWV995にもなっている)もそれに当たります。




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リュート組曲ホ短調BWV996(第1番)のクーラント。 2分の3と4分の6拍子が交錯した典型的なフランス風のクーラント。 あまり速くは弾かない、というか出来ない。



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リュート組曲BVW995(リュート組曲第3番=無伴奏チェロ組曲第5番)のクーラントも上と同じタイプ




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ド・ヴィゼーのクーラントも当然ながらフランス風





イタリア風のクーラント(コレンテ)

 もう一つのクーラントはイタリア風のもので、主に4分の3拍子で、多くは16分音符で書かれていて、上記のフランス風のもより速いテンポで演奏されます。 無伴奏チェロ組曲では第5番以外のクーラントはすべてこのイタリア風のものとなっています。



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チェロ組曲第1番のクーラントはイタリ風で、本来は ”corrente(コレンテ)” と表記されるべき。 もしかしたらバッハ自身ではそう書いていたのかも。  譜面から見てもわかる通り、リズム的にはシンプルで、速いテンポで弾き易いように出来ている。 なお、第2,3,4,6番のクーラントもみなイタリア風。




無伴奏チェロ組曲ではすべてクーラントと表記されているが

 因みに、クーラント=courante はフランス風の綴りで、イタリアでは corrente と表記されます。 言葉には厳密なバッハですが、この無伴奏チェロ組曲については、少なくとも現在の出版譜ではすべてフランス語で ”courante” と書かれています。

 これは組曲(Suite)は基本的にフランス風だからなのかも知れません。

 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番、第2番のクーラントの表記はイタリア語の ”corrente” となっています。 これはパルティータが基本的にイタリア由来だからなのでしょう。

 どちらの曲も確かにイタリア風のクーラント、いや、コレンテとなっています。



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無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番のクーラントは corrente(コレンテ) と表記されている。 もちろん曲もイタリア風。 




バッハ自身では表記を区別していたかも

 チェロ組曲のほうでは、確かに現在の出版譜、あるいはCDのタイトルではこのように、すべて courante  と表記されています。

 ただし、私自身バッハの実筆譜(厳密にはマグダレーナの写筆譜)を見ていないので、よくわかりませんが、バッハ自身ではちゃんと区別して表記していた可能性はあります。

 少なくともバッハが書いた譜面からは、この両者の区別ははっきりしていて、意識的に書き分けていてことが窺われます。 のちの出版の際に表記が変わってしまった可能性もありでしょう。




両者はかなり違う。区別して演奏する必要がある

 従って、演奏の際には、この両者の違いははっきりと意識して取り組むべきでしょう。

 大ざっぱに言えば、イタリア風のクーラント(コレンテ)は疾走するような感じで、フランス風のクーラントははテンポは抑えてリズムの変化重視ということになるでしょうか。
第3回ひたちなかGMフェスティヴァル


 2019年10月19日《土》 13:30   ひたちなか市文化会館小ホール



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今年の10月19日に予定している第3回ひたちなかGMフェスティヴァル(ギター、マンドリン合奏フェスティヴァル)出演団体が決まりました。 今年は以下のように昨年より1団体増えて10団体による演奏となりました。




アクアプレットロ・マンドリンアンサンブル (水戸市)    6名

レント・マンドリンクラブ (水戸市)               10数名

マルバ・ギター同好会 (水戸市)               10数名

ジュピター・マンドリンクラブ (水戸市)            10数名

水戸ギターアンサンブル (水戸市)              16名

音和102 (ひたちなか市)                    7名

ラ・ジュネス・マンドリンクラブ (ひたちなか市)       30数名 

ギタリラス・デ・プラタ (つくば市)               3名

レニエ (桜川市)                         4名

リピート (茨城町)                        6名



各団体の演奏時間は11~13分となります。 詳細につきましては、また近くなってからお知らせします。