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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

クラシックギター コンサート in ひたちなか  
 
  ~プロ&愛好家との出会い


特別ゲスト  小暮浩史

ゲスト     中村俊三  谷島崇徳  黒田公子  北川貞之


8月10日(土)  13:00    ひたちなか市文化会館小ホール   入場無料

問い合わせ  080-6524-2206  熊坂







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パワフルな愛好家と

「パワフルなギター愛好家とゲストによる演奏会」 ということで、上記のコンサートが行われます。 

出演は上記のギタリストを含め、約20名です。 演奏曲目などはアコラのホームぺージなどをご覧ください。




18歳で本格的に

 特別ゲストの小暮浩史さんは東京国際ギターコンクールなどで優勝していて、1988年生まれだそうで、30歳になったところでしょうか。 

 小暮さんの演奏は東京国際ギター・コンクールの本選会で2度ほど聴いています。 そのどちらも優勝ではありませんでしたが、たいへん強い表現力で、ひと際印象に残りました。

 普通、このように東京国際ギターコンクールなどを優勝する人は、ほとんどの場合、幼い頃から本格的にギターを学んでいるのですが、小暮さんの場合はギターを弾き始めたのが16歳、本格的にクラシック・ギターを学び始めたのが18歳と、たいへん異例です。

 もちろん優れた潜在能力を持っていたのでしょうが、人並みではない工夫や努力もあったのではと思います。

 なんでも小さいうちから始めればよいと言うものではないようですね。 でもやはり異例には違いないでしょう。




ト長調によるチェロ組曲第3番

私の演奏は、今回はバッハの 「チェロ組曲第3番ハ長調」より プレリュード、アルマンド、ジグ の3曲です。

この曲をギタ―で演奏する場合、デュアート編のようにイ長調で演奏することが多いのですが、ト長調へのアレンジで演奏します。
 
⑥=レ  ⑤=ソ  というチューニングで演奏することもあり、落ち着いた感じや、拡がり感はあると思います。

ちょうどブログの記事でこんなこと書いているところですね、詳しくは 「バッハ:無伴奏チェロ組曲」 の記事を読んで下さい。
 
当ブログの記事にも関係するところですが、 




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バッハ:無伴奏チェロ組曲 16


 調性とギターへの編曲



6つの組曲の調性

 今回は6つの無伴奏チェロ組曲のそれぞれの調と、ギターへの編曲について書きます。  6つの組曲は次のような調となっています。


第1番 ト長調   (#1個)

第2番 ニ短調   (♭1個)

第3番 ハ長調   (調号なし)

第4番 変ホ長調  (♭3個)

第5番 ハ短調   (♭3個)

第6番 ニ長調   (#2個)




それぞれの調性の性格などが言われるようになったのは19世紀以降

 最初と最後が#系で、その間に調号なし、または♭系の曲が挟まれています。 

 このような調の配分になにか意図はあるのでしょうか。

 一般に 「ハ長調は無色透明で素朴な感じ」 とか 「ト長調は牧歌的で、黄色、または空色 (ソー は青い空?) などと言われ、それぞれの調には固有の性格があると言われています。

 しかしこれらは主に19世紀以後言われるようになったもので、バッハの時代にはそうした固定したイメージはなかったのではと思います。

 何よりもバッハの時代は、ピッチも現在よりも半音くらい低かったわけですし。

 バッハの時代では、おそらくそうした各調の性格の問題よりも、もっと現実的な問題が調の決定に大きく関わったのではと思います。



ギターの場合は開放弦によって調整の選択が制限される

 ギターの場合の調の選択というのは開放弦によって大きく制限を受けます。 例えば、♭3つの変ロ長調は一般ののクラシック音楽ではよく使われる調で、ベートヴェンの「英雄」や、「皇帝」などもこの変ホ長調で書かれています。

 しかしギターでは変ロ長調なととなると、ほとんど開放弦が使えなくなって、とても弾きにくくなるだけでなく、最も低い主音が➃弦になってしまうため、音域もかなり狭くなってしまいます。

 したがってギターでは変ホ長調の曲はほとんどありません。 たまに♭3つの曲があったとしても、それは変ホ長調ではなく、平行調のハ短調の場合がほとんどです。

 原曲が変ホ長調の曲をギタ―に編曲して演奏することもありますが、その場合はほとんど移調してホ長調とかニ長調などで演奏することになるでしょう。




ニ長調の「英雄」など、この世には存在しない

 でも仮にベートーヴェンの「英雄」をニ長調などに編曲して、(そんなこと絶対にやめた方がいい!)

 「ベートーヴェン作曲 交響曲第3番 ニ長調 『英雄』 ギター編曲版」 なんて感じで演奏したら、

 「 ニ長調の 「英雄」 など、この世には存在しない! 英雄が変ホ長調なのは、太陽が東から登るのと同じ道理!  その前にギターなどといったチャライ楽器で神聖なるベートーヴェンの作品を弾くなど、もっての外! 」

 など、各方面の諸氏からお叱りの言葉を受けるでしょう。 今時だったら「炎上」ということでしょうか。




チェロは単旋律楽器なので

 話を戻しましょう。 チェロやヴァイオリンの場合は、基本的には単旋律楽器なので、調に関しては通常ギターほどの制約は受けません。

 何といってもオーケストラ曲ではほとんどの調が使われますから、チェロやヴァイオリンもすべての調に対応できなければなりません。 

 チェリストが 「私はこの調では演奏出来ません」 などと言ったら、即、オーケストラをクビになるでしょう。



無伴奏となるとギターと同じ条件が加わる

 しかし同じチェロでもバッハの無伴奏曲のようにある程度重音、あるいは複旋律を演奏すれとなれば、ギターと同じく弾き易い調と弾きにくい調とに分かれることになるでしょう。

 通常、チェロの開放弦は低い方から 「ド」  「ソ」  「レ」  「ラ」 となっています。

 となると最も低い弦と2番目の弦が主音と属音となる「ハ長調」。  主音、属音、下属音がそれぞれ開放弦になる 「ト長調 (ド、ソ、レ)」。 「ニ長調 (ソ、レ、ラ)」 などが弾き易い調となります。



第1、3、6番が華やかに聴こえるのは開放弦が有効に使われているから

 確かに、6曲中、3曲(第1、3、6番)が上に挙げたト長調、ハ長調、ニ長調となっています。

 さらに第2番のニ短調もニ長調と同じく主音(ソ)と属音(ラ)の開放弦を持ち、第5番ハ短調も主音(ド)、属音(ソ)が開放弦になっています。

 第4番の変ホ長調のみ主音(ミ♭)、属音(シ♭)、下属音(ラ♭)のいずれも開放弦にはなっていません。

 第1番、第3番、第6番といえば、6曲中でも特に人気のある曲で、演奏家にも、また聴き手にも好まれる曲となっています。

 確かにこの3曲は他の曲にくらべ、華やかで、おそらくその華麗さのわりには演奏もしやすいのではないかと思います(あくまでも比較的ににですが)。 



バッハはチェロ組曲において、かなり開放弦にこだわっている

 なお、第5番ハ短調は最高音の弦(第1弦)の高さを、通常の「ラ」から「ソ」に下げて演奏するように指定されています。 これはハ短調では「ラ」は♭となり、ナチュラルの「ラ」は使う頻度が少ないからということです。 

 つまりこの第5番においては、各弦が下から 「ド」、 「ソ」、 「レ」、 「ソ」 とするわけです。 属音の「ソ」の開放弦が二つあるわけです。
 
 また、第6番は5弦チェロのために書かれ、各弦の音高は低い方から 「ド」、 「ソ」、 「レ」、 「ラ」、 「ミ」 となっています。 最高音弦(第1弦)が 「ミ」 ということはギターと同じですね。 音域的にも全く同じです。




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5弦チェロ



  

 第6番に「ミ」の弦を付け加えたのは別の理由と思われますが、 これらのことを考えても、バッハの場合、調の選択にはチェロの調律、つまり開放弦が重要な決めてとなっていることは否定できないでしょう。




では第4番の変ホ長調は?

 そうすると第4番では、なぜ異色とも言えるの変ホ長調、主音、属音など重要な音を全く開放弦に含まない調を選んだのかということになります。

 この曲に関しては、そうした現実的な問題だけでは理解出来ないと思いますが、この件に関しては、また後で考えることにしましょう。 

 


主音となっている開放弦が高い方にあるか、低い方にあるかで、曲の感じが変わる

 主音や属音が開放弦となっていると言っても、それが低い方にあるのか、比較的高い方にあるかでも曲の感じが違ってきます。

 ハ長調では最低音弦(第4弦)が主音で、二番目に低い弦が属音となります。

 つまり全体に弾く言い音域が使いやすくなっている訳で、その結果曲全体も落ち着いた感じ、あるいは堂々とした感じ(同じような意味かな?)となります。




ハ短調ではいっそう重厚に

 特に短調となっている第5番では低音域をたっぷりと使った重厚な曲となっていて、さらに第1弦を1音下げることにより、いっそう渋みと重さが加わることになります。




当然第5番は華麗に

 それに対し、ニ長調では二番目に高い弦が主音で、最も高い弦が属音となっており、二番目に低い弦は下属音ですが、最低音弦の 「ド=ナチュラル」はニ長調の音階には含まれません。 

 これらのことからも、使う音は全体に高めとなり、明るく、華やかな感じとなるでしょう。

 さらに第5番では最高音弦に 「ミ」 を付け加えていて、音域は通常のチェロからするとかなり高めで、ほぼギターと同じ音域となっています。

 5弦チェロの使用がこの第6番のニ長調の曲で行われたのは必然性もあるでしょう。他の調ではあり得なかったことかも知れません。
 



ちょっぴり悲しい第2番

 第1番のト長調はその中間で、”程よい高さ” といえるでしょう。 その結果、あまりクセのない親しみやすい曲となっています。 

 第2番はニ短調ですが、同じ短調でも第5番ハ短調のような重厚さ、あるいは重苦しさはなく、 ”ちょっぴり悲しい” 感じの曲と言えます。

 親しみやすさと言った点では第5番ハ短調よりはあるのではないかと思います。

 

第51回水戸市民音楽会



いつもは猛暑の頃だが

 昨日(7月14日)水戸市民音楽会がありました。 

 いつものは猛暑となる時期ですが、今年はやや肌寒いくらいです。

 この日は水戸芸術館では、ATMホールで行われる市民音楽会の他、広場でサマー・ナイト・コンサートが行われるようです。

 雨模様にも関わらず多くの人たちが準備を行っていました。



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多彩な内容

 今年の市民音楽会も34団体の参加で、様々な楽器による、極めて多彩なコンサートとなりました。

 一般市民による音楽活動も益々盛んになってきているようです。

 50回記念として木村大君のゲスト演奏などがあった昨年ほどではなかったのですが、それでも13:00開演で、終演が18:30頃ということで、5時間半にお及ぶコンサートでした。



何か良い案はないかと

 さすがにこれでは出演者もまた協力していただく水戸市や芸術館のスタッフの方々もたいへんだろうと、コンサート終了後のミーティングでもいろいろな案が出されたのですが、なかなか上手い解決法はなさそうです。

 今年もまたこのようなたくさんの団体の出演にもかかわらず、特に大きなトラブルなくコンサートを終えられたのは、出演者の皆さん協力と、水戸市、および芸術館、さらに市民音楽会実行委員の方々の尽力と思います。 ありがとうございました。




全員出演出来た

 なお、私たち水戸ギター・アンサンブルでは6月の教室発表会に引き続き、オルフの「カルミナ・ブラーナ」を演奏しました。 若干の問題はあったものの、発表会の時よりは1歩前進したと思います。

 また今年は男性のみ16名ということですが、発表会に引き続き、全員が出演出来たので、力強さも増してきたように思います。 予定のメンバーが全員揃うということは当たり前のようで、なかなかありません。
 
ジーガ・メランコリカ

    ~セゴヴィアの作曲かも知れない、なんて書いたけど



ブログ 054



スペイン・ギターコンクールや重奏コンクールで優勝したギタリストの下田純義さん

 ちょっと前にギタリストの下田純義さんからメールがあって、ジーガ・メランコリカに関する私のブログの記事の一部を下田さんのブログに使用してよいかといった内容でした。

 下田さんはスペイン・ギターコンクール、および重奏コンクールで1位となったギタリストで、ちょうど創がクラシカル・ギターコンクールで1位になった年にスペイン・ギターコンクールで1位になっています。

 そうした関係でその時期、イヴェント会場などでお会いしたことがあります。 お会いしたと言っても直接会話をした記憶はなく、創と話をしているのを側で聴いていただけだったような気もします。

 私の記事は本当にとるに足りないようなもので、あえて確認をしていただくよなものではありませんが、丁寧にメールをいただいたという訳です。 




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セゴヴィアは少なくとも3回この曲を録音しているといった記事


 私はこのブログでジーガ・メランコリカに関して3回ほど書いています。 ブルグ内検索をしたところ、2012年9月29日、2012年10月28日、2017年3月6日となっています。

 特に2012年にはこの曲を演奏したこともあり、近い時期に2回書いています。 その内容というのは、
 、
 「アンドレス・セゴヴィアは少なくとも3回この曲を録音しているが、そのつど曲名、作曲者名が変わっている。

 最初の録音は1939年で、フローベルガー作曲 「ジーグ」として、 2回目は1944年で、ロベルト・ド・ヴィゼー作曲で「ジーグ」、 3回目は1961年で作者不詳の「ジーガ・メランコリカ」 として録音している。

 こうしたことは、おそらくヴァイス作曲として発表された「組曲イ短調(真の作曲者はマヌエル・ポンセ)」 などのように、真の作曲者はポンセ、またはセゴヴィアなのでは。

 作風などからすればセゴヴィアの可能性が高いようだが」

と言ったようなものです。




この曲はセゴヴィアの作曲かも知れない、などと書いたが

 しかし、下田さんの話によれば、この曲の真の作曲家はフローベルガーで、その根拠としてそのジーグを含むフローベルガーの組曲ニ短調のチェンバロによる演奏の動画のURLを送っていただきました。



確かにあのジーガ・メランコリアだ!

 確かにそのチェンバロから聴こえてくる曲はかつてよく聴いた、あのジーガ・メランコリカです! セゴヴィアの演奏に比べるとかなり速いテンポで演奏していますが、音的にはほとんど変わらず、間違いなくあのジーガ・メランコリカです。



真の作曲者が、最初の録音の時のフローベルガーだった、なんて誰も信じなかった?

 セゴヴィアの曲名表記が二転三転していることと、例のヴァイスの組曲の件などから、多くのギター関係者が、「またセゴヴィアやったな」 とフローベルガー作曲などということは信じなかったわけです。

 他人事のようですが、恥ずかしながらその”ギター関係者”の中に私も含まれ、 まさに ”オオカミ少年” 的発想になってしまったといえるでしょう。

 同じバロック時代の作曲家でもフローベルガーとなると、一般に知られるようになったのは比較的最近で、1939年の段階では、ほとんど知る人もいなかったとも考えられ、その時期にフローベルガーの作品をギターにアレンジして演奏するなどということはあまり考えられない、といった先入観もあったと思います。



オリジナル譜と8つの編曲譜

 下田さんには、自らが集めたジーガ・メランコリカの楽譜も送っていただきました。 チェンバロのためのオリジナルの譜面以外に、8種類のギターへの編曲譜も送っていただきました。

 それらの多くはセゴヴィアの演奏のコピー譜と思われますが、1995年の現代ギター誌版は原曲(チェンバロ組曲の)からアレンジしたものようです。

  セゴヴィアのコピー譜と思われるもの多くは「作者不明」と書かれていますが、セゴヴィア作曲とされているもの(Belwin-Mills社)、 ポンセ昨(コロンビア・ミュージック社)となっているものもあります。

 2001年のBerben社の譜面では、フローベルガー作、セゴヴィア編曲となってます。



オリジナル譜では前半リピートがない

 オリジナルの譜面も送っていただきましたが、それとは別個にネットでピアノ譜も取り寄せました。 この両者でも若干異なり、特に下田さんからの譜面には前半の繰り返しがなく、取り寄せたピアノ譜では繰り返しが付いています。

 これは単純にリピート記号が抜けているだけでなく、後者ではリピートするために1小節付け足されています。

 ギターの編曲譜はすべてこの前半リピートの形となっています。 




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2段譜の上下の割り当ても異なる

 あまり鍵盤音楽のことはわからないのですが、この両者では、2段譜の音の割り当てが若干異なっています。

 リピートのない版では音がやや上段に偏っていて、リピートのある版のほうではそれらの一部を下段に移しています。

 おそらくリピート版では、弾き易さのための変更と考えられます(バッハの作品でもよくある)。

 そう言った点からすると、下田さんからいただいた譜面はよりオリジナルに近いもので、私がネットで取り寄せたものは若干改編した実用譜ということになるのでしょう。

  因みに、チェンバロのアスぺレン(平均律のところでも書いた)はリピートのない版で弾いています。



ジーグが最後ではない

 チェロ組曲のところでも書きましたが、フローベルガーの組曲は、「アルマンド、クーラント、サラバンド、ジグの4曲からなり、バロック時代の組曲の原型となった」とされていますが、もともとフローベルガーの組曲は2曲目がジグで、4曲目がクーラントとなっていたそうです。

 それをある時期、バッハなどの組曲と同じように前述の順の変更されて演奏、出版されるようになったようです。

 ジーガ・メランコリアだけでなく、オリジナルのフローベルガーの作品にも、まだ不確実性が残されているようです。

 バッハのような大作曲家の場合だと、今現在では原典に忠実ということが浸透していますが、他の作曲家の場合だと、まだまだそういった姿勢が不足していることもあるようです。 

  







第51回水戸市民音楽会


  7月14日(日) 13:00   水戸芸術館




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 今年も7月14日(日)に水戸市民音楽会が水戸芸術館で行われます。

 今回は34団体の出演です。 例年通り様々な楽器による演奏が行われますが、ギター合奏では水戸ギター・アンサンブル、マルバギター同好会の2団体。 



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 ギター独奏で水戸三高(森田晴)。

 マンドリン合奏では、マンドリンサークルフォンテセレーナ、 マンドリンアンサンブル・レント、 水戸ジュピターマンドリンクラブ、 アクアプレットロ・マンドリンアンサンブルの4団体が出演します。



2017年市民音楽会



 今年も5時間ほどになる長いコンサートですが、様々な楽器や編成の演奏が聴け、普段はあまり聴くことが出来ないようなものもありますので、ご来場いただければ幸いです。
バッハ:無伴奏チェロ組曲 15



ジグ


 前回もお話した通り、このところ家の改築などで落ち着いてブログなど書いていられないのこのタイトルも間が開きがちになっています。

 その改築もまだ終わってはいませんが、ある程度落ち着いた状況にはなってきていているので、今後はある程度定期的に更新できのかなと思います。

 まあ、急ぐ旅でもないのでのんびりやってゆきましょう。



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新しく出来た部屋。 改築もだいぶ進んできて、それらしくなってきた。




バッハの組曲では例外なしに終曲

 今回はバッハの組曲では最後に置かれる 「ジグ」 についてです。

 ご存じのとおりバッハの組曲では必ず最後になるジグですが(私の知る限りでは例外はない)、これはバロック時代の組曲すべてについて言えることではないようです。



他の作曲家の場合は絶対ではない

 確かにバッハ以外のバロック時代の作曲家でも、組曲をジグで終わすことは多いのですが、クーラントやシャコンヌ、あるいは他の舞曲で閉じることも決して少なくはないようです。

 ヘンデルの場合、16曲の組曲(1720、1733年)中、ジグが終曲になっているのは9曲で、残り7曲はメヌエット、パッサカリア、プレストなど様々です。



バッハの組曲の基になっていると言われるフローベルガーは

 バロック時代初期のフローベルガーはアルマンド、クーラント、サラバンド、ジグの4曲からなる組曲を多数作曲し、バロック時代の組曲の形式を確立したと言われています。

 もちろんバッハの組曲もこのフロ-ベルガーの組曲の影響を受けているでしょう。 曲順も現在ではこのような順で演奏されていますが、元々ジグは2曲目に置かれ、クーラントが終曲となっていたようです。



やはりカタブツ?

 確かにバロック時代後期では組曲の最後はジグとなることが多かったのですが、しかし絶対という訳ではなく、もしかしたらこれを厳密に守ったのはバッハくらいなのかも知れません。

 バッハと言う人は同時代の人から見ても、やはりカタブツだttのでしょうね。 周囲の人から、 「カントール、何もそんなにカタク考えなくても、多少のことは目をつぶって!」 なんて言われていたのかも知れませんね。



3拍子系の舞曲だが

 さて、ジグは3拍子系の速い舞曲ですが、クーラントの時と同じく、付点音符を多用したものと、無窮動的でより速く弾かれるものとがあります。

 チェロ組曲では第5番のみが付点音符タイプで、他は無窮動的となっています。 バッハの鍵盤曲の場合だと、ジグは対位法的、つまりフーガ風に作曲されることが多いのですが、チェロ組曲の場合はその限りではありません。



どっちが速い?

 ところで、クーラントとジグでどっちが速いのかということですが、これははっきりわからないところです。 いわゆる”甲乙つけがたい” といったところでしょう。 

 組曲がクーラントで終わることもあるということからも、大ざっぱに言えば、クーラントとジグの速さは同等と言えるでしょう。

 しかしジグが最後に来る場合は、ジグの方をより速く演奏した方が自然でしょう。



よくわからない時には、とりあえず中庸なテンポで?

 と言った訳で、バッハのチェロ組曲に用いられる舞曲を速い方から順に書くと、

 ジグ ⇒ クーラント ⇒ ブレー ⇒ ガヴォット ⇒ メヌエット ⇒ アルマンド ⇒ サラバンド 

 となるでしょう、もちろんこれはあくまでおおよその順で、その曲によって若干の違いはあるでしょう。

 もちろんプレリュードは基本的にテンポや拍子が決まっていないので、曲によって、また演奏者によってかなり違いが出ます。  

  ・・・・・・まあ、速いのか、遅いのかよくわからないから、とりあえず中庸なテンポで、なんていうこともよくあります。