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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

今年のまとめ


 今年も残すところごく僅かになってしまいました。 恒例の ”今年のまとめ” を行うことにしましょう。 以下、中村ギター教室、及び中村俊三の今年です。



1月20日(日) 中村俊三 新春コンサート   ひたちなか市アコラ

涙のパヴァーン、エリザベス女王のガリアード(ダウランド)
チェロ組曲第1番(バッハ)、 「私は羊歯になりたい」による序奏と変奏(ソル)
ブラジル民謡組曲(ヴィラ=ロボス)
大聖堂(バリオス)


 2か月前に決まったコンサートとしては結構本格的な内容のものでした。 おかげで、年末、年始は練習に明け暮れでした(今年も同じですが)。

ちょっと無理したせいか、指の調子が悪くなりましたが、今は回復しました。




5月3日(金) 第50回クラシカル・ギター・コンクール 日本橋公会堂

 久々にクラシカル・ギターコンクールを聴きに行きました。 最近は若い世代ののギター人口がだいぶ減っていると思われますが、出場者の演奏レヴェルは決して下がってはいないようです。

 ただ、かつてのように中学生、高校生くらいの出場者は少なくなっているようです。 第1位はテデスコのソナタを演奏した山口莉奈さんでした。




6月2日(日) 中村ギター教室発表会   ひたちなか市文化会館小ホール


 今年の発表会はひたちなか市文化会館で行いました。 私を含めて22人の人が独奏。または二重奏を行った他、水戸ギターアンサンブルの合奏(カルミナ・ブラーナ)も行いました。

 やはりこの会場は他のところよりも落ち着いて演奏で出来ますね。 前回(総合福祉会館)から引き続き出演してる人も多いのですが、それぞれ演奏内容も一歩前進しているようです。



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6月      改築

 家の改築を始めました。当初はちょっと手直しをする程度の予定だったのですが、最終的には部屋を拡げるなど、やや大掛かりな改築となりました。

 部屋が広くなったほか、床や天井、壁、窓なども補修し、かなり断熱効果の高い部屋になったようです。



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7月14日(日)水戸市民音楽会   水戸芸術館

 これも恒例の市民音楽会ですが、出演団体数34で、5時間半という今年もたいへん長いコンサートとなりました。

 企画の趣旨上、なるべく多くの愛好団体に出演していただきたいということなのですが、そうするとコンサートとしては長くなってしまう・・・・・

 そのジレンマを解決する方法はないかということですが、なかなか上手い解決法はないようです。



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8月10日(土) クラシック・ギター・コンサート in ひたちなか


 ひたちなか市文化会館でプロとアマチュアのギタリストによるコンサートが行われました。

 プロは東京国際ギターコンクール優勝の小暮浩史さん、黒田公子さん、谷島崇徳さんと私などで、他十数名の方が出演しました。



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10月19日(土)第3回ひたちなかGMフェスティヴァル

 GMフェスティヴァルは、今回10団体の出演でした。 台風被害の直後で、集めた参加費の中から1万円ほど義援金として寄付しました。

 そうしたこともあってか、今回は観客の方がやや少なかったのが気になるところでした。



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11月1日(金) 映画「マチネの終りに」上映開始

   待望(?)の「マチネの終りに」の映画の封切です。新聞などでもかなり大きく広告が載っていたので、満員で映画館に入れなかったらどうしようなどと心配したのですが、全くそんな心配は不要でした。

 ほとんど今まで映画館などに行ったことがなかったので、他の映画がどうなのかはわかりませんが、封切日でもそんなに混むわけではないようですね。

 映画化の関係上、ストリーなどは原作とちょっと違うようですが、内容はとてもよかったです。 福山雅治のギター演奏シーンもすばらしいものでした。



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11月21日(木) 第2回ICGアンサンブル演奏会

 昨年から始めたICGアンサンブル演奏会の2回目です。 昨年同様7人の茨大ギター部同期で演奏を行いました。 昨年よりほんの少し内容が良くなったように思います。 

長年ギターを中断していた仲間もだいぶ勘が戻ってきたように思います。


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12月15日(日) 福田進一マスタークラス ギター文化館

 前日の12月14日に福田先生のリサイタルがあったのですが、それには行けず、15日のマスター・クラスの方に行ってきました。 生徒さんの田澤さんも受講しました。

 創がレッスンを受けている時は、私もほとんど聴いていたのですが、その後しばらくは聴いていなくて、十数年ぶりに福田先生のレッスンを聴くことになります。

 福田先生のレッスンを聴いていると、いつも私が生徒さんに言っていることと近いことも言っています。 私が創のレッスンを聴きながら覚えたことも多いのでしょう。




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それでは、今年も残すところ、本当に僅かとなりました。 読者の皆さま、来年もよろしくお願いします。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲 24


パブロ・カザルス   1936~39年録音



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EMIの復刻CD 2000年頃発売



世界初全曲録音

今回から無伴奏チェロ組曲(全6曲)のCDの紹介です。

 無伴奏チェロ組曲の録音といえば、まずはやはりこの全曲世界初録音と言われているパブロ・カザルス盤を上げなけれならないでしょう。

 カザルスについてはいろいろなところで紹介されているので、あえてここで紹介する必要もないと思いますので、他のサイト、あるいはカザルスについて書かれた本、あるいはCDのブックレットなどを参考にして下さい。



ある程度は演奏されていたと思われるが

 そうした文章ではカザルスがそれまで忘れ去られていたバッハの無伴奏チェロ組曲を再発見し、その音楽の偉大さを世に知らしめたとされています。

 確かにカザルスの貢献度を極めて高いものと思われますが、しかしそれまででも、バッハの無伴奏チェロ組曲が一般から完全に忘れ去られてしまったわけではなかったのでしょう。

 タレガが無伴奏チェロ組曲第3番のブレーをアレンジしていたことなどからも(「ルール」としてだが)、ある程度は演奏されていたと思われます。

 しかし、6曲を通しての演奏はもちろん、一つの組曲でも全曲とおして演奏されることは稀だったようです。

 因みにカザルスは1910~20年代に無伴奏チェロ組曲一部の曲を録音しています。



リマスターによって音質などは異なる

 この全曲録音盤(1936~39年)の録音方式としてはSP録音の後期、いわゆる”電気録音” と言われるものの時代で、現在はその復刻版CDが何種類か出ています。

 何種類かのCDが出ているといってももとは同じ音源で、リマスターが何種類かあるということです。 そのリマスターの仕方で、それぞれ若干の音質の違いがあるようです。

 私が持っているのは2000年頃CD化されたEMI盤で、SP独特のノイズはほとんどカットされていて、SP盤音源のCDとしては聴きやすいものと言えます。  しかし、ノイズを除去した分、本来の音も削られてしまっているとも言えます。

 Opus盤など、もう少し音来の音を残したリマスター盤もあるようですが、おそらく”チリチリ”といったSP盤独特のノイズもある程度残されていて、 どちらをとるかは好み次第ということになるのでしょう。




低音は強調されている

 第1番ト長調から聴いてゆくと、まず最初の低音 「ソ」 がかなり長く演奏されています。 多くのチェリストはこうした低音を本来の音符の長さよりも長く演奏していますが、それにしてもカザルスはかなり長く、16分音符が付点8分音符、つまり3倍くらい引き延ばして演奏しています。

 これはチェロの場合、低音を響かせながら上声部を演奏することが出来ないための手段といえますが、低音を強調する意味もあるでしょう。



16分音符は不均等の長さで

 プレリュードなど16分音符を中心に書かれた曲が多いのですが、その場合、1拍4つの16分音符は均等の長さで弾かれることは少なく、ほとんど不均等の長さで演奏されています。

 前述とおり、4つの16分音符の最初のものがバス(低音)に当たる場合は必ず長く、しかもかなり長めに奏され、そうでない場合でも拍節感を出すために最初の16音符は長くなる場合が多いようです。

 その他、そのフレーズの頂点になる音や、和声的に意味のある音など、特徴的な音も長く演奏しています。

 こうした事は他のチェリストも行っていますが、カザルスの場合はそうしたことが比較的はっきり行われています




カザルス以来の習慣?

 以前書いたことですが、カザルスは第1番のプレリュードの中央付近(26小節)で、B♭をBナチュラルで演奏しています。 私の知る限りでは譜面ではどの譜面もB♭となっていて、和声的にも属9の和音と思われるので矛盾はありません。

 ギタリストの場合はほとんどB♭(ニ長調のアレンジだとF)で演奏していますが、多くのチェリストはカザルス同様ナチュラルで弾いています。おそらく増2度の進行を嫌ったためと考えられますが、よくわかりません。


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アルマンドは速めのテンポ

 アルマンドは今現在私たちが思っているイメージ(中庸、あるいはやや遅めのテンポ)と言ったものからすればかなり速めのテンポで弾いています。

 続くクーラントは現在のチェリストとだいたい同じくらいの速さなので、クーラントとのテンポの差はあまりありません。



かつてのペータース版では、4分音符=104

 そう言えば、私が持っている無伴奏チェロ組曲の譜面は1970年代くらいに買ったペータース社版とCDのオマケに付いていた旧バッハ全集のものなのですが、このペータース版ではアルマンドに、 4分音符=104  というメトロノーム数が書かれています。

 もちろんこれはバッハが書いたものはなく(そもそも、バッハの時代はメトロノームなどなかった!)、出版社などで付けたものです。

 このアルマンドはほとんど16分音符で書かれていますから、この104というのはかなり速いテンポです。 さすがにカザルスもこのテンポでは弾いてなく、90台といったところです。




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かつてのペータース版ではアルマンドが4分音符=104となっている。これはかなり速いテンポ




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同じく、第4番のアルマンドはなんと126! こんなテンポで弾いた人、本当にいるのだろうか。




第4番のアルマンドでは126の数字も

 さらに第4番のアルマンドは 126 と書かれ、同じく16分音符で書かれているので、これは相当に速いテンポです。

 同時代のピアノ譜面でもアルマンドにはかなり速いテンポの指示がされていますから、 かつてはアルマンドは遅い曲というより、速い曲といった考えがあったようです。

 かつては平均律曲集や無伴奏のヴァイオリン、チェロ曲などは ”ただの” 練習曲と思われていたようですから、そういったことも影響しているのかも知れません。




カザルスの演奏が反映されている。

 このペータース版では、これらのメトロノーム数や速度標語、強弱記号などが書かれていますが、もちろんそれ等はバッハが書いたものではなく、出版に際に付け加えられたものです。

 これらの記号が書かれる根拠となったものは19世紀後半から20世紀前半くらいの時期の考え方と思われますが、 よく見るとこれらの強弱記号などはカザルスの演奏と相関関係があるのがわかります。

 このペータース版が実際に出版された時期はカザルスの演奏よりも後と思われるので、カザルスの演奏がこの譜面に影響を与えた可能性もあります。

 その一方で、まだエチュード的な捉え方もあったので、速度記号などはカザルス以上ものが付けられていたのでしょう。




力強くキビキビとした演奏

 カザルスのCDに戻りますが、何と言ってもSP盤からの復刻CDなので音質についてはあまり多くを語れませんが、このCDで聴く限りでは、カザルスの音は大変力強く、最近のチェリストのように軽く、爽やかで、美しいと言った音ではないようです。

 テンポは全体に速めで、キビキビとしています。 じっくりと、やや遅いテンポで演奏される傾向だった1960~70年代のチェリストの演奏よりは今現在のチェリストの演奏に近い感じもします。

 カザルスの録音は、発表以来多くの人に愛され、格別高い評価を受け、神格化さえされたものですが、その後多くのチェリストに影響を及ぼしたのは言うまでもないことでしょう。 いろいろな意味で、はやり避けては通れない演奏でしょう。
福田進一マスター・クラス


 12月15日(日) 11:00~  石岡市ギター文化館




 石岡市のギター文化館において、14日(土)のリサイタルに続き、福田先生のマスター・クラスが行われました。 受講者と曲目は次の通りです。



田澤泰史   ソル: 練習曲ニ長調Op.35-17、 ワルツホ長調Op.32-2

市毛仁士   バリオス : 大聖堂

廣島瑞穂   ヴィラ・ロボス : ガヴォット・ショーロ

鈴木幸男   ポンセ : サラバンド、ジグ(組曲イ短調)

森田 晴   ソル : 魔笛の主題による変奏曲





映画のモデルともなった

 一人1時間弱のレッスンでしたが、映画のモデルともなった、日本を代表する国際的なギタリストから直接アドヴァイスを受けられるということは、受講者にとってもたいへん貴重な機会だったと思います。 また、一人ひとりに合わせたたいへん丁寧なレッスンでした。




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右手については

 レッスンの内容としては、ギター演奏の基本的なことが多く、右手に関しては、弦を指先でしっかりとらえてから弾弦すること。

 この時、弦に触れる部分は1か所しかなく、正確にその位置で弦を捉えなければならい。 また弦はある程度長く掴まえていなければならないこと。

 また、福田先生自身は右手を安定させるために使わない低音弦に親指を置くと言っていました。 これはアポヤンド、アルイアイレ奏法に関係なく行うようです。

 ただし弾弦した弦に触れると当然音が消えてしまうので、常に触れるべき低音を考えながら行わなければならないので、かなりレヴェルの高い技術です。 そういったことで、特に受講者の方々には薦めていませんでした。




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左手は

 左手に関しては、まずなんと言っても脱力の話で、特に和音を押さえる時には、必ず一旦左手の力を抜かなければならいといったことは強調していました。

 その他、ポジション移動の際には左手のフォームを変えない、強く押さえるというよりは指板に指を ”ひっかける” ように。




重要な音とそれ以外の音

 消音に関することにも触れ、音をよく聴いて、不要な響きは必ず消すように。 

 楽譜に書かれた音は均等に出すのではなく、重要な音と装飾的な音とを区別するように。  ・・・・・というようなことを受講者に説明していました。



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聴くだけでも

 福田先生のレッスンは直接受講しなくても、聴講しているだけでもかなり役に立ち、また聞いていても飽きずに興味を持って聴けるものと思います。 会場に来ていた方々もたいへん勉強になったのではと思います。

 私自身も自分の生徒さんたちにこれらの内容と近いことを言ったりしているのですが、それもそのはずですね、よく考えてみると、福田先生のマスター・クラスを創(長男)が受けていて、それを私が会場で聴いて覚えたということも多いようです。

 ・・・・・生徒さんたちには、まるで私が自分え考えたことのように言ったりしていますが、実は若干ウケウリ的なところも。   

 ・・・・ここだけの話ですが。



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バッハ:無伴奏チェロ組曲 23


CD紹介



最近マチネ関連が

 チェロ組曲の話も、だいぶ久々になってしまいました。 何といってもこのところは 「マチネ」 関連記事が圧倒的に多くなりましたね。 くどようですが、見ていない方はぜひ見て下さい。    ・・・・・もうギター愛好家で見てない人はいない?




演奏会が二つ

 前回まで、確かギターへのアレンジについて書いていたところでしたね、この機会にチェロ組曲6曲をすべてギターにアレンジしようと思っていたのですが、来年1月と4月のコンサートがあり、その二つを別々のプログラムでやることにしたので、このところ2回分の演奏会のプログラムを練習中です。



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 来年1月12日にギター文化館で行う所蔵銘器によるコンサート。 2本の楽器を用いて  5つの小品(ガスパル・サンス)、 ラルゴハ短調、ソナタハ長調(フェルナンド・ソル)、 ブラジル民謡組曲、ショールス第1番(ヴィラ=ロボス) などを演奏。

 4月25日(ひたちなか市文化会館)のリサイタルのチラシなどはまだ出来ていないが、チェロ組曲第3番、シャコンヌ(バッハ)、 詩的ワルツ集、スペイン舞曲第5、第10番、 ワルツ第4番、クエカ、大聖堂などを演奏予定





CD聴くくらいなら

 そんなこんなで、アレンジなどやっている場合ではなくなってしまったので、その話はまた別の機会ということで、とりあえずは当初予定していたCDの紹介などを行おうと思います。 まあ、CDを聴くくらいなら出来るかな。




当ブログの愛読者から

 CD紹介に入る前に、当ブログの愛読者(そんな人いたっけ?)から、前回のチェロ組曲第1番のプレリュードの件で、 「『後半部分は属和音と、そのバリエーションで出来ている』 と書いてあるが、それは属音によるオルゲル・プンクト(保持低音)よる部分と表現すべきでは」 といった意見が寄せられました。

 それにしても、このように私のブログを真剣に読んでいただいている人がいるとは、とても感激です。 まさにブロガー(誰の事?)冥利に尽きると言えます。



保持低音と表現する方が正しい

 確かに、アナリーゼ的にはその方が正しいかも知れません。 いや、そう書くべきだったでしょう。 

 この部分は上声部の動きに関わらず、低音が「ラ」(原曲では「レ」)を維持するように、なっています。

 こうした部分は一般的に「オルゲル・プンクト」 あるいは 「保持低音」 と表現します。



しかし原曲ではその低音がはっきりとは書かれていない

 にもかかわらず、私が 「属和音とそのバリエーション」 と表現したのはいくつか理由があります。 

 まず原曲では、はっきりと低音が書かれている訳ではないこと。



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原曲(チェロ)をそのままニ長調に移調したもの。 問題の部分は1段目の2小節目から最後の段の2小節目まで。 保持低音の部分と考えられるが、下から3段目の1小節目まではほとんど、その低音が書かれていない。



 保持低音こ当たるのは1段目の2小節目からですが、見て分かる通り、低音 (ラ) はほとんど出てきません。 

 本当に保持低音と言えるのは下から3段目(37小節)からで、最後の一つ前の41小節目までの5小節間といえるでしょう。




解釈上の保持低音

 しかし、私の編曲以外でも、一般にギターにアレンジすると、だいたい下のようになります。



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ギターにアレンジした譜面  私の編曲以外でも、多くの編曲はこのように低音(属音の「ラ」)を添えている。



 こうなると確かに保持低音と言えます。 つまり原曲には低音がほっとんど書かれていないが、この部分は、私も含めて多くのアレンジャーが保持低音として解釈している訳です。




典型的な保持低音

 因みに、典型的な保持低音として、同じチェロ組曲第3番のプレリュードを挙げておきましょう。 これはまさしく正真正銘の保持低音です。


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チェロ組曲第3番の原曲の譜面  2段目から5段目までが保持低音部分




 2段目からずっと 「ソ」(ヘ音記号なので)が続くのがわかると思います。 こういったものが保持低音の典型的なもので、フーガなどでもよく用いられます。  ついでに私の編曲も載せておきましょう。




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私のアレンジ(ト長調)   ➃弦と⑥弦の「レ」を交互に用いている。




保持低音を用いた部分はゆったりとした大きな流れを感じる

 一般にこうした保持低音の部分というのは、たいへんゆったりとした感じがします。 音楽的に言えば動きを止めている部分とも言えるでしょう。

 また、こうした保持低音を用いる場合は、曲の中ほどに用いられることが多いようです。

 


第1番のプレリュードの場合は、それらとは違った用いられ方をしている

 しかし第1番のプレリュードのこの保持低音に当たる部分は、決して落ち着いた部分ではなく、怒涛のように最後の主和音になだれ込む、あるいはつよく主和音に引っ張られている感じがします。

 あるいは主和音に向かう勢いを、無理やり引き留めている、そんな劇的なものが感じられます。

 また本当に最後の最後まで属音の低音が続くというのも、他に例があまりないように思います(主音の低音が続くことはよくあるが)。




音楽理論の専門家ではないので

 そういったところが 「保持低音」 という言葉を用いなかった理由です。 他に、あまり音楽専門用語を並べるのはどうかなと躊躇したこともあります (でも結構専門用語使っているかな)。

 本当はどのように表現すべきだったのかは、音楽理論の専門家ではないので、よくわかりませんが、 強いて言えば、「属音による保持低音の部分と考えられるが、最後の主和音に強く引き寄せられている」 といったところでしょうか。 




音楽用語を検索すると

 いろいろ難しいところですね。 気儘に書いているブログですが、音楽用語やギター曲などを検索すると、私のブログが出てきたりすることもあります。

 書く以上はあまり無責任という訳にも行かないでしょうね、十分に気を付けましょう。




また後で

 今日のテーマ何だっけ?  そうそう、CDについてでしたね。 時間が無くなってしまったので、また後にしましょう (いつになるかわからないが)。