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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

ポピュラー&オリジナル・ギター・アルバム 11




14 枯葉




花のワルツの対比として

 このCDアルバムの最後の曲は有名なシャンソンの「枯葉」です。

 この前の曲の「花のワルツ」が華やかだったので、その対比としてしっとりとしたこの曲を最後にしました。

 花もひっそりと可憐に咲いていたり、また豪華絢爛に咲き誇る時もあるでしょうが、残念ながらどんな美しい花も最後は枯れてしまうということでしょうか(この曲は「花」ではなく「葉」だけど)。



枯葉も見ようによっては

  でも枯葉も見ようによっては美しい。 子供の頃となりに小さな雑木林があって、11月頃になると椎の木などの葉が一斉に舞い落ちてくる様子はとても幻想的で美しかった記憶があります。 

 またその舞い落ちた葉っぱを掃き集めて焚火をして、その火で芋や栗を焼いて食べるのはとてもおいしかったですね。 最近はたき火など出来なくなりましたが。



前半はしっとり、後半は軽快、最後はトレモロ

  ・・・・・ちょと話がそれてしまいましたが、歌の内容は幸せだった過去を思い出し、そうした時間が過ぎ去ってしまったことを嘆くものです。  私もいつの間にかこういった曲が似合うようになりましたね。

 アレンジは数年前のコンサートの時に行ったもので、じっくり歌わせるとともに、ギターの響きの美しさにもこだわりました。  後半部は一転して軽快なボサノバ調にしてあり、最後はトレモロ奏法で閉めています。




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ご希望の方に楽譜差し上げます

 といったところで、全14曲の解説ですが、ご希望の方には今回のCDの収録曲の楽譜を差し上げます。 当初のアレンジは録音したり、編集したりしているうちにだいぶ変わってしまったので、なるべく録音と同じになるように楽譜の方も手直ししました。

 教材用ではないので、運指などは細かく入っておらず、またソロの譜面にはなっていても実際には二重奏で弾いていたりなど、弾きにくいかも知れませんが、CDを聴く時の参考にはなると思います。 お近くの方は手渡しで、また遠方の方にはPDFでお送りします。

 それでは当CDをご購入いただいた方々、本当にありがとございます。くつろいだ時間を過ごすために、多少なりともお役に立てればと思っています。 また、聴いた感想など頂ければなお嬉しいと思います。 もちろん未購入のかたはぜひお買い求め下さい。
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ポピュラー&オリジナル・ギター・アルバム 11


13.花のワルツ(チャイコフスキー) ~三重奏版




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3パートで

 この 「くるみ割り人形組曲」 の 「花のワルツ」 はこれまで水戸ギター・アンサンブルでも何度か演奏してきました。

 独奏でも演奏したことがあって、今回も当初独奏での録音を考えていたのですが、さすがに独奏だと演奏も難しく、また省略する音も多くなってしまうので、他の曲同様、ニ重奏にしようと思いました。

 二重奏でもやはり省略が多くなってしまうので、編集のほうがどうなるかわかりませんでしたが、3重奏で録音することにしました。

 アルト・ギター1パートとプライム・ギター2パートということですが、少なくとも楽譜上では水戸ギター・アンサンブルで演奏してきたものとほぼ同じようになるはずです。




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それぞれ別個には合っても

 二重奏の時と同じく各パートを別々に録音したものを編集で合わせるのですが、何といっても録音装置がステレオ・タイプなので、3つのパートを合わせるのはちょっと難しかったです。

 各パートをミックスする際に、タイミングは3つのパートとも正確に合わせなければなりませんが、まずこれがなかなか難しく、 1stと2ndが、2ndと3rdが合っても1sっと3rdが合わないとか。



3重奏に聴こえるように

 また左側から1st(Art)、2nd、3rd と位置が決まるように1stは左寄り、2ndは均等、3rdは右寄りになるようにしました。

 これもあまり極端になると不自然なので、例えば1stも左側のみに張り付けるのではなく、ある程度右側にも貼り付けます。 そうしたバランス設定も何度もやり直しました。



”目” で合わせている

 そうしていろいろ苦労したおかげで、音量バランスやタイミングはたいへん良く合っています。 それはそうですね、タイミングは耳で合わせている訳ではなく、”目” で合わせているわけですから。 聴いては絶対に分からないレヴェルでタイミングを合わせています。



合い過ぎて不自然?

 その結果生のギター合奏ではあり得ないくらい正確に合っていて(もちろんミスもなく)、かえって不自然に聴こえるかも知れません。 仮に私が3人いて、その3人で3重奏をやったとしても、このように正確には合わせられないでしょう。



編集だと気になる

 ライブ演奏では微妙なずれはあまり分からないのですが、こうやって編集作業をやっていると、ごくわずかなずれも聴いて気になるものですね。

 生ではそんなに正確に合わせられないことはわかっていても、編集し始めると、やはり細かいとこまで気になってしまいます。

 どれくらいのところまで聴いてわかるかははっきりしませんが、おそらく1000分の1~10000分の1秒くらいのところではないかと思います。 オリンピックの陸上競技では100分の1秒まで記録となりますから、オリンピックでは同着になる程度の誤差ですね。



何事も勉強

 その他、編集作業をしていて、これまで弾くだけでは気が付かなかったこともたくさんわかるようになりました、編集で演奏を作ってしまうなど、ギタリストとしてはまさに反則技ですが、何事も経験と勉強ですね。



ほぼ理想通り?

 さて、結果としては付点音符のキレなどたいへんいいですね、また強弱、テンポの変化もよく出来ています。 ギター合奏としてはほぼ理想通りに出来ています。それはそうですね、そのように編集したのですから(反則技を駆使して)。

 

鐘の響きのよう

 また中間部のアルト・ギターの響きは鐘の音のように聴こえて面白いですね、2度の響きがそう感じるのでしょう。 意図したわけではなかったのですが、なかなか面白い響きになっています。

ポピュラー&オリジナル・ギター・アルバム 10



11. ひまわり(マンシーニ)



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パッケージ裏と曲順が違うが

 前回の記事で書いた通り、パッケージ裏の曲目表記では11曲目が「ビビディ・バビディ・ブー」となっていますが、「中身」のほうでは11曲目は、この「ひまわり」です。



戦争に翻弄された夫婦の悲劇

 この曲は1970年のイタリア映画「ひまわり」のテーマで、映画音楽の巨匠ヘンリー・マンシーニが作曲しています。 この映画は第二次世界大戦において東部戦線で戦死したものと思っていた夫が生きているという情報を得た妻が、旧ソ連領内で夫を探し出します。
 しかしその夫にはすでに現地で妻と子供がいた・・・・・   そんな戦争に翻弄された悲しい夫婦の話です。



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完全独奏版!

 映画もさることながら、憂いを帯びた美しいメロディの主題曲もたいへん人気で、1970年代の映画音楽の代表とも言える曲です。 ギターでもよく演奏され、我が国では江部賢一さんのアレンジが知られています。

 今回の私の演奏はその江部編ではなく、私自身のアレンジで、比較的原曲に近い感じにしてあります。 しかし私自身かつて江部編で弾いていたこともあって、多少影響はあるところでしょう。

 このCDでは珍しく ”完全独奏版” で、譜面上もまた実際の録音も独奏で行っています。 難易度的にもこのCDの中では無理のないところで、”生” でも十分に弾けるアレンジです(それが普通だが)。



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ややあっさり目かな

この録音を後から聴き直してみると、私の演奏にしてはややさっぱりし過ぎているかな、コンサートでの演奏はもう少し濃厚な気もします。

 やはり録音と言うことになるのでしょうね、他の曲もそうですが、どうしても編集すると細かいミスなどはなくなりますが、ややあっさり目になりますね。

 もっとも、オリジナルのサウンド・トラックでは当然のことながらイン・テンポで演奏していて、特に濃厚に演奏している訳でもないので、オリジナルに近いといえば近い演奏でしょうね。







12.Broken Cup(中村俊三)



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練習曲を作っていたはずだったが

 この曲は2018年の6月頃作曲したものですが、教材のための練習曲を作ったついでにこんな感じの曲が出来上がりました。 練習曲のほうはニ長調のアルペジオの曲で、カルリ風の典型的な練習曲なのですが、でもどこかに”今風”の雰囲気が入り込んでいます。

 その練習曲と似たようなテーマを持ち、兄弟分みたいなこの曲ですが、結果的にはかなり性格の違う曲になりました。 練習曲とは程遠い、かなり陽気な曲です。




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Broken Cupの譜面





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同じ時期に作った練習曲、 ちょっと似ている。 ただし結果的には全く違う曲だが。




最初から二重奏

 このCDに収められている他のオリジナル2曲と異なり、この曲は最初から二重奏曲として作り始めました。また曲名の「Broken Cup」というのもかなり早い段階で決まりました。

 陽気で若干騒々しい曲ですが、なぜかこの曲を作っているうちにマグ・カップを落として割ってしまったシーンが浮かんできました。思わず 「あっちゃっちゃっちゃ! どうしよ、どうしよ」 なんて叫んでる様子です。

 この曲、なんか、そんなそんな感じがしますよね?   




いつのまにか増殖している

 そんな時よく言いますね、「今日、サイアクー」 って。 「これ、結構使いやすかったのにな、どこで買ったか覚えていないけど、いや、買ってはいないかな」

 キャラクター入りのマグ・カップって、なんだか家にありますよね、たいていは何かのサービスでもらったもの。

 マグ・カップってなかなか割れないですね、そうこうしているうちにそうしたマグカップが食器棚の中でどんどん増殖して来る(家の中の誰かがそれを進めている訳だが)。 

 未だ使っていないものも使ってみたいとは思うけど、今使っているものが頑張っていると、なんとなく新しいのに取り換えにくい、こんな機会でもないと。




幸せな一日だった証

 マグ・カップを割ってしまったことは残念ではあるが、しかしマグ・カップを割ってしまったことがその日の最悪の出来事だったということは、もしかしたらその日はとても幸せな一日だったのかも知れません。

 曲の方は陽気な雰囲気ではありますが、時折すっと陰りが差し込みます。 もちろんそれはシリアスなものではなく、それによって明るさもいっそう引き立つのではと思います。 

 最後はギターのボディを叩くパーカッションで閉じてゆきます。
ポピュラー&オリジナル・ギター・アルバム 9



10.ビビディ・バビディ・ブー(ホフマン&デビッド)



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また曲順が

 またまた曲順を間違えてしまいました。前回はブログの記載を間違えただけなのですが、今度はCDパッケージ裏の記載が違ってしまったので、さらに問題ですね。

 曲順についえてゃ何度も考え直したので、いつの間にか中身とパッケージの表記が違ってしまったようです。お買い上げの皆さま、まことに申し訳ありません。

 そう言った訳で、記載では、 10曲目=ひまわり、 11曲目=ビビディ・バビディ・ブー となっていますが、中身のCDではその逆の、 10曲目=ビビディ・バビディ・ブー、 11曲目=ひまわり となっています。




ディズニー映画の挿入曲

 さて、この 「ビビディ・バビディ・ブー」 はご存じの通りディズニー映画 「シンデレラ」 の挿入歌です。 ディズニー映画の挿入歌らしく楽しく、明るく、覚えやすい曲ですね。 

 このCDではこの曲を変奏曲風にして演奏しています。数年前のコンサートの時に作って演奏したもので、この録音もほぼその時のものを用いています。

 変奏曲を作るには、こうしたシンプルで短い曲のほうが作りやすいですね。 またこうした曲は変奏曲的な形を取らないと、逆にコンサートなどの曲目にはなりにくいところもあります。



変奏曲は作曲? 編曲?

 ところで、変奏曲というのは 「作曲」 なのか、「編曲」 なのか、なんて以前に書きましたね。 少なくともこCDでは曲目表記が 「ビビディ・バビディ・ブー」 として、特に変奏曲とはしていませんから、当然編曲と言うことになり、原作者に著作使用料を支払うことになります。  ・・・・・・ちゃんと支払っています。

 しかし有名な 「魔笛の主題による変奏曲」 はソル作曲で、モーツァルト作曲と表記されることはありません。 ジュリアーニの「ヘンデルの主題による変奏曲」 などもそうですね。

 つまりそれぞれソル、ジュリアーニの 「作曲」 となる訳です。 いずれにしても200年ほど前のことなので、著作権でもめることはありませんが、もし現代の作品をテーマに用いて変奏曲を作曲した場合、やはり原作者にも著作権が発生するのでしょうね。

 となれば著作権が発生する人のテーマを使った場合は 「編曲」?   変奏曲が作曲なのか、編曲なのかということの答えはそれほど簡単ではないようですね。



どこまでが盗作?

 ついでに、どこまでがオリジナル作品かということもなかなか難しいようですね、確かメロディの場合は1小節とか2小節とか決まっていたような気がしますが、コード進行などを全く同じにした場合、盗作に当たるのかどうか?

 メロディがよく似ているということで裁判になったりすることがあるようですが、コード進行が同じだということで(そうした曲はたくさんある)裁判になった話はあまり聴きません。 おそらく盗作には当たらないのでしょう。



コード進行やリズム・パターンに著作権が発生したら

 確かにコード進行まで著作権が発生したら作曲なんて出来なくなります。リズムパターンもそうでしょうね、リズムパターンなどそれほどある訳ではないので、著作権の侵害にならないリズム何て言うと16分の13拍子とか、とんでもないリズムで曲作るしかなくなってしまいますね。



作曲とは言ってもすべて自分で作るものではない

 要するに作曲と編曲ははっきりと区別の付けられるものではないということですね。 考えてみればメロディを作るための音階の他、和声法、対位法、コード進行、リズム・パターン、形式など作曲するために必要なものは、すべてすでに存在していて、作曲家としてはそれらを選択して組み合わせているだけ、すべての作品はアレンジ、つまり編曲なのかも知れませんね。

 もしかしたら作曲なんてバイキング料理みたいなものかも知れません。 料理自体はすでに大きなテーブルの上にたくさん、何種類も乗っていて、あとはそれらを自分のお皿の上に乗せるだけ。

 そのお皿の上に盛り付けた料理をもって自らの作曲とする、みたいな。 ・・・・・ちょっと極論的ですが。



4つの変奏からなる

 またまた脱線してしまいましたが、この私が 「作曲」 した 「ビビディ・バビディ・ブー」 変奏曲(ここではそうしておきましょう)は、テーマと4つの変奏からなります。

 第1変奏はあまりテーマと変わらず、若干装飾が付いた程度ですが、第2変奏はピッチカート奏法とグリサンド奏法などを用いて、よりユーモラスな感じになっています。




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短調となった第3変奏アルベニスのようにも聴こえる




アルベニスぽくなってしまったところも

 第3変奏はニ短調(主題はニ長調)となって重々しい変奏となっています。こうした明るい曲を短調にすると全く違った感じになってなかなか面白いです。装飾音なども入れたせいか、なんとなくアルベニスの曲のような感じになってしまいました。

 第4変奏はシンプルで明るく快速な感じで、一旦休止の後、更にテンポを上げて終わります(可能であればもっとテンポを上げたかったかな)。