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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

バッハの録音 2



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弾けていないことがよく分かる

 録音、編集作業をしていると、練習しているだけでは分からないことがいろいろと分かってきます。 いや、わかってしまうと言った方がいいでしょうか。

 何といっても、残念ながら上手くギターが弾けないことがよく分かってしまいます。 正しい音価(音符の長さ)で弾けないとか、音が繋げられないとか、音量コントロールできないとか、はっきり発音できていない、ノイズが発生しているとか・・・・・

 確かにそのようなことは日頃ある程度は認識しているのですが、録音することにより、そうした残念な事実がはっきりと突き付けられてしまいます。




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編集画面




セーハがちゃんと出来ない

 それらの中で特に気になるはセーハの問題です。 3弦くらいまでの部分的なセーハだとそれほど問題ないのですが、全部の弦をセーハする場合だと、録音してみるとノイズが発生していたり、はっきりと発音できていない場合がよくあります。

 昔からセーハは苦手だったのですが、何といっても指が細い、肉がない、握力がないと、私の指は極力セーハに不向きに出来ています。 

 むしろ生徒さんなどの方がセーハ、特に全弦のセーハは良く音が出るみたいですね、確かに私くらいの年代の男性だと、いろいろ力仕事などをしていて、私より握力が数倍ある人も少なくないようです。

 いつもレッスンの時に 「左手はなるべく力を入れないように、軽く触る程度にして下さい」 なんてよく言っているのですが、セーハの場合だけは別のようです。



なるべくセーハを使わない運指にしている


 と言った訳で、セーハを使わないで弾けるところは、多少難しくなってもなるべくセーハを使わない運指に直したりしています。

 セーハを使わない場合、たいてい左手の動きが複雑になったり、場合によっては右手も難しくなったりします。 私の場合、力がない分だけ、運動性で勝負といったところでしょうか。



指も短い

 また指も短く、拡げてもぎれぎれ5フレットくらいまでで、6フレット以上は絶対に届きません。 5フレット以下でもやっと指が届くような場合では音がちゃんと鳴らなかったり、また音が切れたり、ノイズが発生したりするので、やはり運指を変えないと弾けません。

 運指を変えるだけで弾けるならいいのですが、実際は運指を変えても弾けない場合が多いです。そうした場合はオクターブの変更や、音の省略、場合によっては和音の変更なども行わないといけなくなります。

 私ががギターを始めて、比較的早い時期からアレンジをするようになったのは、こうした事実と深い関係があります。 難しい曲になった場合、多かれ少なかれ、譜面通りはまず弾けなかったからです。



指が外側に拡がる?

 私の演奏を聴きに来てくれた人は、あまり私の指が短いとは見えないようですが、それは指が細いせいでしょう。 遠目に見た感じでは比較的長く見えるみたいですね。

 また指も拡がるように見えるそうですが、それほどでもありません、若い女性などでは私と同じくらいの指の長さでも、わたしより拡がる人も結構います。 若い男性だったら、私と同じくらいの指の長さの人はあまりいないでしょう。

 もっとも、村治奏一君とか、パク・キュヒさんなどは私より手が小さいですね。 奏一くんなど近くで見ると、 「え、こんなに手小さいの」 と驚くくらいです。

 また、キュヒさんは、指を拡げた時、人差し指と小指が外側に曲がるといった、とんでもない拡がり方をします。

 

セーハの音がちゃんと出ない時には

 ところで、録音の際、よく音の出ないセーハの部分はどのようにしたのか、ということですが、この話、あまりしたくない話なのですが、一応お話しておきましょう。 

 頑張れば一応弾けるところであれば、一回止めて、その部分だけを弾いたりします。 ただこの場合気を付けないといけないのは、その部分だけ弾くとどうしてもテンポが遅くなる傾向があります。

 こうした場合、今演奏しているテンポをしっかりと記憶して弾かないといけないのですが、どうしても若干の誤差が出てしまいます(意識し過ぎて速くなることもある)。 そこで最後は編集で微調整と言うことになります。




カポタスト使用

 それくらいではよく音が出ない、あるいは音が切れる、ノイズが発生するなどと言った場合はなんと、カポタストを使用します。

 カポタストを使った場合、確かに音は何の問題もなく出るのですが、余計な余韻までオマケについてしまうので、そういった余韻にも注意が必要です(編集の際に繋がらなくなる)。

 またカポタストを使った場合、当然運指が全く変わるので、即座に運指を変えて弾くといった、頭の柔軟性が必要です。 前述のテンポに気を付けるのは全く同じです。

 

きれいに仕上がったと思ったら

 その他いろいろ、録音する場合には、ライブ演奏ではあまり気にならないことも十分注意して行わなくてはならないのですが、このように問題点をすべて解消して仕上がったと思ったら、結果手的に全く面白くない演奏になってしまった、とか、音楽の本質が表現出来ていない、なんてことにもよくなります。



表現することを強く意識しないと

 やはり一番大事なのはその曲の全体像、あるいは俯瞰で見る(最近流行りの)といったことでしょうか。 その音楽をどれくらい理解しているか、とかどうすれば聴き手にそれが伝わるか、といったことが理解出来ているかと言ったことに尽きるのでしょう。

 録音の場合にはどうしてもマイナス点を防ぐほうに気を取られ、表現的には消極的になりがちです。 あまり細かい、小骨のようなことに気を使うよりも、大胆に表現する意識を強く持たなければならないのでしょうね。

 ・・・・・でもやっぱりノイズは気になるけど。
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バッハの録音




絶賛好評発売中?

 ポピュラー&オリジナル・ギター・アルバムはいかがだったでしょうか。 購入していただいた人によっては何度も繰り返して聴くなど、好評をいただいています。

 「曲の並べ方がいい」 といった声もありました。 曲順については何度も考え直し、「しっとり系」 と 「リズム系」 がだいたい交互になるようにしました

 もっとも、何度も変更したので、最終的にパッケージの曲順表記を間違えてしまいました。



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 いかがでしたか?



パーカッションの音どうやって出しているの?

 「Broken Cup」のパーカッションが面白いといった声もいただき、 「アレどうやって出しているの?」 などのご質問もありました。

 パーカッションの音は基本的にギターのボディを叩いて出していますが、掌や拳、あるいは叩く場所などを変えて、で音色を変えています。

 実はそれだけだとやや鈍い音になってしまうので、編集の際に高音域を上げるなど、若干反則技も使用しています。

 もちろんパーカッションは別録りで、押尾コータローのように同時に行っているものではありません。




音色は加工していない

 「音色がきれい」 といったたいへん嬉しい感想もいただきましたが、これについては殆んど加工していません。

 なにしろ狭い部屋で録音しているので、編集の際に残響くらい付けた方がいいと思い、いろいろやってみたのですが、結局も加工しない音が一番よかったので、残響を含めた加工は行っていません。

 確かに今回のCDはオーバー・ダビングによる二重奏、合奏など編集作業が介入しているケースが多いのですが、音色に関しては「自然」 という訳です。 つまり音色に関しては ”アリアの付け爪” と ”ヘルマン・ハウザーⅢ” によるものと言うことですね。

 音色がきれいに聴こえる要因としては、メロディを単音で弾いていることが多いからなのでしょう。 やはり単音だと私でも思った音が出せますね。




正々堂々生演奏?

 しかしこれらの温かい言葉の一方で、このCDアルバムは、クラシック・ギターのCD (内容はクラシックではないが) としてはかなり個性的、あるいは変則的なものなので、違和感を覚えた人も少なからずいるのではとも思います。

 「姑息な手段など用いず、クラシック・ギタリストならば正々堂々、生演奏で勝負しろ」 といった声も聴こえてきそうですね。 




「スターダスト」 と 「ひまわり」 を生演奏

 確かに今回の収録曲の大半は生では演奏出来ないものですが、独奏や二重奏などで演奏出来るものもあるので、今後生でも演奏してゆきましょう。

 早速11月21日の発表会で 「スターダスト(二重奏」 と 「ひまわり(独奏)」 を演奏します。

 生ではCDのように行かない部分もあるかも知れませんが、逆にCDでは出来ない強い表現などもあると思いますので、CDはCD、生演奏は生演奏と、別物として聴いていただけると嬉しいです。




バッハの録音

ポピュラー&オリジナル・アルバムの製作が終わった8月よりバッハの作品の録音を始めています。  「無伴奏パルティータ第2番」 と 「無伴奏チェロ組曲第1番」 はすでに録音終わりました。

 他に「無伴奏チェロ組曲第3番」 も録音しようと思っていたのですが、そうすると収録可能な時間内に収まるか微妙なところになってしまい、この第3番は別の機会にして、その代わりに小品を2、3曲添えることにしました。



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 今度こそ本当に正々堂々直球勝負といったところですが、二線級 (三線級?) の投手が投げる直球など、絶好の ”カモ” かも知れませんね。

 玉砕(言葉が古い!)覚悟の企画とも言えますが、滅多に直球を投げないピッチャーの直球は最良の変化球なんてこともあるし、”怖いもの見たさ” なんて感じもありますが、まずは思いっきり腕を振ってみましょう。

 130キロ、いや120キロののストレートだって振り遅れることもあるし・・・・・




 

中村ギタ教室発表会



11月21日(土) 14:00   石岡市ギター文化館



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5月に行う予定だった発表会

 いつの間にかすっかり秋になってしまいました、涼しいというより、寒いと思う日もでてきましたね。     ・・・・・・私だけかな。

 来月教室の発表会をギター文化館で行います。 これはもともと5月に予定していたものですが、コロナの影響で延期になったものです。

 コロナの方はまだまだ警戒が必要なところですが、最近ではギター文化館でも種々のコンサートが行われるようになってきました。 ただし、入場制限はあって、だいたい通常の半分くらいのようです。



出演者10数名

 そうした影響もあって、今度の発表会は出演者もいつもよりは少な目で、10数名ほどです。 出場者と観客合わせても40~50名程度と考えられ、特に入場制限などは行いません。 興味ある方はぜひ聴きに来てください。

出演者と演奏予定曲は以下の通りです。



スターダスト(カーマイケル)        中村俊三  中居直也
大きな古時計(ワーク)            松村夢菜  中居直也
アストウリアス(アルベニス)           関 義孝
太陽がいっぱい(ロータ)             石川都美江
子守唄(ブラームス)               加藤 護
トロイメライ(シューマン)              澤畑敦史
練習曲、アデリータ(タレガ)          赤沼増美
アレグロ・ヴィヴーチェ(ジュリアーニ)     根本 滋
悲しみの礼拝堂(ゴメス)              甲斐 洋
グリーン・スリーブス(イギリス民謡~カッティング編)   大村顕史
二つのメヌエット(ラモー)             市毛 哲
リュートのための6つの小品           清水和夫
ショティッシュ・ショーロ(ヴィラ・ロボス)     及川英幸
オブリビオン(ピアソラ~国松編)        佐藤眞美
練習曲、ノクターン(レゴンディ)         久保田浩
ひまわり(マンシーニ)、幸せの硬貨(菅野祐悟)   中村俊三


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