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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

中村ギタ―教室発表会



 11月21日(土)  石岡市ギター文化館



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まるでパンフレットの表紙みたいだが、紛れもなくこの日の写真、空が本当に美しい。 手前の方にススキが写り込んでいる。




 今日はたいへん天気も良く、空も青く、美しく、また会場に向かう道筋では、紅葉も真っ盛りといったところです。 通常であればたいへん爽やかな日といったところでしょう。




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駐車場も紅葉真っ盛り



石岡市ギター文化館で教室発表会を行いました。 コロナ感染者も増加の傾向にあり、消毒、検温、マスク着用など、いろいろな点に留意しての発表会となりました。



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検温、消毒、記名などの対策もしっかり



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半数くらいのイスが埋まった、まだ余裕はあると思うが、これ以上多いとちょっと不安(座っている人はほぼ出場者)。




 今回の発表会は、特に広告などはせず、出演者以外の来場者は少ないと予想されたのですが、出演者を含め、約40人くらいの方が来場しました。  発表会らしくなって嬉しい反面、これ以上多いと若干心配も。



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ご来場下さった方々、本当にありがとうございました。



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中村ギター教室発表会 11月21日(土)


 石岡市ギター文化館  14:00   入場無料



 今日は、いやもう昨日かな、たいへん暖かい日でしたね。 こういう日を ”小春日和” と言うんでしょうか。 今日、我が家のレッスン・スタジオに入る時に、温かい風に乗って菊の香りが漂ってきました。 菊のシーズンなんですね。

 

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 さて、またコロナの感染者が増えだしました、たいへん困ったものです。 こんな状況ではありますが、21日(土)ギター文化館での発表会は予定通りに行います。

 あまりたくさんの方々に来てくださいとも言いにくいところですが、今のところ出場者以外で聴きに来ていただける人は10名程度と思いますので、さらに10名程度でしたら大丈夫だと思いますので、よければ来てみて下さい。 席を空けて座る余裕は十分にあると思います。

 演奏曲目などは以前にお知らせしましたが、若干変更や訂正もあるので、あらためて記載しておきます。



1.スターダスト(カーマイケル)           中村俊三  中居直也
2.大きな古時計(ワーク)               村松夢菜  中居直也
3.アストゥリアス(アルベニス)           関 義孝
4.太陽がいっぱい(ロータ)             石川都美江
5.子守唄(ブラームス)               加藤 護
6.トロイメライ(シューマン)            澤畑敦史
7.練習曲、アデリータ(タレガ)          赤沼増美
8.アレグロ・ヴィヴァーチェ(ジュリアーニ)    根本 滋
9.悲しみの礼拝堂(ゴメス)           甲斐 洋
10.グリーン・スリーブス(イギリス民謡~カッティング編)   大村顕史
11.ソナタニ長調(カルリ)                中居直也
12.二つのメヌエット(ラモー)            市毛 哲
13.リュートのための6つの小品          清水和夫
14.ガボット・ショーロ(ヴィラ・ロボス)      及川英幸
15.オブリビオン(ピアソラ~国松竜次編)      佐藤眞美
16.練習曲、ノクターン(レゴンディ)        久保田浩
17.ひまわり(マンシーニ)、幸せの硬貨(菅野祐悟) 中村俊三
目で見るギターの音 2




①弦の14~19フレット




ハウザーの18.19フレットが突出している

 下のグラフは①弦の14~19フレットです。 下のジェイコブソンは比較的各音の差が小さいですが、上のハウザーはだいぶ特徴的ですね。 18,19フレット(シ♭、シ♮) の振幅が突出しています。

 ハウザーの18、19フレットの振幅が大きいと言っても、かなり瞬間的なので、実際に弾いた感じではそれほど他の音との差は感じません。

 また18フレットの振幅が特に大きいですが、同じ「シ♭」でも1オクターブ下の6フレットはそれほど振幅が大きくありませんでした。 




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①弦の14フレット~19フレットのグラフ。   ハウザー(上段)の18、19フレット(シ♭、シ♮) が突出している。 18フレットなど、瞬間的だが他の音の3倍くらいの振幅がある。 ただし実際に聴いた感じではそれほどは突出していない。 ジェイコブソン(下段)のほうは意外(?)と均質。 しかし4フレットの「ソ#」が異常に鳴っていたわりにはオクターブ上の16フレットは逆に落ち込んでいるのが目立つ。





ハウザーは高次の倍音が多い傾向 

 中音域では圧倒的にジェイコブソンの方が振幅が大きかったのですが、18フレット以上となると逆にハウザーの方が振幅が大きくなっています。 ハウザーは高次の倍音を拾いやすいということが出来るのでしょう。

 これまで使ってきた経験からは、ハウザーはクリヤーな音と言った印象があります。 クリヤーと言う意味は音響学的には、高次の倍音が比較的多く含むと言うことになるのでしょう。 




高次の倍音多いと音がクリヤーで遠達性にも富むが

 高次の倍音が多いということは、クリヤーに聴こえると同時に、遠い位置からでもよく聴き取れて、いわゆる 「遠達性に富む」 ということにもなります。

 一般にコンサートでは聴く人が数メートル~20、30メートルくらいの位置にいるので、やはりハウザーはコンサートに適した楽器と言うことが出来るでしょう。



その一方で美しい音を出すのは難しい楽器

 しかし高次の倍音が多いということはノイズ成分も増幅してしまうので、音色としては硬く、あるいはノイジーな音にも聴こえてしまいます。 

 つまりこのハウザーでノイズの少ない美しい音を出すのはかなり難しいとも言えます。 爪の角度や深さなど、指先のベストな位置で捉え、正確に弾かないとなかなかよい音が得られません。

 これらのことはこれまでの経験でも感じてきたことですが、そうしたことはこのグラフによっても裏付けられるます。  

 



ジェイコブソンの4フレットの音はかなり鳴っていたが

 ジェイコブソンの方は0~13フレットではかなり個々の音で差があったのですが、この音域では意外と均質です。 7フレットの「シ」はよく出なかったのですが、19フレットは結構出ています。




共鳴というのはオクターブちがうと全く異なる

 逆に4フレットの「ソ#」が異常に鳴っていたわりには、オクターブ上の16フレットがあまり鳴っていないのが不思議です。 ハウザーの場合も同様ですが、共鳴というのはオクターブ違うとかなり違うものなんですね、今までよくわかりませんでした。



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0~6フレット ジェイコブソンの4フレット(ソ#)は突出していたが




中音域が太い

 全体的に見れば、ジェイコブソンは中音域の音が良く出ると言うことがグラフに表れています。それは実際に弾いた印象と一致しているといえるでしょう。 

 中音域がよく出るということは、ノイズや硬い音と言ったものも聞こえにくく、比較的安定した音とも言えます。 一般に美しい音というのは中音が中心の音とも言えるでしょう。

 またこうした音は聞き取りやすいのも特徴ですが、楽器の近く、つまり演奏者には大きな音量で聞えるのも特徴です。 その一方で、ややぼやけた感じ(あくまでハウザーに比べればですが)にも聴こえ、距離が離れるとハウザーの音の方が良く聴こえるのは確かでしょう。



あまり弾き手を選ばない

 また多少弾き方が違っても同じような音になる傾向もあり、あまり弾き手を選ばない傾向もあります。 また強弱の変化などは付けやすく、ダイナミックな音楽の構成には向いていますが、その反面、繊細な感覚の弾き手や、繊細な内容の音楽にはやや不向きかも知れません。



次回は消音なしで
 
 これまで①弦の開放から19フレットまでの音をグラフで見てもらいました。その際、他の弦は共鳴しないように消音して録音、測定した訳ですが、次回は消音せず他の弦を共鳴させた場合のグラフを掲載します。

 実際の演奏ではこうしたケースも多いでしょう。 また①弦以外に③弦と⑥弦のグラフも掲載しましょう、


 
目で見るギターの音 1


  ~編集ソフトでギターの音を目で見る





タイトル変更

 前回の続きですが、前回の話の通り、タイトルを変えて 「目で見るギターの音」 ということで書いてゆきます。

 編集ソフトでギターの音のグラフを見てみると、実際に聴いた感じを反映した部分もあれば、異なる点などもあります。

 また、よく鳴る音とそうでない音はグラフで見るとどう違うのかなどを検証してゆきます。

 前回は若干思いつきでやったので、あまり深く考慮しなかった点もあり、今回改めて2台のギターの音を録音し、そのグラフを画像にしてみました。



他の弦の共鳴を止めて0~19フレット

 前回は1弦の1~12フレットだったのですが、今回は1弦の開放から19フレットまでと拡げてみました。 また前回他の弦の共鳴を止めたかどうかはっきりしなかったので、今回は1弦以外の弦を消音した状態で弾いたものと、他の弦(2~6弦)に触れず、全く消音をしていない状態のもと別に録音してみました。
 


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1弦の開放から6フレットまで。 1弦以外の弦を消音して録音した。 上はヘルマン・ハウザーⅢ、 下はポール・ジェイコブソン






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ヘルマン・ハウザーⅢ (表面松 裏横ローズ・ウッド 1983年ドイツ)




個々の音によって振幅などがかなり異なる

 それしても同じギターで弾いても各音によって振幅、つまり音量が全く違うのにあらためて驚かされます。 またグラフの波形が音によってそれぞれ違う、つまり減衰の仕方が音によってかなり異なっています。

 ギターは弦の振動をボディで共鳴させて音を増幅させているので、そのボディの形や大きさなどで共鳴する振動数が変わるので、やむを得ない事ではあるでしょう。

 そのボディの形や大きさはクラシック・ギターであればだいたい同じなのですが、これらのグラフを見てもわかる通り、楽器の違いによって共鳴する音、しない音はかなり異なってきます。





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ポール・ジェイコブソン (表面杉 裏横ハカランダ アメリカ 1991年)





0~6フレットまではよく似た傾向


 上のグラフのように0~6フレット辺りまではこの2本の楽器は似たような傾向を示しています。

 弾いている感じからするとこの2本の楽器はやや同じ傾向にあり、それは 「ソ」 や 「ソ#」 (3、4フレット) が共によく共鳴することからも言えるでしょう。

 この 「ソ」 と 「ソ#」 がよく鳴る楽器は多く、前回の記事のとおり、このあたりに 「ウルフ・トーン」 と呼ばれる音があると言われています。 

 聴いた感じでは「ソ」の方はどちらの楽器も比較的素直な音で、「ソ#」は鳴り過ぎてちょっと異質な音に聴こえます。おそらくこの「ソ#」がウルフトーンと呼ばれる音に相当するのかも知れません。 

 



縦長と横長

 個々の波形を見るとジェイコブソンのほうが全体的に音量があるので、振幅は大きくなっていますが、それだけに減衰も大きいので、したがってグラフが ”縦長” に、見えます。

 それに比べてハウザーのほうはやや ”横長” となっていて、弾弦直後の音量は比較的小さいが、減衰は急でない、つまり音が ”伸びる” 傾向にあります。

 

 


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 1弦  7~13フレット  上ハウザー、 下ジェイコブソン



7~13フレットではだいぶ差が出る

 この7~13フレットではだいぶ二つの楽器で違いが出てきましたね。 特に 「ド」 と 「レ」 (8、10フレット)が正反対になっています。

 前回の記事のグラフでは 「シ」(7フレット) もだいぶ異なったのですが、今回の測定ではあまり差がありません。 常に同じように弾くのはなかなか難しいですね。

 ジェイコブソンでは 「レ」 のグラフがたいへん小さく、それに対して「ド」の振幅が大きいですが、実際に弾いている感じではそれほどでのちがいは感じません。

 確かに改めてそれにしても 「ド」 がよく鳴りますね、前回の測定でも振幅は大きく出ていました。 日頃はあまり気が付きませんでした。 「ド」の音は意外とギターではあまり重要なところで使われないせいかも知れません。


 

ハウザーの「ド」は困った音

 その一方でハウザーの 「ド」 が鳴らないのはいつも困りものです。 この「ド」は音量がないだけでなく、音色もきれいに出ません。 音量がないので、自然と弾弦に力が入り、したがってノイズっぽい音になってしまうのかも知れません。

 しかし、グラフを見ると、確かに振幅は小さいですが、余韻はある程度長続きしています。 あらためて聴いてみると、確かに余韻は比較的長持ちしています。
 


「レ」は ”美味しい音” だが

 弾いている感じだとハウザーの「レ」はよく鳴り、余韻も美しく、またヴィヴラートもかかりやすいです。 演奏の際には、この10フレットの「レ」は ”美味しいところ” で、まさに聴かせどころです。

 でもぐらふでは特にそういった感じはありませんね、特に振幅が大きい訳でもありません。 余韻も特に長い訳ではありませんが、やや変わったグラフにはなっていますね、その辺が関係あるのかも知れません。



ジェイコブソンのあのタコ形は

 また前回の記事で、ジェイコブソンの12フレットの「ミ」がタコみたいな音型だなんて書きましたが、どうもこれは他の弦、特に5弦または6弦に共鳴してあのような形になったようです。 この他の弦を消音せず共鳴させた場合については次回(あるいは次次回)検証してみます。

 今回、他の弦の共鳴を押さえて弾いたら、比較的普通のグラフとなりました。 しかし弾弦直後の振幅が跳ね上がり、減衰が非常に速いのは同じです。 



”細く、長く” か ”太く、短く” か

 もちろんそれは常に感じているところで、”鳴るけど困った音” と言えます。 本当に音が「プツッ」と消えるので、ミスをしたような感じにも聴こえてしまいます。

 他に 「ド#」(9フレット) も「ミ」ほどではありませんが、余韻が短く感じます。 この 「ド#」 と 「ミ」 の余韻が短く感じるのはハウザーも同じでした。

 もしかしたら、弾弦直後に振幅が跳ね上がると、そこでエネルギーを使い果たしてすぐに減衰してしまうのかもかも知れませんね、まさに ”細く、長く” か ”太く、短く” でしょうか。
バッハの録音 3



編集ソフトにより1弦の半音階をグラフで見てみる

 録音や編集をしていて、特に顕著だと思ったこととしては、グラフで見るとギターの音と言うのは、その音によって音量が全く違うということです。

 そこで、いつも使っている編集ソフト(SONY Sound Forge Audio Studio)で1弦の半音階をグラフにしてみました。 下のグラフの上段はヘルマン・ハウザーⅢ、下段はポール・ジェイコブソンです。




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上段はヘルマン・ハウザーⅢ、下段はポール・ジェイコブソン。 1弦の1フレットから12フレットまでを同じように弾いたグラフ。




各音で聴いた感じ以上に差がある

 録音の際にはなるべく条件を同じにするため、すべて薬指のアポヤンド奏法で、あまり気持ちを込めず、なるべく同じ力弾いています(無意識に微調整してしまっている部分はあるかも知れませんが)。

 それにしても、グラフではかなり各音のよって振幅が違いますね、確かに弾いていても音の出方はそれぞれの音によって違うということは分かるのですが、グラフで見るとこんなに違うのかと改めて驚きます。

 グラフの振幅は音量と考えていいでしょう。 どちらの楽器も出る音と出ない音では2倍以上の差がありますね。




補正して聴いているのかも

 実際に聴いた感じでは2倍以上差があるようには感じないので、振幅が必ずしも音量と言う訳ではなく、人間が感じる音量というのはその音質、つまり倍音の組成なども関係するのかも知れません。

 あるいは脳のほうで音量を補正して聴いているの可能性もあります。

 


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1~4フレット 上段ハウザー  下段ジェイコブソン





ウルフ・トーン

 上段のハウザーでは、3、4、7、10、12フレット、 音にすると 「ソ」、「ソ#」、「シ」、「レ」、「ミ」、 ジェイコブソンでは 2、3、4、8、11、12フレット、「ファ#」、「ソ」、「ソ#」、「ド」、「レ#」、「ミ」 が大きな音になっています。

 これらの差はギターのボディと共鳴する音としない音と言うことの差ですが、その中で特にボディの固有振動と共鳴して大きく鳴る音のことを 「ウルフ・トーン」 と言うようです。

 この言葉どちらか言えばヴァイオリンとかチェロの場合に用いられる言葉のようですが、ギターでも同じ現象が起きます。

 このウルフトーンは一般に1弦のフレットで言えば1フレットから5フレットの間あたりにあるそうで、通常一か所だとは思いますので、 これらをすべてウルフ・トーンと言う訳ではないでしょう

 特に異常な鳴り方をする音ということでは、両方の楽器の「ソ#」 、さらにジェイコブソンでは12フレットの「ミ」も異常に鳴ります。





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5~8フレット




高さだけでなく面積も

 弾いている感じではこれらの音が他の音よりもはっきりと大きく聴こえますが、グラフの振幅ではそれほど突出していません。 しかしグラフの「面積」 は明らかに広く、つまり振幅に加えて、その減衰が小さいので大きく聴こえるのでしょう。

 ジェイコブソンに関しては、ウルフ・トーンが2か所と言うことになってしまい、こういったこともあるのかどうかわかりませんが、二つの音とも異常な鳴り方するのは確かです。




ジェイコブソンの「ミ」は確かに異常

 特に12フレットの「ミ」は異常で、聴いた感じでは弾弦した瞬間「パンッ」となるのですが、すぐに減衰してしまいます。 グラフでもその辺がよく分かります。

 まず弾弦直後の振幅が他の音を圧倒して高く、しかしすぐに減衰します。減衰したかと思えばもう一度振幅が高くなり、そこからゆっくり減衰してゆきます。

 見た目もだいぶ変わっていますね、なんかタコのよう?。




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9~12フレット  ジェイコブソンの12フレットは変わった波形をしている。 なんかタコのよう?



急遽タイトル変更

 この話、たいへん興味深いと思いますので、何回かにわたって書いてゆきましょう。 バッハの録音の話は?  バッハの話はこれまでもたくさんやったので。急遽話題を変えて、「グラフで見るギターの音」 ということで続きを書いてゆきましょう。