fc2ブログ

中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

令和時代のギター上達法 7



ポジション移動



 今回も左手の話です。 ギターを弾くには右手のほうがより重要と言ったことを書きましたが、左手のほうがわかりやすいので、とりあえず左手の話を続けて行きましょう。 右手については後日じっくりと書いてゆくことにしましょう。

 ギターで「ポジション」とは左手の位置のことですが、ポジション1(P.1)、ポジション2(P.2)とか表記する場合は人差し指のフレットを示します。 またポジション移動とは、左手全体を動かして人差し指のフレットを変えることです。

 前回のような音階にはポジション移動はなく、したがって左手が多くく移動することはなく、それぞれの指は決まったフレットを押さえます。 各弦とも人差し指は1フレット、中指は2フレットを押さえることになります。
 
 この場合、基本的に親指は動きませんが、でもある程度は位置を変えて最も押さえやすい位置に微調整するとよいと思います。 私の場合は手も小さく、指も短いので小刻みに親指の位置を変えています。

 ただし左右の位置をあまり変えるとフレットの見当がつかず、押さえる場所を外してしまうので、若干微調整するだけにしておいた方がいいでしょう。



CCI_000046.jpg




なるべくポジション移動は少なくする

 さて、今回のように1.3.5.7フレットを押さえる場合は当然移動しなければなりません(中には移動しないで全部押さえられる人もいるが)。 その際、例えば全部人差し指で押さえるとすると、すべての音の間で移動が入り、3回ポジション移動を行うことになります。

 これではミスの確率が増えてしまいますね、ポジション移動はやはりある程度のリスクはあるので、なるべく少なくしなければなりません。 運指を決める場合はこうしたことを考慮して行います。

 このケースだと、やはり画像の①のような運指になるでしょう、これなら1回の移動で済みます。 ②や③の方法は通常ではありえません。



移動中でも人差し指は弦に触れている(弦から離さない)

 さて、それでは「ファ」 「ソ」 と弾いた後、移動して人差し指で5フレットの「ラ」を押さえて弾くわけですが、移動の際には人差し指は弦から離さず、弦に触れながら移動します。

 移動中は弦には触れているが、しっかりと押さえている訳ではありません、強く押さえれば当然指が滑らなくなり、上手く移動できません。



CIMG2692.jpg
ポジション移動時には親指をネックから離す。 ただしここまで離さなくてよい ・・・・・ちょっとわかりやすくやり過ぎてしまった



親指はネックから離す

 人差し指が弦に触れながら移動するのは、弦を外さないためですが、レガートな演奏をするためでもあります。

 人差し指を弦から離さない代わりに、移動中裏側の親指の方は一旦ネックから離します。 そうしないとやはりスムーズなポジション移動は出来ません。

 実際にはなかなか親指がネックから離れない人も多いのですが、これは指の問題というより、意識が親指のほうにないということでしょう。

 親指の話は今後何度も出てくると思いますが、しっかりとネックをつかんでしまうわけではなく、ネックに軽く添えるような感じで、必要があればすぐに離せるようにしておきます。 



ポジション移動と右手での弾弦のタイミングを合わせる

 また、右指の弾弦ともタイミングを合わせなければなりません。 前回の押弦と同じで、移動したのを確認してから右指で弾いたのでは、音は完全に切れてしまいます。 

 そのためには前回の話と同じく、ポジション移動している間に、左手が次のフレットを押さえる前に弾くような気持ちでないと、弾弦が遅れてしまいます。




移動時にネックが揺れないように

 ポジション移動の時にネックが上下に動いてしまう人もいますが、この場合は左手に力が入り過ぎているわけです。 逆に移動してもネックが揺れなければスムーズで移動が出来ているとも言えるでしょう。




CIMG2686.jpg
移動時にネックが揺れていないかどうか見てみるとよい



 力を抜く話は今後何度も出てきますが、前回の押弦のところで力が抜けていれば、ポジション移動の場合でも余計な力は入らなくなるでしょう。 
 



下行の場合でも人差し指は弦から離さない

 下行のポジション移動の場合でも人差し指は弦から離しません。 上行の場合よりもやりにくいかも知れませんが、これもレガートに演奏するためです。

CCI_000046下
下行の場合でも人差し指は弦から離さない  



 上手く出来ない人は、最初は止まり気味でもいいですからやってみてください。 だんだん出来るようになったら、右手の弾弦とタイミングを合わせて音が切れないように練習してください。

 
スポンサーサイト



令和時代のギター上達法 6 押弦4




押弦のトレーニング(続き)




CCI_000045 2




1弦 ファ→ソ

CIMG2666.jpg

親指の位置に注意! 親指は3フレット、少なくとも2フレットの裏側



 前回の続きで、前回は3弦のソまでやりましたが、少し間を飛ばして、今回は1弦のファ→ソからです。

 ファの押さえ方はこれまでどおりですが、ネック裏側の親指の位置にも注目してください。 親指は3フレットの裏側あたりにあると思います。 

 基本的に左手親指は人差し指、小指間の中央、だいたい2フレット(フレットの棒)の裏側くらいにくるのですが、私の場合さらに右側にあります。




無意識に押さえると、親指は左側に寄ってしまう

 生徒さんたちにも 「なるべく左手親指は右の方に、少なくとも2フレットの裏側、出来れば3フレットの裏側に置くようにしてください」 と説明しているのですが、なかなか右には寄らず、ほとんどの人は1フレットの裏側くらいになってしまいます。

 極端な場合は、画像のように親指がネックの方を向いてしまい、1フレットよりもさらに左側なんてこともあります。

 長年ギターを教えていますが、ほとんどの人は左手親指が正しい位置より左側にずれてしまいます。 これにはいくつかの理由があるものと思われますが、詳しくはまた別のところでお話ししましょう。

 ともかく、無意識に押さえると親指は左側、1フレットの裏側くらいにきてしまいますから、意識的に右に寄せなければなりません。



CIMG2689.jpg

親指がこんな風にネックの方を向いてしまう人も少なくない






薬指を十分に拡げてから

CIMG2667.jpg

薬指は ”真上” からゆっくり押さえる



 さて、ここから薬指で1弦の3フレットの「ソ」を押さえに行くわけですが、これも前に話した通り、まず薬指を十分に拡げて薬指の中心が3フレットの右端の真上に来るようにします。 そこから真下に向かってゆっくり弦に触れるように押さえに行きます。 また薬指が弦を振れると同時に右指で1弦を弾きます。

 必ず押さえる前に指を拡げるのであって、押さえてから拡げるのではありません。 またこの時、親指が3フレットの裏側、つまり薬指の近くにあれば拡げやすくなります。

 確かに手が大きく指がよく拡がる人であれば、親指が多少左側でも十分に押さえられますが、画像をみてもわかるとおり、私くらいの手の大きさでは、親指がかなり右側にないと正しい位置が押さえられません。




ソ→ファ

CIMG2668.jpg

薬指は ”真上” に離す
 



 今度は薬指を離してファを弾くわけですが、薬指の離し方は押さえている薬指の力を抜く訳ですが、人差し指は押さえたままなので、同時に離すよりは若干難しいかもしれません。 しかしギターを弾くということは指を選んで力を入れたり、抜いたりできなければなりません。



斜めに離してはいけない

 この時薬指は押さえる時と同様に”真上” に離さないといけません。 斜め、特に左方向に離す人が多いですが、この音階ではその先で2弦の3フレットの「レ」を押さえるので、薬指が2フレット、あるいは1フレットの方に行ってはいけません。

 薬指は弦から離れている状態でも、ほぼ3フレットの位置をキープしておかなければなりません。

 また、この場合は高音弦なので指を離した際にノイズは発生しませんが、低音弦(4~6弦)の場合、斜めに指を離すと弦を擦るノイズ(キーキーといった)が発生してしまいます。




時間や数をこなせばよいというものではない

 以下はだいたい同じなので説明は省きます。 音階練習なんて、できるだけ速く、できるだけたくさん、何も考えずにやればいいんじゃないかと思うう人も少なくないと思いますが(私もかつてはそんな風に練習していました)、それでは決して上達できません。

  一つ一つの動作(今回は押さえることだけだが)を、自分がどのように行っているかということを、改めて考えながら行うことは大変重要です。 




体で覚えるのが主流だったが

 かつては楽器の演奏においても、また各種のスポーツなどでも、練習=反復練習 ということで、同じ動作を何度も繰り返し頭で考えなくても体が動くようにする、いわゆる ”体で覚える” と言ったことが主流でした。

 しかしこの方法だと必然的に指、または体と脳の連携が疎になってしまいます。 何かの都合で弾き方をちょっと変えようと思ったとしても、指は勝手に覚えてしまっていますからなかなか変更は出来ませんし、さらに自分の指がどう動いて、どんな音を弾いているかさえも、頭では分からなくなります。 

 



指と脳の連携は 「令和時代のギター上達法」 の基本概念

 この 「令和時代のギター上達法」 の基本概念は、脳と指の連携を強めることにあります。 脳で考えたことを指が実行し、また指が行っていることは脳ですべて把握するといったことです。

 最初からベストな方法で演奏するなどと言うことはそうありませんので、上達するということは常に試行錯誤してゆくわけです。  試行錯誤するためには、今現在自分がどのようにギターを弾いているかがわからなければなりませんし、また脳で考えたことを指が実行できなければなりません。




ハンマー投げの室伏広治さん

 私がこんな考えに至ったきっかけの一つとして、10年ちょっと前に聞いた室伏広治さんの話があります。 室伏広治さんはハンマー投げの選手で2004年アテネ・オリンピックで金メダル、2012年ロンドン・オリンピックで銅メダルを取ったことは皆さんもご存じと思います。

  この話というのは北京オリンピックの後、ロンドン・オリンピックを目指している時のことだったと思います。 室伏さんは随分と変わったトレーニングをしていました。 具体的にはもう忘れてしましたが、なんか子供遊びみたいな、少なくともハンマー投げにはどうやっても結びつかなようなトレーニングでした。



Koji_Murofushi_Daegu_2011.jpg




100パーセント自分の筋肉をコントロールする

 室伏さんは 「なぜそのようなトレーニングをしているのですか?」 といったインタビュアーの質問に、「今、自分の各部分の筋肉を一つ一つ意識しながら使うトレーニングしているんです。 できれば100パーセント自分の筋肉を意識的に使えるようにしたいんです。 私はもう体力的には伸びることはない。 今の体力で結果を出すためには、自分の筋肉を100パーセントコントロールして、効率よく使えるようにするしかない」

 これを聴いてある意味驚きました、ハンマー投げなど素人目にはも常に同じ動作、むしろその動作を何度も繰り返して、何度やっても常に同じ動作ができるかどうかが重要なんじゃないか、なんて無意識に思っていました。




誰もがメダルは無理と

 この時期の室伏さんは、アテネで金メダルを取った後、次の2008年の北京オリンピックでは5位、その前年の2007年の世界陸上でも6位とメダル圏内に入れず、体力の衰えは否めくなった頃です。 多くの人は室伏さんの次のオリンピックのメダルはあまり期待できないと感じていました。



アテネの金以上に価値あるメダル

 このインタビューを聴いていた時はまだ私は半信半疑でしたが、2012年のロンドン・オリンピックではアテネから8年ぶりのメダル(2011年の世界陸上では優勝!)。 そのトレーニング法が正しかったことが示されました。 室伏さんにとってはアテネの金以上に価値ある銅メダルだったのではと思います。
令和時代のギター上達法 5 押弦3



押弦のトレーニング



ローポジションのほうが

 今回は押弦のトレーニングです。 ハ長調の音階を使って練習しますが、音階練習というと、特に上級者では開放弦を含まない運指での練習をよくやりますが(セゴヴィアのスケールなど)、実際の曲の中ではローポジションで、開放弦を用いて弾く方が多く、また、 また押弦、つまり弦を押さえたり、離したりする練習としてはこの方が効果的です。




CCI_000045.jpg
 なるべくゆっくり練習する。4分音符で書いてあるが、全音符くらいの感じでよい。




真上からゆっくり下ろす


CIMG2655.jpg


 まず、5弦の3フレット(ド)の真上に薬指を用意する。 そこからゆっくり下ろしていって、3フレット(金属の棒)のすぐ左を軽く押さえる。 押さえるというより弦に触れるといった感じのほうが良い。 

 なお、弦を押さえる場合は、必ず指盤に垂直に指を下ろす。 少しずれた位置から斜めに押さえに行ってはいけません。 これは大原則だと思ってください。





左薬指が弦に触れるのと同時に弾弦する


CIMG2656.jpg

 薬指の先端が弦に触れると同時に右指で弦を弾きます。 この時タイミングがずれると音が切れてレガートな演奏が出来なくなります(これについては後述)。 

 そのためには、右指の方は左指で弦を押さえるよりやや早いタイミングで弾くようなつもりで弾くといいでしょう。決して左指で弦を押さえたのを確認してから弾いてはいけません。

 また、正しく薬指の先端の中心で弦を押さえると、前に話した通り、指は60~70度くらいの角度で立ちます。 位置がずれると指が寝てしまいます。 逆にあまり直角に立てても押さえにくくなります。





押さえている力を抜くだけ


CIMG2657.jpg


 ある程度音を保ったら(4拍くらい)、次の「レ」を弾くために薬指を弦から離しますが、この時、前に話した通り、指を自分の筋力で上に持ち上げてはいけません。

  押さえている力を抜けば、自然に指は弦から離れるわけです。 ももちろんあまり上に上げてはいけません、弦からせいぜい1cmくらいといったところでしょう。

  薬指が弦から離れたと同時に次の音、つまり4弦の開放の「レ」を弾くわけですが、やはりタイミングがずれると音が切れてしまいます。 


 
まず ”ジャスト” のタイミングで練習

 場合によっては次の「レ」を弾いてから薬指を離す、つまり左指の動きを意識的に遅らせる場合(レガートに弾く)や、逆に薬指を早めに離して音を切る場合もありますが、ここではタイミングを合わせる方法で練習しましょう。

 「離す」と書いてしまいましたが、細かく言うと、弦はフレットから離れるが、指は弦を触れた状態、つまり離すというより力を緩めるだけと言ったほうが良いかもしれません。





4弦の2フレットの真上に中指を用意しておく


CIMG2658.jpg


 4弦の開放の「レ」が鳴っている間に中指を4弦の2フレットの「ミ」の真上に用意します。 そこから押さえに行くわけですが、前に言いました通り、必ず指盤に対して垂直方向に下ろして押さえてください。 




CIMG2659.jpg

 「ミ」を弾く場合は、「ド」の場合と同様に中指をゆっくりと下ろし、4弦の2フレット(金属の棒のすぐ左)を押さえます。 押さえるというより弦に軽く触れる感じですね。 そして左中指で弦を触れると同時に右指で弾弦する。

 右指の方もいきなり離れた位置から弦を弾くのではなく、いったん弦に触れてから弾きます(これも後述)。





中指は押さえたまま


CIMG2660.jpg


 次に4弦の3フレットを押さえて「ファ」を弾きますが、まず「ミ」が鳴っている間に薬指を十分に拡げます。 中指と薬指の間は最も拡げにくく、写真でも私の指はあまり拡がっていません(本来なら3フレットのすぐ左を押さえなければならいが)。

 このように私もあまりよく出来ないのですが、それだけに出来るだけ拡げるトレーニングは必要です(楽に拡がる人もいるが)。

 このように同じ弦の音を弾く場合(上行のみ)、前に押さえた指、つまり中指は離さないで薬指を押さえます。 これは音が切れるのを防ぐ、つまりレガートに弾くためです。 また指のストレッチ的な意味もあります。





力を抜けば自然と


CIMG2661.jpg

 次に3弦の開放の「ソ」を弾くのですが、中指と薬指を弦から離すと同時に3弦を右指で弾きます。 両方の指を同時に離すのですから、左手全体の力を抜いてしまえばいいわけです。

 簡単そうなことですが、人間は力を入れるという動作は問題なく出来るのですが、逆に力を抜くという動作が意識的に出来ないこともあるようです。 

 「力を抜いてくださいね」 などと言われることは、日常でもよくありますよね、注射するときとか、自動車教習所とか、ゴルフやテニスでも・・・・・

 一種のメンタル・コントロールですが、これは本当にいろいろな場面で必要なことでしょう。 ギターの練習でも、この ”意識的に力を抜く” ということがよく出てきます。 この機会にこうしたことが抵抗なく出来るようにしたいところです。





どちらかと言えば上級者の方に

 この先は次回やりますが、どうでしたか、ここまで?  メンドクサイ?  確かにそうでしょうね。 しかしレガートな演奏、表情のある演奏、自分の気持ちが伝わる演奏、あるいはミスを少なくするためにはこうしたことがぜひとも必要となるのです。

 今回の内容は、あまりギターを弾いたことがない人でも出来る内容ですが、どちらかと言えば、中級者以上、出来れば上級者、特に ”自称上級者” の方々にぜひともやっていただきたい練習です。 

 大聖堂やアストゥリアスなどに夢中になって取り組むのも悪くはないのですが、発表会やコンサートなどの予定があまりない今現在、こうした本当の基礎から取り組むのが上達への、あるは本当の上級者への最短距離ではないでしょうか。



令和時代のギター上達法 4



押弦2



そんなに強く押さえてるつもりはないんだけど

 前回の記事では弦を強く押さえ過ぎると弊害がたくさん起こるということを書きました。 でも多くの愛好者の方は 「別にそんなに強く押さえているつもりはないんだけど」 と言うのではないかと思います。

 しかし私と同世代の特に男性は、若い人や女性などに比べると握力がかなり強く、普通に押さえても結果的に強く押さえてしまうようです。 レッスン中など 「その指、もうちょっとこっちに」 なんて私が生徒さんの指を動かそうとしても、全くビクともしないことがよくあります。

 本人としては特に強く押さえている意識はないようですが、実際には必要な力の数倍くらい強く押さえていることがよくあります。 「ちょっと力を抜いてください」 と言ってもなかなか力を抜くことが出来ないようですね。



自慢ではないが

 そんな時逆に、弦を押さえている私の指を動かしてもらったりします。 私の押さえている左指はちょっと突っついたり、引っ張っただけで簡単に動いてしまいます。 剣道の竹刀とか野球のバットも、構えているときには非常に軽く握るのが基本のようですが、それに近いと思います。

 もっとも、自慢ではないが私は成人男性にしてはかなり握力のないほうです。  若い頃(30代くらい)生徒さんたちと腕相撲なんてやったことがあって、そこにた男性の中で私が勝てそうな人はいないとわかっているので、私よりも小柄で、いかにも力のなそうな女性を指名してやってみたら、なんと、いとも簡単に負けてしまいました。

 女性でも家事などで結構力は使っているんでしょうね ・・・・・いや私が弱いだけ?




どうしたら余計な力が抜ける?

 さて、では今回はどうしたら余計な力を入れないで押さえることが出来るか、といった話をしましょう。

 ギターの弦は指先で押さえるわけですが、その指先でも中心部分で押さえなければなりません。 指先というのは体の他の部分よりも触覚が敏感でなっていますね、だからポケットの中から100円玉を探し出せるわけですね、頑張れば10円玉か100円玉かもわかります。



指先の一点に神経が集中している

 その指先の神経の敏感な部分というのはあまり広い範囲ではなく、ほぼ一点になっています。 何か細く尖ったもので指先を触ってみるとその場所がわかると思います。 その敏感な一点からちょっとずれただけで、あまり触れている感じがしなくなり、神経があまり通っていないことがわかります。

 その神経がもっとも敏感な一点は指先の中央にあって、そこにはちょうど指の骨の先端部分がありますね、もうおわかりと思いますが、弦を押さえるのはこの一点となります。



IMGP0218_2021021023153124b.jpg
黒い点は弦を押さえるところ(神経が最も敏感なところ)



指先が自然と立つ

 この点で弦を押さえる理由については、あまり説明入らないかも知れませんが、まず最も敏感な部分ですので、感覚がつかみやすく、押さえ損ないが少なくなります。 またその奥に骨があるのでしっかりと押さえることが出来ます。

 そこで押さえると、自然に指先が立った状態になります。 ”立てる” といっても垂直に立てるのではなく、60~70度くらいの角度で斜めにします。

 「指は立てて押さえなければならない」 と思っている人も多いかもしれませんが、あまり垂直に立てすぎると余計な力が入るなど不都合なこともあります。 そう考えるよりも ”指先の中心部分” つまり神経の最も敏感なところで押さえると思ったほうが自然な角度が得られます。

 また中心部分からずれた場所で押さえると、自然に指は倒れ気味になり、隣の弦に触れやすくなります。


 

CIMG2643.jpg
指先の中心(神経の集中しているところ)で押さえると、このように自然と指が立つ(60~70度くらいに)。




CIMG2644.jpg
立てるとはいっても、このように90度近くまで立てるわけではない。




CIMG2645.jpg
指先の中止から外れた部分で押さえると、このように指が倒れる。 この場合はかなり力を入れないと音が出ないし、また隣の弦に触れてしまったりする。




押さえた実感を強く感じる

 さらにこれが最も大きいことかと思いますが、なんといっても神経の集中している部分で押さえるわけですから、自分でも 「弦を押さえている」 といったことを強く実感し、したがってそれ以上強く押さえようとは思わなくなります。

 逆に中心からややずれた部分、つまり神経のあまり通っていないところで押さえると、押さえている実感が薄く、その結果必要以上に強く押さえることになります。

 


フレットのすぐ近くを押さえる

これは当然皆さんはわかっていることと思いますが、押さえる場合の指盤上の位置としては、なるべくフレットに近づけて押さえるわけですね。 フレット間の中央付近を押さえた場合には、かなり強く押さえないとちゃんと音が出ず、前にもいったとおり ”ビービー” と言った雑音が出ます。 これをギター用語で ”ビリ付き” なんて言います。

 そんなことは良く分かっていても、なぜか左手というのは弾いているうちにだんだん左へと寄っていきます。 これは不思議なことにほとんどの人がそうなりますが、いろいろと心理的な要因もあるようですね。

 この中央付近で押さえても強く押さえれば音は出るわけですが、これを常にやっていれば、押さえる位置が常にズレ、また常に弦を強く押さえることになってしまいます。

 



CIMG2638_202102112239195db.jpg
このようにフレット間の中央(または左の方)を押さえた場合は、強く押さえないとノイズが発生する。 無駄な力を抜くためには常に正確な位置、つまりフレットのすぐ左側(出来るだけ右に詰める)を押さえないといけない。 なお ”ビービー” といったノイズは押さえる位置がずれていることの警告音と考えてもよい。





叩くように押さえてはいけない

 といったように、軽く押さえるためには正確に指先の中心部分で弦を押さえるということになります。 これが出来るだけでもあまり強く押さえなくなりますが、さらには、強いだけでなく、押さえる速さ、つまり指を振り下ろす速度もゆっくりにします。

 よく指で指盤を叩くような動作で押さえる人がいますが、そうすれば当然強く弦を押さえることになります。 確かに上行のスラー奏法、つまりハンマリングの場合は弦を叩いて音を出すので、当然指を振り下ろす速度は速くなります。

 しかし通常の奏法ではそのようにしてはいけません。 スラー奏法についてはまた後で話をしますが、スラー奏法と通常弾き方では左指の動きは全くことなる訳です。

 指を叩きつけるようにして押さえることの弊害はそれだけでなく、右手、つまり弾弦のタイミングとずれが生じやすく、したがって音が切れ、レガートな演奏が出来なくなります。

 また見た目も悪く、なんかドタバタした感じに見え、あまりギターが上手そうには見えなくなりますね。 動画などで最近の優れたギタリストの左手を見ると、かなり難しそうな曲を弾いても、あまり動いている感じしない、ゆったりとした動きになっています。

 たかが ”見た目” と言っても、やはり見た目がなめらかだと、演奏の方も滑らかですね。 その逆に見た目が悪いとやはりその演奏もあまりよくないようです。




CIMG2648.jpg
ゆっくり、フワッ といった感じで押さえる。 ドーンと勢い良く押さえてはいけない。




押さえている力を取るだけ

 さらには押さえた指を離す動作も問題になります。 これも押さえる時同様に勢いよく離してはいけません。 細かく言うと、弦を押さえている指を離す動作としては、筋力を使って指を上方に持ち上げるのではなく、ただ押さえている力を抜くだけです。

 ちょっと意味が分かりにくいかも知れませんが、 弦を押さえている状態を保つには、当然押さえている力を入れ続けていなければなりません。 その力を除けば、当然指は弦から離れますので、自分の筋力で指を上に持ち上げる必要など全くありません。




CIMG2649.jpg
指を離す場合は、押さえている力を取るだけ。 筋力で指を上に持ち上げてはいけない。 ついでに、押さえてる場所は正確な位置で、この位置で押さえると力はあまり要らない




気が付いてみると指が指盤から離れ

 大学のギター部時代、合宿などになると音階練習だけで1時間も2時間もやることがあります。 修学旅行ではないですが、合宿などとなると夜遅くまで起きていたりしますから、当然朝などは眠くてたまりません。
 
 だいたいこういった音階練習などはアサイチでやるので、音階を弾きながらウトウトしてしまいます。 夢の中ではそのまま弾き続けているのですが、気が付いてみると左手は指盤から離れ、頭はコックリ・・・・・

 何も意識がなくなったり、眠ってしまわなくてもいいのですが、押さえている指の力を抜くだけで、あるいは押さえることをやめるだけで当然指は弦から離れるのです。

 しかし実際には多くに人が弦から指を離す場合、自分の筋力を使って指を上方に持ち上げてしまいます。 その結果左手全体の動きが大きくなり、次への動作などに支障が出ます。



CIMG2653.jpg
中にはこんな風に離してしまう人もいるが、押さえている力を抜くだけなら、指がそれほど上には上がらない。





 ・・・・・・・・やはりこういった話、静止画像ではわかりにくいですね、一応、動画も試しているのですが、まず静止画像に比べて動画の自撮りはなかなか難しい。 これらの静止画像(左手)は右手でカメラをもって撮っているのですが、動画だとこれでは音を出せない! 
 三脚を使ってもなかなか良い角度にならなかったり、露出不足になったり・・・・・・・  

 それよりも編集のほうが大変かな? とりあえず無料ソフトで・・・・・  ユーチューブへのアップの仕方は?

 言い訳多いですね。 まあ何とか、そのうち。
令和時代のギター上達法3 ~ギター演奏の新常識



押弦(おうげん)



国語辞典には載っていない言葉だけど

 ギターや他の弦楽器で指盤上で弦を押さえることを押弦(おうげん)と言います、いや言うようですね。 それほど一般的な言葉ではなく国語辞典(学研新国語辞典)には載っていませんし、またWardなどの変換でも出てきません。

 私もレッスン中に 「ここを押弦して下さい」 とか 「その押弦の仕方が・・・・・」 とかはあまり言いませんね、「押さえる場所が」 とか 「押さえ方が」 と言ってように言っています。

 しかしギターのテキストや楽譜の解説などでは、この言葉はよく使われるようですので、今回はこの言葉を使っておきましょう。



逆持ちの方は

 さて、ギターは左手で押さえて、右手で弾く楽器ですが、前回の記事のとおり、左利き用の楽器を使用している方は左右の文字を逆に変換して読んでください。

 おそらく読者の皆さんは弦を押さえるとき、あまり強く押さえすぎてはいけないことはよくご存じと思います。 強く押さえ過ぎるといろいろな問題が発生してしまいますね、とりあえずその問題点を挙げておきましょう。




CIMG2633.jpg
適度な力で(軽く)押さえた場合




CIMG2634.jpg
ややわかりにくいが、強く押さえ過ぎた場合~押さえた弦が曲がって、指先が若干食い込んでいるのがわかるかな?




CIMG2638.jpg
押さえる場所がずれている場合。この場合は強く押さえないと音が出ない。




   ~左指で弦を強く押さえ過ぎると~


1. 腕が疲れる、指が痛くなる

2. 左指の動きが悪くなる

3. 左指のコントロールが悪くなる

4. ポジション移動が滑らかに出来ない

5, スラー奏法、特に下行のスラー(プリング)が出来ない。

6. 音程が狂う

7. ヴィヴラートがかからなくなる

8. キーキーといったノイズが発生しやすくなる

9. 弦の寿命が短くなる





あまりいいことはない

 だいぶありますね、でも他にもまだまだあるでしょう(今は思いつかないが)。 やはり弦を強く押さえ過ぎるとあまりよいことはありませんね。

 ある程度ギターをやっている人でしたら、こうしたことはだいたいご存じと思いますが、一応それぞれ説明を添えておきましょう。





1.腕が疲れる、指が痛くなる 

 これは説明の必要はないですね、当然と言えば当然です。 しかしある程度強く押さえなければちゃんと音は出ないのでやむを得ないこと、 むしろ 「疲れる」 とか 「痛くなる」 などというこは我慢して(根性で?)乗り越えない限り、ギターは上達しないと考える人も多いのではと思います。

 でもやはり出きるだけ疲れないように、指が痛くならないように練習するのはとても大事なことです。

 私も若い頃は練習するとすぐに指や、肩や腕などが痛くなってあまり長い時間練習できませんでした。 むしろ今のほうが長い時間練習できます。 もちろん体力がついたのではなく、省エネ的にギターが弾けるようになったからですね。

 また、当然ながら疲れたり、痛くなるのを我慢して練習すると、指などの故障の原因にもなります。

 

2.指の動きが悪くなる

 これももなんとなくわかると思います。 あまりいい例ではありませんが、サスペンス・ドラマなどで、思い余って人を刃物で刺してしまった場合、その刃物を放そうと思っても、手がこわばってなかなか手から離せない、なんてシーンがありますね。

 こんな場合は興奮しきって異常な力で刃物を握っているからで、その手の緊張を取るのもたいへんになるわけですね。

 そこまで強く弦を押さえる人はいないと思いますが、でも指を動かすには少しでも軽く押さえた方が良いことは間違いありません。 強く押さえると、指を弦から離すのも手間取ってしまいます。




3. 左指のコントロールが悪くなる

 これはちょっと説明の必要がありますね。 弦を押さる場合なるべくフレットの近くを押さえるということは皆さんもご存じと思います。 例えば2フレットを押さえるときには2フレット(金属の棒)のすぐ左側を押さえるわけです。

 これがフレットから離れたところ、つまりフレット間の中央付近とか、さらに左の方を押さえると ”ビービー” といったノイズ (ギョウカイ用語では ”ビリつき” などと言う) が発生したり、音がちゃんと出なかったりします。




位置がずれているのに音が出てしまうのはかえってよくない

 しかしフレット間の中央付近でも強く力を入れるとちゃんと音が出ます。 それじゃやはり強く押さえた方がいいんじゃないかと思われがちですが、これが ”落とし穴” なんです。

 確かに常に力入れと押さえると、多少押さえる場所がずれても狂っても普通に音が出ます。 これがかえって上達の妨げになります。 これをやっていると、いつも不正確な位置を押さえることになり、なかなか正確な場所を押さえられるようになりません。

 逆に、常に軽く押さえる人は、ちょっと押さえる場所がずれただけで、音が出なくなったり、ノイズが発生したりします。 つまり押さえる場所がずれたということがわかるわけです。

 そうすると当然押さえる場所を調節することになり、練習しているうちにだんだん正しい位置が押さえられるようになります。

 つまりノイズは ”押さえる位置が正確でない” といったことへの警告音なんですね、強く押さえるということはセンサーの電源を切ってしまうようなものです。




4.ポジション移動が滑らかに出来ない 

 これは、2.の「左指の動きが悪くなる」 の中に含まれることかも知れませんが、一応別に扱いました。 ポジション移動の場合、通常左人差し指を弦に触れた状態で、親指をネックから一時離して移動します。 

 このとき、当然ですが弦を強く押さえた状態、あるいはネックを強く握った状態では左手は動きません。  この状態で強引にポジション移動すると、音が切れるなど、レガートな演奏が出来なくなります。 また押さえる位置もずれやすでしょう。



5.下行のスラー奏法ができない 

 下行のスラー奏法はプリングとも言い、左指で弦を弾く奏法です。 下行のスラー奏法は通常二本の指、たとえば薬指と人差し指を押さえておいて、その薬指で押さえている弦を弾きます。

 この時、弦を強く押さえ過ぎるとなかなか指が動かず、無理やり弾こうとすると薬指だけでなく人差し指、あるいは手全体が動いてしまい、その結果音が出なくなります。

 スラー奏法では特定の指のみ動かさなければならないのですが、人間の指というものは強く力を入れると別個には動かず、一緒に動いてしまう傾向があります。 

 因みに、上行スラー(ハンマリング)は多少力が入っても出ますが、ただし強く押さえるのと、強く叩くのは別のことなので、力を入れたからと言って出るわけではありません。 




6.音程が狂う


音程は長さと密度、張力で決まる

 弦の振動数、つまり音程は弦の長さと密度(比重)、および張力によって決まります。 フレットを強く押さえるということは弦の張力が増してしまうわけですから、音程が上がってしまいます。

 さらに上下方向、左方向に引っ張ったり、押したりすると音程は上がり、右方向に押したときのみ音程が下がります(弦を緩めるようなことになるため)。 場合によってはこれらのことを利用して音程の調節を行うこともあります。 ヴィヴラートやチョーキングなどもこの原理によります。

 


7.ヴィヴラートがかかりにくくなる

 ヴィヴラートは力を入れた方がいいんじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、きれいにヴィヴラートをかけるには、むしろ力の入れすぎは障害となります。

 というのも、ヴィヴラートは指先で書けるのではなく、手首全体でかけます。その際弦を強く押さえ過ぎると手首が動かなくなる、あるいは硬直した動きになるからなのです。

 美しいヴィヴラートを得るには柔軟な左手の動きが必要です。 逆にヴィヴラートの練習することにより、左手の脱力や、柔軟性を付ける練習になります。 

 

8.キーキーというノイズが発生しやすい

 クラシック・ギターの低音弦(4,5,6弦)は、細い金属の線が巻いてありますね(芯はナイロンだが)。  この巻き線になっている低音弦を押さえたり、離したり、あるいはポジション移動する時、よくキーキーといったノイズが発生してしまいます。

 これは軽く押さえてもやはり出てしまいますが、強く押さえると一層ノイズが大きくなります。  昔はこういったノイズはあまり気にしないで弾いていたのですが、最近ではこういったノイズをほとんど、あるいは全く出さないギタリストも多くなりました。
 



9.弦の寿命が短くなる

 これは説明不要ですね、弦を強く押さえるとフレットとの摩擦も大きくなり痛みが早くなってしまいます。 弦のみではなく、フレットの方も削れてしまい、頻繁にフレット交換をしなければならなくなります。

 私の子供の頃(60年くらい前)の弦は音もよく出ないが、耐久性もなく、一か月もすると4弦の2フレットあたりがすり減って切れてしまいました。

 最近の弦は多少弾いても切れることはほとんどありませんが、それでも左手に力を入れて練習していると、4弦がすり減って巻がほぐれたりします。 そんな人は完全に押さえ過ぎです。 

 


中村ギター教室発表会(4月25日 ひたちなか市文化会館) 中止



大変残念ですが

 お正月に 「今年の予定」 として記載しました 4月25日、ひたちなか市文化会館で開催予定の 「中村ギター教室発表会」 はコロナ情勢もまだまだ落ち着かないことから、残念ながら中止としました。

 ひたちなか市文化会館でのコンサート予定の中止としては、昨年4月25日の「中村俊三ギター・リサイタル」、10月30日の水戸ギター・アンサンブル演奏会と3度目になってしまいました。

 昨年4月に会場予約の時には1年後であれば絶対大丈夫と思って申し込んだのですが、そんなに甘いものではなかったようですね。 



練習等の準備ができないため

 まだ発表会予定日までに2か月以上あり、4月25日くらいだと状況は良くなっている可能性もありますが、しかしまだ合奏練習も始められないとか、準備のほうが間に合わなくなってきたので、やむを得ず中止を決定しました。

 コロナ感染者は1月上旬などに比べれば多少減少していますが、茨城県内ではこのところ1日の感染者が50人を上回ることが多く、昨年に比べるとまだまだ大きい数字と言えます。

 水戸ギター・アンサンブルの活動も丸1年完全に停止した状態ですが、そろそろワクチンの接種も始まるなど、今後少しずつよくなる期待もあるので、4月くらいに練習を再開できればと思っています。



6月20日のリサイタルはぜひとも開催したい

 6月20日(同会場)の「中村俊三ギター・リサイタル」はなんとか実行したいと思っています。 演奏者は私一人なので準備等には特に問題なく、当日皆さんが聴きに来られる状況かどうかということが焦点となります。 

 完全に収束とはならなくても、今現在以上に緊迫した状況でなければ予定どおり行うつもりです。 幸いに会場は広いのでそれほど密にはならないと思いますが、もちろん検温や消毒などの対策は十分に行った上での開催となるでしょう。