令和時代のギター上達法 8
セーハ ~実戦練習 1 ラグリマ
音が出しにくいところがいくつかある
今回からは実際の曲の中でセーハについて話してゆきましょう。 まずはクラシック・ギターをやる人なら、おそらく一度は練習したことがあるであろう、タレガの「ラグリマ」です。
16小節の短い曲ですが、タレガの名作と言われ、その表現も難しいですが、セーハを含め、音をきちんと出すだけでも難しいところもあります。 一応譜面も掲げておきましょう。 譜面のほうは打ち直してはありますが、1920年頃スペインで出版された初版に基づいています。

タレガの「ラグリマ」 1920年頃Alier社から出版された譜面をもとにしている。
冒頭は4指によるグリサンド的な運指も可能
今回はセーハについての記事なのですが、この際ですので、セーハ以外の運指についても話をしてゆきましょう。 1段目(4小節まで)はセーハもなく、特に音出しにくいところはありません。1小節目の運指が多少ややっこしいですが、ポジション移動を1回で済ませるためのもので、このままでよいと思いますが、1弦をすべて4指で押さえ、グリサンド気味に弾くなど言う方法もあるでしょう。
③弦の「ミ」が出にくい
2段目の最初の小節の(1)のところの③弦の「ミ」は、譜面通りにセーハで弾くと薬指が触れるなどして上手く出ない場合もあります。 出ない場合はセーハを深めに、⑤弦くらいまで押さえてみて下さい。 また、④弦を薬指でなく、中指にする方法もあります。
さらに出ない場合は、ここのみセーハでなく通常の押さえ方(人差し指の先端)でもいいでしょう。 次の拍(2拍目)のセーハはあまり問題ないでしょう。

通常はこのように押さえるが

音が出ない時には人差し指を⑤、または⑥弦くらいまで伸ばしてみる。

それでも「上手く行かない時は3指ではなく、2指で押さえる方法も。

さらにだめならセーハでなく、通常の押さえ方でも弾ける。
音が出ないからといって
しかしよく音が出ないからと言って、この3弦の「ミ」を弾く時に薬指や小指っを離したりしてはいけません。その前に弾いた①弦の「ミ」や④弦の「ド#」が消えてしまうからです。 この③弦の「ミ」は内声部なので、①弦や④弦の音に比べ重要性は低く、弾く場合もそれらの音よりも小さめに弾きます。 出る場合でもあまり頑張って大きな音で弾いてはいけません。

しかし③弦の音が出ないからと言って、薬指や小指を離すのはあり得ない。 また内声部なので、上下の音よりは小さめに弾く。
ここでセーハを外してはいけない
2段目の2小節目の(2)のところをセーハは外して押さえる人もいますが、ここはセーハでないと音が繋がりません。タレガも前の拍から引き続き7フレットセーハのまま弾くように指示しています。

(2)はセーハのままで弾く

ここでセーハを外すと上声部が繋がらなくなってしまう
セーハには関係ないが
(3)と(4)はセーハに関係ないのですが、ここを指示してある運指を変更して弾く人が結構います。 しかしここはタレガがいろいろ工夫した部分で、この曲にとっては大変重要な部分なので、運指を変更すると、タレガの意図とは違ったものになる可能性があります。
この部分はメロディのようにも聴こえますが、アルペジオとしての性格が強く、またカンパネラ奏法を用いて、タレガが響きや音色に強くこだわった部分と考えられます。
カンパネラ奏法の効果を一層発揮させるためには③弦の13フレットの「ソ#」にヴィヴラートをかけ、と若干のテヌート気味に弾くとよいでしょう。 「ソ#」をあえて③弦にした理由の一つにヴィヴラートのかけやすさもあるでしょう。

合理的ではあるかも知れないが
愛好家のみでなく、プロのギタリストでも下のように弾いている人がいます。 おそらく上声部の「ラ」⇒「ソ#」、低声部の「ド#」⇒「シ」の繋がりをよくするためと思われます。確かに合理的ではありますが、タレガはそれとは違ったイメージを持っていたのではないかと思います。

このように弾く人も多い。合理的かもしれないが、タレガの意図には反するかも。

前半の最後
前半の最後の部分で、下の譜面の矢印の「ラーナチュラル」は比較的出にくいですが、この場合①弦の音がないので人差し指の付け根付近を持ち上げるようして、指をそらせると③弦の「ラ」が出ます。

この「ラ」は出にくいので、人差し指を反らせるようにする。

チョット見にくいかも知れないが、人差し指の付け根付近を持ち上げている

このように人差し指が曲がると③弦は出ない
セーハ ~実戦練習 1 ラグリマ
音が出しにくいところがいくつかある
今回からは実際の曲の中でセーハについて話してゆきましょう。 まずはクラシック・ギターをやる人なら、おそらく一度は練習したことがあるであろう、タレガの「ラグリマ」です。
16小節の短い曲ですが、タレガの名作と言われ、その表現も難しいですが、セーハを含め、音をきちんと出すだけでも難しいところもあります。 一応譜面も掲げておきましょう。 譜面のほうは打ち直してはありますが、1920年頃スペインで出版された初版に基づいています。

タレガの「ラグリマ」 1920年頃Alier社から出版された譜面をもとにしている。
冒頭は4指によるグリサンド的な運指も可能
今回はセーハについての記事なのですが、この際ですので、セーハ以外の運指についても話をしてゆきましょう。 1段目(4小節まで)はセーハもなく、特に音出しにくいところはありません。1小節目の運指が多少ややっこしいですが、ポジション移動を1回で済ませるためのもので、このままでよいと思いますが、1弦をすべて4指で押さえ、グリサンド気味に弾くなど言う方法もあるでしょう。
③弦の「ミ」が出にくい
2段目の最初の小節の(1)のところの③弦の「ミ」は、譜面通りにセーハで弾くと薬指が触れるなどして上手く出ない場合もあります。 出ない場合はセーハを深めに、⑤弦くらいまで押さえてみて下さい。 また、④弦を薬指でなく、中指にする方法もあります。
さらに出ない場合は、ここのみセーハでなく通常の押さえ方(人差し指の先端)でもいいでしょう。 次の拍(2拍目)のセーハはあまり問題ないでしょう。

通常はこのように押さえるが

音が出ない時には人差し指を⑤、または⑥弦くらいまで伸ばしてみる。

それでも「上手く行かない時は3指ではなく、2指で押さえる方法も。

さらにだめならセーハでなく、通常の押さえ方でも弾ける。
音が出ないからといって
しかしよく音が出ないからと言って、この3弦の「ミ」を弾く時に薬指や小指っを離したりしてはいけません。その前に弾いた①弦の「ミ」や④弦の「ド#」が消えてしまうからです。 この③弦の「ミ」は内声部なので、①弦や④弦の音に比べ重要性は低く、弾く場合もそれらの音よりも小さめに弾きます。 出る場合でもあまり頑張って大きな音で弾いてはいけません。

しかし③弦の音が出ないからと言って、薬指や小指を離すのはあり得ない。 また内声部なので、上下の音よりは小さめに弾く。
ここでセーハを外してはいけない
2段目の2小節目の(2)のところをセーハは外して押さえる人もいますが、ここはセーハでないと音が繋がりません。タレガも前の拍から引き続き7フレットセーハのまま弾くように指示しています。

(2)はセーハのままで弾く

ここでセーハを外すと上声部が繋がらなくなってしまう
セーハには関係ないが
(3)と(4)はセーハに関係ないのですが、ここを指示してある運指を変更して弾く人が結構います。 しかしここはタレガがいろいろ工夫した部分で、この曲にとっては大変重要な部分なので、運指を変更すると、タレガの意図とは違ったものになる可能性があります。
この部分はメロディのようにも聴こえますが、アルペジオとしての性格が強く、またカンパネラ奏法を用いて、タレガが響きや音色に強くこだわった部分と考えられます。
カンパネラ奏法の効果を一層発揮させるためには③弦の13フレットの「ソ#」にヴィヴラートをかけ、と若干のテヌート気味に弾くとよいでしょう。 「ソ#」をあえて③弦にした理由の一つにヴィヴラートのかけやすさもあるでしょう。

合理的ではあるかも知れないが
愛好家のみでなく、プロのギタリストでも下のように弾いている人がいます。 おそらく上声部の「ラ」⇒「ソ#」、低声部の「ド#」⇒「シ」の繋がりをよくするためと思われます。確かに合理的ではありますが、タレガはそれとは違ったイメージを持っていたのではないかと思います。

このように弾く人も多い。合理的かもしれないが、タレガの意図には反するかも。

前半の最後
前半の最後の部分で、下の譜面の矢印の「ラーナチュラル」は比較的出にくいですが、この場合①弦の音がないので人差し指の付け根付近を持ち上げるようして、指をそらせると③弦の「ラ」が出ます。

この「ラ」は出にくいので、人差し指を反らせるようにする。

チョット見にくいかも知れないが、人差し指の付け根付近を持ち上げている

このように人差し指が曲がると③弦は出ない
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