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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

バッハ:シャコンヌ 中村俊三ギター・リサイタル

   6月20日(日)14:00~   ひたちなか市文化会館小ホール



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ただただ神頼み

 もう6月になりますね、私のリサイタルも今月になりましたので、当ブログでも曲目の解説などリサイタル関連の記事を書いてゆきましょう。「令和時代のギター上達法」はセーハの話をしていましたが、しばらくお休みして、再開してからは和音の押さえ方など、引き続き左手関係の話をしてゆきます。

 コロナについては相変わらず厳しい状況ですが、そろそろ一般高齢者もワクチン接種が始まるようですね。 先週に比べると今週は感染者数も若干少なくなってきたようで、このままリサイタルまでには多少なりとも状況が良くなればと、ただただ神頼みといったところです。   ・・・・・・日頃あまり信心深いとは言えず、まさに ”困ったときの神頼み” 



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ひたちなか市文化会館



十分気を付けて

 ひたちなか市文化会館小ホールの通常の定員が400人ちょっとで、会館のコロナ対策としては、今現在その3分の1の130人余りを定員としています。

 普段でも私のリサイタルはそんなにたくさんの人が来てくれるわけではないので、今度のリサイタルも最大で100人、おそらく50人チョットくらいかなと思いますので、来場者の皆さんには十分 ”隔離” して座っていただけます。 そういった点では少し安心かも知れません。

 来場者の検温とか手の消毒はもう皆さんも見慣れた風景となっていると思いますが、その他にもチケットやプログラムの手渡し、予備のマスク(来場者の方はマスクが必要となります)、椅子の使用後の消毒などにも十分気を付けて”事故” が起きないよう十分気を付けてコンサートを行ってゆきます。



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演奏曲目は以前にも書きましたが、改めて載せておきます、もちろん変更はありません。


<  第  Ⅰ  部  >

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル  (1685~1759 ドイツ)

  オンブラ・マイ・フ (オペラ「セルセ」より)    中村俊三編曲
  ソナタニ短調    アンドレス・セゴヴィア編曲
  サラバンド (ハープシコード組曲ニ短調より)   中村俊三編曲
  メヌエットニ長調    フランシスコ・タレガ編曲



ヨハン・セバスティアン・バッハ  (1685~1750 ドイツ
 
 パルティータニ短調BWV1004 (原曲無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番) 中村俊三編曲
    1.アルマンド
    2.クーラント
    3.サラバンド
    4.ジグ
    5.シャコンヌ




<  第  Ⅱ  部  >

エンリケ・グラナドス   (1867~1916 スペイン)
  
   スペイン舞曲第5番「アンダルーサ」   ミゲル・リョベット編曲
  
  詩的ワルツ集   中村俊三編曲
    1.序奏   2.旋律的なワルツ   3.高貴なワルツ   4.ゆっくりしたワルツ
    5.ユーモラスなワルツ   6.華麗なワルツ   7.感傷的なワルツ  
    8.蝶々のワルツ  9.理想的なワルツ   (旋律的なワルツ)



アグスティン・バリオス    (1885~1944 パラグアイ)
 
   ワルツト長調作品8-4

   クエカ~チリ舞曲

   大聖堂    
    Ⅰ.プレリュード(郷愁)    Ⅱ.宗教的アンダンテ    Ⅲ.荘重なアレグロ





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 「プログラムに変更はありません」 と言いましたが、確かに私も最近ではコンサートの曲目変更をしなくなりましたね、曲目を決めるまでにはあれやこれやいろいろ考えるのですが、公表したり主催者に曲目を伝えてからはほとんど変更はしなくなりました。

 若い頃は演奏会直前になってから上手く弾けないとか、なんとなく弾く気がなくなったとかで、よく変更していました。気ままというよりはワガママだったのですね。でもそんなワガママは超一流の音楽家だけに許されることなのでしょう、約束したことは守るのが一般人、あるいは大人なのでしょう。    ・・・・・今さら言うことでもありませんが。
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令和時代のギター上達法 12




セーハ実践練習 4  アデリータ 2



アデリータ後半



音を出すだけでも難しいが

 前回の記事では、アデリータの後半の(3)(4)のところの話をしました、どちらも楽譜通りに音を出すのが難しいところですね。 しかし話はこれで終わりません。 (3)(4)それぞれがちゃんと弾けたとしても、次のはそれを繋げなければなりません、これがまたたいへんなんですね。

 楽譜通りの運指で弾くと、(3)を弾いた後、瞬時に7フレットをセーハし、同時に薬指で①の弦「ド#」、中指で③弦の「レ#」を押さえ、小指でスラー奏法をしなければなりません。 

 つまりセーハが難しい他、スラー奏法もなかなか音が出ず、さらに音が繋がらないと、まさに ”三重苦” の個所です。 確かにこのような箇所でも難なくきれいに弾いてしまう人もいるのですが、フツーの人にはまずできません。



楽譜通りではないが

 それで、(3)(4)の間で音を切らないためには、若干運指を変更して、次のようにしてみると繋がりやすいでしょう。


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本来はセーハのままこの「ド#」を弾かなければならないが、よほど技術が高くない限りセーハした状態では一旦音が途切れてしまう。 それを防ぐにはこのような方法がある。




 ちょっとゴマカシといえばゴマカシですが、聴いた感じはあまり変わらないでしょう。 タレガほどの技術があれば本来の運指でいいと思いますが、フツーの人だったらこれくらいのことはしないと音はつながらないでしょう。 

 またあらかじめ薬指は「ド#」を押さえることになるので、音が繋がるだけでなく、押さえ損ないも少なくなるでしょう。



(5)でセーハを外す意味は

 上の譜面の最後の④弦の「シ」(最初の譜面の(5))は、よくみるとセーハをはずようになっています。 これは次の段の④弦の「ソ#」につなげるために一旦セーハをはずすように指示しているのでしょう。 



ヴィヴラートとグリサンド

 ここで(④弦の「シ」)ヴィヴラートをかけたり、次の「シ」に向かってグリサンド気味に弾くのもよいと思います。 そうしたことも含めてセーハを外すように指示しているのかも知れません、ホントにタレガの運指は細かいですね。

 因みにこの ”グリサンドとヴィヴラート” はセットで使うと効果的です。 このセットはいろいろな場面で有効です。



音の出しにくいところはないが

 最後の段は特に音の出しにくいセーハはありません。 では易しいのかというとそんなことはありません、もしかしたらこの曲で最も難しい部分ともいえるかもしれません。



真ん中にメロディがあるのは難しい

 その難しい理由は、主旋律が④弦、および③弦になっているからです。 この小節はその上の段でメロディ(①弦)が 「ソ#ーシミファ」 となっていますが、それを1オクターブ下げたものです(これがわかっていない人も結構いる!)。 ということは上の段と同じようにメロディが聴こえて来なければならないのですが、これがなかなか出来ません。

 特に(6)の主旋律となる「ミ」の音は、その上(ド#とミ)にも下(ラ)にも音が付いていて、この④弦の「ミ」が主旋律とわかるように弾くのはなかなかの難題です。



親指で弾く

 この④弦の「ミ」は通常であれば右手は人差し指で弾くことになりますが、しかし人差し指というのは4本の指の中でも最も力のない指です。 したがって人差し指で弾いたのではどうやっても上下の音よりも小さくなってしまいます。

 そこでこの④弦の「ミ」をだす方法としては親指で弾くしかないということになります。 譜面の書き方からして、おそらくタレガもそのように弾いていたのではと思います。

 細かく説明すれば、右手の方はまず親指で⑤弦、人差し指で②弦、中指で①弦を掴みます。 そして親指のアポヤンド奏法で軽く⑤の「ラ」を弾き、アポヤンド奏法で弾くと親指は④弦に止まっていますから、今度は力を入れて④弦の「ミ」から順に人差し指、中指の順でアルペジオ風に弾きます。 このようにすれば④弦の「ミ」にウエイトをかけられるでしょう。



ヴィヴラートを用いるとメロディがより明確になる

 またこの小節では④弦上でメロディが上下するので、その際グリサンドを入れて弾くと、聴いている人がメロディを認識しやすいです。 おそらくタレガもそう弾いていたのではと思われます。 もちろんセットでヴィヴラートも使用してもいいでしょう。



勘違い?

 もっとも、特に④弦の「ミ」が出ていなくてもメロディがなんとなく「ソ#ーシミファ」と聞こえているような気になるのは、①弦の「ミ」も一緒に弾くので、1オクターブ違いはあるが、この音がメロディのように感じるからなのかもしれません(これも織り込み済み?)



手前からセーハ

 楽譜では(8)のところから8フレット・セーハとなっていますが、(7)をこの譜面通りに人差し指で押さえる場合は、この(7)からセーハにした方が良いでしょう。

 またここからセーハにすると音が良く出ないという人は(7)を一旦中指で押さえておき、それを移動してセーハ8にする方法もあります。

 また装飾音のスラー奏法を行うとき、一緒に②などを弾いてしまうこともあります。 その場合は右手薬指で②弦を消音しておくといいでしょう(やや難しいが)。



最後を速く弾いてしまう人がいる

 (9)から終わりまでは特に難しいところはありません。 しかしなぜかこの尾張の付近の音符を短くして速く弾いてしまう人が結構います。 なぜなのかその理由はよくわからないのですが、やや簡単だからなのでしょうか、それともプロのギタリストなどでそういった弾き方をしていいる人がいるのでしょうか。

 中間部の終わりですし、遅くなることはあっても、速くなることはあり得ない場所です。実際にタレガはここにリタルダンド記号を入れています(上の譜面では抜けてしまったが)。 やはり落ち着いて終わりましょう。.



他言無用!

 そういえば(4)のところはCDではどうやって録音しているのか? という話をしていませんでしたね。

 やはりこれ話しないといけませんか?  どうしても?  ・・・・ではしょうがない、ホントにここだけの話です、絶対に他言無用!  ここはカポタストを用いて録音しています。 だから私のCDではしっかりと④弦の「ラ」が鳴っています。

 では生演奏の場合は? というと一応譜面通りに弾いています、ただちょっと「ラ」が鳴りきらないだけで・・・・・・・ それ譜面通りって言うの?
令和時代のギター上達法 11


セーハの実践練習 3   アデリータ(タレガ)



音を出すだけでも難しいところも

 セーハの実践練習として、もう一曲、タレガの 「アデリータ」 を例にとりましょう。 このアデリータも中級的な作品といった印象がありますが、短いだけで(16小節)、それほど簡単な曲ではありません。

 音楽的な表現だとか、ギターらしい音色といった点でも難しいですが、単純に音を出すだけでも難しいところもあります。 正直、私自身もちゃんと楽譜通りに音が出せません。

 では私が録音したCDはどうしているのか? 音が出ないまま録音しているのか? ということになりますが、そんなことはありません、ちゃんと譜面通りの録音になっています。 ではどうやって? まあまあ、その辺の話はまた後で。




アデリータ前半
3小節目(1)と7小節目(2)は一見同じように見えるが、よく見ると書き分けている



指を反らせて

 それではまず前半です。前半は比較的易しく、セーハも出にくい箇所はあまりありませんが、強いて言いうなら(1)の7フレットセーハでしょうか。 この④弦の「ラ」が出にくいですね。

 ここは前にも書いた通り、セーハしている人差し指を反らせるように、人差し指の付け根の方を持ち上げるようにすると出ます。 幸いに①②弦はセーハで押さえないので、思い切って人差し指を反らせても大丈夫です。



書き分けている

 全く同じ部分と思われる(2)は、よく見るとその前の低音「シ」が付点2分音符ではなく、2分音符となっていて、(2)のところの低音部には4分休符ついています。 それに従ってセーハも2拍目までとなっています。

 つまり3小節目と7小節目は一見全く同じように見えますが、タレガは指使いを変えているわけですね。 では、なぜ7小節目ではセーハを外すように指示しているのか? おそらく次の小節へとかかっているグリサンドのためと考えられます。 さらにおそらくヴィヴラートもかかりやすくするなどと言うこともあるかも知れません。 タレガの運指はよく考えられていますね。




右手の話だが

 もっとも、この箇所で難しいのは左話はまた方ではなく、右手の方でしょうか。 この(1)(2)の部分の主旋律は②弦の「ソ」ですから、メロディらしい音にならなければなりません。

 メロディらしいということは、音量も下の二つの音よりも大きくなければなりませんが、さらにアポヤンド奏法のようなたっぷりした音にならなければなりません。 右手の話はまた改めて行いますが、そのような音をだすための方法としては、まずこの「ソ」を弾く中指(薬指よりは中指の方が良い)を他の指よりも深く爪に当てます。 

 そして3個の音を同時に弾くよりアルペジオ風にずらして弾くと中指だけ大きく弾くことが出来ます。また柔らかい音を出すためには爪と弦の角度を斜めにします。



アデリータ後半
後半は難所だらけ



和音だけでもなかなか音が出ないのに

 後半は難所だらけです。 まずは(3)ですが、セーハをしながら装飾音を弾かなければなりません。 小指でスラー奏法をすると、どうしても③弦の音が出にくくなりますが、場合によって、それはやむを得ないとしても⑤の「ファ#」は絶対に鳴らさなければなりません。

 方法としては小指には力を入れず(またこのフレーズが出てきましたね!)、軽く叩くだけ、この際にセーハしている人差し指や「レ#」を押さえている薬指、あるいは手首などが動いてはいけません。

 しかし小指で叩いて弾かなければならないので、なかなか音が出ませんね、タレガはこんな場合でもフツーに音が出たのかもしれませんが。



何かを犠牲にしなければならないとしたら

 確かに3つの音を出しながら装飾音もちゃんと出すのはかなり難しいことですが、そのうち何かを犠牲にしなければならないとしたら装飾音でしょうか。装飾音はないと若干寂しくはなりますが、音楽的には問題ありません。

 しかし現実的にこの曲は有名な曲なので装飾音を省くと、結構目立ってしまいますね。”世間体” を気にする人は嫌がるかも知れません。 その場合は③弦の「ミ」を無視するしかないでしょうが、これは和音上では第7音といって、あまり省きたくない音ではあります。 

 しかし低音の「ファ#」は絶対に出さないといけません。これが出ないくらいならやはり装飾音のほうを省いてください(世間体など気にしている場合ではない!)



(4)はもっと難しい

 次の(4)は最も難しいです。 和音だけでも①③④⑥弦と4つの音があり、特にこの中で④弦の「ラ」を出すのは非常に難しいです。 出たとしてもノイズが出たりしてしまいます。 

 さらに装飾音を入れるなどと言ことになれば、相当な技術のある人でないと楽譜通りの音にはならないでしょう。 私自身でもこの箇所はちゃんと弾けませんし、またレッスンなどでも楽譜通りに音が出せる人はほとんどいません。



弦を弾き間違えやすい

 ここもやはり装飾音を省くのは1つの選択肢となりますが、その前に④弦の「ラ」が弾いてもなかなか音が出ないために弾く弦を間違える人がたいへん多いです。 ここは前に書いた通り①③④⑥弦を弾くのですが、②と⑤弦が空いているために結構弾きにくいです。

 かなりの人がここを①②③⑥という風に弾くのですが、④弦の「ラ」の代わりに②弦の「ファ#」を弾くわけです。 確かに「ファ#」は和音の中の音なので聴いた感じではあまり違和感はありません。 正しい音の「ラ」は第7音なのでやや濁った感じになりますが、「ファ#」だとむしろきれいに聞えます。



開き直って

 となれば、開き直って故意に出にくい「ラ」よりも出やすい「ファ#」を弾いてっしまうことも考えられます。 本来であれば「ラ「は第7音で、やはり出なくてはいけない音ですが、耳がよく、音楽的な知識も豊富な人でない限り、普通の人になら間違っていることは気が付かれないでしょう。



自覚したうえでやるのならアリかも

 これも選択肢の一つかもしれませんが、これを実行する場合は、すくなくとも自分自身では譜面と違うことを認識してほしいところです。 楽譜通りに弾いているつもりが、実際は違っているというのは避けましょう(実際はこういう人が多い)。

 仮にバレてしまった時には 「すいません、今日は耳のいい人が聴きに来ているので、緊張して弦を弾き間違えてしました。いつもは第7音の「ラ」をちゃんと弾いているんですけどね」 と言い訳しましょう!

 でも、言い訳が好きでない方は、やはり装飾音の方を省略しましょう、それなら特に言い訳の必要はありません。
ムジカ・ひびきコンサート




5月9日(日) 14:30    つくば市ノバホール 別館小ホール




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 昨日つくば市で行われた「ムジカ・ひびきコンサート」にゲスト出演しました。 「ムジカ・ひびきコンサート」はつくば市にお住いの声楽家で長年県内の音楽教育に携わっていらっしゃいました鶴田昭則先生主宰の音楽団体です。

 私が演奏しましたのは上掲のプログラムのうち、独奏で「アストゥリアス」と「入り江のざわめき」、鶴田先生の伴奏で「影を慕いて」と「湯の町エレジー」です。

 古賀政男氏の曲は子供の頃聴いたりしていましたが(兄が弾いていたので)、実際にステージで弾くのは初めてです。 シンプルなコードながら低音の使い方が独特です。 ギターの普及に大きな役割を果たした曲だけあって、確かにギターによく合いますね。

 鶴田先生は今年77歳だそうですが、大変美しく、伸びあるテノールの声を持っていらっしゃいます。 張った声だけでなく、消え入るような弱音も美しい声で印象的でした。 




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左からピアノの大野さん、ソプラノの保坂さん、鶴田先生、私、ピアノの奥田さん




 コロナの影響で椅子の間隔を拡げて並べてあるので、通常であれば100人前後の会場ですが、昨日は約40人くらいの方々が座っていらっしゃいました。 その聴衆の方々は演奏中など、全くもの音をたてず、完璧な静寂になるので、ちょっと緊張しました。悪くない緊張なのでしょう。
令和時代のギター上達法 10


セーハ 実戦練習 3


月光(ソル)



月光前半
月光 前半



必要な時だけ力を入れる

 今回はソルの練習曲「月光」です、これも必修曲の一つですね。 セーハに関しては特にという訳でもありませんが、出にくいところが若干あります。

 まず冒頭(1)から2フレットセーハとなりますが、最初の小節では人差し指で押さえる音は⑤弦しかないので、あまり力を入れる必要はありません。特に①弦側には力を入れなくてよいでしょう。

 2小節目で①弦を弾きますから、その時は逆に1弦側に力を入れます。 前に話した通り、下の方に引っ張るようにするとよいでしょう。 つまりセーハの記号があったとしても、必要がなければまり力を入れず、必要になった時だけ力を加えればよいということです。



月光1
冒頭部分





1フレットが2で、2フレットが1? 

 (2)の「ミ#」 は1フレットなのに2指で押さえます。 ちょっと変わっていますが、これは次の2フレットセーハをしやすくするためです。

 ポイントとしては中指で1フレットを押さえている間に、人差し指はまっすぐに伸ばしておき、ポジション移動と同時に真上からセーハします。 セーハの場合も単音と同じく真上から押さえるほうが良いです。

 

月光3



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1フレットの「ミ#」を中指で押さえるが、人差し指は次のセーハのためにまっすぐに伸ばしておく。




まずセーハだけ

 また2や3指は最初の2つの音(2フレットの)を弾いてから押さえます。最初から全部の指を押さえるといろいろトラブルが発生したり、滑らかに弾けなかったりします。


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最初から「ラ」、「ファ#」は押さえないで、実際に弾く時にこれらの音を押さえる




いろいろ経験しないとわからない

 仮に、人差し指で「ミ#」を押さえると、ポジション移動と共に曲げてある人差し指を伸ばしてセーハをしなければならず、これはなかなか手こずります。 結果的には音が切れてしまうでしょう。

 1フレットが2指で、2フレットが1指、というようにフレットと指番号が逆になっている訳ですが、こうしたことはいろいろな曲を練習して経験をつまないと分からないですね、私も最初はこの運指の意味が分かりませんでした(間違いだと思っていた)。






月光後半
月光 後半



指を反らせるようにして

(3)のところのセーハ2はそれほど難しくはありませんが、でもうっかりすると③弦の「ラ」が出渋ったり、ノイズが発生したりしてしまいます。 それを防ぐには人差し指の付け根をやや浮かすようにして(①②を弾かないので)、指を反らせて押さえるといいでしょう。

 ま3個目に出てくる④弦の「ファ#」は、最初は押さえないでおき、弾く時にだけ押さえるようにしても③弦の音が出やすくなります。




最初からセーハにしない

 (4)のところはセーハ自体は問題ないのですが、その前で音が切れてしまいがちです。 それを防ぐには棒線で書いた通り、1指と2指を前の小節からグリサンド気味に移動して、最初の⑥弦「ファ#」と③弦「ラ#」を弾きます。

 実際にセーハの音を弾くのは3拍目(8分音符5個目)からですから、セーハをするのはこの最初の音を弾いてからゆっくりと人差し指を倒すようにしてセーハに移行します。 最初からセーハをするとどうしても音が切れ気味になりますから、なるべくこのように弾くとよいでしょう。



月光4



 セーハと言っても常に同じ押さえ方をするわけでなく、状況に応じていろいろ押さえ方を変えるわけです。 そうしたことにより難しいセーハでも対応できるようになるでしょう。




ここはなかなか難しいが

 (5)のセーハは①③⑤の音を弾かなければなりませんが、この時やはり③弦の音が出にくくなります。 指が肉厚で問題なく出る人もいますが、関節の間が凹んでいたり、また握力があまりない人だと出にくいです。



月光5
③弦の「シ」は出にくいところだが、①弦や⑤弦の音が消えてはいけない。



主旋律と低音はしっかり出す

 しかし何といっても最初に弾く①弦の「ソ#」と⑤弦の「ド#」は大事なので、まずこの音をちゃんと出しましょう。 方法は何回か話した通り、腕の重さも使うということですが、肘を手前に引くような感じでもいいでしょう。

 この時もやはり②の「ミ#」は押さないで、セーハのみで最初の音(4フレットの「ソ#」と「ド#」)を弾いた方がいいでしょう。

 ③弦のところに力を入れるのは弾く時になってからにします。この場合、前述のようにあまり人差し指を反らせると①弦の音が消えてしまいますので、あまり極端には出来ません。 場合によっては主旋律を生かすために、あまりこだわらなくてもいいかも知れません。




同じ2フレットセーハでも

 最後の段から(7)のところまで3小節間セーハ3が続きますが、最初の2小節までは④弦までのセーハで、(7)は⑥弦までとなります。 同じ2フレットセーハでも弦が変わると全く違うセーハになるので、ここは一旦④弦までのセーハを外してから、改めて⑥弦までのセーハにしなければなりません。



月光8
                             ここでセーハし直し



 最初から⑥弦まで押さえていては必要な音が出なくなりますし、また④がから⑥弦へズルズルと人差し指は移行できません。 出来たとしても不完全なセーハとなるでしょう。 セーハの場合もやはり ”真上から” 押さえに行かなければなりません。



やはり人差し指を反らせて

 (7)の小節の8分音符5個目の「ミ」(④弦)は若干出にくいです。 この場合は①弦の音はもう聞えなくなってもいいので、指を反らせて音を出しましょう。  ・・・・・全く苦労なしで音が出る人もいるが。



月光6
①弦は消えてもよいが、⑥弦は消さないように


 


原則的には開放弦だが

 最後の小節の和音の上声部の「シ」は基本的には②弦の開放弦でいいと思いますが、 その上に書いた通り、③弦の4フレットになっている譜面も多いと思います。

 原典でには運指が入っていませんが、ソルの場合 ”最も弦長の長い” ポジションを使うのが原則なので、原則jからすれば②弦の開放を使うのが正しいということになります。



しかし弦を間違えやすい人は

 しかし開放弦を使った場合、誤って③弦の「ソ」を弾いてしまったり、また指が③弦に触れて音が出てしまったりすることがあり、そういった傾向のある人は逆に③弦の4フレットを使ったほうがいいかも知れません。 これだと仮に弦を間違えて弾いたとしてもあまり問題になりません。

 ③弦の「ソ」を誤って弾いてしまった場合でも音は下から 「シ、レ、ソ」 となってこれだけ聞くとそれほど不協和音には聞こえないかも知れません、というのも一応 「Gコード」 にはなるからです。




月光7
弦を弾き間違える場合は③弦の4フレットで弾いた方が、③弦の開放(ソ)は絶対に弾いてはいけない。



酔っぱらって他人の家で寝てしまう?

 しかし不協和音でないからと言って、ここでGコードを鳴らしてしまってはいけません、この曲はあくまで 「Bm」 の曲なので「Bm」で終わらなければなりません。 基本的に曲は主和音で終わらないといけない訳で、単なるミスともいえなくなります。

 最後の和音を間違えるということは、酔っぱらって自分の家と間違えて他人の家に上がり込んで寝てしまうようなものです。   ・・・・・場合によっては犯罪?



絶対に間違えられない音がある!

 演奏する以上間違いは常に付き物ですが、この最後の和音を間違えることだけは絶対に出来ません。やはり間違えられない音というものがあるのです!

令和時代のギター上達法 9


セーハ実戦練習 2  ~ラグリマ後半



ラグリマ後半




 ①弦を出すためには

 後半最初の小節の(5)の2フレットセーハが出にくいところですね。 人差し指で①弦、③弦、⑤弦の3つの音を出さないといけないところがポイントです。 

 ①弦、③弦、⑤弦の3つの音を出すということは、人差し指で均等に各弦に圧力を加えな変えればなりません。当然指はまっすぐになってないといけないです。 この場合ある程度の握力は必要ですが、やみくもに力を入れるだけでもなかなか音が揃って出ません。



手が小さい場合は小指で押さえるほうが

 特になんといっても①弦の「ファ#」は主旋律なのではっきり出ないといけないのですが、なかなかこの音が出ません。 私のように手が小さい場合は、②弦の「レ#」を4指で押さえるほうが①弦の音が出やすいです。




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通常ではこうかもしれないが




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私はこのよう4指で押さえている




②弦の「レ#」を強く押さえてはいけない

 小指にしろ、薬指にしろ、この②弦の「レ#」は単独で押さえるので、あまり力は必要ありません。 ここを押さえてる指にあまり力を入れると相対的に人差し指に力が入らなくなってしまい、セーハの音が出にくくなります。 そういった意味では薬指よりは力の入りにくい小指の方がいいかも知れません。




左腕の重力で

 また、弦に力を加える場合、自分の握力を用いて親指と人差し指で ”挟み込む” ように押さえるのではなく、左手を下方向に ”引き下ろす” ように押さえるといいでしょう。 別の表現をすると ”左腕の重さで押さえる” と言った感じです。


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腕の重さで下方向に引っ張るように押さえると①弦が出やすい



 この方法はセーハの場合だけでなくても使えますが、ある程度力が必要なセーハの場合に特に有効です。 また長時間練習する際の疲れを軽減する役割もあります。




⑥弦は押さえない方が良い

 また、この箇所で、人差し指で⑥弦まで押さえる人もいます。確かにこの方が③弦は出やすいいこともありますが、⑤弦のほうは出にくいでしょう。

 中には⑥弦を押さえるだけでなく、実際に弾いてしまう人もいます。これはセーハの問題というより、耳の問題とも言えますが、⑥弦の2フレットは「ファ#」で、コードの中の音(B7)になり、すごく不協和和音になるわけではないので、間違えたまま覚えてしまう人も結構います。 やはりなるべく原則通り (使う弦まで押さえる) セーハは⑤弦までの方がいいようです。




出にくいセーハではないが

 次に(6)のところですが、人差し指は②弦と⑥弦だけでいいので、(5)のところよりは押さえやすいでしょう。 しかし主旋律にあたる②弦の「ファ#」がよく聞こえない人もよくいます。



中指に力が入り過ぎる場合も

 それほど押さえにくいセーハではないので、普通に押さえれば音は出ると思うのですが、よく音が出ない例としては、まず③弦をおさえる中指に異常に力が入ってしまう場合があります。 

 本人としては人差し指に力を入れているつもりなのでしょうが、上手くコントロール出来なくて中指の方に力が入ってしまうのでしょう。 その対策は前に書いた通り、セーハした状態で中指を上下に動かしてみると力の入れ方がわかるかも知れません。



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(6)  中指に力が入り過ぎて、人差し指の付け根が持ち上がり、②弦が出ないこともある。次のスラー奏法にも関係あるようだ。



次のスラー奏法が気になって

 もう一つの理由としては、このセーハの後に弾く④弦の「シ」(9フレット)に気持ちが行ってしまい、結果的に人差し指が浮き気味になってしまうということです。 その後小指のスラー奏法で 「ド」 を出さなければならず、これも気になってセーハが良く出ないということになるのでしょう。



やはり耳の問題

 これもセーハの問題というより、”耳の問題” で、正しいバランスで音が出ているかどうかよく聴いて弾けば問題はありません。 強いて言うなら、先ほど話したとおり、人差し指と親指で挟み込むというより、腕の重さも使って押さえると②弦が出やすいです。



音が消えてしまってはいけない

 また、この(6)は2分音符となっていて、④弦で 「シ―ド―シ」 と弾いている間も音が鳴っていなければなりません。 またこの 「シ―ド―シ」 は主旋律ではなく、いわゆる ”ウラ・メロ” なのである程度抑えて弾く必要もあるでしょう。 



本来は表現の方が

 この「ラグリマ」などは本来であれば、音が出るかどうかというとよりも、その表現が最も大事になるところですが、そうした表現については、また別j項目でやってゆこうと思います。