< CD発売>
シャコンヌ バッハ:パルティータ&組曲 Guitar 中村俊三

シャコンヌ バッハ:パルティータ&組曲 演奏 中村俊三 2000円+税 6月20日発売
歳と共にプログラムが重厚に
リサイタルが終わって一週間経ちました。 50代で行ったリサイタル(シャコンヌ、大序曲、アルベニスなど)、数年前に行った古典派のリサイタル(パガニーニの大ソナタ、レゴンディなど)も結構大変なプログラムでしたが、今回のリサイタルはそれら以上に重厚なものでしたね。
どうも私の場合歳と共にプログラムが重たくなってくる傾向があるようです。 リサイタル直前になると腕や肩などが痛くなって毎回 「もっと楽なプログラムにすればよかった」 と後悔するのですが、全く学習しないようです。
今回のリサイタルの練習も結構きつく、「リサイタルまで指が持つかな」 とか 「リサイタル終わったら指が壊れているんじゃないか」 なんて思いましたが、なんとか指は壊れず済んだようです。
練習し過ぎて血管切れる?
私の場合、意外と指は丈夫なようですが、2年前に練習中に右手の中指が痛くなってきて、なかなか痛みが引かないのでどうしのかなと思ってたら、だんだん中指の付け根付近が黒くなってきました。どうやら中指の付け根付近の血管が切れて内出血したようです。
”練習し過ぎて血管が切れる” なんて冗談みたいな話、本当にあるんですね。 しばらくの間(2~3か月くらい)痛みが引かず、中指でアポヤンド奏法は出来ませんでした。 でも特に練習を休むこともなく、中指はアルアイレ専用と言うことで弾いていました。
中指ではアポヤンド奏法を用いない
今では中指でアポヤンドも出来るのですが、でも中指は他の指より長く、したがって関節などへの負担が大きいので、あまりアポヤンド奏法を使わないようにしています。 その反対に薬指はアポヤンド専用と言った感じで使っています。 薬指はどうしても神経が鈍いのでアルアイレ奏法は苦手みたいですね。 つまり薬指は ”力仕事担当” となっています。
かつては虚弱体質だったが、今は丈夫なだけがとりえ?
こんなように指が痛くなることは時々あるのですが、ギタリストの職業病とも言われる指が意志に反して動いていしまう、あるいは意思に沿って動かなくなるといったことは今までありませんでした。 そういって点では恵まれているのかも知れません。
若い頃は自他ともに認める虚弱体質でしたが、今となってはただ丈夫なだけがとりえになりつつあるのかも知れません。

今回演奏したパルティータなどを収録
さて、今回のリサイタルのメインの曲となっていたシャコンヌを含む「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」などを収録したCD 「シャコンヌ バッハ:パルティータ&組曲」 を6月20日より発売しました。
録音したのは昨年12月から今年の1月にかけですが、これは最終的にCDにおさめたテイクを録音したという期間で、録音作業の方は昨年の9月ころから行っていました。 それだけ何テイクも録り直し(編集も含め)た訳ですね。
リュートのためのプレリュードBWV999
原調での演奏も考えたが
最初の曲は 「リュートのためのプレリュードBWV999」 という短い曲です。 単独で作曲された曲のようで、原曲はハ短調です。
ギターでは普通ニ短調で演奏されますが、ダウン・チューニング(全部の弦を長2度下げる)を行えば通常の譜面でも原曲どおりハ短調で弾けます。
一応試みてみたのですが、でもなんか重たくなりすぎるし、それに次にパルティータニ短調を収録する予定だったので、ニ短調のほうがパルティータへのプレリュード的になるかなと、いうことで通常ギターで演奏されるようにニ短調で録音しました。
特にテンポの指定はなく、人によってさまざまなテンポで演奏されます。 当初やや速めのテンポや、逆に遅めのテンポなどで録音してみたのですが、最終的にはこんなテンポになりました。 ややゆっくり目といったところでしょうか。
パルティータニ短調BWV1004 (原曲無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番)
もちろん編曲は先にしてあって、その譜面をもとに録音したのですが、録音、編集をしながら編曲自体もだんだん変わってゆきました。 装飾音のほうも同様です。
編曲と言ってもほぼ原曲通りで、それに若干低音を追加している程度です。しかし低音と言うのは和声構造に深くかかわるもので、和声的なアナリーゼ(解析)が出来なければ低音を追加できません。低音はバッハの音楽の根幹と言ってもいいでしょう。
また低音の入れ方は一通りではなく、いろいろな可能性があるものだと思います。それらの中から楽器にあった、あるいは自分の技量にあったものを入れているといった感じです。
アルマンド
自然な揺らぎが難しい
アルマンドは中庸、あるいはゆっくり目の舞曲と言うことですが、柔軟性といったものが特徴、たいへん重要な点だと思います。 舞曲とは言ってもしなやかな動きで、一種の”揺らぎ” のようなものが必要なのでしょう。
そうした”揺らぎ”を作るのが難しいところで、自然な流れを作るために何度も取り直しをしました。 特に冒頭の部分は曲のイメージを決めてしまうので、いろいろ悩みました。
CDを改めて聴いてみると、そのように何度も取り直したり、またいろいろ考えながら編集したといったところはよく出ているのですが、その分だけきちんと出来過ぎているような感じもします。 ・・・・・贅沢な注文?
勢いで弾いたものは
もしかしたら生演奏のように勢いで弾いてしまったほうがいいのかも知れませんが、でもそういった勢いで弾いたものは何回も聴いたり、また自分の部屋で落ち着いて聴くのには不向きでしょうね。
やはり勢いで弾いた演奏は、勢いで聴いた方が良い!
クーラント
快速感と躍動感
躍動感のあるクーラントで、なかなかいい曲ですね、「マチネの終わりに」にも使われていました。 録音時には適正なテンポと思ったのですが、その半年後の最近聴きなおしてみると、ちょっと遅めに感じます。 それだけその後の練習でテンポが上がったということでしょうけど。
技術的に極端に難しいといった曲ではありませんが(易しくもないが)、しかし快速感と躍動感が大きな魅力となっている曲だけに、そうしたものを表現できるようにするにはかなりの練習が必要です。
この曲も前曲同様、”勢い” で演奏した方が良いかも知れませんが、CDでじっくり聴くのもいいのではないかと思います。
シャコンヌ バッハ:パルティータ&組曲 Guitar 中村俊三

シャコンヌ バッハ:パルティータ&組曲 演奏 中村俊三 2000円+税 6月20日発売
歳と共にプログラムが重厚に
リサイタルが終わって一週間経ちました。 50代で行ったリサイタル(シャコンヌ、大序曲、アルベニスなど)、数年前に行った古典派のリサイタル(パガニーニの大ソナタ、レゴンディなど)も結構大変なプログラムでしたが、今回のリサイタルはそれら以上に重厚なものでしたね。
どうも私の場合歳と共にプログラムが重たくなってくる傾向があるようです。 リサイタル直前になると腕や肩などが痛くなって毎回 「もっと楽なプログラムにすればよかった」 と後悔するのですが、全く学習しないようです。
今回のリサイタルの練習も結構きつく、「リサイタルまで指が持つかな」 とか 「リサイタル終わったら指が壊れているんじゃないか」 なんて思いましたが、なんとか指は壊れず済んだようです。
練習し過ぎて血管切れる?
私の場合、意外と指は丈夫なようですが、2年前に練習中に右手の中指が痛くなってきて、なかなか痛みが引かないのでどうしのかなと思ってたら、だんだん中指の付け根付近が黒くなってきました。どうやら中指の付け根付近の血管が切れて内出血したようです。
”練習し過ぎて血管が切れる” なんて冗談みたいな話、本当にあるんですね。 しばらくの間(2~3か月くらい)痛みが引かず、中指でアポヤンド奏法は出来ませんでした。 でも特に練習を休むこともなく、中指はアルアイレ専用と言うことで弾いていました。
中指ではアポヤンド奏法を用いない
今では中指でアポヤンドも出来るのですが、でも中指は他の指より長く、したがって関節などへの負担が大きいので、あまりアポヤンド奏法を使わないようにしています。 その反対に薬指はアポヤンド専用と言った感じで使っています。 薬指はどうしても神経が鈍いのでアルアイレ奏法は苦手みたいですね。 つまり薬指は ”力仕事担当” となっています。
かつては虚弱体質だったが、今は丈夫なだけがとりえ?
こんなように指が痛くなることは時々あるのですが、ギタリストの職業病とも言われる指が意志に反して動いていしまう、あるいは意思に沿って動かなくなるといったことは今までありませんでした。 そういって点では恵まれているのかも知れません。
若い頃は自他ともに認める虚弱体質でしたが、今となってはただ丈夫なだけがとりえになりつつあるのかも知れません。

今回演奏したパルティータなどを収録
さて、今回のリサイタルのメインの曲となっていたシャコンヌを含む「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」などを収録したCD 「シャコンヌ バッハ:パルティータ&組曲」 を6月20日より発売しました。
録音したのは昨年12月から今年の1月にかけですが、これは最終的にCDにおさめたテイクを録音したという期間で、録音作業の方は昨年の9月ころから行っていました。 それだけ何テイクも録り直し(編集も含め)た訳ですね。
リュートのためのプレリュードBWV999
原調での演奏も考えたが
最初の曲は 「リュートのためのプレリュードBWV999」 という短い曲です。 単独で作曲された曲のようで、原曲はハ短調です。
ギターでは普通ニ短調で演奏されますが、ダウン・チューニング(全部の弦を長2度下げる)を行えば通常の譜面でも原曲どおりハ短調で弾けます。
一応試みてみたのですが、でもなんか重たくなりすぎるし、それに次にパルティータニ短調を収録する予定だったので、ニ短調のほうがパルティータへのプレリュード的になるかなと、いうことで通常ギターで演奏されるようにニ短調で録音しました。
特にテンポの指定はなく、人によってさまざまなテンポで演奏されます。 当初やや速めのテンポや、逆に遅めのテンポなどで録音してみたのですが、最終的にはこんなテンポになりました。 ややゆっくり目といったところでしょうか。
パルティータニ短調BWV1004 (原曲無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番)
もちろん編曲は先にしてあって、その譜面をもとに録音したのですが、録音、編集をしながら編曲自体もだんだん変わってゆきました。 装飾音のほうも同様です。
編曲と言ってもほぼ原曲通りで、それに若干低音を追加している程度です。しかし低音と言うのは和声構造に深くかかわるもので、和声的なアナリーゼ(解析)が出来なければ低音を追加できません。低音はバッハの音楽の根幹と言ってもいいでしょう。
また低音の入れ方は一通りではなく、いろいろな可能性があるものだと思います。それらの中から楽器にあった、あるいは自分の技量にあったものを入れているといった感じです。
アルマンド
自然な揺らぎが難しい
アルマンドは中庸、あるいはゆっくり目の舞曲と言うことですが、柔軟性といったものが特徴、たいへん重要な点だと思います。 舞曲とは言ってもしなやかな動きで、一種の”揺らぎ” のようなものが必要なのでしょう。
そうした”揺らぎ”を作るのが難しいところで、自然な流れを作るために何度も取り直しをしました。 特に冒頭の部分は曲のイメージを決めてしまうので、いろいろ悩みました。
CDを改めて聴いてみると、そのように何度も取り直したり、またいろいろ考えながら編集したといったところはよく出ているのですが、その分だけきちんと出来過ぎているような感じもします。 ・・・・・贅沢な注文?
勢いで弾いたものは
もしかしたら生演奏のように勢いで弾いてしまったほうがいいのかも知れませんが、でもそういった勢いで弾いたものは何回も聴いたり、また自分の部屋で落ち着いて聴くのには不向きでしょうね。
やはり勢いで弾いた演奏は、勢いで聴いた方が良い!
クーラント
快速感と躍動感
躍動感のあるクーラントで、なかなかいい曲ですね、「マチネの終わりに」にも使われていました。 録音時には適正なテンポと思ったのですが、その半年後の最近聴きなおしてみると、ちょっと遅めに感じます。 それだけその後の練習でテンポが上がったということでしょうけど。
技術的に極端に難しいといった曲ではありませんが(易しくもないが)、しかし快速感と躍動感が大きな魅力となっている曲だけに、そうしたものを表現できるようにするにはかなりの練習が必要です。
この曲も前曲同様、”勢い” で演奏した方が良いかも知れませんが、CDでじっくり聴くのもいいのではないかと思います。
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