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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

令和時代のギター上達法 16





10月23日の水戸ギター・アンサンブル演奏会は中止

 相変わらずコロナは猛威をふるっていますね、結局10月23日に予定していた水戸ギター・アンサンブル演奏会も中止にせざるを得ませんでした。 水戸ギター・アンサンブル演奏会は昨年から2年連続の中止です。 

 ひたちなか市文化会館の使用申し込みのキャンセルもこれで4回目になります。 この2年間で結局実現できたのは6月の私のリサイタルのみとなりました。 今から思えばその頃は比較的感染者の少ない時期でしたね、それでもコロナの関係で来ていただけなかった人は多かったですが、ともかく開催出来たのは喜ぶべきでしょう。

 何度も使用申し込みをキャンセルしてひたちなか市文化会館の方々には本当にご迷惑おかけしました。 その都度こころよく受けていただき、また使用料も全額返還と言うことで、たいへん感謝しています。

 今年についてはすっかりとあきらめ気分となりましたが、なんとか来年には平常に戻るように祈るのみです。 平常に戻った時には気分を一新して、また新たにスタートしたいと思っています。   ・・・・・・またこんな話からになりましたが、本題に戻りましょう。





調弦とピッチの話 4





ギターのチューニングなんだからギター・モードは当然?

 ギターの調弦をする場合、測定モードをギターにする・・・・・  当然ですね。 楽器店などチューナーの使い方を店員さんに聴けば当然 「このボタンを押してG、つまりギターと表示されているところで合わせます」 などと答えるでしょう。

 ネット動画などでチューニングの仕方を見ても 「まず、ギター・モードにします。 次に・・・・・」 と説明しています。 いくつかの動画を見てみましたが、これはどれも同じ内容でした。




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ギター・モード  右下に 「G」 と表示されている




当教室では

 これは当然のようですが、実はギター・モードでチューニングするとやりにくい点や、不便なところがいろいろ出てきます。 結論から言えば、私の教室では、「チューナーを使う場合は、ギター・モードではなく、クロマティック・モードで合わせてください」 と説明しています。




1弦が低くなり過ぎたら 「2弦」 ではなく 「4弦」 ?

 ギター・モードというのは音を出したとき、1弦であれば 「1E」 、2弦なら 「2B」 と表示されます。 これはある程度音が近い場合で、かなりずれている場合はどうかというと、 仮に1弦がかなり低くなってしまった場合は(半音~全音以上)、1弦の音とは認識しないので、別の弦が表示されます。

 その時、「2E」 と表示されれば1弦が2弦になってしまったのだから、低くなってしまったとわかるのですが、 実際に1弦が全音くらい下がると 「4D」 と表示されます。 これは1弦が下がるとだんだん 「レ」 に近づくので 「4D」 と表示される訳です。

 もちろん1弦が多少下がっても4弦の「レ」にまではならないのですが、チューナーは基本的に同じ音であれば音域に関係なく同じ音と認識します。 

 ただし、最近のチューナーは同じ 「E」 でも1弦の6弦は区別出来るようで、1弦は 「1E」 で、 6弦は 「6E」 と表示されます。 でも 「レ」 など、4弦以外に開放弦のない音は、どの音域の「レ」 でも 「4D」 と表示されます。



誤解してしまうケースも

 因みに、逆に1弦を上げ過ぎると 「3G」 と表示されます。 3Gと表示されるくらい1弦を上げると、通常の1弦よりもかなり高くなり、また弦の張力も非常に強くなりますから、たいていの人は上げ過ぎたことに気が付きます。

 しかし中には 「3G」 だから3弦で、かなり低いのかなと誤解してさらに上げてしまう人も稀にいます。 そして1オクターブくらい上げて、最後には弦が切れてしまうことになります。 ここまで上げるのにはペグを回す力も相当必要なはずですが、それでも上げきってしまう人も過去にいました。

 このような場合、弦が切れてくれればいいのですが、弦が切れる前に楽器の方が壊れてしまう可能性もあります、今のところそうした話は聴いたことがありませんが。  ・・・・・・考えただけで恐ろしい!



特に弦の交換の際には大変わかりにくい

 通常の状態では弦が自然に下がるとしても、別の弦が表示されるほどは下がりませんが、弦の交換時には、完全に低い状態から始まるので、このような弦ごとの表示だと、たいへんわかりにくいところです。 そして極端な場合にはこのようなことも起こってしまう訳です。






クロマティック・モード

 クロマティック・モードというのは弾いた音が半音ごとに音名で表示されるモードのことです。 音名と言ってもチューナーは通常英語表記なので、ド、レ、ミ ではなく C D E F G A B と表示されます。

 半音も含めて言えば  C  C# D  E♭  E  F  F#  G  G#  A  B♭  B  となっています。  ちょっとわかりにくいかも知れませんが、ギターを弾く場合には英語式の音名も覚えないといけないでしょう。



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クロマティック・モード  右下に 「C」 と表示されている



なぜ音名が英語?

 ところで、日本では小学校の時から音名はドレミを使うので、日本製のチューナーなら英語式ではなく、ドレミで表示されてもいいんじゃないかと思います。

 特にクラシック・ギターはイタリア、フランス、スペインなどの影響を受けているので、ほとんどのギタリストは音名をドレミで呼びます。 (ただしドイツ系の人はドイツ式、ジャズやロックなどに人は英語式)。

 しかし市場的に見ればやはりクラシック・ギターを弾く人は少数派なのでしょうね、やはりギターと言えばアコースティック・ギターやエレキ・ギターが中心で、そのようなポピュラー音楽では基本的に英語式の音名を使うので、それに従っているわけです。

 


絶対音感の代わりをしてくれる

 クロマティック・モードというのは弾いた音は何の音か教えてくれるたいへん便利なモードです。 絶対音感のある人であれば鳴っている音がなんの音か、また通常の音高よりどれだけ高いか低いかわかります。

 しかし私を含め、普通の人はなかなかそういう訳にはゆきませんね、つまりチューナーが絶対音感の代わりをしてくれる訳です。 これは本当に便利です  ・・・・・・ギターを教えているくらいであれば、本来絶対音感はなくてはいけないのだが。




クロマティック・モードでの合わせ方

 それでは、実際にクロマティック・モードを用いてのチューニングの仕方をやりましょう。 まず1弦を弾いたとき、だいたい合っていれば 「E」 と表示されます。 1弦は 「ミ」 だから英語で 「E」 ですね。 「E」 が表示されていれば、あとは針や矢印などで合うところまでペグを調整すればよい訳です。

 1弦がさらに下がっていれば 「E♭」 と表示されます。 ♭だから低いことがわかりますね、また半音下がっているわけですから、ものすごく下がっている訳でもありません。  さらに下がっていれば 「D」 と表示され、フレットで言えば2フレット分下がっていることになります。 

 また高くなればアルファベットで 「E」 の次の 「F」、 「F#」 などが表示されます。



弦の交換時もわかりやすい

 こうしたことは弦の交換時でもわかりやすいですね、弦を交換した時、1弦がそれらしい音になるのは 「B」 とか 「C」 とか 「D」 あたりでしょうか、弦を非常に緩く張った状態ではオクターブ下の 「E」 が表示されることもありますが、全く普段の音とは違うので、間違えることはないと思います。

 「C」 などが表示されていれば、そこから 「C#」 ⇒ 「D」 ⇒ 「E♭」 ⇒ 「E」 とペグを回してゆけばいいですね、 さらに上げると 「F」、 「F#」、 「G]、 となりますが、前述のとおり「G」 くらいまで上げる音がキンキンして、張りも異常に強くなります。

 因みにナイロン弦は交換時にはすぐに下がってしまうので、「F」 とか 「F#」 くらいまで上げても大丈夫です。 スチール弦の場合はナイロン弦に比べ、引っ張る力に弱いので、あまり上げない方がいいです。 またスチール弦は交換したばかりでもあまり下がりません。 




アルファベット順に考えれば

 仮に英語の音名がピンとこなかったとしても、要するににアルファベット順ですから、仮に2弦であれば 「B」 に合わせるのですが、「A」 が表示されていれば、A ⇒ B ⇒ C なので低いということがわかりますね。 

 また 「C」 と表示されていれば高くなりすぎです。 そう考えると英語表記はドレミよりもわかりやすいかも知れません。

 ただし#や♭などには気をつけてください。 #や♭などはかなり小さく表示されるので、うっかりすると見落としてしまいやすいです。 時々♭が付いているのを見落として半音低く合わせてしまう人もいます。 これはクロマティック・モードであわせる場合の注意点の一つです。
 


各弦の音がわからない? 

 これは言うまでもないことかも知れませんが、ギターの6本の弦が何の音になっているかわからなければこのクロマティック・モードではチューニングできません。 おそらくそれが楽器屋さんやユーチューブでギター・モードを勧める理由はこれなのでしょう。

 しかし今現在ギターをやっている人はもちろん、これからギターを始めようかなと思っている人でもギターの各弦は何の音に合わせか、といったことは知っていていいのではないかと思います。 

 これは楽譜を読むことに関係もあると思いますが、すくなくとも日本国内で義務教育を受けていれば9年間にわたって音楽の授業を受けている訳なので、楽譜が読めない人は基本的に存在しないはず、もちろん現実は残念ながらそうではないようです。

 当ブログの読者諸氏には全く不要のこととは思いますが、一応書いておきましょう、ギターの弦は①弦から   ①=E   ②=B   ③=G   ④=D   ⑤=A   ⑥=E   ・・・・・蛇足?



変調弦の場合は特に威力を発揮する

 クラシック・ギターでは6弦をDにするなどの変調弦が良く使われる話をしましたが、こういった場合にはクロマティック・モードはその便利さを発揮します。 

 6弦を 「E」 の代わりに 「D」 にするだけですから簡単ですね。 あえてギター・モードで6弦を 「D」 にするには、6弦を 「6E」 ではなく 「4D」 にすればよいです。 ・・・・そんなことが理解できる人ならクロマティック・モードのほうが便利なのは間違いない。

 他に ⑤=G、 ①=D  などもあり、 ⑥=C などというのもたまにあります。 6弦=「C」 というのも稀にありますが、その場合はギター・モードでは合わせられません。



ダウン・チューニング機能

 変調弦と言えば、主にアコースティック・ギターなどで用いられる 「ダウン・チューニング」 というのもあります。 これは特定の弦のみ下げるのではなく、ずべての弦を半音、または全音下げる方法です。 ギター用のチューナーにはこのダウン・チューニングの機能があるものが多く、そのボタンを押すとディスプレーに♭などが付きます(1個~3個くらい)。

 個人的にはこの機能も余計なものというか、付いていてほしくないものです。 というのも、特にクリップ式のチューナーのボタンは小さく見にくいいので、よく間違えて他のボタンを押してしまうのです。 気が付かないうちにこのフラット・チューニングのボタンを押してしまい、そのままチューニングして、完全に半音低く合わせてしまうなどと言うこともよく起きます。



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フラット・チューニング  右側中央付近にフラットが二つある(2フレット分低くなる)。 誤ってボタンを押してしまい、いつのまにかこの機能になってしまうことがある。 ただしこのチューナーではギター・モードでなければこの機能は使えないの、ある意味安心



 現実にこの機能を使う人がどれくらいいるのかわかりませんが、初心者の人がフラット・チューニングの曲を弾くのは考えられず、そうした曲を弾くくらいのレヴェルの人であれば、やはりクロマティック・モードのほうが便利でしょう。 もちろんクロマティック・モードであればどんな変則的なチューニングでも対応できます。







 
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令和時代のギター上達法 15



調弦とピッチの話 3




またまた長いトンネルに

 またまた、というかこれまで以上にコロナ感染者が増えてしまいましたね、ワクチン接種も同年代の人は皆済んで、これからはよくなるだけと思っていたところ、8月に入ってから異常な増え方になってしました。

 10月に予定していた演奏会も中止にせざるを得ず、またまた自粛のトンネルに入ってしまいました。 いろいろ考えても仕方のないこと、ギター愛好家の皆さんはこの機会に当ブログを読んでギターに関する基礎知識などを習得しましょう!




チューナーの正しい使い方と便利な使い方



チューナーの使用を勧めない先生もいるが

 今現在ギターのチューニングはチューナーで行うのが主流となっていて、それは他の楽器においても一般的なようです。 しかし全国のギター教室の先生の中には 「チューナーなどで調弦しているようでは正しい音感が身につかない。 ギターの上達を望むなら当然音叉で合わせなければならない」 とチューナーを使用することを勧めない先生もいます。

 確かにそれは一理あります、正統的な考えとも言えるでしょう。 音を ”耳” で合わせないで ”目” で合わせてどうする!



正しく用いれば

 しかし楽器の調律をチューナーで行うのは、ギターに限らず時代の流れと言え、音叉で合わせる人は、より少数派となってゆきそうです。 今現在では楽器店にギターを買いに行くと、「ギターを弾くにはチューナーも必要ですよ」 とクリップ式のチューナーを勧められるでしょう。間違っても音叉を勧める定員さんはいないでしょう。

 世の流れに惑わされず自分の信念を貫く姿は美しいのですが、どんな道具でも要は使い方で、正しく、効果的に用いれば、特に弊害なく、また常に正しいチューニングでギターを弾くことが出来ると思います。






チューナーのボタン



 それではチューナーの使い方の話に進みましょう。 チューナーで調弦するのは音叉を用いるよりもずっと簡単とは言え、ギターを始めたばかりの人だと、最初はなかなか使い方が分からないものです。
 
 まず、チューナーを買って、最初に迷うのはいくつかある 「ボタン類」 です。 最近ではクリップ式のチューナーが主流ですが、クリップ式のチューナーだとボタン類はかなり小さく、書いてある文字も私たちの世代ではルーペでも使わない限り読めません。 また小さすぎてなかなか押しにくいものも多いです。

 それに一つのボタンでも ”長押し” と通常の押し方で機能が違ったりするので、たいへんわかりにくく、間違って押したりしやすいいです。また、今現在かなり多数のチューナーが出回っていますが、それぞれすべてボタン操作が違うので、なかなか厄介です。 一応取説もついていると思いますが、それを読むと余計わからなくなる?


 ではいくつかチューナーのボタンを例に挙げてみましょう。




コルグ社のクリップ式チューナー(新しい方)



左上:キャリブレーション                       
  (ピッチの選択)                   右上:電源

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左下:FNC(ファンクションかな?)         右下:モード
ディスプレーがグルグル回る      (ギター、ベース、クロマティック)




 
 まず前にも紹介したコルグ社の比較的新しいタイプのもです、今現在これを使っている人は多いと思います。 写真がちょっと暗くてわかりにくいですが、ボタンは4つあります。 右上のボタンは電源で、このボタンのみ凹んだ形になっていて、他のボタンと区別が付くようになっています。 通常はこのボタンのみの操作で構いません。



測定モードは3つある

 右下は 「M」 と書いてあり、測定モードで、ギターとベースとクロマティックの3つのモードがあります。 

 左上のボタンは 「CAL」 と書いてあり、ピッチ、つまりA(ラ)の音の周波数を選ぶボタンです。 「CAL」 は英語の「キャリブレーション」のことで、校正とか調整といった意味ですが、英語圏ではピッチの調整にこの言葉が使われるようです。ピッチについて話すと長くなるので、後でまとめて話をしましょう。



かえって煩わしい?

 左下のボタンは 「FCN] と書いてあるのですが、何のことかなと思ったら、これを押すとディスプレーがグルグル回りだします。 左に回っている場合は高くて、右に回っている場合は低いようですが(逆かな?)、そのグルグルが止まれば合ったということになるようです。

 わかりやすいのか、わかりにくいのか、よくわかりませんが、私には煩わしいだけで、ただの針だけでいいように思います。 これはこのチューナーの独自の機能のようですが、私自身では使うことがありません。






コルグ社のすこし前のもの



上段左:電源       上段中:MIC/PIEZO    上段右:ライト   
(長押しで針の方向を逆転)       
チューナー3
下段:キャリブレーション(上下が別)




MIC/PIEZOの切り替えがある

 同じコルグ社のすこし前のタイプです、現在でも使っている人は多いと思います。 ボタンは5つあります。上段左が電源ですが、長押しすると針の動きが逆転します。

 上段中は MIC/PIEZO と書いてあって、音をマイクで拾うか、ギターのボディなどに振動を直接拾うかという選択です。 PIEZO(ピエゾ)は ”圧電” とと言った意味だそうですが、ボディの物理的な振動を電流に変えることのようです。 通常はこのポジションで使いますが、この切り替えのないクリップ式チューナーは、PIEZOポジションのみということです。



そんなピッチに合わせることはないが

 上段右は LIGHT と書いてあって、ディスプレーにライトが点きます。確かに見やすいいですが、結構電池を消耗するので、見るのに問題なければ点けない方がいいでしょう。

 下の二つのボタンはキャリブレーションのボタンですが、このチューナーでは上がりと下がりと別のボタンになっています。 その関係上、一般的なチューナーではピッチの調整は430~450程度、あるいはもっと狭いのですが、このチューナーではかなりの幅があるようです。どこまで上がるか、下がるかなどよくわかりませんが、少なくとも460以上にはなるようです(実際にそういったピッチを用いることはないが)。



クロマティック・モードしかない

 因みに、このチューナーはギター用ですが、測定モードはクロマティックに固定されていて、ギターとかベースとかいったモードはなく、フラット・チューニングの機能もありません。 ギター用としては珍しいですが、私自身はそういった機能は必要ではないと思っているので、クロマティック・モードのみで十分です。


 


Martison のチューナー



左:フラット・チューニングの選択       右:キャリブレーション
チューナー4



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チューナー2
長押しで電源  通常の押し方でモード選択




 前に「よくわからないメーカーの」と書いたものですが、よく見ると 「Martison」 というメーカーの 「NCT-20」 と言うチューナーです。 両側に計3個のボタンがありますが、 上側左のボタンは 「♭」 が付いていて、フラット・チューニングの選択です。 

 上側右は 「A4」 と書いてありますが、ピッチの選択、つまりキャリブレーションです。430~450の範囲で選択できます。 「A4」 というのは多分 「4番目(オクターブ関係の)のラの音」 といった意味かも知れません。



「U」?

 下側のボタンは長押しで電源、通常の押し方(短めの)でモード選択です。 モードは 「C」 「G」 「B」 「V」 「U」 の5種類あります。 「C」 はクロマティック、 「G」 はギター、 「B」 はベース、 「V」 はヴァイオリン。

 最後の 「U」 は何かなと思ったのですが、 1A、 2E、 3C、 4G と表示されるので、どうやらウクレレのようですね。 




電源とボタンが一緒だとよく押し間違える

 電源のボタンとモード切替のボタンが同じというのは押し間違えやすく、いつの間にかモードが変わってしまい、あまりよいものではりませんね、 生徒さんなどでも 「このチューナーなんだか変で、合わせられなくなってしまいました」 と言う場合、たいていこのモードを知らず知らずのうちに切り替えてしまったことが多いです。


 このようにボタンなども夫々のチューナーで異なっています。 今現在多数のチューナーが市場に出ていますが、おそらくそれぞれがみな違うシステムになっていて、チューナーを買い替えるごとに使い方に戸惑うのではないかと思います。 すべて同じとまでは行かなくても、もう少し各社で同じようなシステムにならないかなと思います。
令和時代のギター上達法 14




調弦とピッチの話 2



ギター用チューナーの登場は1970年代末

 私がギター用のチューナーの存在を知ったのは1970年代の末頃だったと思います。学生が使っているのを見て、「こんなものもあるんだ」 と思いました。 確かになかなかうまく調弦が出来ない人も多いので、そういった人には便利な道具かなと思いましたが、自分自身で使うものとは認識しませんでした。




音叉で合わせる方法を教えるよりは簡単

 そのうちだんだん生徒さんでも使う人が出てきて、音叉を用いてのチューニングの仕方を教えるよりはチューナーの使い方を説明した方が比較的簡単で、使い方さえ正しければ誰でも正しくチューニングができるので、私の方でもだんだん生徒さんにチューナーを勧めるようになります。

 確かに音叉を使っての調弦を教えるのは教えるほうも、また習う方も結構ストレスとなります(簡単に覚える人ばかりではないので)。 1980年代の後半になると、レッスンでは音叉よりもチューナーを用いる方が主となり、また自分自身でも音叉ではなくチューナーを用いるようになります。

 おそらく日本のギター界にチューナーが浸透し、音叉で合わせるよりもチューナーを使う方が多くなったのはこの1980年代半ば頃だったでしょう。



当時よく売れていたのは

 その頃よく見かけたのはBOSS社のこんなチューナーでした、かなり長い期間販売されロングセラーと言えます。  私も最初に買ったのもこのチューナーです。



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BOSS社のギター用チューナー 液晶ではなく実ランプで、かなりアナログ的 電池は長方形の9ボルトのものを使用

 


2000年頃にはヤマハのチューナー(管楽器用)

 その後コルグ社のものなどいくつか使いましたが、2000年頃にはヤマハのチューナーを使うようになります。 このチューナーはギター用ではなく、管楽器用だと思いますが、ギター用のチューナーよりも使い勝手がよく、また液晶ではないので (この頃には液晶の方が一般的) 高齢者にも使いやすく、生徒さんにも勧めていました。



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ヤマハのチューナー 管楽器用だが、ギターでも使いやすい。 見やすいが電池の消耗が速く、毎日使っていると頻繁に電池の交換をしないといけない。 20年前に買ったものでも今現在でも使用できる。 古いタイプだがまさに質実剛健?



優れた耐久力

 液晶ではないので見やすいのが特徴ですが、その分電池の消耗が速く、頻繁に交換しないといけません。 価格は6000円くらいで、やや高めですが、耐久性はかなりいいです。

 私のこのチューナーは今現在、現役を退いていますが、電池(2025のボタン電池2個)を入れれば今でも十分に使えます。 実際に今現在も使っている生徒さんもいます。 20年経っても問題なく使えるものなんて、今時あまりありませんね。 相応の数の生徒さんに使ってもらいましたが、特に故障などは聴いたことがありませんでした。




クリップ式は2000年代の半ばころ

 クリップ式のチューナが出だしたのは2000年代の半ばころでしょうか。 最初に見た時、「なにかヘッドについているな、何だろう?」 と思いました。 チューナーかな? とは思いましたが、ヘッドにそれを付けてステージで演奏しているのは若干違和感を持ちました。

 チューナーを付けたまま演奏するのはともかくとして、据え置き型のチューナーを譜面台に置いたりすると落としてしまったり、また譜面が見えなくなったりするので、確かにクリップ式は便利だなと思いました。



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老舗コルグ社の初期のクリップ式チューナー



据え置き型はノイズに弱い

 据え置き型は自宅で一人で練習しているときはあまり問題ありませんが、同じ部屋で誰かギターを弾いていると合わせられません。 空気中の音波を拾うので自分のギター以外の音も拾ってしまう訳ですね。

 ギターの音だけでなく他の生活音などにも反応し、特にモーターの音などのノイズは、あまり大きな音でなくても感度が落ちてしまいます。 室外で車がアイドリングしていると針が不安定な動きをします。。

 ギター合奏の練習でも、この据え置き型のチューナーを用いた場合は、複数の人が同時にチューニングが出来ず、それぞれが別個にチューナーを持っていたとしても、一人ずつ順番に合わせるしかありません。




複数の人が同時にチューニングできる

 その点、このクリップ式は同じ部屋で何人もの人が同時にチューニングしても全く問題なく合わせられます。 クリップ式は空中の音波を拾うのではなく、直接ギターのヘッドの振動を拾うからです。

 いずれにしても複数の人が同時にチューニングすることの多いギター合奏では、クリップ式のチューナーは大変便利で、必携品とも言えます。 今現在ではほとんどのギター合奏のサークルで、このクリップ式のチューナーが用いられていると思います。

 とは言え、さすがにあまり大きなノイズだと、そのノイズをギターの共鳴胴が拾って感度を悪くすることがあるようです。 クリップ式とはいえ、チューニングしている人のそばでガンガンギターを弾くのはやめてお行きましょう。




コルグ社のチューナーを使っていたが

 クリップ式のチューナーとしては、主にコルグ社のものを使いました。 何といってもメーカーが有名だったのと、価格も手頃だったからです。 初期のもの(上の写真)と比較的最近のタイプ(下)と両方使いましたが、どちらも耐久性には問題があるようです。 特にプラスティックの部分は折れやすく、また電源が入らない、入りにくいなどの故障もよく起きます。


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コルグ社の最近のタイプ。 コンパクトで使いやすいが、壊れやすい。



耐久性は問題

 コルグ社のクリップ式チューナーは、自分でもこの二つのタイプそれぞれ2,3回、合計で4~5回は買い替えています。 生徒さんのために取り寄せたものでも、不調で注文し直したことも複数回あります。 コルグ社と言えばやはり老舗なので、もう少し耐久性の良いものを販売してほしいと思います。



あまりメーカー名を頼りにしないで

 他にもこのようなチューナーも買ってみました。 メーカーはあまり聴いたことがなく、価格は1000円とちょっとです。 ダメモトで買ったもので、クリップの部分の拡がり方が小さくヘッドに止めるのがギレギレで、ディスプレー面の向きの調節がややしにくいといyった点もありますが、今のところ問題なく使用できます。



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知らないメーカーのもだが、価格からすれば結構使える



 今現在では、かなりの種類のクリップ式のチューナーが出ていて、選ぶのもなかなか難しいところです。 メーカー名に頼らず、いろいろ買って試してみるしかなさそうですね。  ・・・・・そんなにたくさんチューナーいらない?
令和時代のギター上達法 13




調弦とピッチの話




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市民音楽会でも

 しばらくぶりになりますが、 「令和時代のギター上達法」 の記事を書きます。 以前の予告では 「和音の押さえ方」 の記事と言うことでしたが、若干予定を変えて調弦とか、ピッチなどについての話をしましょう。 これも結構大事な話ですね。

 今現在、ギターの調弦はチューナーで行う。  ・・・・・これが普通ですね、先日水戸芸術館で行われた水戸市民音楽会ではコロナ対策の関係上、どの団体もステージ上でチューニングを行いました。 見ていると管楽器から邦楽関係に至るまでほとんどの楽器でチューナーを用いていました。



チューナーが登場する前は?

 ギターに限らず、いまやほとんどの楽器がチューナーを用いてチューニングを行うのが一般的となっているようです。 きっと 「それ以外の方法なんてあるの?」 と思う方も多いのではと思います。 しかし一般にチューナーが使われるようになったのは私の記憶では1970年代の後半くらいだったのではないかと思います。 

 では、チューナーが使われるようになる前はどうやってギターの弦を合わせた? 私と同年代くらいの愛好者はご存じと思いますが、「音叉」 を用いていました、下がその写真です。




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チューナーが一般に普及する前はギターの調弦はこの音叉を用いて行った







音叉を用いての調弦の仕方




叩いただけでは音は出ない

 この音叉の使い方がおわかりでしょうか? もしかしたら初めて見る人もいるかもしれないので、使い方を一通り説明しておきましょう。 私と同年代の方でしたら 「こんなこと常識」 と思うかもしれませんが。

 この音叉、叩いただけでは音が出ません、箱のようなものが付いていれば音が鳴るのですが、この音叉単体では音が聞こえません。 テーブルなどに ”付け根の丸い部分” を押しあてたり、またはその丸い部分を耳に近づけると音が聴こえます。ギターのチューニングの場合では、ギターの共鳴胴に押し付けて音を出すことが一般的です。



耳鼻科でも

 また丸い部分を頭部に推し付けても聴こえます。 因みに左右の耳が同等の機能であれば音叉を頭の中央に付けた時、音は中央から聞こえてきます。 しかし片方の耳にトラブルがあると偏った方向から音が聴こえます。 また中耳炎などで耳か腫れたりすると音叉の音が大きく聞こえるようになります。 耳鼻科の医院などでは、実際にこうしたことも行われます。



自分の膝で叩く

 さて、この音叉の音でギターの弦を基準の高さに合わせるわけですが、これも慣れないとなかなか難しいです。 まず音叉を叩くのですが、テーブルのような硬い物に叩くとカチンと音は鳴るのですが、乱振動してしまい調律が難しくなります。

 したがって比較的柔らかい物で叩くのですが、かといってクッションのような柔らかいものだと音が全く出ず、適度に硬い物でないといけません。 そうしたものを身近なもので探すと、結局自分の体しかありません。 そこで通常は膝頭(お皿の部分で叩きます。 頭でもいいのですが、ちょっと痛いでしょうか。



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音叉は膝で叩く



5弦の5フレットのハーモニックスの音と合わせる

 そのように音叉を叩いたら、二股になっている部分に触れないように気を付けながら、今度はギターの音を出します。 音叉は通常「ラ」の音になっているので、5弦に合わせるわけですが、開放弦だと2オクターブ違うので聞き取りにくくなります。

 そこで5弦の5フレットのハーモニックスを用います。 4弦の7フレットのハーモニックスでも同じなのですが、5弦のほうが他の弦に合わせる時やりやすいので、5フレットのハーモニックスで合わせる人が多いです。



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5弦の5フレットのハーモニックスを出す。




音叉の音が消えないようにしながらハーモニックスを出さないといけない

 この際、ハーモニックスの音を出している間、音さの振動している部分(二股になっている部分)に触れると音が止まってしまいますので、音さの振動を保ちながら、はっきりとハーモニックスの音を出すのは、結構難しいです。



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音さの音が消えないようにしながら、ハーモニックスを出すのはなかなか難しい




両者の音をちゃんと出すだけでもなかなか難しい

 そして5弦の5フレットのハーモニックスの音が出たら音叉をギターの共鳴胴(表面版や側板)に押し当て、音叉の音も出しますが、習家の失敗があると、どちらかの音が聴こえなくなります。 

 このように音叉とギターの音を同時に鳴らすだけでもそれなりに難しいのですが、それらがちゃんとなっても、今度は自分の耳で合っているか合っていないか聴かなければなりません。




合っているか合っていないか判別するのも難しい

 これもなかなか難しいですね、すぐにわかる人は少数派で、最初のうちはは合っているのか、合っていないのか、どっちが低いのか、高いのか、などわからない人の方が普通です。

 どうにか両者の音を聞き取れた場合、両者の高さがある程度の幅でずれている場合は高い、低いが判別出来るのではと思いますが、両者の高さがほぼ合ってくると、どっちが高いか、低いかはわかりにくくなります。



近い場合は合っているかどうかだけを聴く

 ほぼ近い音になってきた場合は高いか、低いかよりも、 ”合っているか、合っていないか” だけを判別するようにします。 もし両者の高さが正確に合っていれば混じりけの無い澄んだ音に聴こえます。 多少ずれていると濁った感じがします。



”うなり” を利用する

 また両者の音が近くなると ”うなり” というものが聴こえてきます。 「ウォン ウ ォン ウォン ・・・・・」 みたいな感じのやつですね。

 この ”うなり” は両者の振動数がずれている分だけ聞こえてきます。 つまり、442(1秒間の振動数)と440だったら、1秒間に2回この 「ウォン ウォン」 が聴こえてくるという訳ですね。



”うなり” の間隔が長くなって感じることが出来なくなれば合っている

 この”うなり” の間隔が狭く 「ウォンウォンウォンウォン」 というように狭い間隔で聞こえていれば、両者の高さがある程度ずれているということになり、 「 ウォーーーン    ウォーーン    ウォーーン 」 というように間隔が長ければ近いということになります。

 最終的にはこのうなりの間隔がずっと長くなり、わからなくなればよいということになります。 当然その時には両者の響きは澄んだものになります。

 この ”うなり” を聞き取ると、特に音感に優れていなくてもかなり正確にチューニングが行えます。 ピアノを調律する方も実際にそうしているようです。

 さて、このように5弦を正しい音に合わせることが出来たら、その5弦に他の音を合わせる訳でが、ちょっと長くなるので、それについてはまた後にしましょう。




家では一切ペグに触れない?

 以上のこと、なかなか難しいですね、特にギターを始めたばかりでは出来ないのが普通と言えます。 私がギター教室始めた頃は、まず当初は各弦の5フレット(③弦のみ4フレット)と次の開放弦を合わせることからやっていました。 なかなか正確には合わせられなくても、たいていの人はある程度合わせられました。

 もっとも、どうしても合わせられない人もいたので、その場合はレッスンの際に私が調弦し、本人には 「家では糸巻に一切触らない」 なんて言っていました。



音叉で正確に合わせられれば立派に上級者

 このように音叉やハーモニックスを用いてのチューニングの方は、ある程度弾けるようになってから指導していました。 つまりこのような方法で調弦出来るだけでも少なくとも中級者以上と言えました。 もちろん正確に出来るかどうかは別で、正確にチューニング出来れば立派に ”上級者” と言えたでしょう。




ギター合奏の場合は

 ギタ―合奏の場合ですが、学生時代のギター合奏の場合でも、練習や、コンサートなどでは指揮者やパートマスターが他のメンバーの調弦をしてました。 私も学生時代に他のメンバーの調弦をよくやっていたので、それでチューニングを覚えたとも言えます。

 もし合奏の時チューニングが狂っていいればそれは指揮者の責任となるので、緊張感をもってチューニングしていました。 もっとも合奏の場合はすべての楽器を音叉で合わせるのではなく、一つの楽器を音叉で合わせたら、他の楽器はその楽器に合わせるといった方法をとっていました。
 




アンサンブル 002
当時(1970年頃)はすべての楽器を指揮者が合わせた。狂っていれば当然指揮者の責任!  ・・・・・これもセピア色の記憶の一つ?





子供の頃は

 私は小学5年生くらいからギターをちょこちょこ弾いていたのですが、その頃は音叉などを使うなどということは全く知らず (そもそもピッチなるものの存在も知らなかった) 前に言いました通り、5フレットなどでお互いの弦どうしを合わせるだけでした。

 それでも弦を張り替えた時などは相当低くなっていますから、それなりの高さに上げないといけません。 その場合はなんとなくこんな感じかなみたいに適当な音高にしていました。

 その当時でも 「ラ」 の音は440サイクルだという程度のことは知っていましたが、実際に自分の弾いているギターにそれを当てはめることは考えませんでした。 おそらくそれよりは低めの音高にしたと思います。



「A」 ではなく 「C」 の音叉を買ってしまった!

 音叉でギターの調弦をするということを知ったのは大学のギター部に入った時でしたが、まず買った音叉がなんと 「C」!

 「C」 つまり 「ド」 の音ですね。 通常音叉は「A」が多いのですが、「C」の音叉もあるんですね、おそらく声楽などで使うのかも知れません。 何もわからなかった当時の私がたまたまこの「C」の音叉を買ってしまった訳です。



「C」の音叉は使いにくい

 この 「ド」 でギターを合わせるのはなかなかやりにくいいです。 とりあえず1弦の8フレットに合わせるのですが、ハーモニックスと違って押さえておかないと音が消えてしまいます。 言い忘れましたが、なぜ音叉で合わせる時ハーモニックスの音を使うかと言うと、 ハーモニックスであれば左手でペグを回してる間でも音が鳴っているからです。



やはり「A」の音叉は使いやすい ・・・・当たり前だが


 すぐに間違って買ってしまったことは理解したのですが、それでも買ってしまった以上しばらく、1年間くらいはそのやりにくい 「C」 の音叉で調弦していました。 「A」 の音叉に買い替えた時は随分とやりやすいなと感じました。