令和時代のギター上達法 24
和音の押さえ方 2
本当の曲名がわからない曲だが
下は私が教材として使っている曲の最後の部分で、この曲は 「シチリアーナ」、または 「コレンタ」 と呼ばれているものです。 元々は作者も曲名も不明の作品でしたが、レスピーギが弦楽合奏に編曲する際に 「シチリアーナ」 、リューティストのヴァルター・ゲルビッヒの録音では 「コレンタ」 と名付けられています。

16世紀のリュート作品で、「コレンタ」、または「シチリアーナ」と呼ばれる曲の終わり部分。 本当の曲名はわからない。
この譜面は初級用に編曲したもので、全体的には易しいのだが、初級者には最後の和音は難しいかも。
どちらも仮の曲名ですが、曲の内容からすると、そのどちらも合っているとは言えず、本当の曲名がわからないのはちょっと困ったものですね、作曲者がわからない曲というのは結構ありますが。
「エスパニョレッタ」が正しいのかも
当ブログで以前にこの曲のことを書いたら、コメントに 「エスパニョレッタ」 というのが正しい曲名ではないか、と書き込みしていただいた方がいましたが、そう言われてみると確かにガスパル・サンスのいくつかのエスパニョレッタとかなり共通点もあり、信ぴょう性は高そうですね。
映画「マチネの終わりに」にも登場した
因みにこの曲は映画「マチネの終わりに」で、古谷一行さん演じる主人公蒔野聡史の師である祖父江、実際には荘村清志さんが弾いていました。
お好みのキーで
原曲はニ短調(当時は調性がまだあいまいだが)ですが、当時のリュートはギターよりも短3度高く調律するので、譜面上はロ短調。 ギターで弾く場合は2フレット、または3フレットにカポタストを使ってロ短調の譜面を演奏すれば原曲と同じ調になります。 また上記の私の編曲のようにイ短調版であれば4フレット、または5フレットカポタストとなります。 ・・・・・・・ややこしい? 確かに。
まあ、こういった曲は特に原調などにこだわる必要もないと思いますが、何事も ”本物志向” の方のために、念のために。 ただ、かつてテレビCMで流れていたこの曲はニ短調でしたね、この調にすると、テレビCMのあの雰囲気が出ます。
カポタストが2フレットでも、3フレットでもいいというのは、調性と同じく、当時のピッチがあまりはっきりしていないからです(前にも書きましたが)。 ともかく皆さんのお好みのキーでどうぞ。
本題に戻り
また道草を食ってしまいましたね、本題に進みましょう。 上の私の編曲では御覧のとおりイ短調で、 初級用の教材として編曲したもので、かなり易しくなっています。
最後は”ちゃんとした”和音で終わらないといけないので
しかし、最後の和音だけは初級の人のは押さえにくいいものになっています。 その前の和音(ラ、ミ、ラ) と同じように弾いてもメロディ的には変わらず、これなら初心者でも押さえれらますが、しかしこの和音は根音と5度の音しかない和音で、厳密には和音とは言えません。
そこで少なくとも曲の終わりだけは ”ちゃんとした” 和音で終わらないといけないかなと言うことで、若干押さえにくいのですが、このような形にしてあります。 またこの時代は短調の和音で曲が終わることは出来ず、長和音で終わらなければならないので、ドの#が付いている訳です。
確かに当時は短調の和音でゃ終われないのですが、先ほどの「ラ、ミ、ラ」のような根音と5度の音だけの和音、つまり空虚5度の和音であれば短調の和音とはならず、当時の曲でもこのような終わり方はあるので、それでもいいのですが、まあ、この曲は長3和音でおわるのが普通のようですし・・・・・

最終的にはこんな押さえ方。 コードネーム的にはAメジャー
小指の方から押さえに行く話はしたが
この和音は前回話したCやG7と同じく、初心者の場合、多くの人は人差し指の方から押さえに行ってしまい、最後の小指がなかなか押さえられなくて、結果的に音楽の流れから外れてしまうことが多いです。
こうしたケースで、なかなか同時に押さえられない場合は、小指、薬指から押さえてゆくといったことは前回説明しましたね、これも典型的なケースです。 人差し指を先に押さえてしまうと、薬指や小指はさらに自由が利かなくなってしまうこともあり、さらに時間がかかってしまうでしょう。

初心者の場合は小指から押さえてゆく
本来は同時に押さえなければならない
しかし上級者ともなれば、各指をバラバラに押さえるのではなく、当然同時に複数の指を押さえなくてはなりません。 小指から押さえに行った方が良いというのはあくまで初心者の場合など、どうしても同時に押さえらない人についてです。
右手とのタイミングも合わせなければならない
また左指を同時に押さえるだけでなく、右手による弾弦も同時に行う、つまり左右の指のタイミングも合わせなければなりません。 左手で和音を押さえ、しばらく時間がたってから右手で弾いたのでは音に”隙間”が出来てしまいます。 最初の「押弦」のところでもやった通り、和音の場合でも左右のタイミングを合わせなければなりません。
押さえたのを確かめてから弾いたのでは遅い!
しかし多くの人は左手で和音を押さえたのを”確認”してから和音を弾く習慣が付いてしまっています。 押さえたのを確認してから弾いたのでは当然右手が遅れてしまいます。 左右を合わせるということは、まだ左手が弦を押さえていないうちに、右手は弾く動作に入らなければなりません。
まだ押さえていないうちに弾く動作に入る
よく考えると当然のことですが、弾く動作に入ってから本当に弦を弾くまでには一定時間必要です、それを見越して動作に入らないと右手が遅れてしまう訳です。 野球のバッティングなどと同じ要領で、バッターはボールが打てる位置に来る時間とコースを予測してバットを振り始めるわけですね、ホームベースに来たのを確かめてからバットを振ったのでは当たる訳はない!
しかし左手がまだ和音を押さえてないうちに、つまりまだ空中にある状態で右手で弦を弾く動作に入るということはなかなか難しいことです、心理的なこともあるのでしょうね。 まだ押さえていないのに弾き始めて本当に大丈夫かな、なんて気になって。
弦を弾いたのはいいのだけれど、まだ全然押さえていなかった、なんてことにならないかなって。 でもこれがあまりないんですね、左手が遅れるということは滅多にありません。
空中で形を作る
左手の話に戻りますが、和音を押さえる前に左手はその和音の形になっていないといけません。 完全にその和音の形を空中で作っておいてから、ゆっくりと指盤の方に下ろしてゆくわけです。これも単音の時と同じ要領ですね。

しかし、上級者であれば、空中で和音の形を作り、すべてに指を同時に押さえ、また右手の弾弦ともタイミングを合わせる
つまり準備は速く、動作は遅くと言うことですが、たいていの人の場合、全く逆に準備が遅く、その分慌てて動作に入り、よく音が出なかったり、また間が空いてしまったりします。
和音の押さえ方 2
本当の曲名がわからない曲だが
下は私が教材として使っている曲の最後の部分で、この曲は 「シチリアーナ」、または 「コレンタ」 と呼ばれているものです。 元々は作者も曲名も不明の作品でしたが、レスピーギが弦楽合奏に編曲する際に 「シチリアーナ」 、リューティストのヴァルター・ゲルビッヒの録音では 「コレンタ」 と名付けられています。

16世紀のリュート作品で、「コレンタ」、または「シチリアーナ」と呼ばれる曲の終わり部分。 本当の曲名はわからない。
この譜面は初級用に編曲したもので、全体的には易しいのだが、初級者には最後の和音は難しいかも。
どちらも仮の曲名ですが、曲の内容からすると、そのどちらも合っているとは言えず、本当の曲名がわからないのはちょっと困ったものですね、作曲者がわからない曲というのは結構ありますが。
「エスパニョレッタ」が正しいのかも
当ブログで以前にこの曲のことを書いたら、コメントに 「エスパニョレッタ」 というのが正しい曲名ではないか、と書き込みしていただいた方がいましたが、そう言われてみると確かにガスパル・サンスのいくつかのエスパニョレッタとかなり共通点もあり、信ぴょう性は高そうですね。
映画「マチネの終わりに」にも登場した
因みにこの曲は映画「マチネの終わりに」で、古谷一行さん演じる主人公蒔野聡史の師である祖父江、実際には荘村清志さんが弾いていました。
お好みのキーで
原曲はニ短調(当時は調性がまだあいまいだが)ですが、当時のリュートはギターよりも短3度高く調律するので、譜面上はロ短調。 ギターで弾く場合は2フレット、または3フレットにカポタストを使ってロ短調の譜面を演奏すれば原曲と同じ調になります。 また上記の私の編曲のようにイ短調版であれば4フレット、または5フレットカポタストとなります。 ・・・・・・・ややこしい? 確かに。
まあ、こういった曲は特に原調などにこだわる必要もないと思いますが、何事も ”本物志向” の方のために、念のために。 ただ、かつてテレビCMで流れていたこの曲はニ短調でしたね、この調にすると、テレビCMのあの雰囲気が出ます。
カポタストが2フレットでも、3フレットでもいいというのは、調性と同じく、当時のピッチがあまりはっきりしていないからです(前にも書きましたが)。 ともかく皆さんのお好みのキーでどうぞ。
本題に戻り
また道草を食ってしまいましたね、本題に進みましょう。 上の私の編曲では御覧のとおりイ短調で、 初級用の教材として編曲したもので、かなり易しくなっています。
最後は”ちゃんとした”和音で終わらないといけないので
しかし、最後の和音だけは初級の人のは押さえにくいいものになっています。 その前の和音(ラ、ミ、ラ) と同じように弾いてもメロディ的には変わらず、これなら初心者でも押さえれらますが、しかしこの和音は根音と5度の音しかない和音で、厳密には和音とは言えません。
そこで少なくとも曲の終わりだけは ”ちゃんとした” 和音で終わらないといけないかなと言うことで、若干押さえにくいのですが、このような形にしてあります。 またこの時代は短調の和音で曲が終わることは出来ず、長和音で終わらなければならないので、ドの#が付いている訳です。
確かに当時は短調の和音でゃ終われないのですが、先ほどの「ラ、ミ、ラ」のような根音と5度の音だけの和音、つまり空虚5度の和音であれば短調の和音とはならず、当時の曲でもこのような終わり方はあるので、それでもいいのですが、まあ、この曲は長3和音でおわるのが普通のようですし・・・・・

最終的にはこんな押さえ方。 コードネーム的にはAメジャー
小指の方から押さえに行く話はしたが
この和音は前回話したCやG7と同じく、初心者の場合、多くの人は人差し指の方から押さえに行ってしまい、最後の小指がなかなか押さえられなくて、結果的に音楽の流れから外れてしまうことが多いです。
こうしたケースで、なかなか同時に押さえられない場合は、小指、薬指から押さえてゆくといったことは前回説明しましたね、これも典型的なケースです。 人差し指を先に押さえてしまうと、薬指や小指はさらに自由が利かなくなってしまうこともあり、さらに時間がかかってしまうでしょう。

初心者の場合は小指から押さえてゆく
本来は同時に押さえなければならない
しかし上級者ともなれば、各指をバラバラに押さえるのではなく、当然同時に複数の指を押さえなくてはなりません。 小指から押さえに行った方が良いというのはあくまで初心者の場合など、どうしても同時に押さえらない人についてです。
右手とのタイミングも合わせなければならない
また左指を同時に押さえるだけでなく、右手による弾弦も同時に行う、つまり左右の指のタイミングも合わせなければなりません。 左手で和音を押さえ、しばらく時間がたってから右手で弾いたのでは音に”隙間”が出来てしまいます。 最初の「押弦」のところでもやった通り、和音の場合でも左右のタイミングを合わせなければなりません。
押さえたのを確かめてから弾いたのでは遅い!
しかし多くの人は左手で和音を押さえたのを”確認”してから和音を弾く習慣が付いてしまっています。 押さえたのを確認してから弾いたのでは当然右手が遅れてしまいます。 左右を合わせるということは、まだ左手が弦を押さえていないうちに、右手は弾く動作に入らなければなりません。
まだ押さえていないうちに弾く動作に入る
よく考えると当然のことですが、弾く動作に入ってから本当に弦を弾くまでには一定時間必要です、それを見越して動作に入らないと右手が遅れてしまう訳です。 野球のバッティングなどと同じ要領で、バッターはボールが打てる位置に来る時間とコースを予測してバットを振り始めるわけですね、ホームベースに来たのを確かめてからバットを振ったのでは当たる訳はない!
しかし左手がまだ和音を押さえてないうちに、つまりまだ空中にある状態で右手で弦を弾く動作に入るということはなかなか難しいことです、心理的なこともあるのでしょうね。 まだ押さえていないのに弾き始めて本当に大丈夫かな、なんて気になって。
弦を弾いたのはいいのだけれど、まだ全然押さえていなかった、なんてことにならないかなって。 でもこれがあまりないんですね、左手が遅れるということは滅多にありません。
空中で形を作る
左手の話に戻りますが、和音を押さえる前に左手はその和音の形になっていないといけません。 完全にその和音の形を空中で作っておいてから、ゆっくりと指盤の方に下ろしてゆくわけです。これも単音の時と同じ要領ですね。

しかし、上級者であれば、空中で和音の形を作り、すべてに指を同時に押さえ、また右手の弾弦ともタイミングを合わせる
つまり準備は速く、動作は遅くと言うことですが、たいていの人の場合、全く逆に準備が遅く、その分慌てて動作に入り、よく音が出なかったり、また間が空いてしまったりします。
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