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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

令和時代のギター上達法 27



和音の押え方 6



「魔笛の主題による変奏曲」

魔笛コーダ



 押さえにくい和音と言うことではこんなのもありますね、ソルの「魔笛の主題による変奏曲」のコーダです。 赤い矢印のところですが、ちょっと譜面が小さくなってしまいましたね、拡大しておきましょう。




魔笛コーダ和音1



人差し指の中指の間が1フレット空く

 1弦のほうからから人差し指、中指、薬指、小指と順に押さえる和音で、形としてはわかりやすいですね。 でも問題は人差し指の中指の間が1フレット分拡がるというこです。 押さえた形はこんな風になります。




 魔笛コーダ
一見難しそうだが、わりと音が出しやすい。 私の指は決して長くない! いや、結構短い方。



切り気味でもいいので

 押さえ方の要領はこれまでどおりですが、これらの和音は多少スタッカート気味でもよいので、それほどたいへんというわけでもないと思います。 確かに若干指を拡げないといけませんが、私の短い指でも問題なく押さえられるので、ほとんどの人は押さえられのではと思います。




こんな運指に変える人もいるが

 でもこの和音は押さえにくいからと、このような運指で弾く人もいます。




魔笛コーダ和音2




写真だとこのようになります。


魔笛コーダ2
見た目はだいぶ簡単そうだが




和音のバランスが狂う

 指導者の中にもこのような押さえ方を勧める方もいるようなのですが、このような押さえ方だと最高音の「ラ#」が2弦となってしまい、2弦だと柔い音にはなりますが、同時にややはっきりしない音にもなってします。

 特にこの和音は緊張感の高い和音で、なお且つ 「ラ#」 ははっきり発音したい音なので、やはり1弦で弾きたい音です。 また逆に内声となっている 「ミ」 はちょっと飛び出したとような音になってしまいます。 実際にこの形で押さえて音を出してみるとよくわかると思います。

 ソルの音楽では和声進行というのは大変大事なものですが、こように本来1弦で弾くべき音を2弦にすると、和声の流れなどが不明瞭になってしまうこともあり、おそらくソル自身は好まない方法なのではと思います。 



大多数の人は押さえられると思うので

 確かに手が小さくて、どうしてもこの和音が押さえられないということであれば、やむを得ない方法かも知れませんが、男女を含め、私より手の小さい人はそれほどいないと思います。

 大多数のの人は正しい左手のフォームで押さえればちゃんと音が出ると思いますので、やはり「ラ#」を1弦にする方法で弾いてほしいと思います。



ソルの曲には押さえられない和音が多い
 
 余談ですが、確かにソルの曲には手が大きくないと押さえられない和音がよく出てきますね、ソルはどれくらいの身長だったのかわかりませんが、その作品からすると手が大きかったようですね、

 手が大きくないと弾けない部分はいろいろな曲で出てきますが、その中で私が ”弾けそうで弾けない” のが 「ソナタ作品22」 の終楽章  「ロンド」 でしょうか。




CIMG2981.jpg
ソルの「ロンド」のト長調になったところ。 届いていそうだが、音がよく出ない。 ソルの曲では手が大きくないと押さえられないところがたくさん出てくる。




もうちょっとで届くのだが

 もう少しで弾けそうなのですが、何度やっても1弦の 「ソ」 とか2弦の 「レ」 とかが出ません。 本当に残念ながら指の長さがちょっと足りません! 

 この部分は音を変えたりも出来なところなので、やはり弾くのを断念するしかありません。確かにこうした部分が一か所でもあれば 、その曲全体が弾けなくなりますね。




運指を工夫するようになったり、編曲をするようになったもの

 もっとも、今現在弾いている曲の中にもこうした 「絶対に押さえられない」 部分は結構あります。 でもそうした部分は和音の配置を変更したり、一部の音を省略したりと、何とか ”ゴマカシ” きれた部分です。 でもこの「ロンド」はどうにも ”ゴマカシ” きれないので、結局弾かないことにしたわけです。 

 確かにソルの曲を弾くと、手の大きさのハンディを実感させられます。 しかし私が運指を工夫するようになったり、編曲しかたを学んだりしたのも、この手の小ささに関係があります。 人間、困った時にこそ進歩するものなのでしょう。




バリオスの手が大きかったのは有名だが


 他のギタリストでは、バリオの手が大きかったのは有名ですね、「郷愁のショーロ」 など私には弾けません(オリジナル通りには)。



コスト、ジュリアーニ、タレガは平均的かな?

 ソルの弟子とも言われるコストの曲はソルよりも複雑なものが多いですが、意外と押さえられない部分は少ないです。 本人も自分自身のことを 「体力がない」 と言っているので、あまり大柄な人ではなかったのでしょう。

 ジュリアーニはやたらと速い曲が多いですが、押さえにくい和音とか、手が大きくないと弾けない部分はあまりないようです。ただし「斜めのセーハ」 なんて出てきますが。

 タレガは写真で見る限りまさに ”中肉中背” と言った感じで、おそらく当時のスペイン人の平均的な身長だったのでしょう。 多分170センチ前後くらいではと思います。



手は大きくないがセーハやスラー奏法が卓越していた

 実際に作品の方でも相当てが大きくないと押さえられないといったものは出てきませんが、タレガの作品の難しいところはセーハやスラー奏法、グリサンド奏法といったものでしょう。 おそらくタレガはどの指でも均等にスラー奏法が出来たのでしょうね。また普通では出せないグリサンドなども出せたのではないかと思います。
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令和時代のギター上達法 26




最年少4冠誕生

 将棋界では天才棋士藤井聡太3冠が竜王戦に勝って4冠となったそうですね。 私はこれまで将棋のことにはあまり興味もなかった方なのですが、この2~3か月くらい頻繁にアメバ動画などで藤井4冠 (今や藤井4冠、または竜王と呼ぶそうで、間違っても藤井聡太君などと呼んではいけない!)の対局を見るようになってしまいました。

 藤井4冠のすごさはいろいろなところで言っているので、私などが言うまでもないことなのですが、ともかく凄い! 途中まではどっちが勝っているのかわからない感じなのですが、いつの間にか対戦相手が投了している!

 藤井4冠は考えるのが好きで、ただ考えているだけで楽しいらしい、またどんなに考えても疲れないようです。 その考える量と質にはすさまじいものがあるようです。 もちろん他の棋士だって私たちには想像つかないくらいたくさん考えるのでしょうけど、さらのその上を言っているんでしょう。

 藤井4冠は足も速いそうですが、物理や数学の方に進んでもきっとその能力を発揮しているでしょうね。 また、ギターをやっても間違いなく天才ギタリストになったのでしょう、ちょっとモッタイナイ?



 ここで謎かけを一つ。  藤井聡太とかけて、和牛ステーキと解く。   その心は  どちらも  「角切りが上手いです」 



 お後がよろしいようで・・・・・・・・






和音の押え方 4


エストレリータ
ポンセ作曲 マヌエル・ロペス・ラモス編曲(多分) エストレリータの前半部分



エストレリータ ~メキシコの作曲家、マヌエル・ポンセの著名な曲

 上の譜面はメキシコの作曲家、マヌエル・ポンセ作曲のエストレリータです。 曲名の意味は「小さな星」ということですが、もともとは歌曲で、歌詞もポンセ自身のもののようです。 ヴァイオリンの名曲としても知られ、多くのヴァイオリニストにより演奏されています。

 もともと歌曲だったという割には歌で聴くことが少ないですが、この曲は音域が広く普通の人では難しいのだそうです。 動画を検索したりすると、圧倒的にギターの演奏が多く、ギター曲としても定着しています。




ホセ・トーマス・ゴンザレス編とされていたが

 ギターへのアレンジでは、上記の譜面が知られています。 ギター独奏で演奏する場合はほとんどこの編曲と言えるでしょう。

 この譜面はかつて現代ギター誌の付録の譜面では、スペインのギタリスト、ホセ・トーマス・ゴンザレス編とされていましたが、実際はマヌエル・ロペス・ラモスというギタリストの編曲らしいです(藤井敬吾氏によれば)。

 マヌエル・ロペス・ラモス(Manuel Lopes Ramos 1929年~2006年)はアルゼンチンで生まれ、後にメキシコで活動したギタリストで、 「スケルツィーノ・メヒカーナ(原曲はピアノ)」 の編曲者でもあり、その他ポンセのギター曲の出版にも関予していているので、その情報は確かなように思います。





押さえるだけでも難しい

 さて、問題の個所は赤の矢印のところです。 この和音自体押さえるのが難しいですね、指を拡げないと押さえられません。 幸いに和音にアルペジオ記号が付き、低音から人差し指、中指、薬指で、最後に小指を押さえればいいので、その点では多少は押さえやすい点もあります。



エストレリータ
赤の矢印の和音




冒頭では気持ちよくグリサンドかけられるが

 しかし問題はその前の音との関係です。 この曲の歌としての難しさはこうした音程の飛躍にあるのだと思いますが、それがまたこの曲の大きな魅力でもあります。

 冒頭にもここと同じようなものがありますが、そこでは5フレットを押さえた小指がそのまま1弦上を滑らして12フレットの「ミ」を押さえればいいので(6弦の「レ」が付いているが)、誰しも気持ちよくグリサンドやヴィヴラートなどかけながら弾けると思います。



一旦停止して和音を押さえたのでは

 ところがこの矢印の個所はたいへん押さえにくく、ここで一旦停止してしまいがちです。 もちろんそれでは美しいメロディが台無しですね! それでは、どうすればメロディを美しく歌わせながら和音をちゃんと入れることが出来るのか?  これが今回のお話です。

 

 まずは先ほども言いましたが、アルペジオ記号が付いているので、左手の方も同時ではなく低音弦のほうから、つまり人差し指の方から押さえに行きます。 これだけでも途切れ感は少なくなりますが、それだけではやはりメロディは繋がらず、また冒頭と同じような感じにはなりません。


 そこで、直前の音を押さえてる小指をグリサンドさせながら、さらに低音弦から弾いてゆくわけです。 こういったことはやはり動画で説明しなければならないところですが、相変わらず静止画像しか載せられないので、わかりにくいとは思いますが、ご容赦ください。



グリサンド中
グリサンド中


グリサンドしながら和音の形を作る

 上の写真は小指で1弦の5フレット(ラ)から14フレット(ファ#)に向かってグリサンド中の写真です。 この時他の3本の指は弦に触れていませんが(空中にある)、見てわかる通り、次の和音の形になっています。 つまりグリサンドしながら和音の形を作ります。

 

直前
小指がまだ14フレットに着く前から弾き始める



小指が14フレットに着く前から和音を弾き始める

 上の写真は小指が14フレットとなる直前のところです。 小指が目的の14フレットに着く前、だいたい11~12フレットのあたりから5弦のファ#(9フレット)を弾き始めめ、さらに4弦、2弦と弾いてい行きます。もちろん押さえるタイミングと弾くタイミングは合わせなければなりません。 そして最後に1弦を弾くわけですが、この時ちょうど小指が14フレットに到着すればよい訳です。

 大事なのは和音を人差し指から順に押さえて弾いている間でも。こゆびはずっとグリサンドを続けます。 逆に言えばグリサンドしながら和音を押さえて弾いてゆくということでしょうか。 もちろんこの間にこ指が1弦から離れてはいけません。




あなたもプロ級!

 やや高度な技術かも知れませんが、ゆっくりと根気よくやれば出来ることかなと思います。 上手く行けば冒頭の(ミ)の部分と同じような感じに弾けるのではと思います。 

 こうしたことが出来れば皆さんも立派に上級者! いや、プロ級! 頑張ってやってみて下さい、こうした方法は他の曲でも有効だと思います。

 因みに、私がこのような方法を取るようになったのは、誰かに習ったからではありません。自分で弾いていてどうしてもうまく弾けないので、あれやこれやと試行錯誤した結果です。 やはり困ったり、悩んだりすることが上達の第1歩なのでしょうか。
令和時代のギター上達法 25


和音の押え方 3




和音の押え方白鳥の歩み

 マルサグリア作曲 「白鳥の歩み」 の終わりの部分。 前回の記事の和音よりも押さえにくい




D
のコードだが、この和音も押さえにくい


 和音の押え方で、初、中級者には押さえにくいものとして、こんなのもありますね。 Dメジャー・コードで、低音と高音(バスとソプラノ)が根音、つまりDの音で、たいへん安定した響きになっています。 独奏曲などでは よく曲の終わりなどに出てくる形ですが、弾き語りなどコード・ストロークではあまり使われない形です。 確かに押さえにくいですね、特に配置にこだわらなければ、あえてこのような形で押さえる必要はないでしょう。



歌曲からの編曲らしい

 上の譜面はマルサグリアの 「白鳥の歩み」 で、私の教室では中級者用の教材として用いています。 この曲の由来に関しては現代ギター誌に紹介が載っていました。 その記憶によりますと(これまでの現代ギター誌を処分してい待ったので)、19世紀の歌曲からの編曲のようです。マルサグリアと言う人は原曲の作曲者のようで、ギターへの編曲者はわかりません(書いてあったかもしれませんが)。



19世紀の曲と思われるが、独特の響きも

 美しいメロディの曲で、好きな方も多いと思いますが、逆にあまり好みでないという人もいるようです。その一つの原因と考えられるのがシンプルなようで、時折聴こえてくるメジャーセヴンやシックスス・コードの響きかも知れません。 特にメロディの頂点で聴こえてくるメージャーセヴンには独特の響きがあり、そのあたりが好みに分かれるところなんでしょうね。

 メジャーセヴンといえばポピュラー系の音楽ではお馴染みのコードなのですが、しかし感覚的にはそうしたものとは全然違う感じで、ボサノバなどポピュラー系で使われる場合は軽くサラっとした感じなのですが、この曲の場合はもっと ”ねっとり” しています。



どうしても押さえられない場合は

 また道草になってしまいそうなので、本題に戻りましょう。 この和音は前回の2フレットセーハのAメジャーのコードよりも押さえにくいですね。 場合によっては静止状態でも音が出ないという人もいるので、その場合は③弦の「ラ」を外して弾いてもらったりします。 第5音にあたる「ラ」はなくても和音自体の響きはあまり変わりません。強いて言えば省くとやや ”さっぱり” する感じでしょうか



方法としては前回通り小指、薬指から押さえに行く

 押さえ方としては前回と全く同じで、初、中級者であれば小指、薬指から押さえに行きます。 無意識に押さえると人差し指、中指が先に動いてしまい、結果的に全部の音を押さえるまでに時間がかかってしまいます。



上級者なら左右のタイミングを合わせる

 また上級者であれば前回と同じく空中で和音の形を作り、押さえるタイミングと右手の弾弦のタイミングを合わせます。 ”押さえてから弾く” のではなく、左右のタイミングを合わせたいところです。



ソルの「月光」にも出てくる

 この和音はソルの月光にも出てきますね。 ソルはカルリとは違い、初心者用の練習曲を作るのが苦手だったようで、よく出版社や購買者から苦情が出ていたようです。 ついつい、初心者用の曲でもあまり簡略化せずちゃんと曲を書いてしまうんですね。

 その点カルリは凄いです、消費者ニーズにしっかりと答えて曲を作っています。数ある練習曲のなかでもカルリのものは最も弾きやすいでしょう。

 もっとも、カルリは簡単な練習曲だけ作っていたわけではなく、レヴェルの高い曲もちゃんと書いています。いくつかの協奏曲など、その例でしょう。 その中の一つ、ホ短調の協奏曲を来年水戸GEでやろうかなと思っています、なかなか良い曲です。

 ようするにカルリはソルと違い ”空気が読めた” のでしょうね。  いずれにしてももこの時代(19世紀初頭)はこうした曲材の需要が非常に高かったようです、確かにこれ以前の時代には初心者用の練習曲なんてありませんでしたから。




ソルも、一応は初心者に気遣いした

 そんな ”空気の読めない” ソルですが、それでも一応初心者には気を使っていたようです。その表れが「月光」のこの部分です。



和音の押え方月光1



よく見とちょっと変

 暗譜で弾ける人でも、あるいは暗譜で弾いているからこそ気が付ないかも知れませんが、この矢印のところちょっと変でしょう? 音形が前後の小節と違っている。

 こうしたところに注目してみるのも、作曲家の考えとか、性格を理解する上でたいへん重要なのではとも思いますが、何事も 「なんで?」 と突っ込んでみるのは必要かなと思います。



なぜか低音が半拍ずれている

 この小節、トータルでは先ほどの「白鳥の歩み」の最後の和音と同じものですが、低音の「レ」が1拍目ではなく、1拍目ウラとなっています。 前後の小節を見れば低音は当然小節の最初、つまり1拍目表に出てきます。 またアルぺジオの形も前後と微妙に違っています。

 なぜここだけ低音を半拍ずらしたのか? でも弾いてみればその意味はすぐわかりますね、もし仮に低音を1拍目表にすると2弦のレを中指、5弦のレを小指で同時に押さえなければならない。 初心者にはそれが難しいことをソルもよく知っていたのでしょうね。




和音の押え方月光2
本来はこのようになるべきだったのでは。 しかしこのようにすると初、中級者では上手くおされられなくて、ちゃんと音が出なかったり、流れが止まってしまったりするので、ソルはこの形にはしなかったのではないか(もちろん私個人の推測だが)。




 それで上限のレを半拍ずらして1個ずつ押さえられる形にしたわけです。 しかし何も低音をずらしたり、音形を変えたりしなくても下のような運指にすれば済むわけです。 




和音の押え方月光3
こんな形でもよかったのではと思うが、これでは低音の「レ」が1小節間伸びなくなる



これでは低音が伸びなくなる

 この方がずっと弾きやすく、ずっと初心者に ”優しい” 配慮となるでしょう。 しかしこうしなかった理由もわかりますね、  ・・・・・そうです、このような運指だと低音の「レ」が1小節間伸びなくなるからです。 

 つまりソルは初心者のことを考え、なるべく簡単にしようとしたのだが、それでも和声法的には妥協しなかった。 音形を変えて聴いた感じ若干の違和感を感じたとしても和声法へのこだわりを捨てなかったということでしょうか。 こんなところにもソルと言う人の考えや、性格が感じ取れますね。




フレスコバルディの「アリアと変奏」

 この和音で思いだしたものとして、こんなのもあります。下はカール・シャイト編曲、フレスコバルディ作曲の 「アリアと変奏」 の第3パルテの後半です。



アリアと変奏
カール・シャイト編のフレスコバルディ:アリアと変奏の第3パルテの後半



一般的にはセゴヴィア編が有名だが

 フレスコバルディの 「アリアと変奏」 は通常セゴヴィア編で知られていますが、これはセゴヴィア編でなく、カール・シャイト編で、セゴヴィア編よりは原曲に近い物と思われます (原曲を聴いたり、編面を見たりしていないので正確なところはわかりませんが)。

 このセゴヴィア編とシャイト編のちがいを話していると、道草どころか、迷子になってしまいそうなので後日にしますが、矢印のところにこの和音が出てきます。



瞬時に押さえなければならない

 この第3パルテは 「ガリアルダ」 となっていて、軽快なテンポで弾かなければなりません。 押さえにくいからと言ってゆっくり押さえることは出来ません、またリズムも崩してはいけませんね。つまり瞬時に押さえる必要があります。 

 要領としてはこれまでどおり空中で和音の形を作り、右手とのタイミングを合わせて押さえます。 でもやはりなかなか上手く行きませんね。



音を正しく出すにはそれぞれの指の中心部分で弦を捉える

 音が正しく出るかどうかは4本の指のそれぞれの中心部分で弦を正確にとらえられるかどうかと言うことになります。 そのためには空中で正確に和音の形がとれるかどうかですが、実際にやってみるとそれがなかなか難しいところですね。 


 もちろん4つの音とも正確に出なければならないですが、それでもどうしても外したくない音があります。 この場合で言えば2弦と5弦の「レ」でしょうか。 そこで、4本の指のうち、その両者を押さえる小指と中指により神経を集中して押さえますが、練習は結構必要でしょうね。



タイミングだけは外さない

 しかし例え音が出なかったとしてもタイミングをずらすのは絶対にいけません。 これはコンサートでも練習中でもです。 仮にコンサートの時にそこでタイミングが狂ってしまうと、止まったり、音が切れたりしてしまいます。 そうすると聴いている人には演奏者にはこの曲を弾く力がないと判断されてしまいます。 

 その反対にタイミングは合っているが、音がちゃんと出ていない場合は、「この人、今日はちょっと調子悪いのかな」 とか 「ちょっとアガっているな」 といった風に感じると思います。 どちらがいいでしょうか?