令和時代のギター上達法 41
タレガのグリサンド ~アラビア風奇想曲3

グリサンドとハンマリングが合体
アラビア風奇想曲で、ニ長調になってから8小節目です。4ページの楽譜であれば3ページ目の下の方です。赤の矢印のところは2弦の2フレットから12フレットまでのグリサンドですが、左指が「1」から「4」に変わります。
これはグリサンドとスラー奏法(ハンマリング・オン)が合体したものです。つまり1指で9フレット(ソ#)までグリサンドし、そこから4指で12フレットをハンマリングします。実際にはこのグリサンドとハンマリングがはっきり分かれて聴こえないように、”一つの”グリサンドとして聴こえるようにすします。
逆にハンマリングしてからグリサンドとか、グリサンドの途中でハンマリングすることも考えられそうですが、どちらもグリサンドとしては不自然に聴こえ、やはり最後にハンマリングするのが一番いいでしょう。

赤の矢印はグリサンドとハンマリングが合体したもので、9フレットくらいまでグリサンドしてから小指で叩いて12フレットの「シ」を出す。
このような左指が変わるグリサンドは、タレガの他の曲でも使われ、またタレガ以外のギタリストも使用しています。
同じ小節の最後で
同じ小節の最後のところ(下の譜面の赤矢印)に、通常譜面には4弦の7フレット(ラ)から2弦の10フレット(ラ)にスラー記号が入っています。楽譜通りに演奏すると、4弦の「ラ」を弾いた後、小指で2弦の10フレットを叩くことになります。

赤矢印では、4弦の7フレットを弾いた後、2弦の10フレットを叩く(ハンマリング)ことになるが、違和感を感じる
なんか、ちょっと変!
ハンマリングした2弦の「ラ」がなかなかはっきり出ないということはありますが、演奏上は特別困難というほどでもありません。でもなんかちょっと変です、違和感が感じられます。
長年この個所には違和感を感じていたのですが、10年ほど前、前述のロブレドの演奏を聴いて、その疑問が解けました。そうなのです、ここも ”グリサンド” なのです! ロブレドの演奏には必然性(タレガ的な)が感じられます。
弦も指も変わるグリサンド
とはいえ、先行の音が4弦の7フレットからではグリサンド出来ないので、グリサンドを行うためには先行音を3弦の2フレットにする必要があります。さらに弦も3弦から2弦、指も1指から4指に変わるなど、グリサンドとしてはかなりレアなものとなります。
ロブレドの録音は音質の極めて悪いもので、以前書いた冒頭(最初にテーマが出てくるところ)などはグリサンドしているのか、していないのかよくわかりませんが、この個所は悪い音質でもはっきり聴きとれるように弾いています。
確かにこの弾き方であれば、6連符で下がってきて、そこからグリサンドで上がってテーマに戻るといった感じで、なんか納得がゆく気がします。
運指を変更しなければならない
グリサンドを用いるためには、グリサンドの先行音を3弦にしなければなりませんから、若干運指を変更しなければなりません。私は下のような運指で弾いています。

私の運指(グリサンドを使用するための)
出版を意識しすぎた結果?
おそらくタレガもこのように(多少運指は違うかも知れないが)弾いていたのではと思います。 ではなぜ出版された譜面ではこのように(4弦からのスラー奏法)でかかれているのか?
その理由は冒頭のところで書いたものと同じなのでしょう。 グリサンドが多用された時代とは言え、さすがに弦も指も変わるグリサンドは一般的ではなかったのでしょう。 楽譜だけを頼りに弾く一般のギター愛好家だと、そうしたグリサンドは理解できないと考え、このようなグリサンドではない書き方になったものと思われます。
タレガとしては自らの作品を出版するというこの意味は大きく、熟慮した結果、このような形での出版となったのではと思います。結果的には余計わかりにくくなったかな?
タレガのグリサンド ~アラビア風奇想曲3

グリサンドとハンマリングが合体
アラビア風奇想曲で、ニ長調になってから8小節目です。4ページの楽譜であれば3ページ目の下の方です。赤の矢印のところは2弦の2フレットから12フレットまでのグリサンドですが、左指が「1」から「4」に変わります。
これはグリサンドとスラー奏法(ハンマリング・オン)が合体したものです。つまり1指で9フレット(ソ#)までグリサンドし、そこから4指で12フレットをハンマリングします。実際にはこのグリサンドとハンマリングがはっきり分かれて聴こえないように、”一つの”グリサンドとして聴こえるようにすします。
逆にハンマリングしてからグリサンドとか、グリサンドの途中でハンマリングすることも考えられそうですが、どちらもグリサンドとしては不自然に聴こえ、やはり最後にハンマリングするのが一番いいでしょう。

赤の矢印はグリサンドとハンマリングが合体したもので、9フレットくらいまでグリサンドしてから小指で叩いて12フレットの「シ」を出す。
このような左指が変わるグリサンドは、タレガの他の曲でも使われ、またタレガ以外のギタリストも使用しています。
同じ小節の最後で
同じ小節の最後のところ(下の譜面の赤矢印)に、通常譜面には4弦の7フレット(ラ)から2弦の10フレット(ラ)にスラー記号が入っています。楽譜通りに演奏すると、4弦の「ラ」を弾いた後、小指で2弦の10フレットを叩くことになります。

赤矢印では、4弦の7フレットを弾いた後、2弦の10フレットを叩く(ハンマリング)ことになるが、違和感を感じる
なんか、ちょっと変!
ハンマリングした2弦の「ラ」がなかなかはっきり出ないということはありますが、演奏上は特別困難というほどでもありません。でもなんかちょっと変です、違和感が感じられます。
長年この個所には違和感を感じていたのですが、10年ほど前、前述のロブレドの演奏を聴いて、その疑問が解けました。そうなのです、ここも ”グリサンド” なのです! ロブレドの演奏には必然性(タレガ的な)が感じられます。
弦も指も変わるグリサンド
とはいえ、先行の音が4弦の7フレットからではグリサンド出来ないので、グリサンドを行うためには先行音を3弦の2フレットにする必要があります。さらに弦も3弦から2弦、指も1指から4指に変わるなど、グリサンドとしてはかなりレアなものとなります。
ロブレドの録音は音質の極めて悪いもので、以前書いた冒頭(最初にテーマが出てくるところ)などはグリサンドしているのか、していないのかよくわかりませんが、この個所は悪い音質でもはっきり聴きとれるように弾いています。
確かにこの弾き方であれば、6連符で下がってきて、そこからグリサンドで上がってテーマに戻るといった感じで、なんか納得がゆく気がします。
運指を変更しなければならない
グリサンドを用いるためには、グリサンドの先行音を3弦にしなければなりませんから、若干運指を変更しなければなりません。私は下のような運指で弾いています。

私の運指(グリサンドを使用するための)
出版を意識しすぎた結果?
おそらくタレガもこのように(多少運指は違うかも知れないが)弾いていたのではと思います。 ではなぜ出版された譜面ではこのように(4弦からのスラー奏法)でかかれているのか?
その理由は冒頭のところで書いたものと同じなのでしょう。 グリサンドが多用された時代とは言え、さすがに弦も指も変わるグリサンドは一般的ではなかったのでしょう。 楽譜だけを頼りに弾く一般のギター愛好家だと、そうしたグリサンドは理解できないと考え、このようなグリサンドではない書き方になったものと思われます。
タレガとしては自らの作品を出版するというこの意味は大きく、熟慮した結果、このような形での出版となったのではと思います。結果的には余計わかりにくくなったかな?
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