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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

2022年 今年のまとめ




今年は重大な年に

 年末恒例の今年のまとめです。 世界全体的に見れば今年2022年は重大な年だったのは言うまでもありません。第二次世界大戦後でも世界各地で戦争が起こりましたが、今年2月24日に起きたロシアによるウクライナ侵攻は、歴史的にも重大な戦争の一つとなるでしょう。またこの戦争により、今後の世界情勢、さらには日本の防衛政策にも大きな影響を与えることになりそうです。



国民が団結して

 当初は軍事大国ロシアが小国ウクライナを一気に飲み込んでしまうのかと思われましたが、ウクライナが反撃し、奪われた国土の半分以上奪回しました。西側諸国からの軍事援助も多く刈ったでしょうが、何といってもウクライナ国民も団結して国土防衛に当たっていることが、一方的な侵略を防いだのでしょう。



まだまだ先は見えないが

 また西側諸国の介入によって世界的な戦争に拡大したり、また核戦争に及ぶ危惧もありましたが西側諸国は積極的にウクライナを支援しつつも、本格介入はせず、戦争の拡大はは今のところは防げているのは不幸中の幸いと言えるでしょう。 このところ、事態はウクライナ側に有利に進んでいるようですが、まだまだ戦争の終結は見通せず、この先もウクライナ、ロシア双方に大きな犠牲が生まれる可能性があります。



日本も対岸の火事ではなくなって

 これを機に日本の防衛政策も見直すことになりましたね、やはりいざという時には自分の国は自分で守らなければならないということで、NATO並みの防衛予算が必要ということになりました。また周囲の考えを同じくする国々の人たちとの連携を密する必要も出てきました。



安倍元総理銃弾に倒れる

 我が国では、7月8日に安部元総理が銃弾に倒れました。安部元総理は2887日という、日本の歴代総理の中で在任期間最長でしたが、積極財政と外交、防衛問題に大きな足跡を残したと言われています。今度の戦争を予測していたどうかはわかりませんが、こうしたことがいつどこで起きてもおかしくないと考えていたのでしょう。



知り合いの人の感染も多くなった

 それにしてもコロナはしつこいですね、丸3年にわたって猛威を振るい続けています。そうして最近になってまた増えてきて、知り合いの人の感染の話も多くなりました。いずれは感染経験者の方が多くなるかもしれませんね。



4回目の挑戦

 若干嬉しいニュースといえば、カタール・ワールドカップで、ドイツ、スペインと同組という絶望的な予選リーグで、そのドイツ、スペインを破って決勝トーナメント進出してことでしょう。 残念ながら今回も決勝トーナメント一回戦、つまりベスト16で敗退してしまいました。ベスト16はこれで4回目ですね、さらにPK戦敗退は南アフリカ大会に続き2回目で、それ以外の2回も一点差負けでした。

 ベスト8は本当にすぐそこまで来ているのですが、”すぐそこが”遠いですね。 まあ、楽しみは後に取っておきましょう。








中村俊三  中村ギター教室  水戸ギター・アンサンブル




 さて、では私、および中村ギター教室、水戸ギターアンサンブルに関してのまとめです。 まだまだコロナも収まらないので、積極的とまでは行きませんが、前年、および前々年よりはイヴェントは若干増えました。




4月24日(日)  ギター文化館 フリー・コンサート ゲスト出演

 ギター文化館で隔月行われているフリー・コンサートのゲストとして演奏し、コンサーと出場者、20組弱の独奏、および合奏、二重奏を行った方々へのコメントを行いました。 一つの演奏ごとにコメントしたので、ちょっと時間が長くなってしまいましたね。 因みに私は二つのソナタ(スカルラッティ)とシャコンヌ(バッハ)を演奏しました。




7月23日(土)~24日(日) 水戸芸術館 水戸市民音楽会

 今年の水戸市民音楽会は、昨年と同様に無観客で行われ、後にユーチューブ動画で配信という形になりました。 土日2日間をさらに午前と午後に分け、4部構成にし、計29団体の出演予定でしたが、感染者が出たということで2団体が欠場しました。

 水戸ギターアンサンブルでは、コロナで練習開始が遅れ、音楽会当日までに曲目(カルリのギター協奏曲)がまとまらないかな、とか、基本的に曲が長く制限時間内には収まらない、さらに無観客ではメンバーのモチベーションも上がらないなどといった理由から、今年は出場を取りやめました。 ただし、私と佐藤眞美さんは市民音楽会の実行委員となっているので、スタッフとして参加しました。




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9月16日(金) 中村俊三ギター・リサイタル ~ギター文化館を応援しよう

 ギター文化館で行った私のリサイタルですが、ギター文化館は母体となる東京労音の関係から資金難となり、今年5月頃までクラウド・ファンディングを行いました。結果的には目標金額は集まったとのことですが、私としても微々たるものながら、応援したいと思い、リサイタルを行い、そのチケット売り上げを館に寄付することにしました。

 準備の都合などからクラウド・ファンディングの期間からは外れてしまいましたが、新聞などでも取り上げていただいて、ギター文化館で行うリサイタルとしてはかなりたくさんの人に来ていただき、14万円弱ほど寄付することが出来ました。ご来場下さった方々、本当にありがとうございました。

 こうした企画ではありますが、リサイタルの内容としては本格的なもので、プログラム前半はクラシックギター史上の2大巨匠のソルとタレガに因んだ曲、後半はフランス印象派とその影響を受けたスペインの作曲家の作品を演奏しました。




10月27日(木)  ギター文化館  第3回ICGアンサンブル演奏会

 2018年から始めた茨城大学クラシック・ギター部の同期によるICGアンサンブルですが、コロナで2020年、20221年は取りやめとなり、3年ぶりの演奏会となります。内容は6名による合奏7曲と二重奏3曲(私と圷英子さん)、および私の独奏でした。来年はメンバーが8名となる予定です。




11月19日(土)  ひたちなか市文化会館  中村ギター教室発表会

 久々のひたちなか市文化会館での発表会です。最近はギター文化館での発表会が多かったので、それに比べると、この会場は広くて、しっかり音を出さないとよく聴こえません。こうしたところではやはり力の差とか、また楽器の違いなどもよく出てしまいますね。

 水戸ギターアンサンブルで、今年ずっと練習してきたカルリのギター協奏曲ホ短調の初めての演奏でしたが、ソロの久保田君もたいへんよく弾いてくれました。曲のメリハリなどもよく出せたように思いますが、後で録音を聴いてみると、冒頭の8分音符などだいぶバラついています。しっかり修正して来年の演奏会に臨まないといけませんね。



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来年もよろしくお願いします!

 コンサートは以上です。昨年や、一昨年よりは少し増えましたが、相変わらずあまり多くありませんね。 基本的にコンサートを数多くこなすというより、一回一回の演奏機会を大事して、十分に練習した上で演奏に臨みたい、そう思っています。

 それでは、今年1年演奏会に来ていただいたり、また当ブログを読んでいただいたり、皆さま、ありがとうございました。また来年よろしくお願いします! よいお年をお迎えください。
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令和時代の新常識  3




1.音階はアポヤンド奏法で正確に毎日練習したか?



タレガやセゴヴィアは毎日音階練習を行っていた

 前回に引き続き、阿部先生の言葉の 「1.」 についてですが、前回はアポヤンド奏法の話をしましたので、今回は 「毎日練習したか?」 の 「毎日」 についてです。

 タレガやセゴヴィアなど、かつての巨匠たちは、午前中などに毎日音階練習をしたと言われています。音階練習の他アルペジオやスラー奏法など、計1~2時間くらい毎日行っていたようですが、セゴヴィアは亡くなる前日までそれらを行っていたと伝えられています。

 私たちも若い頃、こうした大巨匠に少しでも近づこうとするなら、必ず毎日音階練習をしなければならないと教えられてきました。上達を目指す愛好者、さらにはプロのギタリストを目指すとなれば、こうしたこと行うのはまさに常識でした。



私の場合は

 では、今現在のギタリストたちはどうしているのでしょうか。他のギタリストの日常的な練習については、あまりわかりませんが、従来通りこうしたことを行っている人もいれば、少なくとも毎日はやらないギタリストもいるでしょう。 
 では私自身はどうかというと、私の場合午前中はあまりギターを弾かないということありますが、学生時代を別にすれば、前述のような、日課としての音階練習をすることはありません。特に決まった形の音階を毎日弾くということはほとんどやりません。



期間限定、目的をはっきりさせて

 生徒さんにはどのように指導しているかというと、音階練習自体をやらないということはありませんが、同じものをずっと練習するよりも、その段階に適したものを限定した期間行っています。また行う場合はその目的などをはっきりさせて行うようにしています。

 ギターを始めて習う方については当然音階練習は必要なのですが、音階練習のみを行うというより、単旋律の練習、つまりメロディを弾く練習として行っています。左手で押さえて右手で弾くという動作だけの練習に限定するのであれば、なるべくシンプルな決まった形の音階練習の方が効果的かも知れませんが、しかしそれだけでギターが弾けるようになるわけではありません。



歌わせることや、読譜力、経験値を上げることも大事

 まず、メロディとして歌わせなければなりませんし、また譜面を読む問題もあります。譜面を見ながら立ち止まらずに弾くためには少し先の方が読めていないといけませんし、仮に暗譜の場合でも実際に弾いているところの先の方をイメージしないといけません。

 実際にギターが上手く弾けるかどうかということには、これらのことの方が大きなウエイトを占めますが、決まった音階だけををずっと練習している場合は、こうしたことが身に付きません。 また、様々な単旋律を弾くということはタイミングの取り方とか、レガートに弾くことを身に付けるだけでなく、音楽的経験値を高めることにもつながります。



音楽の基礎が出来ている人であれば、音階練習は効果的だが

 ギターを習う人がすでにたくさんの音楽的知識や経験を持っているとは限りません。むしろ逆に 「今まで何も音楽やってこなかったから」 といった理由で習いに来る人の方がかえって多いくらいです。 ごく稀ではありますが、中にはプロのピアニストだとか、別のジャンルの音楽に精通した人が習いに来ることもあります。もちろんそのような場合は例外で、音階練習だけでも大丈夫かも知れません。

 

2.音階は i、m のほか m、a の交互も練習したか?



タレガは i,m と m.a を対等にするべく練習をしていた

 これも音階練習についてのことなので、続けて書いて行きましょう。まず i、m での練習の他に、m.a の練習も行うようにということですが、確かにタレガは m,a での練習もよく行い、通常はあまり機敏でない右薬指を人差し指や中指と遜色なく使えるようにトレーニングしていたようです。 確かに私も若い頃薬指のトレーニングをよくしました。



タレガ練習曲 (2)
タレガは m,a も i,m と同等に練習していたようだ



ソルは腱鞘炎?

 逆にフェルナンド・ソルはなるべく薬指を使うのを避けていたようです。和音も基本的に4音よりも3音の方が良いと言っていますし、有名な 「月光 」も、p,i,m の3本の指で弾くことを前提としているようです。一説によれば、ソルは腱鞘炎で薬指が動かなかったとか、そうでなかったとか。そんなことを疑われるくらいソルの場合、薬指の使用は限定的です。



月光ソル
右手の運指は書いていないが、譜面を見た感じでは p,i,m の3本で弾くようだ



私は m,a の交互のみ行わない

 もちろん薬指を使わずにギターを弾くことは難しいですが、ここで言っている m,a の交互弾弦というのは最も弾きにくいもので、実際の独奏曲では、やはり避けるべきでしょう。 しかし同じ薬指を使うことでも、i.a とか i,m.a あるいは a,m,i とったように使うのであれば、i,m のみで弾くよりもスピードも上がります。 p,i,m,a と4本使えばさらに速くなると思います。

 私自身では、速い音階の場合、アポヤンド奏法であれば i,a 、アルアイレ奏法の場合は i,m 、 i,m,a 、 p,i,m,a といったように、m,aで弾くことはほとんどありません(アルペジオ的なパッセージを別にすれば)。 またアポヤンド奏法では i,a を使いますが、アルアイレ奏法では使いません。



同一指の連続使用や逆指を避けるため

 右薬指の最も多い使い方としては、i,m で弾いている場合の、同一指の連続や、逆指を避けるために使うということでしょう。ことのようにして、実際に曲の中で m.a の交互弾弦はあまり使われないので、時折限定的に練習することはよしとしても、毎日必ず行う必要はないでしょう。

 私も若い頃は、前述の通り m,a での音階もよく行いましたし、また曲の中の音階はほとんどすべて i,m の交互弾弦で行い、その時は弾けなくても、ずっと練習しているうちに、もっと速く、正確に弾けるようになるではと思っていました。 

 でも私自身それを行っていたのが20歳前後くらいで、その歳では、ただ何も考えずにたくさん繰り返して練習しているだけで、自然と指が速く動くようにはなるということはないようですね。もう体が出来上がっているからなのでしょう、それが出来るのは10代半ば頃までで、練習で体自体が変わるのはそれくらいの年齢までのようです。



続きは来年。次回は今年のまとめ

 では、私が実際の曲の中ので、音階をどのような指使いで弾いているかについて、いくつか例に出して説明してゆきましょう・・・・・・ と思ったのですが、ちょっと長くなったので、この件については、また次回、というか来年になっちゃいますね。 次回は恒例の 「今年のまとめ」 を行います。

 


令和時代の新常識



VAR網をかいくぐってのPK獲得?

ちょっと日にちが経ってしまいましたが、なんと、アルゼンチンが優勝しましたね! これでメッシも後の世までマラドーナと並ぶ神の一人とされてゆくことになるでしょう。 しかし、それにしてもいろいろあった決勝でしたね。久々に決勝らしい決勝だったと言えるでしょう。

 アルゼンチンが2点取った時にはこれでアルゼンチンに決まりかなと言ったところで、後半にフランスが追いつく! こうなれば勢いはフランス、やっぱりフランス優勝か! と言ったところで延長後半でメッシの得点。この時間の得点となれば誰しもアルゼンチン! と思いきや、エムバペのPKでフランスがまた追いつきPK戦! こういう時には追いついた方が絶対有利! 

 ・・・・・ 全く先の読めない展開でしたね。 本当に試合が終わるまでどっちがかつのかわかりませんでした。 本田氏が 「VARのおかげで、今大会は『神の手』も使えないでしょう」  なんて言っていましたが、そのVAR網をかいくぐってのPK獲得!  PK獲得も技術のうちなんでしょうね。 結局アルゼンチンは1本もPKを外しませんでした。エムバペも3本とも決めていて、やはり偉大な選手はPKを外しませんね。




<阿部保夫先生の言葉>

1.音階はアポヤンド奏法で正確に毎日練習したか?
2.音階は i、m のほか m、a の交互も練習したか?
3.アルペジオの練習も毎日練習したか?
4.ひきにくい曲をぬかしたりしなかったか?
5.よくひけないうちに次に進まなかったか?
 一回もミスなしでひくことはできなくても同じ場所いつもミスするようではいけない
6.姿勢、特に手の型、弾弦その他が基本に述べたようになっているか?





1.音階はアポヤンド奏法で正確に毎日練習したか?


 では前回の記事でいいましたとおり、今回は昭和の常識と言える、上記の阿部保夫先生の言葉を引用しつつ、令和時代の常識と比較してゆきましょう。


皆さんもご存じと思いますが

 では、 「1.音階はアポヤンド奏法で正確に毎日練習したか?」 についてです。 音階=アポヤンド奏法、 これはまさに昭和の常識でしたね。 皆さんも今現在は、逆にアルアイレ奏法が主流だということは、よくご存じのことと思います。 こうした点はこの半世紀で大きく変わったことでしょう。 さらに進んで、現在のギタリストの中にはアポヤンド奏法そのもが不要、あるいは”悪”とする人もいるくらいです。



アポヤンド奏法はタレガが開発した?

 歴史的に見ても19世紀中頃まではアポヤンド奏法は使われなかったようで、プジョールの著作によれば、アポヤンド奏法はタレガが開発したとされていますが、それはちょっとこのギター史上の偉人に花を持たせすぎでしょうね。 おそらく実際には19世紀の半ば頃には、特にスペインなどでよく用いられていたのではと思います。

 また、今現在、フラメンコ奏者はスケールを叩きつけるようなアポヤンド奏法で超高速で弾きますが、フラメンコ奏者の場合、古くからアポヤンド奏法を主に用いていたのではないかということも考えられます。 いずれにしてもタレガの時代から20世紀の後半くらいまでは、アポヤンド奏法がよく用いられたということが言えます。




タレガ練習曲
タレガの「メヌエット形式の練習曲」 音階を中心とした練習曲だが、速くクリヤーに音階を弾く練習というより、ヴィヴラートやグリッサンドを織り交ぜつつ、音階を美しく歌わせる練習と考えられる。 低音がほとんどないことからも、アポヤンド奏法で演奏されたことは間違いない。



古典派時代まではアポヤンド奏法は用いられなかった ・・・・ただし親指を除いて

 一方、ソルやカルリ、ジュリアーニなどいわゆる古典派時代のギタリスト作品では、譜面の上からもアポヤンド奏法が使われなかったことが窺われます。ハーモニーなどを重んじた古典派の作品では、アポヤンド奏法によって主旋律のみを際立たせる演奏法は取らなかったのでしょう。



キュフナーハ長調
19世紀のドイツのギタリストヨーゼフ・キュナーの二重奏曲。 単旋律だが、和声的になっていて、最後の方で重音が出てくることからしても、アルアイレ奏法が使用されたと思える。




ソル練習曲60
ソルの単旋律の練習曲だが、やはりアルアイレ奏法で演奏されたと考えられる




 もっとも、古典派時代、あるいはバロック期に於ていてもアポヤンド奏法が用いられなかったと言えるのは、親指以外の指ということになるでしょう。 リュートのことはあまりよく知らないのですが、低音弦を弾く場合、親指を上方に拡げないと弾けないので、アポヤンド奏法でないと弾けないのではと思います。アポヤンド奏法を使うことにより、消音も出来るでしょうし。 



リュート
この絵の感じからすると、親指はアポヤンド奏法



 そうした流れから、19世紀以前においても、親指のアポヤンド奏法は用いられていたと思われます(もちろんアルアイレ奏法も)。私自身ではリュートは弾いたことがないのですが、10弦ギターを弾いたことがあります。その時、7~10弦を弾く場合、アルアイレ奏法は難しく、自然とアポヤンド奏法になってしまいました。




音階=アポヤンド奏法、アルペジオ=アルアイレ奏法

 少なくとも独奏曲であれば、音階に限らずほとんどの音、おそらく90パーセント以上、あるいはほぼ100パーセントアルアイレ奏法が用いられます。現実的に独奏曲でアポヤンド奏法が可能な音は限定されます。

 にもかかわらず、昭和の時代に於いて音階練習を必ずアポヤンド奏法で行っていたのは、アポヤンド奏法=重厚で美しい音、アルアイレ奏法=軽くて貧弱な音 といった考えが一般的で、まずはアポヤンド奏法でしっかりとした音を出す練習から始めなければならないという考えによるものでしょう。

 独奏曲の中でも時折出てくる音階や主旋律などアポヤンド奏法が可能な音はなるべくアポヤンド奏法で弾き、和音やアルペジオなどアポヤンド奏法が不可能な部分のみアルアイレ奏法を用いるといった考えですが、アルアイレ奏法で弾く音も、なるべくアポヤンド奏法の音に近づけるといった意味で、音階練習はアポヤンド奏法で行うと言ったことが一般的だったのでしょう。

 もちろん昭和の時代であってもアルアイレ奏法の練習をしない訳ではありませんでしたが、それは主に音階ではなく、和音やアルペジオの練習という形で行われていました。つまり、音階=アポヤンド奏法、アルペジオ=アルアイレ奏法 とはっきり分けられていたわけです。 阿部先生の言葉の3番目にアルペジオ練習のことが書かれていますが、それがアルアイレ奏法の練習ということになるのでしょう。



禁じられた遊びのメロディをアポヤンド奏法で弾くのは当時の常識

 基本的にアポヤンド奏法は単音に用いられるのですが、当時は重音でもアポヤンド奏法用いて弾いていました。「禁じられた遊び」の右手薬指をアポヤンドで弾くというのは、当時の常識で、その時代からギターを弾いている人は、たいていメロディをアポヤンド奏法で弾く練習をしたのではないかと思います。私もギター教室を始めた頃(1970年代)は生徒さんにこれを指導していました。うまく出来る人は少なかったですが。



上下アポヤンド奏法という方法も

 更に親指と薬指の両方を”挟みつけるように”してアポヤンド奏法で弾くなんてやり方もありました。 今現在これを出来る人、あるいはあえてやろうとする人はそんなにいないんじゃないかと思います。確かに今現在では ”邪道” ですね。

 私は若い頃これ練習したので結構できます、 「禁じられた遊び」で、1弦は出るけど6弦の音が聴こえないと言う人もいますが、これを行うとメロディと低音のバランスはかなり良くなります。しかしその反面、どうしても低音と高音の音の出に時差が生まれてしまうのが欠点です。



やりたくてやっているわけではない

 私の演奏を聴いた人から 「あのポロッってやつ、カッコいいですね、どうやってやっているんですか?」 なんて言われたりすることがありますが、スミマセン、ソレ、意識的やってるのではなく、どうしてもそうなっちゃうのです、ゴメンナサイ。本人としてはピタッと音の出を揃えたいのですが・・・・・・・

 そんなこんなで、私自身でも禁じられた遊びをアポヤンド奏法で弾くより、アルアイレ奏法で弾く方がきれいに弾けるのですが、しかしそれはあくまで練習の際とか、全くプレッシャーのかからない状態の場合で、ステージ上ではアルアイレ奏法ではなかなか上手く行かず”音抜け”が出たりすることがあります。 

 その点、アポヤンド奏法だと、プレッシャーがかかる状態であったり、指のコンデションが悪い場合でもそれなりに弾くことが出来ます、また音量もアルアイレ奏法に比べて出すことが出来ます。そうした次善の策としてアポヤンド奏法を用いているのですが、私がもっと高い技術を持ってれば、アルアイレ奏法で弾いているでしょう。




アポヤンド奏法とアルアイレ奏法どっちが難しいの?

 アポヤンドとアルアイレとどっちが難しいのかと言えば、やはりアルアイレ奏法でしょうね。確かに、全くギターを弾いたことのない人にギターを渡すと、ほとんどの人はアルアイレ奏法(モドキ?)で弾き、ギターのことを全く知らない人が、いきなりアポヤンド奏法で弾くことはないでしょう。仮にあるとすれば、それは ”偽シロウト” に違いありません。

 確かに一見アルアイレ奏法のほうが易しいように思われるのですが、しかし、しっかりした音を出すのは、宙に浮いた状態での動作なので、やはり難しくなります。確かに全くアルアイレ奏法が出来ないと言う人はいませんが、アルアイレ奏法だとどうしても貧弱な音になってしまい、また他の弦も一緒に鳴らしてしまったり、弦の弾き間違いも多くなります。

 それに比べ、アポヤンド奏法は一度覚えればほとんどの人は、アルアイレ奏法に比べ、しっかりとした大きな音が出せ、また弦の弾き間違えも少ないです。また何と言っても次の弦を押さえるので、他の弦を鳴らすことがまずなくなります。アポヤンド奏法というものが用いられるようになった最も大きな理由は、この ”他の弦を鳴らさない” ということなのではないかと思います。




音階の場合でもアルアイレ奏法を主に行うのが令和時代の常識

 このように、音階の場合でもアルアイレ奏法を主に行うのが令和時代の常識といえますが、そう言えばこの「令和時代のギター上達法」の記事ではこれまで左手についてのことは書きましたが、右手のことはまだ全くやっていません。ギターを弾く上では左手よりも右手の方が大事だということも書きました。

 このアポヤンド奏法とアルアイレ奏法について、当記事でもじっくりと書いてゆかなければならないことですが、非常に重要なことなので、今回はスルーして、期を改めて書くことにしましょう。 ・・・・・面倒だから避けてる?



矛盾?

 ところで、そのようにアルアイレ奏法のほうが重要な時代ですから、私の教室のレッスンでも、音階は基本的にアルアイレ奏法を中心に行っているのか? というと、実はそうではなく、やはり旧態然としてアポヤンド奏法で行っています。  ・・・・言っていることが矛盾? 

 その理由としては、やはりアルアイレ奏法は難しく、最初からなかなかしっかりした音が出せないからです。前にも書きました通り、やはり生徒さんにはしっかりとした音、つまり大きく、ノイズの少ない音、硬質でない音からギターを始めてもらいたいと思うからです。
その際、音階練習もそれなりに行っていますが、どちらかと言えばメロディを弾くことが多いです。

 因みに私のレッスンでは単音の練習はかなり多いです。 それはもちろん発音の練習ということもありますが、メロディを歌わせることも重要と考えています。本来であれば本当に歌のレッスンもしたところですが、残念ながら私は歌が上手くないので、それが出来ません。声で歌う代わりにギターでメロディを弾いてもらっているということです。



状況に合った選択

 もちろんのことですが、令和時代と言えど、アポヤンド奏法が不要などということはありません。当然のことながらアポヤンド奏法にはアポヤンド奏法の利点があります。その特徴をよく理解した上で、上手く選択するのは大変重要なことだと思います。 「アポヤンド主義」 とか 「アルアイレ派」 とかいうものではなく。状況に合った弾き方をすることがもっとも重要な事でしょう。
 

 
令和時代のギター上達法


  令和の新常識




やはり優勝経験国強し!

 今回のワールドカップでは、久々にあらたな優勝国が出るかなと思ったのですが、結局のところ優勝経験のある国のチーム同士の決勝となりましたね。 これまで優勝した国はブラジル、ドイツなど8か国しかありません。”神8” とでも呼ぶんでしょうか、最後の最後はやはり強いですね。

 決勝進出のアルゼンチンとフランスはともに2回の優勝があります。ブラジルと並ぶ南米の強豪国とされるアルゼンチンはブラジルの5回に対して、ちょっと差を付けられていますね。対するフランスは1998年に7か国目の優勝国となりましたが、前回も優勝して最近特に強豪国となりましたね。



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下馬評的にはフランスのようだが

 下馬評的にはエムバペ擁する、そのフランスの方に分があるようですが、マラドーナの後継者と言われるメッシとしては、ここで優勝しないと、マラドーナと同格にはならなくなってしまいます、アルゼンチンとしても、メッシとしても、どうしても優勝したいところでしょうね。

 気持ち的にはちょっとアルゼンチン応援というところですが、皆さんがこのブログを目にする頃にはすでに優勝国も決まっているでしょう。



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しばらくお休みしていましたが

 さて、なんだかんだと、この 「令和時代のギター上達法」 もしばらくぶりとなってしまいました。 ワールドカップも終わったところで、気持ちを入れ替えて、再スタートしましょう。



昭和の常識

 今回は以前の記事で、阿部保夫先生が自ら編集した「カルカッシ・ギター教本」の中で書かれている言葉について、コメントすると書きましたので、それを行いたいと思います。 改めてその阿部先生のことばを書き出しておきます。




1.音階はアポヤンド奏法で正確に毎日練習したか?
2.音階は i、m のほか m、a の交互も練習したか?
3.アルペジオの練習も毎日練習したか?
4.ひきにくい曲をぬかしたりしなかったか?
5.よくひけないうちに次に進まなかったか?
 一回もミスなしでひくことはできなくても同じ場所いつもミスするようではいけない
6.姿勢、特に手の型、弾弦その他が基本に述べたようになっているか?




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1960年前後の出版

 この教本が出版されたのはおそらく1950年代から1960年代の初め頃と思われます。昭和のど真ん中と言うことですね。 私と同世代の方が若い頃ギターを始めた頃と言えます。おそらく私たちの世代では、この阿部先生の言葉には特に違和感はなく、ギターを練習する上での当たり前のことを書いているだけと感じるのではないかと思います。

 私自身も若い頃、この文章を読んだ記憶はありませんが、これに近い考えで練習していました。 言ってみれば、この阿部先生の言葉は昭和時代におけるギター上達のための常識とも言えるでしょう。




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阿部保夫先生の「珠玉のギターアルバム・シリーズの第1巻(第3巻まである)。 LPとセットになっていて、私も大学に入った頃この楽譜とLPでクラシック・ギターの名曲を知り、夢中になって練習した。



 しかし常識は変わってゆくものです。今では常識になっている、宇宙の加速膨張だとか、少子高齢化だとか、スマホ、パソコン、そんなもの半世紀以上前では全く想像できませんでした。



様々な分野での指導法も変わって来つつある

 学校の授業や、各種スポーツなどにおいても、そのトレーニング法や指導法は、今現在かつてとは随分と変わってきているでしょう。野球など、その競技人口は、今現在では数十年前とは及びもつかないほど減少していますが、それでも大谷選手など優れた選手が続々現れるのは、その指導法が飛躍的に向上しているからなのでしょう。もちろんサッカーにおいても日本人選手が多数海外で活躍しているのも同様なことです。

 ギターにおても半世紀前とはいろいろな面で違ってきています。その上達法においても令和時代には令和時代の常識があると思いますし、それは半世紀前の常識とどのように異なるかということを、昭和の常識たる、阿部先生の言葉を引用して比較してゆきましょう。



現在のさまざまな情報を基にしている

 令和時代の常識といっても、私自身が今現在考えていることになりますが、しかし私の考えと言っても、今現在の様々な情報を整理したもので、近い考えのギタリストも多いのではと思います。


 では具体的に・・・・・・ と行きたいところですが、字数も多くなったので、本題はまた次回ということで。
この話ばかりかも知れませんが



3度あることは4度ある?

 今日(4月6日)一日、特にネット上ではこの話ばかりになっているとは思いますが、確かに残念ですね、何と言っても4回目のベスト8兆戦ですからね。 じゃんけんでも4回続けて負けることは滅多にない!

 これまで3度の挑戦もすべて惜敗で、今度こそ 「4度めの正直」 となるはずだったのですが、「3度あることは4度ある」 になっちゃいましたね。 クロアチアは前回準優勝国ということで、確かに強豪国ですが、これまで4度の挑戦の中では最も突破の可能性が高かったのではと思います。



やはり経験の差が

 そう言えばワールドカップではクロアチアとは縁がありますね、日本はこれまで6回の出場でクロアチアと3度対戦したことになります。結果は1分け2敗、PK戦を除くと2分け1敗、得失点差ー1となりますね。 勝ててはいませんが、それほど差のないチームと言えるでしょう。

 今回、PK戦になった時点であまり勝てる気がしなくなりました。日本チームはPK戦になるまでPK戦なんてあるのを忘れていたような感じがしますね、逆にクロアチアはPK戦も見据えて戦っていたような気もします。クロアチアの選手の方が日本選手よりも平均年齢が高く、何といってもヨーロッパの強豪国の中でもまれているし、やはりPK戦では勝目がなさそうでしたね。

 日本選手も一応枠には蹴っているので、致し方なく、相手のキーパーを讃えるしかないところですが、ちょっと無難に蹴り過ぎたかな。一人くらいキーパーめがけてど真ん中に思いっきり蹴っても良かったかな、なんて思います。




昔はPK戦なんてなかった

 昔、50数年前はPK戦なんてありませんでした。 じゃあ、トーナメントなどでどうしても勝敗を決めなければいけない時どうしたかって? あまりはっきり決まっていなかったのですが、だいたいはじゃんけんだったと思います。信じられないと言う人もいるとは思いますが、確かにじゃんけんで次のトーナメントに進むかどうか決めていました。 他には、若干おしゃれに ”コイン・トス” なんてのもありましたね。




それって名誉なの?

 私が高校一年生の時、県の南部地区の大会があって、決勝戦の延長でも決まらず、結局 ”くじ” で優勝校を決めることになりました。私はまだ試合には出られなかったので遠くで見ていただけでしたので、具体的にどのようbなくじだったかわかりませんでしたが、ともかくその ”くじ” で勝ち、見事にわが校は栃木県南部地区高校サッカー大会で優勝となりました!    ・・・・・でもこれ、名誉なことなの?



三苫選手の左サイドを切り裂く姿を

 PK戦の是非には異論もあるところですが、まあ、”くじ” よりは実力が反映されるかな、一応。 いや、くじの方が負けた時の選手たちのショックは少ないかな? 日本中の皆さんも、もし今回PK戦でなく、”くじ” で負けたとしたら、より一層くやしいと思うのかな? それともまあ、しゃあないか、と割り切れるのかな? どっちなんでしょうね。 ・・・・・・勝てばどっちだっていい?  負けたらおしまい? ナルホド。

 勝敗はともかくとして、三苫選手が左サイドをぶっちぎる姿を、もっと見たかったと思います。なんとなく本人も周囲の選手も慎重になり過ぎたかな。  ・・・・・・負けるとわかっていたらやったかも。



泥んこピッチ限定

 私事で恐縮ですが(自分のブログなんだから私事で問題ないのでは?)、私も高校時代にに三苫選手と同じく左サイドやっていました。 三苫選手に似てる? いや全然? ややふっくらした三苫選手? なんちゃって。 ぼやけて判別不能?

 ・・・・・・でも、私も左サイドで無双していましたよ、雨の日の泥んこピッチ限定で。



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 当時(50数年前)天然芝のグラウンドといっても名ばかりで、雨が降ると泥んこの田んぼ状態。 サッカー用のスパイク・シューズでも全く踏ん張りがきかない。こうした状態では上手い選手ほど普段の力が出せなくなる。 しかしなぜか私はこの泥んこピッチが得意だった。周囲の選手が滑りまくっているのをしり目に、私だけはほとんど通常通りプレーが出来た。県で指折りの強豪校との試合でも、相手選手が勝手にコケてくれるので、普通にドリブルするだけでどんどん抜けた。