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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

令和時代の新常識 6





バッハの作品中の音階




音階アレグロ
私が弾いている運指。 音階だがアルペジオ的な運指になっている。もちろん同じ指の連続は絶対に出来ない。




コンパクトにまとまった作品で人気がある

 今回はバッハの曲での音階の弾き方です。バッハの曲では音階がたくさん出てきますね、もっとも、たいていの音楽は音階と和音から出来ていると言ってもいいですが。

 まず、「リュートのためのプレリュード、フーガ、アレグロ BWV998」 のアレグロです。このBWV998は3曲セットとなっていますが、何らかの事情でソナタ、または組曲になり損ねた曲なのでしょうね。 詳しいことはわかりませんが、当初はソナタとして作曲された可能性もあるのではと思います。

 フーガとアレグロの間にアンダンテなどのゆっくりした楽章が入れば、演奏時間も20分弱となり、立派にソナタになります。 この構成は組曲やパルティータというよりソナタですね。

 しかし実際には3曲で13分前後と、リサイタルなどではかえって都合の良いので、よく演奏されます。また無駄がなく、”締まり” のある作品とも言えます。



音階でもアルペジオ的な弾き方

 しかし鍵盤曲的に作曲されていて、リュート、またはギターで演奏するのはなかなか難しいで、アレグロをアレグロのテンポで弾くのは難しいです。 私も若い頃から時々この曲を練習してみたるしていたのですが、なかなかうまく弾けず、最近ではこんな運指となりました。

 上の譜面の運指は今現在の私のものですが、音階なのに、アルペジオ的な弾き方になっています。もちろん当初は i,m の交互弾弦を中心に弾いていたのですが、それだけではなかなかきれいには弾けないようです。アルペジオ的な弾き方なので左手はいくぶん難しくはなっていますが、こうした曲が上手く弾けるかどうかは、右手の方に拠るところが大きいですね。

 こうした曲の場合、バス声部がちゃんと聞こえるかどうかも、たいへん重要ですが、6弦などの聴き取りにくい音ではアポヤンド奏法も使っています。つまり上声部はアルアイレ、下声部はアポヤンド奏法です。これをやる人、あるいは出来る人はあまり多くはないようですが、バス声部が重要な曲ではよい方法だと思います。




リュート感も出る

 アルペジオ的な弾き方だた、何がいいかと言うと、まず、音が残るので、一個一個の音がちゃんと聞こえ、またレガートな感じも出るということですね、それに左右の指のタイミングがずれることがないということもあります。欠点としてはその逆に音が重なってしまうので、不協和的な音が出てしまうということですが、リュートでの演奏では自然にそうなるようで、逆に言えばリュート感がでるとも言えるでしょう。



どんな速さでも軽々と弾いてしまうギタリストもいるが

 もちろん世の中にはこの程度の曲など全く問題ではなく、特別な弾き方などせずとも、速く、美しく、クリヤーに弾けるギタリストはざらにいるでしょうね、今時、プロのギタリストはそれが普通だとか・・・・・    







プレリュート(パルティータホ長調BWV1006b)


音階プレリュード1006
アルペジオ的な弾き方と p,i の交互





プレリュードだけが異常に長い

 次は 「リュートのためのパルティータホ長調BWV1006b」 のプレリュードです。 このパルティータは2曲目以降は比較的短い曲となっていますが、このプレリュードだけかなり長い曲になっています。つまり ”頭でっかち” な曲で、”おしりの重たい” シャコンヌを含む 「パルティータニ短調BWV1004」 と逆の関係になっています。おそらく意識的にそうしたのでしょうね。



他のギタリストもやっている?

 この曲の冒頭部分の音階もアレグロ同様、アルペジオ的な運指が可能ですね。この部分などは多くのギタリストがこのように弾いているかも知れません。 この部分は通常の音階的な弾き方でも十分に弾けますが、滑らかさとか、安定感とか、楽に弾くといった意味では、このような運指の方がいいですね。



同一指の連続とか逆指は使えない

 3段目あたりは p.i の交互となっていますが、私の場合、この弾き方が最も安定感があります。 a,m,i などの3本指も考えられますが、左手とタイミングが合わなかったり、また弦が変わる時に上手く弾けなかったりします。 スラー奏法も適宜に使用していますが、高音の場合、スラー奏法では音が聴き取りにくくなるので、あまり使わないようにしています。

 この先(掲載した譜面の続き)も難所が続き、もちろん左手も難しいのですが、前述の通り右指の問題のほうが大きいです。こうした曲では同じ指の連続とか、逆指はなかなか使えません。各音に4本の指を的確に振り分け、またその通りに右指が動かないと、こうした曲は弾けません。
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令和時代の新常識 5



音階の弾き方いろいろ




ここをちゃんと弾けないとオチない

 前回の記事に引き続き、曲の中での音階の弾き方の例です。前回魔笛の主題による変奏曲の第1変奏の音階について書きましたが、今回はコーダの音階です。このコーダももなかなか厄介ですね、その前の第5変奏が速いので、このコーダもそれなりのテンポで弾かないといけません。





音階魔笛コーダ

a,m,i の3本で弾いているが、弦の変わりがすべて薬指になるのが特徴。


 
 しかしこの譜例の音階の前にあるアルペジオとの音階は難所で、この二つがちゃんと弾けないと、文字通り締まらないですね、落語で言えばオチがないみたいになっちゃいます。 そのアルペジオの方もちゃんと弾くにはひと工夫必要なとこですが、今回は音階の話だけにしておきしましょう。



1個目は親指で決まりだが

 6弦の「ミ」から始まる音階ですが、その最初の「ミ」は親指で弾きます。これはその前に1,3弦を弾いているので、人差し指などでは間に合わないからです。そのあとは i,m で十分速くきれいに弾ける人ならそれでよいのですが、私は i,m では弾けません。



i,m では弾けないので

 そこでいろいろな方法を試してみましたが、最終的に(30代後半くらいから)このように a,m,i の順で弾いています。 i,m より a,m,i の方が速いのは間違いないですが、このの弾き方にはいろいろ問題もあり、まとめると次の3点でしょうか。

1.各指の速さが違う。 
2.左指とシンクロしない。 
3.弦が変わる場合に弦を捉えきれずに音抜けが生じる。 



理屈上は3本指の方が速いが

 このようなことがあり、理屈上では3本指のほうが速いと言っても、実際にはこれらの問題があって、実用はそれほど簡単ではありません。 

 この音階の特徴として、それぞれの弦で3個ずつ音があるということです。奇数のために仮に i,m で弾くと弦が変わる際の指が交互になります。つまり順指と逆指が交互になる訳ですね。それが i,m で弾きにくい原因にもなっています。 a,m,i の順で弾くと、弦が変わるのがすべて薬指になります。これによって弦の変わり目が比較的わかりやすくなります。



各弦とも3個ずつなので a,m,i がやりやすい

 これがもし、各弦とも3個ずつとなっていなかったら、この a,m,i も採用しなかったでしょう。 いずれにしても a,m,i でこの音階を弾くためには右手のフォームの安定 (上下するようでは絶対に弾けない!) と、左手とのシンクロ、また弦が変わる際には少しずつ右手が1弦方向に移動して行かなければなりません。そう言ったことがクリアー出来ていないとこの弾き方は難しいです。 とは言ってもこれらのことは i,m で弾く場合も同じことが言えますね。



若い頃は当然の如く

 私も i,m で弾いていた頃 (20~30代)は当然の如くアポヤンド奏法で弾いていました。 時々は失敗していましたが、i,m のアポヤンド奏法は、今現在よりは弾けていたように思います。なんだ、かんだと言っても、単純な指の運動機能は若い頃に比べて劣ってきているのは明かです、何といっても72才ですからね。



時にはアポヤンドも使う

 今現在、基本はアルアイレ奏法で、このほうが音もそろって、レガートに弾けますが、ただし音量がそれほど出ないのと、他の弦が若干鳴ってしまうこともあります。またやや安定感に欠け、調子が悪いと音が抜けます。

 そう言ったことで、状況によっては3弦のみアポヤンド奏法を使うこともあります。アポヤンド奏法だとややガサツな感じになってしまいますが、音量と安定感はあります。音階の最後の3個を強く弾くことでクレシェンド感も出ます。 実際にはその日の爪や指先の汗など諸条件で弾きやすさが変わるので、アポヤンドとアルアイレを使い分けています。




グランホタのイントロ
 
 次はタレガのグランホタのイントロです。半音階が32分音符で書かれていますが、もちろんこれは正確に32分音符で弾かなければならない訳ではなく、だいたいのイメージです。 こした場合、通常自由なテンポで弾いてよいということになります。しかしタレガが32分音符で書いた以上、やはり速く弾くべきでしょう。 ただし全部の音を速く弾くというより、ゆっくりからだんだん速くと言ったように弾くことが一般的です。



速いな! と思ってもらわないと

 ではどれくらいの速さで弾いたら良いかということですが、結果的にいえば聴いている人が 「凄く速いな!」 と驚いてくれるくらいの速さが良いようです。ギターでは通常4つ打ちで1拍=100を越えればだいたい速く聴こえるのですが、「驚いて」 もらうためには 150=200 くらいは必要となるでしょう。 この曲は聴衆に楽しんでもらうための曲ですが、同時に演奏者の力量を示すための曲でもあります。

 


音階グランホタ
凄く速いな! と思ってもらわないと





最も速い弾き方は

 私の場合、 i,m とか a,i では全然この速さに届きませんね。 私の場合、速く弾ける組み合わせを順に書くと、

p,i,m,a ≒ 200
p,a,m,i ≒ 150 
p,i ≒ 150
a.m.i ≒ 140



この曲トレモロは p,i,m,a で弾いている

 といったところでしょう。正確ではありませんが、だいたいこんな感じです。 p,i,m,a の順が一番速いですが、若干ノーコン気味です。 トレモロ奏法も、私の場合通常の p,a,m,i の順より、この順のほうが速いのですが、なかなかきれいに弾けずに実際に使うのはかなり限定的です。 この曲(グランホタ)の終わり頃にトレモロが出てきますが、この部分はきれいさよりも勢いの方が大事なので、この弾き方で弾ています。



これらのうち、現実的に可能だったのは

 しかし実際にこの半音階に使うのは難しいです。やはり弦が変わるところが上手く弾けません。 もちろんそれぞれの方法で練習してみましたが、結論から言えば2番目の p.i を選択しました。私の場合、p,i がこれらの方法の中で最も安定して、確実に、なお且つそれなりの速さで弾ける方法でした。

 この半音階は各弦が5個ずつあるので(3弦のみ4個)、 p,i と i,p の順が弦ごとに入れ替わって、ちょっと難しいところもありましたが、 p,i で弾く弦と i,p で弾く弦を別個に練習したりして、なんとか想定したテンポで弾くことが出来ました。



p,i は比較的安定感がある

 p,i という弾き方はうまく馴染めば音抜けも少なく比較的安定していて、いろいろなところに応用できる方法だと思います、弦の移りにも対応できます。 弦をまたいだ速いトリルなどもこの弾き方が一番いいですね。

 半音階の次の小節では、4個ずつの音が通常の弾き方と、スラー奏法で交互に出てきます。ここを私は i,m,a,p の順で弾いています。この組み合わせは、上記で最も速い p,i,m,a に準じる指順で、そのまま p,i,m,a でも弾けますが、4個目の音にアクセントがあった方がいいので、この順で弾いています。

 同じ4本指でも、実際には p,a,m,i (通常のトレモロ奏法の順) のほうが弾きやすいと言う人が多いのではないかと思いますが、私は通常とは逆の p,i,m,a のほうが弾きやすいです。  p,a,m,i のほうが明らかに多数派ですから、そちらの方が王道なのかも知れませんが、人間の手の機能などからすると p,i,m,a のほうが自然なのではと、個人的には思いますが、皆さんはどうでしょうか。



速すぎるのが問題?

 この指順(p,i,m,a)は私が最も得意な指順なので、意外と楽に弾けました。 問題があるとすれば、 p.i で弾いている半音階よりも速く弾いているところでしょうか、譜面上では半音階の方が短い音符で書かれています。 しかし、やはり弦が変わる場合はこの弾き方は使えません。


令和時代の新常識 4



1.音階は毎日アポヤンド奏法で正確に練習したか?
2.音階は、i,mの他 m,a でも練習したか?





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なぜ一本指で弾てはいけないか? 




なんで一本指で弾いてはいけないのか?

 前回 a,m での音階練習について書きましたが、まず、その続きから書いてゆきましょう。 特にギター教室に習いに行くと、まず先生から 「一本指で音階やメロディを弾いてはいけません」 って言われますね。クラシック・ギターの先生であれば、たいていそのように言うとは思いますが、アコースティック・ギターなどポユラー系の先生はあまり言わないようです。

 では、なんで一本指奏法はいけないかというと、一般的にはスピードが出ないといった問題です。教室の先生にこのことを質問した場合、おそらくこの答えが返って来るでしょう。




私の場合

 では、一本指と交互弾弦とで、どれくらい違いがあるかというと、もちろん個人差はありますが、私のケースで説明します。一拍4個打ち(16分音符)でメトロノームで測った場合、右4本で若干違い、p=78、 i=80、 m=72、 a=76 といった感じになります。

 交互弾弦では i,m=120  m,a=88 となり、あまり速くないですね、一応プロとしては。年齢的な事もあるかも知れませんが、私の場合、若い頃からそんなに速くなかったので、それほどは変わっていません。 因みに交互弾弦では i,a=130、 p,i=140 となります。



一本指の約1,5倍

 以上の数字からすると、2本指でも一本指の2倍にはなりませんが、1,5倍くらいは速くなる事がわかります。そして、 i,m、 m,a 
は意外と遅いですね、i,a や p,i の方が速いです。 結局中指がネックのようですね、中指を絡めると、どうしても遅くなる。これは私だけの現象かな? こう言ったことはかなり個人差があるので、皆さんも試してみるといいでしょう。

 またこれはアルアイレ奏法でのことで、アポヤンド奏法だとまた違ってきます。中にはアポヤンド奏法のほうが速いと言う人もいますが、普通はアポヤンド奏法の方が遅くなります。一本指だと特にそうですね。私の場合、 i,a ではアポヤンド奏法でもほぼ同じくらいに弾けますが、p,i はアルアイレ奏法でしか弾けません。




もっと大きな理由がある

 速度に関してははっきりと数字に出るのでわかりやすいのですが、一本指奏法が良くない理由は、他に音量の問題があります。一本指で弾く場合(ある程度の速さで)は、普通アルアイレ奏法で、チョン、チョン、チョンとゆびを曲げ切らないで指先だけで触るような弾き方になります。しっかりと弾き切ってしまうと、指先が弦から遠く離れてしまいますから、その指で続けて弾くことは出来なくなります。



当てに行ってはいけない!

 野球で例えるなら、複数の人が次々に投げてくるボールでも、バントするのであれば対応できると思いますが、しっかりとバットを振ってしまうと、連続しては打てなくなります。つまり一本指奏法と言うのはバントのように振り切らないで”当てるだけ”の弾き方となるでしょう。野球のコーチや解説者が良く行っていますよね、当てに行ってはいけないと。

 交互弾弦についてはこの問題、つまり音をしっかり出すと言った意味が大きいのでしょう。また上達するにあたっては、自分の意思に従って弾く指を決めなければなりませんが、一本指奏法の人は、たいてい自分がどの指で弾ているかわかっていないケースが多いです。 そうした場合であっては、それ以上の上達は望めません。







いろいろな音階の弾き方





 それでは、私が実際の曲の中でどのように音階、また音階的なパッセージを弾いているかということの話をいくつか例挙げて話してゆきましょう。




アポヤンド奏法で弾きたい場合は、主に a,i

マドロニョス音階
        後ろから6番目の音の「ファ#」 に 「i」 が抜けてしまった



比較的シンプルな例で、フェデリーコ・モレーノ・トロバの 「マドローニョス」 に出てくる音階です。 アレグレットというテンポ指定ですが、メトロノームの数字で言えば、だいたい 4分音符=100 と言ったところでしょう。

 そう特別速いという訳でもありませんが、私の場合、i,m では弾けません。また”生きの良さ”も出さないといけないので、アポヤンド奏法の方が合いそうです。 私の場合、ある程度速い音階をアポヤンド奏法で弾く時には a,i で弾きます。 というより、a,i でないと弾けません。




ワルツ第4番音階
      アクセント記号はアポヤンド奏法の意味



勢いよく上昇するには

 次もアポヤンド奏法で弾く例です。私の場合、アポヤンド奏法で弾く音階はほとんどの場合 a.i で弾きます。いろいろ理由がありますが、速さという点では前述のように薬指の方が速いのと、離れている指の方が弾きやすいとま、さらに指の長さが揃う、などです。
 
 中指が一番長いということは誰しも同じだと思いますので、i,m よりは a,i のほうが弾きやすいということも誰しも同じかなとは思いますが、実際には i,m の方を使う人の方が多いですね。 私の場合でもアルアイレ奏法で弾く時には、この a,i は使いません。 a,i はあくまでアポヤンド奏法の場合だけです。




a,i は繊細ではないがパワーとスピードがある

 やはり薬指は鈍い指なので、アルアイレ奏法はうまく弾けない訳です。しかし神経はやや鈍くとも、単純なスピードやパワーが必要なアポヤンド奏法には向いているのです。またその位置関係からしても(一番外側にある指)、アポヤンド奏法はやりやすい指です。

 このバリオスのワルツ第4番はアルペジオ・パターンから始まって音階に移る訳ですが、3小節目(この譜面の)は前の2小節を受け継いでアルペジオ・パターンとなっています。そこで弾き方としては当然アルアイレ奏法なのですが、この小節の最後の音(ファ#)からアポヤンド奏法に変えます。  ・・・・・言い忘れましたが、譜面にあるアクセント記号は、私がアポヤンド奏法で弾いている音です。

 この曲は 「コン・ブリオ」 と指定されていて、躍動感が必要な曲なので、音階が上昇するにしたがって音量が上がらなければなりません(テンポも少し上げた方が良い)。そこで後続の音階は a,i のアポヤンド奏法を使う訳ですが、この方法によってスピードとパワーの両方が得られます。 確かにこの曲、この上昇音階が ”ミソ” ですね(音はミソではないが)。 ここでヘタレると格好がつきません。



3弦をアポヤンド奏法で弾くことはあまりない

 2段目の方は、”時々” アポヤンド奏法を使いますが、アルアイレ奏法の方が多いです。この辺はアルペジオ・パターンと音階パターンが入り混じっているような部分なので、そうなる訳です。ただ、私が a,i などでアポヤンド奏法を用いる場合はほとんど1弦で、2弦が時折、3弦でアポヤンド奏法を使うことはあまりありません。

 それについてもいろいろ理由があり、まずは位置関係上から1弦はアポヤンド奏法を使いやすいが、3弦は使いにくい。また1弦はアポヤンドとアルアイレで音色などに違いが出るが、3弦はほとんど変わらない。そもそも3弦の音を強く弾くことは少ないなどといったことです。
 




魔笛音階
    この音階ではアポヤンド奏法は使わない

 

速いアルアイレ奏法の場合は

 次はソルの 「魔笛の主題による変奏曲」 の第1変奏の音階です。 この曲の場合、この音階がさっと弾けるかどうかで、だいぶ違ってきますね。この曲を弾いたことのある人は、おそらくここを何度も練習したのではないかと思います。

 私も大学生のころから弾いていますが、当時はただひたすら i.m のアポヤンド奏法で練習していました。 うまく弾けなかったのですが、ずっと続けて練習していけば、必ず弾けるようになるのでは、と思ってやっていましたが、なかなかうまく弾けるようにはなりませんでした。



自然に速くなるのは成長期まで

 同じことを続けながら、だんだん弾けるようになる、つまり指の方が自然に動くようになるというのは、ある年齢までなのでしょう。この曲を練習し始めたのは18才の頃でしたが、それくらいの年齢になると、自然に指が動くようにはならないようです。 おそらく、練習しているうちに自然に指が動くようになるというは、成長期くらいまで、だいたい14,5歳くらいまでではないかと思います。

 当ブログを読んでいらっしゃる皆さんも、おそらくこうした年齢よりは上だと思いますので、練習しているうちに自然に指が動くようになる、といったことはないと思った方が良いでしょう。



3本、4本指の場合はアルアイレ奏法でないと弾けない

 そんな訳で、紆余曲折を経ながら、現在は上にあるような運指で弾いています。1段目は3本指で、下の段は4本指ですね。スラーのかけ方もオリジナルとちょっと違います。 こうした親指も使う場合はアルアイレ奏法でないと弾けませんが、曲の感じからすればアルアイレ奏法のほうが似合います。また前に話したように。ソルは親指以外のアポヤンド奏法は使わなかったと言われています。

 かなり前からこのように弾いていますが、この方法にしてから、この箇所でミスをすることはほとんどなくなりました。 ・・・・記憶していないだけ?  



各指の連携の問題で、運動機能の問題ではない

 どちらも最後は i,m,a の順になっていますね。 私にとってはこの順が最も弾きやすいのですが、それについてはかなり個人差があるでしょう。 i,m,a の順より a,m,i の順のほうが弾きやすい人もいるでしょう。 しかし2本より3本、3本より4本の指を使った方が速く弾けるということは変わりはないのではないかと思います。

 もちろん2本では弾けるが、3本や4本だと弾けないとか、あるいはやったことがないという言う人もいると思いますが、こうしたことができるかどうかということは、指の運動機能というより、神経系統の問題で、神経系統に関しては運動能力ほど年齢にシビアではなく、年齢が高くなっても出来ると思います。

2023年 今年の予定



 明けましておめでとうございます。 2023年、令和5年となりました。 今年もよろしくお願いします。



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 昨年のまとめでも書きましたが、昨年は本当にいろいろありました。今年はこそは、いろいろと良い方向に進めばと思っています。気が付けば、今年は卯年。私もどうやら6回目の年男ということになるようですね。ということは今年72歳で、次の卯年には84歳になるのかな。次は96で、その次は108?  ・・・・・どう考えても最後から何番目かの年男って感じですね。 まあ、そういったことはあまり考えないように。


 さて、では今年の予定についてです。今年もイヴェントなどがあまり多いとは言えませんが、順に書いてゆきましょう。





4月23日(土)  ギター文化館  フリー・コンサート ゲスト出演

 昨年も同じ時期(4月24日)に出演しましたが、ギター文化館で隔月に行われているフリー・コンサートにゲスト出演します。 前回同様出演者の方へのコメントも行う予定ですが、あまり時間を使わずに行う方向になると思います。




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7月 (土、日)  水戸芸術館  水戸市民音楽会

 7月の土曜、日曜ということ以外にまだ日にちなどもはっきりしていませんが、今年も水戸芸術館で水戸市民音楽会を行う予定になっています。 2020年は中止、2021、2022年は無観客での開催となりましたが、ことしはどのような形で行われるのかも、まだはっきりしていません。 コロナの状況次第ということになります。

 市民音楽会実行委員、あるいは水戸ギターアンサンブル代表の立場としましては、出来れば公開の形で実行出来ればと思っています。昨年、水戸ギターアンサンブルは欠場しましたが、今年はぜひ出演したいと思っています。




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10月14日(土)   ひたちなか市文化会館  水戸ギターアンサンブル演奏会

 コロナ期間中も演奏会の計画だけはあったのですが、結局開催できず、水戸ギターアンサンブル演奏会としては2018年以来、5年ぶりと開催となります。 文字通り、「満を持して」 の開催です。 もちろん開催出来なくなる可能性もゼロではありませんが、ことしはなんとか実行してゆきたいと思います。

 曲目は昨年の発表会でも演奏したカルリのギター協奏曲ホ短調などの合奏を軸に、私と久保田浩君の二重奏などとなります。久々に充実した内容の演奏会になればと思います。




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11月  場所未定   ICGアンサンブル演奏会

 今年も昨年に引き続きICGアンサンブル演奏会を11月に予定しています。 これまで3回はギター文化館で行ってきましたが、今年からメンバーが8人になる事もあって、今年は演奏会場を別のところにする予定ですが、まだ決まっていません。 今のところ、つくばノバの小ホールが候補となっています。

 昨年の演奏会は、コロナで演奏会が出来なかったこともあって、準備期間が3年間あったのですが、今回は本当に1年間、といっても、実質は一泊二日の合宿2回しか合わせる機会がないので、ちょっとたいへんそうですね。


 確かに、ちょっと演奏会の予定少ないですね。その代わりに、一回一回の演奏会を大事にし、準備をしっかり行って、やる以上は出来る限り内容の良いものを、皆様にお聞かせできるように努力してゆきます。