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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

アルアイレ奏法 5


 いろいろなギタリストの演奏フォーム 4




エアコン故障

 本当に暑いですね、暑さのせいか、一昨日、レッスン・スタジオのエアコンが故障してしまい、ネットでエアコンを注文しました。このところ2回ほど、エアコンでは評価の高いダイキンのものを使っていたのですが、どちらも6~8年くらいで故障してしまいました。どうもレッスン・スタジオは平屋で直射日光の熱を受けやすく、また室外機にも直射日光が当たりやすいところもあり、冷房効率も悪く、故障しやすいのかも知れません。

 別棟のリヴィングの方はもう十数年ほど同じエアコンを使っています。リヴィングは二階もあって、直射日光が当たらず、また改築して断熱効果も高くなっているので、エアコンに負担がかからないのかも知れませんね。

 今回はリビングで驚異的な粘りを発揮している富士通のものを注文したのですが、どうでしょうか、どれくらいもつのでしょうか? いずれにしても、今やエアコンなしだとレッスンも不可能になってしまいますね。



一週間後?

 この記事を書いている時に発送元から電話。発送は今日なのですが、設置の方は来月5日火曜日ということで、なんと一週間後! なんとかもう少し早くなりませんかとお願いしても、もちろん全く無駄な事。どうしましょうね、この先一週間も間違いなく30度を超えそうですしね。夜ならともかく、日中だと扇風機でレッスンするのは不可能ですね。とりあえずレッスンをリヴィングでやるしかないかな・・・・・



 さて、気をとりなおして、前回に続き、いろいろなギタリストの演奏フォームですが、今回は私より若い世代のギタリストと言うことになりますが、その前に忘れてはならない邦人レジェンドから。




渡辺範彦(1947~2004)

渡辺範彦

 渡辺範彦さんは、すでに故人となってしまいましたが、日本人では初めてパリ国際ギターコンクールで優勝した、我が国ギター界のレジェンド中のレジェンドですね。 当ブログでも何度か紹介しています。



このフォームからなぜあんな柔らかい音が

 この写真のフォームでは、手首をやや曲げて指を弦に直角にあて、しかも結構ブリッジ寄りとなっています。この当時の一般的なフォームとも言えますが、通常このフォームからはかなり硬質な音が出そうなのですが、実際の渡辺さんの音はふっくらとしていて、もちもち感のある音です。このフォームから、どうしてあんな柔らかい音が出ていたのか、ちょっと不思議な気もします。





荘村清志(1947~)

荘村
最近は楽器が”立って”いますね


 1960~70年代の我が国のギター界では、生まれも同じ年で、渡辺範彦さんと人気を二分していた荘村清志さんですが、荘村さんは今現在でも非常に積極的に演奏活動をなさっているのは皆さんもご存じと思います。ギター文化館でも毎年リサイタルを行っています。

 写真のフォームはたいへん自然なものですね、この写真は比較的最近のもので、楽器がかなり”立って”いますね。若い頃はちょっと違っていたようにも思います。この際、その若い頃のLPジャケットの写真も載せておきましょう。1972年録音のLPの写真で、撮影もおそらくその時期だと思います。



荘村70年代
1972年頃の主村清志さん



若い頃は楽器が”横向き”だった

 上の写真よりは横向きというか、平行に近いですね。確かにイエペスもあまり楽器を立てていません。楽器を立てると右手首の関節がまっすぐになりやすく、また体が起き上がって、全体の姿勢も良くなりやすいですが、欠点としては、ネックが目の近くになって、フレットや左指が見にくくなるのと、左手が上がるので、やや疲れやすくなります。

 逆に楽器を立てないで横向きにすると、左手が見やすく、また疲れにくくなりますが、ハイポジションは押さえにくくなり、右手首も曲がりやすくなります。また姿勢が前傾になり、腰が痛くなりやすいといった欠点もあります。タレガは典型的に”横向き”タイプですね。

 荘村さんはイエペスに師事したということですが、音質的にはイエペスに近いという訳ではないようです。 若い頃はすっきりさわやかと言った感じの音でしたが、今現在では音に重みが出てきたというか、より充実したものになっているようにも思います。







エドアルト・フェルナンデス(1952~)

フェルナンデス


 フェルナンデスはウルグアイ出身のギタリストですが、感覚的というより、知性的なギタリストとも言えるでしょう、もちろん極めて高い技術を持っています。カルバーロ奏法の影響を受けていると思われますが、爪はいくぶん斜めにも見えます。因みにカルレバーロは爪を斜めにしてはいけないと言っています。

 音色については聴く人によって意見が分かれるところですが、私が聴いた感じでは、生演奏でも、またCDでもややノイズっぽく聴こえてしまいますが、それは好みの違いということでしょうか。






セルジオ&オダイル・アサド(1952~)

アサド


 驚異のデュオと言われる双子のアサド兄弟です。文字通り異次元的にレヴェルの高いデュオで、リサイタルも聴きに行きましたが、なんと、特に合図もなしに演奏を始めてしまいます。まるでテレパシーで交信しているかのようです。

 写真の左が作曲もするセルジオで、右がオダイルです(多分そうだと思いますが)。右手のフォームはオダイルのほうしかわかりませんが、おそらくセルジオのほうもそれほど変わりないのではないかと思います。 直角に近いですが、やや斜めに爪を当てているでしょうか、もちろんどちらもたいへん美しい音です。





福田進一(1955~)

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 私の息子が10年間ほどレッスンを受けていたので、私としては福田先生とお呼びしていますが、福田先生のフォームもたいへん自然なものですね。弾弦の瞬間は力を集中させるが、それ以外の時では右手をなるべくリラックスさせるということなのでしょう。

 この写真ではかなり左よりの位置で弾いていますが、常にこの位置で弾いている訳ではくなく、通常は平均的な位置で弾いています。当然といえば当然なのですが、状況によって弾く位置を変えている訳ですね。






山下和仁(1961~)

山下


山下2


 山下和仁さんは1977年にパリ国際ギターコンクールに最年少(16才)で優勝し、注目を集めたギタリストです。超絶技巧の持ち主で、ムソルグスキーの「展覧会の絵」など、オーケストラ作品をギター演奏する事でも話題になりました。




フォームのことを語るのはあまり意味がない

 この2枚の写真は、通常のギターの弾き方からすると、ちょっと不自然なので、撮影のためにポーズを取っているのではないかと思う人もいると思いますが、おそらくこれは実際に演奏している時の写真だと思います。

 山下さんのリサイタルは何回か聴きましたが、本当にこんな感じ弾いていました。ギターが水平になったり、垂直になったり、椅子から立ち上がったりなど、山下さんのフォームは固定することはないようです。 また指の角度も状況によって様々なようでした。したがって、山下さんについては。フォームのことで云々するのはあまり意味のないことのようですね。
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第19回水戸ギター・アンサンブル演奏会

 2023年10月14日(土) 14:00開演  ひたちなか市文化会館小ホール  

 入場無料




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水戸ギター・アンサンブル演奏会のチラシ

 10月14日にひたちなか市文化会館で行われる「第19回水戸ギターアンサンブル演奏会」のチラシが出来ました。 前回のお知らせでは独奏曲のみ曲目未定でしたが、タレガの「ベニスの謝肉祭」に決まりました。 再度曲目を書いておきます。演奏予定順です。



<水戸ギター・アンサンブル  指揮:中村俊三  演奏者13名  >
  イタリアーナ(レスピーギ)
  グリーンスリーブス(17世紀の作品)
  ギター合奏のためのパッサカリアホ短調(中村俊三)


<5重奏  中村、中居、佐藤、及川、萩野谷>
  奥様お手をどうぞ(エルビン)
  ブエノスアイレスの夏(ピアソラ)
  ラ・クンパルシータ(ロドリゲス)


<独奏  中居直也(チラシでは名前が抜けてしまった)>
  ベニスの謝肉祭=パガニーニの主題による変奏曲(タレガ)


<二重奏  中村、久保田>
  アンクラージュマン(ソル)
  スペイン舞曲第7番「バレンシアーナ」(グラナドス)


<水戸ギターアンサンブル>
  ギター協奏曲ホ短調作品140(カルリ)  独奏:久保田浩





 市民音楽会の写真

 市民音楽会(7月16日)の写真が来ました。いつもとはちょっと違う風景です(指揮をしているのは久保田浩君)。


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アルアイレ奏法 4


いろいろなギタリストの右手のフォーム 3






アリリオ・ディアス(1923~2016)

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セゴビア風でパワフルな演奏

 ディアスの演奏は録音でしか知りませんが、パワフルでヴィルトーゾ的な演奏です。セゴヴィアのマスター・クラスではアシスタントも務めていて、演奏スタイルはセゴヴィアに近いものもありますが、直接セゴヴィアのレッスンは受けていないそうです。アントニオ・ラウロの作品の浸透にも努めていて、セゴヴィアがラウロの曲を演奏しているのもディアスの影響ではないかと思います。

 写真で見るディアスのフォームはほんの少し手首を曲げて、指が直角に弦に当たるようになっていますが、セゴヴィアほどは捻っていません。確かにパワフルな音が出そうですね。






ジュリアン・ブリーム(1933~2020)


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故人になってしまいましたが

 ギター界の情報に疎くてたいへん恐縮なのですが、ジュリアン・ブリームもすでに故人となっていたのですね、今回の検索でわかりました。ブリームの活動のピークは1960年代から1980年代といったところで、1990年代後半からは活動が少なくなっていたようです。私が持っているCDの最も最近の録音は1993年(ソナタ集)のものです。 リサイタルの方は1970年代と80年代に2回ほど聴きましたが、もちろんたいへん美しい音でした。



結構角度を付けている

 これまでのギタリストに比べると、指を弦に対して直角ではなく、ある程度の角度を付けて、弦にやや斜めに当たるようにしています。ブリームは美しい音だけでなく、多彩な音を出していましたが、このフォームは柔らかい音を出すときのものでしょう。






ジョン・ウィリアムス(1941~)



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かつてのギター界のプリンスはご存命

 ジョン・ウィリアムスは1960年代にはギター界のプリンスと呼ばれ、20世紀後半を代表するギタリストの一人ですが、ご存命のようですね。 ただ、やはり今現在は演奏活動をあまり行っていないようです。

自然なフォームですが、弦に当てる角度は直角に近いです。動画などで見ると、各指が完全に独立して動いていて、アルアイレ奏法主体の演奏ですが、アポヤンド奏法もそれなりに使っています。非常にクリアーで、力強い音ですね。



生演奏なのに生音が聴けない?

 ウィリアムスといえば、活動の後半はリサイタルにアンプを使用していたことで知られています。これはウィリアムス・ファンからすればあまり有り難くないことで、なぜ生演奏なのに生音が聴けないのかという不満も多かったようです(私もそう思った一人だが)。

 ウィリアムスの音であれば多少大きなホールで聴いても、十分に音が通るのですが、ウィリアムスはある時期から頑なにそれを守っていました。 従ってウィリアムスの生音を聴いたことのある人は、今では少なくなっていると思いますが、それは本当に美しいものでした。





マヌエル・バルエコ(1952~)

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私より若い世代、フォームが自然

 バルエコは私より一歳年下なんですね。ここから私より若い世代のギタリストとなります。バルエコのフォームもたいへん素直なフォームですね、まったく曲げたり、ひねったりはしてません。音色云々というより、合理性からこのフォームになっているのでしょう。 今ではバルエコのようなギタリストは少なくありませんが、デビュー当時は新時代のギタリストとして注目されていました。






デビット・ラッセル(1953~)

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強く影響を受けた

 1980年代の半ば頃、私もラッセルの重厚な音をCDで聴いた時には衝撃を受けました。どんな弾き方をしているのかなと、その頃来日した時の東京でのリサイタルとマスタークラスはすべて行きました。 私自身の音楽的な表現法とか、音の出し方などには、デビット・ラッセルの影響が強くあります。



セゴヴィアなどとは逆方向に手首をやや曲げて、弦に斜めに爪を当てている

 それまで、なんとなく弦に対して斜めに弾いてはいけないような風潮があって、私も当時は今よりも直角に近いフォームで弾いていました。私としてはそれまでも多少斜めの方がよいのではと思っていましたが、ラッセルの演奏と言葉でそのことの確信が持てました。ラッセルは弱音であれば直角でもよいが、強音になればなるほど角度を付けなければならないと言っていました。

 また、音楽的な表現、特に19世紀のロマン派の音楽の表現法についても、マスタークラスでわかりやすく説明していて、デビット・ラッセルのマスター・クラスではたいへんいろいろなことを学びました。





イェラン・セルシェル(1955~)

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ガシガシ弾かないところがいい

 セルシェルのフォームも自然ですね、手首などを全く曲げないところはバルエコと同じです。ただ、バルエコよりはタッチが柔らかいですね。こうした一流のギタリストは皆、メチャクチャ指が動くのですが、セルシェルはあまりガシガシ弾かないところがいいですね。バッハやソルの曲などもゆったりと弾いてます。セルシェルの音楽は肩に力の入らない、癒し系の音楽と言えるでしょう。